本部

2018 御秋祭 ~下準備~

玲瓏

形態
シリーズ(新規)
難易度
易しい
オプション
参加費
1,300
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2018/11/24 21:42

掲示板

オープニング


 柔らかな秋風が街路樹の木の葉を揺らしている。道行く人々の服装は秋へと移り変わり、足音さえ閑散としている。
 駅前を通り抜けて住宅街に入り、坂山は自身の覚悟を身に固めながら一人アスファルトの上を歩いていた。H.O.P.Eオペレーターの彼女はつい最近、抱えていたテロ組織による事件を終わらしてからというもの平穏な日々を暮らしていた。
 町内会館の敷居をまたぎ、緑色のスリッパに履き替えてから中に入った。
 会長の中里は縁側に座りながらそよ風に当たっていた。駅前と比べて小鳥の声がよく聞こえる。
「あの話は本当かい」
 荷物を地面に置いた坂山は座布団の上に正座した。用意されていた茶菓子に一瞥をくれ、中里の問いに頷いた。
「本当よ。私の中でそう決めたの」
「そうか。じゃあ私は何も言うまい」
 中里は時間をかけて立ち上がり、机を挟んで坂山の正面に座った。机上の湯呑からは湯気が上っている。
 鬱蒼とした時間を掻き消すように溌剌とした声で坂山が言った。
「さて、御秋祭のことについて考えましょう。私は個人的な都合が終わったから、いくらでも援助できるわ。お金のことも、肉体的なこともね」
「ほほお、それは何より。昨年はステージを作ったが、今年はどうする?」
「その事なんだけれど、今年は原点に戻ろうと思うの。今まで色々試行錯誤して盛り上げようとしてきたけれど、その結果お祭りらしさが失われている気がして」
「色々考えたんだろうな。それなら、坂山君。金銭面に関しては問題なさそうだ」
 昨年のステージ作成には大きくお金を割いた。町内会費としては傷跡が残り、坂山は半年も金銭援助を続ける結果になったのだ。ステージは場所も大きく取る。
「今年もリンカーは来てくれるのかい」
「まだ分からないわ。これから応募をかける予定だもの。だけど私は来てくれると思うの。毎年楽しみにしてくれているんじゃないかって」
「少なくとも、私は楽しみだよ。酒を飲みながら若いリンカー達が作る食べ物を口にするのがね」
「可愛い女の子もたくさん来るしね」
「おたんちん。私はもうそんな事が言える年齢じゃないわ」
 他愛のない会話は何処かへ追いやり、坂山は予算や今年度の注意事項について大人の話を進め始めた。食中毒関連で販売不可な食べ物はないか。小学校が近い公園での開催であり、多くの子供で賑わう。保護者達はニュースに目を光らせているから、注意事項の作成に関しては慎重にならねばならない。
 とはいえ、大きな決め事もなくトントン拍子で話は進み、一時間もすれば大凡の話が出来上がった。
「後はリンカーを待つのみか。坂山君、ここから先は君の仕事だ。何かあったらいつでも連絡をくれれば、応援に出よう」
「ありがとう、会長。さて、気合を入れないとね」
 砂糖菓子を口にいれた坂山は立ち上がり、両腕を上に向けて大きく背を伸ばした。
「じゃあ行ってくる。朗報を期待しておいてくれて構わないわ」
「待ってるとも」
 昼過ぎになり、雲のない青空からは心地よい日差しが降り注いでいる。
 今年はどんな御秋祭になるのだろうと、胸に広がる感情は期待や童心の頃に抱いたルンルン気分に似たものだ。
 今では道端に転がったペットボトルを拾い上げてゴミ箱に捨てるくらいに。

解説

●目的
 お祭りに向けて、下準備。

●予算
 六十万くらいで、足りなくなれば坂山の自腹。※この予算の中に、土地の借り代は含まれません。
 この予算を全て使い切り、食材や景品等を揃えます。景品を手作りするための材料費に回すのも良いでしょう。

●決め事
 今年も屋台の担当はエージェントになります。昨年のタイムテーブルがこちらとなってます。このタイムテーブルを参考にして、何時に誰がどの屋台につくかを相談して決めます。被ることのないよう、お気をつけください。
 タイムテーブル
・17時~18時
・18時~19時
・19時~20時
・20時~21時
 一時間交代で、エージェントは店番をよろしくお願いします。

●子供向け屋台
 このお祭りには子供が多く参加します。なので、子供が簡単に遊べるゲームを用意してください。彼らが喜びそうな景品の考えもやっていきましょう。

●エージェントのお仕事
 以下に、箇条書きでエージェントの仕事をまとめます。
・品物の買い出し
・テントの設置
・屋台の準備(飾りつけや、絵のかかれたプラカードの用意など)
・どんな品物をお祭り参加者に提供するか(ちょっと変わった内容の屋台があってもOK)
・お酒の販売も可能になりました。ただし、年齢確認は必ず。

●補足
 祭りは17時から21時にかけて行われます。20時から21時にかけては花火大会が行われ、手持ち花火で遊んだり遠くから打たれる大きな花火を鑑賞します。
 片付けは後日、有志が行いますのであなた達は準備だけで構いません……と坂山から。
 質問は全て坂山まで。

●最後に
 楽しみましょう! それだけです。
 もし希望があれば御秋祭の後にリンカーだけ集まって飲み会をしてもいいかなと考えてます。
 飲み会ほしい! という方はぜひお申しつけください。

リプレイ


 紅葉が顔を出し謳い始める時期には程よい涼し気な風が吹き、夏の残滓を秋の色に染めていく。暖かさが失われる分、人々は互いに温もりを求めて人間同士の繋がりも色を濃くしていくのだ。
 毎年十一月の恒例となっている御秋祭は今年もまた滞りなく開催されることになった。
 御秋祭最大の醍醐味とも呼べるのがリンカーの参加である。今日は下準備であり、多くのリンカーが準備に駆け付けてくれていた。
「いいか、立てるぞ」
 公園ではテントの設営がキビキビと行われていた。レティシア ブランシェ(aa0626hero001)の掛け声でテントが立ち上がり「L町寄贈」という太文字が力強く描かれていた。
「今日は風が強い。テントは後で閉まわないと」
 折角の準備が台無しになっては困る。オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)は予め確認を取り、公園の向かい側にある小学校に組み立てたテントを保管する手筈を整えていた。
 外は肌に突き刺さるような荒々しい寒気が風に乗っているが、力仕事をしている分体は暖まっている。
 今年もまた大きなお祭りになる予定であり、テントの数は三十三個だ。まだまだ先が長い。
「よしよし、じゃあ組み立てるか。リーヴィ、そっち持ってて」
 ガルー・A・A(aa0076hero001)はオリヴィエに指示を出し、タイミングを合わせてまた一つテントが立ち上がる。この調子ならば日が沈む前には終わるだろうか。
 公園の中心部、迷子の子供を保護する予定の位置ではグラナータ(aa1371hero001)がテントの組み立て方を坂山から教わっていた。
「えっとね、とりあえず紐を全部解いちゃって、そしたらとりあえず広げてみるんだけど」
 設営と文字にすれば二言で済むが、初めての設置となると中々に難しいのだ。力仕事ばかりではなくパズルのように支柱を組み立てなくてはならない。坂山も少し苦戦の表情。
「ふむ、ふむ。何となくわかってきたッす! つまりここをこうして」
「――そうそう、そんな感じ! 飲み込みが早いのね、手先も器用だし」
「教え方が上手なだけッすよ!」
 さすが、英雄のグラナータは理屈さえ掴めばスピードがガンと上がった。力持ちのおかげで、坂山は大した労力をかけずに一つのテントが仕上がったのだ。
 一つ立てただけで既に息が上がり始めた坂山は腕時計を確認した。まだ十二時を回っていない。今の内に、夜の飲み会の場所作りをしておこうか。
 後のことをグラナータに任せ「了解ッす!」と景気の良い返事を貰って後ろを振り返ると、ちょうど荒木 拓海(aa1049)が手を振りながらこっちに歩いてきていた。
「坂山さーん去年の参加者は何人位でした?」
「えーっと、大体230人くらいだったはずよ。リンカーとか全ての人含めてね」
「結構多いんですね! 足りない分は当日印刷しようと思うんですが、どうでしょう?」
「昨年は子供達が多かったのよね。追加印刷なら大丈夫よ、臨機応変に対応するわ」
 荒木はスタンプラリーの露店を担当する。今回新たな試みであり、最初に荒木がスタンプラリーを提唱した時に、議論の余地はなかった。その案はすぐに採用され、祭りの中に取り入れられることになったのだ。
 若い人の発想力は柔軟である――と町内会で話題になったのはちょっとした小話である。
「当分事務作業でいっぱいで皆の姿は見れなくなっちゃうんだけど、メリッサちゃんとかリュカ君とか皆は楽しく準備できてるかしら」
「ええ、そりゃもう。さっき買い物組が出発したんですが、遠足前の小学生のような感じで楽しそうでしたよ。看板もちらっと見たら可愛く仕上がってましたね。これは当日、すごく盛り上がる予感!」
「良かった。皆が楽しんでくれるのが一番だもの。何か問題があったり、相談があったらいつでもいってね」
「頼りになります。それじゃ自分も担当に戻りますね! 坂山さんも頑張って!」
 遠目に、また一つ立ち上がったテントが見える。レティシアが腰に両手を当てて満足そうに見上げ、一呼吸休憩の後にすぐ次のテントに取り掛かっていた。
 頼り甲斐のあるリンカー達だ。一人一人の表情も楽し気で、その笑みにつられて自分自身も愉快な気持ちに誘われながら坂山は町内会館までの道を歩き始めた。


 親しい友同士との買い物とは童心を呼び戻すものである。時に、それが何か楽しい出来事の前となると尚更に。
 祭りで使う道具や食材はメモに記されているが、何を買うかは買い物をする班に託されている。買い出し係とはある意味、当日の祭を形成するわりと重要な役柄なのだ。
「今の子供達は戦隊モノとか好きかなあ」
 木霊・C・リュカ(aa0068)は射的、輪投げの景品に合う代物を選んでいた。真っ先にアル(aa1730)が見つけたのは玩具、ではなくTシャツである。
 白い生地で、中央らへんに顔がなんかしつこい感じのシャツ。
「やっぱり思い出といえば服だよね! 観光地じゃ絶対と言わんばかりに売ってるし」
「うん。お兄さんも服は悪くないと思う。でもサイズ選びとか難しいから、一旦服は置いておこう」
「あ、そっか。うーん。じゃあ個人的に買ってくるね!」
 彼女の中ではきっと、特別なシャツだったのだろう。アルは急ぎ足でレジへと向かい、一分と経たずに戻ってきた時、手にはまた新たな何かが掴まれていた。
「アルちゃんそれは?」
「木刀! 木刀って小学生達にとってはロマンでしょ。特に男の子! 木刀も観光スポットじゃ欠かせないし」
「うん。かっこいいよね木刀、不意に買いたくなっちゃう気持ちは分かるけど今は多分エアガンが主流だよ。あと一瞬で刀狩り令が下されると思うんだ」
「そっか。うーん。じゃあ個人的に」
「あれ? お兄さん気付いたらアルちゃん自身のお買い物に付き合ってる?」
 買い物班は二人だけでなく二手に別れて買い物に勤しんでいる。その片方、片薙 蓮司(aa0636hero002)と片薙 渚(aa3674hero002)が四階のゲームコーナーにいた。
 誓って二人……主に渚は遊んでいる訳ではない。
「Fo~! 見たっすか! たくさん落ちたっすよ!」
 回転する床に置かれているお菓子を掬い、規則的に前後に動く出っ張った場所にお菓子を落とすことにより、押し出された品が景品となって出てくるシステムの古き良きゲーム。渚はそのゲームを使って景品を獲得していた。
「多分、これで品物を揃えるより買った方が早いと思うんだが」
「何言ってるんすか! こうして苦労して獲得した景品にこそ気持ちがこもってるもんなんすよ。一応これも買い物の一環っすからね! モグモグ」
「……食ったぞ」
「これは味見っす! 子供が喜ばない味だったらダメっすからね! でもこれは合格。癖になる味わいっすね~」
 戦利品を試食しながら周囲を見渡していると、次に見つけたのは楽し気なピエロが描かれたゲームだ。これは弾を射出し、穴に入れて見事ビンゴになったら景品が出てくるシステムとなっている。
 挑戦しない、とはいかない。長年ゲームセンターにて培ってきた経験を今発揮する時なのだ。
 そしてビンゴになるのだが、流石と言えようか。金額は相応にかけたが、景品との釣り合いは取れていると蓮司は信じたかった。既に千円は使用している。
 ビンゴで手に入れたアイテムはウサギのぬいぐるみだ。大人なら枕代わりに出来るだろう程の大きさで、くじ引き等にはピッタリではないだろうか。少なくともゼノビア オルコット(aa0626)の買い出し依頼は完璧にこなせるだろう。後はクマを獲得するだけである。クマなら向こう側のUFOキャッチャーで律儀に座っている。
 首根っこを掴まれたクマがすっぽりと穴の中に落ちていった。合計500円。
「フっ、安いコストで高い物を得る。これが出来るのはゲーセンのみっす!」
「景品はもう十分だろうし次行くぞ。タピオカドリンクとかに使う物も買うとなると、少し時間がかかりそうだからな」
「それゲーセンで取れないっすかねー?」
「限定的すぎるだろ……。いいから行くぞ」
 蓮司は思わず渚の手を握ったが、その頬はほんのりとリンゴの色になった。ゲーセンに心を奪われていた渚も現実に戻ってきたようで、ぎこちないながらも二人は手を繋いで一階の食品売り場へのエスカレーターを降りた。
「アルちゃんそれは一体?」
「奈良の大仏を模した水筒! 観光スポットじゃまず置いてない訳ないよね!」
「うん。東大寺限定のお土産だね? ところでこのショッピングセンターの幅広さはなんなんだろう。どの層に向けての商品なんだろう」
 買い物は終わるのだろうか。一抹の不安はよぎるが、アルが蒐集品を集めている間にリュカはちゃっかり子供向けの軽い景品を集めていて、篭にはさまざまな玩具が入っていた。お面やら、怪獣のフィギュアやら。
 玩具売り場での清算も終わり、色々買ったおかげか袋のサイズは大きくなっていた。病み上がりのリュカは持つのに少し苦労がいるだろうか。
「あ、リュカさん、買った物はボクが持つからね! 無理しちゃダメだからね!」
「いいの? じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな~。アルちゃん優しいっ」
 アルの頭上に軽く手が置かれると、ニッコリ笑顔が彼女の表情に浮かんだ。
 その時、ふとリュカは思う。
「凛道に見つかったらお兄さん死んじゃうのでは?」
 そう言いながらも、さり気なくツーショットで写真を撮って送りつけるリュカであった。


 完成した屋台の近くでは早速準備作業が行われていた。日差しも強くなり、外での作業に寒さを感じにくくなる時間帯だ。紫 征四郎(aa0076)はポップに仕上がったダンボールに折り紙をくっつけている。ポップコーンを販売する屋台なので、黄色いコーンの折り紙だ。鋏で細かく切って本物のコーンのように切れ目が出来ている。
「征四郎は前々からこの祭りには参加してるんだったか」
 糊で折り紙を貼り付ける作業は榊 守(aa0045hero001)も手伝っていた。あまり文字に寄り過ぎず、隅っこに追いやり過ぎず。程良い塩梅を見極めるのはセンスの問題だ。
「はい。毎年すごい賑わうんですよ。子供達が本当に多くて、昨年来てくれた子だなーとか分かるんです。毎年来てくれる子もいて。昨年はあんなにちっちゃかったのにって思う子もいるのですよ。毎年毎年、全然変わったお祭りになるのです」
「絶賛だな。こりゃ当日が楽しみだ。花火もあるんだろ」
「はい! 今年もやるみたいなのですよ。打ち上げ花火だけじゃなくて、町内会の人が手持ち花火も配ってみんなで出来るんです。いつだったか花火でジャグリングしてる人もいました」
「夜は皆で花火をしたいとお嬢も楽しみにしてる」
「いいですねっ。皆で楽しみましょうね」
 話しながら準備を進めていくと、あっという間に進んでいくものだ。ポップコーンの屋台準備は終了。次はわたあめである。
 お酒の屋台準備は少し難しい。時鳥 蛍(aa1371)は手際良く準備を進める征四郎の姿を見よう見まねで手を動かしていたが、未成年のために杏酒がどんな色で表されるのかを知らない。
『征四郎、これは一体どのようなお酒でしょう』
「杏酒……。うーん、征四郎もあんまり詳しく分からないので、杏を描いちゃいましょう!」
『――こんな感じでしょうか?』
 時鳥の描いた杏はどこかミカンに似ていた。
「惜しいのです! 杏はここにこうやって……線が入るのですよ」
『おお。なるほど』
「じゃあ次はブドウを描いてもらってもいいですか! あ、これは折り紙で作った方が可愛いかもしれないです」
『どうやって作りましょう』
「紫色の折り紙を小さくきって丸くして、枝は征四郎が作るのです! なのでホタルは丸める係です!」
 御秋祭の先輩、征四郎がいれば心配する必要もないだろうか。榊は腰を伸ばして青空を仰いだ。しゃがみ作業が続いたおかげで、体が縮こまっていたみたいだ。公園の樹木が香らせる澄みきった空気が体中に渡り心地良い。
「屋台は良いぞぉジョージィ……」
 チョコバナナを作る屋台の側で芦川 可愛子(aa0850)がぶつぶつ独り言を言いながら看板を作っていた。
「沢山美味しいものを食べられるし、雰囲気も最高……。毎年に一度しか開かれないから思い出作りも出来る」
 彼女の描く看板の絵には個性が存分に溢れ出ている。変質的な笑みを浮かべるピエロとハイになった少年が仲良くチョコバナナを食べているのだ。ワイワイ楽しい雰囲気が絵全体から見て取れる。余談だが、通りすがりの役員がこの絵を見てピエロの衣装を用意しようと思いついたらしい。
 何か物が崩れるような音が響いた。テント張り組のいる方向からだ。榊は急いで駆け付けたが、音からしてほぼ想像通りの現象が起きていた。
 テントが倒れていた。しかし倒れていたのはテントだけではない。天井部分に備えてあった幕を毛布代わりにしているかのように、テントの下でゼノビア オルコット(aa0626)が目を回していた。
「おいおい、大丈夫か」
 レティシアと榊は協力してテントを退け、倒れることがないようしっかり固定した。
 何があったのかと問えば、レティシアは紙にこう記した。
「ヒモが弱かったので、治そうとしたら、難しかった、です」
 音でガルー達も駆け付け、解決した様子を見てほっとして言った。
「ゼノビアちゃんは無理しないでな? レディだし……つーかレディに力仕事なんかさせなさんなよレティシアちゃん」
「言っとくが俺が指示したわけじゃねぇからな。ゼノビア、次から何かするときは俺に一声かけるように。分かったな。――あーあと、榊だったか。サンキューな、助かったぜ」
「困った時はお互い様だな。お嬢の事も頼む。何やらかすか分らんからな」
 一台のミニバンが公園の出入り口前で止まり、買い出し組のリュカ達が手を振りながら戻ってきた。風見鶏仮面(aa0850hero002)は手一杯の荷物を掲げて細長い机の上に置き、中身を一個一個取り出した。
 少しずつ祭りが明確に形となりつつある。後は看板や飾りつけが終わるのを待つだけだ。もちろん、形になったらお楽しみも待ち構えている。


 風見鶏は頼まれていたカラーテープを荒木に渡しにきていた。荒木はメリッサ インガルズ(aa1049hero001)、泉 杏樹(aa0045)の二人と協力しながら案内板を作っていた所だ。
「こんなものでいいかい」
「ええ十分です。助かりました。色も結構種類があるんですね」
「色々買ってくれたみたいだね。後これ、風邪ひかないようにね」
 まだ暖かいペットボトルのお茶が袋の中から取り出され、三つ分荒木に託された。荒木は礼をいいながらペットボトルを受け取りすぐに手渡そうとしたが、泉が頑張ってチラシを作成しているのを見ると、微笑んで見守るだけにした。
「拓兄様、色合いはこのようで大丈夫ですか」
「そうそう、色々な色を使ってカラフルに流れを作るように……うん、ゆっくりで良いよ」
「わあ可愛い。アンちゃんすごくセンスあるよ~」
「ふふふ、ありがとうございます」
 スタンプラリーのチラシ作成途中だ。泉はどこかで見たことあるようなキャラクターをしっかり色で分けて丁寧に描いていた。複数あるキャラクターの中には渚が獲得したウサギとクマも描かれていて可愛らしい。
 絵の中のキャラクター達はお互いが仲良く、争い事のない世界で生きている。
 荒木のすぐ後ろでカメラのシャッター音が聞こえた。振り返ってみれば雅・マルシア・丹菊(aa1730hero001)の姿。彼女は泉とメリッサが仲良くポップ作成する姿を被写体に、膝を地面につけながら撮影していた。
「雅さんお疲れ様~。良い写真は撮れそうかな」
「バッチリ。この公園私からしたら中々に聖地よ。当日の撮影スポットはあらかた抑えたわ」
 プロのカメラマンである雅はお祭りの様子をふんだんに撮影すべく下準備は完璧だ。なにせ彼女はアルのスタジオから衣装も持ってくる予定であり、更に二畳分の風情豊かな壁も用意できている。色合いは秋そのもので、雅だけでなく様々な人達の撮影スポットとなるだろう。
「みてみてー! このポップな感じの宣伝どうかなー?」
 可愛子は両手で伸ばした宣伝紙を荒木に見せつけた。彼女は征四郎が作った折り紙や備品等を参考に色々描いており、年相応の画力ながら紙の全面から楽しいという感情が飛び出してきている。
「可愛子ちゃん、こっち向いてー」
 雅は既にカメラを構えていた。可愛子はカメラの視線にすぐに気付き、片手でピースを作りながら「いえーい!」と高らかに声を上げ地面から大きく跳ねた。
 さらっと荒木も隣でポーズを取ってカメラに収まっている。
 一連の撮影が終わると荒木は紙に眼をやって、二回頷いた。
「とっても楽しいお祭りの雰囲気が出てるね。子供達だけじゃなく大人もクスってくるようでいいねえ。独特な感じがオレは好きだなー」
「ありがとう! じゃあこれは完成だから渡しておくね」
「はーい。あ、あとこれお茶。よかったら飲んでね」
 可愛子はお茶を受け取り、泉とメリッサの描いている案内板を斜め上から見下ろした。やる事が終わり、しばらくのリフレッシュタイムだ。
「いやーん、素敵ー☆ このクマさんにウサギさんに可愛い~! 私の分も書いて! おうちに飾るんだ」
「ありがとうございます。えっと、そんなに可愛いものでしょうか……?」
「可愛いよー! すっごいゆるふわ系! そのお仕事が終わったら私の分も書いてねー約束ね!」
 どこからかカメラのシャッター音が聞こえる。
「うーむこれぞリンスタ映えって奴ね。青空をバックに可愛い三人の女の子」
 当日はアルも加わってリンスタ映えの加速が予測されるだろう。撮影スポットに花火、お祭りには思い出の一枚を撮れる機会がどこにでもあるのだから。
 注意事項のかかれた案内板や店の紹介用の紙の作成は終わり、最後は班員で物の配置だ。テントの設営は全て終わっているとの情報が舞い降りてきている。五人は仲良くお茶を飲みながら設置の旅に出るのであった。
 祭りの当日も風が強いことを懸念し、粘着力はしっかりと補強。滞りなく準備は進められていく。

 ヘンリー・クラウン(aa0636)は隣にいたリリア・クラウン(aa3674)を手招きして寄せた。タピオカの屋台を準備していた最中であった。
「桜、当日は一緒に商品を出さないか。桜はタピオカ担当で、俺は綿あめを担う。何か分からないことがあったらいつでも助けられるように同じ屋台の下だから、心配はしなくていいんだが」
「やったー! 大賛成! ヘンリーと一緒に販売かぁ~。ふふ、楽しいに決まってる! ボクはタピオカ係ね!」
「当日はどうやら、浴衣とか衣装の貸し出しもしているみたいだ。一緒に着ないか」
 屋台の机の下で、ヘンリーはリリアの手を握て微笑を浮かべた。
「うん!」
 幸福に包まれる二人。御秋祭とはやはり、様々な色を見せてくれる祭であることに代わりはなかった。
 買い物袋がこすれる音が聞こえてきて二人の所にやってきたのはマフラーをした渚と荷物を持つ蓮司だった。蓮司は袋を机に置き、これでいいかとヘンリーに訊ねた。
「うん、ありがとう。ちょっと時間が掛かったみたいだね」
「ショッピングセンターに売ってるタピオカだけじゃ足りないなーと思って色んなお店回ってきたんすよ。そしたら結構色々良いのがあって! 悩んだ時間が長かったっすねー。車で待っててくれた町内会の人には感謝っす」
「渚、まだ終わったわけじゃない。これからチラシも配布しにいかないと」
「あ、そうだった。じゃあ二人とも後は任せたっすよ! いってくるっす!」
 陽が落ち始め、少しずつ朝の肌寒さが戻ってきた。動いていないと寒さに毒されてしまうだろう。ヘンリーはリリアと一緒にタピオカや綿あめの準備を進めた。当日、すぐに提供できるように。


 屋台の準備が整っていく中、テント立て組は完成しつつある祭りの様子を見て回っていた。オリヴィエ達が担当する射的の屋台。ゼノビアが坂山にお願いし、昨年使った銃が机に紐で括りつけられて寝そべっている。
 その銃を見てレティシアが一言。
「きちんと撃って倒れるかどうかのチェックも兼ねて、対決しようぜ。まさか当てる自信が無ぇとか、そんなことないよな?」
 するとオリヴィエは静かに銃を手に取り、レティシアに挑みの眼差しを向けた。
「そうこなくっちゃな。勿論ガルーも参戦するよなぁ」
「あ? 射的くらい適当に当ててやるっつーの、当日を見てろよ」
「なんだよ、今はやんねえのか」
「試し打ちなら二人いりゃ十分だろ。本気の勝負は本番まで取っておくもんだぜ」
「はッ、そうかい。怖気づいて逃げんなよ。そんじゃゼノビア、適当に何かしら駒を置いてくれ。そうだな――このクマのぬいぐるみでいいだろ」
 ゼノビアは机の上にあったクマを景品棚の上、印がつけられた場所に置いてセッティングは完了だ。
「…景品壊さないでください、ね」
 先行は言い出しっぺレティシアの番。
 弾を詰め、肩にライフルを乗せて標準を的に合わせる。子供でも持ちやすい銃のために、実践で使う武器と比べて照準は安定しやすかった。楽勝だな、レティシアの心に余裕が生まれ、やがてトリガーが引かれる。
 射出された弾はクマの腹、中央に命中した(本番ではクマは別の景品となるため射的では落ちないのである。よって、おそらくどこに弾を命中させたかがこの勝負の結果を決めるのだろう)
「ま、これくらい普通だよな。次はオリヴィエだ。アレを外したら罰ゲームかなんかを用意しとかないとな」
「……その必要はない」
 一発目レティシアが打った時、オリヴィエは弾の軌道とその速度を目視していた。自分の身長と重ね合わせ、どこで撃てばより高得点を狙えるかを予測。彼は寝そべった銃にただ手を添え、目を閉じた。
 五秒。その時間は五秒あれば十分だ。オリヴィエは瞬きさえ許さない速度で銃を構え、流れるようにトリガーを押した。
 弾はクマの鼻の穴に入り込んだ。
「やるな。どっこいどっこいといったところか」
「……本番は、こんなものじゃない。楽しみだ」
 男と男の本気の勝負。これはただの序章に過ぎない――。
 ところで、鼻に入った弾は結構奥深くまで入ってしまったようで、ゼノビアが取るのに苦労したというのはこの後すぐの話だ。


 祭りの下準備も終わり、夜。ほとんどのエージェントが楽しみにしていたであろう場だ。
 本来は御秋祭が終わった後に開く予定であった飲み会だったが主にリュカの強い希望によって実現した打ち上げ飲み会。昼の間に坂山が場所を用意し、町内会館に集合していた。町内会は町内会のグループで居酒屋で飲んでいるらしく、リンカー同士水入らずということでほぼ貸し切りの席を借りることができたのである。
 リンカーが揃った時、和室の上には既にご飯やビールが揃っていた他、リュカは買い出しの時に買っていた酒を幾つも袋から取り出して机に並べた。
「こういうとこだけほんとちゃっかりしてやがる!」
 まさに。何人もの言葉を代弁したガルーは苦笑を浮かべながら座布団に腰を降ろした。料理を作ったのは坂山と小学校の給食を作る職員達である。そのおかげか良い香りが立ち込めて空腹を誘う。
 全員が座り、荒木やガルー達が各々のグラスにソフトドリンクやお酒を注いでいく。全員準備が整ったのを見計らい、荒木はグラスを持ったまま立ち上がった。
「えー、諸事情により別の場所へと向かった坂山さんに代わり、かるーく司会進行を務めることになったんだ。といっても、挨拶だけなんだけどな。それじゃあ皆、コップを持って!」
 上から見下ろすと、彩り鮮やかなグラス軍だ。年少組に注がれたなっつぁんの明るい色、烏龍茶の爽やかな色、ビールやカクテルの色。荒木は一人一人に目配せをすると、コップを上に掲げてこう言った。
「下準備お疲れ様です! かんぱーい」
 そして、楽しい夜は始まりを告げるのであった。
「お酒って今まで飲んだことないッスよー。楽しみッス!」
 グラナータは二十歳になったばかりで、お酒デビューだ。グラスに注がれているのは飲みやすい焼酎のお茶割である。
「酒は飲んでも呑まれるなって言うぜ。まあでも今日くらいは無礼講だ。酒の楽しさって奴を味わうといい」
 ガルーは目の前の刺身を箸で手に取り、口に放りながら言った。グラナータはグラスに口を付け、初めての味に感嘆の息を漏らす。
「これが、これがお酒っすか……! ウーロン茶の味なんすけど、なんかそれに加えて味があるっす! お酒って案外美味しいんすね~!」
 年少組は年少組でジュースを飲んで盛り上がっている。
「これがなっつぁん! 美味しいー!」
 元気いっぱいの声は可愛子のものである。とろける甘味が特徴、オレンジジュースなっつぁんはアルがイメージキャラクターを務める商品です。
「あんまりはしゃぎ過ぎて机をひっくり返さないようにね、可愛子」
「分かってるー。風見鶏こそ酔っ払いすぎないように!」
「さすがに大人の飲み方は心得ているさ。本番をちゃんと成功させるために、ここでしくじる訳にはいかないからね」
 机上には主に海鮮類、肉類とグループ分けされたお皿が並んでいる。海鮮類にはサンマの塩焼きや松島から取り寄せた牡蠣、寿司という豪華なものからししゃも揚げ、貝のスープという細かなものまで並んでいる。肉類は祭りで出す豚汁や、ジンギスカンや仙台名物の牛タン等。リンカー達が節約して物を取り揃えてくれたおかげで品ぞろえは豪華な物になっている。
 料理はそれだけで終わらない。なんと榊も料理を自作して持ってきていたのだ。品揃えはこちら。
 秋刀魚の梅煮。
 鮭と茸のちゃんちゃん焼き。
 茄子の揚げ浸し。
「秋の味覚で日本酒に合うだろ?」
「さっすが~! 榊さん分かってる! 今夜はガッツリ飲まないと損だよね!」
 苦虫をかみつぶしたような眼をしながらオリヴィエは立ち上がり、なっつぁんを持ってゼノビアの所へとこっそりやってきた。グラスの中身が無くなっていたからだ。オリヴィエはジュースを注ぎながら、ふとこう言った。
「年上、だったのか」
 二人は面識はあったが、このように話す機会には恵まれなかった。ゼノビアは良い機会だからと、オリヴィエが立ち去る前にこう書いた。
「準備、大変でした、ね。……うまくいきそう、です?」
「多分、な。どっかの誰かが、祭り本番で酔っ払い過ぎない限り」
 酒の席が進んでくると、酔いを少し冷ますためにリリアとヘンリーは輪から外れ、縁側に座って夜風に当たった。アルコール成分は控えめの物を呑んでいたのだが、料理が美味しくお酒も進むのだ。
「夜風がすごい気持ちいい~! 外を歩いている人も少ないし、とっても良い気分です!」
 リリアはヘンリーの肩に頭を寄せ、夜空を見上げた。幾つかの星が瞬いていて、僅かに欠けた月がよく見えた。
「まだ本番じゃないのに、今日は楽しかったな。祭りが非常に楽しみだ」
「うんうん。頑張って二人でタピオカジュースと綿あめ完売させようね! 皆美味しいって言って飲んでくれるかなー」
「当たり前だ。美味しく出来上がるに決まってる」
 暖かくなってきた頬を、丁度の具合に夜風が冷ます。自然の香りと、秋刀魚や肉たちの香りが調和している。
 ご飯が美味しいと酒はよく進む。それはリリアだけではなく他の皆もおんなじだ。
「飲んでる? ねぇ飲んでる?」
 リュカは問答無用にレティシアに絡んでいる。
「うるせぇなもう酔っ払ってんのか」
「レティちゃん飲んでるかい? これもどうだ?」
 どうやらレティシアを飲ませる勢はリュカだけではない。ガルーも日本酒を猪口に注ぎ、レティシアに差し出していた。
「それ一気! 一気!! あっちょっと待ってごめん痛い痛い」
 酔っ払い組はさておき、ご飯の席を真っ当に楽しむ征四郎はしっかりと料理を味わっていた。場に酔ってはいるが。
「ホタル! おつかれさまでした、今日は飲みましょう!!」
『お疲れ様です。かんぱい』
 再び酔っ払い組に視線を戻してみよう。煽られ過ぎたレティシアが床に伏せて既に燃え尽きている。その後もリュカは荒木や榊に遠慮を見せず絡みにいき酔っ払いの本質を見せる。
 すると脇腹に強い感触が。見ればオリヴィエがリュカに頭を押し付けていた。
「……俺も、構え」
「ふふー、しょうがないなぁ」
 飲み会も終盤に入ってきたところで、立ち上がったのはリリアである。
「皆今日はお祭りの準備本当にお疲れ様~! 飲み会、皆盛り上がってるぅ~?!」
 わいのわいの。
「いえーい! じゃあここで更に盛り上げちゃおう! それじゃあ行ってみようかぁ!」
 気付けばドラムやアンプに繋がれたギター等が用意されていた。何処から持ってきたかはご想像にお任せしよう。

 楽しい夜というのはあっという間に過ぎてしまうものだ。
 幸いなのは、まだ後一日楽しむ日が残っているということだろうか。
 用を終えた坂山が町内会館に戻ってきた時、飲み会の大詰めはほとんど終わっていた。
『お酒を飲むと人って変わる……? 変わってしまい? ますね』
 大詰めは終わったが、まだ余興は残っている。車窓から坂山は、暫く笑顔で飲み会の様子を窺うことにした。
 ――当日、頑張りましょうね。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 藤の華
    泉 杏樹aa0045
    人間|18才|女性|生命
  • Black coat
    榊 守aa0045hero001
    英雄|38才|男性|バト
  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • シャーウッドのスナイパー
    ゼノビア オルコットaa0626
    人間|19才|女性|命中
  • 妙策の兵
    レティシア ブランシェaa0626hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • 戦うパティシエ
    ヘンリー・クラウンaa0636
    機械|22才|男性|攻撃
  • ベストキッチンスタッフ
    片薙 蓮司aa0636hero002
    英雄|25才|男性|カオ
  • 恋のキューピッド(?)
    芦川 可愛子aa0850
    人間|10才|女性|命中
  • エージェント
    風見鶏仮面aa0850hero002
    英雄|43才|?|シャド
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 暗夜の蛍火
    時鳥 蛍aa1371
    人間|13才|女性|生命
  • 希望を胸に
    グラナータaa1371hero001
    英雄|19才|?|ドレ
  • 銀光水晶の歌姫
    アルaa1730
    機械|13才|女性|命中
  • プロカメラマン
    雅・マルシア・丹菊aa1730hero001
    英雄|28才|?|シャド
  • 家族とのひと時
    リリア・クラウンaa3674
    人間|18才|女性|攻撃
  • 友とのひと時
    片薙 渚aa3674hero002
    英雄|20才|女性|ソフィ
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