本部

恋は戦争、愛は略奪

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
4日
完成日
2016/11/03 11:22

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掲示板

オープニング


●人の心を奪う魔物。

 夜の都心、高架下。そこは連日夢追い人のミュージシャンがあつまって。ちょっとしたライブ会場に変貌する。
 今日もそうだった。ライブ告知を聞いたファンの面々が続々と集まり出すと。
『瀬尾 柊』はギターを片手にファンに囁いた。
「今夜も集まってくれてありがとう」
 マイク片手にスピーカーに腰掛け、けだるそうに観客を見つめる柊。
「そうだ、こんどメジャーデビューが決まったんだ、ここにいるみんなに最初に聞いてほしくて黙っていたけど。これもみんなのおかげだ」
 どよめく観客たち、複雑な思いが胸にあふれるのだろう。
 成長が嬉しいような、遠くに行ってしまうような複雑な気分なんだろう。
 だが今は一緒に楽しむことにした、この最後の高架下ステージでの演奏を。
「愛してるぜ、みんな」

 その時だ。不思議なことが起こった。

 不自然に、その言葉が空間に響いたのだ。まるで何かの魔力を持っているように甘く切なく響いた。
 そしてその言葉を受けた観客たちは普段と違う反応を見せた。
「キャー、柊、愛してる!!」
「うおおおお! 柊愛してるぜ!」

「は?」

 おかしかった、柊のファンはこんな盛り上がり方をする人たちではない。
 柊の音楽は、者悲しく切ない、酒を片手に噛みしめる系の音楽なのだ。
 今までライブ中にこんな風に騒いだことはなかった。
「いったいなんで……」
 その問いに答えられるものが一人だけいた。
 興奮の絶頂にある観客の中にあって一人だけ理性を保っている者。
 『陽下 真昼』が狂っていく人々を見て微笑みを浮かべた。



● 出動、愛を刈り取れ。
 
 上記異常事態は実は高架下だけではなく、都内全域で発生した。
 異常事態とは、住民たちが極度の興奮状態に陥る症状だ。
 この異常事態のせいで徐々に死んでいく都市機能。このままではまずいとH.O.P.E.に調査と対策の白羽の矢が立った。
「あの愚神の力でなく、このドロップゾーンのルールみたいね」
 調査結果の報告に駆り出されたのは遙華である。
「ドロップゾーンのルール?」
 オペレーター春香は遙華に問いかける。
「調べたところ、都内に愚神の反応はなかったの、ただ広域にドロップゾーンが展開されているわ。このドロップゾーン従魔を生成する能力はないみたい」
「よかった……」
 春香はほっと胸をなでおろす。
「ええ、ひとまずこれから従魔が召喚されて大参事なんてことはないわね。その代りその力の弱さのおかげでプリセンサーに察知されなかったともいえるけど」
「力が弱いって、そんなに?」
「ええ、具体的には人の感情を高ぶりやすくすることと、一つのルールを設定を設定すること」
「どんなルールなの?」
 緊張滲む声で春香が問いかけると、遙華は一つ頷いて答えた。
「このゾーン内部だと、極端に惚れっぽくなるわ」
「惚れっぽく……」
 春香は頷く。
「ええ、そして惚れてしまうと疑似的な洗脳状態になるわ」
「洗脳状態……」
 春香の顔が今度は青っぽく変わった。
「それじゃあ、あのゾーン内に入ったリンカーたちは……」
「ええ、惚れっぽくなるわ」
「…………、なんでそんな面白空間……」
「目的がよくわからないけど、ただ一つ言えるのはほっといたら大変なことになるってことだけね」
「ああ! そう言い忘れてけど、このゾーン前頭葉の機能を弱める効果があるみたい」
「それってどういう……」
「つまり理性がそもそもきかなくなる……」
「理性が……」
 春香は頷く。
「つまりお酒に酔った状態、人にかなり気を許した状態。人に気を使えない状態になりやすいわね」
「意外とこのゾーン、ルールが盛りだくさんだったね……」
「ええ、盛りだくさん、こんなルールが盛りだくさんのところにみんなを放り込むのはとても気が引けるけど、頑張って調査と原因解明をお願いね」

● 都心の状態。
 現在都心には大きく分けて三つの問題が発生しています。
・交通の乱れ バスや電車などが全く機能していません。
・人の流れ  多くの人間が固まって移動しているため調査に支障が出ます
・ジゴロの存在 むやみやたらに告白を仕掛けようとして来る存在がいます。男女共に存在するので注意が必要です。  




●ゾーンルール。--------------下記PL情報------------------

 このゾーンは常時不思議な歌が響いており、そのせいで人間の脳機能を狂わせます。基本的に英雄には効果はありませんが、なぜかゾーンルールに侵されてしまう英雄もいるようです。
 ではゾーンについて細かく説明します。

1 ゾーン内部では理性が利かない。および興奮しやすい。惚れっぽくなる。
2 ゾーン内では『告白』が強い力を持つ。
3 このゾーンはとある人物を中心に動いているようである。
 

 このPL情報はリンカーがゾーン内部で収集した情報として扱って構いません。
 つまり出発前はわからなかったが、出発直後に調査で分かったこととして扱ってください。

-------------------------------ここまでPL情報-----------------------

・『告白』について
 このゾーンでは、相手に大好きな気持ちを伝えるとその人物を『トリコ』にすることができます。
 『トリコ』とは半永久的に洗脳状態になるBSステータスです、ケアレイで回復可能です。
 『トリコ』になると基本的に告白者の言うことを聞いてしまいます、また、純度100%のデレ状態になります。
 問答無用です、ツンデレも、ダルデレも、ドロデレもヤンデレも許されません、デレデレ状態です。
 では告白方法について説明しましょう。

・『告白』ルール
 対象に『告白』することによって虜にすることができます。
 告白に対する抵抗力は特殊抵抗が高ければ高いほど成功しやすいです。
 また告白方法によって感情傾向分のボーナスを得ることができます。
 また、『トリコ』の数が多いほど告白判定に成功しやすくなります 

●告白方法
 ここに告白のモデルケースを記載します。
 基本的には感情傾向の●●を使ってこのように告白するという風に書いていただけるとボーナスが入ります。
 その方向に性格傾向が傾いていると多くボーナスが入ります。
・『壁どん告白』 攻撃
 乱暴に対象を壁に押し付けて告白します。
・『歌唱告白』 感情
 好きな気持ちを歌にのせて伝えます。
・『誘惑告白』 恋愛
 異性の魅力で誘惑して告白します。

解説

------------------------下記PL情報-------------------------
目的 『陽下 真昼』をほれさせる。
 
 都心の状態を考慮して真昼を発見し惚れさせましょう、
 ちなみに彼女をトリコにできるものがいなくなった場合この任務は失敗です。
 

● 『陽下 真昼』について。
 女 26才 職業 グロリア社秘書
 グラマラスな体系と、なびく金色の髪。フランス人とのハーフらしい。
 両性が恋愛対象で、どっちかというと女の子が好きらしい。
 この恋愛空間(ドロップゾーン)はお金で買ったと供述している。
 人が集まる場所が好き、また可愛い少女に目がないようだ。
 また、このドロップゾーン内では男も女も告白合戦で負けなしなので、かなり自信を持っている要する。

 そしてシナリオ開始時点では彼女がどこにいるかはわかりません。
 ただヒントをOPや解説にちりばめたので、彼女を探すなりおびき寄せるなり作戦を立てていただければと。

------------------------ここまでPL情報-------------

リプレイ

プロローグ
『卸 蘿蔔(aa0405)』は駅構内に降り立った瞬間から普段の街並みとの違いを感じていた。
 戸惑う蘿蔔に『レオンハルト(aa0405hero001)』は告げる
「また面倒な空間だな……しかも広い」
「はい。広さだけはロンドンを思い出します」
 その隣で佇むの『Hoang Thi Hoa(aa4477)』が不敵に笑みを作った。 
「つまり、ここでは恋愛し放題ってこと!? 燃えてきたわ!」
 浮ついた空気、行きかう男女の瞳は熱を持ち、複数の視線を感じる。
 つまり違和感の正体は人の動きだろう。
 人の波とはどこかをめざし流れていくものだが、今この場にいる人間たちの目的はどこかに行くことではなく、誰かを虜にすること、だから大都会特有の人の流れは淀み枯れ果てている。
「いけないですね」
 そう蘿蔔はお団子にして髪をたたみ上から帽子を深くかぶった。容易に人に話しかけられないようにするためだ。そしてレオンハルトの袖を引いて目的地をめざし歩き去る。
 一組のリンカーを尻目に。
「なんて不思議なルールなんだ」
 そう頭を抱えるのは『東海林聖(aa0203)』である。
「……すごく特殊だね……普段の力技は通用しないだろね……。というより、なんでこのミッション受けたのかのほうが不思議なんだけど?」
 『Le..(aa0203hero001)』が不服そうに告げた、お腹がすいているのかもしれない。
「まさかこんなゾーンだと思わなかったんだよ、出先だったろ、急遽だったろ? うおおおお」
 そうストラップ付きのスマホをしまい聖は辺りを見渡した。
「文句ばっか言ってても始まらねぇ、やるか」
 切り替えが早いのは彼の長所である。そんな彼が先導する先へと進むと、Leの目の前に見たことのある背中が見えた。
 足早に人ごみを切って歩く『防人 正護(aa2336)』の後ろ姿。そんな彼に『Rudy・S・B,phon(aa2336hero002)』が追いすがった
「全く……なんて依頼だ……さっさと終わらせるぞルディ!
「…………、……お爺上様」
「どうした?」
 振り返った正護、そしてRudyの表情を見る、しかし彼の目が座っている、座っている上に正護しか見ていない。
 その独特の視線の正体に正護はすぐに気が付いた、これは理性を亡くしたものの目だ。
「なんだか……ここは」
 Rudyは上着を脱ぎ捨てた。
「様子がおかしいです……だから」
 ボタンを上から三つほどはずし、そのしなやかな指を正護の腕に這わせて感触を確かめるようにしっとり握る。掴む。
「私が全身全霊を持ってお守りいたします……だから」
 そうRudyは正護を引き寄せ捕えようとした直後、青くなっていた正護の顔が反転、赤くなった。
「………………おかしいのはお前だぁ!!」
正護逃走。駅構内の客をうまく使いRudyをまこうとひた走る。。Rudyはそれを追いかけれるも、この世界に来て日が浅いのが災いした。
 土地勘もないのであっという間に正護を見失う。
「お、お待ちください!お爺上様!!」
「ぴゃーーーー」
 その一部始終を見ていたのは蘿蔔。赤面して固まってしまっている。
「なるほど、同性もありか……」
 レオンハルトが不吉なことを言っている。
 唐突に示されたお手本を見て固まっていたのは聖も同じ。
「っつぅか……なんかココで『告白』するのも、されるのも負けな気がする……」
「ヒジリー……意外とちゃんと思春期だった……じゃ、誰だったらしたいの…?」
「誰って…………」
「え、大事だよ、ココ……」
「……いやいや! いまそれどころじゃねェだろ!? 舌噛むかと思ったじゃねェか! あ、後にしろ!!」
 

第一章 通り魔、告白魔
 Rudyの脅威から逃げおおせた正護はまだ駅構内にとどまっていた。
「この一件……ドロップゾーンの性質上犯人はボヤ騒ぎを見て喜ぶ類だろう……ならば犯人はこのボヤが一望できる場所……少なくともこの騒ぎの内側にはいないはずだ!」
 冷静さを失っての回答を導き出し、ルディから逃つつ犯人捜し開始。
 その間受ける告白は全て無視する正護である。
「ねぇ、君、いま時間あいてない?」
「暇はない、任務中だ」
「ねぇ君、良い胸板だね、触らせてくれないか」
「公然の場ですることじゃないな」
「貴女に一目で惚れました」
「俺には大切な女性がいる」
 すべての告白ににべもなく断りをいれる正護、その頭の中では『あの人』を常に思い浮かべ、欲望には負けないようにと。
「というより! なんで男しか来ないんだ!」
 心底嫌そうに壁に頭を叩きつける正護。耳に蓋をしてすべての音を遠ざける。
「……なんとなくわかった。ゾーンルールの影響が濃い程ルーラーに近づいている筈だ、ならば。濃い方に向かっていけば……」
 冷静でない頭をフル回転させ正護はそう結論付ける。
 そして騒ぎの渦の中心へ足を運んでいくと、聞いたことのある声が耳を突いた。
 そこにいたのは二人の男子。
『ガルー・A・A(aa0076hero001)』と『木霊・C・リュカ(aa0068)』である。
 眉目秀麗、甘いマスク。二人の手にかかれば生半可な女子等いちころである。
 よって、二人の周囲には取り巻きができていた。一部男が混じっているのはきっと何かの間違いに違いないが。
「リュカ、あいつ……」
 駅構内は声が通りにくい『オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)』がリュカの手を引くと耳をその方向に傾けるリュカ。何事か相談し、リュカが頷くと白杖をつきながら女性へむけて歩いていく。
 そしてリュカは女性の視線を捉えると柔らかく笑い告げた。
「Excuse me」
 緊張と期待で頬を染める女性。
 道を聞いているようだ。
「すみません、なかなか日本に慣れなくて」
 そう告げ、リュカは女性の手を取った。
「けれどあなたのような人がいてよかった」

「凛とした声、確固たる自分の芯があるのがわかります」

「どうしましょう、そんな素敵なあなたに心を奪われました」

「あなたが好きです」
 みるみる陥落していく女性。そんな風景を見ながら、ビービ―と電子キーボードを鳴らしているのは『紫 征四郎(aa0076)』
 ちなみに電力は駅員さんを虜にして駅の電力をいただいている。
「おいおい、そんなにへそをまげるなよ」
 ガールーは半分面白がりながら征四郎に声をかけた。
「征四郎はあんなのだめだと思います、不純です」
 リュカは一度成功告白を成功させると加速度的にトリコを増やし始めた。そんな彼を見ているととてももやもやする征四郎である。
「……早めに終わらせる為にも、頑張るのです」
 そう自分だけに聞こえる声で呟いて、そして軽やかに鍵盤をたたく。
「つまり、沢山の人にあ、あいを伝えたほうが効率的、です!」
 まずはインスト。音楽だけで周囲の気を引く。足を止めてこちらを見てくれる人が増えたところで。征四郎は客たちに語りかけた。
「征四郎です! 今日は。どうしても皆に伝えたいことがあってきました!」

この世界を守りたい あなたの本当の気持ちを
大好きだから 私に笑いかけてくれる暖かさの全てが!
きっときっと、想いは伝わると信じて

 そう征四郎は電子ピアノで曲を奏でながら愛を伝えていく。
 そんな少女の姿に心奪われないわけもなく、征四郎もトリコをどんどん増やしていった。
 駅内部は彼女たちの城となる。
 ただこの四人、むやみやたらに告白しているわけでは無い。トリコにした駅従業員には、通常と同じように業務を行うこと、一般市民には無事家に帰りつくことを『オネガイ』してある。これは作戦なのだ。
「あなたの髪すごくきれいだ」
 征四郎の告白が伝わらない相手はガルーが直接落としにかかる。
「いやぁ困った、一目惚れってあるんですね」
「よければお名前を聞かせてくれないかな、俺は君が好きになってしまったみたいだ」
 ガルーはまた一人の女性を落した。ただそのタイミングで征四郎の音階がずれた。その視線の先をたどるとリュカが告白されているではないか。
 相手は見るからに恋愛経験豊富そう、女版ジゴロである。
 征四郎に近づくジゴロはオリヴィエが袖を引き壁に叩きつける。足を股の下に突っ込んで、上目づかいに見つめる。
「……あんた女が好きなのか?」
「え? ええ。そうかもね」
「俺の方がいいだろ」
「なにを言ってるの?」
「好きだ、俺のために、家に帰ってほしい。ここは危ない」
「な、何なんだこの空間は」
 そんな四人を見て立ち尽くす正護である。わかってはいたが正気の沙汰とは思えない、自分とあまりに属性が違うため、正護はびくびくしながら周囲の声に耳をふさぐしかなかった。
 

幕間の物語A
 ききなれた入店音が『神鳥 紅梅(aa3146)』の背後でこだまする、時刻は十一時ごろ作戦開始から三十分程度。紅梅はコンビニの前でスマホをいじっていた。
 そして一言。
「妾帰って良いか?」
 そんな言葉を受けて『アルブレヒト・シャノワール(aa3146hero002)』はコンビニ袋をがさりと揺らした。
「だめだよ? みんなをボクの魅力で助けてあげなくちゃっ」
 そう告げるアルブレヒトを一瞥し紅梅はスマホのゲーム画面に視線を落とす。
「待ってるからシャノだけ行けばいいだろ。くだらん」
「そんな事言って!」
「あとその喋り方やめろキモい」
 アルブレヒトの笑みが引くついた、それもそのはず。アルブレヒトは夜の蝶すら真っ青の猫かぶりである。
(他人がうじゃうじゃ居んのに素出す訳ねーだろ馬鹿)
 これがアルブレヒトの心の声である。
「ガチャ課金の為に働かないとだよっ」
 そうアルブレヒトが告げると。紅梅の指先が一瞬止まる。
「仕方あるまい……仕事は貴様に任せる」
「うん! ボクにお・ま・か・せ! だよ」
(天使のオレ様が一番ってのを教えてやんよ)
 そう告げるとアルブレヒトは自分の耳に耳栓を突っ込んだ。
 そして天使の笑みを浮かべながらコンビニ袋から取り出したるは、一枚のカード。
 それに紅梅は目を奪われた
「紅梅! この課金カードが見える?」
 見えるどことか釘付けの紅梅。
「ボクは君が好き君は課金が好き。つまり課金させてあげるボクが好き! そうでしょ?」
「う……!? そ、そうか…? そうだな! 貴様にはいつも感謝しておるぞっ」
 さっきのダルそうな雰囲気もどこへやら、紅梅は尻尾をプラプラさせながら話を聞いている。
「チョロ猫……はいあげるv大人しくボクの言う事聞いてね?」
 完全なる虜と化した紅梅、彼女の瞳にはアルブレヒトへの愛が満ち溢れていた。
 そんな彼女に自信が虜になった場合の指示を伝え意気揚々と街中に出ようとした直後。
「じゃあ、出発だ!」
「うむ! 任せるが良い!」
 コンビニから出てきたのは『濤(aa3404hero001)』彼は何やら相棒の『呉 琳(aa3404)』と声を荒げてお話ししている。
「惚れやすく?! い、いやまて! それはいかんだろう! か、楓さんをどこの馬の骨かもわからぬ輩に渡してなるものか!!」
 濤は電話を取り出し、かけるも楓にはつながらない。
「俺は濤の事が……もがもが」
 ドロップゾーンの効果を試そうとした琳を両手で黙らせコールを続けるが、出ない。
「濤が楓を探すっていうなら手伝うぜ」
 うなだれる濤の方を叩く淋。
「な、本当か!」
「俺……楓も好きだけどな」
「それはゆるさんぞ」
「楓がお母さんだったらいいのにな
「ば、ばか! 気が早いわ! 世の中には順序というものがあるのだ!」
 そんな言い争いを続ける二人の後をアルブレヒトは追いかける。

第二章 町の中心で愛を叫ぶ
 
『藤岡 桜(aa4608)』は、ゾーン内部に入るなり周囲を観察していた。

「……まずは、遠巻き、確認……しよっか」
「そうですね。なにやら不思議な歌も響いてますし」
 『ミルノ(aa4608hero001)』はそう桜に言葉を返した。
「それにしても告白されたらみんな虜になったかのようにデレてますね」
 ミルノはあたりを見渡しながら言う。確かに周囲ではいちゃいちゃするカップルがいつもの五割増しで存在する。
「……あれ。治せる……のかな?」
「リンカーでトリコになってる人がいたら試してみますか」
 そう桜は共鳴しとあるビルの屋上へ上った。そこでスコープを使いながら町を観察している。
 そのスコープは一人の少女を捉えた。
 金髪のお兄さんに告白されている蘿蔔である。
 告白されるのは普通嬉しいものだったが、この時の蘿蔔の表情には恐怖しかなかった。いい気はしない、ただひたすらに怖い。
「飲み物買に言ってる間につかまってるなんて……今日何回目だよ」
 レオンハルトがため息をついてお兄さんに詰め寄る。
「そんな子より、俺の方がよくないか?」
「何を言って……」
「付き合おう」
 レオンハルトは蘿蔔がやたら絡まれるおかげである程度トリコを作っていた。
 そしてトリコの数が多くなれば問答無用で相手を惚れさせることもできると気づいていた。
「は、はい喜んで」
 金髪のお兄さんも虜にしてしまったレオンハルト。蘿蔔は目の前で繰り広げられるバラに言葉を失った。
「ぴゃー」
「…………男は別に趣味じゃない。蘿蔔を守るためだよ」
「ぴゃー」
 胸を射抜かれる蘿蔔。ちょろしである。
 そんなふらふらになっている蘿蔔をさておいてレオンはそのタワーを見あげる。
 いわばテレビ局のビルである。
「ほら蘿蔔」
「嫌です、恥ずかしいです」
 ここで何をしようとしているか察してしまった蘿蔔、ささやかな抵抗をレオンハルトに対して行う。しかしそれは予想の範囲内。
「こんな思いさせてごめん、でもこれしかないんだ、お願いだよ」
 そう言われると断れない蘿蔔である。
(告白してトリコにしてるわけでもないのにな)
 そしてテレビ局に乗りこんだレオンハルトはまず受付のお姉さんを落しにかかった。
 そして町の中心、大交差点のモニターにステージが映し出された。
 テロップででかでかと、緊急生放送、衝撃のアイドルデビューと表示されている。
 そんなモニターに気が付かず、信号待ちをしているのは聖とLE。
「……告白?」
 作戦会議中である。
「んなモンやった事ねェよ……」
「……うん、知ってる……ヒジリー。取りあえず『それっぽい』コト言って見なよ……」
「……それっぽい。飯、食いに行くか?」
「……うん、行く」
 その時であるモニターに蘿蔔の顔が大きく映し出された。
「初めまして。この度デビューとなりました、蘿蔔と申します。
今日は……歌を送ります。どうか私の歌が、想いが、貴方に。皆さんに届きますように」
衣装はウェディングドレスのような華やかな純白のミニ丈ドレス。スカートの丈が短いのか、裾を引いたりもじもじとしてみたり、とても可愛らしい印象だが。
 はたして彼女は気が付いているのだろうか、これが全国的な電波だということに。
「曲は……」
 この前遙華がくれた楽譜を開く。作詞は彼女で作曲はECCOらしい。
「『アネモネ』です」
 響くような単音が長く伸び、緩やかな曲調の歌が流れる。
 それはどこにでもあるようなありふれた恋の曲。
 しかしアネモネの花言葉には『恋することの苦しみ』というものがあり、その花ことばを知っていると歌詞の聞こえ方が変わるという曲だった。
(歌にすると悪くないんだがな……)
「なにやってんだ?」
 聖はそれを茫然と見上げている、するとなんとなく蘿蔔が可愛く見えてくるではないか。
「ひじりー」
「ああ、ごめんな。飯も食ったし。俺もあれやってみるか」
「あれ?」
「『それっぽい』曲を歌っちまうか」
 そう幻想蝶からギターを一本とりだした。
「まさか衝動買いしたギター型AGWが役に立つとは」
――偶には衝動買いしてみるモノだね
 そして聖は共鳴して公園の真ん中に立っていた。アンプに足を乗せて他の音源はスマホでカバー。
 ギターをかき鳴らす。
「っしゃぁ!! やってやるぜ!!」
「曲は『バーニングハート』」
 男性にしては高めだが、打ちつけるような歌声に足を止めて聖をみるものが拭始めた。
 そこで歌詞に愛のフレーズを混ぜ込んでいく。
―― ―人でもカラオケ8時間くらい行ってたよね……馬鹿の一つ覚えも役に立つね
(くそ、突っ込みてェ!!)
 歌っている最中のためLEに反論できない聖。そんな聖の演奏は途中で遮られることになる。アンプからジャックを引っこ抜かれたのだ。
 そのコードをくるくる振り回すのは女性、大人の色気あふれる女性だった。
「あなた、良い声ね」
「アンタいったい……」
――ひじりー! 気を付けて、その人!
 そうLEが言った時には遅かった。すでにその女は聖に最接近していて、耳元で何事かを囁くと、聖は幸せそうな顔をしてその場に崩れ落ちた。
「……あなたは、だれ?」
 一部始終を見守っていた桜が女性の前に降り立った。
「私の名前は『陽下 真昼』あなた可愛いわね。欲しいわ」
「それは」
――私のセリフ。
 そう伸ばされた指先は真昼の顎に絡み突き。桜……の体の主導権を奪ったミルノが真昼に囁く。
――私はあなたが欲しいの
 小さな体だが柔らかそうなその体、胸元を強調するような姿勢で甘く囁く。
 しかし。
 真昼はカウンターとばかりに桜の唇を奪った。
「ん!」
 驚きのあまり硬直する桜。
「すごく柔らかい、ますますほしくなったわ、あなたが好きよ。桜さん……」
 落ちた、完全に落ちた。体に走っていた緊張もどこへやら今では完全にリラックスしてその体を真昼にまかせている。
「ちょっとまてよ」
 そんな真昼の前に、聖が立ちはだかった。その額は割れて血が噴き出している。
「私の告白にやられたはずじゃ……」
「こういう時は頭を地面にぶつけるに限るぜ」
 しかもコンクリートである。かなり痛かっただろうに。
「だったら念入りにやるだけよ」
 そう青少年はベンチに座らせられ、小一時間みっちりと大人の世界をみせられた。

   *   *

「ありがとうございました」
 そうテレビ局の人にお礼を言うと蘿蔔は走り出す。
「ふふふ、注目を集められれば何か手がかりが得られるかもですね。あ、この任務が無事終わったらご褒美ください」
 そういつにもまして楽しそうな蘿蔔、意外とこういう活動は蘿蔔に合っているのかもしれない。
「覚えてたのか……」
 そうため息をつくレオンハルトであった。

幕間の物語B
『柳生 楓(aa3403)』は愛しの彼を探して、街中を闊歩していた。
「……楓大丈夫?」
 『氷室 詩乃(aa3403hero001)』がその表情を覗き込むと、ニヒルに笑う。
「ふぇ……何がですか?」
「あ、ダメだ。完全に恋する乙女の顔になってる」
 手遅れだった、熱に浮かされたような表情、視線からして集中力散漫で、常に別のことを考えているのが手に取るようにわかる。
 二人は高架下を回っていた、ライブが頻繁に行われている場所を探そうという話になりまわっているのだが一向に手がかりは出ない。
 はぐれ告白魔と何人か遭遇しただけだった。
「でもそんな呆けてたら危ないよ」
 その時である。すれ違いざまに男が告白してくる。
「僕と結婚してくれないか」
 しかし楓はそれに見向きもしない。
「すみません、私にはもう心に決めた人が」
「はいはい、僕が相手してあげるからね」
 そう詩乃が男の首根っこを捕まえ、茂みに連れていくと。
 がさがさと少し暴れたのち、げんなりした表情の詩乃がもどってきた。
「これで十人目かな」
「詩乃……すごい」
 詩乃は今日は絶好調である。
「悔しいけど、どうやらボクは君に一目惚れしたみたいなんだ」

「ボクは君の物語を共に紡ぎ見届ける。その代わり君もボクの物語を共に紡いで見届けて欲しいんだ」

「ボクと君で、最高の物語を紡ごうじゃないか」
 などなど告白を繰り返しているうちに、後ろに列ができていく。
 詩乃、実はすごくモテるのでは。
 しかしそれでも具体的な情報は得られず、二人は座れる場所を求めて公園に向かった。そこには、楓が見覚えのある一人の男性がいた。
 Rudyである、そしてRudyと対峙するのは見知らぬ女性。
「でもリンカーだよ、ほら今日の任務のリンカーリストに載ってる」
 詩乃がそう指さすと楓は画面を覗き込んだHoangというらしい。
 そして二人の後ろには沢山の取り巻きがいた。
 これはおもしろそうだと思い、ココア片手に近くのベンチに座る二人。
「すごい数の取り巻きね。そんなにどうやって落したの?」
 Hoangが告げるとRudyが言葉を返した。
「私はお爺上を探してほしいと頼み込んでいただけです」
「正護さんは私が落とす」
 Rudyは驚きの表情を向ける。
「あなたのような尻の軽い女にお爺上様を渡すわけにはいきません」
「勝負!!」
 二人は駆けるとお互いの目を見つめて並走して走り始めた。
「私はあなたのことが好き!」
 先制はHoang。率直な思いを飾らない言葉で伝える純真告白である。
「私の何を好きになったというのですか、嘘も大概にしなさい」
 Rudyはバッサリそれを切り捨てる。
「けれど、自分の好意を伝えることを臆さないあなたの純真さが好きですよ」
「私の魅力に気が付いてくれたのは嬉しい、けどそれじゃ私のお腹は膨れないのよ」

「うわぁ」

 そんな相手の心を奪いあう、そんな戦いを引き気味に見つめている楓と詩乃であった。

第三章 強者、集う

 都会の真ん中は常に人でごった返している。平日の昼間でも人口密度に代わりはなく、気を抜けば誰かを衝突してしまうことなどしょっちゅうだ。
「あ、ごめんなさい」
「いて、わざとだろあんた……」
 そんな中一人のか弱い少女が男性とぶつかって頭を下げている。
 そんな光景は珍しくない、しかし。そこからロマンスに発展する可能性はいかほどだろう。
「お詫びにボクが彼女になるっていうのはどうかな?」
 息をのむ男性。
「あ……ボク、君に一目惚れしちゃったみたい……好き、だよ」
 こんな奇跡あるだろうか、道端でぶつかっただけで彼女をゲットできるなんて。
 そう男は感動で胸を震わせる。
 さらにいうなればこの子はかなりの美少女だ。人生始まったか?
 そう男は思ったが。
 残念ながらそんな幸運この世に存在しない。
 男は美少女の思惑にはまりトリコにされただけであるし、そもそもこの美少女アルブレヒトは。男である。
「手伝って、僕これから演奏会するんだ」
 そうアルブレヒトは獲得した多くのトリコを引き連れ駅まで戻る。
 そこではすでに征四郎が多くのファンを集めていたが。疲れていたのか若干元気がない。
「紫ちゃん、ちょっと交代しようよ」
「はい、たすかります」
 征四郎はそう舞台上を下りるとステージを見守っていたガルーに連れられ階段を上る。
「いいんですか? せっかくみんなには普段どうりの一日を過ごしてもらうようにしたのに」
 いいのかとは、アルブレヒトのことだろう、彼女の登場で交通の流れに乱れが生じ、自分たちの仕掛けが機能しなくなることを懸念したのだ。
「いや、もう獲物はかかってる。だったらこの祭りを盛り上げるだけだ」
 その言葉に納得し、征四郎は上の階で成り行きを見守る二人に合流する。
「纏めてトリコにするならやっぱ歌だね!」
「言っちゃってるし……」
 紅梅はひたすらにガチャを回しつつ突っ込んだ。
「みんなー! 愛してるーっ」
 そう曲もそこそこに投げキッスを飛ばし、周囲の観客を根こそぎ虜にしていく。
「ぼくに夢中になっていない人がいたら報告してね」
 その時である、人ごみが左右に割れた。その中心に立っている女性が。今回のターゲットかとアルブレヒトは疑ったがそれは違う。
 Hoangだった、彼女はRudyをトリコの列に加えて駅まで戻ってきたのだ。
「正護さん、みっけ」
 駅の人目につかない場所に避難していた正護を見つけ駆け寄るHoang。
「逃げてくださいお爺上様」
 不穏な空気を感じ後ずさる正護。
「く、ここまでか」
 そうHoangが告白しようと口を開いた瞬間だった。
 その体は別の女性に抱き留められ、耳元で何かささやかれるとHoangは甘い表情を浮かべて気を失った。
「お前が元凶だな」
 正護は一目でわかった、何せその女がつれているトリコの数が尋常ではなかったからだ。
 こんな相手どう太刀打ちすればいい。そう冷や汗を流す正護だったが、アルブレヒトは臆せず動いた。
 真昼へとさりげなく足を伸ばし、転ばせるアルブレヒト。
 だが地面につく直前でその体を抱きかかえ。
「わ! 大丈夫?」
 その体を抱き寄せる。
「ふふっ、驚いた? これでお前はオレのモノだな……好きだ」
「甘いわよ、私を落すには色気が足りないわ。ぼうや」
「な……」
 次の瞬間、両手でアルブレヒトの頭を押さえつける真昼。アルブレヒトはしばらくの間じたばたともがいていたが、そのつぶやきが収まるころにはぐったりと身動きしなくなっていた。
「次の挑戦者はだれかしら」
 そう真昼があたりを見渡すと、一人の少女と目があった。その少女はびくりと体を跳ねさせると、男の背に隠れてしまう。
 レオンハルトと蘿蔔である。
「そこに真顔のお姉さんがいるぞ。皆に喜んでもらうんだろ?」
 レオンハルトはそう言うと、蘿蔔を問答無用で押し出した。
 バランスを崩して真昼巻き込み倒れ込む蘿蔔。
 壁どんならぬ床ドン。
「ごめんなさい。その……押し倒すつもりはっ」
 そう顔を真っ赤にして一生懸命に話す蘿蔔は可愛かった。
「あなたも、聞いててくれたんです? えと、私の想い……届きましたか?」
「ええ、可愛かったわよ」
「かわ!」
「私あなたのことが好きになっちゃったみたい」
「そ、そんなこと言って、私の気を引こうなんて……」
「そんな不安がることはないわ、あなたは魅力的だもの、私が保証するわ。そんな魅力にひきつけられただけの私だけど、あなたの力になりたいと思うのは本当よ、ねぇそんなに怯えないで、私ともっと仲良くしましょう? 私はあなたのことが好きよ」
「ぴゃー」
 気絶する蘿蔔。
「真昼の告白力が強すぎて気を失ったのか……」
 正護がそう解説してくれた、ちなみに彼もかなり取り乱しているのでそれが正しいかはわからない。
「さて、次はあなたよ」
 そう正護ににじり寄る真昼。
 しかしその背後で、今までの展開を全く無視したドラマが繰り広げられることになる。 
「楓さん!!」
「濤さん」
 二人は、偽りの愛が横行する残酷なる世界でやっと出会えた。
 たったの数時間だったが二人にとっては耐えがたい時間だっただろう。
 二人はお互いの名を呼び駆け寄ると濤は楓の手を取った。
 その手にはあの日手渡したブレスレットがぶら下がっていた。
「無事でしたか?」
 そう問いかけた濤だったが、その楓の潤んだ瞳を見てしまうと、もう何も言えなくなってしまった。

「濤さんのことを考えると胸が締め付けられるように痛くなるんです」

「寂しいときいつも濤さんのことを思い浮かべてしまうんです」

「年が離れてること、能力者と英雄であることもわかってます。でも、この想いだけは譲れないんです」

「……一つだけ、一つだけ言わせてください……ずっと前から濤さんのことが……」
 そう楓が告げようとした瞬間、濤は人差し指で楓の言葉を遮った。
「楓さん……そこから先は……私から言わせてください。
私は楓さんが大事です……だから……私の気持ちが伝わっていると思いたい……
今はこれでご勘弁を……」
 そう愛おしそうに楓を抱き留め、濤は楓の額にキスをした。
 その光景に唖然となる一同。頭を押さえてうずくまる真昼。
「やめて! 私にそんなもの見せないで!」
 その隙をリュカとガルーは見逃さなかった。いつの間にかそばで待機していた二人は真昼の両脇を固めると、逃げられないように体を寄せた。
 絶世の美男子二人に囲まれた真昼、そのおかげで戸惑いの縁に合った真昼の精神は砕け散ることになる。
「こ、この町では私は恋愛の女王なのよ」
「その女王様にうちのお姫様がおはなししたいってさ」
 そうリュカが手招きすると征四郎が真昼に歩み寄った。
 思い人に貰ったルージュソレイユをぎゅっと握って。
「大好きな1人に好きになって貰う方がよっぽど良いと思うのです」
 その言葉がいろんな意味で真昼の胸を突いた。
 ちらりと横目で見ると、出来立てほやほやカップルは、もう離れないとでも言いたげにお互いの手を取って微笑みあってる。
「きゃあああああああ。純愛は私にはきつい」
「征四郎は、お姉さんのこと好きですよ」
 その隙を見計らって征四郎は告げた。
 この時きっと誰にも聞こえたことだろう。ハートを射抜かれる音が。

エピローグ

 こうして真昼を虜にすることに成功した征四郎はドロップゾーンの即時解除を命じる。
 そして真昼はRudyと並ばされて説教を受けていた。
 その風景を眺めながら
 オリヴィエはガルーにそっと肩を預けた。そして告げる
「俺が……って言ったらどうする」
 そんなオリヴィエから目が離せないガルーであったが。
(そういえば惚れっぽくなるって言ってたか……)
 そう念じ、深呼吸、そしていつもの余裕をよそって告げる。
「……だったとして、ここで答えるのは違うだろ」
 ちなみに今回の騒動のキーマン、カップル二人というと。相方に見守られながら改札で分かれるところだった。
 楓に至ってはドロップゾーンの熱が冷めてからまともに顔が見られない。詩乃はそんな楓の盾のようになっている。
「……き、今日伝えようとした想い……嘘ではありませんから……」
「また、会える日を楽しみにしております」
 濤はそう微笑み、楓の手の甲にキスを。
 恋人っていいなぁという雰囲気を残し、今回の一件は落着したのであった。


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結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
  • これからも、ずっと
    柳生 楓aa3403
  • やるときはやる。
    呉 琳aa3404

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • グロリア社名誉社員
    防人 正護aa2336
    人間|20才|男性|回避
  • リベレーター
    Rudy・S・B,phonaa2336hero002
    英雄|18才|男性|ブレ
  • 筋金入りの引き籠り
    神鳥 紅梅aa3146
    獣人|20才|女性|攻撃
  • 世話焼き英雄
    アルブレヒト・シャノワールaa3146hero002
    英雄|20才|女性|バト
  • これからも、ずっと
    柳生 楓aa3403
    機械|20才|女性|生命
  • これからも、ずっと
    氷室 詩乃aa3403hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • やるときはやる。
    呉 琳aa3404
    獣人|17才|男性|生命
  • 堂々たるシャイボーイ
    aa3404hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • 恋は戦争、愛は略奪
    Hoang Thi Hoaaa4477
    人間|22才|女性|生命
  • エージェント
    ベトナムオオムカデaa4477hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 薄紅色の想いを携え
    藤岡 桜aa4608
    人間|13才|女性|生命
  • あなたと結ぶ未来を願う
    ミルノaa4608hero001
    英雄|20才|女性|バト
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