本部
- 形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 500
- 参加人数
-
- 能力者
- 12人 / 無制限
- 英雄
- 9人 / 無制限
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 16日
- 締切
- 2015/11/26 09:00
- 完成予定
- 2015/12/17 09:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/11/22 12:03:34 -
調査班用相談卓
最終発言2015/11/26 00:32:53 -
相談卓
最終発言2015/11/24 23:50:37
オープニング
オーストラリア大陸のほぼ中央に位置する、アリススプリングス。
この都市では、三年前から始められたライヴススポーツが人気を博し、全世界的に新聞、テレビ、ネット、各方面で報じられている。
その名も、《ランナーズ》。
言ってしまえば障害物競走だ。
ルールはたった一つ。『駆けること』。
ライヴス技術で作られたスチュワートスタジアム内に作られたコースを、ただひたすら走り、一位を狙う。
リンクバーストもあり。だが、それを振り切って走りきる者にこそ、最強の走り手、《トップランナー》の座が与えられるのだ。
もっとも、《ランナーズ》が始まって以来、《トップランナー》の座は、一人の少年と、その《英雄》の手から離れなかった。
誰より早く競技場を走る二人は、生ける伝説と化していた。
@ @ @
今日の試合でも、少年は当たり前のように勝利をもぎ取った。
文字通り風のように、誰よりも速く、コースを走りきる。
「風間さん、今年三九試合連続優勝おめでとうございます!」
「ありがとう!」
汗を拭って笑うのは、風間翔一[かざま・しょういち]。十七歳。
三年前……十四歳の時、アリススプリングスに現れ、《ランナーズ》がスタートすると同時に《トップランナー》の座に登り詰めて以降、その座を誰にも譲っていない。
「応援してくれたみんなに感謝してるよ! オレ、走り続けるから!」
「ところで、三年前から言われている例の噂について……」
「あーあれ?」
翔一は露骨に顔を歪める。
「オレはここの運営に関わってないからね、それは風姉[かぜねえ]に聞いて。オレにその疑惑を持つんなら、ここへ来い。そしてオレと勝負して、その身でオレの実力を確かめてくれとしか言えない」
「確かに! これまで何度もその疑惑を持った相手と走って、疑惑を吹き飛ばしてきましたからね! 次の試合、四〇試合目も応援しています!」
セレモニーを終え、マスコミからも解放されて戻ってきた翔一を出迎えたのは、金の髪に淡い翠の瞳をした、スーツ姿の美女だった。
だが翔一は知っている。この姿はビジネス用。本当の彼女は、髪をたてがみのように靡かせ、地面を蹴って風の化身のように走る。
「風姉」
「その言い方はよしなさい。気に入らないわ」
「だって、風姉のほうが言いやすいんだもん」
美女は少しだけため息をついて、肩を竦めた。
彼女の名は風駆ける者[ウィンド・ランナー]。
《トップランナー》。翔一の《英雄》。
そして《ランナーズ》の創設者の一人でもあり、今も運営に関わっている。
だからこそ、翔一と風駆ける者には常に黒い噂が付きまとう。
まあ、簡単に言ってしまえば、「金で勝ちを買っている」というヤツだ。
コース設定を得意な物にしている、対戦相手に金を渡している、対戦者を妨害するように命令する、等々。数え上げれば切りがない。
《ランナーズ》設立時十三歳で運営のことは知らない文字通りの体育会系、翔一ですらそんな噂が向けられるのだ。
設立、運営に関わる風駆ける者へはもっとえげつない話も持ち上がる。
だが、そんな疑惑に、二人はこう告げる。
「なら、自分たちと走ってみろ」
年に一度はこういう噂が盛り上がり、レース経験なしや乱入可の特別レースが設けられ、そこで二人は正々堂々と戦い、勝つのだ。
少なくとも、翔一は風駆ける者の走る事へのこだわりを知っている。
彼女は走ることを神聖に考えている。速い者こそ強い。彼女は金のために走るのではなく、自分が速いと証明するために走るのだ。
そもそも彼女が《ランナーズ》を作ろうとしたのだって、足の速さ以外には取り柄のなかった自分が金を稼ぐ機会を欲したのに応じてだ。
まさかここまで大事になるとは思わなかったけど。
だけど、走る事が大好きで、ただただ走りたくて、そのために場所を欲していた翔一には、《ランナーズ》は居場所そのものだった。
過去を思い出すことはある。守りたい人たちだっている。
それを走る事で守れるのだから、これ以上のものはない。
「一ヶ月後のグランプリ、絶対負けらんない。だから、走ることに集中しろよな」
「誰に向かって物を言っているのかしら?」
「世界一速い《英雄》の風姉へだよ」
「分かっていればいいわ」
風駆ける者はにっこりと微笑んだ。
「じゃあ、私はちょっと仕事があるから」
「うん、じゃあね」
それが余計なことなんだ……と翔一は言いたかったが、結局は口をつぐんだ。
風駆ける者がやっていることは、いつも正しかったから。
@ @ @
ニューカッスル、モンローハウス。
届いた新聞を見て、モンローハウスの持ち主、モンロー[-]は微笑んだ。
一面記事には、《ランナーズ》で《能力者》級G1グランプリで金メダルをかざす翔一の写真が載っていた。
モンローハウスの子どもたちが新聞を見る。
「すごいねー! 三九試合連続優勝なんてさ!」
「賞金、きっとたくさんもらってるんだろうなあ」
「僕も《ランナー》になりたい!」
「今度のグランプリ、やっぱりこの二人で決まりだよね!」
「見に行きたいなあ」
「ほらほら、そろそろ食事の準備をするわヨ。お手伝いして」
はーい、と子どもたちは散っていき、モンローは笑顔の翔一の写真を見た。
「頑張りなさいネ。だけど、無理しない程度に」
@ @ @
オーストラリア、某所。
一週間後にグランプリを控えていた風駆ける者は、そこにいた。
「お久しぶり、ミスター」
アングロ・サクソン系の銀に近い金髪と青い瞳を持つ紳士は、小さく頷いた。
「ミズ・ランナー。計画は順調か?」
「まあね。来週のグランプリ、スタジアムは埋まったわ。立ち見席も用意する。そこで計画をスタートさせる。彼らは私の速さを思い知るでしょうね」
「速さはどうでもいい。何より必要なのはその時のライヴスだ」
「分かっているわ。でも、エリアを広げるにはよりたくさんのライヴスが必要よ。スチュワートスタジアムに、エリア化した後も《能力者》や《英雄》を導き入れることが必要ね」
「金で解決できるな?」
「援助してくださる?」
「無論」
紳士は黒いカードを滑らせた。風駆ける者はカードを受け取る。
「毎度、《ランナーズ》だけでなく色々援助ありがとう」
「それはそうと、カザマという少年は操らなくていいのか?」
「まだ利用価値はあるもの。貴方は気に入らないかも知れないけれど、彼に勝ちたいという《ランナー》は大勢いるわ。私と彼が結んだ《契約》は『誰より速く走ること』。それが破れた時ね」
無表情の紳士に、風駆ける者は微笑んだ。
「最終的には、アリススプリングス一帯を手に入れるつもりよ。その時翔一がいるかいないかは、役に立ったか立ないかで決まるわ」
「それは任せる。彼は絶望への第一歩でもあり得るのだから」
@ @ @
そうして、一番盛り上がるグランプリの日が来た。
観客席は満員御礼、立ち見も多い。
そして、当然一番人気は翔一と風駆ける者の二人だ。
勝負を前にして、走者がリンクする。
そして、翔一と風駆ける者も。
翔一の髪が金色に、目が翠に……男だと言うほかはほぼ風駆ける者に近くなった。
(翔一。貴方の速さを思い知らせてあげなさい)
(分かってる)
「スタート!」
最初の一歩から翔一は速かった。一気に団子状の集団から抜け出し、ぐん、ぐんと距離を伸ばす。
後続は必死に走るが、追いつけない。
(走るって素晴らしいわね)
(ああ。オレは走ってすべてをつかむんだ)
(そう。遅い連中など塵芥)
(……風姉?)
(一番速い私たちが一番素晴らしいのよ、そう思わない?)
思考は少しずつ歪んでいく。
(遅い連中は私たちの餌。私たちがより速く走るための糧)
走る興奮で満ちた翔一は、歪んでいっていることすら気付かない。
(ほら、皆が私たちを見ている。私たちに憧れて、でも走れなくて。うらやましくて悔しい。そんな奴らを食らって、私たちは速くなる)
最後の直線。翔一は一気に加速する。
(見なさい。私たちが支配する、速さこそ強い世界を)
世界が、歪んだ。
「ドロップゾーン!?」
暗く、凍り付いて。
一般の観客たちも、飲み込まれる。
《能力者》《英雄》である走者たちは、飲み込まれることはなかったが、それでもライヴスを奪われる。
ゴール地点で仁王立ちしているのは翔一か、風駆ける者か。
テレビカメラに《従魔》が取り憑き、《トップランナー》を映す。
その状況は全世界中に発信された。
「ここは私たちがいただいた」
狂英化した《トップランナー》と、それまで本性を隠していた《愚神》は、全世界に向けてこう言った。
「お前たちはただドロップゾーンを解除しようと動くだろうが、それでは面白くない。ここは《ランナーズ》。リンカー諸君、速さで決めようじゃないか」
速さ?
その場に居合わせた《能力者》や《英雄》、テレビやネットで中継を見ていた関係者に、動揺が走る。
「私はこのドロップゾーンの中にいる。そしてこの中を走る。その私に追いついてみろ。そうすればドロップゾーンを解除し、翔一とここに居合わせた観客は解放する」
だが、その場にいるだけでライヴスを消耗するドロップゾーン。走る事にライヴスを使っていた《ランナー》たちも、限界が近付いていた。
「悪い取引じゃないだろう? 全世界に自分の姿が発信されて、上手くいけば《愚神》を倒せるんだ。それだけじゃ物足りない? オーケーオーケー。栄誉と金が手に入るのが《ランナーズ》だものな。心配するな。運営委員の連中は恐らく報償を出してくれる。栄誉の方は《従魔》でこれまでのように全世界に発信するから、私たちに勝てばそれだけでついてくる。どうだ?」
と言って、《愚神》は微笑んだ。
「……ああ、私が勝手に自分の有利になる障害を作るだろうと邪推する者もいるだろうな。なら、これはどうだ。《ランナー》は一つ、障害を提案できる。《従魔》を使ったものでも道具を使ったものでも構わない。実現可能な障害であればね。その中からランダムに五つ、コースの障害とする。これは《ランナー》諸君がスタートする直前に決めて、《従魔》に作らせよう。ああ、安心しろ。私が《愚神》だからと言って連中には決して容赦しないようにする。これで文句があるならまた言ってくればいい」
それでも負けるとは思っていないのは裏の事情があるのかそれとも純粋な自信か。
「《ランナー》諸君、私は挑戦はいつでも受ける。が、早いほうがいいだろうね。観客からも遠慮なくライヴスはいただくつもりだ。観客が生きている間に助けなければ、栄誉はないだろう」
そうして、通信が切れ、暴走しかけた《能力者》や《英雄》たちもその場を脱出した。
@ @ @
この状況は、H.O.P.Eにもすぐ知れ渡り、足の速いエージェントたちが選ばれた。
《ランナーズ》運営委員会も、実は《愚神》であった風駆ける者の目的を知らなかったと報告し、ドロップゾーンを解除した者には賞金を出すと確約した。
異空間と化したスチュワートスタジアム。
《トップランナー》に勝てる者は、いるのだろうか?
解説
■注意事項
・シナリオは全3回です。
・他のオーストラリアシナリオとリンクしておりますので、そちらも読んでください。
・謎解き要素が含まれています。どの謎が1回目で解かれるかはプレイング次第です。
・2回目以降もストーリーが進めば、新しい謎が出てくる可能性があります。
・何をしたらいいか分からない場合は、下記行動選択肢の中から選べば、採用の可能性は高くなります。逆に「○○をしてはいけない」という事はありませんので、やりたい事があれば下記選択肢に囚われることはありません。ただし採用されるかどうかはプレイング次第となります。
■解説
アリススプリングスのスチュワートスタジアムが、《愚神》風駆ける者と、《狂英化》した風間翔一によってドロップエリア化してしまいました。
風駆ける者はドロップエリアを解除したければ、ここに入ってきて自分と翔一のコンビに勝てばいい、と挑発しています。それだけではなく、《従魔》を使ってドロップエリア内のコースをテレビやネットで放映して、挑戦者を待っています。
無論《能力者》と《英雄》はドロップエリアを行き来できますが、翔一と風駆ける者は《ランナーズ》では負けなしで、リンクした二人に《ランナーズ》で勝たなければドロップエリアは解除されません。
《ランナー》として《愚神》と勝負するときには、コース上に置く障害を何か一つセットしてください。ただし引っかかるのが《愚神》だけ、と言う障害はいけません。障害は全員を妨害します。選ばれる障害はランダムで五つまでです。《従魔》を使った障害も可能ですし、《愚神》もその障害物を他のランナーと同じようにその場でクリアしなければなりません。
また、翔一を一時的に止めるには、過去を探るのも必要かも知れませんし、風駆ける者が《ランナーズ》運営に携わっていたことを調べたら何か出るかも知れません。
■選択肢
1.《トップランナー》に挑戦する。
ドロップゾーンとなったスチュワートスタジアムに乗り込み、翔一、風駆ける者と走る勝負をします。《従魔》が多数いる上にケントゥリオ級と思われる《愚神》がいます。走るだけではなく、それらから攻撃を受けることもあると思われますので、注意してください。また、《ランナー》は障害を一つ考えることが出来ます。全《ランナー》から集めた内五つの障害が選ばれ、コースに設置されます。
2.スチュワートスタジアムに乗り込む
《ランナー》勝負以外の理由でスタジアムに乗り込む方はこちらを選んでください。ただし、《愚神》は走ることや勝負を邪魔されることを嫌うようなので、走る方より危険度が高いと言うことは覚悟してください。
3.風間翔一、風駆ける者の身辺を探る。
《愚神》に取り込まれていると思われる《トップランナー》翔一や《愚神》風駆ける者、あるいはい委員会などについて調べる場合はこの選択肢を選んでください。危険度はそれほど高いとは思われませんが、地味な調査になります。
■NPC紹介
風間翔一[かざま・しょういち](十七歳・男性)能力者・敏捷適正
《トップランナー》。《ランナーズ》スタート以来負けなし。風駆ける者と共にアリススプリングスを訪れる以前の経歴は不明。孤児という噂もある。
実は《愚神》だった風駆ける者の影響で現在は精神を操られている模様。ドロップエリアと化したスチュワートスタジアム内の主として、自分より速い者の挑戦を待っている。
風駆ける者[ウィンド・ランナー](外見年齢二十歳・女性)愚神・シャドウルーカー・デクリオ級→ケントゥリオ級?
風間翔一の《英雄》を名乗り、《ランナーズ》を作り、育てた《愚神》。《トップランナー》としても名高く、満員の観客と選手が集まったリンク級G1戦のゴール間近でスタジアムをドロップエリアと化した。他の《愚神》と違う点は、走る事にひたすら拘っていること。自分が速いと証明するために、栄誉や報酬をちらつかせて自分と勝負する者を待っている。
マスターより
どもども。初めましてもお久し振りもこんにちは。上原聖(かみはら・せい)と申します。
今回のストーリーは『走る』。
誰より速く走る敵を、抜き去ることが出来るのか。それとも攻撃して無理矢理止めるのか。そうして《愚神》に取り憑かれた翔一を解放することが出来るのか。
どうなるかは私にも分かりません。皆さんの行動あるのみです。
ではでは、ふぁいとぉ。うにゅ。
リプレイ公開中 納品日時 2015/12/17 18:02
参加者
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/11/22 12:03:34 -
調査班用相談卓
最終発言2015/11/26 00:32:53 -
相談卓
最終発言2015/11/24 23:50:37