本部

2017 御秋祭

玲瓏

形態
ショートEX
難易度
易しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
11人 / 4~15人
英雄
11人 / 0~15人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/12/07 18:48

掲示板

オープニング


 ニ〇十五年、ニ〇十六年と密かに開催されている御秋祭は今年も開催予定だ。街の人が地元の豊穣の神様に感謝する一日。御秋祭にはHOPEで活躍するリンカーも参加してくれる、という事で滅多に接点のない一般市民がリンカーに触れ合う良いチャンスでもあるのだ。
 ヒーローに憧れる子供たち、祭りの雰囲気を楽しみたい大人達どの世代も楽しめる良いお祭りになっている。
 昨年は準備段階からリンカーに手伝ってもらっていたが、今年は人手が余る程に足りている他、リンカー達も忙しく準備は市民たちによって行われていた。だが勿論、リンカー達の出店は歓迎されている。今年もがおぅ堂は来てくれるかな?
 一年立てば背景も人も変わる。昔の自分を思い出しながら屋台を歩き回るのも醍醐味だろう。
 さて、今年の御秋祭は例年と変わらない屋台で進められていたが今年は一味工夫を入れてみようと町内会同士の話題で持ち上がっていた。そこで主催者の坂山が提案したのは「ステージ」の登場である。
 木の板と祭りらしい装飾のステージで、例えば劇をやってみたり楽器を持ち込んで演奏してみたり。漫才や、大喜利をやってみたり。今までは屋台を楽しむだけで終わっていたが、今年はステージを見ながら屋台も楽しむという形で進みそうなのだ。
「何よりも大事なのは、誰でもステージに立てるっていう気軽さよね」
 坂山は毎年お世話になっている会長、中里(なかざと)と相談していた。
「そうだなぁ。坂山はどのようなステージにしたいんだ?」
「御秋祭の今の良い所はリンカーと市民が気楽に触れ合える点だと思うの。それ以外にも、戦いに疲れた人達の憩いの場でもありたいと思う。現実に疲れた皆の、一日限りの夢みたいな」
「ロマンチストだな」
 中里会長は口角を吊り上げながら煎茶を口にした。
「ロマンも大事よ。……それで、ステージはもっと市民達と気軽に接することができるというか、距離感を縮められるというか、うーんなんて言えばいいのかしら」
「知らずの内に我々市民はリンカ―達を神格化している。ステージ上の彼らはありのままの姿を反映できるから、市民も親近感を持てるという話じゃないのかい」
「そう、それよ。親近感。それと単純に、自分の友達がステージの上でなんかしていたら面白いし、楽しめるはず。だからステージを置きたいの」
 続いて坂山も煎茶を口にした。暖房のついた室内は暖かく、煎茶は体を内側から温めてくれて寒さを忘れさせていた。美味しさと暖かさが同時に入り込んでくるのだ。
「で、気軽さをどう演出するんだ。皆の注目の的になるような場所だ。皆が遠慮して出場者無しになったら悲しいのは自分だし、費用の問題も出てくる」
「会長、まだ若者の私がこう言うのもなんだけど、やってみなくちゃ分からない――よ。お祭りの来場者数が仮に三百人だとするわ、皆が皆遠慮がちだとは思わない。だってスターになれるチャンスなのよ。チャンスを掴んでくれる人もいるはず。理想論だけれど、会長の言った通りに参加者数がいなかったら来年は廃止すればいいだけよ」
「そういえば君はチャレンジャーだったな。分かった、やれるだけやってみるといい。結局責任を負うのは君だからな。とはいえ、少しくらいは手伝うが」
「お願い。よーし、やる気出てきたわ。それじゃあ会長、色々計算とかよろしくね。会場に行ってくるわ」
「寒いから気をつけてな」
 坂山は鞄を持って玄関から表へ出た。肌を劈くような寒さが染みるが、会場まで行かないと。
 今年もまた、楽しい御秋祭になる予感がする。いや、そうなる。今年はどうやら寒いみたいだから、暖かい屋台が混み合いそうだ。

解説

●目的
 楽しみ、祭り会場を存分に盛り上げる。

●全屋台

・食べ物系
「焼きそば・たこ焼き・ホットケーキ・たこなし焼き・きゅうり・焼き鳥・イカ焼き・べっこう飴・サイコロステーキ・ポップコーン・綿菓子――」
「マシュマロ焼き・ポテトチップス直火・薩摩芋・焼きりんご・アップルパイ・焼きトウモロコシ・お餅・白米・じゃがバター」

・飲み物系
「果物ジュース・酒・カクテル(自由に調合可能)・ハイボール・ワイン等」

・遊戯系
「輪投げ・スーパーボール掬い、スーパーボール作成体験・射的・くじ引き」

・輪投げ景品一覧
特賞:音楽プレーヤー、パンダのぬいぐるみ、クマのぬいぐるみ。
 賞:ドリンク券
参加賞:駄菓子

●お祭りの目的
 本来のお祭りは秋の豊作を祝って、神様に感謝する物ですが、時代が立つに連れて段々と「交流」をメインとなってきました。
 これを切っ掛けに、今まで話したこともなかったエージェントと仲良くなれればなと思っています。更に友情、愛情を深めるのも一手です。
 何処を誰と回るか、どのようにして遊ぶかなどを相談して決められれば良いのかなと思います。
 また、今年はステージという舞台があります。もしよかったらですが使ってくれると嬉しいです。劇や、楽器演奏等を想定してますがどんな物でも構いません。思いつけば是非! 参加お待ちしてます。
 劇をやって頂ける場合ですが、設定等を考えて頂ければシナリオや台本はこちらで準備します。勿論、オリジナルのシナリオでやりたい! という場合も歓迎です。お待ちしてます。

●ゲスト
 呼んでほしいNPCがいれば坂山が呼んでくれるかも……?

●投票箱
 今年も祭りの出入り口には投票箱と用紙があり、そこには感想を書く欄と「来年もまた、御秋祭に参加したいと思いましたか?」という質問に答える欄があります。良ければご記入ください! ダメだった点、良かった点も感想に書いて頂ければ幸いです。

リプレイ


 沈む夕日が密かに暖かさを残しながら御秋祭を眺めていた。一週間前から続いていた準備は当日の昼に全てが終わり、開場を待ち切れずに子供達は公園の中に入って走り回り遊んでいた。お祭りで知り合った兄ちゃんと話したり、つまみ食いを試みてお叱りを受けたり。この時間の子供達は忙しいのだ。
 お祭りが始まると途端に人の足は増えて、始まって十分すると多くの人達が開場に集まっていた。
 一つ、屋台に逢見仙也(aa4472)の顔が見えた。彼は英雄ディオハルク(aa4472hero001)と協力してソース焼きそばを作っていた。氷の入った籠に詰められたジュースの販売も兼ねている。王道の具を使った王道の焼きそばだ。屋台にも大きく王道を征くと書かれているくらい。
「焼きそば二つね。値段は八百円な。ディオ受け取っといてくれ」
 浴衣を来た人々の列が出来ている。
 逢見の作る焼きそばは実によく、人を惹き寄せる。逢見は前日から練習を重ねていた。何度も試行錯誤を繰り返して、味と香りを極めたのだ。焼きそば職人の一歩を踏みしめたと言っても過言ではないだろう。
 ――そら味も大事だ。だが売上稼ぐなら香りも重要。焼いたタレの香り、胡椒などは大事だろう。
 ディオハルクの助言が今の焼きそばを作っているのかもしれない。焼きそばからは塩梅の良いスパイシーな香りと、ソースと野菜類の香りが広がる。
 香りは人を惹き寄せる。食べ盛りの子供達が威勢よくお小遣いをディオに差し出していた。
 お金を出した子供達の後で、リオン クロフォード(aa3237hero001)が焼きそばを二つ注文した。
「焼きそば二つお願いしようかな」
「二つな。なんか入れて欲しくない具とかはあるか?」
「特にないな。……あ、後でヒーローショーをやる予定なんだ。もしよかったら見に来てくれると嬉しいな。お客さんは多い方が盛り上がるし」
「ああ、そういえばステージがあるんだったっけか。ディオ、後で席外してもいいよな?」
 子供に缶ジュースを売っていたディオは横目で逢見を見て小さく頷いた。
「よかったよかった。開演は七時だ、お楽しみに」
「しっかりやれよ」
 パックに詰められた二つの焼きそばと割り箸を受け取ったリオンは人混みの中に溶け込んだ。
 公園には太い幹の木が幾つか育っている。子供大人に拘らず寄り添える憩いの木だ。藤咲 仁菜(aa3237)に木の側で待っているように言われて従順に空を見上げていた彼女は、良い香りに魅せられ正面を向いた。
「お待たせ。星は見えたか?」
「ううん。やっぱり都会に近いと見えないのかな」
 焼きそばを渡す前に、一つ渡し損ねていた物を先に差し出すことにした。それは星の書と呼ばれる魔法書なのだが、しかし普通の星の書とは変わっている。
「はい、ニーナ頑張って!」
 本を律儀に受け取った藤咲は目を丸くした。
「魔導書が可愛く改造されてる……!? リオン、私お祭り行こうとしか聞いてないよ……!?」
「今日はショーで広場を俺達が盛り上げる予定になってる。大丈夫、衣装も舞台も取り揃えて準備万端だ」
 藤咲困惑中。
「ニーナ、俺達は敵を倒すだけが仕事じゃないと思うんだ。子供達に夢や希望を見せるのも大事な仕事だよ!」
 リオンは藤咲の肩に片手を乗せて、大真面な声音で言った。真摯に目を合わせる。
 すると困惑していた藤咲もすぐに気を持ち直した様子。
「……そ、そうだね。わ、私達でも誰かに夢や希望を見せれるなら……頑張るしかないね!」
 昔、藤咲はデパートの屋上で魔法少女のショーを見た。今でも思い出せるのは、その姿が憧れになったからだ。彼女に多くの夢を与え元気を贈った。今度は自分が、今お祭りに来ている皆に与える番なのだ。
「焼きそば欲しいな。本番までにエネルギーを蓄えておかなくちゃ」
「その意気だ」
 会場には多くの子供達が訪れている。全員に、までとは行かなくても多くの子供達にあの時の感動を味わえてもらえたら。


 リニューアルした御秋祭に携わってから今年で三回目の木霊・C・リュカ(aa0068)はしみじみ歩いていた。去年と比べて音や、香りや自然は何も変わらない。ただ変わっているのは子供達だった。お祭りでしか会ってないが、何となく覚えている子供もいるのだ。子供にとっての一年は長く、心身ともに成長するには十分な期間なのだ。
「1年過ぎるのが早くて嫌になっちゃうね、これは歳かなァ」
 リュカの零した声は、オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)が掬った。
「……変わらず毎年来るものがあるのも、得難いものだと思うぞ」
「そうかな。フフ、確かにそうなのかな」
 大人になると一年は早い。子供の頃がバスだとしたら、大人は新幹線だ。更に年月を重ねると、多分飛行機だろうか。
 どの乗り物にも停車駅がある。毎年駅の名前が変わる時もあるが、同じ名前の駅も幾つかあるだろう。それでいて同じ乗り物に乗っている友人達と降りて楽しむのだ。
「今年はステージがあるみたいなのですよ。センジュが演奏するので、楽しみなのです!」
 紫 征四郎(aa0076)はリュカの手を引いて無垢にはしゃいでいた。すっかりお祭りの盛える雰囲気に溶け込んでいるのだ。
「せーちゃんも出てみなよ。舞台で活躍している所、お兄さん楽しみたいなあ」
「征四郎がですか?! え、えーっと……ユエリャンが手伝ってくれたら出ます!」
 三人と歩きながらポップコーンを口にしていたユエリャン・李(aa0076hero002)は、征四郎の言う手伝いが要するに共鳴だと解るまでに時間はかけなかった。角ばった箱の中に入ったポップコーンを一つ摘んだユエリャンは紫の口元に近づけた。
「それは構わないが、一体何を披露するつもりだろう?」
「ええっとその」
 口元に運ばれたポップコーンを一口で頂く。味はバター醤油といったところだ。
「子供も大人も知っている曲をちょっとアレンジして、一緒に歌おうかと思っているのです。リュカも一緒に歌ってくれると嬉しいのですよ」
「思ったよりせーちゃんもノリノリだったみたい」
 乗り気も乗り気だ。どれくらいノリノリだったかと言えば、紫は事前にマイクとキーボードを舞台裏に準備しているくらいノリノリだ。
「歌うまでにエネルギーを蓄えるのですよ! さっき美味しそうな焼きそばがあったので、それを食べにいくのです」
 四人ともお祭りを楽しむための要素、衣装も丁寧に準備してきてくれている。リュカはもこもこした浴衣と羽織で身を覆い、オリヴィエは深緑の浴衣だ。帯につけている金木犀のピン留めが目を集める。季節は少しだけ通り過ぎてしまったが、少し前の秋を思い出させてくれるのだ。
 紫はリュカと同じように浴衣と羽織の衣装。祭りの灯りに照らされて美麗さが際立っている。女性の浴衣を着こなしているユエはカクテルを販売している屋台を見つけて、ジントニックを片手に月明かりと共に頂いていた。味は安っぽくなく、市販されている物と同じものの様子。
「おや、あれは伊邪那美か。彼女らも来ていたのだな」
 べっこう飴と見出しのついた屋台に御神 恭也(aa0127)と伊邪那美(aa0127hero001)のペアが並んでいた。二人を見つけた紫は御神の名前を呼びながら早足で駆けつけた。
「おお~。今年もまた揃ったね」
「また揃ったのです! あ、伊邪那美もポップコーンを食べてるのです、それは何味ですか?」
「キャラメルだよ。一つ食べる?」
「あ、じゃあ征四郎のと交換こするのです。征四郎のはバター醤油味なので!」
 塩のものを食べていた後だからこそ甘味が尚更広がって、キャラメルがいつも以上に美味しく感じる。伊邪那美もまた、甘さが支配していた味覚の中に入ってくるバター醤油に、味が一新されるものだ。二人とも目を合わせて「おおっ」と感動していた。
「恭也ちゃん、これを伊邪那美ちゃんに渡してもらえるかな」
「これは……」
 可愛らしい動物の絵が書かれた封筒をリュカは御神に手渡した。
「お兄さんからのプレゼントっ。お小遣いだよ」
「……ついさっき伊邪那美に渡すお小遣いを増やしたばかりだからな」
「まあまあ、いいじゃないの。伊邪那美ちゃんに精一杯楽しんでもらうためにさ。せっかくのプレゼント、受け取ってくれないとお兄さん寂しいなぁ」
 べっこう飴の順番が少しずつ近づいてきている。御神はひとまず封筒をポケットの中に閉まった。紫と楽しんでいる所に割り込んで水を差さないためだ。
「そういえば恭也ちゃん。前回はべっこう飴の担当だったよね」
「ワーカーホリックだ」
「ああなるほどっ。やっぱり気になっちゃうんだね」
 気づけば話に参加していた紫が、ふとこんな事を口ずさんだ。
「キョウヤはもうコスプレはしないのですか?」
「コスプレ?」
 伊邪那美が小さく笑った。
 昨年はくじ引きの屋台でホッケーマスクとボロボロの革ジャンと玩具の鉈が当たったのだ。伊邪那美にそそのかされて殺人鬼の格好をしながらべっこう飴を売っていた。物好きの大人やからかう子供達が引き寄せられてきたから、客寄せにはなったのかもしれない。
「今日は持ってきてないからな……」
「勘違いされて攻撃されても困るしね~。面白かったけど」
 順番が回ってきて、御神は至って普通の丸いべっこう飴を注文。
 飴を作ってくれている店主は眼鏡をかけた若い青年だった。人が良さそうで、鉢巻を撒いて器用な手先で御神の要望を叶えようとしている。ちょっとした好奇心で、オリヴィエは彼の手先をマジマジと見ていた。
「一週間前から練習してたんですけど、結構難しいですよね、これ」
「そう、なのか」
「はい。こう、丸くするだけでも結構集中しないとだめで。職人さんに憧れるなぁ」
 謙遜しながらも丸い飴はしっかりと出来上がっているではないか。しっかり、丁寧に作られている。
「――そういえば、七時からステージで出し物があるらしい。俺の友人も出る……から、お客に、伝えてもらえるか」
「分かりました。ではご友人に頑張って、って伝えといてくださいね。僕は見に行けませんが、良い劇になる事を祈っております」
 御神の飴が完成すると、伊邪那美は剣の形をした飴を三つ注文して、完成品をオリヴィエと紫に一つずつ渡した。
「俺に?」
「うん。どっちかっていうとオリヴィエは銃だけど、たまにはいいよね。よーし、勝負だーっ」
 人間の人差し指くらいの大きさの飴本体を、伊邪那美はオリヴィエの飴に当てた。なるほど、剣闘士の戦いか。
 戦いが終わると、ユエリャンは飴を食べるオリヴィエの横に並んだ。
「オリヴィエは三年目か。案内を頼まれてはくれるかね?」
「分かった。何が食べたいとか、言えば、案内する」
「頼りになるな」
 ユエリャンはカクテルを飲みたいと提案した。オリヴィエはリュカに一言断ってからユエリャンをお酒売り場へと案内した。昨年と位置は変わってないからすぐに分かるのだ。
「今日は随分綺麗にしているな。似合っているとも、流石は我が子だ。然して、君が見せたかった相手は今日は来ておらぬと見た」
 カクテルを片手にユエリャンが言った。オリヴィエは驚いて目を合わせた。
「相手は知らぬし、追求もせぬ。君はその感情を、大事にするといい」
 何かを言わなければならない。何を言えばいい? オリヴィエは俯いて、ただ一言呟いた。
「……、……あり、が、とう」
 一言だけだと物足りない気がして、もう一つだけ。
「……ゆ、ユエ、も、似合ってる」
 ユエリャンは笑って、「ありがとう」と呟いた。



 ヒーローショーの時間が近づいてきた。司会役を担った不知火あけび(aa4519hero001)がマイクを手にして、喧騒に負けないくらいの声量で呼びかけた。
「道行く人にご連絡ー! さあさあヒーローショーがもう少しで始まりますよ! 立ち見歓迎、参加歓迎何でもアリ! 多分ここだけしか見られないヒーローショーを是非、とくとご覧あれー!」
 なんだなんだ。毎年祭りに参加していた市民達や、初めて参加する市民問わず興味本位でステージ前で立ち止まった。用意された三十個ほどの椅子は少しずつ埋まっていく。
 ステージは台形の形になっていて、左右と観客とは反対側に位置する箇所に坂が出来ている。舞台の両隣には黒いカーテンで包まれた舞台裏がある。
「ただいま準備中です!」
 本番前に舞台裏を特別にご覧いただこう。

 ――フームお祭りか、懐かしいな兄者よ。
 ウム、そうだな弟者よ懐かしいお? メッチャ悪戯したお!
 ポイ摩り替えて金魚掬い無双したり、射的で改造したコルク弾使ったり……で、バレで怒鳴られたんだよな。
 ゲンコツも喰らったお。
 しかしこういう平和も良いよな兄者。元の世界じゃ退屈してたけど、失って初めて気付くってな。
 そーゆーのは良いお、ところで弟者よ、懐古厨するなら……。
 ドンッ。
 いっそ子供ごころに返ってヤッちゃうかお? モチのロン、大人流にっと。
 …………OK兄者。お祭りだからね、多少はいいよなっと。
 OK、攻略開始だ。


 大自然を感じさせる風の音楽が奏でられ、照明が少しだけ弱くなる。
 舞台の左から一人の少女が現れた。
「この祭りのお料理、実に美味しいとは思わないかね遊夜よ」
 少女の後ろから紳士服を来た男が現れた。まるで魔法のように現れたもので、子供達が一斉に「おお」と声を出した。
「ええ実に、優雅さとは程遠いとは思いますが完成された味だとは思います。美味さを追求した一品……いやはや、お嬢様のお口に合うかは分かり兼ねていましたが、ご満足いただけたならば何よりです」
「しかし量が少ない。遊夜、私の気に入ったこの焼きそばとたこ焼きを買い尽くしてくるのだ」
「畏まりました」
 執事はシルクハットを脱いで少女に一礼すると、また魔法のように姿を消した。執事が戻ってくるまでの間、少女は腕を組みながらステージをグルグルと回っている。何も言わずに上品に歩いていた彼女は、やがてイライラした口調でこう言った。
「いつまで隠れておるのか」
 少女が誰かに向けて呼びかけると、頭から耳の生えた二人の青年が少女の真下、床の中から飛び出してきた。
「良いアングルだったのにバレちゃったかお」
「バレバレだ。して兄弟よ、二人も祭りを楽しみにきたのか」
 兄弟は同時に頷いた。
「今日はとっておきの秘密兵器も用意してきた。な、兄者」
「望月のお嬢さんも楽しめる一品を用意してきたお! 大盛り上がり必須だお!」
「ふむ。それじゃあ楽しみにさせてもらおうか」
 時を同じくして。
 舞台袖から執事が戻ってきた。彼は何人もいる妖精を操って何枚もたこ焼きや焼きそばを持ってきていた。数はおそらく、百個は超えているだろうか。抜群のバランス感覚を使い、執事はいとも容易く多くを持ってきたのだ。
「おお、よく持ってきたな遊夜よ。それじゃあ早速一つずつ頂くとしよう」
 少女は箸を手にして妖精から容器を受け取った。そしていざ暖かいそばに口をつけようとした途端、兄が待ったをかけた。
「望月のお嬢さん、ちょっとあっちを向いてもらってもいいかお?」
「うん?」
 焼きそばに向けていた視線を、今度は客席に向ける。兄は言葉を続けた。
「望月のお嬢さんのロリ――食べっぷりを見たくこんなにギャラリーが集まってきたお。ここで一つ、大食い対決をしてみるというのはどうかお」
「名案だな兄者。折角の祭り、ただ食事をするだけでは物足りないというもの」
「ふむ。兄弟もたまには良い事を言う。遊夜よ、では誰か一人を連れてくるのだ」
 執事は客席を見渡して、背が大きい子供とその父親に手招きをした。
「僕、お名前は?」
「藤原明夫です」
「明夫くんか、お父様のお名前は」
「文哉です」
 二人とも礼儀正しく執事の問いに答えた。すると弟が舞台から客席へ降りて二人を舞台袖へと誘導し始めた。
「しかし遊夜よ。相手はただの一般人ではないか。このままじゃワタシのワンサイドゲームで終わってしまう」
「ご安心を、お嬢様。しっかりと興は用意してありますから」
 ステージへとやってきた藤原父子。弟が割り箸を手渡した。
「さて二人とも、ルールは簡単だ。ワタシとの大食い対決に勝てば良い。楽しませてもらうぞ?」
「う、うん。お姉さんでも、あんまり食べなさそう」
 子供にしては言いおる。少女は明夫クンの髪をワシワシと乱した。
「人は見た目にはよらないのだぞ? さあいざ尋常に勝負だっ」
 ゴング音が鳴って三人は一斉に食べ始めた。
 観客席から、「ヤバいヤバい、望月お嬢さんメッチャ食べるじゃん」との早速絶望的な声音が聞こえてきた。望月は余裕綽々と平らげていくのだ。父子も負けていられない。二人で頑張るぞ、頑張るぞと言い合って胃の中に詰め込んでいく。
 藤原クンらの友達だろうか、声援が聞こえてくる。
 しかし五分も経つと二人のスピードが落ちてきた。対決は良い勝負をしていたが、ついに少女が二人を追い抜いた。
「もう無理だよ~」
 明夫クンは笑いながらそう言う。少女は箸を止めて少し不満足そうにしながら言った。
「やっぱりワタシの圧勝か。遊夜、どうなっているのだ。このままだと興醒めで終わってしまうではないか」
 執事は押し黙ってから深く息を吐くと父子の肩を叩いた。
「ギヴアップなされるのですね?」
「もうお腹いっぱいですね、僕も明夫も」
「そうですか……」
 執事は兄弟に目で合図を送った。意図不明の空気が流れる、観客は何が起きるのかステージを見守っていた。
 舞台袖から兄弟が戻ってきた。しかし戻ってきたのは二人だけではない。三人だ。もう一人は長く綺麗な金色の髪をして、白いドレスを着たお姫様だ。
 お姫様は兄弟の手によって捕えられていた。
「誰か助けてください!」
「藤原さん。お嬢様に勝たなければあちらのお姫様が、タイヘンな目に遭うのですが」


 劇が始まってから屋台には人が減った。ディオハルクは一人でポツポツ焼きそばを律儀にも焼き続けていた。
「こんなトコで何してんだか」
 ふと我に返って周囲を眺めてみる。人数は減ったが、屋台には人が来続けている。休憩するタイミングはあるが、彼の経営する焼きそば屋の人気は滞りない。逢見は観劇に勤しんでいるために席を外す訳にもいかないから、休憩といっても椅子に座る程度で終わる。
 今は一組のカップルが一つ焼きそばを注文して舞台の方向へと歩き去った。列も途絶えたからと、大きく背伸びをして椅子に座る。長い間鉄板と隣合わせにしていると汗も頬を伝うものだ。冬に近づいているとはいえ。
 一息つくと再びお客さんだ。
「二つほど頂ける? お疲れの所ごめんなさいね」
 アルヴィナ・ヴェラスネーシュカ(aa4969hero001)はおっとりした笑みを浮かべて屋台に座るディオハルクを覗き込んでいた。
「商売だからな。ウダウダ言ってらんねえさ」
 油を敷いてから新鮮な側と野菜を掴んで鉄板の上に落とす。
「劇が始まってからこっちは少し寂しくなってきたわね」
「祭りでヒーローショーってのも珍しいからな」
「確かに。このお祭り、少年が多いからヒーローは人気者になりそう」
 話している間に品が完成して、お金と交換して引き渡した。そろそろ焼きそばの在庫も無くなりそうだから、近いうちに屋台の名前を変えなくてはならないだろうか。品切れになった時のためにステーキ串の準備は整っているのだ。
 アルヴィナが席に戻り、束の間の休息……という訳にも行かない。お祭りの屋台は案外忙しいものだ。週末の居酒屋は多分、こんな模様なのだろう。
 今度のお客さんはディオハルクの顔見知りであった。
「お前達も参加してたんだな」
 知り合いの日暮仙寿(aa4519)の姿だ。
「手伝いでな。二人はお客人か」
「私はお客人兼司会者だけどね。さっき私の声聞こえてこなかった?」
「聞き覚えのある声だと思った」
 二人が頼んだ分で丁度焼きそばはなくなった。参加者のほとんどに行き渡っただろう。次はステーキ串の出番だ。焼きそばと違って串焼きはまた方法が変わってくるからと、頭を切り替えなければならない。
「あれ、そういえば仙也は?」
「劇を見に行ってると思うぞ。ったく、色々と俺に押し付けやがって」
 ――あまり遠くまで行って問題起こすなよ?
 とは言ってあるが、どこまで聞き入れてくれるか。
「へえ~。あのさ、八時くらいに仙寿様がヴァイオリンを弾いてくれるんだ。後坂山さんがピアノを弾けるみたいだから、一緒にセッションもするんだって! もし屋台を空けられたらおいでよ。こういう時じゃないと聞けないよっ」
「そうだな。考えておく」
 ステージの方から歓声が聞こえてきた。盛り上がるシーンに入ったのだろう。と同時に女性の悲鳴らしき物も聞こえたが、一体何が起きているというのだろう。



 大食い対決に勝たないと見ず知らずのお姫様が犠牲になる。しかし、もうお腹は一杯だ。これ以上食べるとお祭りで焼きそばしか食べられなかった思い出しか残らなくなる。父と子はどう状況打破すればいいのか考えた。
 少女は熱いたこ焼きを一つ箸で摘んで明夫クンの口元に近づけた。
「ほら食え」
 この残虐な少女は強引に食べさせようとしているのだ。美味しそうな香りはしているが、既に空腹の調味料は消し飛んでいる。それ以上にたこ焼きがあつそうで中々口を開けない。さあどうする明夫クン!
「そこまでよ!」
 声高らかに響き渡る透き通った声。少女は声の主を探した。顔を上に向けても左右に向けても、下に向けてもいない。ではどこにいるのだろう? 
 その時、何かが木の上から飛び出してきた。その者は光輝くミルフィーユに乗ってステージの中央に舞い降りてきた。
 大きいミルフィーユ。
「誰だお前は!」
「魔法少女マジカル☆ミルフィー! 甘~いお菓子で皆の幸せ守っちゃうよ!」
 リボンのついたウサ耳、ニーハイソックスとふわりとしたミニスカート。
「……ホントに誰だお前は」
「私の名前も知らないとはまだまだ甘いね! 屋台の焼きそば達を買い占め無垢な子供を虐めてお姫様を攫った悪の少女、望月……! 今から貴女を甘いスイーツに変えちゃうんだから!」
「フフ、やはり祭りとはこうでなくては。しかしおまえ一人で何ができるというのだ」
 執事と兄弟、二人が態勢を整えていた。やろうと思えばいつでも。特に兄の目が輝いていた。
「あなた達の相手は一人だけじゃないわ!」
 再び、どこからともなく声が鳴った。少女は大袈裟に舌打ちしながら周囲を見渡した。今度はどこだ?
 すると観客席に座っていた一人の少女が立ち上がって、高く跳び上がってステージへと降り立った。その身のこなしから、客席からどよめきが起こる。
「私は風の聖女……ユリナはあたしの親友なの! 何か変なことしようっていうなら、この風の聖女イピゲネイアが許さないんだから!」
「ユリナ? ああこの姫のことか。どうやら二人ともわたしの邪魔をする気満々なようだな。ふっふっふよかろう、二人ともまとめて焼きそばにしてくれるわ。ゆけ兄弟共!」
 兄弟はステージに落ちていた木の葉を拾って、息で吹き儚い模様を演出する。そして決め台詞と言わんばかりに、兄が静かに言った。やや低音ボイスなのが特徴。
「お嬢ちゃん、悪いこた言わねェ。やめときな。そのちっさなハートを――オレも傷つけたくはないのさ」
「兄者、建前はそれくらいにして本音は」
 木の葉が地面に落ちると同時に兄は薄く笑った。
「グェーヘヘヘ! 漏れのヨメにシテヤルゥー」
「OK兄者、あまり長引かせると尺不足になるからな」
 兄は両腕を広げてよくわからない表情をしてマジカルミルフィーに走り寄った。目標まで半径一メートルになった時点で兄は飛び上がり、上空から真っ逆さまに落下した。すると兄の落下地点に突然ショートケーキが現れて埋まった。
「まだまだぁ!」
 マジカルミルフィーは玩具の杖を懐から取り出して兄に叩きつけ、更に埋めていく。
「む、惨い……。兄者、今助ける」
 弟は水鉄砲を取り出して魔法少女の顔目掛けて発射した。見事命中、彼女が水を拭ってる間に兄を救出だ。救出された兄の上半身はほぼ生クリームに満たされている。
「助かったお……。窒息するかと思ったお……」
「ケーキで窒息するならある意味ラッキーかもしれないな。――兄者、そろそろ最終兵器を使うのは」
「そうだな弟者。ところでマジカルミルフィーちゃんには一体何をしたんだお?」
「ローションをかけといた。大丈夫だ、一般的な所で市販されてる奴だからタイーホの恐れはない」
 弟の言った通りマジカルミルフィーはかかった水を取るのに苦労していた。妙に滑らかなせいで地味に効くのだ。
 苦労している間に兄弟は舞台袖からバズーカ砲を取り出してきた。二人で重心を支えて、兄が後ろについた紐を引っ張ると、大きな音を立てて液体が発射された。
「きゃあ!」
 液体を浴びたマジカルミルフィーはなぜかさっきより肌に冷たい風が当たる感覚を得ていた。
 ってことは要するに。
 観客席から喜びの声が上がった。喜びといっていいのか分からないが、多分喜びだ。兄弟は客席の男子諸君に向けてガッツポーズ。絆が深まった。
「兄者さんの馬鹿ぁあああ! 焼き菓子になっちゃえ!」
 甘いスイーツが消えて、代わりと言わんばかりに黒猫が突然ステージ上に現れた。ちなみにマジカルミルフィーはこれ以上の滞在は色々と危険なため一度舞台袖に避難。
「あれ、弟者、これガチな奴かお?」
 弟者は黒猫に近づいて頭を撫でようと手を差し出した。すると弟者の手が燃えた。
「OK兄者、ガチな奴だ」
 か弱い少女の服を溶かした罪は重い。


 想像以上に劇に力が入ってしまったおかげで、紫は歌の練習をしていた。最初は席に座ってみていたのだが、次は自分の番だと思うと居ても立ってもいられなくなったのだ。なるべく人のいない所に一人でコソコソ抜け出して、まずは深呼吸して落ち着いて、喉を開けておく。最初は鼻歌で歌の世界に自分自身を引きずりこんで、徐々に口ずさむ。
 今日は皆が知ってる童謡を披露するのだ。日本の文化が育ててきた歌はしっかりと歌いこなしたい。その想いが紫を勇気付け、少しだけ自信も持たせた。無論、ユエリャンの共鳴なしでは舞台に上がれないが。
 一曲歌い終えると、後ろから変わった拍手の音が聞こえた。吃驚して振り返ると、犬型ロボットのスチャースが立っていたではないか。
「ス、スチャースもいたんですかっ」
 彼は後ろ足で立って、前足を叩いて拍手していたのだろう。
「一応、祭りの警備としてついてきてはいた。一人の人間が人気のない方へ駆けていくから何事かと思っていれば。歌が上手いんだな」
 二人が声を重ねるのは何ヶ月振りだろうか。些細な再会、そういえば御秋祭の醍醐味の一つであったか。
「劇を作った脚本家が思った以上に力を入れて作ってしまってな。もう少しだけ時間がかかりそうだから、ここで練習しているといい」
「分かったのです。そ、その、ごめんなさいなのですが集中できないので一人で練習したくありましてですね」
「うむ、わかっている。本番を楽しみにしている」
 そう言ってスチャースは四足歩行で賑わう会場へと戻っていった。
 些細な再会ではあったが、たまには悪くないだろうか。


 ――その後は風の聖女イピゲネイアが執事をグングニルを華麗に操って地面に倒し、先ほど兄弟が出てきた地面の穴の中に放り込むのだ。七人の妖精は散り散りに逃げ出してしまった。
 ――またまたその後は兄弟が観客に座ってる女性をホールドしたり、色々あって骨のなる音が聞こえ、人質のユリナが救助されてマジカルミルフィーが最後のトドメを入る瞬間。
「――なの、です」
 氷鏡 六花(aa4969)は綿あめを食べながら買い出しから帰ってきた日暮と不知火に粗筋を説明した。
「じゃあもう終盤かあ。どうなるのかな」
 演出や小道具から、ショーというよりは映画を見ているような気分にさせられていた。ツッコミ所しかないが、楽しむという目的は大いに達成される一品だ。
 おわりが近づく中、氷鏡はちらりと隣の席に座るナタリアを横目で見た。彼女はショーを見るのは初めてだと言っていたが……。
 彼女は口元が少しだけ緩ませながら物語に注目していた。

 兄弟はうちのめされ二人ともチョコレートケーキの中に上半身が沈んでいる。犬神なんとかとは言わない。
「堪忍しなさい、この大悪党!」
 ミルフィーは空を飛びながら杖を掲げていた。
「よかろう……。ここまで私を本気にさせたのはおまえが初めてだ。ふっふっふ、ならば代々何万年伝わる究極奥義を目に入れてしんぜよう――あ、待って食べすぎてお腹痛」
「させないわ! これでも食らいなさい――」
 話を聞いてくれないミルフィーが杖を上に上げた途端、会場全体に眩い青白い光が立ち込める。
「必殺、スイーツ☆ミラクルチェンジ!」
 綺麗な音色を響かせながら少しずつ光が静まる。最後にステージに現れたのは……。
 それは、天使のような姿になった少女であった。その少女は頭に猫耳をつけていて、先ほどの大悪党とは打って変わった姿になっていた。
「何だか幸せな気分ー、これからは正義の食とスイーツを愛する天使として生きるよ」
 こうして御秋祭には平和が戻ってきたのである。最後は全員登場して観客に一礼して幕が閉じた。
 サインちょうだい。と女の子が何人かミルフィーとイピゲネイアの所へと集まり始めると、小さなサイン会が始まった。
 舞台袖では藤咲、ウィリディス(aa0873hero002)を除く演者が休憩していた。
 入り口からオリヴィエが中に入ってきて、演者一人一人にサイコロステーキを配っていた。
「お疲れ。中々豪華なステージ、だったな」
「小人達を使って焼きそばを運ぶのは骨が折れたよ」
 麻生 遊夜(aa0452)は椅子に座って、観劇していたユフォアリーヤ(aa0452hero001)に肩を揉んでもらっている。麻生はステーキを頂くと、早速一口頂くことにした。
「美味い、流石に良いもんが揃ってるな……。ほら、リーヤも一つ」
 彼女はマッサージを少し中断して、空腹を誘うステーキを舌の上に乗せた。
「……ん、美味しい……やっぱりお肉、幸せ」
「まだ足りなさそうだな。俺達も休憩が終わったら屋台巡りを楽しむか」
 尻尾をブンブン振り回しながらユフォアリーヤは喜びを伝える。
 芝居で体を張った兄弟阪須賀 槇(aa4862)阪須賀 誄(aa4862hero001)の二人は坂山の介護を受けていた。
 包帯でグルグル巻になった足と腕。しかし兄弟の顔はどこか達観していた。すべてをやり遂げたような。
「ところで、どうしてそんな無茶をしたの?」
 微笑みが坂山の顔に表れる。
「漢として、成すべき事をしたまでだお」
「よくいった兄者。……ということだ坂山さん、オレ達は見た目痛そうだが大して問題ないから心配無用だ」
「ならよかったけど。っていうか、あの水どこから持ってきたのよ」
「企業秘密だお」
 悪用されたらとんでもない。あの液体は口を滑らせてはならないデリケートな話なのだ。
「ところで坂山さん、オレ達腕使えないからその美味しそうなサイコロステーキをあーんしてはくれないだろうか」
 もしこれも計算に入っていたならば、この兄弟は流石というべきか。いや、最初から流石であったか。


 次の公演が始まるまでに少しだけブレイクタイムとなった。氷鏡はナタリアとアルヴィナ、日暮と不知火を連れて五人で屋台を歩き回っていた。
「何か欲しいもはあるか?」
 日暮は四人の方を向いて訊いた。色々な屋台があって、皆すぐには決まらないみたいだ。
「私は焼き林檎にしようかなあ。ナタリアさんは何がいいですか?」
「買ってもらうだなんて、そんな厚かましいことは……。とても食べられない」
 ただでさえ、外に出られるだけでも有り難い事なのだ。それに加えて美味しい物を食べるなんて、贅沢が過ぎはしないだろうか。疑問の眼差しを不知火に向ける。不知火は笑ってこう答えた。
「美味しそうな物とか、沢山ありますよ! どうして食べられないんですかっ。折角の機会です、頂きましょうよう」
 どうして食べられないのだろう。美味しいものが、確かに沢山あるのに。自分に問いかける。
 沢山の人を見殺しにしてきて、その人達は美味しい物をたくさん食べられたはずなのに。なんて、この空気の中で言えるはずがない。氷鏡はナタリアと手を重ねた。
「……ん、大丈夫……です。立花も、今日はたくさん……食べます。立花は、一緒に食べたいと思って、ナタリアさんを呼んでもらったのです」
「そこまで言われると、断れないな」
「はい、もしダメって言われたら、すごく寂しかったです……から」
 祭りを根本的から楽しめていなかったナタリアは、不知火と氷鏡の手を借りて少しだけ祭りの中に入った。一歩手前に立っていた、それも一分前の話になる。
「仙寿さん、立花は……、アップルパイが……食べたいです」
「分かった。ナタリアはどうする?」
 そよ風がなびくような声音。ナタリアは日本の祭りに参加するのは初めてで何があるのかは分からなかった。周囲を見渡して、そこはかとなく気になった屋台を指差した。
「あれは、なんだろう?」
「マシュマロ焼きだな。それでいいか?」
「あ、ああ。それにしよう」
 日暮は氷鏡と同じアップルパイを、アルヴィナはホットケーキを頼んで、五人とも人気とは離れた場所で味わうことにした。祭り囃子の音や、子供達の笑い声が聞こえてくる中、静かに食事。冷たい風に吹かれながらも、祭りの温もりがすぐに暖めてくれる。
「わあこの焼き林檎すごく美味しい! 甘い……ほっぺたが蕩けるとはこの事……」
「……ん、すごく良い香りがします」
「香り通りの味だよっ。一口齧ってみる?」
「そ、それは、勿体無いので、大丈夫……です」
 ナタリアを説得していたから忘れていたが、日暮が買うことに氷鏡は最初乗り気ではなかった。お金を払ってもらうなんてとても、と謙虚になる彼女に日暮は――頑張っているから――と言ってアップルパイを渡したのだ。
「いいからいいから。あ、じゃあ皆で一口ずつ交換こしようよ。そしたら色んな味が楽しめていいでしょ?」
「……ん、それは良いアイデアかも、しれないです。皆で味を、共有するのですね。立花は、良いと思います。皆さんは、どうですか?」
 日暮はアップルパイを飲み込んでから首を縦に振った。
「俺は構わん。皆のやりたいようにするのが一番だ」
 日暮に続いて、ナタリアも頷いた。不知火は手始めにナタリアに林檎を近づける。一番最初は氷鏡だと思っていた彼女は困惑した。
「一番最初に、さあどうぞ!」
 私が最初なんて。そう言いかけた唇を閉じた。その言葉を飲み込んで、次に口を開けた時は林檎を小さく齧った。
「美味しいですよね!」
「……美味しい」
「ですよね! それじゃあ次は立花に~」
 食べ物交換は順調に進み、皆に等しく笑顔が生まれた。というのもアップルパイを千切って手渡す時に氷鏡の手に中身がついて大変だったり、ホットケーキの上にマシュマロを乗せてアップルマイの具も乗せたらすごく美味しいんじゃない? と実際にやってみたり。その一口は代表して不知火がご馳走したが、至福の顔に包まれていた。
「立花、頬にハチミツがついてる」
 ホットケーキを食べる時だろう。なぜか頬に蜂蜜がついていた。ナタリアはハンカチを取り出して、そっと拭いた。
「……ん、ありがとう、ございます。気づきませんでした……」
 氷鏡は照れながらも笑った。……最初は、本当にナタリアが来てくれるとは思わなかったから。そして、頬についた蜂蜜を取ってくれるとは思わなかったから。
 どこからか不知火の名前を呼ぶ声が聞こえてきていた。不知火が大きな声で返事をすると、声の主が姿を見せた。逢見だ。
「探したぞ。不知火、次の司会の仕事が来てるって。次は征四郎の演奏だ。急いで行った方がいいかもな」
「いっけない忘れてた! また後でね、皆! 征四郎の歌聴きにきてねー!」
 残された四人は一瞬見つめ合って、綻んだ。


 「さぁさぁ御立合い! 我らエージェントの妙技……」
 ステージでは紫が歌う前に、麻生のガン・ショーが始まっていた。ヒーローショーと生歌の繋ぎだ。空き缶の早撃ちという基本から始まり、客席の方を向いて――要するに空き缶に背中を向けて背後に向けてトリガーを引き、跳弾を使ってすべての空き缶に命中させる。佳境に入ると麻生はぬいぐるみを持ち出して壁の前に積み、その後ろにあるドラム缶を撃ち抜くのだが、突然弾丸がテレポートしてドラム缶だけを撃ち抜くのだ。麻生はぬいぐるみの五体満足を客席に披露すると、一礼して拍手喝采を浴びた。
 ヴォーカルの準備が整うと麻生はセットを片付けて、場所を紫に譲った。
 浴衣をステージに立った彼女は、始めにショルダーキーボードで開幕の音を奏でながら一礼した。そしてマイクを手にして一つ。
「こんばんは! 皆さん。私の名前はSEIと言う、以後お見知りおきを。さてさて、祭りも終わりが近づいている。このまま帰るのもいいが、ここにいる皆で良い思い出を残してみたいとは思わないだろうか」
 SEIは一人一人の観客の顔を眺めた。何人かの観客はうんうんと頷いていた。
「ではここで一つ、皆で歌でもどうだろう? 皆で一つの歌を完成させる楽しさは、今が一番味わい時だ。皆も良く知ってる歌だと思うから、一緒に歌ってくれてもいい。楽器を持っていたらこっちで弾いてくれても、手拍子だって構わない! 広いステージ、私が1人で使うのは勿体無いですし!」
 楽器に名乗りをあげる者はいなかったが、最前列にいた子供は今から発声練習をしている。歌う気は満々らしい。
「良い声をしているね。それじゃあ最初の一曲は……そうだね」
 ――小さい秋見つけた。
 ジャズ風味にアレンジされた一曲目が始まると同時に、彼女のゆったりとした演奏に合わせて観客の体も左右に揺れ始めた。ジャズ風味にアレンジされた一曲目
「綺麗な音だな、あれ」
 逢見は隣にいるディオハルクに言った。ディオハルクは本来ならば店番をしている時間だったが、町内会の会長中里が番人を交代してくれたのだ。ずっと働き続けていたから休憩するといい、と。
「そうだな。歌いはしないが」
 自分で焼いたサイコロステーキを一つ食べる。良い香りに延々と晒されていたから空腹の度合いが大きい。そんな中の最初の一口は、中々上品な味だ。
 歌が始まった。
 誰かさんが、誰かさんが。
 氷鏡の横で歌を聞いていたナタリアは、初めて聞く曲だから彼女が歌っているのを聞いていた。不知火も楽しそうに歌っている。二人が楽しそうに歌っている姿を見ると、歌いたくなるものだ。
 誰かさんが見つけた。
 誰かさんって誰だろう? なんて素朴な疑問はご法度だろうか。
 恐らく、観客の中でも上手に歌っているのは伊邪那美だろう。紫の声に合わせてハーモニーを奏でている。伊邪那美は最前列で紫と目を合わせてニコリと笑うと、彼女もまた釣られて笑う。
「オリヴィエも一緒に歌おう」
「俺は、聞いてる方が良い」
「歌うの楽しいんだけどなあ」
 歌いなよーと言っている間に曲が終わってしまった。たったひとつから始まった拍手がいくつにも重なって会場を鳴らした。
 次の曲は「虫の声」だ。この曲は今も鳴いている虫達と一緒に歌えるのだ。耳を澄ませばコオロギや、スズムシの声が聞こえてくるではないか。
 ただ曲が始まる前に、観客の一人が立ち上がった。
「次の演奏は俺も参加させてもらってもいいのだろうか」
 そこにはヴァイオリンを持った日暮がいた。紫は勿論! と大きく頷いて、二人が舞台の上に立った。次はヴァイオリンとキーボードの二重奏だ。
 生演奏を聞ける機会は少ないものだ。子供は楽器にはそこまで大きな興味はないだろうが、年配の大人達が二人に釘付けだ。
「さあさあ、一体どんな演奏になるんだろうね。じゃあ二曲目にいってみよう!」
 あれまつむしが、鳴いている。
「チンチロ、チンチロチン、チロリン!」
 あれスズムシも鳴き出して。
「リンリンリンリンリインリン」
 客席には行かず餅 望月(aa0843)と月鏡は遠くで、ただミュージックや歌声が聞こえる所で歌に参加している。望月と百薬(aa0843hero001)はマジカルミルフィーによって甘党に変えられたから、という訳ではないが綿菓子と食べていて一緒に歌うことができないが、代わりに鼻歌で参加だ。
「懐かしい曲だね~。なんとなく覚えてるものだなぁ」
「日本の文化の一つですね。何となく皆知ってる……。今思えば、それって不思議なことです」
 楽しく歌ってる所、どこからともなく酔っ払った若いお兄ちゃん二人が四人に近づいた。これは、怪しい雰囲気。せっかくの演奏中だというのに。
「ねえねえお姉さん達、今夜暇かい? 良かったら俺達とお茶してかねえ?」
 気安く手を伸ばすものだから、ウィリディスがその手を叩いてこう言ってやった。
「あ……あたしの親友に手を出すなぁっ! ゲエンナに落ちろっ!!」
「いってえ! そんな強く叩くことねえだろぉ、ってかゲエンナってなんだし」
「ゲエンナはゲエンナだから!」
「分かんねえよぉ。ってかぺったんこには興味ないの俺。そこの金髪のお姉さん狙いなの」
「あたしは普通にCあるから! 勝手にぺったんこ扱いしないで!」
「酔っ払ってるからよくわかんねえや。じゃあCのお姉さんでもいいや」
「早くどっか行きなさいー!」
 ウィリディスはシャドウフェイスをつけて脅迫。男除けの効果は抜群で、驚いた酔っ払いはどこかへと逃げていった。


 ステージはまだまだ終わらない。二重奏で演じられる虫の歌はより大きい拍手が鳴って、日暮と紫は二人で握手を交わした。
 続いては「紅葉」だ。
 曲が始まる前、再び参入者が立ち上がった。
「私も演奏に参加していいかしら。二人の素晴らしいセッションを聞いてたら、私もピアノで参加したくなっちゃって」
 その名も坂山。祭りの企画者であり、責任者でもある人間だ。
「勿論! サカヤマも、ステージの上へ!」
 グランドピアノが麻生とリオンの手によってステージに運ばれた。坂山が椅子に座ると、三人で目を合わせた。
 秋の夕日に照る山、紅葉。
 輪投げでゲットしたぬいぐるみを抱えていたユフォアリーヤは、ワンテンポ遅れて鼻歌でセッションに加わっていた。彼女も客席ではなく、少し離れた焼き鳥屋の屋台にいた。
「ほら、買ってきたぞ。こんなに食べて大丈夫か?」
 屋台から戻ってきた麻生は、多くの焼き鳥を両手で持っている。三桁の焼きそばを運ぶよりは簡単だ。
「……ん、大丈夫。次は、射的屋さん」
 射的屋につくとユフォアリーヤの瞳にハンターの灯火が宿り始めた。いらっしゃい、という店番のおじさんもまた、紅葉を口ずさんでいる。
「……ん、ふふ……ボクに当てれない、ものはないの」
「お、お嬢ちゃん自信満々だねえ。……全部を落とすのは勘弁してくれよ?」
「クスクス」
 事実、射撃の腕はそこそこある。嫌な予感がした麻生は焼き鳥を使って彼女を気を引く準備を怠らなかった。
 ピアノの軽快なリズム。ヴァイオリンの重厚ながらも優しさを忘れない音色、キーボードの心地よい主旋律が演じる音楽は人々の心を暖めた。曲が終わりに近づく頃には、最初は恥ずかしがって歌っていなかった子供や大人も、口を開いていた。
 そして静かに曲が終わりを告げると、拍手が三人を包んだ。
「皆歌ってくれてありがとう! 寂しいけど次が最後の曲になってしまうんだ。だから最後は、皆椅子から立って皆で歌おう。月に聴かせるんだ、私達の歌声を」
 ステージにはヒーローショーに出ていたマジカルミルフィーや、兄弟、望月達が上がっていた。ワンテンポ遅れて麻生、月鏡 由利菜(aa0873)、ウィリディスも横に並んだ。全員集合だ。
 司会の不知火もひょっこり参加している。
「さあ一緒にステージで歌ってくれる人達がいたら遠慮せず、共に歌おう! 曲名は……仰げば尊しだ」
 氷鏡は席から立ち上がって、ナタリアと手を繋いだ。
「……ん、ナタリアさん、仰げば尊しって、知ってますか?」
「聞いた事は、ある。日本語で歌った事は、ないが……。メロディは私の村でも」

 ――余談になる。
 ナタリアが知っている童謡が演奏されるのは偶然ではない。予め坂山がナタリアに、日本で知ってる曲はないかと尋ねていたのだ。彼女の口から仰げば尊しと言われると、坂山は祭りで演奏する最後の曲を決めるまでに時間はかからなかった。
 紫と日暮は二つ返事で了承してくれたのだ。

「じゃあ、一緒に……歌いに行きましょう。ステージの上に」
 坂山の考えに気付いたナタリアは悩んだ。何かの抵抗力が、ステージに上がらせる彼女の足を止めているのだ。
 だが氷鏡はその抵抗を簡単に、無くしてしまうのだ。
 ナタリアはゆっくりとステージの上に上がった。子供達に紛れて。
「皆で最後に歌おう。いくよ!」
 すると、舞台に輝く氷雪が舞い降りてきた。その雪は人を凍えさせず、震えさせない。後ろでは花火が打ち上がった。
 歌が始まった。それはそれは、とても、素敵な一瞬であったのではなかろうか。


 降りてくる演者達に、リュカは一人一人に拍手を届けた。
「とても素敵な演奏に舞台だったよ、お嬢さん方。ささやかだけど、花束代わりのできたてパイやたこやきをどうぞ!」
 といって、パイたこやきを全員にプレゼント。
「わあ、可愛いです。ありがとうございます」
 藤咲はパクりと一つ頂いた。その直後とても輝いたキラキラ顔をリュカに向けた。
 さて、祭りは本当に終わりの時間だ。今日は一段と長い祭りだったように感じる。坂山は客席の片付けを手伝ってくれている御神にお礼を言いに訪れた。
「お手伝いなんかしてもらっちゃって、ありがとう。今日はお客さんでもよかったのに」
「俺は、どちらかと言うと準備の手伝いなんかの主催者側の方が性に合ってるな」
 ワーカーホリックになっていたくらいだ。
「クス、そうね。来年はじゃあ準備もまたお願いしちゃおうかしら。……ここだけの話、町内会の人達だけの準備ってフツウなの。皆がいた一昨年とか昨年はすごく楽しかったから、比較しちゃうのよね。来年はだから、一緒にしましょ」
「スケジュールが空いていたら、また邪魔させてもらおう」
 祭りの余韻が残る会場は、次々と人がいなくなっていった。ステージや屋台の片付けは明日になるから、店番だった町内会の人もゴミを片付けて帰っていったのだ。
「みなさーん! ちょっといいですかっ!」
 明快に大きな声を出したのはウィリディスだ。彼女は帰りかけていた阪須賀兄弟や逢見達を連れてステージの方へと戻ってきた。お祭りに参加してくれたリンカーが全員揃っていた。
「せっかくですからみなさん、写真でもどうでしょうか! 来年はまた、このメンバーが揃うかもわからないですから……!」
「賛成だお。今日の思い出は一生形として残しておくんだお! して弟者、さっきの最終兵器をもう一度」
「それは絶対ダメです」
 藤咲が兄の腕を握りながら言った。
 疲れが出ていた紫はウトウトしながらリュカの手を握っていたが、写真と聞くと目が覚めるのである。
「良い提案なのです! オリヴィエもユエリャンもリュカもイザナミも皆で映るのですよー!」
「指名が入ったら仕方ない、お兄さんも混ぜてもらおうかなっ」
 次々と皆が列を作って並び始めた。小さな子は前、大きい大人は後ろだ。写真を撮影するのは坂山という事で決まった。
「……ん、ナタリアさんも、どうですか?」
 氷鏡はウキウキを隠せずナタリアに言った。しかし、ナタリアの表情は翳りを見せた。
「いや、すまない……折角提案してくれて悪いんだが、写真だけはどうしても駄目なんだ。本当に、すまない」
「……ん、何か理由が、あるのでしょうか」
「ああ」
 ナタリアはウィリディスの方を向いて「すまない」と一言謝った。ウィリディスは難しい顔に一瞬だけなったが、本人が嫌だというなら仕方ない。すぐに了解した。
 撮影は坂山に任せられた。彼女も写れば良いのだが、被写体になるのは恥ずかしいのだと言う。
「はい、チーズ!」
 一枚のシャッター音が鳴った。永遠の一瞬がここに刻まれる。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 全てを最期まで見つめる銀
    ユエリャン・李aa0076hero002
    英雄|28才|?|シャド
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 花の守護者
    ウィリディスaa0873hero002
    英雄|18才|女性|バト
  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
    獣人|14才|女性|生命
  • 守護する“盾”
    リオン クロフォードaa3237hero001
    英雄|14才|男性|バト
  • 悪食?
    逢見仙也aa4472
    人間|18才|男性|攻撃
  • 死の意味を問う者
    ディオハルクaa4472hero001
    英雄|18才|男性|カオ
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862
    獣人|21才|男性|命中
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 誄aa4862hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
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