本部
- 形態
- イベントショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 6~10人
- 英雄
- 9人 / 0~10人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2017/07/21 22:00
- 完成予定
- 2017/08/03 19:00
このシナリオは5日間納期が延長されています。
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/07/17 23:11:36 -
【相談卓】
最終発言2017/07/21 16:44:17
オープニング
このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
――貴方様に、この身体を、智を、命を捧げます――
それはかつて交わした誓いの言葉。
――だからどうか、その御心のまま、この世界に夜をお与えください――
たった一人の主と出会い交わした、私の願い。
それはいつだって消えることはない。
――貴方様の築いた夜であるのなら、それがどれだけ苦痛に満ちようとも、私は永劫愛してみせましょう――
だから私は……この夜を死で満たした。
――――――Link ・Brave――――――
屍国編・終
『花鳥風月―愛する夜に捧げる詩―』
―――――――――――――――――――
岡部雪江は高度な教育を施されたが、一つだけ、他者とは違う異常な点があった。
人間を種として捉え、個人と言う感覚が稀薄なまま育ったのだ。
社会を意識した教育や、幼少期にあまり人に触れあわなかったことも原因かもしれないが……あるいは彼女は、世界侵の影響で先天的な異常を持った存在だったのかもしれない。
彼女は、自分も他者も、人類という種を構成する一員としか捉える事が出来なかった。
コミュニケーションを円滑にする為に笑顔を浮かべ、感情を動かされないからこそ誰に対しても平等に接し、誰よりもただ種の存続の為に社会に没する。
それこそが岡部雪江と言う人間であり、同時に自らの意思を放棄した、屍でもあった。
彼女の世界に色はない。
人の言葉も、暖かな団欒も、優しさも……。
悲哀も怒りも、恥じらいも、ただ流れていく風景にしか過ぎない。
親同士の決めた婚姻にも躊躇うことなく同意した自分を他人事のように俯瞰して見ていた雪江は、既に人の皮を被っただけの、人ではない何かに成り果てていた。
(故に、岡部雪江にも私にも、同情など必要ないのですよ……)
夜愛は、必死に自分の動機を尋ねた能力者達を思いだし、優しく笑った。
夜の山の中……木々の隙間から見える人の世界は……今の夜愛には眩しい。
かつて自分がいた場所。
価値を感じなかったその世界。
今であれば、あの場にいた人間達が何を喜び、何を悲しんだかが……よく理解出来た。
それでも夜愛は人を殺し、神門に仕える。
(私が、それを望んだから……)
それは、人の命を奪う理由としてはとても無垢で、粗末なものだった。
思い返すのはあの日……神門にあい、岡部雪江の無色の世界に黒が混じった時……。
あの瞬間に……岡部雪江は生を終えて屍となり……夜愛としての生が始まったのだ。
現れたのは一人の男……。
感じるのは強い嫉着と欲望、現世への固執。
理屈も知識も否定するような、あまりにも鮮明で、あまりにも異質な個の存在は……それまでに動く事のなかった岡部雪江の感情を、深く揺すぶった。
それは無色の世界に唯一落とされた、真黒い染み。
世界と命を見限った雪江の感情を唯一刺激した、真黒い欲望。
ああ、これも生なのか。
高潔でもなく、種の為でもなく、理想でもなく……ただ己の欲望の為にある、愚かな神。
身体が腐敗していく中、激しい痛みを気にかけず……岡部雪江は、その黒に染まる事に強い羨望と悦びを抱いていた。
言葉でもなく、理屈でもなく、存在そのもので自分の欲望を果たすことを肯定する神門の姿は……雪江にとって、羨望の対象に写ったのだろう。
声を発する器官が動かなくなろうと、腕が腐り果てようと……眼前に見つけた黒を、その眼に焼き付けるように。
人間として生きてきた経験の全てを忘れ、岡部雪江はその愚かな神の姿を眼に刻み……死んだ。
次に目を覚ましたのは、それからすぐの事だった。
狂信的にまで神門を求め、願ったからか……。
彼女はウィルスに適合し、屍となってなお、その意思を保っていた。
それがヨモツシコメ三姉妹としての始まりであり……神門と言う名の常闇に惹かれた次女、夜愛が産まれた瞬間だった。
(……だから私は、この夜に生き、そして死にましょう)
岡部雪江も夜愛も、いや、他の姉妹も……人間から尊重され、同情される必要などない。
自分に冷淡な瞳を送った青年こそ正しく、人間から見れば各々の決断など身勝手なものでしかないのだから。
黄泉醜女(ヨモツシコメ)……それは自らの欲と願望に忠実な、神門の配下。
自分勝手な欲など、周囲から見れば醜いだけだ。
けれどもし、神門の満たした世の果てで、美しいこの世が死に耐え、愛でるべき花鳥風月が腐り果てたとしても……夜愛は笑っていられるだろう。
その地獄を、いつか朱天王や芽衣沙、そして神門と共にすることが、夜愛の目的なのだから。
神門と合ってから、初めて世界を自分で感じ……神門や姉妹の事を、大切に思えた。
それだけが闘う理由だが、それで夜愛には充分だった。
自分勝手な願望。
美しい世を汚す邪悪。
それを批難されようとも、悔いや後悔など微塵もない。
木々の隙間から懐かしむように眺めていた人工の明かりに、目を瞑る。
郷愁に浸ることも、想い出に浸ることも……もう不要だろう。
天を仰ぎ目を開けば……美しい夜が、そこに広がっていた。
(全ては神門様の為……)
全てを捧げ、屍山血河を築く為に……。
――善通寺市・市内――
神門の出現を予知したH.O.P.Eは、予知の三十分前に現地に着くよう車を送った。
車の台数も一台ではなく三台……情報を把握されている恐れがある為に、こうして戦力を拡散し、迎撃のリスクを減らしているのだ。
その目論見は……成功と言えた。
夜道を走る車の一台……その前方の景色が一変する。
広がるのは草原と、天に浮かぶ淡い月……。
澄んだ空気と月明かりは花鳥風月の風靡に彩られ……囀ずる虫の音、夜風が草を撫でていく音には、時間を忘れるような心地よさがある。
けれど、その光景を歪めるように……百鬼、いや千を越える妖怪達と、巨大なドクロの上に立つ夜愛の姿が見えた。
こんな戦力は報告にはない。
「恐らくは幻術でしょうね。車はここに待機させますので、皆さんは夜愛の迎撃を」
車の運転手である黒松鏡子が、ブレーキを踏みながら全員に告げる。
「夜愛が過去、ここまで大規模の幻術を展開したことは報告にありません。自力でここまでの事が出来るなら最初からしているはずですし……恐らくは何かしら、術の補助をするものが……」
話ながら、鏡子もまた共鳴をし……そこで気付く。
車に乗っていたはずの能力者の姿が見えず……声も聞こえない。
「え……」
慌てて車を飛び降り周囲を見るが、そこには今いた能力者達はおろか、たった今降りた車さえも消えていた。
足の裏から感じるコンクリートの感触だけが、この不確かな場で現実感を感じさせた。
これは……危険だ。
「この月夜に……あなた方の死を、神門様への供物として捧げましょう」
あまりにも不確かな現実、美しい夜天の中……夜愛の声が響いた。
解説
【依頼】
神門の元に向かう道中、夜愛に襲撃を受けました。この迎撃及び討伐を行います。
【状況】
ドロップゾーンに近い性質の幻術が発生中。
また、結界外部に対して通信機は利用できないようですが、 レーダー等による場所の探知は有効な他、身に付けているものでの連絡や確認は行えます。
【敵戦力】
夜愛?
他不明
【マップ】
道幅10mの市街地
脇道等有り
(幻術により地理情報と視覚情報に大きな差異)
以下PL情報
【エネミー】
依代×4
神門の腕の埋め込まれた依代。
屍を素体としているが、自力での移動はできない。結界の内部にばらばらに配置されている。
耐久力は高め。
スキル
呪文『炎』
射程13 範囲2 【減退1】
夜愛(武装ver)
破壊された災禍の念呪のかわりにAGWを改造したものを利用し、自らに神門の腕の一部を埋め込んだ夜愛。傷つけられた瞳は全快している。
防御力は薄いが、神門の腕の霊力により力は上がった。
狙いやすい相手や、壊されると嫌な物品(レーダー等)を集中して攻撃する。
スキル
『暗夜弄月』
範囲内にいる相手の記憶を利用し、各自に幻を見せる。結界内で使用不可
タイミング:ファースト/メイン
範囲:周囲10SQ
BS【狼狽】【翻弄40】ダメージ無し
対霊力試作兵器『胡蝶』
AGW゛遥『彼岸花』゛を改造した試作兵器。
簪のような形をした投擲武器、当たった相手に呪毒を送り攻撃をする。
『花鳥風月』
術の依代四体と自身に『神門の腕』を移植し可能となった、巨大な幻術の結界。
依代達を破壊することで結界が解除出来る。
内部の敵に幻を見せ、自分達の姿を把握されなくする。
効果:BS【翻弄30】常時、攻撃を全て無差別に変更する。
また、聴覚と視覚で人物や建物の位置が把握出来ない。
範囲:夜愛を中心にした600mの円形。依代が破壊される度に150m縮む、内部からこの範囲の確認は出来ない。
他
刀鬼×3
火獄×3
血生×3
マスターより
長らくお待たせ致しました。夜愛との決戦となります。もちろん殺さない選択も出来ますが、彼女は不退転の覚悟なのでご注意を。
独白が長いですが、岡部雪江と夜愛の自分勝手な私情であり、戦闘に影響するものは終わりの方の幻影の描写だけです。
また、今回殺意は高めです。
視覚聴覚がほぼ幻影にやられた状態でレーダーや通信機を失ってしまえば、苦戦は免れないでしょう。
敵の戦力は多くないですが、どう連携するか、どう闘うかを考え、夜愛の術を打ち破りましょう。
注:『このシナリオの成功度は「【屍国】屍の国を望む者」に影響します』
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/08/03 18:58
参加者
掲示板
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/07/17 23:11:36 -
【相談卓】
最終発言2017/07/21 16:44:17