本部
もう大丈夫
- 形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 9人 / 0~10人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/05/03 19:00
- 完成予定
- 2016/05/12 19:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2016/04/30 20:19:44 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/05/02 20:29:50
オープニング
●いつかの影
北東北の小さな町――その外れにある山中の墓所に、ごく小規模なドロップポイントが生じた事がある。
と言っても、エージェント達の報告によると、気候が秋のそれに保たれ一部の植物に生態異常をきたしていた他は、ミーレス級の従魔が若干徘徊していたのみ。
危険らしい危険も見当たらず、程なくしてドロップポイントは浄化された。
なぜ発生したのかは不明だが、一般にドロップゾーンやドロップポイントが生じる原因は、愚神が展開するか、ライヴス異状による自然発生のいずれかである。
もしも前者ならば主たる愚神が姿を見せる可能性も否めない――そう考えたH.O.P.E.は現地を封鎖、観察を続けてきたものの、結局何も起こらず終いだった。
やがて、墓所の管理をH.O.P.E.から万来不動産に譲渡移管する話が持ち上がったのは、すっかり雪も解けて久しい、穀雨の時節に差し掛かる頃の事。
ついては最終確認も兼ねた立会いをすべく、四名以上のエージェントが現地に赴く事となった。
「せっかくですしお墓に手を合わせて……少し、ゆっくりしてきましょうか」
ひと通りの説明を終えた担当オペレーターこと鬼丸 鞘花(az0047)は、その言葉を以って同行の意思を一同に示した。
●忘れ得ぬ忘却
山道が緩やかになる頃、生い茂る――春だと言うのに花の咲いた――萩の狭間から地蔵が顔を覗かせているのが見えた。
歩み寄れば、幼子にも似た安らかな面、その足元には風車が回る。
風の流れを目で遡ると、牡丹の花と更に多くの風車、そしてぽつぽつと狂い咲く彼岸花、更に名も知らぬ――恐らく最近植えられたものなのだろう――花が揺れるのに囲まれて。
暖かな春の日差しを浴びながら、不恰好に細長い墓石が、幾つか立ち並ぶ。
中でも一際手入れの行き届いているのは、幾ばくか風化して薄れかけた“南家”の刻銘が認められたもの。
「――……、」
その前で、鞘花は目を細める。
この冬に急遽出版された小説に、また前任のオペレーターより引き継いだ報告書に目を通して、ここに眠る母子とその一族の数奇な運命を、知っていたから。
『ふん――たまに出歩くのを許したかと思えば、まァた斯様に辛気臭い場所を』
だが、今まさに馳せんとしていた想いは、隣からかけられたさもつまらなさそうな声に阻まれた。
「……まあ、人聞きの悪い」
小さく息を吐いて声の主――静(az0047hero001)を見遣れば、彼女はどこかから失敬した風車をくるくると弄んでいる。
「元より幻想蝶に縛り付けているつもりは、ないのだけれど」
『同じ事だ! 少しの事でいちいち説教垂れられたのでは遊ぶ気も失せる。尼かお前は……ッ!』
「他の人の迷惑になりさえしなければ、何も言いませんとも。簡単な事でしょうに」
『四六時中他人の顔色ばかり窺ってられるか! 気が滅入って終いには身をわずらうわ!』
「でも、私の顔色を窺っているのではなくて? 四六時中」
『……言ってろ!』
「あらあら。――静、あまり遠くへ行ってはいけませんよ」
分が悪いと見たか、捨て台詞を吐いて大股で藪の中へ分け入る英雄に鞘花が注意喚起すると、『童扱いするな!』と子供じみた応えがあった。
「あのう」
一部始終を見ていた気弱そうな男――万来不動産の担当者が、心配そうに藪と鞘花とを交互に見て、口ごもる。
「どうかお気になさらず。お腹が空いたら戻ってきますから」
「はあ……」
彼は、悪びれもせず微笑むオペレーターに曖昧な反応をして、それから彼女と共に立会いに訪れたエージェント達をちらりと見た。
●名残
『まったく腹の立つッ……いつまで経っても上から目線だッ……』
ぶつぶつと相棒に対する不平不満を垂れ流しながら、静は彼岸花の園を往く。
狂い咲きも不自然なら、山中に突然このような開けた場所があるのも不自然だが、今の彼女にはどうでも良い事だ。
『……おお?』
やがて無数の花の途切れ目に、著しく傾いて瓦解したほとんど用を成さない屋根と、それに押し潰されるようにして辛うじて口を広げた堂と思しき建物が見えた。
『ふん』
廃寺の周囲に視線を巡らせれば、草の隙間のそこかしこに地蔵らしき石頭がほつほつと顔を覗かせ。
ある場所に、木と木の狭間に隠れるようにして、腐りかけた小さな祠が目につく。
『つくづくしけたところよ』
少しだけ物憂げに目を細めてから、静は恐らく何もない寺の方へ歩き出した。
解説
【はじめに】
こちらはシナリオ『影のわずらい、その後』および『だから、白紙』に縁ある土地が舞台となります。
(原則、過去の参加既読は問いません)
【舞台】
北東北、とある山中にある古びた墓所。日中。晴天。
かつては鬱蒼と荒れ果てていましたが、エージェント達によってよく手入れされ、現在はこじんまりとしながらも趣き深い場所となっています。
日当たりがよく、墓の周りに植えられた花が咲き始めた他、墓所の随所に生えた牡丹の花が見頃です。
一方でドロップポイント化の後遺症なのか、若干の生態異常が散見されますが、自然に元通りとなっていくようなので気にしないでください。
近辺の林には廃棄されたお寺や小さな祠、季節外れの彼岸花が咲き乱れる妙に開けた場所があります。
【主にできる事】
OPの状況からスタートとなりますが、事前準備も可能です。
・お墓参り:
お煤払いや周辺のお手入れなども含みます。
・散策:
よろしければ見納めのつもりでどうぞ。
・懇親会:
お供えを兼ねたお茶とぼたもちをご用意しております。
更に持ち込んでいただいても構いません。
【NPC】
・鬼丸鞘花:
のんびり散策したりまったりお茶を飲んだり。
話し相手に困った時などはお気軽にどうぞ。
そうそう、どこかで小角が生えた白髪鬼と鉢合わせるかも知れませんが、なまじ相手をするとご面倒をおかけするかも知れませんのでお気をつけくださいね。
(いずれも特にご用がなければ、どうかお気遣いなく)
・万来不動産の担当者:
便宜上居ますが、必要がない限り描写しません。
【その他】
夕方は雨マークなので、その頃に事務手続きをしてお開きとなります。
マスターより
藤たくみです。
長々と書きましたが、つまりは立会いにかこつけた遠足のようなものです。
面倒な手続きは鞘花の仕事ですので、皆様はどうぞお好きなようにお過ごしください。
以前関わられた方は心残りのないように。初めての方もお気の済むように。
ご参加お待ちいたしております。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/05/18 19:09
参加者
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相談卓
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/05/02 20:29:50