本部

シュトーレンを作ろう

睦月江介

形態
イベントEX
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
25人 / 1~25人
英雄
25人 / 0~25人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2017/12/27 19:59

掲示板

オープニング

●何とか労をねぎらいたい
「……どう思うかね?」
 支部長の問いに、HOPEの職員達は「はあ」と間の抜けた返事を返すので精一杯だった。
「来る日も来る日も、ヴィランに従魔、愚神退治ばかり……これではエージェント達も気が滅入るだろう。何とかして、労をねぎらってやりたいと思うのだが……」
「そうは言いましても、年末は宿泊施設はどこもいっぱいですよ……旅行なんて企画しても間に合いません。クリスマスにしても、当日は予定がある人も多いでしょうし……」
「う~む……難しいものだな……」
「あ」
 そこで、女性職員が1つ閃いたことを口にする。
「そういえば最近パン屋さんとかケーキ屋さんで売ってるシュトーレンって、クリスマスを待つ間に食べるんですよね?」
「それだ!! 疲れた時には甘いもの! 女性受けもいいだろうしな!!」
 実際のところ、熟成期間と言う意味ではこれからでは少し遅いのだがこの際目をつぶろう。大事なのは気持ちである。

●レッツクッキング
「とまあ、ウチの支部長の突然の思い付きではあるんだが確かに季節を考えれば悪くない。シュトーレンを作ってみないか?」
 シュトーレンはドイツの伝統的なクリスマススイーツだ。本来はクリスマスを待つ間に少しずつ切って食べるものなので、作る時期としては遅い。が、クリスマスを自分達で作ったスイーツで祝うというのはなかなか味なものではないだろうか……という提案である。洋酒をたっぷり使うものが主流だが、別に使わなくても作れない事は無いので未成年でも問題はない。強いて問題があるとすれば……。
「材料はこちらで用意するので君達の懐は痛まない、安心したまえ。ただ、大勢が集まって作ろうとすると必ずと言っていいほどつまみ食いを目論む輩が出るからな。その辺りの対策は各自で行ってくれ」
 中にはそんな事ないですよーなんて言いながら目を逸らす者もいた気がしたが、気のせいだろう。
「とにかく、気が向いたら来てくれ。少々時季外れではあるが、支部長の気持ちもわかる。たまにはこういうのも良いだろうからな」
 そう言って、職員はレシピや由来と言った資料をまとめたファイルをエージェント達の前において去っていくのだった……。

解説

 本当はもっと早く出すべきだったなーと後悔していなくもないのですがクリスマススイーツを作るシナリオを用意してみました。取れる行動は2つです。
●シュトーレンを作る
 ドイツの伝統クリスマススイーツ、シュトーレンを作ります。実は生地の6割くらいドライフルーツらしいです。結構日本でもおなじみになりましたね。つまみ食いに注意。
●つまみ食いを企む
 作っているの見たらおいしそうですよね。こっそりつまみ食いしちゃいたいのはわかります、ええすごく。対策されてる? 知らん! と言う人はこの選択肢もアリです。

リプレイ

●まず、シュトーレンとは何ぞや
「シュトーレンか……欧州の物じゃそうじゃが、どんな味なんじゃろ」
『そうじゃの、果物などが練りこんであるそうじゃし、さぞうまいのであろうな』
「シュトーレン作るよ! さいきょーのあたいが作るんだから凄いものが出来るはずよ!」
『ところでシュトーレンって何さ? お菓子なのはわかるけど。』
「ドイツ生まれのお菓子といったらあれよ! 丸太の年輪みたいなドーナッツ状のやつ!」
『……あれ? それってバームクーヘンじゃなかったっけ?』
 ジュルリ、とよだれを垂らす天城 初春( aa5268 ) に同意するように頷く辰宮 稲荷姫(aa5268hero002 )……その横で鼻息も荒く気合の入った雪室 チルル( aa5177 ) とスネグラチカ(aa5177hero001 )がそんな少し抜けた会話を交わす。同様に、少し離れたところで泉興京 桜子( aa0936 ) とベルベット・ボア・ジィ(aa0936hero001 )も
「おお! くりすますー! しゅとーれーーーん!!! でしゅとーれんとは……なんであるか?? べるべっとしっておるか?」
『クリスマスは知ってるけどシュトーレンは知らないわね~? 初めて聞くわ何かしら? クリスマスパーティーに欠かせないもの?』
 といった会話をしており、その内容でわかる通り彼女達はシュトーレンというものを知らない。
 彼女らのように最近はパン屋であったりケーキ屋であったり、扱っているお店も増えているがよくよく考えると馴染みが無い、という人は意外と多いのではないだろうか? そんな人のために、ちょっとだけシュトーレンの説明をしよう。シュトーレンは、ドイツの菓子パンで、オランダ語ではストルと呼ばれる。ドイツとオランダでは伝統的にクリスマスに食べられるもので、シュトーレン(シュトレン)という名前はドイツ語で「坑道」を意味し、トンネルのような形をしていることからこの名前がつけられた。生地には酵母の入った生地に、レーズンとレモンピール、オレンジピールやナッツが練りこまれており、焼き上げたケーキの上には真っ白くなるまで粉砂糖がまぶされている。
 本来は、クリスマスを待つ4週間のアドヴェント(待降節)の間、少しずつスライスして食べるものでフルーツの風味などが日ごとにパンへ移っていくため、「今日よりも明日、明日よりも明後日と、クリスマス当日がだんだん待ち遠しくなる」とされている。また、西フランスのアルザス地方でも食べられ、地方の代表的な菓子とされている。余談ではあるが、ドレスデンでは、クリスマス時期の第2アドヴェント前の土曜日に、巨大なシュトレンがパレードするシュトレン祭(Stollenfest)が開催されているという。
「今回は桜小路達とキース達と一緒に作るつもりよ! といってもあたいはシュトーレンの作り方知らないから、みんなと一緒に教わりながら作る感じになるわね。」
『作り方知らないで作ろうとしてたのか……』
 作り方を知らないでお菓子を作ろうというのは無謀に思えるかもしれないが安心していただきたい。今回は材料だけでなく、基本的なレシピも用意はされている。
「とにかく! 基本的な方針は2人の作業を見ながらやってみる感じね。当然だけどつまみ食いはダメだからね!」
『それはチルルが一番やりそうじゃん……』
 そんなスネグラチカのツッコミは華麗にスルーされ、匂坂 紙姫(aa3593hero001 )がメテオバイザー(aa4046hero001 )に深々と頭を下げて彼女達のシュトーレン作りが始まった。
『メテオ先生、今日はよろしくお願いしますだよ! チルルちゃんも一緒に頑張ろうねっ!』
『お菓子は特に、最初はレシピ通り作らないと美味しくならないですよ? お菓子を美味しく作る一番のコツは、作る人が楽しむ事なのです』
 こうして、メテオバイザー、紙姫、チルルの三人でシュトーレン作りに励み、桜小路 國光( aa4046 )は三人がお菓子作りを楽しめる様に補佐。
「メテオは特別工夫したりしないよね? レシピに忠実で……」
『お菓子は、本当は繊細で、とても手の掛かる気分屋さんなのです。でも、メテオはお菓子屋さんではありませんから今日は何時もより上手に焼けた、美味しく作れた……それに一喜一憂しながら、そのお菓子を好きな人達と楽しむ……それでメテオは充分満足なのです』
 案外、そんなものかもしれない。本職の職人であれば徹底的にこだわるところだが、プロでないなら大事なのはお菓子作りを誰と楽しむか、誰のためのお菓子か、出来はどうかと基本的なところを楽しめればそれでよいのかもしれない。メテオ個人は本格的なフルーツ多目と、持参のラム酒漬を使った2個を作ったのだが……
『シロップ漬じゃないのです! サ、サクラコ! 助けてくださいぃ』
 と、ラム酒漬けのフルーツを未成年から死守するといった事態が発生し少しドタバタとしてしまった。なおその後は、つまみ食い防止も兼ねてラム酒付けは國光が預かることになった。
一方で彼女達がシュトーレンを作る間、キース=ロロッカ( aa3593 ) はシュトーレンに合う味の珈琲を作ろうと頭を悩ませる。
「やはり深煎りの豆で、ちょっと苦みが引き立つ味にするかな……?」
 そして検討の末、ブラジル(フルシティ)+マンデリン(ミディアム)のブレンドに決定し、支度を終えた後は英雄達のサポートに回るのだった……。
 後は焼き上がりを待つのみとなったところで、チルルは一緒にシュトーレンを作った國光達に視線を向ける。
「そういえば能力者としてはあたい達よりも先輩に当たるのよね。さいきょーの近道といえば強い人に教わるのがベストに決まってるわ。
だからどことなーくどんな感じで頑張ってみるのかを聞いてみるわ」
『普通に恋バナとかでいいんじゃないの?』
「え、え、だってあたい恋人いないし……」
『あれ? この前の依頼で恋人役で』
「あーあーうるさーい!」
「チルル達はどんな塩梅ですか?」
「え!? も、もちろん完璧よ! さいきょーのあたいにかかればお菓子作りくらいなんてことないわ!!」
『……うっかり焦がしたりしないように気を付けようね』
 結局、幸か不幸かキースの気を回した言葉で焼きあがったシュトーレンの味見までチルルの求める『さいきょー』のためになる会話についてはうやむやになってしまった。もう少し言えば、完璧と言いつつスネグラチカが心配した通り危うく焦がすところだったのでなんてことない、と言う強がりが帰って愛らしく思えてしまったのはここだけの話。

●いざや王道
 一口にシュトーレンと言っても、意外と種類があるし今回は材料を持参した者も多い。そんな中でもやはり基本は主宰側で用意した材料を使って作る、王道のパターンだ。この場合ならば、レシピも用意されているため最低限致命的な失敗は避けやすい。
「るーしゃんといっしょにしゅとーれんであるぞ! で、しゅとーれんとはなんである?」
「桜子ちゃん、シュトーレン作りは初めて? あのね、シュトーレンはナッツやドライフルーツを練りこんで焼くパンみたいなお菓子なの。とりあえず皆で作ってみようね!」
「おお! るーしゃんはものしりであるな! さすがであるぞ! ほほうなっつとふるーつをいれるのであるな? わしはどらいふるーつをやまもりいれたいである!」
 どうも説明をスルーしていたのか、相変わらずわかっていない様子の桜子の為に、説明を交えつつドライフルーツを多めに入れた生地を作り始めるルーシャン( aa0784 ) 。そして、生地を捏ねる段階で自分の出番だろうとアルセイド(aa0784hero001 )が声をかける。
『あ、ベルベットさん大丈夫ですか、お着物が汚れては……って』
『ほほ~そういうものなのね。こねるのならばおまかせよ★ そりゃぁあ!』
 視線を向けた先では、ベルベットが着物にたすき掛け、更には野太い声を上げて逞しい捏ね姿を見せていた。
「ベルさんすごーい! もう生地ができあがったの!」
『あるせいどちゃんどうしたの★』
 ニコッっと微笑んで見せるベルベットだったが、そのあまりの逞しい捏ね姿には、アルゼイドは笑顔のまま固まって絶句するしかなかった。ショックが大きすぎたのか、フルーツが美味しそうだからちょっとだけ味見、とルーシャンが内緒で生地をつまんでいたことにも気が付けなかった辺りはご愁傷さま、といったところか。
「具と一緒に練って、形整えて少し寝かせて……焼き上がるの待つのも、わくわくするよね……♪」
「ふむきじをねかせるのであるな? はやくおきるがよいのである! さすればやいてしんぜよう!」
 その和やかな雰囲気の横でそこはかとなく危険な香りを漂わせていたのは御神 恭也( aa0127 )と不破 雫(aa0127hero002 )、志賀谷 京子( aa0150 )とリディア・シュテーデル(aa0150hero002 )のペアだ。
「われわれは、アリッサがいなくてもちゃんとシュトーレンを作れるってところを見せなければならない!」
『はいっ! 京子姉さん、やりましょう!』
「おー! アリッサを驚かせてやるぞー!」
 と、意気込んだは良いものの普段全然料理しない京子と、経験不足のリディアのコンビでは当然のように難航した。
「えっと、分量はっと、適当でいいかな」
『すとっぷです!』
「わ、どうしたのリディア?」
『実はここに、アリッサ姉さんから受け取ったメモがありますっ』
 そのメモにはこう書かれていた。
”京子が大ざっぱことを始めたら危険信号、無理にでも止めるように。お菓子は計量が命ですよ”
「……くっ、見透かされてる……!」
  英雄も付き合いが長いと、何となく相手の行動がわかるものだ。それが悔しいと思ったかどうかは、当人のみぞ知る、である。
『中に入れるのはドライフルーツいろいろとマジパンでいいんです?』
「うん、基本に忠実に作っていこうよ」
『りょーかいですっ」
 この判断は恐らく正しい。軽量の時点から危なっかしい2人が下手にアレンジに手を出すべきではない。なお、シュトーレンの中でもマジパンを練りこんだものはマルジパンシュトーレンと言われ、オランダのシュトーレンはほぼ全てが一種のマルジパンシュトーレンなんだとか。
 しかし、この2人はまだ原因がわかるだけマシである。雫の場合は『原因不明で上手くいかない』ため対応策にも困る有様なのである。原因がわかるのならばともかく、原因不明では実質これと言った対処は打ち出せないに等しい。
『はぁ……憂鬱です』
「なんで、そこまで嫌がるんだ? 食事当番の時に出た物に問題は無かったが」
『苦手なんですよ。お菓子作りだけは』
「ふむ……主催者には悪いが練習台として利用させて貰うか?ある程度なら俺でも教える事は出来るからな」
 と、そんなやり取りがあって雫主体でレシピ通りにシュトーレンに作成するが、どういうわけか必ず失敗が起きた。原因究明の為に恭也が付き切りで監視したが、雫は余計な行動を一切していない……同じ材料、同じ器具、同じタイミングで作成しているのに、雫の方だけが失敗する。
「訳が分からん。ここまで同じ様に作ってるのに何で失敗するんだ?」
『だから言ったんですよ……』
「正直、非科学的だが呪われているとしか言えんな」
『あっ、前にも言われた気がします』
 その言葉が真実であると物語るように、練習を重ねるごとに出来栄えは悪化していき最終的には生物的な謎の物質にまで進化した。
「……これは、冗談でも誰かに食わせる訳にはいかないな」
 もはや食欲減退を通り越して危機感すら感じる代物をつまみ食いしようという勇気ある輩がいるかはわからないが、恭也と雫の認識は言葉を交わさずとも共有されたのであった。流石に謎の物質と化したシュトーレンを他人に食べさせよう、と言う気は起こらない。むしろここまでの出来だと危険すぎて捨てる事にすら危機感を覚えるレベルである……故に、手を出した側を守ることを考えなければいけないのであった。

●気合の持ち込み組
 材料を自分達で持ち込んだ者は多いが、その中でもどんなシュトーレンを作るかと言うのは各々の個性が出ていた……特に多いのは材料こそ自分達で持ち込んだが、作るシュトーレンに関しては基本に忠実という者達。作り方はともかく、材料についてこれだけ自前で用意してくるメンバーが多いのならいっそ材料は自分達で用意してもらうのも1つの手だったかもしれないが、そこはそれ。労をねぎらうイベントで労力を増やしてしまっては、本末転倒というものだ。
『そう言えば、今年はまだ作ってなかったな』
「今日は、征四郎は今日は1人で作るのです!」
 お菓子は食べるのも作るのも好きというガルー・A・A(aa0076hero001 )が家で仕込んで持ってきたラム酒付けのレーズンを用意する横で
エプロンに三角巾といういかにもな格好で紫 征四郎( aa0076 )がむふー、と気合を入れている。なお、彼女の料理経験は基本器具は扱えるもののお手伝い級だ。ちなみにガルーの格好はエプロンにバンダナ。同行した凛道(aa0068hero002 )は三角巾と割烹着は生真面目に着用しているが普段料理をしないため、渋々ガルーに教わりながら作ることに。
『何で僕が貴方に教わらなければいけないんですか』
 口ではそう言っているが料理知識のりょの字も無いため、不服ではあっても素直に従うのが正解と言う何とも凛道にとっては面白くない状況であった。
「うん、うん、ラム酒の香りが心地良いねぇ。にしても……いい加減そのけんか腰もよく飽きないね。お兄さん関心しちゃう」
 その凛道を連れてきた木霊・C・リュカ( aa0068 ) は、そんな茶々を入れる程度にはマイペースであり征四郎が構ってくれない分だろうか、普段に輪をかけてフリーダムな様子であった。
 憎まれ口をたたかれても気にもしない様子で、時折隣で作る凛道を気にかけるガルー。
『りんりん大丈夫か? 木べらは武器じゃねぇぞ?』
『……大丈夫です。それより、材料一つ計るのに時間をかけすぎなんです貴方は、貸して下さい』
 と薄力粉奪いつつせかす凛道。
『良いんだよ別に! 菓子作りは分量大事なんだって!』
 一方ガルーは手慣れてはいるが基本的に細かく、粉を測りだしたら時間がすごい事になってしまうためこうした掛け合いがむしろ良い方に作用して、なんとかシュトーレン作りを進めていく。
『……そんなにドライフルーツ入れるんですか、生地埋まりますよ』
『いーのいーの。フルーツとナッツが決め手だからな』
『征四郎さんは大丈夫ですか、困ったこととかありませんか?』
「だ、大丈夫です!」
 なんとか頑張って一人で作りたい気持ちの征四郎はそう答えるものの、やはり難しい部分は出てくる。そういった部分はこそこそと控えめに聞いていく。いかに優秀なエージェントだとは言っても、征四郎はまだ幼い。必要な時は、きちんと他人を頼るべきだろう。
「は、リンドウ! ここ、どうやって混ぜました?」
『なんか征四郎が構ってくれないんですけど!!?』
 とガルーは不満げに言うが、大目に見てほしい部分である。大切な人のためにできる限り1人で作りたいので、可能であれば英雄の力も借りたくないのが本音なのだ。その辺りは理想と現実のままならない部分といえた。
『く、クリームチーズものせましょう。美味しいとくっく●っどに書いてあります』
 最初は文句ばかり言っていた凛道も、まんざらでもないのかそんな発言も聞こえてくる……くっく●っどを見ているあたりは、実は料理に興味があるのかもしれない。結局言い争いながらも作業がきちんと進んでいく事もあり、何だかんだいい思い出にはなりそうであった。
 月鏡 由利菜( aa0873 )とリーヴスラシル(aa0873hero001 )は2人でファミレス『ベルカナ』の制服を着て作業開始。
『ふふ、私も久々にこの制服を着られるな』
「ラ、ラシル、本当にお気に入りなのですね……。大胆なデザインで、私は着るのがちょっと恥ずかしいですけれど」
『これは、私のような大人でも着用したいと思えるからな』
 それを聞いて意外な一面を見たようなそうでもないような、複雑な気分になった由利菜。そこに、更に意外な人物から声がかけられた。
「月鏡さんに……ラシル先生もいらしていたのですね」
 それは、恩師である斉賀 麻衣佳( aa5060 )とその英雄ブルトガング(aa5060hero001 )。麻衣佳はパン焼きの腕を見込まれ、今回の依頼に呼ばれたのだった。これも何かの縁、と由利菜、ラシル、麻衣佳の3人でシュトーレン作りを始める事に。麻衣佳は最も基礎的なドレスナーシュトレンを制作。本場ドイツに近い行程を踏むため、予め盛り合わせよりのドライフルーツフルーツとナッツをラム酒に漬けたものを用意するあたりは、中々のこだわり派だ。由利菜とラシルは手作りチョコキットや調理セットを使い、シュトレン・ショコラーデを制作。生地作りのコツを麻衣佳から教わりながら作業を進めていく。その輪の中にブルトがいないのは
『マイカ、ブルトは料理作れないから回って見てる~』
 と言って、早々に輪を離れて会場をぶらつき始めたためだ。この際一緒に作って教わっても良いと思うのだが、ブルトにはその気はないらしい。
「斉賀先生、手慣れておられますね。私もパンは時々作りますけれど、斉賀先生には及びません……」
「実家がベーカリーなんです。でもプロの世界で通用するパン菓子作りも、店の経営も私にはできる自信はなくて……教師を目指したのも、当時の自分に一番向いていそうだからと言う理由でした」
『サイガ教諭、指導に感謝する。だが……エージェント科に異動して良かったのか? ブルトと契約するまでは普通の人間として指導したいと言っていたが……』
「月鏡さん、ラシル先生……。私は能力者になったことに戸惑いはあっても、後悔はありません。私はブルトと共に、エージェントを目指す生徒達の命を守れるよう尽くします」
 凛とした決意を見せる麻衣佳だが、すぐにその表情は柔らかなものに戻る。今日はあくまでお菓子作りが主眼の平和な一日だ……主宰側もそういう形での労いとして考えたものであるし、せっかくの機会を楽しまなければ損というものだろう。
 こうしてできたシュトーレンにレターセットにメッセージを手書きし、添える由利菜。
「Merry Christmas!!  sukikagami Yurina……と」
『……ふふ、ユリナ直筆のレターならきっと取り合いになるな』
今はただ、楽しめれば良い……そう考える事にした3人の表情はとても柔らかで。なお、ラシルの言葉が真実になるのはもう少し先の話である。
 その今をただ楽しむ、と言う点においてうまくやっていたのは烏兎姫(aa0123hero002 )と彼女には激アマの虎噛 千颯( aa0123 )だ。彼は料理は得意ではないので、クリスマスの雰囲気を感じる事に力を入れていた。千颯と烏兎姫が一緒に作るのは色々なドライフルーツやナッツを入れて豪勢にしたブターシュトーレン。ブターシュトーレンは、外側にバター、中にレーズン・アーモンド・ドライフルーツを練りこんだものだ。今回のエージェント達が作っているもののなかでも、特に『シュトーレンらしい』イメージかもしれない。
『お菓子はママと一緒に作ってたりするからちょっとは出来るんだよ! パパに美味しいのを食べてもらうんだよ!』
 と、大好きなパパ……千颯と一緒にいれるのでいつも以上に張り切る烏兎姫。
『ボクも色々出来るようになったんだよ! パパ美味しい? ママ達にも持って帰りたいね!』
「うんうん、烏兎ちゃん上手だね! パパ嬉しくなっちゃうんだぜ! 烏兎ちゃん色々出来る様になってパパ本当に嬉しいんだぜ」

●アレンジメニュー行ってみよう
 王道も良いものだが、今回参加したメンバーの中にはあえてアレンジを加える者もそれなりにいた。アルコールが苦手、あるいは未成年と言う点を考慮してノンアルコールで作った者達などは割とわかりやすい例だろうか。
「へぇ……見た事あるけど食べた事ないかも」
 迫間 央( aa1445 )が呟くと、マイヤ サーア(aa1445hero001 )が珍しく幻想蝶から出てきて央の見ている資料をのぞき込む。
『H.O.P.E.で菓子パン作り?』
「ドイツではクリスマスの4週前に作って、毎日少しずつ切って食べるらしい。発酵・熟成されて日に日に美味しくなるシュトーレンを食べる事でクリスマスを感じるんだってさ」
『……練り込むレーズンはあまりラム酒に漬かってない物の方がいいんじゃないかしら。央、苦手でしょう? お仕事もあるのだし』
「……それもそうか。見栄張っても仕方ないし未成年組に混ぜて貰うとしよう」
 マイヤの意見に従い、知り合いを探し大門寺 杏奈( aa4314 )とレミ=ウィンズ(aa4314hero002 )、藤咲 仁菜( aa3237 )と九重 依(aa3237hero002 )に声をかけてご相伴させて貰うことにした。
『……予算に限りがある中でショートケーキとシュトーレンが並んでたら迷わずショートケーキを選ぶのが普通だろ』
「依が凄くショートケーキ好きっていうのは分かったよ」
 シュトーレンを食べたことがない依がそんな事を言っている横で、資料に目を輝かせる杏奈とレミ。
「シュトーレンって結構種類あるんだね」
『考えるのもまた一興ですわね。アンナはどうなさいますの?』
「もちろん...…甘くて美味しく、だよ!」
『うふふ、当然でしたわね♪ 皆様もよろしくお願いいたしますわ』
 ノンアルコールでシュトーレンを作るために、シロップ漬けドライフルーツを使う。央はレシピ通りに作りつつ、杏奈、仁菜の話を聞きながら調理を進めていく。
「未来のパティシエの手法を参考にさせて貰おうかな?」
 マイヤは苦手分野故見守りモードだ。同じシロップ漬けのドライフルーツを使うのでも、仁菜と杏奈では多少違っていて、きちんと個性が出ていた。内容としてはほんの少しなのだが、実際に作ってみると随分と違って見えるのだから面白いものである。
 仁菜はオレンジピールやチェリーも入れ、切った時に華やかな色合いになるように。杏奈はイチゴ、オレンジやレーズン等で甘酸っぱく色とりどりに仕上げつつ、砂糖は多めに使用して口当たりが優しいお菓子風に。しかし、生地ができてもそのまま焼き上げるわけではなく少しばかり、発酵の時間が必要になる……もう少し言えば焼き上げる時間も必要になり、この間何もしないというのは少々もったいない、ということもあってマイヤ同様見守りモードだった依がマイヤをまじまじ見ている事に気付いて声をかけてみる央。
「依君だったよね、同じルーカー同士、少し話でもどう? マイヤも一緒に」
『……私は構わないけれど』
『えっ』
 声を掛けられ焦ってるところに仁菜が飛びつき混ざってくる。
『俺は別に……うぐぉ!』
 見事に直撃する形で飛びついてきた仁菜は目をキラキラさせて依を見つめる。
「依はマイヤさんみたいな綺麗なお姉さんがタイプなの!?」
『意味が分からないし、急に飛びつくな』
 見事にクリティカルを受けたお腹をさすりながら、仁菜を引きはがす間ににこやかに会話に入ってくるレミ。
『そういえばヨリ様とお会いするのは初めてでしたわ。アンナの第二英雄のレミと申します、今後ともよろしくお願いいたしますわ♪』
『……あ、ああ。よろしく』
 何とも不思議な空気になってしまったが、それでも央の隣をしっかりキープしているあたりは流石マイヤ、とほめるところだろうか。ほどなく発酵も終わり、焼きあがったシュトーレンを見て満足げに頷く杏奈。スイーツ作りはプロ仕込みで教わっていたおかげか初めて作るものでも手慣れたものだ。お菓子作りに限った話ではないが、経験値がモノをいうケースと言うのは往々にしてある。
「ふむ、こんな感じかな。仁菜ちゃん、兄さんも味見いかがです?」
 自分でも満足のいく味に、央と仁菜に味見をすすめ、2人からも太鼓判を貰ったところで今度はレミが試食。
『まあっ、とっても美味ですの…...! やっぱりアンナは将来素敵なパティシエになりますわ♪』
 同じように、今度は仁菜が依に一口食べてもらう。
『……味にまとまりがなくてまずい』
「これがだんだん美味しくなるんだよ。日ごとに味が変わるシュトーレンにクリスマスへの思いをはせるの。ロマンチックだよね」
 明日も来週も。皆無事に帰って来て味わえますように……今回のシュトーレンは、そんな願いがこもっているような気がした。
 一方、央が友達と一緒のところを邪魔しては悪い、と遠慮して声をかけなかった日暮仙寿( aa4519 )と不知火あけび(aa4519hero001 )は逢見仙也( aa4472 )とディオハルク(aa4472hero001 )を手伝いに行っていた。
「お前達の事だからかなり張り切ってるだろうと思ってな」
『仙也とディオハルクは料理上手だからね! 今回も期待してるよー!』
 実際、2人の予想は見事に当たっていて足りない分は通貨使ってでも用意するつもりで、材料は事前にしっかり用意していた。自分達で食うものは妥協せん、との事だが人のはどうなのか、というツッコミはあえて入れないのが華だろうか。
 ディオの方はチェリーブランデー漬けの苺、マカダミアナッツ中心にナッツ類、クリームチーズ、更には酒漬けのブルーベリーやラズベリーなども使うこだわりようで、苺パウダーも準備して少しだけ生地に練り込み、残りは粉砂糖と一緒に振ることに。
「……苺がメインのシュトーレンなのか」
 ディオハルクの手元を見て、内心嬉しい気持ちになる仙寿。苺好きは友人達も知っているから気にしてくれたのかもしれない。その好意に答えるように、菓子作りに向いているとよく言われる性格を反映するきっちりとした計量をして、力仕事も手伝いながら効率的に調理を進めていく。あけびは仙也の様子も見に行くが、そこで葛城 巴( aa4976 )とレオン(aa4976hero001 )に気が付いて声をかける。
『巴さん達も来てたんですね!』
「たまには楽しく作りたい時もあるよ。レオンとの約束があるからいつも料理はしてるけど、ぶっちゃけ『とりあえず・やっつけ仕事』なんだよね。別に料理は好きじゃないし。作るのに時間掛けた物が一口で無くなっちゃうのが虚しくて」
 行事に誘ってくれない人物を思い出しつつ、そんなグチを呟く。巴の横で、彼女が料理しに行くと言ったので付いてきたレオンが頭を下げる。
『仙さん、あけびさん、逢見さん、宜しくお願いします』
 失礼のないようにという配慮ではあるが、まるで借りてきた猫のように大人しい。知らない仲ではないのだが、そこは『親しき中にも礼儀あり』というところだろうか。
「レオンはさっきからふらふらしてるな。シュトーレンを作ってるのは巴か?」
 仙寿の言葉通り、巴が製作に熱中している間は周囲をフラつくレオン。そのレオンを尻目に仙寿達と談笑しつつ、生地をこねる巴だが、熱が入ると思い出して混ぜ込む力が強くなっていく。
「バカ……もういっそ従魔を彼女にすればいいんだよね」
 これ以上は突っ込むだけ藪蛇だろう、と判断し改めて仙也の様子を見るあけび。仙也のシュトーレンはドライフルーツのオレンジ、ラム酒漬けのレモンピールやレーズン、チョコチップ、アーモンド中心にナッツ類等で作る大体オーソドックスな感じのものだ。
『こっちはまさにシュトーレン! って感じ!』
 ディオハルクと仙也のシュトーレンを見比べたり、時折手を貸したりしつつ互いの近況楽しく話すが、仙寿とあけびは自分達の分を作っていなかった……元より余分にあれば欲しいな、と言う程度だったからだ。すると、ディオハルクが苺のシュトーレンを押し付けてきた。
「良いのか?」
 正直気になってはいたが本当に貰えるとは思っていなかった仙寿に対し、しっかりと頷くディオハルク。
『やった! ありがとうー! 大事に食べるね!』
 大事そうに抱えて喜ぶあけび。
『シュトーレンはクリスマスが来るまでの間、少しずつ食べるんだよ。一緒に食べようね、仙寿様!』
「あ、ああ。そうだな……」
 時期の都合上、クリスマスまでの期間がやや短いのは玉に瑕だが、毎日一緒に食べる事を考えると楽しみな仙寿だった。
 こうして輪になって作る者達がいる中、パートナーとの2人だけでシュトーレンづくりに挑戦していたのは、麻生 遊夜( aa0452 )と
ユフォアリーヤ(aa0452hero001 )。
「なるほど、こう言う伝統もあるのか 」
『……ん、画期的』
「目的の日まで少しずつ食べ、しかも日に日に美味くなるとは……これは結構使えそうな気がするな」
『……ん、子供達が……楽しみにする』
「クリスマス以外でもやれるな、孤児院でも取り入れるか」
 ロマン大好きな家族第一主義者にして孤児28人の保護者兼父親である遊夜にとっては、シュトーレンの性質は興味深いものだったようだ。うまく活用できる方法がありそうだと納得するように頷きながら、今度はレシピに目を向ける。
「簡易に定番、そして本格レシピ……と。ふむ、せっかくだし本格的に行くか」
『……ん、これが良い』
 そう言ってレシピを指さす孤児28人のおかーさんでもあるリーヤの意見を取り入れて、子供受けしそうなリング型、ココア味に挑戦することにした遊夜は中種作成とドライフルーツ選定をリーヤに任せ定番レシピにチョコとココアパウダーを加えて本生地を作っていく。
『……あ、いっぱい種類ある』
 尻尾をゆらゆらさせながら、子供が好きな林檎や苺、パインやレーズンをうきうきと選ぶリーヤ。
『……ん、こねこね……こねこね』
 中種を作成する間も、尻尾をふりふりして終始ご機嫌の様子だ。本生地ができたところで、リーヤから中種とフルーツを受け取り混ぜて寝かせる……その後、生地を折り曲げて伸ばし、マーガリンを薄く塗ったババロアの型にはめ込み形を整え焼き上がりに熱く溶かしたマーガリンをしみこませ、粉糖をたっぷりかけてやれば完成である。
「……うむ、良い出来だ!」
『……ん、力作』
 2人でぐっとガッツポーズをする遊夜とリーヤ。きっとこのシュトーレンを、子供達も喜んでくれるだろう。強いて難点を言えばそのまま子供達に提供するには少しばかり小さいので、余裕があればもう何個か焼いても良いかもしれないな、というところであった。

●和のテイストに挑戦
 アレンジレシピでシュトーレンを作る者達の中でも、特に異彩を放っていたのがあえて『和のテイスト』を取り入れようとした者達である。
「さて、本格的なのを作るか……」
『今回はキルシュを使った漬け込みフルーツ使うんだな』
 ヘンリー・クラウン( aa0636 )と片薙 蓮司(aa0636hero002 )が作ったものは本格的でそれほど凝ったことはしていない。強いて言えば用意した漬け込みフルーツの中にドライイヨカンが入っていたくらいか。一緒にシュトーレンを作るリリア・クラウン( aa3674 )にしても、事前に用意したのはマジパンとアーモンドでやはり凝ったことはしていない。ちなみに、アーモンドパウダーなどを練りこんだシュトーレンはマンデルシュートレン、と呼ばれる。
 リリアは問題なかったのだが、彼女の英雄である五十嵐 渚(aa3674hero002 )は少々思い切ったことをしていた。事前に用意したのが粉抹茶とブランデーで煮た黒豆と甘栗だったのだ。
「おいしいシュトーレンを作ろう~」
『リリアならおいしいシュトーレンができるっすよ』
 彼女達は英雄同士・能力者同士で隣に並びながら作っていく。ヘンリーはパティシエなので一から丁寧にだが手早く行動し、彼と違いド素人なので手際の良くないリリアが手順を間違えそうになったら教えていく。
「ほら、ここはこうやってやるんだ……教えてやるからもっかい作ろう……な?」
「おもったよりこねるのが大変だね~」
『こういうのは慣れが必要っすからね』
 リリアの様子を見ながらも、渚も同行者件恋人の蓮司と教え合う。
『ほら、もっとこうやって巻くんだよ……うん、うまくいったな……』
『えへへ……ところで、これ使ってみていいっすかね?』
 彼女が見せたのは持ってきた抹茶と甘栗と黒豆。
『う~む……それは、シュトーレンとしてはどうなんだろうか?』
 蓮司は首を捻るが、結局のところ使うことに変わりはないようだった。
『まあ、何とかなるっす。自分に任せるっすよ、こういうのは隠し味が大事っす』
「そうだね~それは面白そう!」
 ここまで来ると隠し味のレベルではない気もするのだが、ほどなくして少々毛色の異なる和風のシュトーレンが出来上がる。元々の手際が良かったことも幸いしてか、身内での評価は上々なのであった。
 渚のものはあくまで基本的なシュトーレンに和のテイストを『加えた』程度だが、赤城 龍哉( aa0090 )のものは更にこだわっていた。
「これか。確かコーヒーショップで見かけたな」
『レシピも材料も揃っているようですけれど』
「さて、どうしたもんか」
 ヴァルトラウテ(aa0090hero001 )と共にふーむ、と考えていたのだがやはり一味違ったものにしたい、という思いもあって思い切った方向に進んだというわけである。
「とりあえず米粉の抹茶風味シュトーレンでもやってみようか。作り方はそう大きく変わる訳じゃなさそうだしな」
 粉はパン作り用の米粉を使い、あえて贅沢に宇治抹茶を使用。生地に練り込むのはマロングラッセと黒豆……外側にまぶすグラニュー糖を含め、甘さは抹茶の苦みとバランスを取れる感じで調整していく。
「とりあえず少量で一旦試作してみて味の調整をするか」
『いきなり本番は失敗した時が目も当てられませんものね』
 こうして、試作を経て焼き上げた完成版は、緑茶や無糖紅茶で美味しく頂けるものになった。試作段階のものも決してまずくはないので、つまみ食いに来たへの対処や、HOPE職員への差し入れと言う形にすれば何も問題は無いかと思われる。
「……ふと思ったが何で毎回俺が作ってるんだ」
 龍哉のそんなツッコミは、華麗にスルーされた。
『遠慮なく頂きますわ』
「だが断る」
『そこを何とか』
 一見クールを通したヴァルであったが、彼女が使っていたオーブンから微妙に焦げ臭いニオイが漂っており、どうやら紅茶のシュトーレン(胡桃&林檎入り)に挑戦するも焼きで失敗したらしかった。故に、ヴァルも簡単には引き下がらなかった。
 龍哉のこだわりもかなりのものだったが、更に上には上がいた。鶏冠井 玉子( aa0798 )である。
「シュトーレンか。うむ、悪くない……この時期は専らクリスマスディナーのコースメニューで頭が一杯になりがちだ。自然と甘味もケーキの類に終始してしまうし、自分でそれを作るという選択肢はなかったな……良いだろう、この鶏冠井玉子の全霊を以て、至高のシュトーレンを作ってみせようじゃあないか」
 コストを考えずに料理ができるというのは実に……実に素晴らしいものだ。採算を考えるのであれば基本に忠実な一品を、と思っていたが、趣味の菓子なら話は別になる。玉子は思い切って国産のフルーツをふんだんに使った、和風シュトーレンを作ることにした。
 愛媛のみかん、栃木のいちご、青森のりんご……更に甲州ワインに漬けたいちじくや杏も入れて、とにかくフルーティーで、果物たくさんな感じを目指す。本来日持ちすることがウリのシュトーレンだが、今回はあえて度外視して、瞬間的な美味しさを優先。砂糖も香川の和三盆、くるみも岩手の和ぐるみを使い、徹底して日本の味とすることをテーマに作り上げていく。こうして出来上がった和風シュトーレンは、玉子の思惑通りフルーティだが、和三盆の性質もあって生地自体の甘さは控えめな仕上がりとなった。
 オーロックス(aa0798hero001 )に用意させるのもあえての日本茶。紅茶や珈琲ではなく、和を感じさせる、日本のおやつとタイムしての光景を演出して見せた。正直、ここまで材料にこだわりなおかつ素晴らしい出来栄えであったことを考えると、本来ならば結構いい値段がする代物と言ってよいだろう。それが材料費を負担してもらう事でこれ以上なくお得に作れているのだから、本当に素晴らしい事であった。

●だって美味しそうなんだもん
「付いてきたからにはちゃんと手伝ってね。つまみ食いは御法度! 見つけたらクリスマスまで夕食のおかず一品減らすよ?」
『うい~っス……』
「シュトーレン……シュトーレン……地元の珈琲ショップが毎年期間限定で出してたのが美味しかったなぁ……」
 御童 紗希( aa0339 )は記憶を辿りながら生イーストと牛乳を混ぜ準強力粉をこね始めるが、横で手伝うスワロウ・テイル(aa0339hero002 )の様子が少しおかしいことに気付いた。
『姐゛ざん゛◎☆#@……』
「……テイルちゃんどうしたの? 声が何言ってるか良く解んないプロレスラーみたいにガビガビなんだけど……」
 なんでも、テイルは昨日カラオケで『ストレス超発散っスわ~』とか言いながら5時間ぶっ通し歌って声が出ないらしい。ストレスフリーな生活している彼女にストレスが溜まるのかというのははなはだ疑問ではあるが。
 昔食べたシュトーレンを再現したいらしい紗希が本仕込み生地を作りながら
「うーん、あそこの珈琲店って中のフルーツ何が入ってたっけ?」
 と頭を悩ませている間も、テイルは上の空で既に鷹の目を飛ばしガードの緩そうな参加者を物色していた。だって美味しそうなんだもん……美味しそうなシュトーレンを見ていたら、まして良いにおいが漂ってきていたら、欲しくなるのは仕方がない。実は他の参加者達の間でもつまみ食いに走る者はそれなりにいたので、それぞれの様子をダイジェストで見てみよう。
 征四郎が構ってくれない為男二人にちょっかいをかけていたリュカだが、それでも暇が過ぎたため交流のある者達の所にちょろちょろ顔をだしては
「失礼そこのお嬢さん方(お兄さん方)、お腹の空いた私に一切れいただけませんか!」
 などと言いながらつまみ食い。だが恭也にはつまみ食いしに来た者の命を守るため、というある意味壮絶な理由で全力で阻止され、更に征四郎にも叱られてしまった。
「例え何かが有ろうともこいつを食わせる訳にはいかん。それでも摘まもうとするなら骨の一、二本は覚悟して貰うぞ」
「つまみ食いはめっ、ですよ!」
 その征四郎はというと、粗熱がとれたドライフルーツたっぷりで食べやすい、焼き加減ちょっと濃いめのシュトーレンを一番にリュカのところへ持っていった。
「お口にあえばよいのですが……」
「いいねいいね、ちょっと辛めのワインとか欲しいなー」
 その言葉に答えるように、ガルーが甘さは控えめ、ラム酒の風味が濃い目のやや大人なタイプで焼き加減は非常に綺麗なシュトーレンを持ってくるが、リュカはあえてそちらは軽い味見程度にとどめ、征四郎のシュトーレンを褒める事は忘れない。必要な配慮はできる男なのだ。一方千颯は少し調子に乗りすぎてしまったようで、烏兎姫に拝むように謝り倒していた。
『パパ! つまみ食いは駄目なんだよ! そんな事するならボクのはあげないよ』
「まって!! 烏兎ちゃん! パパつまみ食いしないから。しないからね? 烏兎ちゃんが作ってくれるのを待ってるから!!」
 烏兎姫はそれを聞いて安心した、とでもいうように会場を見回して特徴的な制服が目についた人物に声をかける事にした。
『他の人の作ったのも気になるんだよ! みんなどんな感じにするのか楽しみなんだよ。沢山沢山楽しみたいんだよ! この世界の事』
 そう言って由利菜達にレシピも教えてもらったりしていたのだが、そこではブルトガングがつまみ食い。もっとも、ラシルが囮の食材を餌にしたことで未遂に終わったのだが。
『ブルト……そのような振る舞いをするから子供扱いされる』
「す、すみません! うちのブルトが皆様に迷惑を……! こら、皆に謝りなさい、ブルト!」
 見かねて、麻衣佳がきつく叱るがそれは思った以上に彼女にショックを与えてしまったらしい。ブルトは今にも泣きだしそうな表情で麻衣佳にしがみつく。
『ブルトは前の世界で捨てられた記憶があるの……マイカ……ブルトのこと、見捨てないで』
「大丈夫です、ブルト。これくらいで縁を切ったりはしませんよ」
 流石に想定外ではあったが、これも絆を深めるきっかけになったと考えればまあ良かったのかもしれない。
 さて、ここまで盗み食いをする側の様子を見てきたが、もちろんされる側の参加者も放っておく、と言う選択をするほど大人しいはずもなく……。
 紗希がシュトーレン作りに集中している隙を狙ってテイルは潜伏を使ってあちこちのシュトーレンをつまみ食いしていたのだが、龍哉の黒羽手裏剣で脚を止め、ネビロスの繰糸で捕縛という本気も本気の挙動でキッチリ捕まってしまった。
「食い逃げは許さん、絶対にだ。喰うのは良いが、義理は果たせ」
 捕獲ついでに味の感想をきっちり述べて貰おうという龍哉の思惑に従い、シュトーレンを口にするテイル。
『うーまーいーぞー!』
 そしてどこかの漫画で見たようなリアクションを見せつつ、ガビガビ声で味について熱く語る。龍哉の言い分はもっともであるし、結果的には美味しいシュトーレンを貰っているのだから捕獲されたと言っても役得、ともいえるかもしれない。
 そんなこんなでキッチリ捕獲、あるいは睡眠薬混ぜ込んだ唐辛子玉を口開けた瞬間を狙って指弾でシュート! 超エキサイティン! と遊夜にプレゼントされたりした者もいれば、ちゃっかりつまみ食いに成功した者もいる。初春と稲荷姫の狐コンビは、その点最初からつまみ食いする気満々だったこともあり、うまく立ち回っていた。
 第一陣が焼き上がるまでは真面目に真面目に生地を練り、果物を刻み練りこんでシュトーレン作りに励んでいた。そして第一陣が完成後、焼き上がったシュトーレンを整理する手伝いを自ら買って出て、整理に協力しつつ、つまみ食いしやすい状況を整える。
 その後いったん戻ってシュトーレン作りを再開。終盤間近に頃合いを見計らって2人とも、食材を取りに行く、あるいはお手洗いに行くと理由をつけてタイミングをずらしてその場を離れて少し離れた場所で合流……潜伏を使用し調理場に戻るという周到ぶり。おまけにつまみ食い用に整理しておいた場所に行きシュトーレンを奪取、逃走する際に猫騙、縫止まで使って足止めするという恐ろしいまでのスキルの無駄遣いぶりを見せて見事人目のつかない場所まで逃げ切ってみせた。
 強力粘着テープをいろんなところに貼り付けてつまみ食い対策をしたヘンリーとリリアであったり、きっちりと監視を行いつつ手早く作業を行っていたディオであったりと手を出しにくい相手はもちろんいたが、それを差し引いても十分な戦果を得られたのだから何も問題はない。
「うまいですの~」
『うまいの』
 2人でシュトーレンを分け合って食べる様子は、実に微笑ましく見えなくもなかったが流石にスキルの使用まではやりすぎた……一部の参加者達を本気にさせてしまい、程なく御用となったうえキッチリお説教をされるのだった。

●平和に聖夜を祝おう
「うむ! 思った以上に盛況であったし、みんな平穏無事にシュトーレン作りを楽しんでくれたようだな!」
 今回のイベントを企画した支部長は、思い思いに焼き上げたシュトーレンを楽しむエージェント達を見て、満足げに頷く。
「スキルを使ったやり取りまであって、平穏無事……なんでしょうかね?」
 職員のツッコミはもっともではあるが、この際言わぬが華、というものだろう。大事なのは普段から戦いに明け暮れているエージェント達に自分達で作った甘いシュトーレンと、それを作る時間を楽しんでもらって労をねぎらう事だ。そもそも、この企画にしてもクリスマスも年末も、すぐに何かできるものが無かったこともあって、時期的に幾分遅くなってしまう事を承知の上で用意したものだ。確かにちょっとドタバタしてしまった面も、無いとは言わない。だがそれ以上に旧知の者達の交流であったり、あるいは新たな出会いであったり……そういう機会になったと考えれば悪い事ではなくむしろ成功と言えるだろう。それが証拠に、見てみると良いと支部長が会場を指さす。その先にはキースが淹れたコーヒーを片手にクリスマス会の話し合いをするメテオバイザーとチルル、スネグラチカの姿。
『ツリー飾りたいし、ケーキも食べたいっ!』
「プレゼント交換も悪くないですよ」
『あ、このシュトーレンさん美味しい、みんなに持って帰ろうかなっ!』
 その後ろでは桜子とルーシャンが手を合わせて喜び合い、その姿をアルゼイドが少女達を微笑ましく眺める。
「かんせーい! 上手にできたねっ♪ 桜子ちゃん、どうぞ召し上がれ♪」
「おお! うまそうである~! ほれ、るーしゃんもあーん」
「私にもくれるの? ありがとう! フルーツいっぱい入れたから、甘くて美味しいの♪ 今までで一番美味しいシュトーレンなのよ……♪」
『さあ、ベルベットさんがココアを淹れてくれましたよ』
 京子とリディアも仲良く2人で賑やかにシュトーレンを完成させていた。
『出来ました! ちょっと見た目悪いですけど……』
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、粉糖振りかけたらわからないって」
 そう言いながら家で3人で食べるために、綺麗にラッピングしてお土産としてシュトーレンを包む。ヘンリー達も満足のいく焼き上がりで、うまくいったことにほっとしながら4人で作ったシュトーレンを仲良さそうに試食している。その様子は成功を確信できる、和やかなもので。
「よし! せっかくだ、今のこの様子を撮影しておこうじゃないか。皆の思い出になるだろうし、SNSに載せればイメージアップにもなるかもしれないしな!」
 意外なところでちゃっかりしている支部長だ。今回のシュトーレン作りにせよ、この機転はなかなかのものだがやっぱり少しばかり遅かった。支部長が言い出すよりも先に、エージェント達は各々のシュトーレンであったり、その製作工程であったりを写真に収めていた。もう少し言えばブログにも載せたい、と味見させてもらえそうなところも探していくが、そこも先回りするかのようにシュトーレンを持ってくるエージェント達。その心遣いは、本来非常に嬉しいものだが今回に限っては追撃も同然だ。少しばかり間が悪かったのは否めない。
 何かできる事は無いかと考えてイベントを企画し、皆の良い思い出を写真に収め、ブログに上げてイメージアップを図る。企画した以上の事については、正直なところ後付けではあるがおおよそのところとしては完璧だ……だが、何かが足りないような気がしてしまう。
 ふーむ、とまたしても支部長は首をひねってしまうが、そこで何か案は無いかというところで女性職員がレシピを聞いている様子が目に入った。差しあたってはこれ以上できそうなことが思い浮かばなかったこともあって、今回の作成されたシュトーレンのレシピを一部、許可を得たうえで一般公開するという手法によって、更なる支部のアピール兼思い出作りができるようにと工夫をしていく。流石にこれをもう一度作る、となった場合については自分達で材料費を負担してもらう事になるが、レシピが残っていればそれをもう一度作って思い出を振り返ることもできるだろう……シュトーレンのレシピ自体も、エージェント達がおのおの工夫をしていったことで幅広くなっているので一味違ったものを作ってみたい、という要望にもキッチリと応えられる。
 言ってしまえば、たかがお菓子だ。だが、それでもこれだけ入念に記録を残す工夫をしているのはひとえに思い出のため。それも、今年だけでなく、来年も、再来年も、と繋げていける思い出のためだ。
 綺麗ごとでも何でもなく、エージェントの任務には危険が付き物……万が一の事態と言うのは、あり得ないことではない。故に、たった1つのお菓子を作るイベントであっても、出来る限りの事をして記録にも記憶にも残るようにしておきたい。きっとそれは、今年はもう遅いけれど次はちゃんとクリスマスに間に合うようにシュトーレンを作ろうか、と言う気にさせてくれる理由の1つになってくれるであろうし今年失敗したのなら、来年また頑張ればいいという気にさせてくれる理由の1つにもなってくれるだろう。イベントの開始からつまみ食いの防止まで、ドタバタしたところもあるが今度はそうした失敗も無いようにしたい、と言うのも当然ありだ。とにかく、失敗したのならばそれを取り戻したい、うまくいったのであれば、もっとうまくやりたいというのは何であれ重要なモチベーションである。
 今、こうして仲間達でシュトーレンを食べて笑い合っている、小さな幸福。その積み重ねが未来につながり、また次のシュトーレンを作る時期まで続いていく。今こうして残したレシピをそのまま使うのか、更に発展させていこうとするのか、それはその時になってみなければわからない。ただ、成功も失敗も関係なく、今こうして未来に続く思い出を残していることが重要なのだ。
 シュトーレン1つ取っても、色々なドライフルーツの味がするし、今回のように和風に仕上げるといったレシピもあるのでその味は甘いだけでなく実に多種多様だ。その味の1つ1つが個性であり、思い出の味である。
 支部長は労をねぎらいたい、という一心で企画したイベントではあるが、こうして見てみるとそれだけに収まらない重要なものとしてとらえることもできる。たかがお菓子、たかがイベント。されどお菓子、されどイベント。
 幾分遅くなってしまったクリスマスの風物詩に、それが繋げていく可能性を持つ未来に、エージェント達は何を思うのだろう? それが何であれ、今はただ甘く優しい時間を心から楽しんでくれることを祈るばかりだ。
「よし、載せたい内容が多すぎて少し時間がかかってしまったが、SNSもブログもこんなものだろう。では少し遅い気もするが、最後にこのメッセージだけは外せないな!!」
 そう言って、それぞれにシュトーレンを本来食べる時期に合わせた、少しばかり遅い気もするメッセージをブログとSNSに書き込んだ。
『メリークリスマス』

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 断罪者
    凛道aa0068hero002
    英雄|23才|男性|カオ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • 雨に唄えば
    烏兎姫aa0123hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 久遠ヶ原学園の英雄
    不破 雫aa0127hero002
    英雄|13才|女性|シャド
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • 分かち合う幸せ
    リディア・シュテーデルaa0150hero002
    英雄|14才|女性|ブレ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • 赤い日の中で
    スワロウ・テイルaa0339hero002
    英雄|16才|女性|シャド
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 戦うパティシエ
    ヘンリー・クラウンaa0636
    機械|22才|男性|攻撃
  • ベストキッチンスタッフ
    片薙 蓮司aa0636hero002
    英雄|25才|男性|カオ
  • 希望の守り人
    ルーシャンaa0784
    人間|7才|女性|生命
  • 絶望を越えた絆
    アルセイドaa0784hero001
    英雄|25才|男性|ブレ
  • 炎の料理人
    鶏冠井 玉子aa0798
    人間|20才|女性|攻撃
  • 食の守護神
    オーロックスaa0798hero001
    英雄|36才|男性|ドレ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • もふもふは正義
    泉興京 桜子aa0936
    人間|7才|女性|攻撃
  • 美の匠
    ベルベット・ボア・ジィaa0936hero001
    英雄|26才|?|ブレ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
    獣人|14才|女性|生命
  • 私はあなたの翼
    九重 依aa3237hero002
    英雄|17才|男性|シャド
  • 天秤を司る者
    キース=ロロッカaa3593
    人間|21才|男性|回避
  • ありのままで
    匂坂 紙姫aa3593hero001
    英雄|13才|女性|ジャ
  • 家族とのひと時
    リリア・クラウンaa3674
    人間|18才|女性|攻撃
  • 友とのひと時
    片薙 渚aa3674hero002
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • サクラコの剣
    メテオバイザーaa4046hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 暗闇引き裂く閃光
    大門寺 杏奈aa4314
    機械|18才|女性|防御
  • 闇を裂く光輝
    レミ=ウィンズaa4314hero002
    英雄|16才|女性|ブレ
  • 悪食?
    逢見仙也aa4472
    人間|18才|男性|攻撃
  • 死の意味を問う者
    ディオハルクaa4472hero001
    英雄|18才|男性|カオ
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 新米勇者
    葛城 巴aa4976
    人間|25才|女性|生命
  • 食いしん坊な新米僧侶
    レオンaa4976hero001
    英雄|15才|男性|バト
  • エージェント
    斉賀 麻衣佳aa5060
    人間|11才|女性|防御
  • エージェント
    ブルトガングaa5060hero001
    英雄|13才|女性|カオ
  • さいきょーガール
    雪室 チルルaa5177
    人間|12才|女性|攻撃
  • 冬になれ!
    スネグラチカaa5177hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 鎮魂の巫女
    天城 初春aa5268
    獣人|6才|女性|回避
  • 天より降り立つ龍狐
    辰宮 稲荷姫aa5268hero002
    英雄|9才|女性|シャド
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