本部

広告塔の少女~秋の味覚大追跡~

鳴海

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2017/10/07 16:14

掲示板

オープニング

● 慰安旅行は北の北

 秋である、秋は日本古来よりご飯がおいしくなる時期でと言われ。
 また収穫の時期と重なって一年で最も豊かな時期である。
 そんな時期にお祭りが沢山開催されるのはよくあることで、全国的に豊穣を祝うイベントが開催されていた。
 その一つに目をつけたのが遙華である。
「なに! このイベントは!」
 インターネットを、秋、祭、美味しいもの! 
 で、検索していた遙華であるが、ひとつのページで手が止まる。
 そのお祭り、何と凄い。
 名前を篝火祭と言いまして。
 毎年沢山の来場者が国内、国外から訪れる、究極の祭らしい。
 場所は北海道某所。
 北の端っこ、日本の端っこである。
 もとより北海道は、海の幸も山の幸も集まる北の食料庫。
 そんなところの祭りで振る舞われるご飯がおいしくないはずがない。
「おいしそうねぇ」
 遙華のお腹がクゥとなる。深夜二時手前。残業はまだまだ続きそう。
 遙華もある意味仕事におぼれ、仕事祭となっていたのだが、楽しみの一つでも未来にないとやっていられない。
「よし、慰安旅行ここにいきましょう」
 遙華はそう頷くと、部下に篝火祭りの情報を集めさせた。

● 遙華が集めた資料によると。

 篝火祭り。
 起源は北海道開拓から、二十年後くらい。
 険しい山と穏やかではない海に囲まれながらも切り開いたその土地は、日本有数の豊かさを誇り、秋にはその地域の人間だけでは旅きれないほどに食材がとれたという。
 なので夜を徹して、加工しきれない新鮮食材を消費する祭。
 篝火祭りが企画された。
 何度もその形態、イベントを変えつつも脈々と受け継がれるその祭は、交通網が整備された現代だと、毎年、人口の三倍の人数が集まるらしい。
 当然宿泊施設は早期に満杯になる。
(が、今回は春香が客船を持ち出して押しかける予定なので、宿泊施設の心配はしなくていい)
 イベントとしては様々あるが、特に目を引くのは下記にまとめておいた。
 また、今回はグロリア社がスポンサーとして参加するため、蛮族的な振る舞いは避けること。
 きちんと社会人として振る舞えるのであれば、どれだけ酒を飲もうとも構わない。
 楽しんでほしい。


● イベント各種
 こちらに今回、港町を遊びつくすためのイベントをリストアップしてみたので確認してみてください。
 お祭り会場内と、お祭り会場外のイベントがあります

《お祭り会場外》
・沖釣り大会
 グロリア社の客船で行くので沖まで出られます、許可を取っているので心配ご無用
 早朝であれば大きな魚が狙えますし。夜はイカ釣りが楽しめます。
 イカ釣りの船はすごい灯りをたくので非日常感があり、楽しいかもしれません。
 釣りに自信がない方は港でキラキラ光る特殊な針を垂らす、チカ釣り。がお勧めです。
 手のひら大の小魚ですが、鱗を取る必要がなくその場でテンプラ。素揚げ。にするとおいしいです。
 入れ食い感がとても楽しいですが、取りすぎ注意。

・ホエールウォッチング
 同時にこの海域は鯨やシャチが生息しているのでそれを見に行くのもありです。
 客船の中に格納していたエンジンつきの小舟でいきます。ライフジャケットをしっかり着込んで万が一に備えましょう。
 操縦したい人は大歓迎です。

・海沿い温泉
 なんとこの町、海沿いに温泉の吹き出し口があるそうで、そこからお湯を引くことにより。海の中に湯船を作り出すという、ぜいたくなことをしてしまったみたいです。
 ただ、ここ管理している人がいないので混浴状態ですし。
 湯船は五、六に分けられていますが、仕切りがないです。
 家族風呂として楽しみたい場合は遙華に、入浴中の立札と、パーテーションを申請した方が良いでしょう。

・旅館温泉
 今回グロリア社がスポンサー登録したことで、とある旅館のコースと入浴一回がセットになった券をもらいました。
 こちらはもちろん男女別。入浴した後になかなかお高めの旅館料理が出てきますので旅行感を味わいたい人はこちらでしょうか。

 ちなみに温泉二種は花火も同時に楽しめるので、その時間を狙うとお勧めです。


《お祭り会場内》

・鮭のつかみ取り。
 全長140センチ~180センチある鮭が推進80センチ程度のプールに大量に放たれるのでそれを生け捕りにする企画。
 もともと重いし、水を得た魚は素早く力強いので毎年半数がチャレンジに失敗する。
 中には子持ちの鮭もいるので、しょうゆ漬けにして食べると言い、加工方法によってはお腹を壊すので、事前にちゃんと聞いておくこと。

・せり体験会。
 皆さんに会場へもちこまれた魚や野菜を買ってもらいます。
 せりはまず初期の価格が設定されており、売り手が高速で値段を落して行きます。「1000、930、820……」なのでその価格の中で買えそうだと思う価格が宣言された段階で手をあげ自分のマークが描かれた札を商品に張ります。
 せりが終わり次第、代金と品物を引換ます。

・秋の味覚お料理対決
 さぁ、沢山の食材を手に入れたならそれを料理したくなると思いますので。ぜひお料理対決に参加してください。
 キッチンが八つあるステージで同時にお料理を開始。
 テーマは秋の味覚。
 それを会場の皆さんに振る舞って誰が美味しかったか判定してもらいます。
 優勝者には幻の魚『鮭児』をプレゼント。
 ちなみに遙華は鮭児が美味しいという事しか知りません。解説してくれる人がいると助かります。

・いくら丼無料配布。
 毎年長蛇の列となるが、いくら丼を配布している。先着1000名限定だが。来場者は万を前後するくらいなので結構厳しい争奪戦となる。

・炉辺焼き。
 祭り会場にはずらっと炭焼き設備が配置され。海から揚げたての、イカや貝やカニと言った食材を焼いて食べられます。

・花火大会 
 光のない海を背景に花火を映し出すので、よりいっそうに綺麗に見えます。
 一時間という長丁場なので、港の端っこ、テトラポットや、灯台の真下。
 もしかしたら山などで見た方が楽しいかもです。

・出店
 グロリア社お得意の出店参戦です。
 このお祭り、普通のお祭りと同様に出店がダーッと並びます。
 やはり、ジャンクな味わいも恋しくなるのでしょうね。
 それ以外にも。港を管理している会社が大きな倉庫を場所として提供してくれていて。
 そこでは出店に並ぶような、ジャンクフード的なものだけでなく。
 鉄砲汁とかホタテとかツブとかふるまわれています。食堂みたいな感じですね。
 食堂の参加でも、出店参加でも問題ないので、出てみてください。

解説

目標 秋の味覚を楽しむ

 今回は、温泉と食事つきの旅行という事で企画してみました。
 内容としてはイベントフックにのっとって休日を楽しむ感じですが。
 そこはPBW。発想力さえあればどんなことでもできる。
 楽しみ方は無限大。
 なので、銃を担いで山にクマをとりにいったり。
 銛を片手にタコと格闘しに行ったりしても大丈夫です。
 普通に修学旅行チックにワイワイやるのも楽しいと思いますが。
 ちなみにNPCの扱いですが。今回はモデルケースを用意してます。
 いつもはほっておくくせに。
●遙華の場合

 遙華はみんなでワイワイと楽しみたい様子。昼間は海で釣りをしたり、ホエールウォッチング。夜は出店を開いたり、各種イベントに参加してみたりと祭り会場で楽しんでみたいようです。
 人数が多ければ多いほど楽しいようなので、プレイイングに困ったら遙華班に同行してみてもいいのではないでしょうか。


●ロクトの場合
 ロクトはあまり祭りに興味がなさそうです。
 しかも、特に触れられなければ単独行動をするみたいです、もちろん同行者は歓迎です。
 その興味はもっぱら温泉と料理。
 なので、いくら丼や炉辺焼きを楽しみつつ。夜は温泉につかりながらお酒、そして温泉から上がれば料理。という感じでしょうか。
 ロクトさんは仕事以外ではめんどくさがりなので、ねだればその宿に泊まらせてくれるかもしれません。帰るのが面倒なので。
 ちなみにその旅館には常に空いているVIPルームがあるそうで、宿泊は可能みたいです。

リプレイ

プロローグ
 
「念願の北海道っすよマスタァー! 気分はドウデスカ」
「うん……お腹、空いた」
『ニウェウス・アーラ(aa1428)』はドヤ顔でパンフレットをガン見していた。
「それ、気分ってより食欲っすよね。まぁいっか!」
まさに花より団子である。そんな主に『ストゥルトゥス(aa1428hero001)』が言葉を告げた直後、ぞろぞろとリンカーたちが甲板に現れる。
「お祭りですか悪くないですね」
 そう『構築の魔女(aa0281hero001)』は海風に髪を洗われて涼しそうに微笑んだ。隣で『辺是 落児(aa0281)』が佇む。
「鮭児が手に入るだと……」
『御神 恭也(aa0127)』は一行の後ろを通りがかるとニウェウスのパンフレットに踊る文字に魅せられた。隠れたグルメである恭也はその名前に聞き覚えがある。
 こんなところで巡り合えるとは、そんな歓喜にむせび泣く彼の喜びを感じて『伊邪那美(aa0127hero001)』は背中を震わせていた。
「なんだか嫌な予感がするんだけど?」
 そして船が港に到着すると、遙華は尋ねる。
「じゃあ、だれがどんな風に行動するか、大まかにでも把握しておきましょうか。迷子をふせげるし……」
 そうしきり始めようとする遙華の話をきかずに突っ走る影。
「速さこそ最強! 速さこそ至高! 速さこそ究極ゥゥッッ!」
 視界の端に首根っこつかまれた『彩咲 姫乃(aa0941)』が見えたのだが、走り去っていた少女は誰なのだろうか。
「てなわけであたしらで一番を取りにいきますニャ。もちろんご主人が二番デスニャ」
 そう会場まっしぐらなのは『朱璃(aa0941hero002)』彼女につき合わされ早いうちからいくら丼の列に並ばされた姫乃は眠気眼をこすってこういった。
「眠い……周りにまだ誰もいねえ」
 それぞれの秋が今始まる。

● 海にて

 潮風とはこれほどに心地いいものだったろうか。
 落児がエンジンのギアをあげると、構築の魔女はボートの上に仁王立ちになり双眼鏡で当たりを見渡す。
「ロロー」
 おそらく、操縦したことはないのだがと落児はカミングアウトしたのだろう。その言葉を受けて構築の魔女は微笑んだ。
「まぁ、初めてでもいけるものでしょう?」
「……ロー」
 絶句する落児。
「接舷とか周囲の航路に気を配らないといけない部分はあるけれど」
「……」
「ほんと、自動化・機械化の恩恵はありがたいし……科学は楽しいわ」
 さらに速度を上げる小舟。空気摩擦で船体がみしみし音をたてるが、本当に大丈夫だろうか。
 そんなは落児は運よく鯨の群にあたったようだ。海の中に黒い影が躍ったかと思うと、波を大きく上げて鯨の尾ひれが空を切る。
「ふふっ、流石、大自然と呼ばれるだけあって壮大ですよね」
「――ロロ」
 群は十数頭いる。そんな鯨たちの水しぶきや行動で転覆しないのが不思議だ。
「鯨もすごいけれどやはり人間では生きられない環境が素晴らしいものですよ」
「ロ……ー」
「そう、それでも私達はここにある……と」
「…………」
「出来ないからこそ考える、届かないからこそ手を伸ばす……その愚かさこそが素晴らしいのです」
 落児は船体にしがみつきながら構築の魔女の言葉を聞いていた。
 そんな二人の脇をもっと無謀なボートが駆け抜けていった。
 姫乃たちの船である。
「あたしにはんどるをよこせぇぇ!!操縦ってものがどういうものか骨身にわからせてやるニャぁぁ!!」
 ちなみになぜ彼女たちがここにいるのかというと、いくら丼の列に並べなかったからである。
 二人はあまりに列に並ぶのが早すぎ、そもそも受付の人も誰もいない港でぽつんと立っていたために、優しい漁師さんたちに呼び止められた。
 彼らに今日出す予定のいくら丼を持ちかえらせてもらって。さっきボートの上で食べた。というのが今回の件の顛末らしい。
「病気だから気にすんなよー」
 姫乃が告げる。さすがスピード狂。海の上を跳ねるように進む小型艇の速度では眉ひとつ動かさない。
「ところで後で海沿い温泉などどうデスニャ? 女同士裸の付き合いも悪くねーデスニャよ?」
「朱璃は混浴にでも入ってろ」
「まぁ、それも悪くはないかにゃー」
「いやじゃないのかよ」
「あたしの体に恥ずかしいところなど何一つねーデスニャ」
「8割方俺の体じゃねえか。俺が恥ずかしいからやめろ」
 そんな姫乃たちは鯨のひれをかいくぐりながら水の上を進む。
 そんな貴重な体験を堪能したところで構築の魔女がハンドルを握った。
「じゃぁ、そろそろ帰りましょうか」
「……ロ!?」
 驚きの表情を見せる落児
「慌てなくても運転ぐらいできるわ」
「……ロ」
「まぁ、赤の魔術師が運転するボートや潜水艇は大概沈んでる記憶もあるけれど」
「……ロ!?」
 落児は思う、それはまずいのではと。
「大丈夫よ、グロリア社を信じましょう。……ふふっ」

   *   *

 その時海面が強く波だった。
『大河千乃(aa5467)』はその揺れる海面を楽しそうに眺めていた。
 機械化してから初めての秋であり目に映るものが何かと新鮮である。
 そんな千乃が船のヘリから身を乗り出した矢先『大河右京(aa5467hero001)』がその服をつまんで支えた。
「そんなに身を乗り出すな! 救命胴衣着けてても落ちたら危ないよ。移動したら皆さんの迷惑だろう」
「だいじょーぶ」
 そう拳を突き上げる千乃は昔の千乃にはもう見えない。入退院を繰り返し。この季節は病室で祭り会場の花火を眺めるだけだったという彼女。
「船って早いー! 風が気持ち良い 鯨! あっちにも!」
 遙華自慢の客船はいったん港で人を下ろすと海に駆りだした。
 積んでいたボートなどに人を乗せて送り出してからは鯨や海洋生物を探してあたりを探索中である。
 そしてちょうどいい位置を見つけると停泊。千乃は左耳にひゅっと風を切るような音を受けて振り返った。
「釣り。それは漢の浪漫」
 そうストゥルトゥスが眩しい日差しに負けないようにサングラス。片手にはどでかい遠投げ用の釣竿を握っていて。
「お魚。それは美味しいご飯……」
 ニウェウスもおそろいの釣竿である。二人はその糸の先をじっと見ていた。
「「釣るしか」」
 二人がそう気合を入れた瞬間、ニウェウスの釣竿に何かがかかる。
「……さっそく1フィーーーッシュ」
 勢いよく釣り糸を引き上げると食いついていたのはカレイである。
 このあたりの海域ではよく釣れるらしい。
「カレイ……煮物」
 大きく油の乗ったカレイは煮つけるとプルプルになるのである。
「やったね、マスター……さぁさっそく刺身にでも」
「それは、だめ」
 ニウェウスが首を振る。
「え?」
「……だめ」
「遙華。何読んでるの?」
 ニウェウスたちの背後を通りがかって船内に戻ると遙華は本を読んでいた。
「せっかくの食欲の秋なのに、あなたは読書の秋なのね」
 そう言って『水瀬 雨月(aa0801)』は遙華の隣に座った。
「……と思ったけど、季節関係なく読み漁っているわね今思えば」
「読書を秋限定にしておくのは、もったいないわ」
 そう遙華は本を閉じると雨月に向き直る。
「こうやってのんびりするのも久しぶりね」
 そんな二人の少女に『麻生 遊夜(aa0452)』が歩み寄る。
「お二人さん、せっかくだからやらないか」
 そう竿を人数分掲げて見せると『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』が尻尾を振った。
「……魚も、好き」
 遙華と雨月は顔を見合わせる。
「やってみましょうか」
 そう四人はニウェウスたちにならって糸を垂らす。
「そういや西大寺さんの腕前はどんなもんかね?」
 糸を垂らすなりヒットがあったのか、引っ張り、糸を緩め、また引っ張るという動作を繰り返す。
「釣りなら任せろ、これでも長いことやってるんでな」
 釣り上げた魚はホッケである。油が乗っていて美味しそうだった。
 そんな遊夜は少女二人に釣りのなんたるかを叩き込みながら時間を潰す。
 一時間くらいすると釣りになれたようで遙華も雨月もぽつぽつと魚を捉えだす。
「わ、つれたわ」
「わたしも」
「ところで、ユフォアリーヤ。あなたはつらないの?」
 遙華が頭上にといかける。見ればユフォアリーヤは遙華を抱きかかえてモフモフしていた。
「……ん。あったかい」
 海の上は若干寒い、お互いの体温で暖を取る二人である。
 そんな遙華の竿にかかった魚をユフォアリーヤと力を合わせて引っ張り上げる。
 いいポイントにあたったのだろうか。四人は大きくはないが魚を順調に確保する。
「食べきれない分は海にかえしましょう」
 そんな二人の背後から声が聞える。
「ぬあー、釣れぬッ! 映画のようにはいかないかー」
「ん……そう、だね」
 てんぷらをもぐもぐするニウェウス。
「マスタァー。ボクお腹すいたなぁー」
「ん、あげない」
 素揚げをもぐもぐするニウェウス
「まぁすたぁ~」
「意地でも、自分で釣ったモノ……食べるって言った、よね?」
「ぬぐぅ。こうなったら、マスターが羨むレベルの大物を釣ってやらぁー!」
 結果、予想以上の大物に、はりごとどころか、釣竿……ストゥルトゥスごと海に引きずり込まれかけるが千乃に助けられ事なきを得る。
「大丈夫ですか?」
「ありがとうお嬢さん」
 微笑む千乃は屈託なく笑えていた。
「鯨を見れるそうだ、行って見ないか? 色々と体験しよう」
 そんな千乃をみて右京の中の何かがくすぐられる。右京は過保護なお兄ちゃんと化した。



● 祭りの前の静けさ

 恭也はリンカーたちが海や町で遊んでいる中一人で森に来た。
 冬眠前のクマを見たが素手でやっつけて現在に至る。
 全ては本日行われる料理対決のため、極上の食材を持ち帰るため
「伊邪那美……手を借りようと考えていたが、先に姿を隠したか」
 彼女の危機回避能力を恨めしく思いながら手早く。舞茸やしめじ等のキノコと銀杏を採取。
 がさがさと水を失って軽くなった葉や枝をかき分けて進むと川を見つけた。
 ここでならきっとあれが手に入るだろう。
 新鮮な動物の肉。例えばそう。
 いのししとか。
「きたか……」
 水を飲みに来たイノシシを後ろから仕留めてその場で解体を始める恭也。
「流石に松茸が手に入る訳は無いか……」
 それだけ残念に思いながら。首を落して血を抜く。内臓を取り出し臭みを残さないための下処理まで完璧に一人でこなした。
 だが、時間はかかる。さすがに空が暗くなり始めていた。
 これ以上は危険である。
「本当なら数日おいて、熟成させたかったが仕方あるまい」
 そして祭りの夜が始まるのである。

   *   *

 午後六時くらい。
 日照時間が短いこの町はこの時間で夜に包まれる。
 人々が集まりはじめ、いくら丼配布所には長蛇の列が見える。
「始まるぜぇ、イクラウォーズがよぉ!」
「ん。これは、イクラを掛けた、聖戦である……」
「ボク達に失敗は許されねぇ。行くぞっ!」
 そう意気込むのはニウェウス。とストゥルトゥス。
 その少し前の列で、やっとこさいくら丼の受け取りができた人物がいる。
 『柳生 鉄治(aa5176)』と『ブリタニア(aa5176hero001)』である。
 「いくら丼配るって、やたらと太っ腹だな」
 炉端焼きかじりながら鉄治はいくら丼を受け取る。
「何が食べられるのか私はよく知りませんが、結構な人数が並んでますね」
 ホタテをあつあつと頬張りながらブリタニアも丼を受け取る。だが彼女のは受け取ったものを見て凍りついてしまった。 
「そりゃあ、そうだろうよ。」
「この魚卵、まさか……」
「そういや、日本以外じゃいくらはあまり食わんらしいな」
 鉄治はあっけらかんと告げる。
「……こんなの、こんなの絶対塩辛いだけに決まってます」
「いや、食ってみろって」
 そう鉄治はホタテの貝殻を受け取ると代わりに端を差し出した。
「んん……」
 頬張るブリタニア。
「……」
「…………」
「marvelous!!」
「……メシ堕ちしやがったよ」
 そう視線を泳がせる鉄治だったがよくないものを見つけた。
「戦争は数だぜ兄貴ぃ」
 そうストゥルトゥスがゴマをする相手はロクト。その隣には『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』が立っている、会場内の撮影を行っているようだ。
 それに相棒へいくら丼を持っていくつもりでもあるのかもしれない。
「ええ、お誘いいただけてうれしいわ」
「うん。皆で、イクラ充、しよう」
 あわててその場を離れる鉄治。イクラを受け取る三人。
「ヤッベェコレ、ぷちぷちして蕩けて激ウマァ」
 ストゥルトゥスは早速口をつけて、秋の味覚を味わった。
「苦労した甲斐、あったね……。流石、北海道」
「さて、次はどこに行こうかしら」
 三人は会場の地図を見ながら次の獲物を探す。
「そういやさ。北海道といえば味噌ラーメンじゃね?」
「……蟹使ったの、食べたい」
「豪勢なのキタァー! OK、折角だから贅沢ぶっかまそうぜ、兄貴ぃ」
 そうストゥルトゥスが再びゴマをすると。
「任せなさい、スポンサーはうちよ」
 そうロクトは告げて食い倒れの道へと旅立った。

● 鮭は案外頑丈な生き物です。
「あ、参加するんだ」
 伊邪那美は列に並びながら料理対決のメンバーが発表されるのを聞いていた。
 そのメンバー一覧の中に恭也が入っていたのだが、さして驚きもしない。
「じゃあ、ついでに持ち返ってあげよう」
 そう伊邪那美は列の先に視線を向ける。
 その先には巨大な水場が設置されており、うじゃうじゃと鮭が泳いでいた。
「料理は恭也に任せれば良いから、イクラが詰まってそうな子を狙おう~」
 そんな伊邪那美の目の前で『狒村 緋十郎(aa3678)』の番が回ってきた『レミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)』はプールに足を突っ込んで穏やかに緋十郎を眺めている。
「がんばって」
 そうレミアが手を振ると、緋十郎は胸を張ってあたりを見渡す。
「ああ、この緋十郎。我が村の名に懸けて必ずレミアに極上の鮭を献上しよう」
「待ってるわ」
 ちなみに二人とも北海道初上陸である。
「ああ、血が騒ぐな」
 人里離れて暮らしていた頃にはこのように川で食料を調達したこともあった。
 そして現在では、獣人の存在もすっかり世間にも認知され今やワイルドブラッドであることを隠す必要も無い。
 尻から生える猿の尻尾を揺らしつつ、月に向かって吠える緋十郎。その体を体毛が覆っていく。
 あたりから感性と感心の間の声が多数漏れるが、その姿をレミアはにやにやしながら見守っている。
 そして。
 目にも留まらぬ速さの一撃で緋十郎は鮭をプールの中からはじき出した。
「さすがね、褒めてあげるわ、こっちに来なさい」
 そうよしよしと緋十郎の頭を撫でるレミアを見て。千乃はリンカーとはいろんな人がいるんだなぁと感心した。
「さぁ、新鮮なうちに捌いてしまおう」
 そう緋十郎はレミアほどの全長を持つ鮭を片手に水から上がると調理場へと歩き去る。
 そして千乃が水の中に入った。水の中に座り込みそのそばを通過するのを待つ。
「逃さない!」
 そう鮭へダイブするように飛びかかるが思うようにつかめない。孤軍奮闘、水の中で暴れ回るうちになかなか大きい鮭を抱きかかえることに成功する。
「はしゃぎ過ぎるな……。あぁ……二人で追い込めばそこまで濡れる必要はないのに風邪をひくよ」
 そうタオルで千乃をワシャワシャとふく右京。
「ちゃんとイベント内容・注意事項と調べたもん。タオルと着替えも持って来たよ、お兄ちゃんの分もあるからね」
「すまない、注意はともかく煩く言い過ぎた……千乃は自分で考えて動けるだろうに」
 その大河兄妹の後ろで一際強い水音がした。
 振り返ってみれば朱璃がそこにいて難なく鮭を捕獲していた。
「こんなもん欠伸しながらでも余裕デスニャ。とろくせーデスニャ」
「俺は食材手に入って助かるけどな」
「別にあたしはお魚が特別好きでもねーデス。ま、大食らいの同僚で苦労してるご主人に少しくらい楽させてあげますニャ」
 そう朱璃が鮭を捕獲、割とこのイベントはリンカーにも人気なようで、伊邪那美もびしょびしょになりながら鮭を獲得していた。
「さぁ、さがすか!」
 達成感に包まれながら、どこかで調理の準備をしているはずの恭也を伊邪那美は探しに向かう。
 祭り会場中央ステージその中のシステムキッチン前に恭也はいた。
 そして料理大会真っ最中の恭也は職人の目をしていた。
 銀杏は身を削いでから、乾煎りをして中身を取り出し、出汁としめじ、油揚げと一緒に米を炊く。炊き上がった飯に銀杏を混ぜ合わせる。 
 猪肉は薄くスライス、鍋に出汁と味噌等の調味料を合わせて沸騰させる。
 沸騰後、猪肉と根菜や生姜を入れて火を通して十分に火が入ったら山で採ったキノコを入れて牡丹鍋を完成させた。
「賞品が鮭児だからな、此処は山の幸で秋の味を表現した方が受けが良いだろう」
 そう伊邪那美の視線に気が付いて恭也は告げる。
 その料理大会には雨月と遙華も参加している。
 端的にいって遙華は不慣れすぎて足を引っ張っていたが雨月はそつなくこなしていく。
「それにしても、いい食材がそろったわね」
 そう雨月が一人ご散る。
 ここにある食材は全て競りなどで集めた食材だ。あとは昼間に釣った魚。二人は和気あいあいと料理をつづける。
「鮭児ね。ざっくり言ってしまえば若い鮭で済みそうだけども」
 そう雨月が言うと遙華は苦笑いを浮かべる。
「身もふたもないわね」
「大体一万本に一本位の割合だったかしら? 他にも時不知とかあった気がするけど。鮭児が一番高いとは」
「一匹十万前後と思っておいた方が良い値段ね」
 そんな風に粛々と進む料理対決。
 そんな中伊邪那美は鮭をもつ手がつかれたので、ステージ上に乱入した。
「お前……」
「そういう訳だから、これで何か作って」
「……鮭児が賞品だと言うのに、鮭を持って来るか奴がいるか?」
「その鮭児って言うのと一緒に調理すれば良いじゃん」
「鮭児も鮭だからな。簡単に言うと本来は遠くまで回遊するんだが、鮭児は近場を回遊するから普通の鮭よりも脂の乗りが良いんだ」
 首をひねる伊邪那美。
「遺伝子的にも違いがある様だが、獲れる量が極端に低いから幻とまで言われている代物だ」
「つまり?」
「……とても美味い鮭」
 この、鮭をとってきた苦労はいったい。
 まぁ、中にいくらが入っていたようなので、よしとする伊邪那美であった。

● 夜に火をともせ

 麻生夫妻は、肌寒い風から身を守るように寄り添って歩いていた。
 遊夜はパンフレットに視線を落とす。集められた秋の味覚にユフォアリーヤのように尻尾がふれそうだ。
「なるほど、こいつはまた豪勢な祭りだな」
「……ん、人が多い……でも、楽しみ」
 用意したカメラで祭りの風景をとりつつ出店を楽しむ遊夜たち。
 まずは炉辺焼きで蛤やサザエ、エビやカニなどの海鮮を中心に堪能する。
「場の雰囲気もあるんだろうが、やはり美味く感じるな」
「……ん、美味しい……これも、美味しい」
「であれば、これもお勧めだ麻生」
 そう北寄貝を差し出す緋十郎。
「ああ、きてたのか」
 そうグラスをかわす麻生夫妻と狒村夫妻。
「お肉もあるのよ」
 そうラムのスペアリブを差し出すとユフォアリーヤは幸せな顔してかぶりついた。
「……ん、幸せ」
 そのまま四人は一つの団体となって祭りを回る。目指すはグロリア社の出店だったのだが、出店が見える前に奇妙なものと遭遇する。
「あーん」
 姫乃がべったりと遙華に引っ付いて、いくら丼を食べさせようとしているのである。
――おい何人の体を使って勝手をしてやがる。
 実際は姫乃と共鳴した朱璃が体の主導権を奪ってそうしているわけだが。
「ニャニャニャ、はじめましてデスニャ遙華。あたしはそこのご主人様の第二英雄の朱璃デスニャ」
「何度か見たわね、初めまして。あと近いから顔離してくれる?」
 息遣いが聞こえてきそうなほど朱璃の顔が近い。
「親睦を深めるために一緒に祭りを回るニャ」
「あー、同行していいか?」
 そう共鳴を解いて姫乃が確認した。
「あたしのような愛くるしいお猫様なら誰でも大歓迎に決まってますデスニャ」
「じゃあ、あそこにいる大人四名も」
 そう雨月が告げるとまた、一団が大きくなった。
 計八人で押しかけるグロリア社ブース。道中買った手土産は遙華がさぼっていた分の埋め合わせらしい。
「こういう味もやっぱ捨てがたいよな」
 そうポテトやらフランクフルトやらを頬張る麻生夫妻。
「……ん、バランスも、大事……美味しい」
 そして出店に到着するその切り盛りをしているのは『蔵李・澄香(aa0010)』である。
「おそい! 遙華!」
「ごめんなさい、道中へんなのに襲われちゃって」
「確かにへんなのだな」
 そう姫乃は頬をかく。
「そういえば、いくら食べた?」
 遙華が澄香に尋ねる。
「え? いくら?」
「え?」
「え?」
 触れない方がよさそうだと直感する遙華である。
 ではここで出店紹介にうつろう。
 共鳴し光り輝く姿で祭りを彩るのはリンカーアイドル・クラリスミカで主力商品は『美味しいミキャン』である。
「あたしらにお金などねーデスニャ。おごりなら喜んでもらうニャ」
 朱璃が唐突に告げる。
「お前のあつかましさはある意味芸術的だな」
「ご主人そんなにほめると照れますデスニャ。それともこんな往来のど真ん中で誘ってますデスニャ?」
「お前の考えがよくわかんねーよ」
 美味しいミキャン販売の旗がエンジェルスビットに括り付けられており、空をふよふよ舞っていた。
「ミキャンとはいったい」
 緋十郎が尋ねると澄香は揚々と答えた。
「ミキャンとは、ミカンキャノンの略です!」
 最大強化されたスーパーミカンキャノンを使用し食べられる砲弾をポンポン量産。
 それを原材料に、スムージーやらミキャン飴、冷凍ミキャン、焼きミキャンと加工していく。
「恐ろしいわ、霊力が食料になる時代が来るなんて」
 自分で改造を請け負っておいて遙華はごくりと生唾を飲み込んだ。
「原価0だもん。凄い」
「キャノンの購入費や強化費で5万G近く使っておりますが」
「あーあー! 聞こえない!」
 そう耳元で聞こえる邪念を振り払って一行の前にトレイを置く。
「はい、駆けつけいっぱい」
 そうミキャンスムージーを全員分手渡す澄香。
「……ん、おいしい」
「美味しいわ、澄香」
 特に女性に人気のようで、ユフォアリーヤもレミアも喜んでいた。
「ライヴス100%で安全食材です」
「グロリア社期待の新商品にございます」
 人が増えれば二人は共鳴を解いて人手を増やす。
「グロリア社令嬢が実際飲んでるので大丈夫です」
「毒味!」
 遙華が驚きの声を上げる。
 そんな宣伝活動で人が集まってくるとブースの中に設置された壇上で澄香は歌を謳う。
 その手に握られているのはルネの楽譜。オリジン。
「歌おう、遙華」
 そう澄香は遙華を壇上に招くと二人で声を合わせて夜に謳う。
 祭りに合うようにアップテンポに曲調を明るく。
 クラリスはあつまった観客たちに、楽譜のコピーを手渡していた。一緒に謳ってほしい。という事だろう。
「これからあの大きいステージでも謳うから、お店は遙華にまかせたよ」
 そう晴れやかに笑う彼女はやはり、アイドルなんだぁと。緋十郎は涙を流していた。この前のサマーフェスの影響だろうか。
「わかったわ、行ってらっしゃい」
 そう言って汗を煌かせ踵を返す彼女を、一同は笑顔で見送った。

● 夜、のんびりと
 祭りを一通り楽しめば一日の疲労が襲ってくる、その足で千乃は旅館に向かった、道中母と通話を死ながら。
「お母さん、……出来るとこまでやってみたいの。鮭をお土産に帰るから楽しみにしててね」
 そう電話を切る千乃に右京は問いかける。
「それは、決めたって事か?」
 その言葉に少女は一つ頷いた。
 旅館にも温泉はあるが別の温泉を目指したものも多いようだ。
 たとえば鉄治。
 海沿いに並んだいくつかの湯船を流し見てブリタニアに声をかける。
「はあ。誰が考えたんだか知らねえが、ずいぶん手間かけやがったな。」
「全くです。昔いたローマ人みたいですね」
「……えっ?」
「……えっ?」
 お互いに首を傾げあう鉄治とブリタニアである。
 そんな鉄治は何気ない動作で脱衣所の向こうの湯船を見ようと立て板から身を乗り出した。
 そこには先客がいて。
「あら、柳生さんこんなところで奇遇ね」
 そこにはロクトが入っていた。
「うおおっ、ここ、混浴か!?」
「ちょっと、何してるんですか!?」
 ブリタニアが顔を真っ赤にして怒る。
「あら、二人で利用する予定だったかしら。私上がるわね」
 そう二人の前で立ち上がるロクト。
「おい、ちょっと、……でかっ!? じゃなくて、やめっ!?」
 思わず屈みこむ鉄治。
「あら、それとも私と入りたかったのかしら」
 その言葉にブリタニアはピタッと動きを止めた。
 ブリタニアの視線が痛い
「嘘だろ、おい……。ぜったいメガネと一緒だと思ったのに」
「もう! 鉄治!!」
 そう機嫌を損ねてしまうブリタニアにそんな様子を見てくすくすと笑うロクト。
 そんなから騒ぎを隣の湯船から聞いているのが麻生夫妻、狒村である。
「温泉旅館くらり屋に間借りさせて貰っている身の上、温泉には入りなれているが」
 緋十郎は湯船に体を浸すと日頃の疲れがとけていくような快感を味わった。
「たまにはいいものね」
 澄香の旅館では男女別が基本である。だから混浴に入れる機会はめったにない。なので緋十郎は意を決して告げたのだ『レミアと二人っきりで温泉を満喫したい…!』と。
「まぁ、緋十郎になら、別に今更……だもの」 
 そうレミアは照れながらも応じてくれた。
 結婚してそろそろ一年がたつ。それでも海を背景に見る彼女は月の明りに洗われて普段とは違う姿に見えたのだ。
 そんなレミアの背後で花火が上がる。
 緋十郎は花火に目を輝かせるレミアを手招きすると、その手の酒を飲みほした。
「緋十郎ばっかり美味しそうに飲み物があるのは下僕の分際で生意気ね」
 滑るようにレミアが緋十郎の隣へ、そして。
 柔らかく緋十郎の首筋に牙をたてる。
 そんな緋十郎たちとは違って麻生夫妻はもっと穏やかに楽しんでいるようだ。
 肩を並べてつかりながら、ぼんやりした頭で花火をみつめる。
「……海見渡しつつ入るのも乙なもんだな」
「……ん、綺麗だねぇ……はい、どーぞ」
 そうユフォアリーヤがお酌をしてくれる。珍しく酒かと思ったら、ノンアルコールの飲物である。
「お、ありがとうよ」
「ん、ふふ」
 酌を飲み干すと遊夜はユフォアリーヤの頭を撫でた。
 そんな風に海岸沿いでは様々なロマンスが繰り広げられる中。客船の中でその花火を堪能している者もいる。
 デッキに並んで立つのは構築の魔女と落児。見れば二人のためにテーブルと食事が用意してある。
「ふむ、一日の終わりがこういうのもやはり悪くないですね」
 そう欄干にもたれかかる構築の魔女、髪の毛がさらりとこぼれた。
「……ロ」
「ん? 珍しいかしらね?」
「………」
「まぁ、あまりこういうことをすることはなかったからそうかもしれないわね」
「……ロロ」
「いわれてみれば、確かに。ここも乗り物の上ですか、沈まないように願いましょう」
「……?」
「あぁ、ちょっとね。なんというか、懐かしさと新鮮さが混じった不思議な気持ちよ」
「……ロロ」
「でしょうね、根幹が変わらないならどこの世界でも同じように願い生き朽ちるのでしょう」
 二人は食事を済ませると明日のためにねることにした。
「あぁ、面白いですね。研究や探究とはすこし違いますがやはり面白い」
 そう構築の魔女は月光の下一人ごちる。
「時間はありますし……次は何をしてみるべきでしょうか」
 対して落児は月光に背を向けベットの上でただ顔を両手にうずめた。
「ロロ……ロ」
 そして目を閉じ眠る。まるで暗闇に自分から沈み込むように。

エピローグ
 最後にこのお話の後日談。
 船の旅行から帰った千乃はその足でHOPEへ行き、正式登録をする
「今日からエージェントだね、格好良いな~」
 そう認可の書面などをもらいそれを高々と掲げた千乃に右京が告げる。
「軽いなぁ……違う心配が増えたよ」
 そうは切りかえしたが、新たな目標を持った千乃を眩しく見てた。


結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命



  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
    人間|12才|女性|回避
  • 疾風迅雷
    朱璃aa0941hero002
    英雄|11才|?|シャド
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
    人間|16才|女性|攻撃
  • ストゥえもん
    ストゥルトゥスaa1428hero001
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • 惚れた弱み
    柳生 鉄治aa5176
    機械|20才|男性|命中
  • 英国人も真っ青
    ブリタニアaa5176hero001
    英雄|25才|女性|バト
  • 希望の守り人
    大河千乃aa5467
    機械|16才|女性|攻撃
  • 絶望を越えた絆
    大河右京aa5467hero001
    英雄|20才|男性|ブレ
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