本部

戦闘

風のない砂漠で

弐号

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/03/30 07:30
完成予定
2017/04/08 07:30

掲示板

オープニング

●言い伝え
 砂漠の移動手段と言うと何をイメージするだろうか。
 一般的にイメージされがちなのはラクダだろう。
 もちろん、未だにラクダは現役の移動手段である。しかし、今や21世紀。車での移動も当然ながら盛んである。
 しかし、砂漠の只中に存在するこの集落には、車を使う際の注意ごとが一つある。
 
 『風のない日に車に乗ってはいけない。どうしても乗らなければならないのなら、決して止まってはならない』
 
 この日、レンタル用のジープに乗り、砂漠を横断する旅行客の集団。
 彼らはこの言葉の意味を身をもって知ることになる。

●砂の地獄
「ふぅ……疲れて来たな。誰か運転変わってくれないか」
 ハンドルを握っていた男が男が首を鳴らしながら後部座席に座る仲間に呼びかける。
「いいですよ。丁度飯も食い終わりましたし」
 それに答えたのは運転手より幾分若い印象を受ける眼鏡の男だった。後輩か何かだろうか。
「後ろでぼーっとしてても景色も変わらなくてつまらないと思ってたんでちょうど良かったです」
「なら頼むわ。流石に肩が凝ってきた」
 景色が変わらない事で付かれるのは運転手も同様である。昼飯もまた食べていなかったし、少し休みたかった。
 運転手の男はエンジンをかけたままドアを開き外に出る。
「……? 珍しいな……」
 灼熱の砂地に足を付けた男は違和感に気付き呟く。
 風がない。
 これだけ広大で遮るもののない砂漠で全く風を感じないというのはなかなか稀有な体験だった。
「そんなこともあるもんか……」
「おおい、早くしろよ。こんなところでずっと立ち止まってたら照り焼きになっちまうぜ」
 助手席に座っていた男が面倒くさそうに文句をつけてくる。
「ち、口の減らない奴だ」
 運転を変わる気もない癖に文句だけ付けてくるその男に言い返しながら後部座席の扉を開く。
「それじゃ、交代頼――ん、なんだ?」
 そこまで口にしてから男は動きを止める。
「……? どうしました?」
「何か……揺れてないか?」
 ドアに手を掛けたまま男が怪訝な顔をする。
 男の足に細かな振動が地面から伝わってきていた。
 地震? こんな砂漠で? 無いとはいえないが、そうそう起きるものでも無いはずだ。
「何も感じませんけどね。このジープの振動じゃないですか? こいつ相当ぼろくて音も振動も酷いですからね」
「……いや」
 後輩の言葉に一瞬そうかもしれないと考えるが、すぐに思い直す。
 ジープの振動ではない。間違いなく地面から伝わってくる。
 そして、それは徐々に大きく――
「何か来るぞ!」
「え――」
 それ以上の言葉を後輩が発する事はなかった。
 彼の体が登場していたジープごと遥か十数m上空にふっ飛ばされ宙に舞ったからだ。
 ――地面から突然突き出してきた巨大な丸太のような『何か』によって。
「なっ!」
 仲間が化け物によって車ごと持っていかれたのを見て男がその場に尻餅を突く。
「せ……従魔……」
 男が何とか言葉を絞り出す。
 常識では考えられない化け物。尋常なる人間にとってただ蹂躙されるしかない怪物。
 それが目の前にいる従魔だ。
「――」
 それは一言で表すならば巨大なミミズ、というのが最も適切な姿だった。
 地面から伸びる足も節もない細長い胴体。そして、その先端にはミミズには見られない鋭い牙の立ち並ぶ口がぽっかりと空いている。
 その口が今は男に向かって向けられていた。
「た……助け……」
 腰砕けになって動けない男が命乞いを口にする。どう見ても言葉の通じるような相手ではないが、それでも口にせずはいられなかった。
 このままでは喰われるという恐怖が男を支配していた。
「……っ!」
 と、その時、上空にかちあげられていたジープが地面に激突し、盛大な音と共に破片をばらまいた。
「――」
 同時に目の前の『ミミズ』が急に男の方から向きを変え、再びジープの方へと襲い掛かる。
 チャンスだ。男は確信した。逃げるなら今しかない、と。
 気力を振り絞ってガクガクと震える足を抑え、立ち上がる。
 どこへ逃げようなどと考える余裕はない。とにかく、一刻も早く、一歩でも遠くここから離れなくては。男の頭の中はそれで精いっぱいだった。
 何とか体を反転させ振り返り――
「う、うわぁぁぁ!」
 男は悲鳴を上げた。
「――」
 そこにはもう一体の『ミミズ』の従魔。
 その口は既に男の方を向いている。
「神よ……」
 最後に男は神に祈り、そして闇に沈んだ。

●危機感
「ライヴス反応の急上昇?」
「ええ、一瞬だけだったんですけど……」
 プリセンサーからの連絡に怪訝な顔を見せるのは奥山 俊夫(az0048)、H.O.P.E.のオペレーターである。
「砂漠の真ん中でライヴス異常か。あまりいい予感はせんな……。了解した、こちらでも調べておこう」
「よろしくお願いします」
「さて……」
 プリセンサーとの通話を切って、俊夫は一度コーヒーを口に入れ気を落ち着かせてから、データベースにアクセスする。
「過去のデータは……ない、か。砂漠の中心ではそうだろうな……」
 無視してもいい情報ではある。ライヴスが多少の妙な動きを見せるのは頻繁にある事ではないが、かといって決して珍しいというほどの事でもない。
「しかし……何か臭うな」
 それは言わば勘、である。この仕事に長く携わった故の、きな臭い空気への敏感さ。
「念には念を入れるべきか……」
 少し悩んだ後、俊夫はエージェント派遣の申請画面を呼び出した。

解説

●解説
・目的
従魔の発見と殲滅

・敵 ※PL情報
デグリオ級従魔「サンドワーム」×2
 巨大なミミズのような外見をした従魔。普段は砂の中に潜行しており、捕食時のみ砂から顔を出し食らいつく。
 その体の太さは大人3人が手をつないでようやく囲めるほど太く、体長も10m以上ある。
 全体を砂から出す事は滅多になく、蛇のように鎌首をもたげて器用に体を動かす。
 体は外殻に覆われており、かなり硬い。動きも意外と俊敏であり、身体を振り回されるだけでも結構な脅威である。
 また、潜行中に掘った砂を体内に取り込んでおり、それを吐き出して攻撃してくることもあるようだ。

・状況
 今回、敵の姿どころか存在すらPCには確かでありません。
 『ライヴス異常が起きた地点の調査』が表向きの依頼内容となります。
 現地到着はOPの事件発生の翌日となります。そこで横転し破壊されたジープを発見します。
 敵はまだその場から大きく移動しておらず、近くに潜んでいる状態です。

マスターより

今回はPC(プレイヤーキャラ)情報で得られている情報がかなり限られている依頼になります。
その点に気を付けて挑んでください。

関連NPC

  • エージェント
    奥山 俊夫az0048
    人間|54才|男性|回避適性

リプレイ公開中 納品日時 2017/04/05 01:00

参加者

  • 『星』を追う者
    月影 飛翔aa0224
    人間|20才|男性|攻撃
  • 『星』を追う者
    ルビナス フローリアaa0224hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
    人間|16才|女性|攻撃
  • ストゥえもん
    ストゥルトゥスaa1428hero001
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • 薩摩芋を堪能する者
    楠葉 悠登aa1592
    人間|16才|男性|防御
  • もふりすたー
    ナインaa1592hero001
    英雄|25才|男性|バト
  • 紅の炎
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 双極『黒紅』
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862
    獣人|21才|男性|命中
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 誄aa4862hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
  • エージェント
    アイリーン・ラムトンaa4944
    人間|16才|女性|生命
  • エージェント
    ラムトンワームaa4944hero001
    英雄|24才|女性|バト
  • リベレーター
    キャルディアナ・ランドグリーズaa5037
    人間|23才|女性|命中
  • リベレーター
    ツヴァイ・アルクスaa5037hero001
    英雄|25才|男性|バト

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