本部

珍獣魔ハンター『ナメクジ編』

紅玉

形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/07/10 19:07

掲示板

オープニング

●梅雨
 春も過ぎ、梅雨の季節がやってきた。
 紫陽花が咲き、水がアルカリ性か酸性かで赤から青へと、青から赤へと花弁の色が変わる。
 この時期、ヤツらが来る。
『此処が、現場ね』
 と、トリス・ファタ・モルガナは雨降る公園に居た。
「何処にも異変は無いようですわね」
 ティリア・マーティスは公園を見回した。
『でも、プリセンサーが感知した地点はここなのよね』
 と、アラル・ファタ・モルガナは公園に咲いている紫陽花に顔を近付けた。
「キャー!」
 公園内に女性の悲鳴が響いた。
「どうしましたか?」
 直ぐにティリアが駆けつけると、そこには服がボロボロになっている女性が倒れていた。
『ティリア! アラル! 一般人の避難と応援の要請を』
 トリスは、女性の体に付着してる粘液を手に取った。
『トリスちゃん、囲まれいるの』
『え?』
 アラルの言葉を聞いて、トリスが顔を上げるとそこには、巨大なナメクジ。
「応援は呼びましたが、皆さんが来るまでどうにかするしかないようですわね」
 1歩、後ろに下がりティリアとアラルは、幻想蝶に触れた。

●緊急
「フランスの公園に獣魔が発生したよ! 手の空いているエージェントは直ぐ現場へ!」
 圓 冥人がH.O.P.E.ロンドン支部のホールで声を上げていた。
「敵は巨大ナメクジ、何でも溶かす体液で一般女性が負傷ている。現地では、調査中であったティリアが対処していから、更に被害が広がらない様に緊急の討伐依頼だよ」
 冥人はアナタ達に声を掛け、説明しながら端末に資料を送る。
『珍獣魔……確か、えすかるごと、近い、はず。茹でれば、食べれる、聞いた』
 と、呟く弩 静華は『ナメクジはどんな味がするのだろうか?』と思いながら、アナタ達と一緒に現地へと向かった。

解説

【目標】
1、巨大ナメクジの討伐
2、巨大ナメクジの調理(調理したい方だけ)

【場所】
フランスの公園(時間は昼/天気は雨) 

【一般人】
雨なので通行人が3人しかおりません。
内1人はティリアが守っています。

【敵】
獣魔『リマス』(15体)
ミーレス級。全長2mのナメクジ。
ドロッとした体液を吐きながら攻撃をする。
体も体液でつつまれており、物理攻撃はあまり効かない可能性があります。
なお、体液は何でも溶かしますが共鳴したエージェントは服を溶かし、火傷に近いダメージを与えます。

【ナメクジ】
ナメクジは、カタツムリから進化した生き物です。
エスカルゴ(カタツムリ)と調理の下処理は同じで、最初は加熱処理をしないと野生のは食べられないそうです。
調理の最にはご注意を。

【珍獣魔ハンター】
弩 静華が楽しんでやっている活動。
活動内容は、ただ食べれそうな獣魔を食べるだけ!

【NPC】
ティリア:現地で一般人を守っています。
冥人:静華が主導権を持っている。

リプレイ

●ナメクジを狩れ!
「作るなら、美味しく食べてもらいたいですからねぇ……」
 花邑 咲(aa2346)はメモを片手に考える。
『ナメクジ、というものはどんな生き物なのか……食べられると言うのなら、気になるのぅ』
 視覚的に障害があるサルヴァドール・ルナフィリア(aa2346hero002)は、まだ見ぬ『ナメクジ』という生物をその脳内で想像する。
「ナメクジ従魔だなんて、すぐに退治するしかないね」
 と、言いながら餅 望月(aa0843)は塩を両脇に抱えた。
 ナメクジといえば塩。
 ただし、相手は従魔なので効くかどうかは分からないが『無いよりマシ』だと言って、持てるだけの量を買ってきた様だ。
「ところでフランスまでどうやっていくの?」
 ハッとした表情で疑問を口にする望月。
 ここはH.O.P.E.本部で、フランスとの時差は約8時間もある程に遠い。
『ひとっ飛びー』
 意気揚々と百薬(aa0843hero001)がワープゲートに足を踏み入れると、ロンドン支部まであっという間に到着した。

 雨降るフランスの公園に、うにょ、うにょ、茶色い長い体に黒のまだら模様が特徴的な生き物『巨大ナメクジ』が1ヶ所に集められていた。
 その群れに鍛えられた肉体を持つ男が本を手に立ち向かう。
「わたしのご本! 大事にしてくださいね? 角で殴るんじゃないですよ! 投げても駄目ですよ!」
 セレティア(aa1695)は、バルトロメイ(aa1695hero001)に向かって必死に言う。
『うんうん、大事にしてるもんな! なんか黒い革のカバーついてるし。で、このルーン文字どういう意味なの?』
「ぴぃゃぁぁあああ!!」
 バルトロメイが本を指しながら聞くと、セレティアは恥ずかしさのあまりに頭を抱えながら奇声を上げた。
 やめるんだ! 中二病は、あと数年後したら黒歴史という名の消えない傷になってしまう!
 触れても、ましては抉ってはいけない産物だ!
『急ぐのじゃミサトちゃん!』
 と、声を上げながら嵐山(aa3710hero001)は駆け出した。
「老師の事だから、従魔が女性の服を溶かすのを楽しんで見物するつもりかと思いましたが、随分と真剣ですね」
 嵐山の言葉を聞いて新座 ミサト(aa3710)は少し目を見開いた。
『当たり前じゃ! ティリアちゃんの美しい肌が火傷したら大変じゃ! すぐに従魔を倒すぞい!』
「分かりました。老師」
 ミサトは直ぐに嵐山と共鳴した。

『やだー! やだやだ!! やぁぁだぁぁあー!!』
 病院とか行きたくない子供のように駄々をこねるお姫様こと、エディス・ホワイトクイーン(aa3715hero002)は涙目になりながら地団駄を踏む。
「我が儘言わない!」
 と、一ノ瀬 春翔(aa3715)が妹を怒る兄の様に言うも。
『溶ける? 服が? やだー!!』
 資料を読んで更に嫌がるエディスの首根っこを掴み、春翔は『新しいの買ってあげるから』や『お仕事なんだから、しないとご飯が食べられなくなるんだ』等の言葉を言って渋々だが了承を得た。
「ここまでデカいと、一周回って怖くないっすね……」
 初任務の高野信実(aa4655)は、もぞもぞと動き回る巨大ナメクジを見て感嘆の声を出す。
『イイから早くリンクしてえぇぇっ!』
 どんなに大きくても、ナメクジはナメクジ。
 顔から血の気が引いていくロゼ=ベルトラン(aa4655hero001)は悲鳴に近い声を上げた。
「えーい!」
 望月は従魔『リマス』の群れに向かって塩を放り投げた。
 この時、天候は雨でありそして相手は従魔だ。
 塩の大半は雨に流され、従魔に掛かってもダメージ自体は無いものの少し縮んだ気がした。
『雨だと効果薄いね』
 百薬は低く唸る。

 【SW(斧)】アックスチャージャーにライヴスを溜め終えた春翔は、従魔『リマス』の群れに近づく。
 ライヴスを感知した、外側にいる従魔『リマス』は目が付いている触覚を揺らしながら頭を向けた。
『うぅぅ……ぴゃ!?』
 ぬるりとした体、独特なニオイと共にじりじりと迫り来る従魔『リマス』を見て、エディスは思わず飛び上がる。
 半数が気を取られ、分割された群れの片方に咲はブルームフレアで焼き払う。
『……ふむ、ナメクジとはこのような見た目をしておったのじゃなぁ』
「えぇ、似たような個体にカタツムリという、殻を背負った生物もいるんですよ」
 初めて見る巨大ナメクジを見て興味深く見つめるサルヴァドールに、咲は説明をする。
『ほう?』
 知らない生物の名を聞いてサルヴァドールは興味津々だ。
 火や乾燥に弱い従魔『リマス』は、青い炎に焼かれながら長い体をくねらせた。
 咲は素早くアラルの元へ駆け寄り、サバイバルブランケットを肩に掛けてる。
『もう、母は全裸になるかと思いましたの』
 アラルの服は、かなり溶けてしまっておりこれ以上戦っていてら服が全て溶かされていたであろう。
『とりあえず、着替えの服を用意した』
 バルトロメイは、幻想蝶から新品のセーラー服をアラルに手渡した。
『あらあら、バルトロメイ君は気が利く子ですの』
 と、言ってアラルは笑顔で受け取り、サバイバルブランケットを羽織った。

●まって、服を溶かさせて(心の声
『似合う?』
 共鳴姿のアラルはセーラー服に着替え、その姿をバルトロメイ達に見せる。
(最高にエロイ)
 そっと、アラルに向かってバルトロメイは手を合わせた。
『でも、ちょっとこの服は若い子向けだと思うの』
 セーラー服の丈が少し足りないのだろう、おへそ丸出しで下から覗いたら危険な状態だ。
 そんな事はさせぬ! と言わんばかりに従魔『リマス』達の口から体液が飛ばされた。
 色気のけの時もない、共鳴姿の服装に体液が掛かるも……
『乙女の柔肌を守る最後の砦! サファイア社のランジェリー、2017年モデルもご期待下さい!』
 去年の下着モデルをして頂いた海がテーマの下着を惜しげもなく晒し、バルトロメイは声高らかに宣伝をした。
「バルトロメイさんセクシーです! 蒼炎槍の力、受けてみなさい!」
 望月は蒼炎槍「ノルディックオーデン」を手の中でくるりと回し、従魔『リマス』が体液で防ぐも手足に燃え盛る炎が焼き払う。
「人命優先ですねー早くその女性を」
 咲がブルームフレアで従魔達を焼き払うと、アラルが必死に守っている女性に視線を向けた。

『こやつの体液は服を溶かすそうじゃ。ちょっとくらい当たってみてはどうじゃ? ミサトちゃん』
 と、嵐山が提案する、が。
「……私は火傷しても構わないと? 老師」
 ミサトの瞳から光が消え、虹蛇をパシッと地面に叩き付けながら冷ややかな声色で言った。
『軽いジョークじゃよミサトちゃん……。殺気を向ける相手が違うじゃろ』
 恐る恐る嵐山は否定の言葉を口にするが、ミサトは心の中で『老師、後でお覚悟を』と呟きながら鞭を振るう。
 ぬるっとした体液のせいだろう、叩き付けた鞭は従魔『リマス』の表面を滑り地面へと落ちた。
「あまり効果がないようです、老師」
 と、言いながらミサトは、鞭を振るい付着した体液を弾き飛ばした。
『従魔の体表の粘液がダメージを軽減しておるのじゃろう。かまわんから、体液を鞭で吹き飛ばすのじゃ』
「強引ですが、私達らしいやり方ですね」
 嵐山の提案はかなり強引な方法だが、ミサトは口元を少し吊り上げ笑みを浮かべた。
 虹蛇わを振るい疾風怒濤で、従魔『リマス』の体液を飛ばす程の連続攻撃を浴びせた。
「やっと1体倒せましたね。しかし、これでは手間がかかります」
 だらりと地面に横たわる巨大ナメクジを見据えながらミサトは、小さくため息を吐いた。

「ボンジュール皆さん、ボクを信じて一緒に避難してくれる?」
 腰を抜かして地面に座り込んでいる一般人2名に、信実は手を差し出した。
「あ、あ……」
 恐怖のあまりに上手く声を発せれない少女は、信実を見上げなからぽろぽろと大粒の涙が頬を濡らす。
「王子様じゃなくてゴメンね。さ、お姫様、安全な場所まで連れていってあげるね」
 信実は少女にサバイバルブランケットを羽織らせ、抱き上げると背中をぽんぽんと優しく叩いた。
「さぁ、お母さんも。安全な場所を案内するすっよ」
「ありがとうございます。大丈夫、お母さんは平気よ」
 泣きじゃくる少女に向かって、母親は頬に貼り付いた濡れた髪をのかす。
 エディスが自分を守る序でに近くの仲間をウェポンディプロイで複製された飛盾「陰陽玉」 で、インタラプトシールドで体液のダメージを軽減する。
「あのさぁ……身体は殆ど俺なんだからいいじゃねぇか……」
 それもそうだ、春翔の体を使って英雄は戦闘が出来るのだからエディスには関係無いのだが。
『半分はエディスなのぉー!!』
 「絶対に溶かされたくない!」の一心で、エディスは飛盾「陰陽玉」で鉄壁のディフェンスにより体液のダメージは負ってはいない。
「……ダメダコリャ」
 春翔は、8時から集合しそうな番組のツッコミ役がオチに使う言葉を言った。

 さて、ここまで溶かされたエージェントはなんと! 1名しかいないという奇跡!
「お色気展開にはまだまだ早いので」
 と、言って望月は体液は「ノーセンキュー」と言わんばかりに、タワーシールドで頑なに嫁入り前の体に傷を付けぬように守る。
「バルトロメイさん!」
 一般人を安全な場所まで送り届けた信実は、ブランデーを従魔『リマス』に投げてお酒を浴びせた。
『フランベだー!』
 唯一セクシーな格好のバルトロメイは、ちゃっかふぁいあーくん1号で容赦なく従魔『リマス』を炙る。
 ブランデーの良い香りが漂い、空腹だったのだろうか? 弩 静華(az0039hero001)のお腹の虫が大合唱し始めた。
「あ、あの! 何で、下着姿なんですか!?」
 純情な信実は、バルトロメイの姿に気が付いて頬を赤らめながら問う。
『サービスシーン兼宣伝だ!』
 可憐な?女性の口からは男らしい言葉が発せられた。
「って、そっちもですか!?」
 セーラー服姿のアラルを見た信実は慌てて視線を反らす。
『こっちは、俺の趣味だ!』
 と、バルトロメイが胸を張って言う。
『いいか? 年齢相応のセーラー服は何時でも見れる、が。大人になってしまい、着ることはない年齢の女性が着ると何処と無く背徳感が増し、恥じらったり「こんなの私には似合わない」と良いながらも……』
 と、バルトロメイが熱く、熱く、セーラー服に語っている最中。
「ナメクジどもは、地面を這いつくばっているのがお似合いよ! さぁ、死になさい!」
 ミサトが虹蛇1本で、次々と従魔『リマス』を嬉々として倒しながら声を上げた。
『あれは、例外だな』
「ど、何処がですか?」
『それはな……』
 語ろうとするバルトロメイの頬に鞭が掠めた。
 二人の方に、氷で出来た針のような冷たく、そして痛い視線が向けられていた。
『ほら、まだ従魔は沢山いますの。母も手伝うから頑張るのよ?』
 バルトロメイの傷をケアレイで癒しながら、アラルは二人に笑みを向けた。
『突っ込む!? やだぁーーーー!!!』
 エディスは涙で頬を濡らしながら駆け出した。
「皆さん、退避してください!」
 咲が仲間に声を掛けた。
『早く、終わらせて、ぐすっ……』
 エディスは多数の武装を召喚する。
『全部……全部……倒されてよーーーっ!!!』
 召喚された武器は、空から降る雨のように従魔『リマス』に攻撃が降り注ぐ。
 無差別攻撃なので、精度は良くはないが当たって少しでも数が減れば良い。
「倒し残しはわたしが焼き払います」
 咲はルールブック「完全世界」を手に、エディスの攻撃が終わるのを待つ。
「バルトロメイさん、これをどうぞ」
 望月は持参したコートをバルトロメイに差し出す。
『ありがとうな』
 コートを受け取ると肩に掛けた。
「これで、最後でしょうね」
 咲は倒れている巨大ナメクジを見回し、ルールブック「完全世界」を開き従魔『リマス』達の周囲にライヴスの青い炎が燃え上がる。
 そして、青い炎は弾けると従魔『リマス』の体を焼き尽くす。
「一件落着ね」
 と、望月は胸を撫で下ろす、が。
『さぁ! 料理を、する!』
 静華は皆が戦っている合間にBBQセットや調理器具を用意し、それらが雨に濡れぬようにテントも張っていた。
 ここからが本番だ。

●珍従魔ハンター『ナメクジ編』
 望月編
「特殊調理従魔かな、倒しても消えない、食べてみたい人がいるなら止める理由はないし」
『食材として優秀かもね』
 と、望月は百薬は首を傾げながら話し合う。
「うーん、とりあえず下処理をしたら揚げてみようか。天ぷらなら食えると思う」
 望月は中まで焼けているであろう、巨大ナメクジを選ぶと調理を開始した。
『醤油の効いたお出汁があればなんとかなるね』
 と、百薬は準備されている調味料を手に取り、小さな片手鍋に水を入れて沸騰させる。
 着々と揚がるナメクジの天ぷら、ついでに彩りとして野菜も上げて盛り付けられた見た目は普通の天ぷらだ。

 セレティア編
『まずは素材の味を確認するためにさっと茹でて醤油だ』
 バルトロメイは細切りしたのを、豪快に水が沸騰している鍋へと放り込んだ。
 茹で上がったソレを皿に乗せ、醤油を掛けて出来上がりだ。
 とてもシンプルな1品。
「いーやー! 無理無理っ!」
 ソレがナメクジだと知っているセレティアは、頭を抱えながらふるふると首を横に振りながら叫んだ。
『塩辛にして土産にしよう』
 イカに近い食感のナメクジ。
 苦い、という部分は酒の肴として進むのでは? と思いバルトロメイは作った。
「そういうのって、みやげものならぬいやげもの、って言うんですよ!」
 既に調理光景さえ、見るに耐えかねたセレティアは半泣きになりながら叫ぶ。

 咲編
「冥人さん、見てるだけでしたのでお手伝い位はしてくれますよねぇ?」
 と、隠れていた圓 冥人(az0039)に咲は声を掛けた。
「はいはい、手伝いますよ」
 逃げられない、と悟った冥人は渋々手伝う事にした。
「茹でたナメクジの下処理をお願いしますよー」
 大きな鍋に、大量の巨大ナメクジだったモノが漂っていた。
「うん……」
「そう言えば……この辺りに毒があったような……」
 と、言って咲は茶色い模様の部分を切り離す。
 醤油、生姜、ニンニク、料理酒、唐辛子少々のタレに、一口サイズに切ったナメクジを入れて漬け込む。
 片栗粉と小麦粉を半々にし、漬け終えたソレにまぶして余分な粉を落として油の中へ。
 その他にも、甘辛醤油、バター醤油、香味焼き、ガーリック、味噌炒め等の炒めモノに煮物系のトマト煮、コンソメスープ等も作った。
 他の素材や調味料により、一目見ただけではナメクジの部分が全く分からない。

 春翔編
「さて、簡単にバターでソテーしてみるか」
 なお、エディスに関しては『あんなの料理する気がおかしい! ぜぇぇぇぇったいに、ヤダ!』と言って、幻想蝶に逃げられてしまった。
 なので、春翔一人で可能な限り調理をする事にした。
「短冊切りにして、ホウレンソウや野菜も少し入れて見た目も誤魔化せば」
 とりあえず、コレはナメクジ! と分からないように春翔は食材を切る。
 熱したフライパンにバターを落とし、食材を入れて少し炒めた後に黒胡椒を入れて味に少しアクセントを付けた。
「こんな、ものだな」さ
 炒めたのをお皿に乗せ、見た目はイカが主役の野菜入りソテーの出来上がりだ。

 信実編
「こんなの見せられちゃ食欲も失せるけど~……仕事の内だもんね」
 『あと、タイトル回収の為に』と付け加えたが、それは言ってはいけない。
 君たちは主役なんだ! いわゆるメタな発言はしたらイケナイ気がする。
 ナメクジに対し、嫌がっていたロゼはこんがりと焼けたナメクジの一部を切り落とし、ぽいっと口に入れて味見をした。
「うん」
 ロゼは幻想蝶から調理器具セットを取り出し、内蔵を避けながら適量を切り分け、オリーブ油とガーリックバター、バジルと王道の味付けをしフライパンで焼いた。
『エスカルゴ……そうよエスカルゴよ!』
 皿に完成した料理を盛りながらロゼは言う。
『生きたソレはコワいけど、動いてなくっちゃコッチのモノよ♪』
 美しく盛り付けられた皿をテーブルに置くと、ロゼはフォークとナイフを手にした。
「く、食いませんよ……俺、ナメクジよりロゼさんの順応性の方が怖いっす」
 皿の上の料理を見つめながら信実は、首を激しく横に振りながらも内心は楽しいロゼを見て嬉しく思っていた。

 実食編
『お嬢の料理は美味いのぅ……』
 と、咲の料理にご満悦なサルヴァドールの手は止まらない。
「うん、まぁ良いんじゃない? 何時でも嫁に行けるレベルだよ」
 冥人も遠慮なく咲の料理を口にする。
「全くダメじゃないけど、やっぱり美味しさは気持ちも必要じゃないかな」
 と、望月も自分の料理を持ってきた。
『合格』
 静華がポケットから『珍従魔コック(合格)』と書かれたカードを、咲に渡す。
『甘い物が待っているならなんでもできるよね』
 と、百薬が言うと。
『母が即席で作ったのでよければ、食べてほしいの』
 アラルは百薬にミニシナモンロールが入った袋を渡す。
『これで、完食なんて苦にならないよ……って、美味しい!』
 咲の料理を食べた百薬は目を丸くし、驚きの声を上げた。
「ほ、本当に……ですか?」
 セレティアも恐る恐る料理を口に入れた。
「何! バルトさんのより美味しいです!」
 と、絶賛の声が響く中。
『うぅぅぅ……』
 仲間から少し離れた位置でエディスは、体を震わせながら椅子の上で膝を抱えていた。
「泣くなよ……悪かったって……ほら、食うか?」
 春翔は駆け寄ると、仲間が作った料理差し出す。
『要らないー!』
 ナメクジが入っているのは分かっている。
 だからこそ、エディスは唇を尖らせ春翔とは反対側に顔を向けた。
『無事か?ティリアちゃん!』
 嵐山は、手当てしてもらっているティリアの元へと駆け出した。
「大丈夫ですわ。嵐山様、心配してくださってありがとうございますわ」
 優しい笑みを浮かべるティリア。
『でへへへ……。どれ、怪我をしてないか儂がみてやろう。ほれ、もっとよくみせておくれ』
 ボロボロになったオペレーター制服の隙間から見える肌色に、嵐山は興奮し過ぎて暴走しそうになる、が。
「老師。怪我は私が看ますから。アチラへ行っていてください」
 ガシッとミサトは、嵐山の顔面を掴み指先に力を込めた。
 ギシギシと軋む頭蓋。
『いででで。ギブギブ! ギブじゃ』
 頭を片手で押さえながら嵐山はタオルを投げた。
『あらら、喧嘩はしてはいけないのよ?』
 セーラー服姿のアラルは、嵐山とミサトを交互に見つめた。
「すみません。私の英雄が良からぬ事をしようとしたため、制止していた所です」
『そう、それならいいのだけど。母、心配するの』
『絶景じゃ……』
 と、嵐山はアラルをローアングルから眺めていた。
 胸囲のトップとアンダーの差分に開いた上着の隙間からは、南半球が見放題だ。
「老師……先ほどの事、覚えていましたか?」
 ミサトは、嵐山の頭を掴むと半ば引き摺るようにロンドン支部へと帰還した。
 雨降れば地固まる。
 しかし、今回の様な従魔はまた現れるであろう。
 その時になったらまた『珍従魔ハンター』は現地に赴いて、調理をして食べるであろう。
 最高に美味しい従魔に出会えるまでは……。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
  • ローズクロス・クイーン
    新座 ミサトaa3710

重体一覧

参加者

  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
    人間|11才|女性|攻撃
  • 過保護な英雄
    バルトロメイaa1695hero001
    英雄|32才|男性|ドレ
  • 幽霊花の想いを託され
    花邑 咲aa2346
    人間|20才|女性|命中
  • 想いは世界を超えても
    サルヴァドール・ルナフィリアaa2346hero002
    英雄|13才|?|ソフィ
  • ローズクロス・クイーン
    新座 ミサトaa3710
    人間|24才|女性|攻撃
  • 老練のオシリスキー
    嵐山aa3710hero001
    英雄|79才|男性|ドレ
  • 生命の意味を知る者
    一ノ瀬 春翔aa3715
    人間|25才|男性|攻撃
  • 希望の意義を守る者
    エディス・ホワイトクイーンaa3715hero002
    英雄|25才|女性|カオ
  • 特開部名誉職員
    高野信実aa4655
    人間|14才|男性|攻撃
  • 親切な先輩
    ロゼ=ベルトランaa4655hero001
    英雄|28才|女性|バト
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