本部

冬の熱き戦い――同人誌即売会――

絢月滴

形態
ショートEX
難易度
易しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
15人 / 4~15人
英雄
13人 / 0~15人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2019/01/03 18:59

掲示板

オープニング

●それは全ての人々の権利
 ――君はずっと、H.O.P.E.の戦いを見てきた。
 彼らが愚神を倒し――絶望の中に希望の種を落としていくのを、君は何度も見た。
 君は、H.O.P.E.のエージェントが好きだ。
 彼らが戦う姿はもちろん、彼らの日常を見ることも好きだ。

 好きだ。

 好きすぎて――ついつい、想像してしまう。



 あのエージェントとあのエージェントが、あんな会話をしていたら――。
 あのエージェントがあんな恰好をしていたら……。
 彼と彼、彼女と彼女、いやいやいや……。



 そしてその妄想は――やがて形になり。
 気づけば、君には”同志”が増えていた。生まれた波は更に大きくなり――”名前を得て”、”その場所”の一部を支配するに至る。



 そう。
 【H.O.P.E.】というジャンルを確立し。
 ――冬の同人誌即売会、ビザックサイト――その一角に島を形成した。



●戦いの準備はいいか?
「……何で俺こんなことしてんだ……」
 はあ、と西原 純(az0122)は溜息をついた。年末年始休みを取って、日本に帰ってきたのはビザックサイトで段ボールを開ける為じゃないのに。
「まあまあ純くん! バイト代は弾むからさ!」
 そう言ったのは純の幼馴染である浮島かざね(ペンネーム。本名は秘密)だ。だって、ケイくんに手伝わせる訳にはいかないでしょ? と続けて彼女は言う。確かにケイが――大人気バンド、イノセンスブルーのボーカルの彼がこんなところに居たら、大騒ぎだと純は納得する。段ボールの中から今回のかざねの本……とあるエージェントのおっかけ記録……を取り出す。
「……しかし、H.O.P.E.が……なんだっけ、ジャンル? になるとは」
 純の言葉に、ふふふ、とかざねはいやらしく笑う。
「甘いなぁ、純くんは。なるに決まってるじゃん! だってさ」
 まるでマシンガンのようにかざねは妄想を口にする。喋ってないで手を動かせ、と純は彼女に毒づいた。開場まであと一時間。それまでに設営を終わらせなければ。
「あーどうやって買い周ろうかなー? 今回はいつも以上に頑張らないとね!」
「何だその気合の入りよう」
「当たり前だよ! なんたって今回は!」



 H.O.P.E.の!
 エージェント達がサークル参加したり、コスプレしたりしてるんだから!


解説

冬の同人誌即売会に参加しましょう。
注意事項は以下の通りです。


・可能なこと→サークル参加/一般参加(どちらもコスプレ可)
・サークル参加の場合、参加ジャンルは【H.O.P.E.】となります。頒布できるものはカップリング本、日常をネタにしたギャグ本、エージェントをモチーフにしたゲーム。自分の写真集。自作の歌。などなど。ハンドメイド品はNGです。
・年齢指定の本も頒布は可能です。が、中身の描写はしません。
・NPC/ヴィランを扱ったものも頒布できます。※但しNPCは担当MSが「扱っていいよ!」という表明があったら。
・プレイングに指定してくれれば、壁サークルになることも可能です。
・修羅場プレイング/打ち上げプレイングを提出していただければ、その描写も入ります。
・サークル参加/コスプレ参加/一般参加、どの参加形態でも10000G戴きます。
・「これはどうなの?」というものがあれば純が回答します。


※※※なお、自分以外をネタにする場合は、きちんと相手に許可をとって下さい※※※
※※※許可のやり取りはMSに見えるよう、掲示板でお願いします※※※
※※※ネタにしたNPCに「本作ったよ」「お前のCP本あったよ」など、突撃はしないで下さい※※※

リプレイ

●戦いの準備!
「うーん」
 老舗サークル【がおぅ堂】の設営をしつつ、虎噛 千颯(aa0123)は首を傾げた。その視線の先には”リンブレ+カレシ”なる本があり――その表紙には自分の名前があって。
「彼氏って……俺ちゃん既婚者だけど需要あるのかな? ……大人の魅力で癒して欲しいみたいな?」
 まあいいか、と千颯は設営を続ける。テーブルの上にクロスをかけ、ぬいぐるみを目立つ場所に置いた。キーホルダーは手にとりやすいよう、コルクボードにかける。値札も分かりやすく! 抱負な種類の白虎ちゃんグッズ!
「ふっふ……この祭典で白虎ちゃんを売りまくって公認ゆるキャラにさせるんだぜー!」



「こっち側として参加するのは初めてだけど、私達が丹精込めて作り上げたカード達をお披露目しちゃいましょう!!」
 人狼のコスプレをした世良 杏奈(aa3447)が声を張り上げる。テーブルに敷くのは赤いクロス。サークル名【世良家】がよく見えるようにポップを立てて。
『うん、アタシも”売り子さん”頑張るー♪』
 赤ずきんのコスプレをしたルナ(aa3447hero001)も頷く。その横のサークル――【シュバルツローレライ】ではサーフィ アズリエル(aa2518hero002)が妖しく笑っていた。
 



●即売会エリア
 外はとても寒かったのに、中はこんなに暖かい……いや暑い、なんて。けれどここにそれを気にしている人は居ないようだった。皆笑顔で、この空間を楽しんでいる。
「ずっと、気になってた……楽しみ……」
 ぎゅ、とお財布(もちろん盗難防止のためのチェーン付で斜め掛け)を握り、木陰 黎夜(aa0061)は言った。ガイル・アードレッドのコスプレをしたアーテル・V・ノクス(aa0061hero001)は黎夜の後に続いていた。彼の側を通る人々(主に女子)がわぁ、と声を出す。かっこいい、凄い再現率! その声には反応せず、アーテルは黎夜に言う。
『とはいえ、無理は禁物だ。楽しめるようにな』
「うん……えっと」
 事前に用意しておいたサークルマップをチェックし、黎夜は買い物を開始した。自分が描かれた本を手に取る。目の前にきた本人に、わあ、とサークル主がこえを上げた。うああああ可愛いいいいいとキラキラした目で見つめられ、黎夜は少し恥ずかしくなった。他の本も手に取る。と、コスプレをして買い物をする人達――女装も男装も――が目に入った。ああ、かっこいいな。綺麗だな、そう思った。黎夜が買った本をアーテルは興味深そうに見ている。この本はあの時の依頼を書いたもの。なるほどそう解釈したのか――と小さく呟くアーテルに対し、黎夜は言う。
「アーテルも、何か、買う……?」
『いや、いい。……待て、黎夜』
 表紙が肌色全開の本を見つけ、アーテルは彼女の視線をカタログで遮った。
「アーテル?」
『ちょっとだけ前を向いてくれ』
「? うん……」
 何でだろうと思いながら、黎夜は買い物を続ける。全年齢対象の日常本とほのぼの系を購入する。そしてもちろん、アーテルが出ている本も――。
(……色んなアーテルが見たい、から……)
 そう思っていると、ふと”リンブレ+カレシ”なる合同本が目に入った。表紙にはアーテルの名前――。
「えと……1つ、ください……」



「自分の薄い本見つける日が来るなんて、思いもよらなかったよね」
 ふふ、と笑う木霊・C・リュカ(aa0068)の横で、オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)は頭を抱えて居た。ついさっき、見てしまったのだ。自分とリュカの薄い本を……。
「よし、じゃあ行こうか!」
『……まぁ、趣味は趣味だからな……うん、まぁ……うん』
 オリヴィエと一緒にリュカは歩く。自分としては普段着のつもりだけれど、他の人からはコスプレだと思われているらしい。私もリュカのコスプレすることあるけど、あれ何処で手に入るんだろ? という声が聞こえて、リュカはその声がした方向によく行くお店の名前を告げた。ありがとうございます! と返事があって、更に気をよくする。自分と英雄が描かれた漫画、友人達が描かれた小説――。その一つ一つを手にとって。
「かっこよく描いてくれてありがとー!」
 そんなリュカの言葉に作家たちは顔を真っ赤にして謙遜する。中には写真を――と言う人もいた。
「ここ撮影禁止だからよければコスプレゾーンで! ……あ」
『どうした』
「……もしやお兄さんの写真集も需要があるのでは……?」
『……言ってろ』
 オリヴィエは何度目かの溜息をついた。リュカが再び歩き出す。征四郎の本を見つけると、こっそりと買う。保存用と使用用――いや読書用に二冊ずつ。布教はしない。万が一に備えて、リュカは売り子さんに囁く。もちろん、唇に指を添えて。
「……内緒ね?」
 そんなことをしつつも自分と征四郎の本……いわゆるリュカ×征四郎の本は買わない。
(……か、解釈違い? みたいな……?)
 じゃあ知り合いのスペースを巡ろうか、というリュカにオリヴィエは頷く。……と、不意に”ある本”を見つけてしまった。表紙に書かれているのは自分と母――しかも二人共かなり露出度が高い――そういわゆる年齢指定本……。
「あれ、オリヴィエ?」
 リュカから離れ、オリヴィエは柱の影で肩を落とした。知らなくても良かった。猫と自分の本とか、そういうので良かった――。
『……帰ったら顔あわせづらい……』
 とりあえず忘れようと、オリヴィエは凛道に頼まれたお使いをこなそうと頭を切り替えた。H.O.P.E.アイドル関連の薄い本をメインに色々。これならきっとそんなにショックは受けずにいられる。
『あ』
 そう思った矢先に、オリヴィエはガルーの本を見つけてしまった。とく、とちょっとだけ鼓動が上がる。リュカに見つからないように、オリヴィエはそのスペースに近づいて。
『……一冊、ください』



 紫 征四郎(aa0076)はガルー・A・A(aa0076hero001)、時鳥 蛍(aa1371)と共に会場を訪れていた。この手のイベントが初めての蛍は征四郎にくっついていた。特有の雰囲気に気圧される。そんな蛍の手を握って、征四郎は持ち物の最終確認をした。ポカリに大きめのリュック、スケブ、小銭を沢山入れたお財布を準備! もちろんサークルマップは事前に印刷して、チェック済み。そして差し入れも!
「いざ、戦場へ行かんとす、なのです! ……あ、ホタルは怪我、きつくなったら言ってくださいね」
 先の大規模の戦いで傷を負った蛍を征四郎は気遣う。ガルーは辺りを見渡した。物凄い熱気だ。こっちの頬も何だか緩んでしまう。
『へえ、こんなことしてんだな……現代のサロン、って感じか』
「……あ!」
 不意に征四郎が声を出す。
「ナツミ!」
「あ、征四郎ちゃん!」
 そこに居たのは豊浜 捺美(aa1098)だった。寒さ対策にしっかりと着込んでいる。
「あはは、こんなイベントは初めてでねー。もしよければご一緒してもいいなの?」
「当たり前なのです! ……あ、紹介します! ホタルです!」
 征四郎は蛍を捺美の方へ押し出した。蛍は、慌ててタブレットに文字を打ち込む。
『よろしくお願いします。豊浜さん』
 きゃっきゃと声を上げて、少女三人は歩き出す。ガルーは別行動を開始した。さて、ユエリャンに頼まれた本のサークルはどこだ?
「このサークルさんは絵がとても綺麗なのです」
 蛍と捺美に説明しつつ、征四郎はイラスト集や全年齢のオールキャラ本を買っていく。もちろん差し入れも忘れない。
「征四郎ちゃん差し入れ準備しているなんてえらいなの」
 そう言いながら、捺美は征四郎と蛍の本を見つけた。所謂”百合”と呼ばれるジャンルものだが、年齢指定はされていない。売り子さんにどうぞと言われて本を手に取る。

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「征四郎が行く道は、きっと険しい――私が、少しでも力になれれば」
 そう言って、征四郎に手を差し出す蛍。その手を征四郎は優しく握り、そして強い光が宿った目で彼女を見た。
「もう充分力になっているのです、ホタル。貴女が居て、私は嬉しい。これからも、一緒に」
 征四郎の手を蛍は握り返す。絡み合う指は、強い信念と想いの証――。
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「あの、これ、一冊下さいなの」
 捺美が買った本に征四郎が反応する。同じサークルが売っている、共鳴した征四郎と蛍の本を二冊買った。蛍はもの凄く困惑する。きっと顔が赤くなっている、と思った。嬉しいとも思うけれども、恥ずかしいという感情の方が大きい。そこに追い打ちをかけるように、グラナータと自分の本も見てしまった。そしてグラナータの妹をネタにした本も――。
(グラさんの妹さんまで把握されてる……グラさん、確かに外でも何度も口に出してましたけど……)
 征四郎が次のサークルへ足を運ぶ。このサークルのイラスト集は毎回買っている。
「ナツミ、描かれてますよ!」
「本当なの。ありがとうなの!」
 イラスト集をきちんとお買い上げしてから征四郎はリュックの中からスケブを取り出した。
「ふぁ、ふぁんです……!! スケブお願いできますか!」
 もちろん、と作家が微笑む。一時間後に、と約束して征四郎はその場を後にした。――不意に、見慣れた人物が描かれた表紙が視界に灰ある。あれは。
「こ、これは……!!」
 征四郎が手にしたのは、リュカ×オリヴィエ本だった。電撃が走り、固まっている親友の手から蛍はその本を取り上げる。
『別のところに行きましょう、征四郎』
「は、はい……」
「蛍ちゃん、体調は平気?」
『平気です、ありがとうございます』



 咲山 沙和(aa0196)はアニメ中心のサークルが集まる場所を見ていた。
「楽しそーだから来ちゃった」
『……何で私まで付き合わわれているんでしょうか』
 シュビレイ・ノイナー(aa0196hero001)は重い溜息をついた。
「まあまあ、後で甘食買うからさ、付き添いよろー」
『……その言葉、忘れませんからね沙和』
 知っているアニメを元に作られた本を見て、沙和は感心する。あまりよく思わない人も居るかもしれないけれど、立派な才能だ。
「わ、見てシュビ君。ジャンル”H.O.P.E.”だって! 見たことのあるエージェントの本とかある! 超おもしろ!」
 凄い凄いと言いながら、沙和は色々と見て回る。どの本からも情熱と愛を感じた。これはきっと、応援されているということだ。
「戦いは激化してっけど、頑張らなきゃねーってなるね!」
『……空回りしすぎて戦場で死なないでくださいね』
 機嫌が悪そうな表情の中に、少しだけ”貴女を案じている”色を込めてシュビレイは言う。沙和はまばたきでそれに応えた。
「あ。シュビ君のBL本」
『それはなんですか?』
 シュビレイを無視して、沙和は本の中身を見る。ぐるりとその島を一周してから、爆笑した。
「シュビ君受けが主流か、なるほど!」
『意味が分かりません』
「まあまあ」



 帽子にマスク、サングラス。完璧これでばれない。
 卸 蘿蔔(aa0405)はぐ、と拳に力を込めた。実は何冊か本を出しているが、今回は同人仲間の都合がつかなかったので一般参加だ。だが、今日はどうやら一般参加に知った顔が多い。サークル参加でなくてよかった。
(……ホープねぇ……推しカプ以外を見たことないんだよね。正直、知ってる顔が題材にされてると読みにくいというか。申し訳なくて捗らないというか……)
 ひとまず、お目当てのサークルに行こうと蘿蔔は顔を上げた。ひとまず今がっつりとはまっているジャンルを壁サークルから島の端から端まで制覇する。これだけでもかなりの量だ。休憩がてら、邪魔にならないところで立ち止まり、サークルマップを今一度チェックする。すぐそこが、H.O.P.E.のエリアだ。
「……少しくらい……」
 蘿蔔はH.O.P.E.のエリアに足を踏み入れた。まず目に飛び込んできたのが”シャドルカ組”の本。サンプルを手に取って読む。――萌えの衝動が沸き上がった。
「はぁぁぁぁ……しゅき」
 変な声を出してしまい、蘿蔔は咳払いを一つした。駄目だ、言葉に出来ない。”沼”にはまる瞬間は何時だって突然やってくる。
「三冊ください」
 その島を中心に蘿蔔はどんどん本を買っていく。こういうのすごい求めてた、と自分に正直になる。”シャドルカ組”のアンソロジーももちろん買った
(この二人は王道ですよねぇ……私も思ったもん。同棲、いや結婚してるって。そうでなきゃあの息の合った連携の説明がつかないですわ。それにそれに)
 頭の中でひとしきり妄想し、こうなったらと欲望は止まらない。あの人――●ルーさんの本も買っちゃえ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
 蘿蔔は再び戦場へと飛び込んだ。



「……これは一体なんだ」
 スーツにコート――ある意味”社畜”のコスプレをした迫間 央(aa1445)は足を止めた。英雄のマイヤ サーア(aa1445hero001)は幻想蝶の中に居る。日暮仙寿(aa4519)と不知火あけび(aa4519hero001)も彼につられて足を止めた。そういえばさっきから”シャドルカ組”なる単語がちょくちょく耳に入ってくる。
 央は恐る恐る、もう一度”それ”を見た。自分がネタにされている本……いわゆるBL本……相手はまさかの仙寿……しかもこの厚さ、いわゆるアンソロジー……。
「……え……ちょ……表紙の時点で嫌な予感しか……」
『すいません、読んでいいですか?』
「ちょ、あけびさんっ?」

---
(央×仙寿)
「その刀――そこまで強化するの、大変だっただろう」
 グロリア社で刀を限界まで強化していた彼に私は声をかけた。
「あんたも刀を使うのか」
「ああ。私は迫間 央。あなたは?」
「日暮仙寿」
 そうして出会った彼――仙寿君もまた、私と同じ回避ルーカーだった。それから切磋琢磨し――時には依頼を共にすごして――。
 気づけば、私は仙寿君を――いや、そんな。
 そう思っていたある日、仙寿君が重体に。
「何無理をしてるんですかっ」
「……何で、あんたが……怒る?」
「っ……誰だって好きな人が怪我をしたら、こうなるでしょう!」
「……好き?」
「……あ」
 ――言ってしまった――。



(仙寿×央)
 人気のない道を歩く時は、俺は央と手を繋ぐ。その時、ほんの少しだけ笑ってくれる央の顔が好きだ。でもその笑顔には余裕がある。――央が社会人だからか。俺がまだ高校生だからか……。
(早くあんたに追いつきたい)
 手に力を込める。央がどうしましたと聞いてくる。何でもないとその時は答えた。
 そして俺は焦って――要らないヤキモチを焼いて、結果央に嫌われた――と思ったのだけれど。
「……私が何時あなたを嫌いになりましたか?」
「央」
「仕方ないからもう一度言います。……好きです、仙寿君」
 そう言って笑ってくれた央の頬に触れて、俺は――。
---

 ちらり、とあけびは仙寿と央を見た。二人共内心混乱しているのだろう。硬直している。
『シャドルカ組が並んで固まってる……!』
「あけび! CP名で呼ぶな! 余計ややこしくなる!」
 央は好敵手兼友人で先輩だがこういう事実は一切ない!
 仙寿がそう叫ぶと同時に、突然央の幻想蝶から、マイヤが飛び出してきた。動揺しつつ、央は彼女に声をかける。
「えぇ、マイヤさん、圧が強い! 落ち着いて!」
『央がこういのに首を突っ込む訳はないから、貴方が元凶かしら……?』
 もの凄い形相でマイヤは仙寿を睨みつける。
「マイヤ、落ち着け! 誤解だ! というか非常に不本意だ!」
「24時間365日、マイヤさん俺の事見てるでしょ! そんなシーン今まで何処にもなかったでしょっ?」
 央と仙寿の必死の説明に、は、とマイヤが我に返る。そうだ、確かにそうだ。誰よりも央の事を自分は見ているではないか。
『……それもそうだわ』
 気まずくなり、マイヤは照れ隠しにペンギンドライヴを着込んだ。そして幻想蝶に戻ろうとする。そこに央は待ったをかけた。
「そこまで気まずくならなくてもいいから! そんなしょぼんとした可愛いペンギンを一人で行かせられないから!」
 落ち着こう! と央はマイヤの手を取ってホールの外へ向かう。自分に”可愛い”という言葉が向けられたのが嬉しくて、マイヤは機嫌を直す。仙寿もまた、もう少しシャドルカ組の本を漁りたそうなあけびを連れて、外に出た。――その途中でまたもとんでもないものを見つけてしまう。GーYA×仙寿本。不安に駆られて、仙寿は思わずその本手にとった。ハンバーガー店で相談に乗った時の話が描かれている。
(何で知られてんだっ? ……何であれがこんな切ない両片想い本に……?)
『一冊下さい!』
「待て、待ってくれ、あけび……!」



『似合うわよぉ、GーYA』
 うふふ、とまほらま(aa2289hero001)は笑った。GーYA(aa2289)は少々げんなりしている。両サイドと後ろの三か所をリボンで結んだ長い髪に伊達眼鏡。エプロンドレスに皮アーマーとブーツが特徴のアニメヒロインのコスプレ。まほらまも色違いのドレスをまとっている。
『まだ楽しめそうね、ふふふ』
 何と反論していいのか分からず、GーYAは歩き出した。とりあえず目標は人狼ゲームを売っている世良のスペース。この通路が最短距離かと、島と島の間を歩く。とそこに並ぶ本の表紙に大抵自分が居ることに気づいた。実に色々な人達と絡んでいる。中には、肌色多めのものも。
(な……何でそうなるっ?)
 動揺するGーYA。更にある本を見つけてしまった。日暮×GーYAの本。

---
 日暮さんを見ると、何時だって鼓動が激しくなる。俺の心臓は人工物のはずなのに。感情に反応することなんてないと思っていたのに。
「どうしたんだ、ジーヤ?」
 優しい声。柔らかな声。前に”キス、したいなって”と言ってみた。その時は――流されてしまった。けれど今日はいつもと違う。俺はぐ、と日暮さんの――いや、仙寿の袖を掴んで。
「……キス、してみろよ」
 そう、迫ってみた。今回は、逃がさない――。
---

 GーYAは本を閉じた。続きがあまりにも衝撃的すぎる。
『あらあら、苺味のキスに抑えが効かなくなって暴走するGーYA。……いいわねぇ』
「まほらま!」
『これとこれ、一冊ずつ頂けるかしらぁ?』
 GーYAの事は気にせず、まほらまは本を購入する。GーYAは彼女を止める気力を失っていた。
『永平×GーYA、なんてのもあるのねぇ』
「……買うの?」
『もちろんよぉ』
 笑うまほらまに、GーYAはう、と言葉を詰まらせた。まほらまは買った本をGーYAに持たせる。
「……今度こそ海に沈められる……って、永平っ?」
『落ち着いてGーYA。コスプレよぉ』
「そ、そっか……良かった」
 GーYAは深い溜息をついた。と、辺りがにわかに騒がしくなる。どうやら、”エプロンドレスのコスプレをした女の子”が”GーYA”本人だと気づかれたらしい。GーYAの本能が警鐘を鳴らした。ここに居るのはまずい……! 一目散に走りだす。が、慣れない服装に人にぶつかって転んだ。薄い本が落ちた拍子に開く。ウィッグも落ちてしまった。
「……大丈夫か?」
「あ、はい。ありがとうございま……」
 GーYAは固まった。助けてくれた人が仙寿だったからではない。彼の目が開いてしまった薄い本に向いていたから……。
「ひ、日暮さん、こ、これは」
 どう説明しようか焦るGーYAを見て、まほらまは笑う。
『またネタにされわねぇ』



「……なぜここにいる、サフィ」
 海神 藍(aa2518)は思いっきり眉をひそめた。サーフィは全く動じず、、にこやかに藍に告げる。
『いらっしゃいませ、にいさま。こちらは同人サークル”シュバルツローレライ”の物販でございます』
「……嘘だろ、おい」
 藍は頭を抱えた。シュバルツローレライと言えば、以前演じた”悪の組織の黒騎士的何か”。魔法少女的な何かに倒され、あまりに中二故にもうやらないと誓っていたのに――いやそれよりも。
「売れてない、よな?」
『何を言いますか、にいさま。お客様はきちんと居ますし――大好評ですよ? あ、はい記録映像のDVDを一枚ですね。3000円戴きます』
 藍の目の前で商品が売られていく。
『写真集に記録映像、漫画、イラスト、ああにいさま、CDもあります。ねえさまとアラルさまの歌です。これも大人気なのですよ』
 サーフィは胸を張る。ここに居たら邪魔になるかと、藍はとりあえずスペース内に入った。
「……私は許可を出した覚えはないけど?」
 低い声を出す藍にサーフィはくすりと笑う。
『にいさまは断るのでしょう? なのでねえさまに許可を戴きました。多数決により可決でございます。数は正義なのです』
「なぜ裏切った、禮……!」
 藍は拳を震わせる。
(ねえさまは裏切ってなどいません。かっこいいと思っていましたよ、にいさま)
「あの、すいません。シュバルツローレライ……本人様ですよね?」
 一組の男女が藍に話しかける。彼らの目の輝きに藍は若干引いた。藍が返事をする前にサーフィが口を開く。
『はい、そうでございます』
「サフィ!」
「やっぱりそうですか! あの、握手して下さい!」
 求められるまま、藍は彼らと握手をする。握手が終わるとすかさずサーフィは今回の新グッズ――アクリルキースタンド――を取り出した。漫画と共に、無事お買い上げ。それを皮切りに次々とファンが押し寄せた。これではスタッフに注意されてしまいますね、とサーフィは眉根を寄せる。と、隣のスペース【世良屋】のルナが手伝うよー♪と、待機列を作ってくれた。
『助かります。あとでにいさまからケーキをお届けいたします』
『ありがとー♪』
「サフィ、何を勝手に」
 藍の反論はファンの声にかき消される。魔法聖女に倒されてもダークレインに忠誠を尽くすあの姿、痺れました! あの歌のPVでまた出てきた時はほんとに嬉しかった。屋上のヒーローショーで愚神と戦ってたの、俺生で見てたんですよ! あのアニメの最終回でも大活躍でしたよね。あの団地で戦った時の新フォーム、映像化はまだですか?
「あ……あぁ、ありが、とう……?」
 心の古傷がじくじくと開いていく。
 禮に頼まれた人狼カードを買って早く帰ろう――。
(なんだあれ? ……リンブレ+カレシ? なんで、私の名が? ……サフィ!)



「ふー、やっと落ち着いたな」
 千颯は一息ついた。大規模なイベントの為か、午前中から客足が途絶えることなく、対応にいっぱいいっぱいだった。ようやく、少し気が抜ける。
「ちょっと周りを見に行くか!」
 貴重品だけ見につけ、売り物に布をかける。”お買い物中。●●時には戻ります”のポップも立てた。完璧。サークルマップも一応持って、千颯は歩き出した。
「色々な本があるなー……お、あれは……BL本っ?」
 大股で千颯はそのサークルに近寄った。
「おお、永平ちゃん総受け本?」
 サークル主は千颯に面食らいながらも、そうです、と言って軽く中身を説明した。
(マジウケるんですけどっ)
 買ってみよう、と千颯はその本を購入する。そのまま永平の本――時には年齢指定のもの――を買いあさった。何かの機会に永平の英雄である花陣ちゃんに見せようと思いながら。
(確かに永平ちゃん受けっぽもんな!)
 変な納得をしつつ、千颯は更にH.O.P.E.エリアを周った。そしてある意味”とんでもない”ものを目にする。
「あれ? これもしかして俺ちゃんの受け本?」
 千颯はサークル主に尋ねた。本人の登場に彼女は慌てふためいている。まさかネタにした本人が――それも年齢指定本の前に――来るなんて思ってもみないだろう。
「マジかーウケるーこれ一冊貰ってもいい?」
「え、ああ、あの、その、い、いいん、です、か? いやだってそれ、貴方が」
 あんなことやそんなことされてる本なんですけど、としどろもどろになるサークル主に千颯は笑顔で言う。
「いいのいいのー見てみたいからさっ」
 一方その頃、烏兎姫(aa0123hero002)は”おれちゃん受け”エリアを買い回りしていた。
『パパのところは最後! ……えーっと、あった、パパの総受け!』
 見つけたアンソロジーを烏兎姫はどんどん購入する。年齢指定の本ももちろん……と言いたいところだったが、年齢確認を求めるサークルもあって全て、とはいかなかった。英雄だから関係ない気がするんだけどな、と烏兎姫は思う。あまり深く考えても仕方ない。今はとにかく買う!
『うわ、すごいっ。流石”俺ちゃん受け”っていうCPが確立してるだけある!』
 パパが色々な人と絡んでるーと烏兎姫は本を購入していく。友達から知り合いまで幅広く、英雄や能力者が千颯と絡んでいる。その絡み方も甘々から激しい物まで様々。合作本ももちろんゲット。
『次はあのサークル!』



 氷鏡 六花(aa4969)とアルヴィナ・ヴェラスネーシュカ(aa4969hero001)は会場の暑さに驚いていた。
「……ん。これだけ人がいれば……当然だね」
『凄い熱気ね』
 アルヴィナが羽衣を緩めた。ちょうど通りかかった男性が驚いたようにアルヴィナを見て、うわあ、と感嘆に近い声を上げた。その声に反応することなく、アルヴィナは分厚いパンフレットを開いた。漫画やアニメなど、ジャンルごとに区画が割り振られている。H.O.P.E.はもう少し先だ。
「……ん。こういうイベント、初めて……」
『H.O.P.E.を題材にした本って、どういうものかしらね』
「……ん、楽しみ」
 二人はH.O.P.E.を扱うエリアに足を踏み入れた。ある本が早速目に止まり、六花は手にとる。
「……ん。ムラサキカガミさんだ。……ヘイシズに、パンドラ。ニアも」
『愚神を題材にした本もあるのね。これは……”擬人化”?』
 耽美な画風で見つめ合うパンドラとヘイシズが描かれた本をアルヴィナは手にする。ぱらぱらと数ページめくって――目を丸くした。
「……ん。どうしたの、アルヴィナ? その本……面白そう?」
『あ、ええ、そうね。でも、六花にはちょっとまだ早いわ』
 アルヴィナは本を閉じて、首を傾げる六花の手を引いた。それからも興味がある本(年齢指定の本はアルヴィナがガード)を見つつ、二人は壁の近くまで来た。
『あら』
「……ん。アルヴィナ?」
『絶対零度の氷雪華……六花のことじゃない? 凄いわね、壁サークルっていうんでしょ。ああいうの』
 アルヴィナが示した方向に六花は目を向ける。大きなポスターに六花が描かれていた。そのサークルに並ぶ人達からはものすごい熱気を放っている。六花は少し照れてしまった。
「……ん。どんな本、なのかな……」
『そうね、ちょっと並んでみましょ……』
 は、とアルヴィナは息を呑んだ。遠目に見えるそのサークルの頒布物。表紙には肩をはだけた六花と、それを後ろから抱きしめる自分。周りに咲くのは百合の花。そして何より表紙には”R-18”の文字――。
『り、六花。混んでるみたいだし、他を見てみましょう?』
 六花の手を引き、アルヴィナはその場を離れる。どうして、と六花は理由を問おうとしたが、そうする前に違う別の本を見つけ意識がそちらに言った。表紙には自分とアルヴィナが可愛らしく描かれている。そのサークルに近寄って、一冊購入した。
「……ん。可愛く描いてくれて……ありがとう、ございます……」
(この本なら、大丈夫ね)
 ほ、とアルヴィナは息を吐きだした。サークル主が六花にコスプレに遭ってますね! と声をかける。六花はゆるゆると首を振った。
「……ん。コスプレじゃないです……」
「え……ご本人様、ですかっ? まさか!」
『ええ、そうよ』
 うああああああと、サークル主が動揺する。次の瞬間、彼女は泣き始めた。違うんですー感動してしまってーという彼女に、六花は手を差し出した。
「……ん。握手、しましょう」
『六花、せっかくだしサインも』
 二人の気遣いにサークル主が恐縮する。今まで生きててよかった、とまたなく彼女にせっかくだから、と二人は共鳴した。周りの注目が一気に集まる。すごい、氷鏡六花とアルヴィナだ! 本物だ! と周りが騒がしくなった。その様子を見ていたスタッフが駆け付けてくる。
「会場内での共鳴はご遠慮下さいっ」
「……ん、ごめんなさい」



「お買い上げ、ありがとうございますー」
 杏奈はにっこりと笑って、購入者にカードを手渡した。売上は上々だ。頑張って作ったかいがあった。隣の”シュバルツローレライ”はまだ人が途切れない。海神さん大変そうと杏奈は感想を抱く。
「1つ、ください」
「はい……って黎夜ちゃん! いらっしゃい! 今回は協力してくれてありがとう!」
 やってきた黎夜とアーテルに杏奈は彼らを描いたカードを示す。黎夜は黒猫の耳と尻尾がついた姿。アーテルは猟銃を構えている。黎夜の目元が薄く染まった。可愛い、と思わず杏奈は口にする。
「黒猫は処刑された時、人狼以外の生存者をランダムで一人道ずれに出来るの」
「……道ずれ」
 黎夜はちらりとアーテルを見た。アーテルは何も言わない。楽しんでね! と彼女に人狼カードを渡した。もう少し回るという二人に手を振る。それからまた接客に戻っていると、今度は烏兎姫がやってきた。彼女の鞄はすでにパンパンに膨らんでいる。
「1つ下さいっ」
『烏兎姫! 烏兎姫と千颯は”共有者”にしてみたの。感想聞かせてね!』
 ルナは烏兎姫にカードを渡した。ふぅ、と一つ息を吐く。その音を聞いた杏奈が口を開いた。
「大丈夫?」
 それに対し、ルナは笑った。
『アタシは平気だよ、杏奈! ……あ、沙和!』
「やほー人狼カード買いに来たよー」
 杏奈は箱の中からカードを取り出した。随分荷物が少ない彼女に何も買ってないの? と問う。沙和は見てるだけで楽しーからさ。と朗らかに笑った。
「へーあたしが市民で、シュビ君が人狼なんだ。超おもしろ!」
 沙和の表情にルナも嬉しくなった。じゃあ、と軽い足取りでコスプレエリアへと向かう沙和をルナは見送る。続いてやってきたのは、征四郎と捺美、蛍の三人だ。
「お疲れ様なのです! 首尾はどうです?」
「ぼちぼちってところね」
『征四郎、いっぱい買ったのね!』
「はい! スケブだってゲットしたのです!」
 会話を楽しみながら、ルナは彼女達に人狼カードを差し出す。征四郎は影武者、捺美は市民、蛍はメイド。
『メイドさん、恥ずかしい、です』
「蛍にぴったりなのです!」
「うん、私もそう思うの」
『そう、ですか』
 カードを買って、三人は去っていく。
「皆喜んでくれて、嬉しいわ」
『そうだね、杏奈……って、あれは……』
 ルナの目に入ったのは、若干お疲れモードの央と仙寿、彼らとは逆に上機嫌のマイヤとあけび。
『人狼カードを買いに来ました』
「ありがとう。ところで、仙寿さんと追間さんはどうしてそんなに疲れているの?」
『あーうん、色々あってね!』
 あけびがにこやかにカードを受け取る。
『私占い師なんだ。こんどこういう服着てみようかな』
『私は……霊能者ね。こういう白いドレス、今度着てみようかしら』
 描かれた自分にあけびとマイヤが反応する。央と仙寿の反応は薄かった。彼らから感想を貰うのはまた今度にしようと、杏奈は彼らを見送る。次にやってきたのはまほらまと女の子……ではなく、GーYAだ。
「GーYA君……その恰好は?」
『可愛いでしょお?』
 うふふ、とまほらまが楽しそうに笑う。確かに、と杏奈は同意した。身長も高いし、よくよく見れば筋肉がついていることも分かる。が、可愛い。
「可愛いは正義よね」
『うふ、その通り』
 満足そうに人狼カードを手にし、まほらまとGーYAがスペースを離れる。
『あっちコスプレエリアだけど、大丈夫かな?』
 他人事だけど、とほんの少し不安になるルナ。
「……やっと終わった」
『お疲れ様です、にいさま』
 藍は椅子に座り込んだ。少し休もうと目を閉じる。――が、禮に頼まれた買い物を終わらせなければ。失礼になるかもしれないと思いながら、藍は杏奈に声をかける。
「あの……人狼カードを、一つ」
「はい、どうぞ」
 杏奈は藍にカードを渡した。と、また知り合いが来た。
「世良殿!」
「あら初春ちゃん」
「人狼カードを買いに来たのじゃ!」
 手を差し出す天城 初春(aa5268)に杏奈はカードを渡した。
「ほお、わらわは占い師とな。ふむ、胡散臭さがなんとも……」
「嫌だった?」
「いやいや大歓迎じゃて。稲荷姫様は……霊能者。ぴったりじゃの」
 カードを持っていた鞄に仕舞い、初春は杏奈に軽く礼をしてそのスペースから離れた。
(さて、ここからが本番じゃの!)
 すぅはぁ、と深呼吸をして初春は年齢指定本を出しているサークルに近づく。外見年齢的に売ってもらえない――という考えは彼女の中にはなかった。年齢指定本(彼女の言葉で言えば艶本)を手中に収めること。それしか頭にない。
「いひひ、普段爺様からかっぱらっている艶本しか読めんが……たまには自前の艶本確保と行こうかの♪」
 午前中はコスプレエリアで大人しく被写体兼撮影者をしていたのだから、よもやこんなことを考えているとは誰も見抜いてはおるまいで。トイレだとも言っておいたしの。ひひ、ともう一度初春は笑う。あ、と声を上げた。あそこに居るのは――帽子にマスク、サングラスとかなり怪しい恰好をしているが――蘿蔔だ。
「卸殿!」
「あ、ああああ、初春さん、こ、こんにちは」
「まさかこのような場所で会えるとはの!」
 にこにこ笑う初春とは対照的に蘿蔔は狼狽えた。友人知人からはうまく逃げていたのに、ここで初春と会ってしまうとは。
(でも、素性を知られてるから……)
「初春さん。ここに私がいるのは秘密ね? 私も初春さんのこと、内緒にするから」
「……うむ、もちろんじゃ!」
 手を振って蘿蔔と別れ、初春は意気揚々と年齢指定本を扱うサークルへと真っすぐ足を運び――。
「……トイレはそちらではないぞ、お初」
 背後から聞こえてきた声に、初春はびくぅ! と震えた。恐る恐る後ろを見る。
「い、稲荷姫、様っ!」
 そこに立っていたのは、辰宮 稲荷姫(aa5268hero002)だった。
「何故トイレではない場所に向かっているのか――ワシに理解できるよう説明してもらえんかの?」
 笑顔を浮かべ(目は笑っていない)、稲荷姫は初春の頭を鷲掴みにする。「戻ろうぞ」
「ご、後生じゃ、稲荷姫様!」
「言い訳は向こうで聞こうぞ」
 その表情のまま、稲荷姫は初春に鎖付き首輪を嵌めた。



●コスプレエリア
《ポーズ、こんな感じでいいッスか? ……こちらこそありがとうッス!》
 蛍が征四郎と一緒に居るからと、グラナータ(aa1371hero001)はコスプレエリアで楽しんでいた。ちょっと前までは魔法少女的な衣装、今はイケメンのホスト風。もうちょっとしたらまた衣装を変えようと考えていた。マナーが悪い参加者が居たらどうしようかと思っていたが――。
(居なくてよかったッス。にしても、まさか自分の本が作られてるとは思ってなかったッスね)
 しかも内容がいわゆる”くっころ系”。ちょうど人が買うところを見てしまった。需要があるんスね、と何だか感心してしまった。
(おや、あそこに居るのは)
 ガイルのコスプレをしたアーテルを見つけ、グラナータは彼に近づいた。アーテルはカメラを持つ女性たちの求めに応じて色々とポーズをとっている。かっこいー! との黄色い声。絶えないシャッターの音。グラナータは暫く見ていたが、話すタイミングが中々やってこない。また後にしようと、顔を別の方向に向けたグラナータはまた知り合いを発見した。
《オリヴィエ君!》
『……グラナータ』
《ここに来るってことは、コスプレに興味があるッスか?》
『あ……ああ、まあ……』
 オリヴィエの視線が動く。その先にガルーのコスプレがをした人が居た。
(……実物の方がかっこいい……けど、ああやってしゅっとしてるのも……)
《ん、あの人と写真を撮りたいッスか? 頼んであげるッスよ! すいませーん!》
『グ、グラナータ』
 オリヴィエの制止を聞かず、グラナータはガルーのコスプレをした人に声をかける。相手はいいですよ、と笑顔と共に言ってくれた。オリヴィエとその人を並ばせ、グラナータはオリヴィエのカメラで写真を撮る。ありがとうございました、と礼を言った。強引だけれども、まあいいかとオリヴィエは思った。
『あれリーヴィ、何やってんの?』
『ガ、ガルー』
 何でこんなところで会ってしまうんだ……とオリヴィエは思った。ガルーとオリヴィエが並んで居る姿に、周りに居た女性たちが反応する。
《な、なんかすごいッスね……?》
 ここに居ては巻き込まれそうな気がする――とグラナータはその場からそっと離れた。ガルーとオリヴィエはあっという間に女性たちに囲まれる。こういうポーズとって下さい! と求められるままにポーズを取った。零距離でくっついたり、抱き上げたり。
『……ち、近い』
 オリヴィエはガルーの腹を軽く殴った。ガルーは軽く呻くものの、動じない。
『ん? 反応がいいから別にいいだろ?』
『悪ノリ、するなっ……』
 じたばたと暴れるオリヴィエを(わざと)ガルーは押し倒す。まさにガルオリ、と誰かの呟きが聞こえる。ガルオリとは何だろう? ――いや、それよりも。
『……ますます人が増えてきたな。これ、いつ帰らせてもらえるんだ?』



「あの、蔑んで上から見て頂けませんか!」
「私も!」
「私も是非!」
 カメラを抱える女性数人に言われ、シュビレイは眉根を寄せた。
『何故私がそれに応じる必要が? 嫌ですよ』
「そ、その言い方……まさにシュビレイ様っ……!」
 はふぅ、と吐息を漏らす彼女達にシュビレイは首を傾げる。これは一体何なのだろうか。もっと嫌がって、いやむしろ罵って下さいと懇願する彼女たちにどう対応していいか分からない。そんなシュビレイの脇で沙和が女性たちに上手く言い訳をする。但し、大爆笑しながら。
(なんで笑ってるんですか)
 シュビレイはまた不機嫌になった。



「ううう……艶本……」
 稲荷姫に拘束され、初春は地面に”の”の字を書き続けていた。巫女服を着ているので写真撮影を求める人は多い。その度に、初春は稲荷姫と(強制的に)被写体になった。すっかり元気をなくした初春に稲荷姫は言う。
『帰ったら床下に隠してある煩悩濡れの本はお焚き上げの刑じゃな』
 下らんことをたくらんだ罰じゃと続ける稲荷姫に初春は目を見開いた。
「そんなっ? 稲荷姫様は鬼ですじゃ! 悪魔なのじゃ!」
『失礼な奴じゃの。ワシは土地神じゃ♪』
 ぎりぎり、と稲荷姫は初春を締め上げた。



●終了後のそれぞれ
 黎夜は『リンブレ+カレシ』を開いて、アーテルのページを読んだ。

---
「全く、あなたはおっちょこちょいね」
 深く溜息をついたアーテルが、私の傷の手当をする。頬を滑る指が少しだけくすぐったい。はい、おしまい。その声と共に、指が離れていく。
「早く治るといいわね。あんた、可愛い顔してるんだから、ね?」
 そう言って笑うアーテル。かっこいい貴方にそんな事を言われたら、ときめくに決まってる。
---

「前の、口調だ……。懐かしい、な……」
 黎夜は本を閉じて、アーテルを見、それから今日の事を思う。楽しかったし、アーテルが美人であることを再認識した。そんな彼女を見て、アーテルは思う。
(お前が楽しかったのなら何よりだ)






「さあ、シュビ君はどんな感じで書かれてるのかなー?」
 うきうきしながら、沙和は『リンブレ+カレシ』のシュビレイのページを開く。

---
 気づいたら、私は本部の医療室に居た。体中が痛い。腕や足が自由に動かない。そんな私を見下ろす誰か――シュビレイ。
「何、勝手に死にかけてるんですか」
 シュビレイが私の手を取る。
「私の背中を預けられるのは、貴女ぐらいですから。勝手に死ぬのは許可しません」
 そして優しい声で、私に告げた。
「こんな怪我……心配になってしまうじゃないですか」
 シュビレイの手に力がこもる。……私もこの熱を失いたくは、ない。
---

「シュビ君」
『何ですか』
「これぐらいあたしに優しくなっても罰当たんないと思うよ」
『それよりも約束の甘食大袋はまだですか、沙和』






「何でグラさんが彼氏役で……」
 面白そうだからとグラナータが買ってきた『リンブレ+カレシ』に蛍は顔をしかめた。グラナータが男であることはカミングアウトしていないのに。……勘のいい書き手がいたのかだろうか、はたまた男性ifを妄想されたのか……。
《まあまあ蛍。見てみるッスよ!》

---
 夜明け近く。私は城の裏口に向かった。そこからあの人が危険な旅に出るということを聞いてしまったから。お父様は何て酷いのだろう。……姫である私は恋をしてはいけないというのだろうか。
「グラナータ!」
 今まさに馬に乗ろうとしているあの人を呼び止める。行かないで、言った。そこで初めて、私は自分が泣いているのを知った。
「……泣かないで、プリンセス」
 グラナータが私の足元に膝まづく。彼は私の手をそっと、取った。綺麗な緑の目に私が映り込む。
「俺は貴女の騎士。貴女を生涯護るのが役目。……必ず戻ってくるから」
 私の手の甲にグラナータがキスをする。
「っ……必ず、ですよ」
「はい、俺の命をかけて」
---

《蛍、真っ赤ッス。……こういう自分の方がいいッスか?》
「いいえ! グラさんは今の、今のまま、で!」






 (未だにペンギンドライヴを着込んでいる)マイヤは薄くうすーく笑いながら、『リンブレ+カレシ』の央のページを開いた。
『……さて、お手並み拝見と行きましょう』
「マイヤさん目が怖い」

---
 がちゃり、と音がして玄関のドアが開いた。私はすかさずお帰り、と言う。疲れ果てた顔をした央くんが部屋に入ってきた――と同時にソファーに倒れ込む。私はもう一度おかえり、と央くんに言った。その横に座る。
「随分お疲れだね」
「……どうして無理難題を言ってくるんだ……」
 央くんが深く重い溜息をつく。どうやら窓口で相当理不尽なクレーマーに絡まれてしまったらしい。癒してあげなきゃ、と私はぽんぽん、と膝を叩いた。央くん。おいで? そう口にすれば、央くんは素直に頭を膝の上に載せてくる。可愛い。いいんだよ、このまま寝っちゃっても――。
---

 ばん! とマイヤは本を勢いよく閉じた。
『央を想うなら年中無休で幻想蝶からストーキン』
 ごほごほ、とマイヤは咳払いをした。
『寄り添っている私がベストでしょう? オンリーワンよ? でも、普通の女性が央にアタックするならこういうラインなのかしら……。まあでも作者の審美眼は褒めてあげる、それに――』
 大真面目に品評しているマイヤに央は何も言えず、見守るしかなかった。





『さて、読んでみようかしら』
 まほらまは『リンブレ+カレシ』のG-YAのページを開いた。

---
 愚神との戦いで――私は失敗した。愚神から受けた傷、いや呪い。……私はいずれ、H.O.P.E.の敵になってしまう。それは嫌だ。H.O.P.E.の敵に――G-YAの敵に、なんて。
 名前を呼ばれて、私は顔を上げた。戦いが終わったことを聞いたのだろう、G-YAが不安そうな表情を浮かべて駆け寄ってくる。
「大丈夫?」
 心から心配する声。……ごめんなさい、G-YA。本当のこと、言えない。私は精一杯の笑顔を浮かべた。
「大丈夫大丈夫! ちょっと重体になっただけ!」
 するとG-YAも笑ってくれて……。
---

『……違う』
 まほらまは本を閉じた。
(G-YAはこんな風に笑顔で返さない。自分を思っての嘘なら、G-YAは絶対に見抜いて……泣きそうな顔で睨んで……諦めたように微笑むのよ)
 これは”夢物語”。けれど”違い”と”願望”が心をほんの少しシガイする。
(……誕生日に、G-YAに『守らせて欲しい』って告白されて、お手並み拝見ね、とあたしは答えた……)
 今日買った本の束に、まほらまは視線を送る。勧められるまま何冊か買ったG-YAと自分の本。そこには絶対に自分がしない行動も描かれていて。
(……今度試してみようかな?)






 台所に逃げ込もうとする藍の袖を、サーフィはむんずと掴んだ。そして『リンブレ+カレシ』の藍のページを開く。
『にいさま、逃げてはいけません! さあ、見ましょう!』

---
 疲れた。とにかく疲れた。どうして仕事っていうのはこうも理不尽なの。ぶつぶつ独り言を零しながら、あたしは行きつけのバーの扉を開けた。カウンターの中にはいつもと変わらないマスター、藍が居る。ああ、と声が出た。
「いらっしゃい。どうしましたか? 浮かない顔で」
「ちょっとね」
 何も言わずとも、藍は私が好きなカクテルを作ってくれる。
「……少し、私に話してみませんか?」
「聞いてくれる?」
 今日あったことを私は藍に話す。話しているうちに何だか悲しくなってきた。
「悲しい時には甘いものでもいかがですか? ……内緒ですよ?」
 藍がカウンターにケーキを置く。チョコレートケーキ。美味しそう。
「やっぱり貴女は笑ってる方がいい。貴女が悲しんでいると、私も悲しいですから」
---

『なるほど、この作家さんはにいさまの特技を見事作品に昇華されたのですね、素晴らしいです……あれ、にいさま?』
 いつの間にか藍が居なくなっている。
『ショックだったのでしょうか』
 困ったようにサーフィは首を傾げ――そしてくすりと笑った。
『……サーフィはかっこいいと思ったのですけれども』






 あけびはわくわくしながら『リンブレ+カレシ』を開いた。目当ては二つ。仙寿と、ウォルター・ドルイットだ。

---
(ウォルター)
「聞きましたよ、重体一歩前だったそうですね」
 ウォルターさんが少しきつめに私の腕に包帯を巻く。別にいいじゃないですか、無事だったのだから。……でも今のような戦い方をしていたら、いつかは――。
「ウォルターさん。相談に乗ってくれますか」
「私でよければ」
 自分の戦い方で良くないと思う箇所を私は上げる。ウォルターさんは黙って全て聞いて――そして。
「そんなにも考えているなんて。……頑張っていますね」
 ……恥ずかしい、でも、嬉しい。

(仙寿)
 あ、と思った時にはもう遅かった。かき混ぜていた生クリームが盛大に壁に飛び散った。
「何してるんだ?」
「ご、ごめん……生クリームが、硬くて」
「作り方を失敗したな。見てろ」
 仙寿が生クリームを作り直す。それを私はじっと見ていた。上手いなぁ。それに比べて私は……と勝手に落ち込んでいると、不意に苺が口に押し込まれて。
「せん」
「……他の奴には内緒にしろよ?」
---

 ぷしゅう、と音が出そうなくらいあけびは赤面した。
『……仙寿がこんなに優しいのは、私にだけだから』
 そう呟くあけびに仙寿はああ、と言って彼女の頭を撫でた。
『――よし! 気を取り直して!』
 あけびは鞄の中から大量の本を取り出した。それは仙寿が右だったり、左だったりする本。興味津々で読み始めたあけびに仙寿が突っ込む。
「反応が違いすぎないか?」
『それはそれ、これはこれ。……あ、今度征四郎にリュカの本を教えてあげよっと』
「やめておいた方がいいと思うぞ……!」






「そこの貴女、露出度が高いコスプレは禁止です!」
『コスプレじゃないわ……と言っても、駄目ね。ごめんなさい』
 素直に謝り、アルヴィナは羽衣を少々きつくした。
「……ん。楽しかった」
 ちょっとだけ、六花の頬が緩む。彼女のその表情にアルヴィナは安堵した。厳しい戦いが続いたのだ。僅かでも息がつけたなら何よりだ。
『そうね』
 六花は空を見上げた。綺麗な橙色に染まった空。また戦いが始める。でも負けない。負けるつもりはない。皆、凍らせる。
(六花は”絶対零度の氷雪華”だから)





 大量の”戦利品”を抱え、蘿蔔は帰路についていた。今回もたくさんいい本が買えた! 尊い作品にいっぱい出会えた。心が弾んでいる。今回も楽しかった。
「……でも、思った以上に私達は見られているということも分かりました。……これからもH.O.P.E.の名に恥じぬよう頑張らねばなりませんね」
 真面目に蘿蔔は言った――が、恰好が恰好なのでどうも決まらない。
「卸殿ー!!」
「あ、は、初春さん? 奇遇ですね、帰りまで一緒に……」
「買ったのじゃろ?」
「な、何をですか?」
 ぐい、と迫ってくる初春。蘿蔔は思わず後ずさる。
「何をって……艶本じゃ艶本! わらわは、わらわは一冊も買えなかったのじゃ! 頼む、おぬしが買った本を貸し――」
 初春は唐突に寒気を感じた。――ここにいたら、やられる――。
「こ、この話はまた今度! さらばじゃ卸殿!」
 初春が物凄い勢いで走り去っていく。何だったのだろうと蘿蔔が思う。と、稲荷姫が彼女に近づいてきた。
『卸殿。お初を見なかったかのう?』
「え、いえ、その……」
『ふむ。どうやら先に帰ってしまったようじゃ。では』
 蘿蔔に一礼し、稲荷姫も去っていく。その後ろ姿に黒いオーラが見えた気がして、関係ないのに蘿蔔は震えた。






「たくさん買ったのです! 幸せなのです!」
「征四郎ちゃん、ありがとうなの。とっても楽しかったの!」
「それは良かったです!」
「捺美ちゃんはどんな本を買ったの? お兄さんに教えて」
「はい。あの、知り合いの、とある話をギャグにした本なの」
 今日のことを喋る征四郎と捺美、リュカを、ガルーは少し離れた場所から見守っていた。こんな時間は久しぶりだ。
(そういえば)
 ガルーは隣を歩くオリヴィエに声をかける。
『リーヴィ。……どんな本を買いに来てたの?』
 びく、とオリヴィエの肩が震える。重そうな鞄を抱えなおした。
『ひ……秘密、だ』
『ふーん……?』
 目元を薄く染めるオリヴィエに、ガルーは何となく見当をつける。詳細を問うのは二人きりになった時にしよう。





『パパ! どうだった?』
 撤収作業中の千颯に烏兎姫が話かける。ぐ、と千颯は親指を立てた。
「完売!」
『わあ、パパすごい!』
 烏兎姫に褒められ、千颯は胸を張った。そうだ俺ちゃんは凄い! ともう一度言ったところで、烏兎姫の鞄から出ている本に気づいた。
「烏兎ちゃん……その鞄から出てる本は何かな……?」
『え? パパ総受けアンソロジーだよ?』
「そう……うけ……あんそろじー?」
 聞き慣れない単語に千颯は混乱する。そんな彼に烏兎姫は追い打ちをかけた。
『そう、結構有名で”おれちゃん受け”っていって、パパが受けなの、結構多いんだよ!』
「そ……そうなの?」
 確かにおれちゃん受けの本あったけど……と千颯は更に混乱した。
「えっと烏兎ちゃん、それ読んだの?」
『新刊だから、帰ってからゆっくり読むんだ! あ、”おれちゃんう受け”はママも知ってるよ?』
 千颯は絶叫した。マジか、家族に見られてるのか。
『ほら、帰ろうパパ?』
「お……おう」
 数時間後。千颯は妻から”イチオシ千颯受け”について聞き、撃沈した。





『杏奈、楽しかったねー♪』
「そうね。持ち込み分は完売したし……再販の話もあったから、また作りましょう」
『うん』
 ルナの笑顔につられ、杏奈も笑った。皆の協力があったからいいものが出来た。多くの人にとって貰えた。
 ――それはきっと、戦いでも同じだ。これから先、何があったとしても。どんなに苦しくても。
「皆さんと一緒なら、乗り越えられる」
『あたしもそう思うよ、杏奈!』




結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 薄明を共に歩いて
    木陰 黎夜aa0061
    人間|16才|?|回避
  • 薄明を共に歩いて
    アーテル・V・ノクスaa0061hero001
    英雄|23才|男性|ソフィ
  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • 雨に唄えば
    烏兎姫aa0123hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • 黒白月陽
    咲山 沙和aa0196
    人間|19才|女性|攻撃
  • 黒白月陽
    シュビレイ・ノイナーaa0196hero001
    英雄|23才|男性|ジャ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中



  • つむじ風
    豊浜 捺美aa1098
    人間|16才|女性|回避



  • 暗夜の蛍火
    時鳥 蛍aa1371
    人間|13才|女性|生命
  • 希望を胸に
    グラナータaa1371hero001
    英雄|19才|?|ドレ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • ハートを君に
    GーYAaa2289
    機械|18才|男性|攻撃
  • ハートを貴方に
    まほらまaa2289hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 難局を覆す者
    サーフィ アズリエルaa2518hero002
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 世を超える絆
    世良 杏奈aa3447
    人間|27才|女性|生命
  • 魔法少女L・ローズ
    ルナaa3447hero001
    英雄|7才|女性|ソフィ
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 鎮魂の巫女
    天城 初春aa5268
    獣人|6才|女性|回避
  • 天より降り立つ龍狐
    辰宮 稲荷姫aa5268hero002
    英雄|9才|女性|シャド
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