本部

支配者達は産声を聴かせる

玲瓏

形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 6~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
多め
相談期間
5日
完成日
2016/08/17 19:03

掲示板

オープニング


 休憩中に坂山は、旧友にあう事にした。
 旧友は一年前にヴィランとなってしまって、今は収容施設にいる。坂山と同じ教育者であったが、その道は全く違う方向になったという事だった。
 H.O.P.Eの通信士となって、一度は挨拶をしたかったのだった。機会が巡ってきて、ようやく挨拶ができるようになった。
 看守と手続きを済ませ、坂山は束の間、旧友と再会する許可を得た。
「久しぶりね、高梨(たかなし)」
 胸の中に感情が溢れだした。喜びや悲しみそれ以外の感情も全て。様々な物がこみ上げて、坂山は涙を浮かべた。窓越しの対面だが、窓なんて見えなかった。
「本当に久しぶり、坂山。一年振り……だったかな」
「一年は経ってないわよ。体感では、もっと経ってるけれど。えっと……」
 坂山は色々な事を言おうと思っていたのだが、すっかり忘れていた。
「通信士になったんでしょ。おめでとう。お仕事の調子はどうなの?」
「まあまあよ。最近は喋る犬のロボットもきてね。今は散歩中……なんだけどお節介で、困った人をみたら助けられずにはいられないが極まったロボットでさ。私が困っちゃうわよ」
「楽しそうじゃない」
 高梨は笑みを浮かべた。
「まあね」
「結婚は?」
「う、うるさいわよ。そんなに急かさない事。まだ三十よ? これから先、まだまだ可能性はあるわ」
「どうだかねえ。坂山ってちょっとさ、硬い所あるじゃない。ちょっと重かったり。そこがだめなんじゃないの?」
「うーるーさい。あんたもお節介ね、本当に」
 談笑を楽しんだ。楽しんで楽しんで、終わりが見えなかった。だが終わりは訪れてしまうのだから、意地悪な物だった。
「じゃあね。もうあと少しでここから出られるのよね。そしたらまた喫茶店にいきましょ。マスターが悲しんでたわよ」
「そうねぇ。……でも、ヴィランだからちょっと気が重いかも。私なんて、笑う権利すらあるのか分からないのに」
「あんたはヴィランだけど、高梨でしょ? 表に出た時はもしかしたら敵が多いかもしれないけど、少なくとも私は味方だから」
「ありがとう、心強いわ」
 見張っていた男は時間が過ぎても私を急かす事はなかったが、何気ないアイコンタクトを感じて私は椅子から立ち上がった。同様に高梨も椅子から立ち上がる。
「じゃあね――」
 男に挨拶しようと坂山は視線を下に向けた時、奇妙な物が見えた。見慣れない物で、最初はそれがなんなのかは不明だった。
 だから遅かった。黒い塊。
 何らかの音、耳が壊れるような、激しい音が鳴った後も何が起きたのか分からなかった。
 血が見えた。
 でも分からなかった。痛覚が芽生えた。そのあたりから――いやしかし。
 高梨の叫ぶ声が聞こえた。男の笑う顔が見えた。薄れゆく意識の中で、低い声が聞こえたが何を言っているのだろうか。
「な、何……」
 意識が薄れるまで、何も分からないままだった。本当に……何も……。
「坂山ッ!!!」
「おいお前何をしてる! 止まれ! ――ぐッ!」
 開幕の声――。


 すぐにエージェントが招集された。いつも坂山が座っている席には英雄のノボルと犬型ロボットスチャースが座っていた。
「大変な事が起きたんだ。坂山が偽物の警備員に襲われて意識がなくなって、それで――」
「落ち着きたまえノボル。ヴィラン収容施設にて坂山と職員がヴィランの襲撃にあった。そして一名の収容されていたヴィランが行方不明に。おそらく、一名だけではないという判断もできそうだ。だがほとんどのヴィランはまだ施設内にいるから、誘拐されたのは少数であると言えよう」
 ヴィランの誘拐だった。
「監視カメラにはしっかりと犯人が映っている……というよりも、犯人は監視カメラに微笑みを向けてさえいる。異常に早く気づいた職員は男の車に発信機を取り付け、男はそのまま街の中へ消えた。発信機はまだ健在で、足取りは掴めている。話によると犯人は人間という事だが、おそらく協力者が複数人いるはずだ」
「坂山は病院で今手術を受けてるから、坂山の事は気にしないでいいよ……!」
 彼女の英雄であるノボルは一番気にかかっているのだろう。
「先ほどもいったが、一名以外にもヴィランが誘拐されている可能性が高い。気を付けて調査に向かってほしい」
 嫌な予感とはよくいったものだ。人の勘は過去の経験からくるものだ。この先の展開がどんな物になるのか想像、それが嫌な展開だった場合が嫌な予感という言葉で言い表せる。
 だが今回の場合は嫌な予感というには言葉が足りていない。最悪な予感、これならば嵌るだろうか。


 坂山が倒れたという事件を聞いたリディア=ローミン(az0046)は、海鈴 ユーリ(az0046hero001)を連れてすぐに病院に向かった。
 以前二人は坂山にエージェントとしてどう動けばいいか……その方法について教わったり、教職者だった坂山はユーリに勉強を教えたりして、仲は深まっていたのだ。
「坂山さん、大丈夫かしら……」
 二人は手術室の前で終わりを願っていた。命が無事だという事それだけを祈って待っていた。
 椅子に座って待つ中、隣に座るユーリが対面に座る老人にずっと目を向けている事が、リディアの気に触れた。

解説

●目的
 連れ去られたヴィランの行方の追跡。できれば犯人の確保。
 坂山の救出(後ほど解説があります)

●犯人のアジト
 つけられた車の発信機は、ある一般家庭の前に止まっていた。一戸建て二階建築。至って平凡で、中には主婦がいるだけ。
 だが二階の書斎にテレポート装置が存在する。
 主婦は犯人によって造られた人体ロボットである。最初は人間と区別がつきにくいものの、声や行動を注意してみると人間ではない事が分かる。
 ロボットはエージェントを追い返そうと話術で対抗する。
「不法侵入ですよ」
「警察呼びますよ」
 戦闘力はない。

●テレポート装置の先
 本物のアジトで、乾燥した密林の中である。木々を倒して幅広い土地を占領しており、テレポートすると研究所とも基地ともとれる建物の入り口にワープする。
 無機質なブロックが横に水平に並べられたような造り。
 片開きの扉を開けて中に入ると突然警報が鳴りだし、落とし穴や投げナイフ、岩が転がる等の罠が至る所に設置される。他には腐臭を発するスライム状のモンスター、人型のヘドロが襲ってくる。

●ヴィラン(高梨)と犯人の行方
 入り口から突き当りの廊下を抜けて頑丈な鉄製の扉(鍵がかかっており、開けるにはスイッチを作動させる必要がある。スイッチは管理室に存在)を開け地下に向かうと、犯人と高梨が存在する。高梨は全身を縄で拘束される他、目隠しや猿轡を装着。他のヴィランの姿はない。
 発見すると奥から三メートルもする西洋の鎧をきた騎士が登場し、高梨に手を伸ばす。
「ランチタイム……」
 犯人は騎士の後ろに隠れ、奥にある通路に逃げる。

●病院にて
 ユーリと坂山のいる病院に組織だって五人のヴィランが押し寄せる。全員武装は拳銃だが、リーダーだけ触れたら爆発する特殊弾を使用し、更に改造され、連射可能となった散弾銃を手にしている。ユーリ達だけでは手に負えないどころか、死亡する可能性がある。

リプレイ


 閑静な住宅街。今日は平日で、子供達は学校へ勉学に。大人たちは会社へ仕事に励んでいる頃合いだった。通りを吹き抜ける風は夏の色を浴び、透き通って吹いていた。
 通りの一角に建つ白い煉瓦の家。今その呼び鈴が鳴らされた。時間をかけず、中から主婦とみられる女性が扉を開けて出てきた。
「忙しい所失礼。資産税を調査しに様々な家庭を回っている者だ。登記上の権利者、建物の仕様種別が変わってると思うので、現状を見せて貰いたい。検挙に来た訳ではなく後日、必要な手続きを案内するので構えないで欲しい」
「行政の方?」
 スーツ姿の男が二人、家を訪れていた。斜め後ろで控える男はメモを取りつつ笑顔を作っている。
「今は家の掃除をしている最中ですので、後ほどにしていただけますか」
「すぐに終わる事なんだ。協力願えないだろうか」
 応背後でメモを取っている行政事務員、曰く虎噛 千颯(aa0123)の端末にメッセージが届いた。御神 恭也(aa0127)からだった。
 主婦と話の合戦をしていた迫間 央(aa1445)は虎噛に呼ばれて主婦から少し距離を置いた。
「見つかったって恭也ちゃんからだ。中にテレポート装置らしき物があるって話だぜ」
「分かった」
 裏口を見張っていた一ノ瀬 春翔(aa3715)に突入の連絡を入れて、二人はすぐに行動を取った。
「家の中を失礼させてもらいたい。内寸の確認をしなければならなくなった」
 開いたままの扉から中に入ろうとした迫間の腕を、主婦は力強くつかんだ。表情は一つも変えなかった。
「何をしているんですか」
「家の状況を確認させてもらうだけだ」
「それはなりません。これ以上の侵入は、警察に通報させていただきます」
 主婦は気味の悪い程冷静だった。声音も表情も一つ変えず、ただ侵入を拒むだけだ。人間にしては不自然な態度だ。
「こいつ……人間じゃないっぽい!?」
「そのようだな。虎噛、この女を眠らせておけ」
「了解っ。ってことでごめんな~。オレちゃん達も仕事なんだ。ちょっとの間お休みな!」
 たちまち周囲にガスが発生したかと思えば、主婦の力は瞬時に奪われた。迫間を掴む手が離れ地面に落ちようとした肩を虎噛は支え、家の玄関に横に眠らせた。
 中には伊邪那美(aa0127hero001)と、裏口から侵入していた一ノ瀬と彼の英雄、アリス・レッドクイーン(aa3715hero001)がいた。
「変なキカイはこっちだよ、急いで!」
 伊邪那美は四人を連れて玄関から突き当りの廊下、その右手側にある半螺旋階段を登り、二階にある一室へと案内した。中には人間一人分入れるカプセルのような装置と、その装置を調べる御神の姿があった。
 生活臭が全くなかった。洗濯機の音もテレビの音も、皆無だった。人間が住むにしてはあまりにも貧相過ぎる。
「こんな大掛かりな装置……こいつら何者なんだろ?」
「ただの組織って訳じゃあないよなぁ。ってか目的も今んとこ良く分かんないし……直接会って聞いてみるか。聞き込みに行ってくれたリュカちゃん達を集めて、逸子ちゃん救出だな」
 連れ去られてから既に一時間以上も経過している。急いで事を行う必要があった。犯人の目的が一切不明な今だ。
 犯人の目的はヴィランに対する復讐か、それとも。


「あ、ガルーさんに紫さん。それに他の方々も」
 事件に巻き込まれた坂山の事を心配して、彼女が手術を受けている病院で両手を合わせていたリディアは手術室前の椅子から立ち上がり、紫 征四郎(aa0076)に頭を下げた。
「サカヤマは大丈夫なのです?!」
「まだ分からないんです。何も説明がなくって……。お医者さん達が慌ただしく手術室から出入りしているので、心配で……」
「安心してください、リディアさん。俺様達が来たからには坂山さんも元気を取り戻してくれるはずですから」
 落ち着いたガルー・A・A(aa0076hero001)の調子にリディアは微笑みかけたかったが、少しだけぎこちなかった。
「あの、犯人は今どうなっているんでしょうか」
「リュカ達が追ってくれているのです。だから多分大丈夫なのです」
 廊下の奥からシエロ レミプリク(aa0575)が、一階の自動販売機でこしらえた人数分のジュースを抱えながら歩いてきていた。橘 由香里(aa1855)とナト アマタ(aa0575hero001)の手も借りて、人数分はすぐに配り終えた。
「はいジュース……」
「ありがとうなのです。ユーリも、きぶんてんかんに飲むと良いのですよ」
「うん……」
 紫は座っていたユーリに缶のジュースを差し出した。彼女は受け取った。
 手術室の扉が開いた。中からは医者が出てきていた。
「坂山さん、様子はどうなのかしら」
「命の心配はありません。そこについてはご安心していただきたく思います」
 各員の背中にあった錘が地面に垂らされた気がした。しかしながらまだ医師は話を終えなかった。
「坂山さんの腹部の他に脊椎部に銃弾が埋め込まれている事が発覚し、かなり深くデリケートな場所にあるので、少し時間がかかるかと思いますが、しっかりと成功させてみせますのでしばらくお待ちいただければ」
 犯人は倒れた坂山の背中にもう一度銃を撃ったという事になる。命の保証がある。犯人は坂山を殺害する余裕がありながら生かしたのだった。
 深々と頭を下げた医師は廊下の奥へと歩いていった。何か道具を取りに外に出たのだろう。
「……傷、残っちゃうのかなあ」
 ジュースを飲もうとしたシエロは、自分の左手を見て言った。ため息が混ざる。
「うちジュースの飲み物捨ててくるよ。うち以外に飲み終わった人いる?」
 シエロ以外はまだ半分も飲み終わっておらず、結局彼女とナトだけがゴミ箱の所へ向かった。後ろ姿から見る彼女の姿はいつもより下がっていた。
「……」
 その意味をナトはよく分かっていた。何も言わず寄り添うだけで良いという事も。
「妙だな」
 リタ(aa2526hero001)は静かに言った。あまりにも突然だったために鬼灯 佐千子(aa2526)は下がり気味だった視線を上げた。
「何がよ」
「収容施設への襲撃……。監視カメラの位置を掌握しているほどだ、間違いなく計画的に行われた作戦だろう」
「それが?」
「サカヤマ ジュンコを生かす理由がない。襲撃犯のミスとも考えづらい」
 リディアは思わず立ち上がった。その拍子に少量の飲み物がこぼれて服に付着した。
「じゃ、じゃあ犯人はこちらに来る可能性があるという事、ですか?」
「生かす理由がないのだったらなぜその時に事を終えなかったのかしら。疑問だわ」
「――おそらくは、宣戦布告。連中がこちらの管理下にある彼女を再度襲う可能性は高い」
 坂山を狙ったのはH.O.P.Eに対する宣戦布告。言い得た想像だろうか。
「っ!! そんな真似、させるもんですか……!」」
 あくまでも想像の話だった。推測の域を出ない。まだこちらに攻めてくるとは決まっていないのだ。それなのになぜ、ここまで空気は変わるのだろう?


 御神が身を挺して装置の安全性が確認できると、エージェント達は次々と装置を通った。
「うおっと、眩しいな」
 眩しい太陽の光に晒されて、木霊・C・リュカ(aa0068)は急いでサングラスを着けた。薄暗い部屋の中から突然、燦々とした太陽の下に送り込まれたのだ。
 場所は密林だった。一見して日本ではない事は簡単に分かる。鳥の鳴き声と遠くから聞こえる水の音。
 異色な建物があった。一階より上はなく、白い壁で作られた建物。
「なるほどな。こんな所に隠してやがったか」
「誘拐されたヴィランがいるならばこの中だろうな。……見たところ、見張りはない。草臥れた研究所といった所か」
「機械が作動しているという感じもしないですね」
「だな~。はあ、仕事じゃなけりゃこんな滅多に来れないとこ散歩でもして楽しんだんだけどなー」
「任務に集中するでござるよ、千颯。人命がかかっているのだからな」
 白虎丸(aa0123hero001)は喝を入れるように言いつつ階段へと歩いていった。
 研究所の入り口の前には段差があった。壁と全く同じ材質の階段だ。コストをなるべく抑えて作っているのだろう。一段目を黒金 蛍丸(aa2951)が踏もうとした時、御神が「待て」と声を出した。
「は、はい」
 黒金はすぐに足を引っ込めた。すると御神は弓矢を取り出し、弦を引いて矢を放った。御神が狙った所には監視カメラのような物が設置されていた。
「よく罠があるって判ったね……。ボクは全然分からなかったのに」
「偽の拠点に人そっくりのロボット、搦め手を利用する奴が自分の拠点に罠を仕掛けない筈がないだろ」
「あ、ありがとうございます。危なかった……」
「気を付けてください、蛍丸様。この先は本拠地となるかと思います。私も、精一杯蛍丸様のご支援ができるよう注意します」
 うん、と一つ詩乃(aa2951hero001)に頷き蛍丸は歩みを進めた。
 入り口まで罠がそれ以上ない事が分かった。リュカは端末機器を見ながら言った。
「どうやらここは人の出入りがあまりない未開の土地みたいだね。衛星からの情報も少ない。だけど土地の事は大体わかったよ」
「さすがリュカちゃん! 頼もしいぜ。こっから先のフォローも任せたよ! 俺ちゃんは道を開く!」
 ドアを通り抜けて全員が中に入ると、おかしな出来事が起きた。背中側から大きな音が鳴ったのだ。元々自動ドアのあった扉には頑丈な壁が下がっていた。
「誰でも入る事ができるが、誰も出させる気がねぇって事か。嫌らしい真似すんな」
 大勢でまとまっての行動は人探しには向かず、何手かに別れて行動する事になった。
 スキル"潜伏"を利用して潜入探索に一役出ていた迫間は慎重に歩を進めていた。入り口から入って右手側の通路を歩いていた時だった。薄暗い壁の奥、その方向から異臭がしたのだ。
「この匂い……」
 マイヤ サーア(aa1445hero001)は詰まったような声で迫間に言った。
「何かが朽ち果ててしまった匂いね。とても嫌な匂い」
「食べ物が腐ったにしては強すぎるな。――あれは」
 廊下で何かが蠢いた。迫間はその正体を確かめるべく接近したが、"何か"という言葉に変わりはなかった。
「なんだ? あれは」
 スキルが使用されている。その事実からその正体はヴィランでない事は確かだった。犯人ではない。
 そして奥に目を凝らしてみればその物体が何匹もいた。蠢いていた。規則的に動いているのだ。スライム状の物であったり、ヘドロ状のものであったり。
「従魔……なのかしら」
 孤月を両手にした迫間は背後から斬撃した。刃の貫通した一体の物体は溶けて、最後には空気の中に溶け込んで跡形もなく消え去った。
 他の物体は迫間に気づく事がなかったために落ち着いて処理を行った。どれもこれも散り際は同じように消えていった。
「うぇー……きもちわる」
「うげぇ……このスライム腐ってないか?」
 虎噛とアリスは似たような反応を同時に示した。
 スライム達は虎噛に気づくと、ノロノロとした速度で迫り始めた。数は多く。七匹は迫っていた。
 先頭に立っていた虎噛は武器より先に苦言を食らわせながらも、後からフラメアを伸ばした。ところがスライムは体の中に穴を作成し、フラメアの攻撃を寸前で回避した。
 穴はすぐ元通りになった。するとスライムの中に槍が埋まってしまった。
「なっ!」
「おいあんた、大丈夫か」
 一ノ瀬は槍に巻き付いたスライムの天辺から斧を振りかざした。その攻撃はスライムに命中してフラメアを解放した後、空気中に消えた。
「何も考えてないのかと思ってたぜ完全に。どこに脳みそついてんだ?」
「こんな奴が後六匹もいんのかよ面倒くせぇ。人探しどころじゃねえぞ」
 そんな事を言う間にも物体は徐々に近づいている。気色が悪い。
「ったく、まとめてオレちゃん達が相手してやらぁ!」
 別の通路では御神と黒金が施設の管理室なるものを発見していた。扉の入り口に堂々と大きな文字でそう書かれていて、非常に発見が簡単であった。
 電子ロックという難解な鍵がかかっていたが、扉自体は非常に脆くエージェントならば誰でも壊す事ができる素材で出来ていた。
「何か、この施設の事が分かる情報はありますかね……?」
「探してみよう」
 管理室に何か、この正体不明の施設がなぜ建設されたのかその謎が分かる書類がないだろうか。人間の気配が全くないこの施設。
「蛍丸様、右側に何か……」
「え? あ、本当だ」
 ちょうど蛍丸が右を向いて目の高さの場所にはホワイトボードがあった。そこに入り口で見かけたセンサーらしき機械が設置されていたのだった。
「ありがとう。助かったよ」
「いえ……」
 蛍丸はセンサーに引っかからないように気を付けて歩き、童子切を使って破壊した。
 部屋の中にはロッカーと監視カメラの映像、椅子と机。机の上には誰かが遊んでいたと思われるトランプが散らばっていた。何かしらの人間がいたという証拠だ。
 その人間は今どこにいるのだろう。


 一番最初にユーリの視線に気づいたのは紫だった。
「何か気になること、あるのです?」
 ユーリは一点をずっと見つめていたのだ。その先には老人の姿があった。
「なんか、変」
「ヘン、ですか?」
「うん」
「えっと、何がヘンなのでしょうか」
「分からない。でも変」
 二人のやり取りに気づいた橘は、子供をあやすようにユーリと手を重ねた。
「どうしたの?」
 優しくそう聞いてもユーリは「変」と答えるだけであった。知り合いが危篤状態で心配になる中、疑心暗鬼という状態に陥ってもおかしくはない。橘は彼女の疑心暗鬼を解くために、老人に声をかける事にした。
 紫も立ち上がって橘の後ろについた。
「あの、すみません」
 万が一という可能性はあった。坂山を襲った犯人は警備員に化けていた。その点を橘は危険視しており、先ほどのリタの話を聞いてからうっすらと警戒心を高めていたのだ。
 思わぬ事態で、その想像は現実となった。
「え?」
 何もかもが早かった。目まぐるしいスピードだった。橘は腹部に湿り気を感じた途端、痛みが彼女を襲った。
「想像以上に気づくのが早かったよエージェント諸君」
「あなたは誰なのです!」
 紫が声を張り、エージェントは一斉に立ち上がった。橘は急いで飯綱比売命(aa1855hero001)と共鳴し、ナイフを腹から抜いた。
「おや、これもまた想像以上だ。私の行動に君たちは慌てふためくかと思えば案外冷静じゃないか」
「こういう場は慣れているんでな」
「ほほうそうか。頼もしいエージェント君達だな。で、私が誰なのかと言う話だったな」
 老人はしわがれ声だった。
「フランメス。私の名前はフランメス……。ククク、この名前は覚えておいた方がいい」
「それはどういう……」
「いいかな、これは君たちに対する宣戦布告だ。今日から始まる、長い長い闘いのね」
「あなたの目的はなんなのよ。言いなさい」
 厳しい目つきでフランメスを睨む鬼灯。すると老人は一瞬微笑んだかと思えば、地面に転げ落ちた。糸が切れたようだった。
 訳も分からず、紫はうつ伏せになった老人に近づいた。
「どうしたのですか?!」
 老人は突然上半身を上にあげ、目を見開いて苦しそうな声を出した。
「た、助けてくれ……死にたくない……」
 先ほどのフランメスと語った時とは人が変わっているように見えた。
「どうしたのですか、お爺さん?!」
 急いで老人の側へと駆けよるリディアをリタは止めた。
「待て、様子がおかしい」
「ですが、このままじゃ」
「しまった、――伏せなさい!
 苦しむ人の側を離れるという選択を紫は出来なかった。それは見捨てると同じ意味となる。老人の様子から苦しむのは演技ではなかった。
「ガルー、どうしたら?!」
 一際大きな声が老人の喉から漏れた。最早声ではなく音だった。その後に彼の体から腐臭を放つガスが放たれたかと思えば、老人はたちまち溶け始めた。
 紫はその腐臭をほとんど吸い寄せたせいか地面に倒れた。そのガスが狼煙となったのか、廊下の奥側より拳銃を持つ組織達が一斉に走り寄った。
「征四郎! ――くそ、リディアさんとユーリちゃん、俺様の後に続いてください。ここから避難しますよ!」
「は、はい!」
「こんな仕掛けがされていたとは……盲点だった」
「勿論よ。不意打ちの分を取り返させてもらうわ」
「そっちは任せましたよ。さあ、ついてきて!」
 ガルーは急いで紫を病室へと避難させた。何度も咳き込んでいる。有害なガスを飲み込み過ぎたせいだろう。
「ガ、ガルー……」
「心配すんじゃねえ。俺様に任せろ。やる事は分かってる」
 リディア達を病室へと避難させたガルーは一階でウロウロしているシエロを呼びに行った。その後は患者達の避難だ。


 管理室の中には書類が何個かあった。おそらく荷物も管理しているのだろう。
「ここは研究所のようですね。この密林の動物の事について研究している、とあります。うーん、後はなんだか難しくてよく分からないのですが」
 管理室には虎噛と一ノ瀬も合流した。罠をかいくぐりようやく合流できたのだ。迫間もすぐに集った。
「他の部屋を見てみたが、中に有用な物はなかった。建物の右半分は寮だが、誘拐された人物はどこにも。ただ地下へと続く一風変わった扉は発見したな。電子ロックがかかっていて俺だけじゃどうしようもなかった」
「電子ロックねぇ。あのスイッチでなんとかなんねえのかな」
 電子盤のような分厚い装置に囲まれた中に幾つかのスイッチがあった。
 問題はどのスイッチを押せばよいのか、その点であった。
「このスイッチが怪しいんだぜ!」
「待つでござる千颯。罠があったらどうするんだ」
 長い問題になるかと思えば簡単に答えは分かった。スイッチの上に作動させる場所が書かれてあったからだ。扉の場所を発見していた迫間はすぐに目星が付いて作動させた。
 ――遠くの方から鍵の開く音が。
「あんまり警備方面には力を入れてねえのか」
「簡単に進めてしまいますね……」
 迫間が案内役となって扉の場所へと行き付いた。頑丈な扉で、今までの部屋とは全く異なる姿をしていた。
「開けるぞ」
 鉄と地面が擦れて耳障りな音が鳴った。スライム達が駆けつけると厄介で全員はすぐに中に入り扉を閉めた。
「湿度が高いな」
「そうですね。水の匂いもします」
 研究所とは一変して、壁は全て岩だった。洞窟に似ていて、ところどころ電球が着いているだけだ。
「罠があるからちょいと解除してくる。こっちも豊富だなこりゃ」
 曲線を描く道の洞窟を進んでいくと螺旋階段が登場した。地下へと進んでいるらしく、迫間が先行して降りた。
 三十段ほど下ると再び長い通路。やはり途中に罠が存在して迫間はすぐに解除した。かと思えば通路の先から岩が転がってくる。
「罠解除時に発生するトラップか? 厄介な」
「後ろに下がれ」
 迫間の前に立った御神は中腰に拳を構え、転がる岩が間合に入った時に力強く掌底を前に出した。岩は割れて粉埃が舞った。
 岩が転がってきた奥には開きっぱなしの赤い扉がある。急いで開けられたのだろう。各員は静けさを保って、腰を低くして扉に近づいた。
「大人しくなさい。ヴィランが格好悪い」
 男の声だ。他にも女性のくぐもった声が聞こえる。猿轡を嵌められているのだろう。
「殺しはしない。我々に利用されるだけ。……私達はね、今人手が足りていないんだよ。だからそれを解消するために君たちが必要なの。分かってくれると助かるんだけどな」
 男は黙った……そして不思議な音が鳴り始めた。鎧?
「その顔をするっていう事は分かってくれないという事か。じゃあ最後の質問だ。君は死んでも、俺達の言いなりにはならない?」
 男はまた黙った。鎧の音は段々と近づいた。
「そうか、そうか。意志が強くて良い事だ。他の奴らと違って君なら使えそうだと思ったんだけどなあ。じゃあ……しね」
 一番最初に動いたのは御神だった。強襲を仕掛けたのだった。
「動くな!」
 部屋の中には大きな騎士と誘拐されたヴィラン、騎士の後ろには犯人がいた。犯人の男は瞳を光らせて微笑むと、御神に向かって拳銃を放った。一発だけではなく、何発もだ。
 肩に命中し、その威力から御神は足を止められた。一ノ瀬は騎士ではなく犯人の元へ飛んだが、その進行を騎士が妨害した。大きな槍を伸ばして一ノ瀬の進路を絶った。
「コイツ……! 邪魔、すんじゃねぇ!!」
 槍を足で蹴とばした一ノ瀬は騎士の脇の間をくぐって犯人の男へと急いだ。その間に、虎噛は伊邪那美と一緒にヴィラン、高梨の元へと走った。
「大丈夫? ボク達が来たからもう安全だよ」
「まさか今度は助ける立場になるなんてな……なんの因果かねぇ~?」
 高梨は誘拐されている間に何度も暴れたのか、至る所に傷がついていて息も切らしていた。頭からの出血もある。虎噛は高梨を解放するとすぐに治療を開始した。
「あ、ありがと……」
「おうよ。純子ちゃんが待ってる。必ず生きてかえしてやるよ」
 治療を終えた虎噛は立ち上がり、騎士と対峙した。銀箔の甲冑を着た騎士は大きく、威厳があった――


 組織の狙いは坂山であった。全員が手術室前に揃っていたのだ。
「今取り込み中なんだよね、悪いんだけどさ……帰ってくんない?」
 シエロとガルーが手術室の前に戻り、橘達と組織を左右から挟んでいた。
「フランメス様の意向を我々は無視する訳にはいかない」
「ここ病院だからあまり騒いでほしくないんだけどなあ」
 患者の見舞いにきていた客と医師の避難は済んでいる。患者に関しては扉に鍵をかけるという処置を行っているが、坂山は手術中で移動はできない。
「見舞いの気がなけりゃ帰ってもらうだけよ。相手してやるわ、きなさい」
 鬼灯の挑発に、銃を取り出した一人の組織員は速射銃弾を飛ばした。
 腕に掠り傷が出来ただけであった。簡単に避けられた銃弾だが、それだけではない。銃弾は軌道を変えたのだ。無作為に空気中を飛び回り、鬼灯の腰に再び命中した。
「なッ」
「まだだ」
 銃は何回も声を上げた。それはまったく、容赦がなかった。
「ちーちゃん!」
 鬼灯を打つ男にシエロは銃を向けてトリガーを引いた。ところがその弾丸は別の男に弾かれたのだった。
 すぐに橘はライヴスフィールドを展開した。動きが鈍くなった組織員達は自身の力に違和感を覚えたのか攻撃の手を緩めた。仕返しにシエロは無作為に銃弾を当てた。
 地面に倒れながらもまだその男は意識があった。橘は瞬時に近づいて男を眠らせる。背後から飛ばされた弾は鉄扇をかざして防いだ。
 血のついた肩を手で払い、鬼灯は腰からSMGリアールを抜いた。そして組織の中央にいる、大きな銃を持つ大柄な男の頭を狙った。
「私はこいつを抑えておくわ。援護お願いするよ!」
「あいあいさ!」
 リーダー格、そう呼べる男が持っていたのは散弾銃だった。大きな銃口を鬼灯に向けて重いトリガーは、素早く引かれた。
 発射に合わせて鬼灯はシールドを飛ばした。銃弾は全て防がれシールドは飛んだ。
 空中にある盾を蹴り飛ばして、リーダーの男の首に命中して男のバランスごと弾いた。その内に鬼灯は接近を図る。他三人の狙いは一斉に鬼灯に向くが、どれも鬼灯に当たるはずがないのだ。
 エージェント側には心強い仲間が何人もいる。
 素早く懐へ飛び込んだ鬼灯は盾を回収し、腹部に弾丸を命中させた。呻き声が漏れる。男はすぐに体勢を整えて散弾銃を鬼灯へと向けた。
「遅い!」
 散弾銃は鬼灯の足に蹴り飛ばされて銃口は天井に向いた。そのまま弾が発射されて、複数の弾丸が跳弾し何発かは彼女に命中するも、構わない。鬼灯は二発足に命中させて膝をつかせると、最後は頭に向けた――


 犯人は部屋の奥へと逃げるべく背後を向いた。その先には迫間がいたのだ。犯人は気づかなかったが、迫間は潜伏を利用してすぐ背後に来ていたのだ。
「無意味な抵抗はよせ」
「あなたの逃げ場はもうないわ。観念しなさい」
「フ……」
 逃亡は難しいと判断した彼は抵抗がなかった。また暴れる事もない。潔く二人に捕らえられたのだった。笑いながら。
「こいつ……何が目的だ?」
「……ひとまずリュカ達の援護に向かうぞ」
 騎士は執拗に高梨を狙っていた。接近する虎噛と黒金を強く振り払い、自主的に攻撃してくる事はなかった。大きく振るわれた槍を高梨は避ける事ができず、壁に打ち付けられた。
 大きな躯体からは想像できない程に素早い動きと、その火力。
「高梨さん!」
 彼女の場所まで走る黒金の体を今度は大きな手で掴み、地面に投げ飛ばした。
「二人とも……っ!」
 オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)は騎士の足部にライトブラスターを向けて追撃を阻害した。黒金の背中、真上に槍の先端が迫っていた。
「た、助かりました!」
 騎士は姿勢を元に戻すと今度は両手で槍のグリップを握り、攻撃部を天井に上に掲げた。緑色の発光を見せた後に地面に突き刺し、炎の剣が周囲を取り囲んだ。
「まずいッ」
「皆さん伏せて!」
 援護に駆け付けた迫間と一ノ瀬にもその攻撃は及んだ。炎の剣は回転し、上下左右無尽に移動した。その大規模な攻撃は強く痕跡を残した。
 剣は空気中に消えた。
「くっそ……」
 いち早く起き上がった虎噛は高梨の所へと急いだ。高梨は意識を完全に失っていて口からは血を流している。先ほど治療した傷口からも血が溢れ出ていた。
「しっかりしろ! こんなところで死ぬなんて許さねぇぞ! 俺が死なせはしねぇからな!」
「皆で帰るでござるよ! お主も今頑張らないでいつ頑張るでござるか!」
 騎士は虎噛に近づいていた。
「あんたが毎年楽しみにしてた祭りな、純子ちゃん達とやったんだぜ……あんたの意思はちゃんと繋がってる。だから!」
 槍が今度は、虎噛の方に伸ばされた。高梨と二人、共に突き刺そうとしているのだろう。
「おいデカブツ」
 槍が二人に届く事はなかった。
「ちょっとくらい、空気読みやがれよッ!」
 一ノ瀬は騎士の膝元に来ていた。そこに大きく斧を振りかざして、関節を折った。オリヴィエが何度も銃弾を命中させ、既に脆くなっていたのだった。
 空中に足が飛ばされた。大きくバランスを崩した騎士は地面に倒れ込んだ。大きいというのは良い事ばかりではない。地面に倒されると起き上がる事が難しくなるのだ。
 起き上がった黒金は騎士の腕にハングドマンを巻いた。
「面倒をかけさせやがって」
 最後は処刑されたように騎士の討伐は終わった。御神の一撃で動かなくなった。


 熾烈な戦いが広がっていた病院も終盤を迎えていた。残り一人となった組織の頭にシエロが銃口を向けていた。
「降参するなら撃たないであげるよー? 色々聞いたりするけど」
「……くそ」
 組織一人一人の力は強かった。最初の攻勢がなければここまで上手く事は運んでいなかっただろう。エージェントに誰か一人でも欠けが出ればすぐに制圧されていた。
「自爆するなんて考えてないわよね」
 男は完全に投降したようだった。憎しみのこもった顔つきをしながらも、反抗する素振りは全く見せない。
「ちーちゃん怪我大丈夫?」
「私は平気。他の皆は?」
「大丈夫よ。紫さんが心配だけど」
「征四郎は弱い奴じゃありませんから、安心してください。それよりも傷を見せてください。出来る限りの手当てをしますから」
 ガルーが鬼灯の手当てをしている間に、橘は黒金達に通信機から状況を説明した。彼女は病院側が襲撃されたと真っ先に黒金に連絡をしていた。
「良かった……僕たちも犯人を捕まえて、高梨さんも救出しました。意識がないので、すぐに病院に運ぶ予定です」
「そう。良かったわ」
「あと、紫さんは大丈夫でしょうか。リュカさんが心配していました」
 リュカと紫も互いに通信を取り合って状況を報告しあっていたのだが、途中から紫の反応がなくなりリュカは心配していたのだ。
「大丈夫だって、ガルーさんが」
「それなら大丈夫だって伝えておきますね!」
 通信機を切った橘に、ここぞと時を計らって飯綱比売命が接近した。
「ふっふっふ。最近なにかと口実をつけて話をしたがるではないか? どういう心境の変化じゃ? ん?」
「あのね……仕事に私情は挟んでないから。報告しただけよ」
 ハプニングは発生したが、坂山の手術も無事に終わった。リディアとユーリは色んな人々に何度も頭を下げて、その日は帰宅した。
 坂山は後遺症は残らないがシエロの予想通り傷跡は末永く残る事となる。暫くはオペレーター業務も停止しなくてはならなくはなったが、命が保証されたのは奇跡だろうか。

「このロボット、修理できるかな」
 リュカは主婦の姿をしたロボットを本部で待機していたスチャースの前に持ってきた。
「私にはわかりかねるが、大丈夫ではないだろうか」
「そっか。良かったあ」
 リュカはオリヴィエに微笑んだ。良かったね、と言いたげに。
「あ、アジトの写真とか資料とか一応持ってきてるから預けておくね。必要だと思って」
「うむ、助かる。今後の情報になるからな」
「後せーちゃんがいってたんだけれど、フランメスっていう人に心当たりはあるかな?」
「フランメス? ……分からない。今度調べてみよう。他に攫われたヴィランはいたか、例の施設に」
「いなかった。逸子ちゃんだけだったかな」
「そうか……。色々とお疲れ様である」
 エージェント達を労ったスチャースはその後散歩に出ていた。ドミネーターという組織の目的について考えたものの、答えに見当がつかない。捕まえた犯人達も黙秘するばかりだ。
 リュカの持ってきてくれた資料に何か描かれていないか、スチャースはそれだけを頼りにドミネーターに関する調査を開始した。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • LinkBrave
    シエロ レミプリクaa0575
    機械|17才|女性|生命
  • きみをえらぶ
    ナト アマタaa0575hero001
    英雄|8才|?|ジャ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • 終極に挑む
    橘 由香里aa1855
    人間|18才|女性|攻撃
  • 狐は見守る、その行く先を
    飯綱比売命aa1855hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • 対ヴィラン兵器
    鬼灯 佐千子aa2526
    機械|21才|女性|防御
  • 危険物取扱責任者
    リタaa2526hero001
    英雄|22才|女性|ジャ
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951
    人間|17才|男性|命中
  • 愛されながら
    詩乃aa2951hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • 生命の意味を知る者
    一ノ瀬 春翔aa3715
    人間|25才|男性|攻撃
  • 生の形を守る者
    アリス・レッドクイーンaa3715hero001
    英雄|15才|女性|シャド
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