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リンカーvs愚神 SD対戦
最終発言2017/12/25 10:33:44 -
質問卓
最終発言2017/12/24 23:39:38 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/12/22 23:44:25
オープニング
●敵は『とうしん』
「本日未明、都心の有名な電気街にドロップゾーンが発生しました」
朝の東京海上支部に集まったエージェントたちは、佐藤 信一(az0082)が語る事件概要に耳を傾ける。
「現時点での展開範囲はさほど広くないのですが、皆さんもご存じの通り国内外を問わず知名度の高い観光の要所でもあるので、各方面から『何とかしてくれ』という嘆願が届いています。それはもう、市民から行政までひっきりなしに……」
どこか疲れた表情だったのは、問い合わせの対応に追われていたかららしい。信一の疲労が一部混ぜられた苦笑をこぼしている。
「皆さんには、ゾーンルーラーの討伐に動いてもらいます。すでに先遣隊がドロップゾーンの偵察に向かい、ある程度の情報を集めてもらいました。配布した資料をご覧ください」
急いで作ったらしい数枚の資料をめくり、エージェントたちはすぐに固まった。
「……皆さんの反応も理解できますが、今回の敵とゾーンルールは想像以上に厄介です。決してこの情報から気を抜くような油断はしないようにして下さい」
集まった全員が何かの間違いでは? という視線を信一に向けたが、あいにく帰ってきたのは至極真面目な表情だけ。
「相手は『とうしん』です。……えぇ、それはもう、色んな意味で……」
が、信一も堪えきれなくなったのか、再び頭痛をこらえるような仕草でため息を吐き出した。
●脅威度→闘神<頭身
あらゆる対策を議論した。
あらゆる準備を模索した。
あらゆる葛藤を嚥下した。
そして、エージェントたちは多大な労力を割いて覚悟を決め、強大な敵と向かい合う。
「くははははっ! 貴様らが我が首を狙わんとする兵(つわもの)か!」
どこか古めかしい言い回しの愚神は、豪気そのものな呵々大笑を上げる。雰囲気も装備も気性もまるで戦国武将のようなゾーンルーラーは、背後に大勢の配下を従えこちらを睥睨する。
「前(さき)に現れた間者は、貴様らの寄越した一番槍だったのであろう? だが、残念だったな! 我が世界の前では所詮、脆弱な小兵でしかなかったわ!」
情報収集で得た資料にも、先遣隊は重傷を負って逃げ延びたと、確かに記述されていた。
それだけ目の前の愚神の力が相当に高く、危険な相手であることを暗に示している。
改めて危険な戦場だと心に刻み、エージェントたちは口を引き結んでAGWを強く握る。
「我が力! 我が技量! 我が体躯!
すべてを凌駕せねば、貴様らの刃が我が首へ届くことは叶わぬ!
心せよ! 死中に活を求めてもなお、貴様らの刃は遠い場所にあると!
刮目せよ! 己が未熟と我が熟練に、埋め切れぬ隔たりがあることを!
そうして、自らの末路を潔く受け入れ、愚かさを悔いながら絶望せよ!
我が名は『将星(はたぼし)』!
戦場(いくさば)に君臨せし闘神が1人よ!」
瞬間、多数の鎧型従魔とともに鬨(とき)の声を上げ、はたぼしは手にした薙刀を豪快に振り回すと刃をエージェントたちへ突きつけた。
緊張感が一気に高まり、一触即発の空気が限界を迎え、はちきれる――
「きゃあああっ! かわいい~!!」
「すみませーん! ちょっとポーズくださーい!」
――前に外野のヤジがはっちゃけ、戦意は急速にしぼんでいった。
意図的に意識から外していた『彼ら』の存在を、エージェントたちは諦めたように確認する。
それは、おそらく立ち入り禁止にしたドロップゾーンに無断で入り込んだだろう一般人――いや、『巨人』だった。男女比率はほぼ半々、向けられるのはスマホのカメラレンズや時にはごつい一眼レフ、そして好奇の視線と興奮した歓声。
そして、撮影されたデータの行方は容易に想像できる。
『2.5頭身』となった自分たちの姿が、ネットの海にぶちこまれる末路を……。
正直なところ、予想を越えたさらし者状態だった。
『いいですか? そのドロップゾーン内で共鳴した瞬間、皆さんの体も装備も能力もすべて『縮みます』。ただし敵も『4頭身』ではありますが小さくなることから、おそらくは『亜世界化』した存在限定の効果なのでしょう』
公開羞恥プレイを生実況する一般人にイラっとしつつ、エージェントたちは信一の説明を思い出す。
『ですからゾーン内の戦闘はさながら、リアルね○どろいど劇場になります。事実、すでに先遣隊が行った戦闘は動画サイトにアップされ、視聴数が爆発的に伸びています。……皆さんも、たぶんこうなります』
先遣隊はすでにはたぼしの公開処刑にあっており、参考にと動画まで見せられた。
もはや対岸の火事ではない。
いや、マジで。
『問題は、この動画で『H.O.P.E.が敗北した』という情報が拡散されること。コンテンツとしてはただのゆるキャラ戦争ですが、現実的に見ればH.O.P.E.への不安を一般人に抱かせ、愚神やヴィラン勢力の増長を促すおそれがあります。冗談みたいですが、結構シャレになりません』
コンテンツとかゆるキャラ戦争とかやめてよ!?
そっちこそシャレになってないから!!
『H.O.P.E.の広報からは『皆さんには確実に勝利していただき、可能ならちびっ子向けの活動紹介動画として活用したいので、かわいらしく戦っていただければベスト!』と言われました。かなり厳しい戦いになるとは思いますが、よろしくお願いします』
……と、信一が深々と頭を下げたところまで回想し、1人のエージェントが愚神に尋ねた。
『何でこんなゾーンルールにした?』と。
「む? この状況は我が思惑とは一致しておらん! だが、この地に降り立ち陣地を築く前に遭遇した人間が、ちょうど今の貴様らのような見て呉(く)れの人形(ひとがた)を持っていたぞ!」
誰だ、コイツにね○どろいどを見せたバカは!?
テメェもテメェで感化されてんじゃねぇ!!
「くははははっ! いい気迫だ!
我らの戦場にもはや言葉などいらぬ!
存分に! 果たし合おうぞ!!」
そうして、エージェントたちは愚神という脅威とネット上で拡散する風評被害、2つを払拭するべく戦闘を開始した。
『動いたぁ! かわいい~っ!!』
……現状、ただの見世物ではあるが。
解説
●目標
愚神討伐
(小児用宣伝材料の提供)
●登場
将星…ケントゥリオ級。戦国武将のような甲冑と長大な薙刀が特徴の4頭身愚神。口調は古風、性格は豪放磊落、チャームポイントは無精ひげな生粋の武人。背には『はたぼし』と書かれ、嫁らしき萌えキャラが家紋代わりに微笑む幟旗を掲げている。
能力…物攻・物防↑↑、命中・イニシアチブ↑、魔法・回避↓↓(全能力=基礎値×40%)
スキル
・無銘之一振…射程1~2、単体物理、物攻+50、命中-30、銘無き薙刀による大上段からの鋭い斬撃
・絆断(つなぎだち)…射程1~2、単体物理、物攻+40、命中-20、薙刀の通称名に由来する黒い光を纏った薙ぎ払い、命中→レート-1D6
・慰撫御霊(いぶみたま)…射程0、範囲5、補助魔法、回数×1、嫁(?)のカットイン後白色のオーラが発生、生命力+20
足軽×20…ミーレス級。簡素な作りの槍と中身のない鎧が特徴の2.5頭身従魔。はたぼしの声にのみ雄々しい雄叫びで反応するが、胸当てに『あしがる』と書かれて動く姿は非常に愛らしい。
能力…防御↑、攻撃・移動・特殊抵抗↓(全能力基礎値×25%)
●状況
場所は都内最大の電気街
DZ内の外観的変化はなく、ドーム状の透明な膜が一帯を覆う
DZの影響により、PC・愚神・従魔以外は実質巨大化
PCは愚神を発見後に共鳴→戦闘開始
周囲は一般人が囲み、戦闘風景をガンガン撮影中
DZの往来は簡単だが、中に入るとライヴスは確実に搾取される
●ゾーンルール
・共鳴状態→身体・能力・装備などすべてが『2.5頭身』サイズに統一
(はたぼしのみ『4頭身』と例外)
・リンクレートを除き、全能力基礎値×30%
(解消不可、武器やスキルにおける射程・補正値なども含む)
・適宜、全年齢エフェクトの挿入
例…流血→デフォルメの汗・星の噴出など
破壊音→『ポカッ!』など擬音語変換
討伐→『ポンッ!』など擬音+煙発生
リプレイ
●会議の様子
依頼の全容を聞いた反応は様々だ。
「今日はハルが戦うかい? 魔法少女みたいに出来ると思うよ」
「え、兄様が魔法少女になるんだよ?」
琥烏堂 為久(aa5425hero001)がDZの特性から提案するも、琥烏堂 晴久(aa5425)は笑顔で却下。
「何故……?」
「ミステリアスな黒服キャラは、大きなお友達に人気だよ」
「今回は小児向けじゃなかったかな……」
渋る為久に構わず、晴久は己の主張をごり押した。
なにせ晴久の目的は、最初からチビキャラ化した為久なのだ。
映像に残るのもネット拡散も『為久なら』大歓迎のため、自分が戦うなど眼中にない。
「これは……私の顔を世間へ広める絶好のチャンスです!」
「ほどほどにな?」
目をキラキラさせて動画を見る斉加 理夢琉(aa0783)はアイドル目指して活動中の身。
アリュー(aa0783hero001)に頭をなでられつつ、理夢琉は愚神への対策と同時に自己アピール方法にも思考を巡らす。
「可愛く戦うって、どうしたら……」
「小さくなるだけでも十分可愛くなると思うがの。この際じゃ、あざとく出来ることは何でもやってしまえ」
今までにない注文に戸惑うのは魂置 薙(aa1688)。
しかしエル・ル・アヴィシニア(aa1688hero001)から『それいけ猛虎魂(猫帽子)』を被せられ、覚悟を決めた。
「……わかった、やってみる」
難しく考えず、振り切った方が楽しいと己に言い聞かせつつ、薙は信一にDZ周辺の規制を依頼した後で他の仲間からも助言を求める。
「宣伝材料にもするなら、ある程度演技っぽくした方が良いのかな?」
「主目標は敵勢力の『お掃除』ですので、にいさまの戦闘に支障がなければよろしいかと」
他方、海神 藍(aa2518)は広報からの無茶ブリにどう対応するか考え、サーフィ アズリエル(aa2518hero002)は控えめに進言する。
「広報よりも、一般の人、危ないよ」
「可愛くても、強そうですものね……」
同じく無茶ブリに悩む三ッ也 槻右(aa1163)は、隠鬼 千(aa1163hero002)と動画を見る。
槻右は安全確保の方法を考えるが、千はどこか上の空であしがるに視線をチラチラ。
「これのどこが『闘神』なんだ!?」
「落ち着いてください、刀護さん」
また、動画を見て憤る東江 刀護(aa3503)は参加を薦めた双樹 辰美(aa3503hero001)に詰め寄る。
「しかも小児用宣伝材料の提供? 俺に子供ウケする行動でもしろと!?」
「相手は小さいですが『闘神』です。油断は禁物ですよ」
「……お前、何か楽しんでいないか?」
「そ、そんなことないですよ?」
納得がいかない刀護が言い募るも、妙に押しが強い辰美は焦って否定。
視線が泳ぐ辰美に、刀護の疑念はどんどん膨らむ。
「仕事だし、戻れるなら縮んでも構わない。あざとくもしよう。――だが! 今日は結婚指輪を渡し、ノンビリ過ごす予定だったのに……愚神めぇ!!」
「ともあれ、人に危険が及ぶ前に倒しましょう」
他にも、チビキャラ化より予定を崩されて激高するのは荒木 拓海(aa1049)。
メリッサ インガルズ(aa1049hero001)から苦笑とともになだめられた。
「覚悟を決めろ、サチコ」
「……そうね。いっそ私みたいなアイアンパンクがいるって周知された方が、私みたいな人たちの心の支えに、なるだろうし……」
こちらでは、リタ(aa2526hero001)の後押しで他者からの目を気にする鬼灯 佐千子(aa2526)が迷いを吹っ切ろうと己に言い聞かせている。
「敵の殲滅に加えて『可愛らしく』、か」
「敵とかドロップゾーンとか『いろいろ』と面倒だけど、オーダーだからね」
こっそり周囲にいるだろう観客を戦闘の邪魔と含みを持たせるアリス(aa1651)とAlice(aa1651hero001)。
「まぁ、それらしく演じつつ」
「敵を燃やせば解決、だね?」
オーダーに応えるにはどう動くべきかを考え、間もなくアリスとAliceの結論は一致した。
●縮小化の弊害
「人がいっぱいだよ」
「ドロップゾーンに見えないね……」
現場に到着し、ギャラリーの多さを目にしたピピ・ストレッロ(aa0778hero002)は驚き、皆月 若葉(aa0778)は苦笑気味。
言ってはアレだが、大盛況だ。
だが、圧倒されている暇はない。
エージェントたちはすぐに散開していく。
「自分は東江流古武術の使い手、東江 刀護! 闘神・将星! いざ、尋常に勝負!」
まずは愚神正面。
ドラゴンスレイヤーの切っ先を突きつけ、真っ先に名乗りを上げたのは刀護。
「その意気やよし! 武人として挑まれた戦、背を向け終わらせる我ではないぞ!」
瞬間、はたぼしから凄まじい闘気がほとばしり、膨大なライヴスが肌を打った。
「っ!? この力……あながち大言壮語でもないようだな」
『実力は本物、見た目に惑わされてはいけませんね』
改めて強敵と認識し、刀護は辰美に頷きつつ『守るべき誓い』を発動し、
『キリッとした顔もかわいい~♪』
観客の声援? に脱力しそうになった。
『ファンサービスも大事ですよ!』
「……応援ありがとう!」
無視しようと思ったが辰美に促され、刀護は渋々といった内心を隠して手を振った。
(こんな恥ずかしい戦闘、早く終わらせたいものだ……)
周囲の目と歓声にうんざりしつつ、刀護は一刻も早い事態の終結も誓った。
「私は魔法少女☆りむるん♪ H.O.P.E.の旗に誓って、オシオキしちゃうんだからねっ♪」
後ろでは希望の御旗を掲げ、『魔呪・音』から魔法陣と音階を展開した理夢琉はノリノリだった。
実際、自称・魔法少女の声に歓声が高まる。
「わたしたちが来たから、もう安心だよ!」
さらに後衛。
宣伝用のH.O.P.E.制式コートをはためかせ、はつらつとした笑顔を見せるのはアリス。
得意の賭け事で培った『騙す』技術を駆使し、普段とは真逆のキャラを演じても人々に違和感を抱かせない。
『(わたしは敵の対応に回るから、一般人への流れ弾は任せるよ)』
演技の裏で、アリスは観客に気づかれないよう小声で仲間に通信を飛ばす。
歩幅から概算したDZの大まかな広さを知らせつつ、一般人への意識は立ち回りを気にする程度と決めてアルスマギカを開いた。
「ねえ、リタ。この格好は何かしら……」
『ふむ』
盛り上がる周囲をよそに共鳴直後から体をわなわなと震わせる佐千子だが、リタは至って冷静だ。
『――プロジェクト『爆撃乙女ラジカル★サチコ』。サチコの義体や装備を手掛けた研究者、機械技師たちからの贈答品だ。実は開発には私も少々関わっている。遠慮なく受け取ってくれ』
そう。リタは至って冷静に、本来の共鳴姿と違う赤を基調としたミニスカ軍服装備一式をこっそり用意し、展開させたことを告げた。
「アンタらちょっとは遠慮しなさいよ!?」
佐千子とリタの誓約は【互いに遠慮しない】。
実際不本意ながら、リンクの力もかなり高まった。
だからこそ、リタたちの心温まる善意(?)に佐千子は涙目で叫ばずにはいられない。
『アイアンパンクちゃん萌え~っ!!』
なお、プルプル震えてウルウルした瞳のラジカル★サチコのウケは上々だった。
『かわ……! きゅんかわですっ!!』
「千、好きだよね」
愚神の側面。
一般人をかばう目的で位置取った槻右は千の興奮した声に苦笑する。
動画で見たあしがるのビジュアルがドストライクだったらしい。
『ここから中は戦場だ! 中には入らないでー!』
槻右の隣で、拓海はミニ拡声器片手に観客へ注意を呼びかける。
ベルトに宣材用にカメラを装着し、映像を記録。迫力ある戦闘を近くで収めるだけでなく、一般人の危険行動の抑止も狙っている。
『君達を守りたいんだっ! 近寄らないでね、お願い』
続けてイメージプロジェクターでH.O.P.E.制服を投影した槻右も、服に仕込んだマイクを入れて声を拡散させた。
小児向けを意識し甘さ控えめ熱血風の拓海と、上目遣いの懇願で自発的な後退を促す槻右。
別角度からの誘導で多くの一般人は後ろへ下がっていく。
「行こう、槻右!」
「動きづらい体で無茶しちゃだめだよ、拓海!」
そして、早速囲んできたあしがるに向き直り、拓海と槻右は背中合わせに武器を構えた。
微塵も揺るがぬ絶対的な信頼を預け、道を切り開く戦いに臨む。
『……ねぇ、もし嫁(槻右)を傷つけられたら?』
『誰だろうが許さん!』
『……主、本当にあしがるさんは倒さなければダメでしょうか?』
『千?! 従魔だからね、アレ!』
……互いの脳内会話は、どうにも締まらなかったが。
「撮影する動画は一般に公開されます。顔を撮られたくない方はお下がりください」
一方、共鳴で全身黒いセーラー服のミニ美少女へ変化した為久も、動画用カメラを腰につけて観客へ訴える。
「前に出られる方はご注意を。安全確保の保証は致しかねます」
続けて、召喚したオヴィンニクがスルスルと頭に乗っかったのも気にせず、1人1人と視線を交わす。
「――皆さんに怪我をさせたくないんです。どうか、ご協力をお願いします」
そして、真剣な表情から柔らかく微笑み、観客のハートを貫いた。
(こ、これがツンデレ……!)
最初は手厳しく、最後は笑顔を見せるギャップ。
為久に作為がないからこその威力は絶大で、観客は胸を押さえて下がっていく。
「……ふむ。良い感じですね。会場がとても温まっています」
また、共鳴後に藍から主導権を奪ったサーフィ。
為久の言動で高まる観客のボルテージを感じつつ、イメージプロジェクターで服装をメイド服に変更した。
「ご注目ください!」
次に腕を広げ大声で注目を集め、一般人に向けてカーテシーを披露。
「……こほん。こちらはH.O.P.E.です。皆さんにお願いします。これから愚神と戦うため危険です。今よりお下がりになり、近寄らないでくださいね」
そして、一般人に軽く手を振った後、懐から取り出したメモ帳を読み上げるように『おねがい』した。
『メイドさんキター!!』
しかし、サーフィの格好と所作に熱気が爆発。一般人が暴徒になりかける。
「――ぐすっ」
その時、サーフィはとっさの機転で泣き真似を見せた。
デフォルメ効果か本当に一筋の涙がこぼれ、状況は一変。
本気で泣かせたと勘違いした観客は瞬時に青ざめ、慌ててサーフィの指示通り下がっていく。
(ちょろいですね)
『(……あざといね)』
(失礼な。賢いと言って頂きたいです)
密かにくすり、と笑みを浮かべ、サーフィはもう1度カーテシー。
藍とこっそり会話をしてから、主導権と服装を戻した。
「ドロップゾーン内は危険ですから、避難してください!」
さらに、はたぼしの背後側にいた観客が視線とレンズを声の主へ向ける。
「今から戦闘に、なります」
そこには、H.O.P.E.制式コートを羽織った若葉と薙、それぞれの隣にはピピとエルの姿が。
「見た目に騙されてはいけません! これは実戦です! 絶対に近づかないで!」
注目が集まったところで、2人はコートをバサッ! と脱ぎ捨てて共鳴。
「離れてて、ください」
コートが地面に落ちる頃には、クリムゾンローズを構えた若葉と、ピコピコハンマーを構えた薙が、シャキーン! とポーズを決めていた。
ちなみに、サーフィの助言を受けた薙の武器は、イメージプロジェクターでピコハンの映像を投影したウコンバサラ(斧)である。
「……やっぱり、恥ずかしい、よ」
一瞬の静寂の後、若葉の背に隠れた薙のか細い声が静かに響く。
『キャアアアッ!!!!』
瞬間、主に女性から上がった絶叫に、周囲の様子を窺っていた薙の猫帽子が驚き→怯えと表情が変化した。
「す、直ぐに離れてください!!」
すでにチビキャラ化は吹っ切れて甘受し、むしろかっこかわいいリトルナイトを心掛けて楽しもうと考えていた若葉。
が、一般人の反応を読み違えたらしい。
気を引き注意喚起を促すための演出が、逆に一般人を引き寄せることになってしまった。
『もっと強く言わねば伝わらぬのではないか?』
若葉の呼びかけも通じず観客に囲まれる中、エルの助言で薙は勇気を振り絞る。
「離れてて、ください!」
『カワイイィ~!!!!』
ピコハンをブンブン振って必死に主張した薙への返事は歓喜の絶叫。
『うむ、見事に逆効果だったの』
「エルル……」
フラッシュの量が2倍になり、開き直ったエルに薙は肩を落とし、猫帽子も悲しげな顔になる。
「約束を守ってもらえないと、俺たち困っちゃいます。……守って、くれますか?」
薙の様子と観客の隙間からあしがるの接近を確認し、仕方なく若葉は強硬手段に出た。
猫帽子に呼応し悲しげな声でうつむき、一拍置いた後でカメラ目線+上目遣いの必殺コンボを食らわせる。
『うん、守る守る!』
「ありがとうございます!」
結果、女性陣の母性にクリティカルヒット!
半ば強制的に同意を得た若葉はにっこり微笑む。
さっと開いた道へ飛び出し、すぐさまあしがるの元へ。
「薙! 予想以上に周りとの距離が近いので、早めに倒しましょう!」
「わかった!」
ポテポテ、ピコピコ。
可愛らしい擬音を出しつつ、若葉と薙はようやく戦闘へ――
「あ、っ!?」
ポテッ!
「動きづらい……」
『キャワイイィ~!!!!』
が、短い手足と大きい頭で重心がブレた薙は早速転倒。
引きかけた観客の足を止め、再び萌えが伝染した。
ピィーッ!!
「下がってください!!」
すかさず、若葉が用意した笛で注意を促す。
このDZ、ろくに戦闘もできやしない。
●萌えの戦争
『目標照準。ラジカル★カチューシャMRL、セット!』
「それっぽい雰囲気出してんじゃないわよ!?」
真面目な口調でノリノリなリタに文句を言いつつ、『シャープポジショニング』で構えた佐千子は向かってくるあしがるたちを睨み武装を展開。
開戦の合図とばかりに次々とロケットをひゅるる~と射出し、ちゅどどど★と爆風に飲み込む。
「みんなには近づかせないよ!」
続くアリスは『ブルームフレア』を発動。
ぼふんっ! と手品じみた爆発であしがるたちを吹っ飛ばす。
「驚かせちゃってゴメンなさい、危ないから下がって、応援もよろしくね~♪」
理夢琉も音に驚く一般人へ声をかけつつ、同じく『ブルームフレア』で迎撃。
魔法書から出す音楽と魔法陣をちょっと盛りつつ、歌や踊りなど演出面でのアピールも忘れない。
「ふぬぅん!!」
すると、もくもく立ちこめる煙の中からはたぼしが姿を現す。
「はあっ!!」
迫る豪快な振り下ろしに、前衛の刀護が大剣でぽこん! と受け止めた。
「あの幟旗……鬱陶しいな。ボロボロにしたい」
『同感です。私も見ているとイラッとしますので』
ぽひゅっ! という謎の音で距離を離し、刀護の視線がはたぼしの旗で微笑む嫁(?)へ向く。
辰美の追従もあり、刀護は『ライヴスショット』を幟旗へ射出した。
「ぬるい!」
が、気弾は薙刀で払われぽふん! と消滅。
「っ、ぐうっ!?」
返す刃で刀護へ肉薄し、はたぼしの『無銘之一振』がぱりん! と『ライヴスシールド』を砕いた。
「武人・刀護! 己の敵以外へと目を向ける余裕が、貴殿に許されると思うな!」
「――っ! それはこちらとて同じだ! 自分を無視などさせはしないぞ!」
はたぼしの一喝に刀護は表情を一変。
己と敵以外を意識から排除し、1対1の戦いに身を投じる!
ポカポカ!ミ☆
ペチペチ!ミ☆
ゴッチ~ン!ミ☆
……え~っと、白熱はしているようだ!
「あしがるどもよ。我が剣を恐れぬならば、掛かってくるがいい!」
こちらは待避をスムーズに促せた藍が、向かってくるあしがるへ自ら突貫。
『メーレーブロウ』や『クロスカウンター』の反撃を主体にして、敵の足を止める。
「援護します、海神さん!」
その後方で、為久が藍に集まるあしがるたちに『ゴーストウィンド』をばひゅーん! と放った。
『もっと可愛らしく!』
「ハル、人には向き不向きがある……」
大仰な動きで黒猫へ指示を出しつつダメージを与えるが、晴久の画的な地味さからの注文に為久は言葉を濁す。
「すみません、ポーズ下さい!」
すると、背後の1人から為久に要望が上がった。
「――(フィッ)」
藍の優秀な前衛で戦況に余裕があり、振り返った為久はしかしそっぽ向く。
「……(フリフリ)」
落胆の声が漏れかけたが、為久は黒猫を胸元へひょいっと抱えると、前足を掴んで振って見せた。
『――ぐはぁっ!?』
ズッキューン!!
これによりクールなカッコよさを意識していた為久は、ツンデレキャラとしての地位を確立。
観客の心臓を見事撃ち抜き、次々と撃沈させる。
しばらくしてあしがるたちも全滅させた2人は、そのまま愚神の元へ向かっていった。
「やあっ!」
「はあっ!」
こちらは槻右がオヴィンニクで牽制し、拓海のダーインスレイヴがとどめを刺す。
配偶者コンビは阿吽の呼吸であしがるをポンッ! と煙に変えていた。
しかし、槻右がふと視線を飛ばすとはたぼしに苦戦する刀護の姿が見えた。
「――拓海、悪いけど付き合ってね!」
すると槻右は拓海から離れ、『ウェポンディプロイ』で『硯羽』を握る。
自らあしがるに囲まれる位置に移動して、『ウェポンズレイン』を放った。
「早く、東江さんの援護に行かないと――っ!?」
仲間の危機に勝負を急いだ槻右は、さらに追撃をと駆け出した瞬間、ポテッ! と転んでしまった。
急いで顔を上げるも、周囲にはあしがるが槍を構えて――
「――槻右ぇっ!!」
その光景に拓海は、すべての配慮をかなぐり捨てて叫んだ。
邪魔な敵を強引に薙ぎ払い、包囲に滑り込んでチクチク刺されていた槻右をかばう。
「大丈夫か、槻右!?」
「う、うん。攻撃自体は弱かったから、平気だよ」
ぷっつんした拓海は『怒濤乱舞』と『メーレーブロウ』であしがるを一掃。
すぐに槻右へ駆け寄り安否を尋ねると、見た目ほど深刻ではなく微笑みが返された。
「よかった……」
『……本当、勇者だわ』
デフォルメ効果で涙ぐむ拓海の様子に、メリッサはこっそり彼の逆鱗に触れた従魔に尊敬の念すら覚える。
「オレの嫁を危険にさらした元凶は、アイツか!」
ただ怒りが収まらない拓海。
今度ははたぼしに標的を移し、落とし前をつけに全力で走り去った!
「拓海! 待って!」
『視界いっぱいのあしがるさん……1人、欲しかったなぁ』
「ぇ?!」
胸の内に羞恥を少し、歓喜をいっぱい詰めた槻右も状況を思い出し追走。
かわいいあしがるに囲まれ、胸がいっぱいだった千の呟きに途中で転けそうになりつつ拓海を追った。
『ガチカップルキタァーッ!!!!』
一部の(腐)女子による大絶叫を背中に浴びながら。
「僕が相手だ!」
すったもんだの末にあしがると相対した薙は、アックスチャージャーを起動したピコハンを構える。
威嚇も込めてキリッ! と睨むが、猫帽子もキリッ! とすれば威圧感は皆無だ。
「はあっ!」
若葉は一般人に近いあしがるから順に、大剣で斬りつけていく。
「やあっ!!」
『武器がそれだと、高速モグラ叩きにしか見えぬな』
あしがるの中央へと突っ込んだ薙は、囲まれたと同時に『怒濤乱舞』で叩いた。
エルの呟きはパコッ! という音で薙には聞こえない。
「――皆さんの力、貸してもらえますか?」
その後、体の不自由で若干の時間はかかったがあしがるを倒しきった若葉たち。
すると『ライヴスミラー』を自身に付与した若葉が、一般人に協力を求めた。
「よろしく、です」
二つ返事でOKをもらい、若葉と薙は抱えられる。
薙はその間、アックスチャージャーと『トップギア』を重ねがけして機を窺う。
ポコンッ!ミ☆
「ぐはっ!!」
『刀護さん!!』
「己が得物を御しきれぬようでは、まだまだ未熟!」
戦闘の終盤、はたぼしと一騎打ちをしていた刀護が頭上に☆やヒヨコをくるくる回して『戦闘不能』に。
刀護は武装へのライヴス供給量が原因で急速に消耗。
1度スーパーバイタルバーで補うも押し切られてしまった。
「東江さん!」
『愚神迎撃に移るぞ、サチコ。ラジカル★ウーリーMGL、ファイア!』
それを見た佐千子が身を反転。
あしがるをボカーン! と爆破した2機目のカチューシャをパージし、はたぼしへ『ブルズアイ』グレネードをぶっ放す。
「その程度で、我が進撃は止まらぬ!」
「ぐ、っ!?」
しかし、はたぼしはグレネードをパカッ! と切り裂き佐千子へ肉薄。
パコォン! という快音とともに『絆断』の直撃を見舞った。
『まずいぞサチコ。ラジカル★アイテムで回復を――』
「アンタ、とりあえずソレっぽいこと言っておけば良いと思ってない?!」
『肯定だ。違うのか?』
「知らないわよ、ンなコト!!」
リタの言い回しにそろそろ我慢の限界がきた佐千子は、賢者の欠片をカリッ★とかみ砕きつつ後退した。
「たいへん! ラジカル★サチコを助けなきゃ!」
『本人が否定する呼び名を使って大丈夫なのか?』
「待ってて、今助けるから!」
役作りが完全に固まった理琉夢は大仰なリアクションを取り、魔法書を広げて『マジックブルーム』を発動。
アリューのツッコミをスルーしつつ箒に跨がり、クルクルと躍るように飛行して『サンダーランス』を射出した。
「散れぇい!!」
「きゃあっ!?」
だが、はたぼしはこれも薙刀で切り払う。
パチパチと鳴る残響を置き去りに理夢琉へ迫り、二の太刀でポカッ! と殴る。
「りむるん、離れて!」
さらに追撃を加えようとしたところで、アリスが援護に。
理夢琉の御旗の補助を受けつつ、ゴオォッ! と竜巻じみた『ゴーストウィンド』ではたぼしを阻む。
「く、強い! でも、私たち魔法少女は絶対に負けないんだから☆」
『……理夢琉、鬼灯さんやアリスさんに対抗意識を燃やしていないか?』
見た目以上の大ダメージに大粒の汗を噴出する理夢琉は、賢者の欠片でライヴスを補いつつ距離を取る。
なお、仲間を意識した言動が目立つ理夢琉に向けられたアリューの疑問は黙殺された。
路線や客層は別々でも、人気の分散を危惧していると思われます。
「貴殿らの気概は買おう。だが、女子(おなご)の妖術如きに我は臆さぬ!」
『ふむ。私たちのラジカル★ウェポンも妖術扱いなのだろうか?』
「アンタ、危機感をどっかに捨ててきたわけ?!」
ズレた疑問を口にするリタへ怒鳴りつつ、佐千子ははたぼしやいまだ残るあしがるへちゅど~ん★と『トリオ』の弾幕をばらまく。
すでに『九死に一生』の危機もあり、佐千子の焦りは強い。
「ぜぇいっ!!」
「危ない、ラジカル★サチコ!」
「な、っ!?」
直後、はたぼしが爆撃の煙を抜け、アリスの警告と同時に佐千子へ『絆断』の刃を突き出す。
「鬼灯さん!」
そこへ拓海が大剣を盾に滑り込んだ。
パコンッ! という音にそぐわぬ衝撃に顔をしかめつつ、『メーレーブロウ』で反撃。
「拓海、落ち着いて! 足並みを揃えるよ!」
少し遅れ、槻右が黒猫の炎をはたぼしの眼前に灯し、拓海を退かせた。
「力、技量、体躯。すべてを凌駕せねば敵わぬと言ったな? ――笑止!」
続いて藍が登場。
「戦とは個の力により決するものにあらず! 我らが連携の前に、貴様の剣は脆く崩れさるであろう!」
はたぼしへ大剣を突き付け、威風堂々と啖呵を切る。
「我らが名は『希望(ホープ)』! 闇夜に煌く星のごとき希望! たとえ絶望に塗れようとも、誇り高きこの御旗は、この光は、決して潰えぬものと知れ!」
(ノッてますね、にいさま)
「吠えたな、伴天連(バテレン)の武人よ……なれば、我を下し証明して見せよ!」
まるで舞台のような語り口調の藍に、サーフィもどこか興奮気味。
対するはたぼしは祭服じみた服を睨み、薙刀の切っ先を藍へ向けた。
「――征くぞ!」
「ぜあっ!」
一触即発の幕切れは刹那。
藍の『電光石火』が、はたぼしの『無銘之一振』が、互いを捉えた。
ポカポカッ!!ミ☆☆
……真剣なんです!
「今です!」
『はいっ!』
この時、合図とともに若葉と薙がはたぼしへと放り投げられた。
「一気に行くよ!」
若葉の動きに気づき、最初に動いたのはアリス。
『霊力浸透』を行使した状態で『ブルームフレア』を起爆。
ドッカ~ン! とはたぼしの肉体を火炎で包んだ。
「隙を作ります!」
さらにミスティックワンドを持つ為久が杖を振るい、展開した魔法陣から『ブルームフレア』をはたぼしへ放つ。
ぼふんっ! と連なった火炎と煙の中心へ、さらに『幻影蝶』も遣わせた。
「ぐ……っ! この家紋を背負う我は、負けられぬっ!!」
集中する攻撃によろめき、はたぼしは『慰撫御霊』を発動。
そこで、幟旗の嫁は元々家紋だったことが地味に発覚した。
「覚悟してください!」
そこへ、空中で若葉が投擲した白鷺の白光が彗星の如く宙を駆け、パシュン! とはたぼしを貫く。
「(若葉っ、ナイス!)拓海っ!!」
奇襲で浮き足立つはたぼしへ、間髪入れず槻右が黒灰の刃でペチッ! と追撃。
「食らえっ!!」
槻右の声に颯爽と肉薄した拓海は、『疾風怒濤』の連続攻撃でボカボカボカッ! と攻め立てる。
「こっちだ!」
若葉に遅れて着地した薙は身を反転。
はたぼしの視線を真正面から受け、力を凝縮した『一気呵成』で連続ピコピコを叩き込む。
「ぐ、あぁっ!!」
「危ない!」
「う、っ!?」
直後、起きあがったはたぼしの『絆断』が薙へ向く。
寸前で槻右の『インタラプトシールド』が展開されるが、薙はパコンッ! と大きく吹き飛んだ。
「アナタは強い。……でも、私たちは1人じゃないから、アナタには負けないっ!」
もはや配下は消え、孤立無援のはたぼし。
理夢琉が空中から希望を歌い、『サンダーランス』をピシャ~ン♪と落とす。
「これで最後だよ! みんな、GO!」
そして、キラキラスマイルのアリスがアルスマギカから生み出した炎で兎や猫を形成。
ピョンピョンと地面を移動し、足下からはたぼしへ躍り掛かった。
「ぐっ! ――見事!!」
瞬間、ボン! ボン! という音に負けない声が炸裂。
はたぼしはすべてのライヴスを失い、煙とともにポンッ! と消えた。
●宣伝の報酬
「お願いします」
若葉は討伐と同時に倒れた一般人へスキルを使い、救急車の搬送を見送る。
その際、愚神討伐後も残存したDZ内で倒れた被害者が、とても満足そうに鼻血と笑みを漏らしていたのが印象的だった。
「帰りもお気を付けて。もうこんな危ない所に立ち入っては駄目ですよ?」
『はぃ~……』
若葉の近くで共鳴したままの為久も、一般人の様子を見て回り手伝っていた。
見送りの際には笑顔で再発防止の一声をかけたが、ツンデレファンを増やしても本来の効果があったかどうかは怪しい。
「みんな、大丈夫だといいけど」
すべてが終わった後、心配そうな槻右を拓海が呼ぶ。
「大事な日も仕事……よく考えれば、オレ達らしいよな」
拓海は自然と笑みをこぼし、ポケットからライヴスソウル出す。
「え/// あ、これ……!」
「槻右の分だ。入籍完了まで、ペンダントにしてて」
不意打ちのプレゼントに目を白黒させる槻右の首へ、拓海手ずからかけてやる。
そして拓海も、ずっと首に下げていた服の中にあったチェーンを引っ張り、自分の指輪を見せて笑った。
「――ありがと/// うん、分かった。大事にするね」
槻右の表情から驚きは一瞬で消え、すべてを理解すると一気に赤面しふにゃっととろけた。
「『おめでとう!』」
「おめでと、ございます!」
拓海の雄姿を見届けた若葉・ピピ・薙から祝福と拍手が送られる。
(あ、今渡すんだね)
同じく拓海たちを見守っていた藍はぼそっと呟き、サーフィは無言で親指を立てて祝福した。
「おめでとう。それと、ご馳走様~」
メリッサも少し離れた場所から祝福し、ふと隣の千へ視線をやる。
「千ちゃん、私達もお揃いで何か作らない?」
「リサ姉とお揃い? 可愛いのがいいです!」
楽しそうに提案するメリッサにすぐさま振り向き、千は槻右そっちのけで頷いた。
要望にあしがるの未練が見えたのはご愛敬。
「はい、チーズ!」
そして、若葉の提案で記念日を残そうと、2人の幸せそうな笑顔を写真に収めた。
「みんな、ありがとう!」
温かく祝福してくれた仲間へ、拓海は幸せそうな笑みで感謝を返した。
「……疲れたね、Alice」
「……そうだね、アリス」
一方、最後まで可愛らしさ重視の演技を通し、H.O.P.E.の車で帰るアリスとAlice。
周囲のテンションにあわせた反動で、無表情の2人から疲労の色濃いため息が漏れていた。
「これを生かすかどうかは、一任するよ」
「わかりました」
依頼後、拓海は小児向け動画用にと映像を信一へ渡した。
「さすが兄様、別格の可愛さだよ!」
別の映像を提供した晴久も、帰宅後のネットサーフィンでひたすら萌えに特化した為久動画を保存していった。
「見て、アリュー! これなら宣伝効果はばっちりだね!」
「……よかったな」
さらに後日、完成した動画に理夢琉は嬉しそうに飛び跳ねるが、共鳴解除後に表面化したダメージを憂いアリューは素直に褒められない。
「小さい刀護さん……すごく、可愛いです」
同じく動画に釘付けの辰美もうっとりと呟く。
(ミニ刀護さんを見たくて参加させたとは、言えませんね……)
だが、今回の戦闘で心身ともにボロボロな刀護を想い、心中で謝った。
「喜べ。『爆裂乙女ラジカル★サチコ』プロジェクトの開発継続が決まった」
「どう喜べってのよ!?」
最後に、ネットの反応を見たプロデューサー★リタに、被害者★佐千子は額に青筋を浮かべていたという。
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結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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