本部

ハピネスランドからの招待状

高庭ぺん銀

形態
イベント
難易度
易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
25人 / 1~25人
英雄
25人 / 0~25人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2017/05/16 19:07

掲示板

オープニング

●幸せお届け便
 ある日、HOPE宛に届いたのは妙に分厚い封筒だった。差出人はハピネスランド。
「ハピネスランドのフリーパス?」
 たまたま現場に居合わせた赤須 まこと(az0065)はオペレーターから事情を聴くことができた。どうやら、いつも世話になっているHOPEへの贈り物らしい。
「HOPEのお世話にって……普通の遊園地ですよね?」
「普通よ。昔ながらのっていうか、懐かしい感じの遊園地。ただ、なんていうか……幸が薄いのよねぇ」
「あはは、『ハピネス』ランドなのに……」
 まことは苦笑した。
「赤須さん、この日は暇?」
「大丈夫です! ていうかもらっちゃっていいんですか?」
 どうやら諸事情で日付に指定があるらしい。上層部へと確認したところ、フリーパスは都合のつくエージェントに先着で配られることになったようだ。
「あ、紙が落ちましたよ。えーと……メッセージカード?」
 ペンギン型のカットメモには、こう書かれていた。
「いつもお世話になっておりまっす。例のカップルキャンペーンもやってますんで、協力してくださる方は大歓迎です。ちょっとくらいはサービスしちゃうっすよ☆ ではでは皆さんのお越しをお待ちしてまーす」
 メモの主はランドの従業員で、数名のエージェントと知り合いだそうだ。しかし肝心の名前らしきものは字が汚すぎて読めないのだった。
「遊園地? お、ダンスショーか。あいつ、これなら出てきてくれるかな」
 ティアラ・プリンシパル(az0002hero001)のひきこもりを心配する椿康広(az0002)もチケットを受け取る。どうしてもティアラが出てこなければ、一人で入れば良いだろう。アトラクションに乗るのは空しいが、各種のショーには興味がある。
 こうしてHOPEの受付には残り25組分のチケットが残ったのだった。

●ハピネスランドとは
 開園時間は10~22時。花火は閉演30分前~。
 
1、ウェルカムエリア
 ・お土産屋
 ・顔出しパネル:お菓子やTシャツなどが人気。耳付きカチューシャも販売中。
 ・花壇
※開園直後&不定期に公式キャラのハピちゃん・ネスちゃんが出現。ハピちゃんは赤い猫の男の子、ネスちゃんは黄色いウサギの女の子。

2、ショーエリア(屋内)
11時…海鮮隊ギョレンジャーショー
 子供向け番組のヒーローショー。昔ながらのフィクションもので、所謂リンカーヒーローではない。サイン会と撮影会もある。
 メンバーは、マグロレッド、サバブルー、カツオブラック、タラホワイト(女性)。
 今回の敵は三匹のとんかつブラザーズ(二足歩行の豚、顔が怖い)。
 
13時…炎のダンスショー
 前半は地元のダンスチームのショー。サンバやロック中心のBGMと熱いダンスで夏を先取り☆ まれに飛び入り参加するお客様も。
 後半はリンボーダンスやジャグリングのショー。すべてに炎が使われている。おそらくパフォーマーはリンカー。

15時…春風小学校演劇クラブ「白雪姫」
ミュージカルアレンジされた白雪姫。曲は顧問のオリジナル。ラストは客席に出てきて歌うので手拍子などお願いします。
(サビの歌詞)
 幸せ幸せお姫様 呪いが解けて目覚めたよ
 手を取り合って踊ろうよ
 幸せ幸せ王子様 運命の人見つけたよ
 いつまでも仲良く暮らそうね

17時…ハピネスダンサーズ
マスコットのハピちゃん、ネスちゃんとバックダンサーたちのステージ。ハピちゃんはダンス、ネスちゃんは歌が得意。

19時…マジカ牧原のマジックショー
マジシャンは茶目っ気たっぷりのおじさん。客いじりや観客参加型マジックも大好き。カードや装置を使ったものなど、さまざま披露。特技は瞬間移動で、出入りは移動マジックで行われることも。

3、ウォーターエリア
 ・手漕ぎ&足漕ぎボート
 ・ジェットコースター『マーメイド』
  :水の流れるコースを走り、最後はプールへザブーン。水濡れ注意。ビニールポンチョ販売中。
 ※閉演前の花火が一番きれいに見えるスポットです。

4、ファンタジーエリア
 ・メリーゴーランド
 ・大観覧車『フラワー』
 ・コーヒーカップ
 ・写真館(貸衣装付き)、
 ・お化け屋敷『悲劇の亡霊病棟』:同時参加は2名まで。順路あり。患者の幽霊に終始追いかけられる。幽霊は一組ごとに違うスタッフが演じ、バリエーション豊か。

5、エキサイトエリア
 ・ジェットコースター『エンドレス・ループ』:とても怖い。すごく回る。容赦ない。身長110cm以下は乗車不可。
 ・パイレーツ『ビッグ・ウェーブ』:そこそこ怖い。箸休めにどうぞ。
 ・フリーフォール『奈落』:とても怖い。重力やばい。容赦ない。苦手な方はトラウマ必至。
 ・ゴーカート

*中央広場
 ベンチ、噴水、屋台、レストラン(屋内)
※メニューはハピちゃんバーガー、ネスちゃんポテト、たこ焼き、焼きそば、ラーメン、各種デザートなど色々。テラス席あり。


参考シナリオ:「ハピネスランド☆カップルキャンペーン」「【聖夜】リア充よ、ハピネスランドを救え」

解説

【目標】
ハピネスランドでの休日を楽しむ。


【注意】
・参加する英雄はおひとりでお願いします。提出時のパートナーと食い違いがあった場合、プレイングに登場する英雄を描写します。
・買い物や飲食によってアイテムが増えることはありませんのでご了承ください。また、通貨も減りません。
・入退場の時間は自由です。
・食事メニューはOPにないものを書いても構いません。甘いものも、がっつりご飯も、変なメニューもあります。お土産についても同様です。
・「絡み希望」など簡潔すぎるプレイングは採用できない場合があります。特定の方と絡みたい場合は、相手とご相談の上、具体的な内容やセリフをお書きください。


【カップルキャンペーン】
・入場料の割引キャンペーン。現在も行われています。
・『カップルである証明』ができれば、友人同士などでもあり。つまり何でもあり。
 ※リンクブレイブは全年齢対象です。
・皆さんたちにはフリーパスが配布済みですが、参加しても構いません。割引は適用されたフリでお願いします。
・副賞として、フード類全般が割引になる缶バッジが配布されます。「カップル」と書かれたハート柄の缶バッジです。服やカバンなどにつけて遊んで下さい。店員によっては冷やかされるかも?


【NPC】
気ままにエンジョイ中。よろしければ声をかけてあげてください。(何か相談がありましたら質問卓を立ててください)

赤須 まこと:亮次を道連れに、一通り回ってみる予定。いつかこんな場所でデートがしたいなぁ、でもしばらくは無理だろうなぁとたそがれてみたり。絶叫系は得意だが、お化け屋敷は苦手。ハピちゃんネスちゃんに会えたら、写真を撮りたい。

椿康広:気まぐれに出てきたティアラとショー鑑賞メイン。絶叫系は苦手なので、実は安心している。昼はレストランでファーストフードを。ティアラは景色を見るだけでも楽しいようで、興味深そうにきょろきょろしている。

リプレイ

●開園
「ハピネスランドの、フリーパス……?」
 ストゥルトゥス(aa1428hero001)の見せたものを、ニウェウス・アーラ(aa1428)は物珍しそうに凝視する。
「遊園地だってさー。行った事、無いっしょ?」
「うん……無い」
 ストゥルはびしっと空中を指さす。
「よし行こう! 夢の世界がキミを待っている!」
「自分が、行きたいだけ……だったり、しない?」
「半分はソウデスヨ?」
「……仕方、ないなー」



「むふふ! はぴねすらんどであるぞ! 楽しみすぎて眠れなかったのである!!」
 眠い目をこすり早朝から並んだおかげで、泉興京 桜子(aa0936)たちは入園一番乗りとなった。耳付きカチューシャをゲットしたら、顔出しパネルの元へ。
「かような写真の撮り方ははじめてである!」
「ホラ笑顔よー、桜子」
 パシャリ。スタッフから見せられた画面には、桜子の顔のネスちゃんとベルベット・ボア・ジィ(aa0936hero001)の顔のハピちゃんが仲良く並んでいた。
「なんと、わらわ自身がねすちゃんになったのじゃ!」
「カチューシャをつけた写真はこれからたくさん撮りましょうね!
「うむ、くるしゅうない!」
 氷鏡 六花(aa4969)は開園の30分ほど前に到着していた。
「ハピネスランド……どんな場所なんでしょう?」
 アルヴィナ・ヴェラスネーシュカ(aa4969hero001)と手を繋ぎ、ワクワク想像を膨らます。先頭にははしゃぐ小さな女の子と保護者らしき人物が見える。思えば両親と死別して以来、初めての遊園地だ。
「六花? もしかして暑い?」
「ううん、平気……」
 懐かしさと、少しの寂しさに浸っていただけ。だから大丈夫。今日は大切な英雄と楽しく過ごすことにしよう。
「ふむ、遊園地ですか……招かれたのならば全力で楽しまねばなりませんね」
 アトリア(aa0032hero002)は言う。ベージュのカーディガンに黒のスキニーパンツ、足元はワインレッドのショートブーツという装いだ。
「はしゃいで迷子になるなよ」
「な! そんな子供みたいな事にはなりませんから!」
 真壁 久朗(aa0032)の言葉に気分を害したらしいアトリアは、キッと彼をにらみつけた。
「……わぁ!!」
 ランドの外から見える乗り物に隠鬼 千(aa1163hero002)は歓声を上げる。ふらふらと歩いていきそうになるが、行き着く先にはフェンスが立ちはだかっている。
「千、入口そっちじゃないよ」
三ッ也 槻右(aa1163)が苦笑する。
「あれ凄い! 乗れるの? 乗りたい!」
 指さすのはエンドレスループ。
「う……あれ? 乗るの?」
 間違いだと言ってほしい。槻右のこめかみを汗が伝った。
「リサって遊園地とか好きだよな」
 荒木 拓海(aa1049)が微笑む。招待の前日からメリッサ インガルズ(aa1049hero001)はご機嫌な様子だった。
「だって千ちゃんと遊べるの楽しみだったんだもの」
 おまけに過激な絶叫マシーンも大好きなタイプだ。今日は刺激的な休日となりそうだ。
「えへへ~♪ ユリナ様、存分にハピネスランドを楽しみましょう~」
 メイド服姿のウィリディス(aa0873hero002)は、月鏡 由利菜(aa0873)の従者になりきる。
「……す、涼風邸だけでなく、外遊までこの姿なんて……」
 お姫様のようなドレスは遊園地という場所のせいか想像よりは目立たない。何より由利菜によく似合っていた。
「はじめまして、ジーヤです」
「まほらまよぉ、よろしく」
 まこと・亮次とGーYA(aa2289)・まほらま(aa2289hero001)コンビが挨拶を交わす。ジーヤにとって遊園地は憧れのスポットだ。友人の日暮仙寿(aa4519)・不知火あけび(aa4519hero001)と共に来られことは喜びをさらに大きくしていた。
「京子姉さん、これが遊園地ですね。今日のこと、すっごく楽しみにしてましたっ」
「そうなんだ。じゃあ、今日はめいいっぱい楽しむぞー!」
「おー!」
 姉妹のような二人が元気よくこぶしを突き上げる。志賀谷 京子(aa0150)とリディア・シュテーデル(aa0150hero002)だ。初めての遊園地にリディアのテンションはうなぎのぼり。京子は仕事でここに来たことがあったが、広場にレストランが建ったことと、戦闘があった倉庫が取り壊された以外は記憶のままの景色だ。
「ナビゲートは任せなさい!さ、どこへ行く?」
リディアはパンフレットを開くと、直感的にエキサイトエリアを指差した。
「真昼……いっぱい、遊ぼう、な……」
「はいっ、遊びましょう、つきさまっ」
 木陰 黎夜(aa0061)と真昼・O・ノッテ(aa0061hero002)はウェルカムエリアにとどまり、お互いに写真撮影していた。
「少々お待ち頂けますか?」
「……真昼?」
 真昼は若い女性のペアに声をかけるとスマホを渡して戻って来た。
「ありがとうございますの! つきさま、並んで撮りますの!」
「そっか……! うん、撮ろう」
 花壇の前で寄り添って映る黎夜と真昼。シャッターを切る女性の頬も緩みっぱなしだった。
「何か珍しいものがあったのか?」
 アリュー(aa0783hero001)は真剣な表情の斉加 理夢琉(aa0783)に呼びかける。
「アリューに似合うのはどの耳かなって」
「こ、これを俺が?」
「うん、似合うと思う!」
 ピンクの理夢琉ウサギと黒のアリューウサギが外に出ると、マスコットたちが出てきていた。スタッフに写真を撮ってもらい、まずはエキサイトエリアへ行くことにした。
「わ、お花がキレイ……」
「こういう景色を見ると、温かいのも嫌いになれないわよね」
 可愛らしいキャラクターグッズが揃う土産物屋も六花は気になったが「帰るときにね」と窘められ、ショーエリアへと向かう。
「こちらにも花壇が続いているのね、あの白い花は何かしら?」


●愛を見せつけろ!
「遊園地だー!」
「ぅ……? ……アトラクション、色々、あったり……?」
「そうそう! どこから行こうかなー? 楽しみだよね!」
 カスカ(aa0657hero002)はエントランスで御代 つくし(aa0657)と別れ、アトリアと行動する予定だ。
「広いね……」
「全部回るぞ☆」
 ぼんやりとつぶやく無音 冬(aa3984)とは対照的に、イヴィア(aa3984hero001)のテンションは高い。
 彼らのすぐ後ろに並ぶのはシキ(aa0890hero001)だ。堂々と胸を張り、受付係と対峙する。彼の後ろには3人の男が控えている。
「このこが、わたしのおよめさんだ」
 最初に紹介されたのは十影夕(aa0890)。包み込むようにハグをしたつもりなのだが、弟が兄に甘えているように見えてしまうのはご愛敬だ。
「そして、このふたりは、あいじんだ」
「えっ」
 受付の向こう側から濁った声がした。いたいけな少年から出るには、予想外すぎる言葉だった。シキは構わず笹山平介(aa0342)とゼム ロバート(aa0342hero002)を順にハグした。今度は兄どころか護衛にしか見える。
(本当にカップルだったら修羅場すぎるな)
 思いはするものの、夕に抵抗の意思はない。
(うん。ちょっとませた子なんだな)
 受付係は深く考えるのを止めた。
「それでは、なかよくたのしもうじゃないか」
 ハートのバッジを胸につけ、シキが宣言した。
「ふむ、賑わってるようで何よりだな」
 麻生 遊夜(aa0452)が言う。
「……ん、久しぶりだねぇ」
 背中にしがみ付きながら尻尾ふさふさ揺らすのはユフォアリーヤ(aa0452hero001)だ。
 受付は彼らの顔を見るとニマッと笑った。
「……カップルの証明、いる?」
 背中から顔を出し、耳をピコピコと動かすリーヤ。
「お知り合いだからって特別扱いはできないな~?」
 受付の雑な演技にも鷹揚な反応。婚姻届けや左手薬指の指輪を見せたくてたまらないのだ。
「年貢の納め時って奴らしい……すまんが、これで頼む」
「わぁ、おめでとうございます!」
 受付は喜んでいるが、リーヤは物足りなさそうだ。本当ならキャンペーンだって参加する義務はない。可憐な狼さんが狙うのはただ一つ。
「んむ!?」
 ちゅ、と音を立て離れる柔らかな唇。溶かされそうに熱い温度が彼のせいだというならば、遊夜は相当に罪作りな男である。
「……ん、ふふ……ごちそうさま」
 缶バッチを胸元につけて、唇をペロリ。
「不覚……おのれ、報告でなくこれが目的だったか」
 いつかの意趣返し? 否、純粋に彼を愛しているからこその行動だ。
「行こうか、奥様」
 飼い主の皮を放り投げた男は、愛する妻の腰に手を回した。
「あら? パスが1枚しかございませんわね」
 入り口の列。レミ=ウィンズ(aa4314hero002)が可愛らしく首を傾げる。
「というわけで……マツリ様、アンナとよろしくお願いいたしますわ♪」
「……無いものはしょうがないよね。うん」
 大門寺 杏奈(aa4314)は頷く。成り行きでキャンペーンに挑戦することになったらしい。
「これで、良い……?」
 宮津 茉理(aa5020)と腕を組むと、自分より少し高い位置にある肩に頭を預ける。至近距離からの上目遣いに茉莉はどぎまぎしてしまうが、杏奈の頬も赤いのが分かって何だか安心した。
「う、うん……これで、いいと思う……大丈夫、このくらいなら、平気」
 恥ずかしさでいっぱいの心を抑え、いつも通りに振る舞おうとする。いつもは頼りになる先輩なのに、今日は真っ赤になって照れているのがとても可愛い。守ってあげたい気分、なんて思ったら失礼だろうか。
 けれど。
(茉莉ちゃん、顔真っ赤。可愛い……!)
 頑張る後輩のため、優しい先輩は見て見ぬふりをしていて。はたから見ればお揃いの真っ赤な頬。
「ま、見てるこっちは面白いけど」
 水無月 未來(aa5020hero001)が言った。
「マツリ様は純情で可愛らしいですわね。もちろんアンナも、いつだって最高に可愛いですけれど」
「ウィンズさんって大門寺さんのことが大好きなんだな」
 英雄たちはこっそりと微笑み合った。
 狒村 緋十郎(aa3678)はカップルキャンペーンに挑むことを決めていた。
「恥ずかしいし、そもそもチケット貰ってるし嫌よ」
「しかし、食事も半額になるし……」
 女王様が折れたのは何もはした金のためではない。緋十郎のすがるような声音のせいだ。彼を必死にさせるのはいつだってレミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)への愛である。
「何で証明するつもり?」
「やはり接吻……」
「ば、馬鹿じゃないの……?!
 彼女さんかわいいすねーと笑う受付を視線一つで黙らせ、レミアが取り出したのは赤黒い地金の色が印象的な指輪。
「ほら、これで良いでしょう」
 現れた時は『通報』の文字が頭をよぎったが、揃いの結婚指輪を見せる二人はお似合いの夫婦だ。受付は心の中で土下座した。
「しかたないわね」
 ピンクのハートがあしらわれたバッジを照れながらも着けてくれるレミア。それだけで胸がいっぱいになる。
 もう一つだけわがままが言っても良いだろうか。緋十郎は妻へと大きな手を差し出す。
「こ、この猿はまだ私を辱めるつもりなの!」
「すまない……しかしレミアとこうして歩けたらならば、俺にとって無上の幸福なのだ」
「捨てられた子犬みたいな目しちゃって……あなたにはプライドというものがないのかしら! 家畜以下ね!」
「おお、レミア!」
 SとMの世界なのは口だけ。絡められた指は確かに愛情を伝え合っていた。
「ここは挑戦しないと」
 リサは何かのスイッチが入ってしまったらしい。
「証明? しなくても無料だから……」
「拓海は欲しくないの? ピンク色で可愛いバッジだし、ご飯が割引になるのよ?」
「判った、挑戦しよう」
 根負けし、リサの肩抱こうとした手がスカっと空を切る。
「え?」
 リサは千の指を絡めとったかと思うと、密着して受付前に並ぶ。ついでに唇を軽く尖らせて、きょとんとする千の頬に寄せてみる。ほんの弾みでかすめてしまいそうな距離だ。「認めて貰えますか?」と微笑めば千も復唱してくれた。
「……えっと、認めて、くれますか?」
「可愛いので合格!」
 難なくクリアした女子チームの後ろからにゅっと現れる男子チーム。
「た……拓海……?! ちょ……」
 なぜか槻右はガシッと背中側からホールドされている。題をつけるなら『犯人確保』。色気のかけらもない体勢だ。
「惜しいけどなんか違う!?」
「認めてください! カップルです! 誰がなんと言おうがカップルです!」
「……です」
 顔を真っ赤にするほどの熱弁でゴリ押す拓海。思わず俯く槻右だが、消え入りそうな声で同意を示そうとしている。こみあげてくる笑いに千は必死で耐えた。
「彼の健気さに免じて合格」
 受付係は小声で言った。実際のところ、友人同士でのキャンペーン参加はハードルが下がったことだろう。
「……すまん槻右、巻込んだ」
「……イベントだしっ、ね?」
 槻右自身もまだ恥ずかしかったが、本気で反省する拓海を見ると怒る気にはなれなかった。

●景気づけには
 お揃いの黄色いうさ耳をつけ、はしゃぐ女子たち。
「はい、仙寿様も!」
「俺まで猫耳かよ!」
 似合う、と豪語されるが、からかわれているとしか思えない。ジーヤもまほろまの手によってカチューシャの餌食に。
「って俺も!?」
「みんなで一緒が楽しいわぁ」
 赤い猫耳をつけた自分は違和感の塊だがなぜか好評だ。
「俺にこんなことさせたんだ。多少の要望は聞くよな……?」
 怒鳴るのは簡単だが、仙寿は敢えて爽やかな笑顔を張り付けて見せた。否、よく見るとどす黒いオーラが漂っている。怯んだまことは90度のお辞儀で謝るがあけびの姿がない。それもそのはず。
「亮次さん、似合ってますよー!」
 仙寿はため息を漏らす。あけびに「帰ったら正座」の刑を言い渡した。
「……付き合わせて悪いな、亮次」
「俺は構わんが、会長とかにはやらせるなよ」
「ああ、気を付ける」
 猫耳男子たちは渋い顔で頷き合った。
「遊園地と言ったらジェットコースターだ! 早速行こうぜ!」
「ジェットコースターがない、遊園地もある、と思うけど……」
 茉莉は反論する。引かれる手に抵抗しないのは、涼しそうなアトラクションだから。――なんて言い訳しているが、本当は結構楽しいのだ。
「細かいことは言うな! ほら! 大門寺さんも早く!」
 未來が杏奈の手も取りマーメイドまで走る。
「ふふ、未來さんって私と見た目が似てるけど全然違う。不思議」
「あ、言われてみれば……そう、かも?」
 今度は能力者のふたりが顔を見合わせる番だった。
 高くて良く通る声でレミが絶叫する。ジェットコースターには興味津々だったのだが、ここまで楽しいとは知らなかった。斜め前で茉莉と隣り合って座る杏奈も楽し気に微笑んでいる。
(ずいぶんと素直に感情を出せるようになりましたわね。喜ばしいことですわ)
 あの笑顔を守るため、もっと精進しなくては。レミはそっと心に誓った。
 アトリアとカスカがやってきたのはエンドレスループだ。
「な、なるほど……ヒトは存外スリルを求めたがる生き物なのですね」
 動揺を押し隠してアトリアは言う。カスカの手前、あからさまに怖がることはできない。しかし天翔けるクルマのスピードと地上からの距離を思うと、アトリアの鼓動は早くなる。
 かたん、かたん。じらすように上昇するコースター。高さが頂点に達したとき、胸の鼓動はうるさいくらい高鳴っていた。
「っ……! び、びっくりしたり、して……!」
 カスカは吹き荒れる強風の中、思わずアトリアと顔を見合わせる。まるで自分たち自身が風になっているようだ。落下の速さにカスカの耳や尻尾の毛がぶわっと逆立つ。
(これ、楽しかったり、なんだり、するかも……!)
 初めての感覚を思い切り楽しみたくて、アトリアもカスカも正面に向き直った。
(こんなに面白いものだったとは。恐れを為していたのが馬鹿馬鹿しく思えますね)
 アトリアは顔を輝かせた。
「は! カスカはどうでしたか?」
「ん……! 風、すごかったりした、ね!」
 これなら何度か乗ってみるのも悪くなさそうだ。
「何からしたい? 絶叫系行っちゃう?」
「行きましょう!」
「槻右、任務中と思えば平気だろ」
 少し怖いのは確かだが、楽しみな気持ちも拓海にはあった。槻右もそうだろうと思っていたのだが。
「凄いっ!! 楽しーっ!」
「あははっ! 速すぎよコレ!」
 涙目でバーを掴む槻右には、千やリサの笑い声は届いていない。拓海はだんだん心配になって来た。「ビルからの飛降りとかは平気な癖に」なんてツッコミは無粋だ。操縦権が自分にないからだろうか。とにかく怖いものは怖い。

「ま、待って、ストゥル……何かコレ、嫌な、予感が……っ」
「ふぇっへっへっへ。遠慮するなよ回ってけーっ!!」
 ストゥルは回転とスピードのとりことなっていた。隣で付き合うニウェウスは息も絶え絶え。
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ひゃっほーう!」
 種類の違う悲鳴が愉快なハーモニーを奏でる。
(叫べる元気があるならまだ大丈夫だよネ)
 負けるなニウェウス。楽しい地獄はまだ始まったばかりだ。
 「ビッグ・ウェーブ」の列は先ほどより短かった。初心者向けという触れ込みらしく、絶叫好きには物足りないのだろう。ニウェウスは心ひそかに安心する。しかし。
 ぶらーり、ぶらーり。不安定な足場と揺れる景色。くらくらする。
「……これ、箸休めって、嘘……だよね?」
「さっきよりはマシでしょ?」
 振りが大きくなり、一回転。
「マシって、いうだけで……怖ぁぁぁぁっ!?」
 『奈落』というシンプルなネーミングが不安感を煽る。肉体的にも精神的にも振り回されまくったニウェウスならば猶更だ。
「そして、三連続絶叫の〆がコイツです」
 じりじりと上がる座席。下を見たくなる衝動を必死に抑える。余計に恐怖が増すに違いないのだから。
「下を見ないでいても無駄でっす☆ はいドーン!」
「ひぇぁああああああああ!?」
 気持ちが良いくらいの絶叫。ストゥルがからからと笑うのが小憎らしい。涙目になりながらニウェウスは相棒の顔をにらんだ。
「奈落も絶対乗るっ! リサ姉行こうっ!」
「もちろんよ!」
 真っ青な顔で首を振る槻右。言葉で訴える気力すらないのだ。しかしリサと千の共同戦線に対抗する口撃力を拓海は持っていない。結局槻右はふたたび声なき悲鳴を上げる羽目になった。一粒零れた涙が風圧に攫われていくのが場違いに美しかった。
 シキとゆかいな恋人たちご一行は二手に分かれていた。お化け屋敷が苦手という平介と夕は、久朗と共にヒーローショーへ。
「海鮮隊……めっちゃおいしそうだけど、強いのかな」
 夕は首を傾げる。魚を模したヘルメットはカッコいいとダサいと中間を行く、絶妙なデザインである。
「今度見てみようかな」
「ぜひ♪ 私の贔屓はマグロレッドですが、他の戦士も素敵ですよ♪」
 花壇や新緑をながめつつ、散歩を楽しんでいたのは桜小路 國光(aa4046)とメテオバイザー(aa4046hero001)だ。
「サクラコ、あそこは人がいっぱいですね! 入ってみたいです!」
 ヒーロショーの最前列には桜子とベルベット、そして六花がいる。
「今日はギョレンジャーに会いに来てくれてありがとう! 早速みんなで呼んでみようね!」
 会場を揺るがすユニゾンに答えて現れたのは、ギョレンジャーではなかった。
「残念! とんかつブラザーズが来たブーよ!」
「可愛い子供がいるブー」
「からっと揚げたら美味そうブー。ま、とんかつが一番だけど!」
 悲鳴をぐっとこらえて六花は恐怖に耐える。アルヴィナは六花の肩を引き寄せてアクターにウインクする。この子は勘弁してあげてね、の合図だ。豚怪人は近くの少年を浚ってステージに上がった。
 二足歩行の豚がトンカツを勧める姿に、たこが「おいしいよ」とたこ焼きを勧めるチープな看板を思い出してしまい、國光は苦笑する。
(……共食いかな?)
「どうしたんですか?」
 メテオは手に汗握りストーリー展開を見守っていたので、彼は何でもないと返した。
「皆、もう一度ギョレンジャーを呼ぼう!」
 ギョレンジャー! その声にこたえたのは海の力を宿した戦士たち。順番に名乗りを終え、豚たちに立ち向かった。
「せーの!」
――ギョレンジャー!
 大合唱の中には、大興奮中の桜子の声も混ざっている。六花は心の中で彼らの勝利を祈っている。
「ぎょれんじゃー! まけるでないぞー! うおーそこであるー!」
 ベルベットは桜子に優しい視線を向ける。
「お父さんお母さんも一緒にー?」
 司会者が『お母さん』と言った時、明らかにベルベットと目があったのは気にしないことにした。
 前回は子供達ためのの下見だったが、今回は正真正銘のデートである。
「どこに行きたい、リーヤ?」
 口より先に答えたのは、くたりと垂れた尻尾。
「……お腹すいた」
 デジャヴを感じつつ、食堂へ。そして突きつけられる缶バッジ。
「……ん!」
「あー……ここからここまでお願いします
 頭撫でつつ、セリフを先読みする。リーヤは嬉しい驚きに目を瞬き、やがて細めた。
「おにく、おっにく♪」
 尻尾がブンブン揺れる。5月の爽やかな陽気を楽しむため、テラス席へ向かった。

●メルヘンチックはいずこ
 アリューは理夢琉の意外なコースター耐性を知った。
「きゃ~♪」
 叫びつつも表情は明らかに楽しそうだ。彼は顔こそ平静だが心は「うっぎゃ~」と切羽詰まった悲鳴を上げている。このままではちょっと悔しい。
「きゃあぁあぁー!」
 理夢琉のゴーカートにガツンガツンとアリューがぶつかる。もちろん手加減している。
「そろそろ理夢琉と遊ぶのはやめにするか」
 アリューは一気に加速すると減速もせずカーブを曲がる。マシンは彼の思うがままに動いている。
「アリュー待って~!」
「断る」
 そこそこ混んだコースを縫うように進んでいき、達成感すら感じるような美しいゴール。
「うわぁ大丈夫か理夢琉!」
「ふみぃ……」
 理夢琉は他のカートともぶつかりまくってしまい、すっかりボロボロだった。
「つきさま、つきさま、まひる、お化け屋敷にいきたいですの!」
 黎夜の体がぴたっと固まる。
「お化け屋敷は……ちょっと……」
「いけませんの……?」
 きらきらとした目で真昼が言う。黎夜は思わず首を縦に振ってしまった。
「……手、つないでて、な……」
「はいっ!」
 古い病院は歩くだけでキィと切なげな音を立てる。断続的に聞こえる風の音、鳥の声。作り物と分かっていても不気味だ。
「仲良しね」
 若い女が音もなく表れた。本調子の黎夜であれば気づけたかもしれないが、恐怖心とBGMが感覚を鈍らせたのだ。
「ごきげんよう」
 沈んだ表情の女に真昼は笑顔で挨拶する。女は一瞬面食らったがすぐに役へと戻る。真昼の手をぎゅっと握ったまま下を向く黎夜を見て、脅かしは最小限にしようと決めた。
「私もお友達が欲しかったな」
 死んだことを暗喩してみると、やはり黎夜はぴくりと反応する。
「では真昼とつきさまがおともだちです。手をつなぎますか?」
 幽霊という役柄ゆえにありがたい申し出は断ったが、胸が温かくなった。
「真昼、すげぇな……こんな暗いのに、怖がらないし」
 足早だった黎夜は、遠い水滴の音に何を想像したのかまた足を速める。真昼はさりげなく歩調を合わせる。
「だってつきさまとお散歩ができてたのしいですもの」
 手を繋げることが嬉しくて、自然と笑顔がこぼれるのだ。
「……きよえのことが、怖くないのですか?」
 白江(aa1730hero002)はシセベル(aa0340hero002)の目を見つめた。
「あぁ、真っ白なところが中々華麗で素敵だと思うよ」
 不思議な人だ。しかし彼女の反応は、驚きと共に温かい感情も運んでくれた。
「中は多分暗いよ。転ばないよう気を付けてね」
 和装の白江が危なっかしく見えたのだろう。シセベルは手を引いてゆっくりと歩く。幼い白江の保護者だと思ったのか、スタッフは佐倉 樹(aa0340)を含めた3人を通してくれた。
「殺ス……」
 背後から女の声がした。
「きゃー」
 シセベルの悲鳴はどう聞いても嬉々としている。樹は呆れ顔で相棒を見やった。
「さっきの人、いなくなりましたね……」
「まぁ、エリア分担があるんだろうなぁ。もっとしつこく追ってきてもいいのにね?」
 白江がもう一度、怖くないのかと問えば「楽しい」という言葉が返ってきた。らんらんと輝く目が嘘ではないと語っている。
「……アナタの体……チョウダイ」
「ざんねんながら本物です。あげられる体はありません」
 霊は言葉を失い、後ずさっていく。シセベルが笑う。
「白江ちゃんっておもしろいなぁ!」
 何度か遭遇している内、霊の足はごく遅いらしいことに樹は気づいた。客に追いつかないよう調整しているのだ。
「逃げなくていいの?」
 樹は一応問うておく。同行者たちは、追われても一向に足を速めない。
「近くまで来たら、それはそれで面白いし」
 シセベルは答えた。おかしな客だと思われるだろうが、気にするだけ無駄だ。スタッフたちが何故か白江から逃げていく現象についても。ノーコメント。
「妙な噂が流れなければ良いけれど……」
 もはやどっちが追いかけているのだか。白江は少し申し訳なくなった。
「じゃあ、周回してくるね!」
 シセベルのセリフは予想通りではあった。樹は帰りの時間と集合場所だけ伝え、放置を決め込んだ。
 お化け屋敷には向かったシキ、ゼム、つくし、冬、イヴィア。シキとゼムが一番乗りする。
「来たか」
 廊下を歩いていたゼムがさっと身をひるがえす。突然後ろから白い手が伸びてきたのだ。
「……クルシイ……アナタもこちらの世界へ……」
 マントが広がったと思うと彼の姿が消える。気づけば霊は後ろを取られていた。素人からすればオカルトじみた動きだ。
「少しの間、場所を貸せ。言うことさえ聞けば痛い目には合わん」
 どすの利いた声が耳元で囁く。スタッフは迷わず無血開城を選択した。
「……二人隠れるにはちょうど良いか?」
 ゼムは机の下に潜り込む。
「かくれては、おばけがみえないよ」
 不満気に言うシキ。ゼムは敢えて目的を正直に語った。
「誰が一番怖がりなのか知りたくはないか?」
 シキは乗り気になった。悪趣味かもしれないが、弱点を知っておけば今後役に立つだろう。
「良いか、ちっこいの……声を出すんじゃねぇぞ」
 彼はシキの体ごとをマントで覆う。
「きゃっ!」
 つくしの悲鳴が聞こえた。冬と共にゼムとシキが潜む部屋へと逃げ込んできた。
「……びっくりした」
 冬はぴくりと反応こそしたものの、一瞬にして元の冷めた状態に戻ったようだ。
「うん! びっくりしたねー……!」
 つくしもむしろ楽しそうにきゃーきゃー言っている節がある。ホラーは苦手ではないようだ。
「冬くん? あっちになにかあるの?」
 何もない空間を見つめる冬。一見ホラーな状況だが、彼が発見したのはシキの服の裾だった。
(あんなところでなにしてるんだろ……?)
「ひゃっ、何か聞こえた! また怖い人たちが来るのかな? 冬くん、早く逃げよう!」
 冬はもういちど机に目をやったが、何も言うことなく出ていった。
「たかみのけんぶつも、わるくないね」
 シキがマントから顔を出す。
「……さむがりの、こっちの方向を見ていなかったか?」
「そんなかんたんにばれるものかね」
 撤収するべきか悩んでいると、騒がしい声が聞こえてきた。イヴィアだ。
「おーい幽霊さーん、出てこないのかー? ひとりは寂しいぜー☆」
 彼は半開きのままだったドアから、ゼムたちのいる部屋へ侵入した。
「オ……」
 どこからか、人の者とは思えない声がする。
「怖い! 怖いぞぉ!」
(んなニヤケ面で言われてもな)
 わざとらしい演技にゼムは嘆息した。残念なことにニヤニヤしているのは、ゼムとシキの存在に気が付いたからだ。
(俺を脅かすために隠れてるのかと思ったけど、そうでもない?)
 二人が構ってくれないと悟ったイヴィアは、早々に脱出することにした。
「次はどこ行く? ジェットコースターとかどうかな?」
 お化け屋敷の外。ゼムたちを待ちながら、つくしが提案する。
「僕は下で待ってようかな、乗り物酔いしちゃうから……」
「俺も乗り物酔いしやすいからな☆」
 冬とイヴィアが答えると、つくしはあっさり行くのを諦めた。
「気を使わなくても、のんびり待ってるぜ?」
「一人で行ってもつまらないかなーって! それならみんなで楽しめるのがいいよね!」
 冬は黙り込んで思案する。
(本当は乗ってみたいけど……つくしちゃん乗りたかったのかな……今更乗ろうなんて言えないし……)
 そこへやって来たのはシキとゼム。たった今お化け屋敷から出たらしい。
「すまないね、待たせたようだ」
「見つかってよかったー! どこにいたの?」
「中で道に迷ったらしくてな」
 ゼムの言葉をつくしだけが素直に飲み込んでくれた。
「今回も凝ってるな、これは中々……うおっ
 リーヤが無言で首筋に噛み付いたのだ。かまえ、ということか。遊夜は降参する。
「……悪かった、離してくれ」
「……ん、罰ゲーム」
 お姫様抱っこで進軍するふたりに幽霊たちは面食らい、最後まで続けた遊夜の体力に付き添いの幽霊は称賛を贈ったのだった。
「メガソフトとミニソフトです」
 食べながら、黎夜と真昼は次の予定について話し合う。
「コーヒーカップとか、いいかもな……」
「まぁ、大きなカップに乗るなんて楽しそう! そうそう、帰りにはお土産を買いましょうね」
 少しかすれた声で槻右が言う。
「まぁ、コーヒーカップくらいなら」
 もう怖いのは終わりだと、彼は信じていた。
「ちょ?! やめっっ!」
 千はきゃーきゃーと笑い交じりの悲鳴を上げ、ハンドルを回しまくる。乗る者によってはコーヒーカップもなかなか危険であるらしい。
 一部の客の懸念を他所にステージ上では熱い戦いが繰り広げられた。今はサイン会の真っ最中だ。
「笹山平介さんへ。マグロレッド。よし、書けたぜ」
「ありがとうございます!」
「こちらこそいつも応援ありがとな!」
 感激した様子で話し込む平介を待ちながら、久朗と夕はとりとめもない会話をする。
「お寿司食べたいな……」
 サバブルーの肩がびくっと動きこちらを見たが、何事もなかったように逸らされた。シュールだ。
「そんなことを考えているのは、会場にお前ひとりかもな」
「そうかな……?」
 少し間の抜けた会話が心地よい。ぽつりぽつりと話すうちに平介が戻って来た。
 ペンギンのワイルドブラッドである六花にとって、ギョレンジャーは親近感を覚える存在だ。憧れのまなざしで戦士たちを見つめていた彼女は、タラホワイトの列に並んだ。
「この娘……六花も、ペンギン☆スノウホワイトとして、日夜、平和の為に頑張ってるんですよ」
 アルヴィナは六花がリンカーであることを告げた。
「とっても勇気のある女の子なのね。あなたのこと尊敬するわ」
 タラホワイトが右手を差し出す。六花がおずおずと手を重ねると、温かい手がぎゅっと握り返してくれた。
「あの、これからも応援してます……!」
「ええ、白を司る戦士としてお互い頑張りましょうね」
 嬉しさでいっぱいになりながら六花はステージを後にした。
 きらきらと輝く水面。緋十郎の漕ぐボートの上でレミアが言う。
「メリーゴーランドやコーヒーカップを選ぶなんて、子供っぽいところがあるのね」
「む……予想外の楽しさだったが、それよりもアトラクションに乗るレミアの愛らしさに……」
 緋十郎の顔に、レミアが飛ばした池の水がかかった。
「口を慎みなさい。それより次は食事よ」
「うむ! ハンバーガーとポテトなどが定番らしい!」
 噴水を囲むベンチの一つで理夢琉たちは一休み。
「晴れて良かったねー」
「あぁ、気持ちいいな」
 不愛想な英雄が浮かべるのは自然な笑み。理夢琉は嬉しくなる。
(笑う事を知らなかったアリューにはもっといろんな事を知ってもらいたい)
 彼女は立ち上がって屋台を指さす。
「お腹すいたね、美味しいもの食べよう!」
 お化け屋敷。それが自分の天敵であることをアトリは自覚していた。暗いのは元々慣れっこだから良い。けれどあの『お化け』というものは何だ。ジェットコースターを味方につけた今、あの従魔でも何でもない存在が一番の脅威だ。
「カ、カスカ……足元は大丈夫ですか」
 内心がどうであっても、アトリアには退くという選択肢がない。ついでに甘えるという選択肢も。カスカをかばうように先頭に立ち、やりすぎなくらい慎重に進んでいく。
「……だいじょうぶ。一人じゃない、から」
 カスカの声が廊下に反響する。柔らかな手がアトリアの右手を包んだ。
「隣……歩いても良かったり、したり、する……?」
 涙が出るほどうれしい言葉。縋りつきたくなるのをこらえ、アトリアは首肯した。
「だ、大丈夫です。この程度、恐怖を感じるに値しません」
 進むうち、アトリアの左手はカスカの腕をぎゅむっと握るようになっていた。アトリアの右手はカスカとつながれたまま。はたから見ればアトリアがカスカに縋りつく形だ。幽霊役たちは微笑ましい二人の姿に癒されつつ、あまり脅かし過ぎないことを心がけるのだった。
 次のグループもお化け屋敷。一組目はあけびとまことだ。
「あけびちゃんもお化け屋敷苦手なんて意外」
「お化けっぽい従魔なら怖くないんだけどね。正体がわからないから、っていうのが大きいかなぁ」
「あんたたち、私の指輪を知らないかい?」
 振り向くと真っ青な顔の老婆がいた。重なる悲鳴。老婆はよくみると若いスタッフが熱演しているのだが、二人にそれを知る余裕はなかった。
「未練を解決すればお婆さんは成仏できるんだね。頑張ろう、まこと!」
 少し落ち着いた二人はようやく本筋に入れた。今回の幽霊はナビゲーターに徹する味方役。つまりはEASYモードだった。終了間際、立体映像のお爺さんと寄り添う老婆の姿に、少女たちの目には恐怖とは違う涙が浮かんだのだった
「まほらま、亮次さん、おかえりなさい!」
 2組目が帰還した。冷静だった二人に課せられたのはHARDモード。
「後ろにいたはずの霊がロッカーから出てきたり、ぶつぶつ言いながらついてきたりぃ?」
 あけびたちは「絶対嫌だ」と首を振る。
「まほらまが暗号一瞬で解いたときは、スタッフ焦ってたな」
「それは気づかないフリをしてあげましょ」
 混乱の本人はあっけらかんと笑った。
「日暮さんはこういうの耐性ありそうだね」
「怖くはないが……暗闇から突然出られると刀を抜きそうになる」
「別の意味で怖いよ」
 3組目。彼らの後を追うのは泣きじゃくる幼女。ヒント一つ与えてくれず、すすり泣きと共に彼らを追い回す。彼女に追い立てられて向かった先には必ずトラップがあるというおまけつき。超HARDモードといえた。
「ジーヤと一緒でなくてよかったわぁ」
 まほらまがいう。あけびはジーヤの落ち着いた物腰を思い浮かべ、首を傾げる。
「本人は気づいていないみたいだけれど霊を引き寄せちゃうのよぉ」
 軽々と探索をこなしたはずの亮次の背に冷たい汗が流れた。
「霊感のない人でも近くにいればソレが見えるわぁ」
 まこととあけびが身を寄せ合って震えていると、噂の的が返ってきた。
「あぁ楽しかった! 小さい子の霊に追いかけられたんだけど、独特の怖さがあってさ…」
「お化け屋敷に子供のスタッフなんているかしらぁ?」
「……え?」
「た、多分立体映像だったんだよ! ね、仙寿様?」
 ルートが何通りもあるだけに、立体映像や精巧な人形を使うパターンだったのかもしれない。しかしスタッフに尋ねてみようというものは一人もおらず、再挑戦を促すまほろまの声はあえなくスルーされた。

●ランチタイム
「最高だったな!やっぱりジェットコースターはいいもんだ!」
 未來が笑う。
「……濡れたけど、涼しいから、いい」
「そうそう! 濡れたっていいんだよ! 楽しければ!」
「けっこう濡れちゃったけど、面白かったな」
 4人が向かったのは、屋台が並ぶ中央広場だ。
「遊園地と言えば……スイーツ! 広場の案内は任せてよ♪」
 杏奈が言う。
「アイスもスイーツだからね。最近まではあんまり食べてなかったけど、やっぱり美味しいよ」
「スイーツに、アイス……!」
「甘い物以外にも目を向けろよな!?」
「それは、無理な話……!」
 どこか無機質な美しさを持つ少女で、態度も味覚もクールな茉莉。彼女を唯一燃えあがらせるもの。それがアイスだ。
「今日は絶好のアイス日和ですわよ。ミライ様も食べたくありませんこと?」
「まぁな。けどあたしはご飯系も食べるぞ!」
 レミは未来に付き合いサンドイッチを購入した。
「アイスならあの店が人気みたい」
「これが気になります……!」
 大きめのコーンの上に高く盛られたジェラートは二種類。濃厚なイチゴ味はハピちゃんの赤、爽やかなレモン味がネスちゃんの黄色を現している。本物のイチゴとはちみつ漬けのレモンは宝石のように輝く。
「……そうだ、茉理ちゃん。あーん」
 優しいミルクの味と香りが口に広がる。
「ね、美味しいでしょ? さっき新しい店で買ってきたアイスなんだけど……茉理ちゃんが好きそうな味だなって」
「すっごくおいしい……けど……」
 真っ赤になった茉莉を未來が肘でつつく。
「でも、やっぱり嬉しい……かな」
「大胆な時の杏奈は最強なのですわ!」
「だ、だって……美味しかったから、つい……」
 杏奈はひんやりとした手で熱い頬を抑えた。
「荒木サン?」
 昼食中に話しかけてきたのは康広だった。槻右とあいさつを交わす彼を同じテーブルに誘った。
「椿もカップルキャンペーン?」
「違います。…って、まさか!」
 康広の視線は拓海とリサを交互に見る。
「残念、大外れよ!」
 リサは隣にいた千と手を繋ぐ。千はよくわからないながらも、嬉しそうにしている。リサはティアラに冷やかされれば「もぅ、意地悪ね」とはにかみ、そのくせ体はますます千と密着する。千を大好きなのは事実とはいえ、名演技だ。康広など驚愕に震えながら拓海の槻右を見る。予想以上に信じ込んでくれたらしい。
「拓海~っ」
 すがるような眼で拓海を見る槻右。おそらく逆効果だ。
「お二人の関係って……」
「お……おぅっ! 最高の相棒さ」
 槻右の肩を抱き、キラリとスマイル。数秒の間の後「ごめんなさい!」とリサがネタばらしする。
「も~、一瞬信じちゃったじゃないっすか!」
 突っ伏して恥じ入る康広。リサは悪戯が成功した子供のような顔で千を見ると、無邪気に笑い合った。
「わあ、豪華だけどお会計も高くなりそう……」
 ステーキに野菜スープとライス。デザートにはグレープフルーツとケーキという豪華版だ。
「久々の外食だから、思い切って全てオーガニック系で注文したわ。心配しないで」
 由利菜は紅茶、リディスは果汁100%アップルジュースを飲みながら、オペラというケーキの歴史についてミニ講義を初めた。
「男だらけで何してんの?」
 レストランでホットドックを齧っていた樹は、久朗たちと遭遇した。
「みてのとおり、めかけたちとあそんでいるのだよ」
「誤解を招くこと言わなくていいから」
 シキと夕の発言はいまいち答えになっていないが、つまるところ招待状を持つ者の集まりなのだろう。
「ちょうどよかった。くろーたちは何時くらいに帰るの?」
 彼の家で留守番をしているであろう第一英雄を迎えに行くため、確認しておきたかったのだ。
「樹さんもいかがですか?」
 平介がチュロスを進めてくるのでありがたく受け取る。いつの間にかメンバーに加えられたらしい。カスカとアトリアも合流し、『男だらけ』でもなくなった。
「今日は私が奢りたい気分ですので♪」
「だとよ……」
 女子はチュロス、男子はサンドイッチだ。
「いいこころがけだね、ヘースケ。わたしをだいじにすると、とくがつめるよ」
 シキがふふんと鼻を鳴らす。
「笹山、ここは割り勘にしないか? 最年長者ゆえの意地だと思って、俺にも払わせてくれ☆」
 イヴィアの気持ちを汲んで、お昼はふたりからのおごりということになった。
「カスカ、アイス好きか?」
「あ、えと……好きだったり、したり……します」
「じゃ、女子にはアイスクリームもつけようぜ☆」
 冬は周りに溢れる笑顔に見とれてしまい、すっかり手が止まっている。
「冬くん、どうしたの? 一緒に食べよう!」
「……一緒に食べた方が……つくしちゃん、もっと笑顔になる?」
「もちろんだよ!」
 平介は先ほどのサインを見せ、満足気に報告する。
「良かったな」
 イヴィアが言う。冬も興味深そうに見ている。
「実は皆さんのも貰ってきました♪」
 平介は隠していた色紙を配る。久朗は納得した。待ち時間が思ったより長かったのはそのせいだったらしい。
「サイン、ありがとう。セラフィナの土産にしようか」
 かしゃり。シャッター音に皆が振り向く。
 犯人は樹。集まったメンバーをインスタントカメラで撮影することにしたらしい。食事を終えたら、散歩がてら気まぐれな撮影の旅を続ける予定だ。第一誓約英雄への良い土産話となることだろう。
「お土産も買わなきゃ。食べ物……何がいいかな」
 シキもお土産屋には寄りたいらしい。話題はこれからの予定へと変遷していった。
「笹山さんたちは、ジェットコースターとか、キライ?」
 数えるほどしか来たことのない遊園地で、夕が一番楽しみなのは絶叫マシンだった。久朗の目がわずかに泳ぐのを平介は見た。
「私は嫌いじゃないですよ♪ 皆さんはどうです?」
「俺はここで待っているから、行ってきても構わないぞ」
 久朗が言う。
「つくしちゃん、行って来たら……?」
 冬の言葉につくしは頷いた。
「うん、みんなで行けるなら、行ってこようかな?」
「ワタシたちもお供しますよ。ね、カスカ」
 アトリアの言葉にカスカは耳をぴんと立てた
「もう一回、乗りたかったり、したり、するかも……」
 ジェットコースター組を待つ間、もう少しだけランチタイムは続くようだ。
「よろしければこの後の予定を話し合っておいてください♪ 私の希望は午前に叶ったので、お付き合いしますよ♪」
 平介の言葉に夕が賛成する。残留組は改めてこの後の予定を話し合い始めた。
「桜子! そんなにあっちいったりこっちいったりそろそろ休憩しましょうよ」
相棒の疲れを察し、桜子は立ち止まる。自作の弁当はおいなりさんがいっぱい。卵焼きやケチャップでハートが書かれたハンバーグ……見るだけでおなかが鳴りそうなおかずもいっぱいだった。
 京子たちはアリッサが持たせてくれた弁当を仲良く食べていた。
「リディア、いまのところ何が面白かった?」
「えーと、たくさん面白いことありましたけど、ジェットコースターが一番良かったです! 何回も乗っちゃいました。京子姉さんも乗ればよかったのに。楽しかったですよ?」
「あはは、わたしは一回で十分かな……」
 エンドレスループを気に入ったリディアを待ってしばらく眺めていたが、見ているだけでゾクゾクするような回転だった。
「マジックショーまではまだ時間あるわね。アトラクション全制覇も夢じゃないかも」
 エキサイトエリアの乗り物は主にリディアがクリアしたので、京子はゆるい乗り物制覇に付き合うことにした。
 エンドレスループが桜子に課したのは身長制限という試練だった。
「わしは乗れぬと申すのか!!!」
 膝からくずれおちる桜子。期待が大きかっただけに涙目である。
「はようおとなになりたいのである」
 つくしたちの悲鳴が断末魔のように響いたが、京子の心は変わらない。再戦を夢見ながらエキサイトエリアを去った。

●平和な午後
「今日は1日よろろな~!」
「よろしくなんだよ! ナイチンゲール(aa4840)さんと一緒出来るのボク嬉しいんだよ!」
「こっ、此方こそ……!」
 虎噛 千颯(aa0123)と烏兎姫(aa0123hero002)。元気の良い二人に圧倒されつつ、ナイチンゲールはぺこりとお辞儀する。仲良し親子そのものな二人の様子に彼女は憧憬を抱く。
「今日は宜しく頼む」
 墓場鳥(aa4840hero001)は保護者の顔で言葉を返す。
「ハピネスランドに来たらハピネスランチはド定番なんだぜ!」
「そうなのか」
 墓場鳥はメニューのページを次々めくる。
「パパ、それ何処にもないよ?」
 どうやら別の場所と間違えていたようだ。千颯は照れ笑いする。烏兎姫はナイチンゲールと一緒にメニューをのぞき込む。
「ナイチンゲールさんは何食べる?」
「あ……じゃあこの……たこ焼きって言うのを……」
 味の想像はつかないが、見た目の可愛さに惹かれたのだ。
「墓場鳥ちゃんも遠慮しないでな~これくらいなら俺ちゃん奢るんだぜー!」
「此処は厚意に甘えるとしよう。自分も同じものを」
 焼きそばを頼んだ烏兎姫は、ナイチンゲールのたこ焼きとシェアする。音楽や任務や流行の話で彼らは盛り上がった。
「やー、やっぱ遊園地の絶叫マシンは最高だね! そう思わない?」
 ベンチでバーガーにかぶりつくのはストゥルだ。
「……もう、乗りたくない、です」
「ゑー」
 小動物のようにサンドイッチをちまちまと頬張るニウェウス。唇まで蒼白だった顔色は回復しつつあった。
「次は私の希望、聞いてもらうから……」
 コーヒーカップや観覧車、そしてメルヘンな街並み。ファンタジーエリアは大いにニウェウスの心を癒したのだった。
 昼食の海鮮丼とかき氷に舌鼓を打った六花たち。午後はファンタジーエリアへと向かう。
「どうかな……?」
 ここは写真館。六花が試着室のカーテンを開ける。薄青色のドレスを選んだようだ。ふわりと軽やかに広がったスカートのシルエットが可愛らしい。
「似合ってるわ」
 まるで氷の国のお姫様のようだ。
「あ、ありがとう……。えっと、六花、アルヴィナと一緒に、撮りたくて……」
 彼女は六花の可愛さと申し出に喜び、衣装を探し始める。白いマーメイドドレスに薄布のショール。氷雪の女神そのものという姿にスタッフたちも感動していた。
「帰ったら製本してみましょうか」
 それは楽しい思い出を永遠へと変える魔法だった。
 一通り散策をし終えた國光たちは、廃病院の前で足を止めた。
(この手のものって「病院」とか「洋館」とか大好きだよね)
 お化け屋敷について尋ねるメテオだが、その存在意義を聞くとますます首を捻った。
「脅かすのが目的……なんか変わっているのです」
「はいってみる?」
 國光は元々苦手ではない上、戦闘慣れもしている。結果、通常の倍速くらいで彼らは進んでいた。
『このままだと前の組に追いつくな。調整ヨロシク』
「了解」
 指名を受けたアルバイトは、駆けだす。頭を左右に激しく降り、しかして上半身はぶれることなく。足をでたらめな方向にはね上げて、進み口から絶え間なく不安をあおる叫び声を漏らしながら。
「何アレ! さすがに気持ち悪い……」
 さすがの國光も少し驚いてしまう。そんな彼を守るように何かが進み出る。伸びた背筋に柔らかなフリルとレースをまとう人影が
「……え?!」
 怪物は見えない力で操られるように、倒れこむ。かと思うとシュルンと空気と鳴らして前転する。一瞬の出来事だった。
「……あ」
 二人分の声が重なる。
「なんでメテオも驚くのさ」
 彼女はほとんど反射的に投げ技を決めてしまったらしい。
「共鳴して剣を抜かなかったことは褒めるけど……」
「ごめんなさい……」
 思いがけず酷い扱いをしてしまった相手に駆け寄る。気絶させた相手は國光の大学の後輩だった。驚いている場合じゃない。背負ったまま進み、係員に状況を説明しなくては。
 バイトたちの間で「霊を憑けた客」の噂が広がるのは少しの後のこと。

●ホットな午後
 ダンスチームと入れ替わりで、ジャグリングショーが始まる。
「皆! ハピネスランド楽しんでるかな!」
 軽快な音楽に乗って表れたのはアル(aa1730)。今日は出演者として来園している。
「今日は最高にCOOL&HOTなステージをお届けするよ!」
 最初は通常のジャグリングだ。3個、4個と増やしたり、アシスタントと交換するようにジャグリングしたり。やがてアシスタントがボールに火を放ち、アルへと投げる。アルは涼しい顔でステップを踏みながら、ジャグリングを続ける。その姿はまるで炎の妖精だ。
「えいっ!」
 ボールを高く投げ上げたかと思うと、華麗なターン。もう一度投げたかと思うと、宙返りしてキャッチ。羽が生えたような動きに大きな歓声が上がった。
 15時。会場にはティアラと康広の姿があった。墓場鳥が声をかけると、彼女らの隣の席へ移動してきた。
 由利菜はリディスと共に白雪姫の絵本と比較しながら観劇する。
「ユリナも小学生の頃、学芸会でお姫様の役やったことあるんだ?」
「ええ、でも……無理矢理本来の子から役を奪って、泣かせてしまって。……当時の私、我が儘だったから」
 王子役の少年は歌による熱演を見せている。
(王子様、か……。でも、私を迎えに来てくれるのは……あの人かも知れない……)
 風になびく青い髪をかきあげ、こちらを振り向く王子の顔は――。
「ユリナ、子供達が降りてきたよ!」
 すんでのところで由利菜は現実に帰ってきたが、胸の高鳴りは収まらない。
「昔のことはわかんないけどさ、今のユリナは白雪姫みたいに優しいお姫様だと思うな!」
「もうリディス……恥ずかしいわ」
 リンゴのように赤くなる姫が微笑ましくて、従者は太陽のように笑った。
「手を取り合って踊ろうよ~」
 隣で聞こえた歌声にナイチンゲールが振り向く。
「わかりやすいメロディに歌詞だからすぐ覚えちゃうよ! ナイチンゲールさんも一緒に歌お!」
「はい」
 ナイチンゲールは微笑んで頷く。素直で前向きな反応にティアラは驚く。
「烏兎ちゃん、歌ってもいいけど声は小さくな、主役は子供達なんだぜ」
「りょーかいだよ」
 少し抑えた声で烏兎姫が答える。歌はサビの部分を何度も繰り返し、出演者の紹介をしている。
「墓場鳥さんも一緒に歌お!」
「……む、自分もか。ならば千颯も」
 控えめな合唱は康広とティアラも巻き込み、名も知らぬ観客たちにも広がる。
「楽しそうだな理夢琉?」
「えへ♪ これでもアイドルの卵だもん」
 白雪姫がいう。
「会場の皆さんも!」
――幸せ幸せお姫様 呪いが解けて目覚めたよ
 指揮者を務めていた小人が客席に向き直り、会場の人々は子供たちに促されて立ち上がる。
――手を取り合って踊ろうよ
 烏兎姫は千颯と肩を組み、仲睦まじげに歌う。アリューは理夢流の歌声に耳を傾ける。
――幸せ幸せ王子様 運命の人見つけたよ
 ウィリディスの元気な声に誘われて、由利菜も覚えたばかりのフレーズを口ずさむ。楽屋ではアルが遠い合唱に声をそろえる。
――いつまでも仲良く暮らそうね
 ナイチンゲールがふと視線を感じるとティアラが優しく微笑んでいた。うじうじと弱音を吐いた相手として照れ臭い気持ちこそ起こるが、目をそらす理由はない。数秒アイコンタクトを交わして、また歌に戻る。こうして短いミュージカルは、会場をひとつにして幕を閉じた。
 再びダンスショー。
――幸せいっぱい歌おう ランラン 君とハピネスダンス
 ネスちゃんの歌声に合わせてアルは踊る。先ほどのクールな表情は封印し、幸せな感情を表情と動きでたっぷりと表現する。
――きっとここでまた会おう ランラン ここはハピネスランド
 キャラクターやほかのバックダンサーと手を繋ぎ、お辞儀をする。大きな拍手に包まれて退場するときの高揚感と名残惜しさは、アイドルもダンサーも同じかもしれない
 そしてマジックショー。
「あいつは魔法使いか!?」
 驚愕するアリュー。
「前世では瞬間移動仕えたんだよね、こう時間軸をつなげてー」
 いつかはこの世界でも習得したいと理夢琉は決意していた。
 リディアも興奮気味に京子の肩を叩く。
「姉さん凄いです、おじさんが消えちゃいました! ……わたしもできるんでしょうか?」
「あはは、きっと出来るんじゃない? リディアは頑張りやさんだものね。ほら、お手伝いを募集してるよ。リディアは手を挙げないの?」
「あ、はーい! やりたいです!」
 ブンブンと手を降る姿は牧原の目に留まったらしい。
「ではそこの元気なお嬢さん! ステージに登壇してください」
 愛想の良い紳士は客席に背を向ける。リディアはカードを2枚選んで会場の者全員で確認し、他のカードと混ぜてシャッフルする。
「見えます! あなたの選んだカードはこれだ!」
 ハートの9と10。客席、そして特等席のリディアから歓声が上がる。
「う、嘘みたいです! 大当たりですよ!」
「お嬢さんにぴったりのカードだね。つまり9と10(キュート)なあなたにハートマーク」
 客席はオヤジギャクへの失笑に包まれる。格好をつけすぎないのが彼の流儀のようだ。
「ご協力ありがとう! 君の驚いた表情がなによりのプレゼントだよ」
 彼は恭しくお辞儀したかと思うと、どこからともなく花を出してリディアにプレゼントし、客席へと返した。
「やっぱりマジックっていうのはすごいもんだなぁ☆」
 イヴィアが言うとつくしがこくこくと頷く。
「魔法みたいだよね……どうなってるのかな……」
「さぁ、最後のマジックだ。見たら幸せになれるよ」
 牧原はポンプで巨大風船を膨らます。風船がこれ以上ないくらい空気に満たされ、牧原の姿も見えなくなったころ、景気良い音を立てて風船が割れた。紙吹雪が会場中に降り注ぐ。
「いない……」
 ステージを見た冬が目をぱちくりさせる。
「それではみなさんまた会う日まで」
 スピーカーから牧原の声が流れ、感嘆のため息がそこかしこで漏れた。

●空に咲く花、ともに見上げて
「楽しかったー!」
 テンションが上がったシセベルはお化け屋敷を何週も周った。白江はそれに付き合いながら、次来るときは洋装でいこうと心に誓っていた。奇妙なお散歩は彼女らにとって楽しい時間となったようだ。
「また遊ぼうね」
「はい、きっと」
 帰ったらアルに今日の出来事を話そう。彼女はきっと喜んでくれるだろう。
 ディナーを楽しんだ緋十郎とレミアは観覧車へ。花火まであと数分だ。
「夜の景色も悪くないわね」
 レミアと共に景色を楽しみつつも、緋十郎は美しいレミアの横顔と閉鎖空間に満ちる匂いに興奮していた。
 観覧車には千颯と烏兎姫、ナイチンゲールと墓場鳥がそれぞれ隣り合って座っていた。
「もうすぐ時間かな? いい時間に乗れたみたいなんだぜ」
「やったね、パパ! ライトアップされた遊園地も綺麗だね」
 観覧車が空へ登っていく。ナイチンゲールの脳裏を四国での辛い記憶がよぎる。そのとき、烏兎姫が声を上げた。
「わ! 花火が上がったよ! 見てみて! 凄く綺麗なんだよ!」
 烏兎姫は窓に張り付くようにして外を見る。綺麗だ。花火も、烏兎姫の天真爛漫な美しさも、暗い記憶に沈みそうだった彼女をはっとさせた。
(こんな子が一緒だったらもう少し……前向きになれるかな)
 信じて見たくなる。自分を、そして何より目の前の友人のことを。
「今日は烏兎ちゃんの我侭に付き合ってくれてありがとな。いい思い出になったんだぜ」
 千颯は烏兎姫たちには聞こえないような小声で墓場鳥に言う。彼女も囁き声で言葉を返す。
「我侭に付き合うくらいで丁度好い。あれには友人が少なく、それを諦めている節がある。まして趣味の合う娘との懇親など実に得難い機会だ。……此方こそ礼を言う」
 墓場鳥は視線を相棒へと移す。目には慈愛が、口元にはかすかな微笑みが浮かんでいた。
「ナイチンゲールさんと一緒出来て本当に楽しかったんだよ!」
「私も……楽しかった」
 ゆっくりと言葉を紡ぐ。嬉しさを、感動を、感謝を伝えたいから。涙がじわじわと溢れてくるくせに、笑顔が浮かぶ。
「ありがとう、烏兎姫さん」
 夜のマーメイドはライトアップされたコースが美しい。ジーヤの隣にはまほらまが、仙寿の隣にはあけびがいる。
「こういうのは初めてだな」
「水の対策さえしておけば、普通のコースターと同じじゃないかな? あっ、花火!」
 少し早い過ぎたかと思ったが、ちょうど時間となったらしい。
「小さな花火は見た事あったけど……凄くきれいだわぁ」
「本当なら俺はこの風景の中に居ない……憧れて諦めた未来がここにある、ありがとなまほらま」
 水しぶきが舞うせいで聞こえないフリをするまほらま。唇には微笑みが浮かんでいた。そのうちに加速は始まり、人々は右へ左へ振り回される。まことが真っ先に叫ぶ。あけびは両手を上げて風を感じる。仙寿はマーメイド自体に恐怖を感じることはなく、意識はいつしか花火へ向かっていく。
(愚神という敵がいて、無茶して助けられて、己の未熟さに嘆いたりもするけれど。新しい心臓とまほらまが自分で運命を決められる『世界』をくれた。……まほらまと一緒ならきっとなんだってできるさ)
 不思議と思考の渦の中へ没入していたジーヤは、急激な落下が目の前に迫っていることをすっかり忘れていた。
「うわあ!?」
 それは仙寿も同じだ。悲鳴の主が最前列のジーヤだと気づいた時には、彼も水しぶきの中へと飛び込んだ後だった。
 水濡れ注意の注意書きを見逃した由利菜たちはポンチョ姿の人々を不思議そうに見回す。
「まさかドレスコード?」
「ほわっ! 私たち場違い?」
 きらびやかなドレス姿、という意味では場違いかもしれない。地上を離れた水路を進む内はただ楽しかったが、問題はその後。
「こんなに濡れるなんて……」
 ぴったりと張り付くドレスで、体のラインが強調される。拭くのを手伝いながらリディスが呟いた。
「このスタイルはずるいなぁ。羨ましい」
 眉を下げる由利菜の顔を七色の光が照らす。
「たまにはこういうのもいいかしらね」
 さすがにウォーターエリアは混雑気味だ。手が離れてしまいそうになるのが不安で、ベルベッドは桜子を抱き上げる。
「おお、よく見えるぞ! とても美しいのじゃ! べるべっども見えておるか?」
 背の高いベルベッドのお陰で、特等席からの眺めを楽しむ桜子。
「ええ、桜子と同じ景色が見えてるわよ」
「そうか! ……不思議であるな。何だかあったかい気持ちなのじゃ」
 腕の中に自分より高い体温を感じながら、ベルベッドは微笑んだ。
「ずっと……続くといいな」
「ずっと一緒だよ私の英雄アリューテュス」
 理夢琉の目の中で光の花が咲いては消える。この魔法のようなひと時が少しでも長く続きますように。アリューは願った。
 レミアは熱い視線に気づき、緋十郎が自分に夢中なことを実感する。ご満悦の女王は自ら隣の席へ。至近距離に赤い顔をますます赤くする彼に囁く。
「ハンバーガーもディナーも美味しかったけれど……喉が渇いたわ。ほら、首を出しなさい」
 鋭い牙が肌を破る。おいしそうに喉を鳴らしレミアが血を嚥下していく。なんという光栄。緋十郎は地上に降りるまでの間、与えられる痛みとレミアの匂いに酔いしれていた。
「水にも映ってる……凄く綺麗……」
 千が湖の水面に映る花火を見つめる。足漕ぎボートが立てた波で不思議な形に変わるのも面白い。
「これは凄いね」
「リサ姉、拓海、主、今日はありがとう!」
 千の楽しくてしょうがないという笑顔。槻右の口からほっと息が漏れた。報われた思いから生まれた吐息は幸せの味がした。
 アルヴィナは眠った六花を背負って花火を見上げていた。花火を楽しみにしていたから残念ではあるが、機会はまた訪れるはずだと確信しているから、ただ微笑む。
「次は一緒に見ましょうね」
「……綺麗だった、でも冷たい」
「そうだな……ほれ、おいで」
 遊夜が広げた腕の中に飛び込むリーヤ。
「……ん、ぬくぬく」
 ゆるみきった頬を胸に擦り付ける。
「これじゃ花火が見えないか」
「……ん、別に良い」
 次の瞬間、視界を埋め尽くしたのはリーヤの顔。
「こら」
 額をくっつけたまま叱る声は甘ったるくて、リーヤは満足そうに笑った。
「帰る前に記念撮影しない?」
 あけびがスタッフに声をかけ、全員で映る。
「また皆で来たいね」
 ジーヤの言葉に皆が頷いた。
「ハピネスチョコクランチとクッキーですか。杏奈のお好みはどちらですの?」
 杏奈は真剣な表情で吟味する。
「さすがにアイスは持ち帰れない……」
 肩を落とす茉莉に未來は呆れ顔だ。
「そうだ……! わたしがクッキーを買います。そしたら分けっこできますよね……?」
「ではまた今度お茶会を開きましょうか。ミライ様もいらしてくださいね」
「おう、楽しみだな」
 例えばこんな風に、ハピネスな時間は次の幸せを運んでくるのかもしれない。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 此処から"物語"を紡ぐ
    真壁 久朗aa0032
    機械|24才|男性|防御
  • 傍らに依り添う"羽"
    アトリアaa0032hero002
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 薄明を共に歩いて
    木陰 黎夜aa0061
    人間|16才|?|回避
  • 生満ちる朝日を臨む
    真昼・O・ノッテaa0061hero002
    英雄|10才|女性|カオ
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • 雨に唄えば
    烏兎姫aa0123hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • 分かち合う幸せ
    リディア・シュテーデルaa0150hero002
    英雄|14才|女性|ブレ
  • 深淵を見る者
    佐倉 樹aa0340
    人間|19才|女性|命中
  • エージェント
    シセベルaa0340hero002
    英雄|20才|女性|カオ
  • 分かち合う幸せ
    笹山平介aa0342
    人間|25才|男性|命中
  • どの世界にいようとも
    ゼム ロバートaa0342hero002
    英雄|26才|男性|カオ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 花咲く想い
    御代 つくしaa0657
    人間|18才|女性|防御
  • 想いの蕾は、やがて咲き誇る
    カスカaa0657hero002
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
    人間|14才|女性|生命
  • 分かち合う幸せ
    アリューテュスaa0783hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 花の守護者
    ウィリディスaa0873hero002
    英雄|18才|女性|バト
  • エージェント
    十影夕aa0890
    機械|19才|男性|命中
  • エージェント
    シキaa0890hero001
    英雄|7才|?|ジャ
  • もふもふは正義
    泉興京 桜子aa0936
    人間|7才|女性|攻撃
  • 美の匠
    ベルベット・ボア・ジィaa0936hero001
    英雄|26才|?|ブレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 拓海の嫁///
    三ッ也 槻右aa1163
    機械|22才|男性|回避
  • 分かち合う幸せ
    隠鬼 千aa1163hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
    人間|16才|女性|攻撃
  • 花弁の様な『剣』
    aa1428hero002
    英雄|22才|女性|カオ
  • 銀光水晶の歌姫
    アルaa1730
    機械|13才|女性|命中
  • 見つめ続ける童子
    白江aa1730hero002
    英雄|8才|?|ブレ
  • ハートを君に
    GーYAaa2289
    機械|18才|男性|攻撃
  • ハートを貴方に
    まほらまaa2289hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • 穏やかでゆるやかな日常
    無音 冬aa3984
    人間|16才|男性|回避
  • 見守る者
    イヴィアaa3984hero001
    英雄|30才|男性|ソフィ
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • サクラコの剣
    メテオバイザーaa4046hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 暗闇引き裂く閃光
    大門寺 杏奈aa4314
    機械|18才|女性|防御
  • 闇を裂く光輝
    レミ=ウィンズaa4314hero002
    英雄|16才|女性|ブレ
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 明日に希望を
    ナイチンゲールaa4840
    機械|20才|女性|攻撃
  • 【能】となる者
    墓場鳥aa4840hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 分かち合う幸せ
    宮津 茉理aa5020
    機械|17才|女性|防御
  • エージェント
    水無月 未來aa5020hero001
    英雄|16才|女性|カオ
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