本部

風のない砂漠で

弐号

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/04/05 01:00

掲示板

オープニング

●言い伝え
 砂漠の移動手段と言うと何をイメージするだろうか。
 一般的にイメージされがちなのはラクダだろう。
 もちろん、未だにラクダは現役の移動手段である。しかし、今や21世紀。車での移動も当然ながら盛んである。
 しかし、砂漠の只中に存在するこの集落には、車を使う際の注意ごとが一つある。
 
 『風のない日に車に乗ってはいけない。どうしても乗らなければならないのなら、決して止まってはならない』
 
 この日、レンタル用のジープに乗り、砂漠を横断する旅行客の集団。
 彼らはこの言葉の意味を身をもって知ることになる。

●砂の地獄
「ふぅ……疲れて来たな。誰か運転変わってくれないか」
 ハンドルを握っていた男が男が首を鳴らしながら後部座席に座る仲間に呼びかける。
「いいですよ。丁度飯も食い終わりましたし」
 それに答えたのは運転手より幾分若い印象を受ける眼鏡の男だった。後輩か何かだろうか。
「後ろでぼーっとしてても景色も変わらなくてつまらないと思ってたんでちょうど良かったです」
「なら頼むわ。流石に肩が凝ってきた」
 景色が変わらない事で付かれるのは運転手も同様である。昼飯もまた食べていなかったし、少し休みたかった。
 運転手の男はエンジンをかけたままドアを開き外に出る。
「……? 珍しいな……」
 灼熱の砂地に足を付けた男は違和感に気付き呟く。
 風がない。
 これだけ広大で遮るもののない砂漠で全く風を感じないというのはなかなか稀有な体験だった。
「そんなこともあるもんか……」
「おおい、早くしろよ。こんなところでずっと立ち止まってたら照り焼きになっちまうぜ」
 助手席に座っていた男が面倒くさそうに文句をつけてくる。
「ち、口の減らない奴だ」
 運転を変わる気もない癖に文句だけ付けてくるその男に言い返しながら後部座席の扉を開く。
「それじゃ、交代頼――ん、なんだ?」
 そこまで口にしてから男は動きを止める。
「……? どうしました?」
「何か……揺れてないか?」
 ドアに手を掛けたまま男が怪訝な顔をする。
 男の足に細かな振動が地面から伝わってきていた。
 地震? こんな砂漠で? 無いとはいえないが、そうそう起きるものでも無いはずだ。
「何も感じませんけどね。このジープの振動じゃないですか? こいつ相当ぼろくて音も振動も酷いですからね」
「……いや」
 後輩の言葉に一瞬そうかもしれないと考えるが、すぐに思い直す。
 ジープの振動ではない。間違いなく地面から伝わってくる。
 そして、それは徐々に大きく――
「何か来るぞ!」
「え――」
 それ以上の言葉を後輩が発する事はなかった。
 彼の体が登場していたジープごと遥か十数m上空にふっ飛ばされ宙に舞ったからだ。
 ――地面から突然突き出してきた巨大な丸太のような『何か』によって。
「なっ!」
 仲間が化け物によって車ごと持っていかれたのを見て男がその場に尻餅を突く。
「せ……従魔……」
 男が何とか言葉を絞り出す。
 常識では考えられない化け物。尋常なる人間にとってただ蹂躙されるしかない怪物。
 それが目の前にいる従魔だ。
「――」
 それは一言で表すならば巨大なミミズ、というのが最も適切な姿だった。
 地面から伸びる足も節もない細長い胴体。そして、その先端にはミミズには見られない鋭い牙の立ち並ぶ口がぽっかりと空いている。
 その口が今は男に向かって向けられていた。
「た……助け……」
 腰砕けになって動けない男が命乞いを口にする。どう見ても言葉の通じるような相手ではないが、それでも口にせずはいられなかった。
 このままでは喰われるという恐怖が男を支配していた。
「……っ!」
 と、その時、上空にかちあげられていたジープが地面に激突し、盛大な音と共に破片をばらまいた。
「――」
 同時に目の前の『ミミズ』が急に男の方から向きを変え、再びジープの方へと襲い掛かる。
 チャンスだ。男は確信した。逃げるなら今しかない、と。
 気力を振り絞ってガクガクと震える足を抑え、立ち上がる。
 どこへ逃げようなどと考える余裕はない。とにかく、一刻も早く、一歩でも遠くここから離れなくては。男の頭の中はそれで精いっぱいだった。
 何とか体を反転させ振り返り――
「う、うわぁぁぁ!」
 男は悲鳴を上げた。
「――」
 そこにはもう一体の『ミミズ』の従魔。
 その口は既に男の方を向いている。
「神よ……」
 最後に男は神に祈り、そして闇に沈んだ。

●危機感
「ライヴス反応の急上昇?」
「ええ、一瞬だけだったんですけど……」
 プリセンサーからの連絡に怪訝な顔を見せるのは奥山 俊夫(az0048)、H.O.P.E.のオペレーターである。
「砂漠の真ん中でライヴス異常か。あまりいい予感はせんな……。了解した、こちらでも調べておこう」
「よろしくお願いします」
「さて……」
 プリセンサーとの通話を切って、俊夫は一度コーヒーを口に入れ気を落ち着かせてから、データベースにアクセスする。
「過去のデータは……ない、か。砂漠の中心ではそうだろうな……」
 無視してもいい情報ではある。ライヴスが多少の妙な動きを見せるのは頻繁にある事ではないが、かといって決して珍しいというほどの事でもない。
「しかし……何か臭うな」
 それは言わば勘、である。この仕事に長く携わった故の、きな臭い空気への敏感さ。
「念には念を入れるべきか……」
 少し悩んだ後、俊夫はエージェント派遣の申請画面を呼び出した。

解説

●解説
・目的
従魔の発見と殲滅

・敵 ※PL情報
デグリオ級従魔「サンドワーム」×2
 巨大なミミズのような外見をした従魔。普段は砂の中に潜行しており、捕食時のみ砂から顔を出し食らいつく。
 その体の太さは大人3人が手をつないでようやく囲めるほど太く、体長も10m以上ある。
 全体を砂から出す事は滅多になく、蛇のように鎌首をもたげて器用に体を動かす。
 体は外殻に覆われており、かなり硬い。動きも意外と俊敏であり、身体を振り回されるだけでも結構な脅威である。
 また、潜行中に掘った砂を体内に取り込んでおり、それを吐き出して攻撃してくることもあるようだ。

・状況
 今回、敵の姿どころか存在すらPCには確かでありません。
 『ライヴス異常が起きた地点の調査』が表向きの依頼内容となります。
 現地到着はOPの事件発生の翌日となります。そこで横転し破壊されたジープを発見します。
 敵はまだその場から大きく移動しておらず、近くに潜んでいる状態です。

リプレイ

●砂漠の熱
「砂漠ならサーコートよりも大きな布を纏った方がいいかな」
「そうね、味気ないけど。砂まみれで汚れるよりはいいでしょ」
 砂漠を前にして自身の恰好を気に掛けるアイリーン・ラムトン(aa4944)にラムトンワーム(aa4944hero001)が返事を返す。
「それにしても砂漠の真ん中での異常か、碌なことがなさそうだな」
 現地近くの町で借りたジープに荷物を積み込みながら月影 飛翔(aa0224)が呟く。
「でも、ライブス以上は一瞬なんだよね。何か隠れてるのかな?」
「敵のシノビか?」
 飛翔の言葉を受けて楠葉 悠登(aa1592)が疑問を口にするが、それに返したのはナイン(aa1592hero001)だった。
 至極真面目な表情で忍者の印を組むポーズを取っている。
(今度は何に影響されたんだろう)
 内心苦笑いを浮かべるが、ナインの天然ボケにいちいち付き合っていてはいくら時間があっても足りない。悠登は軽く流す事にした。
「えーと……従魔がいる可能性はゼロじゃないかも」
「周囲には何もないので目撃情報もない……何かしらを行うには最適と言える場所ですね」
「気候さえ問題なければその通りだな」
 悠登の発言を拾ってルビナス フローリア(aa0224hero001)と飛翔が続ける。
「……まあ、何もないのならそれでいいのですけどね」
「ロロ……」
 飛翔達が積み込んでいるジープとはまた別のジープに積み込む構築の魔女(aa0281hero001)の言葉に辺是 落児(aa0281)が頷く。
 なお、今回ジープは二台用意されている。とはいえ、能力者と英雄を合わせると総勢20名。それでも少し心許ない。
「うーん」
「どうした弟者」
 スマホを弄りながら首を捻る阪須賀 誄(aa4862hero001)に兄である阪須賀 槇(aa4862)が話しかける。
「いやな、兄者。さっき現地の人に言われた言葉を翻訳してみたんだが、妙な言い伝えみたいなんだ」
「ふーむ……『風のない日に車に乗ってはいけない。どうしても乗らなければならないのなら、決して止まってはならない』?」
 首を傾け弟のスマホに書いてある文を音読する槇。
「ふーん、変な話だね」
 そのさらに後ろからストゥルトゥス(aa1428hero001)が首を伸ばして画面を覗き込む。
「砂嵐になったら、止まってやり過ごせ……なら、まだ分かるんだけど……」
 さすがに他人のスマホを覗き込むような行儀の悪い事はせずにニウェウス・アーラ(aa1428)がストゥルトゥスの横で口を挟む。
「凪ったら走りまくれ、か。砂嵐の何かから守ってくれてるって事カナ?」
「うーん……視界? それとも別の何か?」
 顎に手を当て悩まし気に唸るニウェウス。
「さて、一体何が出てくるのかな」
「無駄足にならなければいいんだけど」
 既にジープに乗り込んで座っている二人の少女――アリス(aa1651)とAlice(aa1651hero001)が足をぶらつかせながら呟く。
「やはり情報が足りないな。近辺で似たような事例は確認されていないのですか、奥山さん?」
《残念ながらな。そもそもほとんど人のいない地域に注目する事の方が稀だからな。今回はたまたまだ》
 ツヴァイ・アルクス(aa5037hero001)が通信機に向かってオペレーターに問いかけるが、返事は素っ気ない。
「ま、ここでああだこうだ言ってもしょうがない。いっちょまずは当たってみようや」
 慎重に情報を得ようとするツヴァイの肩を叩きながらキャルディアナ・ランドグリーズ(aa5037)が豪快な笑みを見せた。
 能力者と英雄でありがなら全く正反対の性格である。
「ま、そういう事ね。敵がいるなら出てきたところを蹂躙すればいいんだわ」
 こちらは不敵な笑みを浮かべながらレミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)がキャルの言葉に同意する。
「それに、邪英化から復帰して初めての任務……改めて気を引き締めて挑むわよ」
「ああ、受けた恩義は……剣での働きを以って皆に返さねば……な」
 瞬時に顔を引き締めるレミアに夫である狒村 緋十郎(aa3678)も頷く。
「あんまり気負うなよ、狒村」
 ジープの荷物を固定するベルトを締めつけながら荒木 拓海(aa1049)は友人である緋十郎に話しかけた。
「分かっている。心の焦りをコントロールできないほど若くはないつもりだ」
「ふふ、その様子だと大丈夫そうね」
 緋十郎の落ち着いた返事にメリッサ インガルズ(aa1049hero001)が笑みを漏らす。
「拓海も人の事ばっかり言って、自分が失敗したら目も当てられないんだからね」
「えぇ、オレ? だ、大丈夫だよ……多分」
「すぐそうやって濁す」
 急に話が自分に降りかかった事に焦り思わず頭を掻く拓海に追い打ちをかけるメリッサ。
「ロロ――」
「ええ、そうですね。なにせ砂漠ですから」
 急に今日の気温について感想を口にする落児に構築の魔女も笑顔で頷き、車に乗り込むのだった。

●予感
「ほんとに砂砂漠なんだ、珍しい……」
 アイリーンが揺れるジープの車窓から外を覗き込む。
「そういえばこういう砂で構成された砂漠は珍しいと聞いた事がありますね」
「そうなんですよ、9割は岩石砂漠で……こういう所は本当珍しいですよ」
 窓から構築の魔女へ視線を移し、砂漠の知識を披露する。微笑ましいと言えば微笑ましい光景だが、隣に座るラムトンワームは相棒の様子に溜息を吐いた。
「お嬢ちゃん、観光じゃないんだからもう少し緊張感をだね……」
「うるさいな、わかってるわよ! 私だって別に遊びで外を見たわけじゃ……ん?」
 ラムトンワームの小言に文句を言いながら再び外を覗いたアイリーンが何かを見つける。
「……あれ、なんでしょう?」
「ん、どれ?」
 アイリーンが指を指した方向を横から覗き込む悠登。その二人の視線の遥か前方に、殺風景な砂漠の中では異質な黒く四角い何かが鎮座していた。
「……車ではないか、あれは」
「そうっぽいね」
 続けて寄ってきたナインの言葉に悠登も同意する。
「拓海さん、右側に何かある」
「うん、オレにも見えた。槇さん、そっちは確認できる?」
《OK、見えてますよっと》
 もう一台のジープを運転する槇に呼び掛ける。
《時に兄者。もう露骨すぎて近付いたら強制イベント発生という感じの有り様だけど近づくのか?》
 通信機から今度は弟の方――誄からの通信が入る。
「……そうだなぁ」
 ちらりと問題の車らしき影に視線を移す。
 車の状態は尋常な状態とは言えなかった。横転しており、さらにここから見ただけでもぱっと見で分かるほど変形している。
《あそこに怪我人がいないとも限らないし、行くべきだ》
《そうですね、臆病風に吹かれている間に失われる命があってはなりません》
 そう答えるのは飛翔とその従者ルビナス。
《私も同意見だな。どうも様子を見るってのは性に合わねぇ》
「んー、私は様子見かなー?」
 続けて同意したキャルに対し、逆に慎重論を唱えるのはストゥル。
「敵の姿がさっぱり見えないてーのがねぇ」
「そうですね……ただの横転などではなさそうですし、最近は罠を張って待ち構えるような愚神も多いですし」
 構築の魔女がストゥルの意見に乗っかる。
 ……どうも意見が割れている。
「んー、それじゃあちょうど二台あるし、二手に分かれるのがいいんじゃない? リスクヘッジにもなるし」
「敵の姿が見えない以上、妥当な案だろう。奇襲で一網打尽にされるのが一番厄介だ」
 メリッサの提案にナインが静かに同意する。それにちょうど慎重派と調査派が綺麗に湧かれている
「それじゃあ、それで行こう。槇さんの方は車に近付いてみて。こっちは周辺に愚神がいないか警戒してみる」
《OK、貧乏くじゲット》
《二択で外す当たり流石だよな、俺ら》
「……じゃ、お願いします」
 同意だか文句だかよくわからない返事に、拓海は苦笑いを返す事しかできなかった。

●敵影、いまだ見えず
「な、なんだコレは弟者……どどどどどうしよう」
「OK兄者、やばい空気だ」
 横転した車に近付きその詳細が見えてくるにつけ、阪須賀兄弟が身を震わせる。
 変形しているところの話ではない。その車体は最早スクラップ同然、車体は大きくひしゃげ、一部は無理矢理もぎ取ったかのようにねじ切られている。
 どう見たって尋常な事故ではない。
「ひどくやられているな。何か巨大なものが衝突したか、高い場所からでも落とされたか」
 近くで停車した車から飛び降り、エージェント達は車に駆け寄る。
「生存者はいるか?」
「いや、中には誰もいない。……痕跡ならあるがな」
 キャルの確認に中に首を突っ込んだ緋十郎は首を振る。
「ああ、そうかよ……」
 その返事に顔を歪ませるキャル。『痕跡』とはそういう事だ。生きた何かがいた証、それが付着しているという事。
「死体が無いという事は『いる』わね」
 レミアが仁王立ちのままニヤリと笑う。修羅場に漂う独特の空気が彼女の闘争本能を刺激しているのだ。
「ええ、これでただの事故だと判断するようなら余程の脳内お花畑と言わざるをえません。……ご主人様」
「ああ、今の内に共鳴しておこう」
 ルビナスの無言の提案に飛翔が乗り、二人は共鳴して臨戦態勢をとる。
 周りの面々も後を追うように次々に共鳴していく。
「レーダー班、敵影は確認できるかい?」
《……索敵してる、けど……駄目、見つからない……》
《目視も同じく。見えるところにはいなさそうだね》
 キャルの呼びかけにニウェウスと悠登が答える。
「こっちでもライヴスに動きは無いわ」
 レミアがライヴスゴーグルを通し、辺りを見渡すがこれと言った異常は見受けられない。
「このジープが襲われてから、かなり時間が経ってる可能性もあるか?」
「それはどうかしら?」
 飛翔の言葉に珍しくアリスが口を出す。その手には半分開かれたハンバーガーの包みが握られていた。
「乾燥してカチカチにもなってなければ、風化もしてないわ。こんなに空気は乾燥してるのにね」
 ふにふにとハンバーガーのパン部分を指でつつく。
「OK、つまり……どういうことだ?」
『分からんなら黙ってろ、兄者。つまり、ジープが壊れたのはここ数日。ライヴス異常と重なるって事だ』
《ちょっと整理をしましょうか》
 構築の魔女の声が通信機ごしに聞こえる。
《ライヴスの異常が一瞬だけ計測されて、どうやらそれと同時にその車は破壊されたようです。何かが現れ、車を破壊し……そして消えた》
《上から奇襲とか、空中に跳び上がってたり、カメレオンみたいにその辺に溶け込んでいるのかも?》
「こういう場所のお約束として、下からというのがパターンだが」
「車で一番壊れたがが酷いのも床のエンジン部分だ。その線が有力だね」
 キャルが車のねじ切られた断面をなぞる様に触る。エンジン回りがごっそりと持っていかれている。正面や上からの衝撃とは考えにくい。
《私も同意見です。現状で敵の姿もレーダーに反応も無し……ひとまず地中と仮定しましょうか。その上で私は先ほど言われたこの土地の言い伝えが気になります》
《風がどうこうって奴か》
《あれが従魔や愚神の被害を伝えるものだとしたら……》
「風……音? もしくは砂の動き?」
 アリスが独り言のように呟きあたりを見る。今は少し風が吹き、砂が舞い上がっている。
『……なぁ、兄者』
「うん? なんだ、弟者」
『いっそ《やってみたら》分かるかもな』
 そう言って誄から一つ提案がなされたのだった。

●砂漠のヌシ釣り
「音だか振動だか分からないけど、伝承通りなら車を停車させておけば確かに引っかかるかもしれないわね。乗ったわ、その案」
「はっは! そういう罠を踏み抜く発想は嫌いじゃねぇぜ」
 レミアとキャルというある種豪快な性格の女性陣からの支持を受け、誄の案はあっさり採用された。
 それは『してはいけないという事をあえてしてみる』という非常に単純な手段であった。
「できればジープを囮にするのは最終手段にしたかったが……」
『……まあ、帰りは全員共鳴したまま戻れば人数は半分です』
 少し離れたところからジープを監視しつつ飛翔がこっそりぼやく。
《まあ、人が囮になるよりは……マシなのかな?》
 あえて自分に言い聞かせるかのように呟く拓海。まあ、心情は大体似たようなもんである。
「それは確かにそうかもしれないが。……風が止むぞ」
 肌で風の変化を感じ取って、告げる。エージェント達の間に緊張感が高まる。
《レーダーはまだ無反応。……気を付けて》
《こっちも今のところ変化は――いや、ちょっと待て》
 遠景から現場を望んでいた悠登から緊迫の声が伝わる。
《丘が『へこんだ』! 東の方! やっぱり地面に何かいるぞ!》
 悠登の指摘の直後――
「来たね」
 アリスの言葉にエージェント達が皆頷いた。
 地面の微振動。地中に何かがいる。
《レーダー反応! ジープの地面からライヴスが――》
 ニウェウスの通信を砂漠に響いた轟音がかき消す。
 ジープをに食らいつき高々と持ち上げる巨大な塔。
 ――従魔だ。
「なんじゃああこりゃあああっ!?」
『……OK、完全に予想外だ、なんだあれ』
 バリバリと音を立ててジープをかみ砕く巨大なワーム状の従魔の姿に槇が思わず尻を付いて驚く。
『……兄者! ビビってる場合か!』
「お、OK。時に落ち着けって、オレ」
 弟の叱責に自分を取り戻し、手元のスイッチを押す。
 同時にあらかじめ巻き付けて置いた爆導索が爆発し、従魔が食らいついていたジープが爆発する。
「釣りでしたー」
『流石だよな、俺ら』
 グッと満足そうに親指を立てる槇。
「――」
 さしもの従魔も流石に急な爆発には驚いたようで、噛み付いていたジープの残骸を放り投げる。
「硬そうだね、Alice」
「そうだね、アリス」
「なら、柔らかくしちゃおうか」
 アリスは一人でそう会話をすると従魔に向かって手をかざし、体内のライヴスを手の平に集中させる。
 霊力浸透。敵のライヴスのガードを反応させづらくするソフィスビショップの奥義だ。
「行きなさい、蝶々さん」
 アリスの指示で従魔の周りに無数のライヴスの蝶が生み出され従魔へと取りついていく。
 一つ一つが命を奪う毒の蝶。それに纏わりつかれ、従魔がもだえるように体を振り回す。
「よっしゃあ! 逃げる前にぶっ潰す!」
 その機を逃さず、キャルがリボルバー銃を続けざまに撃ち放つ。
 その弾丸が従魔の肌に浅く食い込んだ。
「ち、硬ぇなぁ」
「外皮は固そうだな。なら、直接叩く!」
 その横をすり抜け、飛翔が従魔に迫る。
「――」
 しかし、従魔もただやられっぱなしではない。その長い体を大きくしならせ、鞭のように向かってくる飛翔へと叩きつける。
「甘い!」
 それを大剣で横へ反らす様に受け止めると、返す刀で逆に斬りつける。激しい金属音が鳴り響いた。
「一刀両断とはさすがに行かないか」
 飛翔の力をもってしても従魔の鎧のような外殻を完全に切断する事は出来ず、深く傷をつけるに留まった。
《大丈夫か!? もうすぐ着くから耐えてくれ》
「来る前に終わらせたかったが、ゆっくり来ても大丈夫そうだ、安心しろ」
 ジープを完全安全圏まで対比させていた拓海からの声に冗談交じりに答える。
「あら、せっかく急いで来たのにつれない話ですね」
 警戒組のジープからいち早く駆け付けた構築の魔女が足を止めて銃を構える。
「外皮はさけて……目や口内などを狙ってみましょうか」
 静かに息を吐き、心を鎮めて精神統一をする。
「そこです」
 構築の魔女の放った弾丸が空中で軌道を転移させ、従魔の頭部に命中した。
 従魔は土に潜った胴体を中心に激しく動き回っている。これを正確に狙い打つのは並大抵の腕ではない。
「さっすが」
 レミアが構築の魔女の神業を口笛を鳴らして称賛する。そして、彼女自身も砂地を駆け従魔に肉薄する。
「私はもう少し力技で行かせてもらうわ。リーゼロッテ! 我が血を力に!」
 レミアの呼び声に答え、彼女の愛剣が茨を伸ばしその細腕に茨を突き刺した。
「多少大振りでも……そこなら躱しようがないでしょう!?」
 レミアは従魔の胴体の根元に向かってそれを力任せに薙ぎ払う。
「ち、生意気」
 大剣が深々と従魔の胴体に食い込む。……が、それでもようやく外殻を突破したか否かという深さだ。
「よし着いた! あとは任せろ!」
 レミアが素早く剣を引いたのに合わせて悠登が突っ込んでくる。
「まずは隙間を広げる! ブラッドオペレート!」
 悠登の手から放たれたライヴスの刃が先ほどレミアが付けた傷痕をなぞる様に切り裂く。
 傷痕から濁った緑色の体液が吹き出す。
「よし!」
『悠登! 油断するな、来るぞ!』
 根元で動く敵に気付いたのか、従魔が大きく体をねじり、自身の根元へ頭を向ける。
 その巨大な口から黒い塊が高速発射される。
「っ!」
「ふん、私のドレスに唾を付けるなんていい度胸ね」
 レミアと悠登を狙ったそれを、二人は何とか防御する。
「隙あり!」
 従魔の意識が二人に向いた隙を狙ってアイリーンが跳び上がり、その頭部にドラゴンスレイヤーを振り下ろす。
 激しい金属音。
「本当、硬い……!」
『やっぱりあたしと一緒で表皮に剣を弾かれるねえ。松脂が効くとも思えないしねえ』
 自分の伝承になぞらえてぼやくラムトンワーム。
(くっ……こんなことじゃ……)
 己が未熟を悔いるアイリーン。
《――アイリーン! 下!》
「え?」
 通信機から鋭く響くニウェウスの声にアイリーンの視線が足元へ移る。
 視界に移るは何の変哲もない砂の地面。
 ――それを突き破って巨大な従魔が突きあがってくる光景だった。
「きゃあああ!!」
 急な不意打ちにまるで対応できず上空へ吹き飛ばされるアイリーン。
「大丈夫かぃ!?」
 そのまま地面へと落下したアイリーンにキャルがケアレイで回復を図る。
「よくも……!」
 アイリーンを守る様に従魔と彼女の間に陣取ったニウェウスが魔力のこもった突風を従魔達に吹き付け、その外殻をわずかに溶かす。
『ぅわぉ。超BIGなミミズが二体……ホラーですかね、コレ』
「怖がってる暇、無いけど……ね!」
 ストゥルの冗談に微かに笑みを浮かべ風を送る手にさらに力を籠める。
「――」
 二体目の従魔がニウェウスの方を向く。
(今、ここをどくわけには……)
 しかし、彼女の後ろにはまだアイリーンが倒れている。無防備な彼女を放っておくわけには行かない。
「こちらです!」
 ニウェウスが攻撃を受ける覚悟を決めたところで、カンという甲高い音が鳴り響き、同時に激しい閃光が戦場を覆った。
 構築の魔女が放ったフラッシュバンである。
「……やはり、光は効果がありませんか」
 本来であればその光量で敵を怯ませ動きを鈍らせるフラッシュバン。しかし、すぐ近くでそれを使われたはずの従魔の動きは先ほどと何ら変わりがない。
 相手は地中を移動している従魔。やはり視覚が存在しないらしい。
(しかし、狙いは成功、ですね……)
 従魔はフラッシュバンの炸裂音に釣られてか、標的をニウェウスから構築の魔女の方へと変更していた。
 ちらりとアイリーンの方へ視線を移すと、素早く駆け寄った悠登が彼女を抱え安全圏へと退避しようとしてるのが目に入った。
 ひとまずの目的は果たしたと言っていいだろう。
 そして、もう一点重要な情報が一つ。
「やはり、反応するのは音、のようです」
 通信機でメンバー全員に得た情報を流す。
 フラッシュバンは風も衝撃も発生させない。あるのは凄まじい光量と少しばかりの炸裂音である。
 それに反応してこちらを向いたという事はあの従魔の感覚器官は音を頼りにしているという事だ。
「――」
「この距離であれば……!」
 従魔が構築の魔女に対し口から砂の塊を吐き出すが、それは余裕をもって回避する。
 この距離で身構えていれば躱せないほどの攻撃ではない。
「マズい、引っ込む!」
 距離を取って一体目の従魔に射撃を行っていた槇が唐突に叫ぶ。
 見ると従魔が体を高速で回転させ、徐々に地面へと潜っていくところだった。
『アンカーだ、兄者!』
「OK! ロングショットのアンカー砲行きますよっと!」
 槇がワイヤーの付いたアンカークローを射出し、従魔の体に食い込ませる。
「よし、食いつい――たぁぁぁぁ!?」
 確かに従魔に噛み合ったそれを槇が引っ張って止めようとするが逆に引っ張られて地面に叩きつけられる。
 さすがに体重が違い過ぎるうえに、地面が砂地ではまるで踏ん張りが効かない。
「逃がすかぁ!」
 そこへようやく駆け付けた拓海が同じくロケットアンカーを従魔に打ち込む。
「砂に逃げ込めると思うな!」
 アンカーが食いつくと同時に、もはやスクラップと化したジープにワイヤーの端を括り付けた。
 ズズ……と引きずられるジープ。しかし、少なくとも身一つで支えるよりは間違いなく堪えている。
「今だ! ロードカードリッジ!」
 その隙を逃さず、ブレイブザンバーに秘薬をロードし飛翔が走る。
「一気に決めるぞ!」
 潜りかけた頭部の付け根を狙い繰り出される高速の三連撃。物理の力ではなく魔力が込められたそれは、ついに従魔の首を跳ね飛ばした。
「……何!?」
 しかし、頭部を跳ね飛ばしたにもかかわらず、従魔はお構いなしに体を動かし、そのまま潜行していった。
「まだ動けるのか!」
『ミミズですからね』
「虫の生命力は高いとは言うが……」
 まさか頭を失ってなお動くとはさすがに想定外だ。
「気を付けてください! 奇襲が来ます!」
 ニウェウスが再びレーダーユニットを起動し、エージェント達に注意を呼び掛ける。
「といっても、なかなか厄介だぜ、これは」
 キャルが呟いて二体目のワームを見やる。
 ワームは鎌首をもたげて既に攻撃態勢。この攻撃はもちろん上から。
 そして、潜ったワームの奇襲は下からである。
 如何にこれから来ると分かっていても、頭上と足元を同時に警戒するというのはリンカーにとってもなかなかの無理難題だった。
 もし可能な対処があるとすればそれは――
「今見えている奴を瞬殺する……」
 しかし、それは簡単な事ではない。ワームの殻が非常に硬く頑丈であることは散々味わったばかリである。
「ねぇ緋十郎。ひとつ、思いついたわ。わたしの痛み、しっかり引き受けて頂戴ね。嬉しいでしょう?」
 ニヤリと口の端を吊り上げ、レミアが共鳴中の緋十郎に問いかける。
『無論だ。お前の痛みの全てを受け止めてみせよう』
 緋十郎の返事に躊躇いはない。何をするつもりなのか、という質問すらない。
 レミアはやると言えばやる。それを緋十郎は知っていた。
「突っ込むわ! 誰か援護を!」
 緋十郎の答えに満足するとレミアはすぐに駆け出した。
 今は一刻の猶予も許されない。最初の奴が戻ってくる前に終わらせなければならないのだ。
「任せな!」
 キャルの持つリボルバーから放たれた弾丸が次々とワームに着弾する。
「――」
 煩わしそうに体を振る従魔。
「ち、じっとしていなさよね……」
 激しく動く頭部を目で追いながら呟く。
 キャルのおかげで接近は出来たが、敵の動きが激しすぎる。作戦を成功させるには頭部の動きを把握する必要があるのだ。
「なんだか知らないけど、動きを止めればいいのね?」
 耳に届いたか細い声に前方を見やる。そこには両手に拳を握り、ワームの胴体の根元に迫るアリスの姿があった。
「少しは喜んで欲しいかな。私が前に出るなんて久しぶりなんだから」
 そのままサンドバッグを殴るボクサーのように拳で連打を加えるアリス。
「体内で魔力を爆発させる攻撃……防げるものなら防いでみなよ」
「――」
 体内に響く衝撃に従魔が身を震わせ動きを止める。
「やるじゃない」
 すれ違いざま、レミアがアリスにウィンクを送る。
 そして、そのままレミアは地を蹴り――
 従魔の口の中へ跳び込んだ。
「え、レミアちゃん!?」
 予想を裏切る行動に拓海が驚愕の声をあげる。
 あっさりと飲み込まれ姿が見えなくなった友人の姿に声を失う。
 一同が呆気にとられてからほんの数秒後――
「――!?」
 ワームの胴体が唐突に裂け、中から真っ赤な鮮血が吹き出す。
 ――いや、先ほど見たワームの体液は緑色だ。あれは血ではない。
「無茶するよ、まったく」
『七匹の子ヤギみたい……』
 突き出た『鮮血』が横にスライドし、ワームの胴体を切り裂いていき、ついには一周してワームを両断する。
 鮮血に見えたそれはレミアの握る深紅の大剣であった。
「ゲホッ! やっぱり、さすがに中からは脆かったみたいね……」
 さすがに無事ではいられず、地面に片膝を付くレミア。
「だ、大丈夫ですか!?」
 状態を持ち直したアイリーンがレミアにケアレイを放ち回復を図る。
『さて、それじゃあ後は死にぞこないを退治してハッピーエンドだ』
「今度は見逃さない……」
 頭上の懸念が消えた事で地中の敵に集中できる。ニウェウスは再びレーダーユニットを覗き、地面に視線を巡らせた。
 如何に従魔の生命力が優れているとはいえ、あれほどの傷を負って普段と同じようには動けまい。それほど深くには潜れないと思うのだが……。
「……いた!」
 地中からライブスの光が漏れだす様に立ち上る場所を発見し叫ぶ。それは少しずつ移動し、レミアのいる場所へ迫っているようだった。
『音が頼りってんなら、強烈なモン聞かせてやらぁ!』
「ん……派手に、いくよ」
『そーら、出てこいミミズちゃん!』
 移動するライブス光の上を狙って魔力の炎を炸裂させる。
 一帯に轟音と熱波が吹き付ける。
「――!」
 釣れた。炎の残滓を飲み込むかのように地面からワームが姿を現す。
「潜って火にいる夏の虫……砂漠の虫かな」
『いまいち決まりきってないけど……』
 そこへ巨大な鉈を構えた拓海が走り込む。
「一刀両断といきたいけど……」
 さしものワームも頭部を失っては動きが悪い。攻撃を当てるのは簡単だろうが、問題はその装甲の分厚さだ。
「荒木さん!」
 と、その拓海の横を追い抜いて一陣の光がワームに迫る。
 悠登の放った光の矢である。
「あそこを狙って!」
 その矢は吸い込まれるように先ほど緋十郎と悠登で付けた傷口に突き立てられる。
「サンキュ! 行くぞ! はぁぁぁぁ!」
 拓海の構える鉈に急激にライヴスが集中していく。全身のライヴスの全てを次の一撃へとこめる。
「これで、終わりだぁ!」
 拓海の鉈が火薬を炸裂させ胴体を両断し、今度こそ従魔の息の根を絶った。

●絶えぬ祈り
「宗教は違うかもしれねぇが、勘弁してくれ。供養したい気持ちは変わらんからさ」
 過去に教会でシスターをやっていたキャルが数多くの犠牲者を飲み込んでいるであろう従魔の死体に十字を切る。
「車を使う際の注意って、何時の頃からあったのかしらね……」
「地中でずっと活動していたが故に今まで発見されなかったのでしょうね……。あるいはH.O.P.E.設立前からいたのかも」
 同じく祈りを捧げるメリッサの呟きに構築の魔女が答える。その横で拓海が小さくため息を吐いた。
「少しでも早く来たかったな」
「確かに今までの犠牲は無念ではありますが……今ここで討伐できたことは意味があると思います」
「……そうだな。だから無駄な犠牲ではなかった……そう思うしかない」
 ルビナスの言葉に飛翔も頷く。
「ここで落ち込んでても仕方ないわ。こういうのはH.O.P.E.に一発文句入れてやればいいのよ。監視が甘いってね」
 緋十郎の首筋から口を離し、口元を拭いながらレミアが言う。
「そう言うな、彼等も頑張ってくれてはいる」
「……私だってH.O.P.E.には感謝はしてるわ。でも、それとこれとは話が別よ」
《検討課題として受け取っておくよ》
 レミアの言葉に奥山から通信が帰ってくる。
「でもまさかこんな巨大なワームが隠れてるなんて……」
「シノビも驚きだ」
「あはは、俺達も忍みたいに見えなくなれればよかったのにね」
 妙にシノビに拘るナインに苦笑いを返す悠登。
「調査の予定でとんでもない事になったな、兄者」
「卵を取ってきてくれと言われてドラゴンに襲われる奴だな。何、稀によくある」
「砂漠のイベントってのは大抵難易度が高いけど御多分に漏れず、だったねぇ」
「……何言ってるかよくわからないけど」
 阪須賀兄弟の話題に乗っかるストゥルにニウェウスは溜息を吐く。
 普段から突拍子もないことを突然言い出す性格だが、今回はその話に合う相手がいるから猶更である。
「暑いわ、アリス。早く帰りましょう」
「暑いわね、Alice。でも、そういえば車が一台しかないわ」
「そういえばそうだったな。いつもの癖で共鳴解いちゃったけど……リサ、幻想蝶に入る?」
「そうね……さすがに一台で20人は狭すぎるもの。それに外は暑いし……」
 拓海の提案にメリッサが頷いて幻想蝶の中に入り込む。
「こういう時は英雄が羨ましいよな……」
 手ごろな荷物で頭を守りながら拓海が呟く。幻想蝶の中は基本的に気温が一定で快適なのである。
「……」
「どうしたのかしら、お嬢ちゃん。戦いが終わったのに怖い顔しちゃって」
「何でもないから、放っておいて」
 からかう様な口調で話しかけるラムトンワームに、アイリーンは不機嫌そうに言葉を返す。
「あらそう? それじゃあ、後は頑張ってね」
 言って幻想蝶の中に入るラムトンワーム。
(いつかきっと私を殺しに来るこいつを私は仕留めないといけない……。その為には少しでも鍛えて強くなっておかないと、役目を果たせない……!)
 ぐっと拳を握り強くなることを誓うアイリーン。
 止んでいた風が再び砂漠を駆け巡る。
 時に強く吹き荒ぶ風は、砂を巻き上げ高く高く吹き上げて行った。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
  • 紅の炎
    アリスaa1651

重体一覧

参加者

  • 『星』を追う者
    月影 飛翔aa0224
    人間|20才|男性|攻撃
  • 『星』を追う者
    ルビナス フローリアaa0224hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
    人間|16才|女性|攻撃
  • ストゥえもん
    ストゥルトゥスaa1428hero001
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • 薩摩芋を堪能する者
    楠葉 悠登aa1592
    人間|16才|男性|防御
  • もふりすたー
    ナインaa1592hero001
    英雄|25才|男性|バト
  • 紅の炎
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 双極『黒紅』
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862
    獣人|21才|男性|命中
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 誄aa4862hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
  • エージェント
    アイリーン・ラムトンaa4944
    人間|16才|女性|生命
  • エージェント
    ラムトンワームaa4944hero001
    英雄|24才|女性|バト
  • リベレーター
    キャルディアナ・ランドグリーズaa5037
    人間|23才|女性|命中
  • リベレーター
    ツヴァイ・アルクスaa5037hero001
    英雄|25才|男性|バト
前に戻る
ページトップへ戻る