本部

ティーブレイク ~ちょっと一息~

一 一

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2018/06/02 21:42

掲示板

オープニング

●ある日のお昼休憩
 ――カランカラン
「いらっしゃいませ。テーブル席へご案内します」
「はい、お願いします」
 軽快なドアベルの音と店員の笑顔に出迎えられ、佐藤 信一(az0082)は案内された席につく。
「このようなお店が東京海上支部の近くにあったのですね。知りませんでした」
『私はこういうのあんまりよくわからないけど、どこか安心する場所ね』
 対面には碓氷 静香(az0081)が座り、共鳴したレティ(az0081hero001)が感心した声を漏らした。店内は隠れ家風の上品な内装で、耳心地のいい音楽は強ばった体をほぐしてくれるような気がする。
「仕事で疲れがたまった時とかでよく来る喫茶店なんだ――あ、僕はブレンドコーヒーで」
「そうなんですね……私はミルクティーをお願いします」
「かしこまりました」
 信一は慣れた様子で、静香はパラパラとメニューをめくり注文すると、店員はお辞儀してマスターに注文票を渡した。
『あれ? 食べ物は注文しないの? 今お昼休憩でしょ?』
 すると、レティが飲み物しか注文しなかった2人に疑問を浮かべる。静香は小食なのでまだ理解できるが、人並みに食べる信一は空腹だろうと思っていたのだ。
「あ~、うん、いくつか理由があってね」
「そうなのですか? 私は単純に飲み物だけで十分だったからなのですが……」
 信一の反応は何故か苦笑い。静香も妙な態度が気になったのか、お冷やを一口含み小首を傾げる。
「1つは、ご飯を食べたらすぐ眠くなっちゃうからかな? いつも空腹状態のまま仕事で動き回ってるせいか、少しでも胃に入れちゃうと睡魔が一気に襲ってくるんだよ」
『それ放っといて大丈夫なの? 何かの病気じゃないでしょうね?』
「今のところは平気だよ。入社1年目に何度か過労で倒れてるから、力の抜き加減と体の限界は把握してる」
『余計心配になるんだけど……』
「ご自愛ください、信一さん……」
 笑顔で軽~く説明する信一が逆に不安をあおり、レティが呆れた様子で、静香が無表情の裏にものすごい心配を抱いてつっこむ。
「お待たせいたしました。ブレンドとミルクティーでございます……ごゆっくりどうぞ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
 と、そのタイミングで店員がカップを信一と静香の前に置き、一礼して去っていった。
「――ん。とても美味しいです」
『うわ、本当。あんまり食事とかしない私でもすごいって分かるわ』
「でしょ? マスターの腕がいいって評判なお店だから」
 ひとまず話を中断してカップに口を付けると、静香とレティが感嘆の声を上げて信一の笑顔が深まる。自然と2人の視線がカウンターに立つ人の良さそうなマスターへ向き、会釈で無言の感謝を告げた。
『……で? 食事を頼まなかった別の理由は?』
「え、っと、ちょっと言いにくいんだけどね……」

「ぶほぁっ!?」

 続けて追求するレティに口ごもった信一の言葉は、別の客が盛大にむせたことで中断された。
「何でしょう?」
『慌ててコーヒーを飲んだのかしら?』
「いや、たぶん軽食を食べたんだよ……」
「『?』」
 疑問符を浮かべる静香とレティがよくよく見ると、カウンター席で咳込む客の前には信一の言うとおりサンドイッチの皿があった。
「実はここのマスター、かなり難しいコーヒーや紅茶の資格とかも取得してるすごい人ではあるんだけど、何故か軽食の味が異常なことでも有名なんだ。ちなみに、僕は最初に来た時にチーズケーキを注文したら、水分が多すぎてベチャベチャのナポリタンみたいな味がしたよ」
『間違えてナポリタンが届いたんじゃなくて?』
「見た目は完璧なチーズケーキだったんだ……」
 力なく首を振る信一に冗談の色はなく、味が変わりようもないサンドイッチでさえ別の何かになったのかとレティは戦慄する。困り顔で謝罪するマスターの様子から悪気は全くないらしく、余計にたちが悪そうだ。
「なるほど……とても親近感がわく御仁ですね」
「『…………』」
 何より、その話を聞いた静香が何度も深く頷いたのが、信一とレティを震え上がらせたのだった。

解説

●場所
 H.O.P.E.東京海上支部の近くにあるこぢんまりとした喫茶店『Sigh(サイ)』
 世界触以前から変わらないだろう老舗風で味がある外観
 内装はアンティーク小物などが多く、控えめに落ち着いたBGMが流れた癒し空間を演出
 店内にコーヒーの豊かな香りが漂い、テーブルは4人がけで4席、カウンターはイスが10脚ほどの広さ
 コーヒー・紅茶・緑茶・中国茶・ソフトドリングなど飲み物系は評判が高いが、軽食メニューに難あり

●登場
・マスター
 本名や家族関係など、常連客でも知らない情報が多いミステリアスなナイスミドル
 身なりは常に清潔にしており、綺麗に整った白髪やヒゲがとってもダンディー
 かなり高齢のはずだが、伸びた背筋やしっかりした足取りはかなり若々しい
 コーヒーや紅茶などを淹れる技術は高いが、軽食の調理が苦手でいつも謎の化学変化が起こる

・バイト店員
『Sigh』で働く10~20代の若者
 人数もシフトも不定期で、現在は曜日ごとに違う男女が1人ずつ勤務している
 マスターの教育か、全員が年齢にそぐわぬほど丁寧かつ達観した接客を見せる
 歴代のバイトを含めほぼ9割が少年院出身という噂がある(真偽不明)

●利用法(プレ指定項目・注意点など)
 シナリオのイメージは仕事や休日の合間に生じる何気ない日常のひとコマ
 PCの来店理由や経緯は記述推奨
(例…次の依頼を英雄と相談、仕事終わりの一服、常連職員の紹介、店の雰囲気や噂など興味本位など)
 店内にいる時間は基本的に数時間程度→リプレイ描写は店内での言動に限る
 他PC・NPCとの絡みは名指しで行い事前相談を推奨→偶発的遭遇はなし
 メニュー注文→若干の所持金減額あり

リプレイ

●悩みは人それぞれ
 ――カランカラン

「――あれ、信一、静香? こんにちはっ」
「くぁ~……」
 ハプニングが収まった頃に、フィアナ(aa4210)と気だるげにあくびをするドール(aa4210hero002)が入店。
「フィアナさん、ドールさん、こんにちは」
「お疲れさまです。お2人もお昼休憩ですか?」
「ちょっと支部に用事があって、ねー。その帰りなの、よ。でも、まさか信一と静香がいるなん、てびっくりっ。このお店初めて来た、けど支部も近いし、結構エージェントさん来てたりするのかしら?」
「時々いらっしゃるようですよ。僕はよく来ますが、静香さんは今日が初めてなんです」
 パタパタと手を振るフィアナに気づき、入り口近くのテーブル席にいた信一は笑顔で挨拶。静香も軽く会釈して少し話すと、フィアナは急にはっ! とした表情になる。
「それじゃあ、ねー」
「――っ、あぁ?」
 すると、突然フィアナはドールの不機嫌そうな声ごと背中を押し、そそくさと席から離れた。
「いきなり何だよ?」
「信一と静香、デート中なのよ、きっと」
「……仕事の合間で、身内連れだろうが?」
「それでも、お邪魔しちゃダメだもの」
 奥のテーブル席についたジト目のドールは、神妙な顔で対面に座るフィアナにため息をこぼした。

 ――カランカラン

「こんにちは。3人は何時も仲良いね」
「イタリアの1件以来かしら」
 次に荒木 拓海(aa1049)とメリッサ インガルズ(aa1049hero001)が入店した。
「前の仕事では追い詰め切れなくて、悔しかった。また、手伝わせてください」
「ありがとうございます」
「そうだ、ここのオススメって何かな?」
 真面目な話題もすぐ終わり、拓海は信一と少し話してからカウンター席へ。
「疲れたな……少し休みたい」
「寝て無いからよ。英雄とは体のつくりが違うんだから――帰って寝るか、寝ずに過ごすならせめて軽く胃に入れた方が良くない? 空っぽの筈よ」
「……食べれないと思う」
 直後、拓海が吐き出した重いため息にメリッサが気遣って隣から背をさするも、拓海の表情は暗い。
「ドール、何にする?」
「コーヒー。ブラック」
 一方、パラパラとメニューを眺めていたフィアナが顔を上げると、頬杖をつきそっぽを向くドールは即決。
「…………じゃあ、私もブラックにする……」
「はぁ? お前飲めねぇだろ」
 すると、フィアナの予想外な注文にドールが思わず振り向き、唇をとがらせ不満そうな表情を見る。
「だってコーヒー、ドールも兄さんもいっつも何にも入れないもの。ブラックって苦いから、私はお砂糖とミルク入れないと飲めないけど、でも――」
 一拍ほどの間を置き、フィアナは意を決してメニューを閉じた。
「私も飲めるようになるの……!」
「――へぇ?」
 憧れか対抗心か、フィアナの苦手克服宣言にドールは愉快そうに目を細め、店員を呼ぶ。
「コーヒー2杯、あと砂糖とミルク、別に用意してくれ」
「!? 入れないもの、入れないもの……!」
 ドールの注文内容にフィアナはイヤイヤと首を振るが、注文票にはばっちり記載された。
「……美味い」
「本当、凄く美味しいわ」
 先に注文していた拓海はコーヒーを、メリッサはハーブティーを口に含んで目を丸くする。
(所作が芸術のようだ……)
 喫茶店のバイト経験から淹れ方の知識がある拓海は、次第にマスターの技術に目を奪われていく。
「――珍しいですかな?」
「す、すみませんっ! 美味しくてつい、技術を盗もうとしました!」
 新しく2杯のコーヒーが運ばれた後、マスターの一言で拓海はようやく観察に夢中だったと気づき、焦りと寝不足のためかつい余計なことまで口走ってしまった。
(良かった……)
 そんな会話を横目に、一時的でも影がとれた拓海の表情にメリッサはほっと息をつく。
「お嬢さんにはリラックス効果のあるハーブを用いましたが――お気に召したようですね」
「……はい」
 が、続くマスターの笑顔でメリッサも無意識に気を張っていたと自覚し、苦笑をこぼした。
「……むぅ」
 さて、拓海が技術を盗もうとしたコーヒーはフィアナの舌に乗った瞬間、顔に苦みを走らせた。
「諦めて入れちまえって」
 予想通りの反応にニヤニヤと愉しそうなドールは、そっと砂糖とミルクをフィアナへ差し出す。
「入れないもの……うぅ」
 意地になったフィアナは再度カップを傾け、やっぱり渋面に。
「――やっぱり、これが美味しいの、よ」
「だろうな」
 結局、フィアナはキャラメル色の甘いコーヒーを、ドールはブラックを飲んでそれぞれ笑みを浮かべた。
「っぐ!? ……あれ、眠くて味覚が変に?」
「え、っと……ある意味、芸術的な味ね」
 こちらは、少し気が紛れて飲み物とサンドイッチを追加注文した拓海とメリッサ。ドリンクの安心感に油断し、軽食を食べた途端に吹き出しそうになる。
「(ちょっ! まさかお土産にする気!?)」
 しかし、メリッサの反応から味覚は正常だと知った上で、拓海は持ち帰り用のホットサンドも頼んだ。
「(帰ってまた気分が沈みそうだったら食べようかな、と)」
「(気付薬のつもり? Mねぇ……でも、今の拓海に必要ならいいんじゃない?)」
 ぎょっとしたメリッサと小声でやりとりをして、拓海はテイクアウトを受け取り席を立つ。
「ご馳走様」
 ――先日、拓海は唐突に親友を亡くした。
 そのため気持ちが追いつかず、ずっと不眠や空虚感を引きずっていた。エージェントという立場上、仲間の死は身近にあると拓海も頭では理解しているが、すぐ納得できるほど心は柔軟でも頑丈でもなかったらしい。
 この苦しさがいつか特別な思い出に変わるまで日々を積み重ね、少しずつ受け止めるしかないのだろう。
「よろしければ、またいらしてください」
 入店時より幾分すっきりした表情の拓海たちに微笑んで、マスターは若人の背を見送った。



●魔術師の語らい
 別の日の午前中。

 ――カランカラン

「時間が空きましたし、少しゆっくりしましょうか」
「ロロ――」
 構築の魔女(aa0281hero001)と辺是 落児(aa0281)は依頼の合間の休息で『Sigh』を訪れた。
 カウンターで肩を並べ、注文した紅茶が届くまで他愛のない雑談に興じる。
「近頃は仕事が多いですね。大きな騒動が起きても、世の中は回るのですから当然ですけれど」
「ロロロロ」
「えぇ。日常こそが私達の願うべきものですし、可能な限りは職務を果たしましょう」
「――ロ?」
「……ん? あぁ、もちろん私の日常と世界は諦めていませんよ? 欲を言えば研究も行いたいですね。霊力とはなにかなど、興味深いテーマは多いですから。現状、設備も研究費も権力も足りませんけどね……」
「……ロ」
 とかく研究は資金が必要と嘆く構築の魔女に落児は小さく反応。
 他者からは一方通行にも見える会話だが、実際はつきあいの長さもあって意志疎通はできている。
「どうぞ」
 そこへ注文した紅茶が届き、一度会話を切った2人はカップを傾ける。
「話は変わりますが……料理が兵器になるのは何故なのでしょうね?」
 直後、軽食の噂を知っている構築の魔女がある意味爆弾を投下した。
 マスターと店員に緊張が走る。
「あまり美味しいという評価はないですけど、私も一通りできますし――落児もでしょう?」
「ロ……」
「実際に観測された現象は認めざるを得ませんけど、料理下手という領域を超えた結果はやはり不思議です……噂の軽食をテイクアウトできれば、成分分析にかけてみるのも面白いかもしれませんね」
「…………」
「――冗談ですよ。興味本位で調べるのは流石に失礼でしょうから」
 余談だが、マスターはちょっとだけ依頼しようか悩んだ模様。
「ごほっ!?」
「しかし、たまに食べている人がいるのは噂を知らないのかあえてなのか、どちらなのでしょう?」
 さらに、別の席で軽食を吹いた客を見て構築の魔女は疑問を重ねる。
「……ロロ」
「エージェントが重体になるような食事でも食べる人がいるのですから、可能性はありますよ?」
「…………」
「それに調理下手と聞くと、何かこう胃が痛くなるのも気になります。……覚えていない異世界の記憶、でしょうか? ――魔術師に死者が出かけた記憶……? ……クッキー……?」
「ロロ!」
「はっ?! ……まぁ、人間いろいろと業が深いのでしょう、えぇ……」
 落児の助言もあり、構築の魔女は一度思考を停止した。
 世の中、追求しない方がいい真実もある。
「さて、そろそろ帰りましょうか。次の仕事もなにか見繕わないといけません」
「ロ――」
「かもしれませんね。何かしていれば、気も紛れますから」
 話している内に紅茶はなくなり、構築の魔女と落児は会計をすませ店を後にした。

●激務と心労と決断
 お昼時が過ぎた頃。

 ――カランカラン

「あ~、なんで地球って丸いんだ、なんで時差なんてあるんだ。世界には涯(は)てがあったと信じられていたあの頃なら――」
「ねむぃ……お腹すいた……何か食べたい」
 日本の裏側の国で依頼をこなして帰国したカイ アルブレヒツベルガー(aa0339hero001)と御童 紗希(aa0339)は、現実逃避気味にテーブルへ顔を突っ伏した。
「すいませんブレンドコーヒー、ホットでひとつと――マリ、お前何頼むんだ?」
「うん~~~、アイスミルクティと……あとサンドイッチ、お願いします……」
 ひとまずカイが店員を呼び止めて注文をすませ、睡眠欲と食欲の板挟みにある紗希も何とか応答した。
「――そういやこの店、初めてだな。東京海上支部の近くなのに知らなかった」
 脱力する2人の内、喫茶店巡りが趣味で特にjazz喫茶へ頻繁に足を運ぶカイはさりげなく店内を観察。
(店の雰囲気はかなり俺の好みかもしれない……あとはトイレチェックだな)
 喫茶店でカイは主に店内の音楽を聴きながらコーヒーを飲み、店主の趣味が出る店置きの本を読んでみたり、流れる音楽の事を店主と語らったり、ボーっとしてみたりして過ごすのを好む。店との相性を確認した後、ふと目を閉じて動かない紗希へ視線を戻す。
「そういやマリ、こないだの登校拒否で出席日数ヤバイだろ? 寝ててもいいから学校には行っとけよ?」
 数ヶ月前、紗希は生存できる道を捨ててまで対立を選んだとある愚神を討伐した。そこへH.O.P.E.に現れた自称・善性愚神が共存の可能性を示したことで酷く苦悩し、自責の念から長期間学校を休んでいたのだ。
「あ~……表向きは保護者な人の言葉とは思えないけど、そうする……」
 紗希の高校はエージェント活動の禁止こそしないが、それを理由にした成績の低下は認めていない進学校。これからある程度の挽回は必要だ。
(お、コーヒーは俺好み)
「ふふ……おいしい……」
 雑談の後に届いた飲み物に口を付け、カイと紗希は自然と微笑む。特にカイは店の雰囲気にひたり、店主こだわりのブレンドコーヒーを飲み比べるのが楽しみの1つである。
「っぐ!?」
「ふふ……おいしい……」
 が、サンドイッチを食べた反応は正反対。よくわからない味の暴力にカイはトイレへ駆け込み、強烈な睡魔で味がよくわからない紗希は平気でモグモグ。
(トイレも俺の理想とする空間だな……軽食はヤバイが)
 店主のこだわりがもっとも現れる場所がトイレ! と断言するカイは必ず1度店のトイレにこもる。危険物を処理した後もトイレに長居し、内心で一言。
(……通うか、ここ)
 カイは店が気に入ればかなりの頻度で通い詰めるため、常連に加わる日は近い。
 なお、マスターのすごく心配そうな声でカイはトイレから出てきたという。

●確かな距離感
 同日、夕刻。

 ――カランカラン

「ん、いい匂いだね」
「はい――あの、テーブル席は空いてますか?」
 ふわりと漂う香りに微笑む木霊・C・リュカ(aa0068)の手を引く紫 征四郎(aa0076)は、重度弱視者であるリュカへの気遣いと久しぶりに2人でいるドキドキも少しあって、対面で座れる席への案内を頼んだ。
「おつかれさまでした。ぶじ帰ってきてくれて、うれしいですよ」
「ありがとー。せーちゃんもお疲れさま」
「こうやってのんびりするのも、久しぶりですね」
「本当だよー」
 テーブルに座れた征四郎は紅茶を、リュカはミルクティーを注文してから『CGW作戦』や物騒なテロ事件などで大変だった互いをねぎらう。そして、2人でゆっくりと話す時間を過ごせることに表情を緩めた。
「最近学校はどう? 楽しい?」
「楽しいですよ。ちょっと忙しくて、お休みも多いですけど」
「そっかー。友達とはうまくやれてる?」
「1人増えました。ふふ、また連れて遊びに行きますね。リュカはお店、どうですか?」
「ふふーふ。いつも通り、たまにお客さんがきて、閑古鳥がよく鳴いてるよ!」
 示し合わせたように、2人の会話はあえて他愛もない話題へ流れる。リュカは善性愚神に関連した出来事で生じた征四郎の迷いを想い、征四郎はどこか疲れて見えるリュカを心配しての配慮だ。
「そうだ。リュカに少し相談がありまして……」
「ん? なになに?」
 おしゃべりの間に届いた紅茶に砂糖を溶かしていた征四郎は、ティーカップを傾けるリュカにじゃじゃーん! と浴衣のカタログを取り出した。
「一応データでも持ってきたのですが、今は見れないですよね? 実はガルーと夏祭りに行く準備、してまして――リュカ、あの、浴衣、お勧めの色とかありますか?」
 精一杯背伸びしてでも隣に並んで追いつきたい人を前に、征四郎の目は伏せられ声もやや緊張気味。
「へぇ、夏祭り! う~ん、そうだなぁ……」
(お年頃の女の子になってきたんだねぇ。少し大人向けの柄も、今のせーちゃんなら似合うように――)
 リュカはやや驚きつつ征四郎の浴衣姿を想像し、途中でふと小さな痛みを覚えた。
(いつの間にか、ぴしゃんとした芯ができてた、のかな。どことなく誇らしい……でもやっぱり、寂しくないわけじゃ無いんだなぁ。……なんて、ね)
 リュカは人より遅い己の歩みを自覚している。
 置いていかれるのも、諦めるのも、慣れてはいる。
 だけど、不意に征四郎から感じる心身の成長に、思わず嘆息した。
「あの、それで、夏祭、よかったら、いっしょに、……リュカ?」
「ん、何でもないよー」
 征四郎の心配する声に、リュカは机にぺしょんと潰れて笑う。
 ――互いの背中が、遠くに感じた。



●揺らぐ距離感
 数日後。

 ――カランカラン

「お、いい感じの店だな」
「……そうだな」
 昼前に扉を開けたガルー・A・A(aa0076hero001)に続き、オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)が素っ気なく答えて案内されたテーブル席に座る。それぞれ同じコーヒーを注文した後、ガルーが楽しげな笑みを浮かべて征四郎がリュカに見せたものと同じ浴衣のカタログを机に広げた。
「夏に祭りがあるだろ。誘おうと思ってたんだ――2人で行かないか? って」
「……夏祭り? 浴衣? ……あんた、今年でいくつなんだ?」
 食いつきの悪さに一瞬『外したか?』と思ったガルーだが、嬉しそうでもないが空気は柔らかいオリヴィエの様子に大丈夫と判断し、カタログをペラペラめくる。
(これは――浮かれてもいいのでは!? いいよな!?)
 一方、やや呆れ顔のオリヴィエは態度にこそ微塵も出さないがその実、好意を寄せるガルーと2人でお茶だけでなく夏祭りにも誘われて内心かなり浮かれていた。
「ほら、こんなのとかどうよ?」
「俺が、か?」
 カタログをのぞき込むガルーと顔が近づくのを恥ずかしがり、勧められた少々大人っぽい浴衣を不自然な遠目でオリヴィエが確認したところでコーヒーが届く。
「お? リーヴィ、ブラック飲めるようになったんだな」
「まあ、な――ガルーも、浴衣、着るのか?」
「俺様は……」
 コーヒーに口を付けつつ、ガルーは目を細めて何でもないようにブラックを飲むオリヴィエに驚き、スマホをいじる姿を前につい生返事となった。
(……、可愛い、よな)
 オリヴィエの無愛想は慣れているし好意にも感づいているが、どんどん大人になっていく様子にガルーは思う……少し浮かれているようにも見えるのは、自分が浮かれているからなのか、と?
(『悩みは尽きないけど、それだけじゃダメですからね』、か。――本当に、このままで良いのか……?)
 ふと征四郎の呟きが頭をよぎり、ガルーは嬉しくも複雑な気持ちになり深く考え込む。
「おい」
 そこで、オリヴィエに何度か足を軽く蹴られたガルーは我に返る。
「……疲れてるなら、別に相談はチャットアプリでもいい」
「……今がいい。チャットはちいとばかり慣れないんだ……あーもう! 機嫌直せってば」
 少し萎(しぼ)んで見えるオリヴィエの髪をくしゃりと撫で、ガルーは無理矢理笑った。その際、ミルクが混ざったコーヒーが見えてどこか安心を覚えつつ、オリヴィエの確かな変化を目の当たりにしながら曖昧なまま誤魔化す罪悪感に胸をチクリと傷める。
(……帰ったらネットで買おう)
 なお、思春期なオリヴィエは頭に触れる手に機嫌を持ち直し、先ほどの操作でこっそりスマホに保存したガルーオススメの浴衣購入を誓った。

●地雷と流行は紙一重?
 昼過ぎ。

 ――カランカラン

「前から気になっていたけど、やっぱりこのお店雰囲気いいね!」
 ダンスレッスンを終えて時間ができた春月(aa4200)は、物珍しそうに店内を見回す。
「あ、僕たち2人なんだけど――相席しかない?」
「うちは大丈夫だよ~」
 だが、付き添いのレイオン(aa4200hero001)が店員から相席しかないと告げられ、春月に確認をとってから案内してもらうことに。
「えっと、僕は構わないけど、ジェニーは?」
「貴方がいいなら問題ないわ――ごきげんよう。こちらの席をどうぞ?」
 店員が相席を頼んだテーブル席にいた小宮 雅春(aa4756)が了承し、Jennifer(aa4756hero001)は優雅な所作で立ち上がって2人へカーテシーで挨拶してから、雅春の隣に移動した。
「ありがとう。助かるよ」
「それじゃ、ちょいと失礼~」
 仮面をした貴婦人の穏やかな声にレイオンが一礼する後ろを、春月はささーっと通って先に席へ座る。それから春月がオレンジジュースとサンドイッチを、レイオンがストレートティーを注文して自己紹介に移った。
「――あれ、色々と同じなんだね! よろしくよろしく!」
「本当、奇遇ですね!」
 そこで春月と雅春はお互いがリンカーで、英雄のクラスも一緒だと知り一気に親近感を覚えた。
「小宮さんはこのお店よくくるの?」
「初めてだよ。小腹が空いたから立ち寄ったんだ」
 注文がくる間、春月からの雑談に雅春は笑顔で応じる。
「――あ、そうだ! ジェニーも共鳴状態なら食べられるんじゃない?」
「共鳴しても半分は『お人形』の私なのよ? どの道、食事はとれないと思うわ」
「そ、そっか……」
 話の中で雅春はジェニファーの飲食事情にも軽く触れ、思いつきを提案したがやんわりと却下された。一緒に食事を取れないことに一抹の寂しさがあった雅春はしょんぼりと肩を落とす。
「でも、貴方らしいわね」
(やはり、この男は愚かだな。私は『お人形』を演じているだけだというのに……)
 表向きは笑うジェニファーだが、内心で奇妙な提案を大真面目にする雅春に嘲っていた。今の自分は雅春が望んだ姿を装っているだけで、自分に役割を与えながら気遣いを見せるのが可笑しくて仕方がない。
「ふふふ」
 反面、ジェニファーはそんな雅春に嘲笑と同じくらいの微笑ましさも覚えた自分を不思議にも思っていた。
(わ~、Jenniferさんってミステリアスで素敵だな~)
(見すぎだよ、春月……)
 そんなやり取りを見ていた春月は、物腰が柔らかいジェニファーにドキドキして露骨な熱視線を送る。隣のレイオンからたしなめるように小突かれるひじはスルー。
「お待たせいたしました」
 ちょうどそのタイミングで、3人が注文した品がテーブルに並べられた。
「いい香りだね」
「うんうん、美味しそう!」
 レイオンが紅茶のカップに口を付け、春月がオレンジジュースの濃厚な味わいに頬を緩める。
「んぐぅ!?」
 しかし、ナポリタンを口へ運んだ雅春は硬直。
(あ、あれっ、ナポリタンって、こんな味だったっけ――?)
 ケチャップではありえない辛味と苦味が雅春の舌を蹂躙する。
(これ、絶対に様子がおかしい……共鳴を断られてよかった!)
 表情には出さず、二口目で軽食の異常性を確信した雅春は被害がジェニファーへ及ばず安堵し、次に春月へ目力を込めた視線と、首を横に振る無言の危険信号を送る。
「いっただきま~す……うごっ!!??」
 しかし、無情にも雅春の想いは届かず、春月は勢いよくサンドイッチを口に入れ、盛大にむせた。
「そんなに勢いよく食べるから」
 口元を押さえてせき込む様子にレイオンが苦笑するが、春月は今それどころではない。
(こんなに美味しそうなのに、味が……)
 大量の疑問符に支配された春月は、まずサンドイッチとは違う全然別の何かを食べた可能性を考える。気力で飲み込んだブツの正体はわからないが、正直自分が一体何を食べたのか理解が追い付かない。
 春月はもう一度おそるおそる齧り、濃縮されたカメムシ……もといパクチーに似た味に顔をしかめた。
(にっが――いや、でも待って! もしかして――これが今の流行り!? 見た目と違う味でインパクトを演出する、現代料理の最前線かも!?)
 が、ちゃんと具を入れた料理をつくれ、という指摘を最近受けるような腕の春月の発想は斜め上を行く。レシピを聞こうか真剣に悩みつつ食べ進める姿に、怪訝そうなレイオンはもちろん雅春も呆気に取られた。
 ちなみに『Sigh』の軽食は常に『食べられるマズさ』を攻めており、罰ゲーム用のテイクアウトは意外と好評だったりする。マスターの心境は複雑だが、拓海の使い方は存外間違いではなかった。
「こ、これは……」
 一方、軽食を諦めた雅春は食後に届いた飲み物――マスターお任せのバタフライピーティーにたじろいだ。自分ではまず頼まない、青色のオシャレ感MAXなハーブティーにビビる。
(あ、美味しい)
 が、いい意味で予想が外れ、一口含めば優しいハチミツの甘みがほんのり広がった。
「わあ見てジェニー、紫になったよ」
「そうね……ふふ」
 さらに、雅春が付属のレモンを加えると紫に変色した見た目の楽しさに、テンションとマスターへの株が急上昇。ジェニファーも渋面→驚愕→笑顔と、表情をころころ変える雅春に笑みをこぼす。
(この『なんでもない日』が、いつまでも続けばいいのになあ)
 新たな出会いと穏やかな時間を笑顔で囲み、雅春は本心からそう思った。
 未だジェニファーへのもう一歩が踏み出せない己の臆病さには、こっそりフタをして。

●事故り女子会
 夕方。

 ――カランカラン

「外観も素敵だったけど、店内も良い雰囲気ね」
「うん!」
 1日歩き回った美咲 喜久子(aa4759)とミカ(aa4759hero002)は休憩のため『Sigh』へ入店し、初めて見る内装に注意が散漫だった。
「って、きっこちゃん前を――あっ!」
「んー、この爪マジいいカンジ――ッ!?」
 案の定、ミカの指摘が間に合わずよそ見をしていた喜久子は誰かにぶつかる。
 衝突したのは、同じく意識が自分の指に移っていたはるな(aa5571)。入店前にネイルサロンへ立ち寄っていたのが原因で、そのままはるなは転倒して尻餅をつく。
「きっこちゃんも、ぶつかったお姉さんも、大丈夫?」
「あ、ああ。私は大丈夫だ――すまない。前方不注意だった。怪我はないか?」
 ミカの心配そうな声に答えた後、喜久子は口調を瞬時に改め地べたに座るはるなへ手を差し出した。
「はるな的にはー大丈夫だと思うんだけどぉ、オネーサンこそ何もないー?」
 対してはるなは特に気にした風もなく手を借り、立ち上がって喜久子を心配する。
「私は問題ない。詫び――でもないが、飲み物でもどうだろうか?」
「えー、なにぃ? 今日はオンナノコ運が強いっぽ? 別にイイよー」
 すると、眉を下げる喜久子から思わぬ提案があり、はるなは驚きつつも頷いた。
「はるなは~、はるなー」
「ミカはミカだよ。よろしくね、はるなさん!」
「私は美咲 喜久子だ。喜久子で構わん」
「ミカちゃんに、喜久子ちゃんね~。とりま、注文しとく?」
 話がまとまり、はるなが店員にミカと喜久子の3人で相席すると伝えてからテーブル席へ向かい、互いに軽く自己紹介をしてメニューを広げた。
「はるなは~アイスココアにしよっかなぁ」
「う~ん、ミカは、ミックスジュースかな」
「私はコーヒーにしよう」
「あ、あとフルーツパフェも食べたい……きっこちゃん、良い?」
「ああ。勿論構わん。はるなは如何する?」
「パフェ~? んじゃ、その苺のヤツで~」
 あまり迷うことなく3人の注文が決まり、店員にオーダーを取ってもらってからは雑談モードに入った。
「で、マジお休みとかいつ振りってカンジでさー。これで今夜がライヴなら最高なんだけどねぇ~」
「はるなさんもお休みだったんだ! ミカたちもお買い物、楽しかったよ! ね、きっこちゃん!」
「そうだな。私自身も楽しんだが、ミカが楽しかったら私も嬉しい」
「すっごい仲良さげだね~。まだまだしたいことたくさんあったけどぉ、2人に会えたしチャラかなぁ?」
「ふふ、じゃあ、みんなお揃いの楽しかった日だね!」
 話してみると1日の行動がかなり似通っており、3人の会話は自然と花が咲く。
 中でもミカが楽しげだったのは、久しぶりに喜久子と外出できたことが大きい。
 血生臭い戦いからなるべく遠ざけたいとする基本方針で、戦闘がある依頼だとミカは留守番が多く相応に1人の時間も長い。故に、喜久子はミカにこの世界を知り感じてもらおうと、休日になればショッピング等で外に誘って遊びもかねた社会勉強に出る機会を意識的に作っていた。
 時々飲み物で喉を潤しながらおしゃべりを続ける3人の前に、しばらくして2つのパフェが現れた。
「――っ!?」
「……きっこちゃん、これ、変な味がする……」
「何? ……これなら私が作った方が、幾分かマシな気もするな」
 まず、はるなが苺パフェを一口食べて呼吸を止め、フルーツパフェにスプーンを入れたミカと2人の反応を見た喜久子も一口食べ、冷や汗を流す。一言で言うなら――『何もかもを超越した味』だった。
「ちょ、ミカちゃんコレを『変』で済ませられればまだ良い方だってー。はるながお手本見せてあげたい~」
「はるなも料理をするのか、意外……と言うのも失礼だな。すまない」
 そこで飛び出したはるなの発言に目を丸くした喜久子だが、あわてて謝罪する。
「よく言われるけどぉ~、はるな的にはぁ~料理は完璧ってカンジぃ?」
「へぇ! 一番得意な料理って何?」
 胸を張るはるなにわくわくした表情のミカが食いつくと、人差し指を口に当てて考え込む。
「得意料理かぁ……んっとー何だろ……何でも作るよ~」
「はるなさんの料理、食べてみたい!」
「じゃあもし今度また会ってくれるならぁ、ホームパーティでも開こっかな~、とか?」
「本当!?」
 思わぬはるなの提案にミカはさらに表情が輝き、隣の喜久子も表情を緩めた。
「今日は良い日になった。はるなのお蔭だ、感謝する」
「んー、お互い様ってカンジぃー。はるなも喜久子ちゃんとミカちゃんが一緒で超楽しかった~♪」
「今度はるなさんの料理、食べさせてね!」
 結局、長居しておしゃべりしまくった3人はすっかり仲良くなり、笑顔で店を後にした。
 ……パフェはほとんど手つかずだったが。



●噂の真偽は?
 営業を終えたマスターは、おもむろに茶封筒から数枚の紙――写真付きの履歴書を取り出した。
「彼らが来月から新しく入る子たちですか……万引きの常習、特殊詐欺の受け子、複数の傷害と恐喝――みんな元気がよさそうですね」
 書類を持つ袖口に青い宝石が埋まったカフスボタンが揺れ、一瞬だけ電灯の光を反射する。
「しかし、何度も料理教室に通っているのに味がおかしいのは何故でしょう……?」
 そして、客の反応を思い返して渋い表情のマスターは後片づけを始めた。

『Sigh』
 どんな感情の『ため息』でもこぼせる休憩所――そんな願いを込めて名付けられた喫茶店。

 明日もきっと、込められた願いの通りに誰かの思いを解きほぐす。
 美味しい飲み物と、奇怪な軽食を振る舞って。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • アサルト
    カイ アルブレヒツベルガーaa0339hero001
    英雄|35才|男性|ドレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • そうだよ、楽しくやるよ!
    春月aa4200
    人間|19才|女性|生命
  • 変わらない保護者
    レイオンaa4200hero001
    英雄|28才|男性|バト
  • 光旗を掲げて
    フィアナaa4210
    人間|19才|女性|命中
  • 裏切りを識る者
    ドールaa4210hero002
    英雄|18才|男性|カオ
  • やさしさの光
    小宮 雅春aa4756
    人間|24才|男性|生命
  • お人形ごっこ
    Jenniferaa4756hero001
    英雄|26才|女性|バト
  • エージェント
    美咲 喜久子aa4759
    人間|22才|女性|生命
  • エージェント
    ミカaa4759hero002
    英雄|14才|女性|ブレ
  • エージェント
    はるなaa5571
    人間|18才|女性|攻撃



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