本部

闇の山で蜘蛛の姫は駆ける

弐号

形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/07/11 01:51

掲示板

オープニング

●闇夜
「やれやれ……一仕事終えたのに酒も飲めんとは……」
 夜も深くなった時間に山道を走る一台の車。その運転席でハンドルを握りながら二ノ宮利勝はそうぼやいた。
 彼はH.O.P.E.に所属するベテランエージェントだ。つい先ほど一つの事件を解決し、その後処理も終えたところである。
 そこで助けた住民達からぜひともお礼をと宴会に誘われたが、見ての通り彼は自家用車である。
 このような山奥に来るようなタクシーも無し。彼は断腸の思いでその誘いを断り、こうして帰路に着いていた。
「帰りに高めの日本酒でも買って帰るか……」
「好きだね。そこまで酒にこだわるのも俺にはよくわからんが」
 助手席で背もたれを倒して座っている男がフードで目元を隠しながら呟く。今にも寝ようという体勢である。
 見た目は二十台中盤だろうか。既に初老を超えた利勝の友人としては若すぎる男である。
「ふん、酒は男の嗜みだ。お前も覚えたらどうだ」
「別に飲めないわけじゃないがね。好きじゃ無いだけで」
 彼はベンド タグハーツ。利勝の相棒たる英雄である。
「どうせ飲まないんならお前に車の運転を覚えてほしいんだがな」
「嫌だよ。何で爺さんのアッシーをやらなきゃいけないんだ。女にキープされるよりなお酷い」
「運転できる方が何かと便利だろう」
「別に。元の世界に比べればこっちは便利すぎる。バスに電車にタクシー。歩く必要すらない」
 ベンドの感覚では『歩く』というのは数十キロ、場合によっては百キロ以上に渡って行うものだ。
 この世界ではどこかに行くにしてもせいぜい数キロ。彼にとっては『歩いて』すらいない。
「お前もこっちにきて十年だろう。もっとこっちの感覚にあわせろ」
「合わせてるさ。こっちにきて『魔法』も使えるようになった」
 言ってポケットから出したスマートフォンを振ってみせる。
「爺さんこそ、そろそろガラケーから変えた方がいいんじゃないか? 使い方なら教えてやるぞ」
「ぐぬぅ……」
 思わぬ反撃に苦虫を噛みしめたような顔で黙り込む利勝。
 この英雄はいつまでたっても口が減らない。
「ん?」
 と、そこで利勝の視線の先に妙なものをが映る。
「事故か?」
 路肩に頭から突っ込むように止めてある車。尋常な様子ではない。
「ふむ……」
 利勝はその車を少し過ぎたところで停車する。
「怪我人がいないか見てくる」
「……念の為、共鳴しておいた方がいいんじゃないか?」
「お前は心配性だな。大丈夫だ、ちょっと見てくるだけだ」
 ベンドの言葉に軽く手を振り、車を降りる利勝。ベンドはそれ以上は何も言わなかったが、車で待つ事はせず着いていく事にした。
「おーい、大丈夫ですかー!」
 大きな声で呼びかけながら車に近付く利勝とその少し後ろを歩くベンド。
 ――と、利勝の言葉に応じるように止まっていた車の後部座席の扉が開いた。
「子供?」
 それは中学生くらいの容姿の女の子だった。

●誰そ彼
 それよりおおよそ一時間ほど前。
 つい先ほど従魔の群れに襲われ、そしてH.O.P.E.のエージェントに助けられた集落で一人の男の子が外を歩いていた。
「おう、佐々木んところの坊主じゃねぇか。どうしたこんなところで」
「あ、田辺さん、こんばんは」
 妙にきょろきょろと辺りを見渡しながら歩く少年に老人が声を掛ける。
「こんな夜にうろついてたらいかんぞ。あんな事もあったばかりだしな」
「うん。……ねえ、田辺さん。女の子見なかった?」
「女の子?」
 言われてふと思い出す。そういえば朝にもそんな話を聞いた。佐々木少年が女の子を探してると。
「お前なぁ。女の子の飢えるのもわかるが、こんな夜に探してもどうにもならんべ」
「いや、そうじゃなくてさ、いたんだよ」
 呆れ顔で言った言葉に佐々木少年は真面目な顔で返す。
「公民館にいたんだ。最近たまに見かけるんだよ、あの子」
「避難した中にいたって事か? あんときはそれどころじゃなかったからなぁ」
「後で話してみようと思ったけど、落ち着いてから探してもどこにもいないんだ」
「うーん、ここの住民なら知ってるはずだが……まあ、どっちにしろ明日にせい」
「うん……」
 老人に言われて少年は素直に頷く。

 今は宵闇。
 ここから先は闇が深くなる時間だ。
 山の中は、特に。

●最期の意地
「おい、爺さん。やっぱり共鳴を――」
 不穏さな空気を感じ取ったベンドが無理矢理にでも共鳴しようと利勝の幻想蝶に手を伸ばす。
 しかし、それを遮るように正面の少女から白い槍が突き出される。
「なにっ!」
「――!」
 少女の手から真っすぐ伸びたそれは、右と左で正確に利勝とベンドを狙っていた。
「くそっ!」
 ベンドがそれを躱せたのは一種の嗅覚――危機的状況であるという事にいち早く気付けたのと、彼が比較的身体能力の高い英雄だったからだ。
「爺さん!」
 しかし、利勝はそうはいかなかった。ベンドに声を掛けられ、そちらに振り向かけていた状況では避けようもない。
「ぬぅぅぅ……!」
 白い槍に見えたそれは『糸』だった。いくつにも束ねられ、幹のように太く頑丈になった蜘蛛の糸。それが利勝の体にぐるりと一周巻き付いている。
 辛うじて右手は無事だったが、左手および両足が完全に拘束されていた。
「……まさか避けられるとは」
 少女が言いながら利勝を捉えた糸を引く。
「うぉ!」
 それで利勝の体は容易に宙に舞った。体を拘束され、受け身を取る事も出来ず、地面に激突する。
「爺さん!」
「来るな!」
 思わず走りかけたベンドを利勝が制止する。
「ここまで拘束されてはもう無理だ! 逃げろ、ベンド! お前の足ならまだ逃げられる!」
「――っ!」
 そんなことはベンドも分かっている。しかし、はい分かりましたと従えるほど、十年という時は短くなかった。
「逃げられるのは困るのですよ。母様の栄養は多い方がいいですから」
 その隙にベンドに跳びかかろうとした愚神。
「行かさん……!」
 その脚に利勝がしがみ付く。
 愚神の気まぐれか、利勝の最後の意地か。その必死の行動は愚神の動きを一瞬押し留めた。
「……親父だと思っていた。――ありがとう」
 迷いを振り切り、最低限の別れの言葉と共にベンドは後ろに跳躍する。
「邪魔です」
 愚神の背から生えた脚が利勝の体を貫く。手が離れる。
「ぐはっ!」
 急いで視線を戻すが、ベンドの姿は既にガードレールの向こうに消えていた。
「逃がしはしませんよ。レミノーラ母様の為に……」
 ガードレール越しに崖の下を見下ろし呟く。
 彼女の背後からいくつかの大きな影が這い出して来る。
 それは彼女が使役する蜘蛛の従魔達であった。

●命綱
「ん?」
 従魔の起こした事件の事務処理のために残業をしていた奥山俊夫の元に珍しい人物から通話が届く。
 画面の表示はベンド タグハーツ。

 その通話は彼の命を繋ぐ唯一の命綱だった。

解説

●目的
 ベンド タグハーツの救出

●敵
※PL情報
・デグリオ級愚神「ベラ」 ×1
 人型だが、背中から二対の虫の脚と腹を生やす、蜘蛛型愚神。
 手から強力な粘着を持つ糸を放ち拘束してくる。また、脚に強力な毒を持っているようである。
 比較的冷静で賢く、また森の中の移動力はかなり速い。
 彼女の目的はベンドの捕食であり、現段階ではH.O.P.E.と正面から事を構えるつもりはない。

※PC情報
・ミーレス級従魔「黒蜘蛛」 ×?
 彼女の使役する蜘蛛型従魔。糸を放ち【劣化(回避)】を付与してくる。
 以前の事件に現れた従魔と同一で、事前に奥山が情報をくれる。

●状況
 場所は深夜の山中。
 ベンドの場所はGPSによりおおよその場所は探知可能。彼は見つからない様に位置を変えながら潜伏している。
 こちらから彼のスマートフォンに連絡を入れることは可能だが、深夜の山中で光るスマートフォンを取り出すのは相応に危険行為である。
 敵の規模や位置が不明な為、ヘリコプター等空からの接近は許可が出ない(墜落の可能性がある為)。
 エージェント達の到着はおおよそ15分後、山のふもとである。

リプレイ

●闇に沈む山
「まさかこんなに早く次の展開になるとは」
 そう呟いてキース=ロロッカ(aa3593)は暗い夜の闇の奥へと目を向ける。
『急ごうキース君っ!』
 依頼を聞いてすぐにそう言って飛び出した匂坂 紙姫(aa3593hero001)もキースと同じ気持ちだったはずだ。
「二人は中々の手練れ。雑魚では苦戦しないはずです」
 焦る自分の心に言い聞かせるように言葉にして、キースはベンドの位置情報だけが表示された画面に目を向ける。
「もし二人に何かあったとしたら我々の知らない敵がいると考えるべきでしょう」
 気を引き締めるように口にしてガンライトの明かりを頼りにキースは山の中をベンドの元へ真っ直ぐに進んでいく。

 光源を持つキースを後方から援護できる位置を維持して久兼 征人(aa1690)も山の中を進んでいた。
『何?』
 突然のミーシャ(aa1690hero001)の問いかけるような意識に征人は知らずパートナーを意識していたことを自覚する。
「パートナーを逃がした利勝さんの気持ちを思うと、ね」
 もしも同じ状況ならば、そう考えてしまっている思考を断ち切るように征人は言葉を声にして吐き出す。
『ベンドは絶対助ける』
 返って来たミーシャの言葉に征人は
「利勝さんも、どうか無事でいて欲しい」
 そう祈るように静かに呟く。

「あんまりお待たせするのも悪いですし、早いうちに合流しないとね」
 重なる木々と夜の影が視界を塞ぐ闇の奥へと目を向けて九字原 昂(aa0919)が言葉を零す。
 ノクトビジョン・ヴィゲンの暗視では木々の向こう側を見通すことは出来ず思ったよりも視界は狭い。
『迷ってお前さんが捜索される側にはなるなよ』
 ベルフ(aa0919hero001)のからかうような言葉に
「子供じゃないんだから、大丈夫だよ……たぶん」
 と応えて光が漏れないように服の内側に隠したスマートホンの画面でベンドと自分の位置情報を確認するが、目印の無い場所では自分の位置すら判別が難しい。
『ミイラ取りがミイラにならないようにな』
 ベルフの言葉に頷いて昴は慎重に方向を確認して歩き出す。

「まだか? 兄者」
 山の入口でノートPCを広げている阪須賀 槇(aa4862)の背に阪須賀 誄(aa4862hero001)が声をかける。
「もう少しだ弟者」
 応えながらも槇はキーボードを叩く手を休めない。
「よォ~し急げ……暇を見付けては作ってたこのツールが……ついに日の目を浴びるぞ弟者!」
 最後のキーを打ち終わって槇が声を上げる。
「兄者のアプリって何か不安なんだよな……」
 口には出さず呟いて誄はスマートホンに表示された、さっき起動に失敗したばかりの槇の自作アプリ【SSG】のアイコンをタップする。
「だが……OK、華麗に起動っと」
 槇の高性能ノートPCですら処理しきれなかった情報を捌くためにH.O.P.E.のサーバーと回線を借りての再起動は無事に成功して、システム起動の通知が仲間達のスマートホンに送られる。

 【SSG】の起動通知にニウェウス・アーラ(aa1428)は目立たない木の影に身を潜めてサバイバルブランケットで体を覆い隠す。
『燐光のせいで、レーダー使用がバレたりうんぬんってのは経験済み、だからねー』
 起動したレーダーユニット「モスケール」の燐光に目を向けたストゥルトゥス(aa1428hero001)の言葉に
「光ってる部分は、見えないように……だね」
 と応えながらニウェウスはレーダー画面と仲間達の端末の移動経路が表示された【SSG】のグリッド分けされた地図を見比べる。
 双方の画面を見比べて敵味方の位置を確認すると、ニウェウスは仲間達のサポートを開始する。

「夜美霞、西側に敵だよ」
 ニウェウスの通信に白雲 夜美霞(aa3523)は手近な木の陰に隠れて辺りを伺う。
 暗視装置の青白い視界の中、ニウェウスの言葉通りの方角に一メートル程の蜘蛛の姿が映る。
「きっとまだ生きてるよね……」
 誰かを探すように頭を巡らせる蜘蛛の様子を観察する夜美霞の口から葉擦れよりも小さな声が零れ落ちる。
『話を聞く限りイイヒトだしー、助けないとねー』
 本人すら聞き逃したような小さな声に待雪 雲瑠花(aa3523hero001)が応える。
 その声は夜の闇に侵食されるように暗く沈みかけていた夜美霞と違い、いつもと同じどこか眠たげで間延びした雲瑠花の声だった。
『それに、蜘蛛って単語を聞いて黙ってられないよね』
 どこかおどけたようにも聞こえる雲瑠花の言葉に夜美霞はいつもの笑顔を浮かべて頷く。
 黒蜘蛛は従魔であっても蜘蛛の性質は失われていないのか光源を持たず身動き一つせずにじっと動きを止めた夜美霞に気付くことなく立ち去った。
 完全に黒蜘蛛の気配が離れるのを待って夜美霞は動き出す。
「普通の蜘蛛の糸は火や薄めたアルカリ液で溶けるけど……」
 かき分けた草むらの中に黒蜘蛛が張った罠のような糸が張り巡らされていた。

「黒い蜘蛛……レミノーラの手の者かな?」
 夜美霞と同じように海神 藍(aa2518)もニウェウスからの警告を受けて身を潜めていた。
 暗視鏡「梟」の視界の中に映る黒い蜘蛛の姿は否応なしに以前戦った愚神の事を思い起させる。
『またライヴスの為に英雄を捕食しようとしてるんでしょうか?』
 同じ視線を共有する禮(aa2518hero001)の言葉に藍は
「用心はしておくべきだね」
 と応えて気付かれないようにその場を離れる。

「この前の蜘蛛従魔襲撃といい、今回の相手はあの時逃した卵が孵った奴っぽいな」
 月影 飛翔(aa0224)も蜘蛛と遭遇していた。
 ニウェウスのレーダーと阪須賀の【SSG】のおかげで戦闘は避けられているが進むにつれて蜘蛛の数が多くなり動き難くなり始めている。
『あの時も英雄救出が始まりでしたね』
 以前の依頼を思い返すようにルビナス フローリア(aa0224hero001)が山の上の方へと目を向ける。
「重体のリベンジと行きたいが、救助が最優先だ」
 自分自身に言い聞かせるように言葉にして飛翔は視線を周囲へと戻す。
『少々派手に動いてこちらに惹き付けましょうか』
 誰かが囮にならなければこれだけの数の敵の群れを通過するのは難しいだろう。
「救助隊到着の合図にもなるしな」
 ルビナスの言葉にそう応えて飛翔は隠れていた茂みから飛び出した。

●祈りは砕けて
 通信を通して聞こえてくる蜘蛛という単語に荒木 拓海(aa1049)の思考が街灯も無い山道の暗さに引き込まれるように沈んで行く。 
 あの時、取り逃がした事。
 卵を殲滅出来なかった事。
 そして、それが関ってるとしたら……。
 とりとめのない思考が拓海の心の中で渦を巻き始める。
『拓海!』
 弾けるようなメリッサ インガルズ(aa1049hero001)の声が思考の渦に沈みかけていた拓海の頬を叩くように響く。
「リサ……」
 何かを言いかけた拓海の言葉を遮るようにメリッサは
『前を向いて』
 そう声をかける。
 微かな星明りの中、道の端に車の影が見える。
「二ノ宮さんの車でしょうか?」
 同じ影に気付いた国塚 深散(aa4139)が足を緩め、
『敵が潜んでいるかもしれませんよ』
 という九郎(aa4139hero001)の声に忍刀「無」の柄へ手を添えて警戒の視線を巡らせる。
「二ノ宮さんの携帯の位置はやっぱりわかりませんか?」
 深散の問いに返ってきたのは「不明」という変わらない返答だった。
「近付いてみよう」
 Wアクス・ハンドガンを手にした拓海が慎重に車へと近付く。
 その車の向こう側にもう一台の車と横たわる人影が見えた。
「二ノ宮さん!」
 ピクリとも動かない利勝の姿に足が止まった拓海よりも先に深散が利勝に駆け寄る。
 その動きにつられるように駆け寄ろうとした拓海をメリッサが押し留める。
『拓海は周囲の警戒よ』
 静かなその声に拓海は慌てて武器を構えて周囲を警戒する。
『深散』
 静かな声で九郎が深散を促す。
 利勝はすでに事切れていた。
 
●黒き蜘蛛の壁
 囮になって戦闘を引き受けた飛翔のおかげでニウェウス達は動きやすくなってはいた。
 だが、全ての黒蜘蛛が飛翔の元へと向かったわけではない。
「もう少し北側に身を隠せそうな岩場が有るっす」
 通信機から聞こえる槇の言葉に「わかった」と短く返してニウェウスは黒蜘蛛に気付かれないように静かに移動して、岩場に身を隠してモスケールを起動する。
『英雄はライヴスの塊みたいなモンだから。引っかかるはず、だけど』
「引っかかったものが、愚神である、可能性もある……」
 今探しているのはその愚神だったが、レーダー画面に愚神と思われるような大きなライヴスは表示されていない。
 代わりに無数の小さなライヴスがベンドと自分達を隔てるように画面を覆っている。
「次のグリッドへ移動するわ」
 短く告げて立ち上がったニウェウスに
『出会い頭の正面衝突は避けてくださいねー』
 緊張感の欠片も無いいつもの調子でストゥルトゥスが声をかける。
「……気を付ける、ね」
 いつの間にか張りつめていた空気をゆっくりと吐き出してニウェウスは慎重に一歩を踏み出す。

「近付けている気がしないな」
 黒蜘蛛を倒してすぐにその場を離脱しながら藍は愚痴るように呟く。
『真っ直ぐ進めませんからね』
 禮の言うように今も黒蜘蛛との戦闘を避けるためにベンドの位置情報からは少しずれた方角へ向かっている。
 藍は黒蜘蛛の気配が周囲に無い事を確認して木の陰に隠れて【SSG】を開きベンドの位置を確認する。
 思ったよりも時間が経過している。
 救出を急ぐべく慌てて表示を消したスマートホンの暗い画面に共鳴した今の顔が写り込む。
 そっとその顔に触れてスマートホンをしまうと、藍はゆっくりと息を吐き出して焦りを抑え移動を再開する。

「拓海」
 僅かな戦闘の合間に飛翔は拓海へ呼びかける。
「あまり自分を責めるなよ。あの時の卵破壊は俺の役目だったんだ」
 利勝の死を深散が伝えてから拓海はずっと沈黙したままだ。
『私達も対応できませんでしたので』
 ルビナスも気になるのか同じように拓海に声をかける。
「大丈夫だよ、俺は」
 返ってきた声はいつもの拓海と変わらなかったが、
「大丈夫ではありません」
 深散が拓海の言葉を否定する。
『そうね、大丈夫じゃないわ』
 メリッサの声もそれに同意した。
 愚神を追って山の中を一緒に走っていた深散につられるように拓海も足を止める。
『拓海、今しなきゃいけない事は何?』
 メリッサの言葉に拓海は一瞬言葉を失ったように立ち尽くす。
「……ベンドさんを助ける事だ」
 ゆっくりと口にした言葉をもう一度確認するように拓海は繰り返す。
『そうね』
 メリッサの声を聞きながら拓海は胸に溜まった淀みを吐き出すように大きく息をつく。
「ありがとう。チルル、リサ」
 拓海はそう言うと再び走り出す。

『この辺りだねー』
 雲瑠花の言葉に夜美霞は茂みへと身を隠してスマートホンの光を隠しながら画面を確認する。
 ベンドのいると思われる辺りには到着したが周囲に人の気配は感じられない。
「さて、どこに居るかだね」
 周囲には黒蜘蛛の姿も見える為、迂闊な動きは出来ない。
「たぶん、この辺りだ」
 マナチェイサーで痕跡を探っていた藍が【SSG】を通して範囲を指定する。
『上から見てみようか?』
 雲瑠花の提案に応えて夜美霞が鷹の目を発動する。
「阪須賀さんは画像解析お願いします」
 ライヴスで作られた鷹の足にカメラモードのスマートホンを括り付けて空へと放つが、鷹の視力でも生い茂った木の葉を見通すことは出来ない。
「その辺りで人が隠れやすそうな場所っす」
 阪須賀がピックアップした場所が【SSG】に追加される。
『順に確認していくしかなさそうだね』
 雲瑠花の声を聞きながら夜美霞は一番近くのポイントへ鷹を向ける。
『あれ、人じゃない?』
 最初のポイントが見渡せる木の枝に止まると同時に雲瑠花が声を上げる。
 確かに大きな木の陰に人影らしきものが見える。

「ちょっと、そのままでお願いするっすよ」
 夜美霞から送られてくる画像を槇は手元のスマートホンで操作して解析ソフトへとかける。
『兄者、そんな事をしてる間に……』
 誄が言いかけた言葉を飲み込む。
「さすが、H.O.P.E.のサーバー」
 槇のノートPCでもそれなりの時間が掛かる画像解析が瞬く間に完了している。
『……間違いなさそうだな兄者』
 画像に映る横顔を確認して誄が声を上げる。
「ビンゴ!」
 そう言いながら槇はマップを操作して周囲の細かい地形と仲間達の位置を確認する。

「最悪です」
 ニウェウスは苦々しげに口にする。
 愚神らしき反応をようやく見つけたのだ。
 だがその反応はすでにベンドのすぐ側に迫っている。
「昴」
 ニウェウスがかけた声に昴は
「あれが愚神ですか」
 と応える。
 その視線の先には夜の山と不釣り合いな中学生くらいの女の子が立っている。
 そしてその向こう側にベンドが隠れているのだ。
『昴、慎重にな』
 ベルフが声をかける。
 愚神は昴に背を向けてベンドの方へと歩き出している。
「九字原さんはベンドさんを!」
 昴が飛び出すのと同時に上空から一羽の鷹が真っ直ぐに愚神へと襲い掛かる。
 夜美霞の鷹の目が愚神の注意を引いたその僅かな隙に昴はベンドの元までたどり着いていた。
 だが、それが限界だった。
 逃げる暇もなく愚神が真っ直ぐに昴とベンドを見つめている。

 突然茂みをかき分ける大きな音が響く。
 ガサガサと揺れる茂みに警戒するように愚神が背に二対の虫の脚と腹を現す。
 飛び出してきたのはキースだった。
 だがその装備は新人エージェントのように頼りない物に見える。
「え……え。まさか、愚神?」
 昴と愚神の間に飛び出してきたキースは怯えたような声を上げて逃げるように走り出す。
「カウント3で目を閉じてくれ」
 昴の通信機に征人の声が届く。
「う、うぁああああ!」
 逃げる背に糸が放たれて拘束されたキースが地面に転がる。
 ベンドとの間に転がったキースを一瞥して愚神はゆっくりと歩み出す。
「1」
 征人がカウントを始める。
「2」
 転がったままのキースのすぐ側に愚神が近づく。
「「3!」」
 征人と同時にキースが声を上げる。
 フラッシュバンの閃光が夜の山を真昼のように照らし出す。
 至近距離でその光をまともに浴びた愚神が立ちすくむ。
 その隙にキースはちゃっかふぁいあーくん1号で糸の拘束から抜け出し、昴はベンドを連れて走り出す。
 だが、その足がすぐに止まる。
 木々の間から姿を現した黒蜘蛛が昴とベンドの退路を塞いでいた。

「追わせはしない!」
 足止めされたベンドの方へ体を向けた愚神へと炎の幻影を纏った刃が振り下ろされる。
 まだ視力自体は回復していないのか愚神は必要以上に大きく征人の攻撃を回避する。
「目的はなんだ?」
 油断なく薙刀「焔」の切っ先を愚神へと向けたまま征人が声をかける。
「誰かの為、か?」
 だが、征人の声など聞こえていないかのように愚神は何も応えない。
「レミノーラか?」
 征人が告げたその名前に愚神が征人へと視線を向ける。

「俺はいい、君達だけで逃げろ!」
 ベンドは答えが分かっていてもそう言わずにはいられなかった。
「大丈夫です。僕らが助けます」
 昴がそう応えて雪村で正面の黒蜘蛛を斬り払うが押し包むような黒蜘蛛の群れは厚く、すぐに別の黒蜘蛛が空間を埋めてしまう。
「ベンドさんも諦めないでください!」
 夜美霞の声と共に赤く燃える蝶がひらひらと舞いベンドに襲い掛かろうとしていた黒蜘蛛を燃やす。
 木の上から飛び降りて来た夜美霞が昴の反対側を守るようにベンドの隣に立つ。

「まさか!」
「そんな!」
 征人とキースが揃って驚きの声を上げる。
 二人の攻撃を回避して愚神は翼でもあるかのように宙に跳びあがる。
 その視線の先に黒蜘蛛に囲まれたベンドと昴、夜美霞の姿が見える。
 追いすがるように駆け出すが、間に合う距離ではない。
 だが、空中の愚神が弾かれるように方向を変え、直前まで愚神が居た空間を光の矢が通過する。
「すまない、遅くなった!」
 ケイローンの書から光の矢を放った藍が合流する。
「こいつを足止めする!」
 空中に浮かぶ愚神の上へと木の幹を蹴って跳びあがった飛翔が真上からブレイブザンバーを振り下ろす。
 避けることは出来ない、そう思えた一撃を急激に落下速度を速めて愚神が回避する。
 そのまま地面に足をつけた愚神を四人が取り囲む。

「援護します!」
 ニウェウスの声が響き昴と夜美霞を取り囲む黒蜘蛛に終焉之書絶零断章から放たれた光線が次々と突き刺さる。
「逝ってよし」
 さらに槇のAK-13の銃弾が黒蜘蛛を打ち倒し退路を開く。
『行くぞ!』
 ベルフの声を合図に昴を先頭に三人が退路を駆け抜ける。
『しつこい男は嫌われるんだよ』
 押し包むように左右から迫る黒蜘蛛を雲瑠花が風魔の小太刀で斬り払う。
「先へ!」
 囲みを抜けた昴が雲瑠花に声をかけてハングドマンの片方を近くの幹へと突き立てる。
『まっかせたよー』
 声をかけながら横を駆け抜けた雲瑠花を確認して昴はもう一方の短剣を離れた幹へと投擲して身を翻す。
 追いかけて来た黒蜘蛛の一群がその鋼線に絡まり動きを止める。
「少しは時間が稼げるね」
 合流したニウェウスと並んで走りながら昴は残してきた仲間達の方へと不安げな視線を向ける。

「速いな……糸でも使っているのか?」
 四人の囲みを抜けて木々の間を飛ぶように移動する愚神を追いながらそう言った藍に
『……森で相手をするのはむずかしいですね』
 愚神の進行方向にブルームフレアを放ちながら禮が応える。
 炎で糸が焼ききれたのか、それともただ単に攻撃に反応しただけか、どちたにしろ愚神が地面に足をつける。
 再び跳びあがろうとする愚神の動きをキースが妨害射撃で阻害して、足を止めた愚神に飛翔と征人が同時に斬りかかる。
 だが、その攻撃を予想していたかのように愚神は大きく跳び下がり、距離を取るように後退した愚神との間に黒蜘蛛が並ぶ。
『まるで遊んでいるかのようですね』
 黒蜘蛛の群れの中に見え隠れする愚神の姿を追いながらルビナスが苦々しげに口にする。
 愚神は今の所、一度も積極的に攻撃をしていない。
『何だか、イヤ』
 ミーシャもどこか苛立たしげにそう口にする。
『兄さん!』
 禮が警告の声を上げる。
 黒蜘蛛の向こうに見えていた愚神の姿が消えていた。

「行かせません!」
 黒蜘蛛を壁にしてH.O.P.E.のエージェントはまいたはずだった。
 だが、木の陰から滲み出るように現れた面をつけた女の斬撃に足を止められる。
「あの時、愚神にも心が有ると感じた」
 女の他にもう一人男が姿を現す。
「だけど、それがこの結果と成ったなら迷わず倒すべきだった」
 そう言うと男は斧槍を構える。
 さて、どうするか。
 ベラは思案するように周囲へと視線を向ける。

●闇を抜けて
『黒苔蜘蛛なめンなよオラァアアアッ!』
 響く雲瑠花の声に
「ちょ、雲瑠花……」
 夜美霞の声が混ざり、朱里双釵を突き立てられた黒蜘蛛が毒刃を受け動きを止める。
 さらに立ち塞がる黒蜘蛛を昴の雪村とニウェウスの終焉之書絶零断章が季節外れの氷雪を纏って打ち倒す。
『出口だ!』
 木々が途切れて開けた場所に飛び出す。
 ベンドを背にかばうように三人が山へと向き直り飛び出してくる黒蜘蛛を警戒するが、敵が現れる気配は無い。
「逃げ切れたのかな?」
 夜美霞の言葉に
「周囲に反応はない」
 とモスケールを確認したニウェウスが答える。
『後は皆無事に帰って来るだけね』
 警戒を解かないままそう言った雲瑠花に
『信じて待ちましょう』
 ストゥルトゥスが応えてまだ仲間達が戦っている山へと目を向ける。

「無事に孵化したってところか。その分だと母親も元気そうだな」
 斬り結ぶ愚神に飛翔が声をかける。
「お前の兄妹の卵を潰したのは、俺だ」
 突き出される槍のような蜘蛛の脚を回避して飛翔が距離を開ける。
「レミノーラの子か……ずいぶん大きくなったな」
 その空間に藍が飛び込み愚神の動きを妨害する。
「これが複数になっていたかもしれないと思うと、潰しておいて正解ではあったか……後味は苦いが」
 六人を相手に一歩も引かない愚神に対して心の中でそう呟いて藍はトリアイナを突き出す。
「だが、今更迷うなど……倒してきた敵に対し無礼なことはしない」
 至近距離から突き出されたその一撃を愚神は糸を使い回避する。
 僅かに体勢を崩したかに見える愚神に拓海が疾風怒濤の勢いでオネイロスハルバードを叩き付けるが、その一撃すら愚神は回避して見せた。
 回避に専念する愚神が周囲へと視線を巡らせる。
「取り巻きももうほとんどいねぇっすよ」
 薙刀を構えたまま征人が愚神へと声をかける。
 黒蜘蛛はもうほとんど残っていない。

「彼は救出させてもらった」
 動きを止めた愚神に飛翔がたったいま届いた通信の内容を伝える。
「で、まだやるか?」
 愚神は黙ったまま動かない。
「戦況はこちらが圧倒的に有利。どうします?」
 ピースメーカーの銃口を愚神へと固定したままキースが声をかける。
 その言葉に反応したように愚神が小さく息をつき体の力を抜く。
 ほんの僅かに、息をついた愚神につられるように一瞬空気が緩む。
 その瞬間に残っていた黒蜘蛛が動いた。
 一斉に跳びかかって来る黒蜘蛛をエージェント達の武器が斬り払う。
 だが、その攻撃はただの目くらましだった。
 斬り払った黒蜘蛛の体の向こう側から鋭い愚神の脚が突き出される。
 不気味な湿ったような光沢を帯びた愚神の脚がキースの体に触れる。

 愚神が驚いたように目を見開く。

 キースの体に突き立てられるはずの足が跳ね上げられる。
 黒蜘蛛の動きをエマージェンシーで僅かに速く察知した深散は黒蜘蛛を倒さずに回避して愚神の攻撃を防いだのだ。 
「無茶をしますね」
 深散を狙う残った黒蜘蛛を藍がケイローンの書で撃ちぬく。
 愚神が大きく跳び離れ距離を取る。

「OK弟者、派手に行こうか!」
 声が響く。
 愚神が距離を開けたそのタイミングを狙って槇がフリーガーファウストG3のロケット弾を撃ち込む。
 足元に打ち込まれたロケット弾は土を噴き上げ愚神の視界を覆い隠す。
 空気を震わせる爆音が響くと同時にエージェント達は反転して木々の間へと走り出した。
『時に兄者、山火事の危険は?』
 続けてもう一セット撃ち込んだ槇に誄が声をかける。
「え? 非焼夷ロケランで火事って在り得ないお?」
 そう応えて槇も愚神に背を向けて木々の間へと駆け込んでいく。

「ああ、お母様に言伝を頼めるかな?」
 視界を塞ぐ土砂の向こう側から聞こえる声の主を狙おうと思えば狙う事も出来た。
「……赦せなどとは言わん。相容れぬなら戦うしかない、そうだろう?」
 だがベラは足を止めたまま言葉を聞いていた。

●それぞれの思い
「ごめんなさい」
 そう言って頭を下げた深散にベンドはどう声をかけていいか分からなかった。
 彼女らが責任を感じる必要はないのだ。
 責められるべきはあの時、強く引き止めなかったベンド自身なのだ。
「迷惑、かけたな……」
 何といっていいか分からないまま言葉が零れ落ちる。
「ベンドさん」
 項垂れるベンドに拓海はかける言葉を探していた。
「良ければ任務の話とか聞かせて欲しいです」
 出てきた言葉に拓海は慌てて、
「オレはエージェントとしての経験が薄いから、話の一つ一つが糧になるから」
 と言い訳のように付け加える。
 そんな拓海の姿に苦笑してベンドは視線を地面に落とす。
「引退だな、爺さん」
 その声に応える者はもういない。

「……ミーシャ。煙草、一本だけ吸っていい?」
 項垂れるようなベンドの姿から目を逸らして自然とミーシャに向いた視線を誤魔化すように声をかける。
「ダメ」
 予想通りの答えに小さく息をついた征人は
「……あとで温かい物作ってあげるから、それで我慢して」
 続いたミーシャの言葉に
「わかった、我慢する」
 と応える。

「レミノーラもそろそろ動き出すのでしょうか……」
 静かに見える山を見渡して禮が藍に問いかける。
「だとしても、いつも通り。だろう?」
 そう言いながら藍は最後の言葉が愚神に届いたかどうかを考えていた。
 考えても答えの出ない問いに藍はスキットルを取り出して煽る。
 いつもと同じはずの酒が今日はいつもより苦い気がする。
 その藍の横顔を見上げて禮は真剣な表情で冠を撫でると
「……そうですね。この冠に懸けて」
 何かに誓うようにそう口にする。

「この辺り一帯が、既に敵の手の中ってことかな?」
 簡単な経緯をキースから聞いて夜に沈む景色を見渡す紙姫の後ろ姿をキースは見つめていた。
 愚神の脚先が触れた胸にそっと手を添え、パートナーを失ったベンドの姿へと目を向ける。
「キース君は大丈夫だよ」
 振り返った紙姫がキースに微笑みかける。
 その笑顔に力づけられるようにキースは
「次はこちらから打って出ないとダメかもしれませんね」
 そう口にする。

「次こそ決着をつけてやる」
 飛翔の言葉にルビナスも
「そうですね、次は全ての蜘蛛の巣を掃除いたしましょう」
 そう応える。
「良い蜘蛛だっているんだよー、知らない? 朝の蜘蛛は福が来るって」
 ルビナスの言葉に雲瑠花が声をかける。
「存じております。ですが夜の蜘蛛は盗人が来るのでしょう?」
 その応えに雲瑠花は
「そう、悪い蜘蛛もいるの」
 そう言って笑顔を見せると夜美霞の肩をポンポンと叩く。
「良いも悪いも人次第」
 雲瑠花はそう言うと夜美霞の周りをクルリと回って離れていく。

「愚神を逃がしてしまってよかったのかな?」
 山へと警戒するような視線を向けたまま昴が呟いた言葉に
「倒せたならな」
 ベルフが応える。
「無理、だったかな?」
 ベンドを保護した後にすぐに戻って全員で戦っていればと考えてしまう。
「さぁな、だが敵を知らないまま挑めば間違いなく誰かが怪我をする」
 怪我だけで済めばいいが。
 ベルフの方に視線を向けてベンドは言いかけたその言葉を飲み込む。

「すごかったですねー」
 ストゥルトゥスが槇のノートパソコンの画面を覗き込む。
「あ、え、いや、えと……」
 すぐ横に有るストゥルトゥスの顔に挙動不審な槇の様子に誄は苦笑する。
「ほんとに、助かった」
 反対からかけられたニウェウスの声に何か妙な動きで応じている槇の様子に誄はとうとう笑いがこらえきれなくなり噴き出す。
「兄者、慌てすぎだ」
「そ、そ、そんな事はないでござるよ」
 不思議そうなニウェウスの表情にますます慌てたように槇が挙動不審になる。
「これ、私でも使えるかな?」
 ストゥルトゥスの言葉に槇の代わりに誄が応える。
「H.O.P.E.の回線とサーバーがあれば」
 今回は特別に借りることができたが、よほどの理由が無い限りH.O.P.E.のサーバーなど借りられるものではない。
「ところで【SSG】って何かの略っすか?」
 近くで話を聞いていた征人の声に助け舟とばかりに槇が飛びつく。
「【SSG】は阪須賀の流石なGPSの略っす!」
 そのままなネーミングに皆が言葉を失った中で征人だけが何とか
「……わかりやすくていいっすね!」
 そう返した。

担当:明

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 喪失を知る『風』
    国塚 深散aa4139

重体一覧

参加者

  • 『星』を追う者
    月影 飛翔aa0224
    人間|20才|男性|攻撃
  • 『星』を追う者
    ルビナス フローリアaa0224hero001
    英雄|18才|女性|ドレ

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避

  • ベルフaa0919hero001
    英雄|25才|男性|シャド
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
    人間|16才|女性|攻撃
  • ストゥえもん
    ストゥルトゥスaa1428hero001
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • 難局を覆す者
    久兼 征人aa1690
    人間|25才|男性|回避
  • 癒すための手
    ミーシャaa1690hero001
    英雄|19才|女性|バト
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 白い渚のローレライ
    aa2518hero001
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • 毒を以って毒を制す
    白雲 夜美霞aa3523
    人間|21才|女性|回避
  • 毒を以って毒を制す
    待雪 雲瑠花aa3523hero001
    英雄|21才|女性|シャド
  • 天秤を司る者
    キース=ロロッカaa3593
    人間|21才|男性|回避
  • ありのままで
    匂坂 紙姫aa3593hero001
    英雄|13才|女性|ジャ
  • 喪失を知る『風』
    国塚 深散aa4139
    機械|17才|女性|回避
  • 風を支える『影』
    九郎aa4139hero001
    英雄|16才|?|シャド
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862
    獣人|21才|男性|命中
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 誄aa4862hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
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