本部
紫色の亡霊
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 9人 / 4~9人
- 英雄
- 9人 / 0~9人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/01/14 15:00
- 完成予定
- 2017/01/23 15:00
掲示板
-
質問卓
最終発言2017/01/13 20:16:02 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/01/13 15:14:44 -
相談卓
最終発言2017/01/14 12:24:38
オープニング
●絶望の家
酒の臭いがツンと漂う一軒の家。一人の男がロッキングチェアにもたれて酒を呷り続けていた。その目は透き通っている。死んだ湖のように、美しく。
それはスナイパーの宿命とも言えた。北方で展開される作戦に参加していた彼は、持ち前の狙撃能力を以て任務の遂行に貢献していたが、スナイパーは時に孤立する。その孤立を敵に襲われると、太刀打ち出来ない。
脳挫傷。治療のお陰で生還だけは成し遂げた。しかし、その代わりに彼は大切なものを失った。スナイパーの宝、鷹のように鋭い眼だ。
サイバネティクスの発展は、失われた眼を蘇らせることも可能とする。しかし、彼は眼を取り戻すことは出来ない。眼そのものを取り替えても、根っこにある視覚野が死んでいたら、意味がない。脳機能を補えるほど、サイバネティクスはまだ発達していない。共鳴しても……彼は目の前に広がる歪んだ世界を抱いて、希望の外へと消えた。
「……」
無言で男は酒を呷る。隣にいるべきパートナーは追い払った。能力者一人で二人の英雄を抱え込める時代だ。誰かが拾ってくれるだろう、と。後悔など微塵もない。あるとしたら無念だけだ。腕利きのスナイパーだった彼が、こんなところで酒を飲んでいるだけの無能力者になってしまったのだから。
そんな人間の元にこそ、かの愚神は現れる。
「……貴方の心に闇が見えます。映してみませんか、その闇を……」
●絶望の街
新しい年を迎えた街に悲鳴が響いた。紫色の弾丸が飛び抜け、白い雪を緋色に染めていく。雪崩を打って人々は地下へと逃れていく。
「はっ、はっ、はっ……」
必死に走る一家の背に向かって、海月のような従魔が迫る。
「ふ、ふふふ……」
街の中心に建つビルから放たれた紫色の弾丸。海月が触腕を伸ばすと、その弾丸は一家をめがけて大きく弧を描く。
「させるか!」
大きな盾を構えたエージェントが飛び出し、弾丸と一家の間に割って入る。その弾丸は、エージェントの突き出す盾に向かって突っ込んでいく。
「……!」
エージェントは呆然と立ち尽くす。盾には傷一つ無い。彼の背後には、血に染まって倒れる一家の姿があった。
「ひ、ひひ……ムラサキ、ムラサキだ。俺はムラサキなんだ……!」
既に人としての心を失った男は、よだれを垂らしながら次弾を装填する。そんな彼を背後で見つめながら、黒装束の愚神はポツリと呟く。
「世は無常。誇り高き心は移ろい、やがて大罪なる傲慢へと変わる……哀れなものです」
●希望を求めて
「下野平祐。かつて私と誓いを結んでいた方です」
郊外に設けられた対策本部。その天幕の中で、鷹のような雰囲気を持つ青年が周囲に向かって告げる。
「彼は戦えなくなった自分に絶望し、私との誓約も断ち切り一人となりました。今の主人に厚意を賜り今もこうしてこの世におりますが……彼のことはずっと気掛かりでした。……まさかこのように再会することになるとは……」
「御託はいい。今はあの街をどう解放するか考える時間だ!」
一人が叫ぶ。魔弾の射手となった下野平祐によって街の中心は制圧され、人々は地下に引き籠るしか無い有様だった。このままでは街は経済的に大打撃を受ける。一刻も早く解放しなければならなかった。
「立て籠もる場所は分かっています。全員に盾を支給して突撃――」
「馬鹿を言え。”アイツが操る銃弾は付近を滞留するクラゲ型の従魔によって操作され、回避は難しい。”弾道を見切れるほどのエージェントが来ればわからんが……」
「む……」
「ならまずクラゲを破壊……」
「バカ言うな。あんな上空にいては近づく事すら難しい。ついでに下野からの援護射撃と来た。死ぬぞ」
「スナイパーにはスナイパーを――」
「馬鹿! 1.5km先から狙いを付けられるAGWがどこにある!」
「……ありますよ。一挺だけ」
大人が喧々諤々の議論を続ける中、折りたたみ椅子にもたれかかったまま、したり顔で少女、仁科恭佳は呟いた。大人達は振り返り、信じられないといった顔で彼女を睨む。
「冗談言ってる場合じゃない! あのビルから周囲1.5kmは射程圏内なんだぞ! どんな銃も届くわけないだろう!」
「そうですね。皆さんが頭の中に叩き込んでいる種類の銃は全てライヴスの塊を撃ち出す銃です。弾は威力減衰どころか消滅するでしょう。ですが、実弾を使う銃ならどうでしょうか」
「お前……まさか!」
恭佳の上司は顔を顰める。ここぞとばかりに勝ち誇った笑みを浮かべ、恭佳はブローチの幻想蝶から長銃身の白いライフルを取り出す。
「だから言ったんですよ。殺られる前に殺る事を目指せって」
「スカパードレールガン……仁科、棄ててなかったのか」
恭佳とチームを組んでいる青年は、白いライフルを見つめてぽつりと呟く。彼女がリンカーとなり、さらに加速させた才能が作り上げた一つ目の武器。かつて見た抜刀術に彼女が感銘を受けて作り上げた、遠距離狙撃に堪えうる弾速を実現したレールガン。だが、その本質はそれが撃ちだす弾。超小型のAGWとも呼べる、霊石を用いて射手のライヴスを長く滞留させる仕組みのライヴスカートリッジ弾だ。これによって、射手の腕次第で、果てなき射程を実現した。ただし威力はお察し、そのくせコストがかかり、ついでに恭佳しか作れないという事で上からはすっぱりと切り捨てられてしまっていたのである。だが、そんな事で、彼女が諦めるわけも無かったのだ。
「この武器は絶対に役に立つ。そう言ったでしょう」
慈しむように自らの発明品を撫で、恭佳はふっと笑みを消す。
「さっさと呼んでください。悪魔ザミエルも仰天するようなエージェントを」
解説
メイン:都市を魔弾によって制圧した下野平祐を討伐する
サブ:愚神unknownに100以上のダメージを与えて負傷撤退させる(難易度高)
エネミー
下野平祐
脅威:ケントゥリオ級相当
ステータス:命中S、物攻B、他C-D
特徴、武器
傲慢
彼は自らこそ最強の狙撃手だという自負があった。その自負はいつしか傲慢に他を見下し、自らを慰めるようになった。下野が標的の射程外から攻撃を加えた時、標的の物防を半分にしてダメージ計算を行う。また、ヘイトは必ず最後にダメージを与えたキャラへ向く。(無傷時は完全ランダム)
レミントン
失明する以前に使用していた彼の狙撃銃型AGV。射程0~500sq。
スキル
Der Freischuetz
発射した弾丸を意のままに操作する事の出来る能力。彼が放った紫色の弾丸は、彼の意のままに動き敵を貫く。弾道思考を持っているキャラクターと、その周囲2sq以内にいるキャラクターのみ防御、回避、カバーリングを行うことが出来る。弾道思考の強化版。
クラゲ型従魔×10
上空10mほどに滞留しているクラゲ型の従魔。この従魔を中心とした半径100sqの球体空間に入った下野の弾丸は、この従魔のライヴスを受けて威力減衰なく操ることが出来る。
unknown
『シューメイカー事件』にて姿を現した新たな愚神。自らを鏡と名乗り、鏡を操る以外にその性質は何も明らかとなっていない。人の闇を映すが使命と嘯いている。
脅威:不明
ステータス:不明
スキル
紅い鏡?
攻撃を受け止める際に使用した。効果不明。
蒼い鏡?
攻撃を加える際に使用した。効果不明。
シナリオ専用武器
スカパードレールガン
ステータス補正なし、最大射程1000sq。ただし(使用者の命中/2)sq以上離れた相手への攻撃は命中判定に失敗する。
ライヴスカートリッジ弾×5
距離に関係なく敵に3ダメージ与える。この攻撃でトドメを刺すことはできない。
フィールド
ビル街。碁盤の目区画。
マスターより
影絵企我です。
現実にいるスナイパーの中には、2kmに迫る遠距離狙撃を成功させた人もいるらしいですね。という事で疑似的に遠距離狙撃を再現するギミックを用意してみました。これを扱う人物がいれば、戦いはぐっと楽になるでしょう。まあその武器で止めを刺す事は出来ないのですが……。
というわけでシューメイカー事件で出てきた愚神の新たな暗躍です。彼は下野の側にいるので、不意を突かれないよう気を付けなければいけません。また、下野は完全に精神汚染を受けています。救助する事は出来ません。
今回に関してはわからない事は遠慮なく質問して頂けるとよいかと思います。
ではでは。健闘を祈ります。波動カートリッジ弾なんて知りません
リプレイ公開中 納品日時 2017/01/21 22:29
参加者
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質問卓
最終発言2017/01/13 20:16:02 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/01/13 15:14:44 -
相談卓
最終発言2017/01/14 12:24:38