本部

スイートなデートはいかが?~桜フェア~

高庭ぺん銀

形態
ショートEX
難易度
易しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2017/03/19 19:39

掲示板

オープニング

●スイートパークに春が来た!
 昨年秋、東京某所に誕生した新名所。その名は『スイートパーク』。古今東西のスイーツを楽しむことができる屋内型テーマパークである。
「クレープエリアへようこそ! 焼きたてをご用意しますよ~!」
「オリジナルのパフェ作りはいかがですか~? 限定の具材もお試しくださ~い!」
「金芽堂の桜餅は如何でございましょう? ご希望のお客様には抹茶もお立て致します」
「期間限定の桜あんみつ、おすすめですよ~! 桜クリームと桜の葉の塩漬のハーモニーは絶品です!」
 盛んな呼び込みの声が聞こえるだろうか。スイーツ好きたちの歓喜の声が聞こえるだろうか。
 今日だけは過酷な任務を忘れて、スイーツに溺れてみようではないか。恋人と、友人と、家族と、そして大事な相棒と――。
 どんなスイーツだってお任せ! スイーツが苦手な方は屋台メシでお出迎えします! 『スイートパーク』にいらっしゃいませ!

●デートじゃないパターン
「何だこれ?」
 呉 亮次(az0065hero001)は怪訝な顔で問うた。赤須 まこと(az0065)は机の上に置いたチラシを亮次の眼前に突き出す。近すぎてピントが合わない。
「スイートパークが桜フェアをやるんだよ! と言う訳で行こう! 亮次さんのおごりで!」
「は?」
「亮次さんの紹介で行ったバイト、私すっごく頑張ったよね?」
 バレンタイン時期に行ったメイド喫茶の短期バイトの事だ。ハプニングもあったが、他のエージェントたちの助けもあって無事成功に終わったはずだ。
「楽しかったけど、いろいろ大変だったんだよ! 私、労われるべきだと思うの!」
 ネギラワレル。ああ、また覚えたばかりの言葉を使いたがっているのか。亮次は短く息を吐く。
「まぁ……行くか。一足早いホワイトデーだな」
 このように、デートじゃないパターンのお客様も大歓迎です。
「ところで酒は」
「ないに決まってるでしょ!」

●館内説明
1パフェエリア
 目玉はオリジナルパフェ作り。調理スペースで好きな具材を入れたパフェを製作できます。具材はカット済なので、お子様にもオススメです。容器は小さめなので数種類作って食べ比べもできます!

・具材例:いちご、バナナ、桃、栗、パイン、マンゴー、白玉、あんこ、ミニシュー、ウエハース……その他いろいろ!
・クリーム&ソース例:生クリーム、チョコクリーム、イチゴクリーム、抹茶クリーム、チョコソース、キャラメルソース、黒蜜、きなこ……その他いろいろ!
・アイス例:バニラ、チョコ、ストロベリー、ミント、チョコチップなど常時30種類以上!
・おすすめ具材(いずれも秋季限定):桜アイス、桜色白玉、桜の花の塩漬け、桜の葉の塩漬け、桜風味の生クリーム(絞り袋)、レンゲはちみつ、わらび餅、抹茶わらび餅、梅ゼリー

調理例:
『春色・桜パフェ』
(下から)コーンフレーク+桜生クリーム+あんこ+白玉&桜色白玉+生クリーム+桜アイス&さくらんぼ&桜&ミント
『春色・萌黄パフェ』
(下から)クラッシュ梅ゼリー+抹茶あん+豆乳プリン+生クリーム+抹茶アイス+抹茶わらび餅&生クリーム&ウエハース&黒蜜

 定番のいちご、チョコバナナ、フルーツのパフェを注文することもできます。こちらはスタッフがお作りしますので、料理に自信がない方も安心です。


2クレープエリア
 クレープはスタッフがお焼きします。ご希望があればスタッフが好きな具材を包みますが、自分で材料を包むのも楽しいのでオススメ。調理台とカット済みの具材があります。アイスクレープ、おかずクレープの具材も充実。

・具材例:パフェエリアを参照
・おかず具材例:レタス、トマト、きゅうり、ハム、ウインナー、鳥の照り焼き、ゆで卵、ツナ……その他いろいろ!


3ケーキエリア
 一口サイズのケーキをビュッフェ形式で食べ放題!
ケーキ例:苺のショートケーキ、チーズケーキ(スフレ、ベイクド、レア)、チョコレートケーキ、ティラミス、抹茶ムース、紅茶シフォン、さつまいものケーキ、アップルパイ、かぼちゃタルト、マスカットのタルト、モンブラン……その他いろいろ!

※バースデーなどのお祝いケーキは事前か入場時に要予約。サプライズ演出も協力いたします。


4チョコフォンデュコーナー
 大きなチョコレートファウンテンをご用意! 立食形式でお召し上がりください。


5屋台エリア
 デパートの物産展のような雰囲気で、様々なスイーツを味わえます。人気店からの出張もあり。
 石やきいも、団子、マカロン、クッキー、チョコレート、シュークリーム、ワッフルなど多数出店。
※たこやき、やきそば、お好み焼き、ポテト、唐揚げなどの屋台飯もあり。


☆カップルシートについて☆
店内に数か所、カップルシートをご用意しております。ショッキングピンクのハート型の背もたれで注目されること間違いなし。ちょっと狭めのシートで、恋人や気になるあの子と密着できちゃいます。記念撮影の際はお気軽にスタッフをお呼びください。自撮り棒の貸し出しもあります。

解説

スイーツ食べ放題のテーマパークで楽しく過ごしてください。(通貨は消費しません)

【注意】
・全館食べ放題形式となりますので、メニューはすべてパーク内で召し上がってください。
・実在のお店の名前を出すのはNGとなりますので、お気を付けください。

【メニューについて】
・パフェ、クレープの具材については、例の中にないものを登場させてもOKです。
・出店についても同様です。現在は桜やさくらんぼ系のメニューを推しているようです。
・各エリアにドリンクのショップもありますので、飲み物の登場はご自由にどうぞ。
・誕生日、記念日などをお祝いしたい方は、ケーキエリアでホールケーキやメッセージつきのチョコなどを用意することができます。
(事前に予約済という設定で、ケーキの具材を指定する、相手に似せたマジパン人形を載せるなどの演出も可能です)

【席について】
・椅子とテーブルを並べたフードコート風のゾーンがパークの中心にあり、それを取り囲むように各エリアがあります。また、ケーキエリアには専用のお席があります。(出入り自由)
・パフェ、クレープ、出店エリアの隅にも簡易なベンチがあります。
・屋外にもベンチや、シートを広げられる芝生がありますが、スイーツを取りに行きづらいため人気はあまりありません。庭は西洋風の可愛らしいものになっています。

【NPC】
 すべてのゾーンを制覇中。雰囲気は姪と叔父。良ければ声をかけてあげてください。
まこと:スイーツ好き。特に生クリーム。さくらんぼも好き。でもやっぱりお肉も好き。
亮次:さっぱり系や少し苦味の利いたものをチョイス。普通に甘いものもイケる。屋台の焼き鳥に感銘を受けるなど、結構楽しんでいる。

リプレイ

●到着前からパニック?!
「あら、リリィ……また楽しそうな所へ誘ってくれるのね?」
「……カノンねーさまに見合うかどうかはわかりませんけれど……」
 リリィ(aa4924)は視線を斜め下に流し、頬を染める。
「ご一緒にお時間を過ごせたら……と」
 夢見るのは大好きなカノン(aa4924hero001)との甘い時間。
「そんな遠慮しなくても、あたしはリリィと一緒に居るわ」
 赤みがかった黒髪がさらりと揺れる。嗚呼、なんて綺麗な人だろう。
「危険なお仕事も良いけれど……こんな素敵な時間を過ごせる……そんな依頼も偶には良いものよね」
 その微笑みだけで、もう満足してしまいそうなくらいだ。けれどその日はあっという間にやってきた。
「どうしようどうしよう!? 当たっちゃった!? 何着てけばいいの!? 何着てけばいいのっ!!」
 夢洲 蜜柑(aa0921)は悩んでいた。何気なく挑戦した福引が当たり、アールグレイ(aa0921hero002)とスイートパークに行くことになったのだ。
「これってデート…………なのかな」
 そんな考えが頭を離れない。考えれば考えるほど、どれもこれもデートにはふさわしくない気がして――。
(全然寝れなかった…………)
 タイムオーバー。結局いつも通りの服装で来てしまった。勝負服なんて持っていなかったのだ。
「……どうしました? 目が赤いですよ?」
 心配げに覗き込む彼から慌てて距離を取る。イケメンは罪である。
「駄目です、蜜柑」
 腕を引かれて、壁際に追いやられる。これが噂の壁ドン? と思いきや蜜柑の視界に映るのは彼の背中だった。蜜柑が後退ろうとした方向には、通行しようとする女性がいたのだ。アールグレイが「失礼しました」と微笑むと、女性は動揺しながら去って行った。
「おや、何となく女性が多いような」
 彼はそう言ってから、蜜柑の方へ振り返る。
「さぁ、行きましょう」
 差し出される手。早くもパニックは最高潮。
「だ、大丈夫だよ! 子供じゃないんだし!」
「すみません。そういうつもりではなかったのですが……」
 眉を下げる彼。
(しまった。ここは自然にエスコートを受けるのがレディらしい振る舞いだったんじゃ……)
 断ってしまったことを後悔する蜜柑なのであった。

●入口に集合!
「スイートパークかぁ。バレンタインには遊びにいけなかったし、丁度いいわね」
 黒金 蛍丸(aa2951)からの誘いにそんな言葉に返したのが数日前。橘 由香里(aa1855)は今、彼を待っていた。Yシャツにジーパン、スプリングコートというラフなスタイル。表情は明るい。蛍丸と恋人になった今は、随分と気が楽になったようだった。
(あの日はハロウィンの少し前だったわね)
 以前ここに来た時は恋人未満だったふたり。良いところを見せようと気を張っていたな、と由香里は回想していた。
「由香里さん!」
 蛍丸が彼女に駆け寄ってきた。新しく買ってきたらしい春物の服を褒めると、彼女はありがとうと微笑んだ。
「遅刻したわけじゃないんだから、そんなに走らなくても良かったのよ?」
 早春の光の中に立っている恋人は柔らかな表情を浮かべていて、それがとても可愛らしくて。だから早く声をかけなくては、道行く男がほっとかない、なんて想像してしまった。
「なんとなく、わからんでもないがのう。今日の由香里は見るからにふわっふわしておるし、危なっかしく思ったんじゃろ」
「そ、そんなことないわよ! ……というか、なぜ飯綱がついてくるのかしら?」
 健全な交際の御目付役、と飯綱比売命(aa1855hero001)は胸を張る。ものすごく似合わない肩書だ。蛍丸と共にやってきた詩乃(aa2951hero001)も苦笑している。
「まずはパフェエリアに行きませんか?」
 蛍丸は由香里の手を取る。由香里は微笑んで優しく握り返す。飯綱はにやにやとその後ろをついていく。
「飯綱さま、やりすぎはいけませんよ?」
「おや、止めぬのか」
 飯綱は意外そうに首を傾げる。詩乃は前を行くふたりに気づかれないように、小声で何事か話し始めた。
「あぁ……この楽園にまた来れるなんて!」
 禮(aa2518hero001)が感嘆の声を上げる。ケーキへの賛美の声、と言い換えても良い。
「桜フェア……やっぱり出店も変わってるみたいだね」
「本当です! 楽しみですね!」
 ケーキへの愛という絆で結ばれた能力者――もちろんそれだけではないが――海神 藍(aa2518)と共にいざ出陣。と、その前に。
(予約は……うん、大丈夫ですね)
「禮? どうしたの?」
「あ、すぐ行きます!」
 慌ててスマホをしまう禮のことは少し気になったが、彼女を信じて追求はしないでおくことにした。
 その頃、現地集合した大宮 光太郎(aa2154)とディスター(aa2154hero002)、大門寺 杏奈(aa4314)とレミ=ウィンズ(aa4314hero002)も挨拶を交わしていた。
「あら、あそこにいるのは……」
 レミが杏奈の肩を叩く。友人のまことが亮次を連れてスイートパークへ突入しようとしていたのだ。
「こんにちは、まことさん。もしよろしければ私たちと一緒に行きませんか?」
「行きたい!いいよね、亮次さん?」
一気にテンションを上げたまこと。亮次は苦笑して頷いた。
「今度はわたくしたちが食べる側ですわ! 全力で楽しみましょう♪」
 イギリスでの依頼の際に、ゆえあってお菓子タワーを作ったのがこの3人である。そのときはかなり緊迫した状況だったのだが、今回は気楽に楽しめそうだ。
「こーちゃんもよろしくね。いっぱい食べまくろう!」
「うん! よろしくね! 美味しい物食べまくろうだにゃ!
 初対面のまことと光太郎も挨拶を交わす。
「あ、こっちは亮次さん。怖い人じゃないよ!」
「なんだよ、その紹介……」
「まことさんと亮次さんもよろしくね! ディーも見た目は変わってるけど、いい奴だよ!」
「よろしくだ、マコト、リョージ」
 にぎやかな一行も、意気揚々とパークへと乗り込んだ。

●最初の目的地は?
 七森 千香(aa1037)とアンベール(aa1037hero001)がたどり着いたのは、なんだかとっても甘い雰囲気の場所。入口に立つふたりはまるでヘンゼルとグレーテルだ。
「スイートパーク……らしいですよ、アンベールさん!」
「物の見事に体重の増えそうな場所だな」
 ビターな現実には目を背けて。
「今更そんなことは言っちゃ駄目です……! 桜フェア、やってるそうです」
「……まぁ、季節を茶菓子で嗜むのもわるくなかろう」
「いざ! おいしいモノ巡りの旅へ~」
 パーク初体験のふたりはさっそく案内板に額を寄せる。
「折角きたのですから、桜にちなんだもの頂きたいですね」
「……桜餅とか、あるだろうか」
「ふふ。ありますよ、きっと!」
 いつになく自信満々の千香をアンベールは怪訝そうに見遣った。
 既視感を感じながら、藍はパンフレットを開く。前回の来園時に放り投げた計画性。その辺に転がっていないだろうか、というのは冗談だが。
「今回は計画性を」
 言いかけた藍の言葉を禮が遮る。
「待ってください、兄さん! あれは!」
「……金芽堂じゃないか!?」
 和菓子の老舗の中でも、関西の雄と呼ばれるのがこの金芽堂だ。
「桜餅……! まずはここにしましょう!」
 着物に白エプロンの店員が、にこやかに対応してくれる。
「すみません、抹茶と桜餅を二つずつ頂けますか?」
 投げ捨てられた計画性が草葉の陰で泣いていたが、何、気にすることはない。ここには仲間が大勢いるのだから。
「”桜フェア”ですからね、これは外せません!」
「そう言えば桜餅は東と西で二種類あるって知ってるかい?」
「え?そうなんですか!?」
 藍は手短に解説する。金芽堂は道明寺粉でできた生地を使用している。中身はつぶあんだ。小豆の皮の食感と、米の粒の名残が生み出すもちもち感。どちらも主張を怠らないが決して喧嘩せず、見事なハーモニーを奏でているという。
「あとでもう一つの方も食べに行こう、今日は和風なのを攻めようか」
「そうですね!」
 なめらかなこしあんをくるりと皮でくるんだ関東風。金芽堂とはライバルにあたる店が、今日は仲良く近所に出店していたはずだ。そんなことを考えていると。
「……あ、でも最後はケーキゾーンに行きたいです」
 藍はぱちりと瞬きを1つ。
「いいけれど」
 今日の禮は、ちょっとだけミステリアスらしい。
「はっ、卵たっぷりかすていら! もちもちの次はふわふわでいきましょう、兄さん!」
 いや、気のせいだろうか。
「緑は抹茶と見せかけて、うぐいす味か。おもしろいね」
 まずは濃い黄色と淡い黄緑色の兄妹を。春色に着替えたあんみつも見逃せない。桜色に染まったソフトクリームと桜の香りが凝縮されたソースが美しい。
「なんだか温かみのある食卓になりましたね」
 春らしい華やかな色を並べ、禮が満足げに微笑む。この苦さならば、禮と共に楽しむこともできるようだ。
「ウイスキーとはまた違った苦味だけれど、たまには抹茶もいいものだね」
頷いた禮は、何かがしっくりこない様子。
「あれ? 何か忘れてませんか……?」
「あ!」
 関東風の桜餅を忘れず食べ比べできたのは、小さな進歩だったかもしれない。

●パフェに宿る春
 相棒の双樹 辰美(aa3503hero001)を労うために来たのは、東江 刀護(aa3503)だ。シャンゴリラTOKYOに行った時、相棒が異彩を放つビッグパフェを平然とたいらげていたのを思い出したのだ。
「いろいろな組み合わせができて楽しそうです」
 手始めに訪れたパフェエリアでは、辰美が楽しそうにパフェを作っている。ツッコミどころがあるとすれば、辰美が他の客とはケタ違いの大きさの器を使っている点だろうか。
「何てパフェだ?」
「春色・花見パフェです」
 下から順にクラッシュ梅ゼリー、抹茶あん、豆乳プリン、生クリーム、抹茶アイス。最上段には抹茶わらび餅と桜風味の生クリーム、栗、黄粉。でかいといえばでかいが、華やかで美味しそうな見た目に仕上がっている。彼女が美的センスに優れていたことは幸いだった。
「いつ見ても圧倒されるな……」
 美少年と見まごう女流剣士は、難攻不落と思われるビッグサイズパフェを平然と攻め落とす。見事な戦いっぷりであった。
「スイーツ! スイーツだよ! ディー!」
「はしゃぐのは構わんが、羽目を外しすぎるなよ」
 杏奈と光太郎は、こよなくスイーツを愛す同好の士なのである。一方、ディスターはスイーツを食べた事が無いらしく興味津々。しかしあくまで平静を装っているようだ。
「ねーねー!スタッフさん、スタッフさんのおすすめを教えて欲しいな?」
 光太郎はスタッフに話しかけ始めた。パークを熟知する者、それも複数人から情報を集めるというところが徹底している。これはスイーツを巡る戦いなのだ。
杏奈とレミは、さっそくまことを連れてクッキングタイムだ。
「具材いっぱいあるね。これはアレンジし甲斐があるよ」
「味のアクセントはお任せくださいまし♪」
 レミはそう言うと、様々なソースやミントなどのトッピングを見繕って来る。
「生クリーム絞るのって難しいなぁ」
「ぶはっ、何だそのクリーム! ヘロッヘロじゃねぇか!」
「……これ、亮次さんの分ね」
 まことは慣れない作業に悪戦苦闘中だ。亮次は歪なクリームが笑いのツボに入りまことの機嫌を損ねていたが、これはいつもの事。
「口金を持ち上げるのが少し早かったかも知れません。位置を動かさずにたっぷり絞ってから持ち上げると……」
「あ、綺麗にできた。ありがと、杏奈ちゃん!」
「好きこそものの上手なれ、でしょうか。去年の夏までは、私もあまりお菓子作りの経験はなかったんです」
 感心する友人の前で、杏奈は次々とミニパフェを作っていく。今回は春季限定の具材を重点的に使うようだ。
「こっちは桜のわらび餅を乗っけて黒蜜をたっぷり、こっちは桜アイスとお花を乗せて桜尽くしに」
「おお、杏奈のはどれも美味そうだな」
「苺パフェは生クリームとカスタードの2種類で仕上げましょうか。ソースは……」
「チョコソースとイチゴソースがありますわよ。生クリームの方をチョコに致しましょうか?」
 こちらのコンビは阿吽の呼吸である。
「いただきまーす!」
 そして実食。光太郎がたどり着いたのは、スタッフ内で密かな人気を博すというアフォガードパフェだ。
「フレークに、チョコアイス、バニラアイス。生クリームに小粒のチョコを散らして、と。基本はシンプルなチョコパフェにゃ」
 ディスターは光太郎がブラックコーヒーを手に取ったことに気づく。あまり見慣れない光景だ。
「こんなもん、かな? かけすぎないのがポイントなんだって」
 熱いコーヒーがアイスの上を滑り、溶かしていく。
「これで完成なのか。こぼしてしまったのかと思ったぞ」
「はは、ごめんごめん。では一口……んぅー! おーいしいー!」
 ディスターは、定番のイチゴ、チョコバナナ、フルーツのパフェを堪能する。というか、いつの間にか堪能し終えていた。
「うむ……甘い……美味だ……」
「いや、ヘルム着けたままどうやって食べたのさ!?」
 その答えを知る者はいなかった。
「皆さん、お口直しにレモンティーでもいかがでしょうか」
 レミは皆にレモンティーを配る。さわやかな香りで一旦リセットし、まだまだティータイムは続く。
「……ど、どうしよう。すんごい食べたらドン引かれたりしちゃうの!?」
「……蜜柑、なんでカチコチになってるんです? 目も赤いですし、風邪なんか引いたりしてませんか?」
「そんなことないもん!! 大丈夫だもん!!」
 たくさんの材料と、広い調理スペースにアールグレイは圧倒される。すかさず店員が寄って来て「調理に不慣れなら、スタッフお作りしましょうか」と申し出てくれた。けれど蜜柑の姿はすでに隣にはなく。
「おや、蜜柑は自分で作るのですか?」
 蜜柑は当然だというように頷く。普段の家事も担当している彼女。これくらいはお手の物なのだ。
「むー。桜アイスと抹茶白玉、あんこ、黒蜜。桜の花の塩漬け散らすとか?」
 意外と好みは渋いらしい。
「アールグレイは何パフェにするの?」
 彼は首を傾げた。
「見たことが無い食べ物ばかりですね。……どういうのが美味しいんでしょう?」
「あ……あたしとおなじの、作ったげるっ!!」
「それは光栄ですね。ありがとうございます、蜜柑」
 彼の表情は、本当に嬉しそうで。
(が、頑張った。あたし超頑張った)
 今度は少しだけ自分を褒めたくなった。
「オリジナルパフェ、アンベールさん、一緒に作りましょう!」
「……わかった」
 腕捲りをしていざ実践。
「コーンフレークに砕いたウェハース~、バナナにチョコレートソースとチョコクリーム、バニラアイスと桜アイス~♪」
 千香は材料を次々手に取り、順調にパフェを仕上げる。アンベールの出来が気になり、盗み見ると。
「下地は梅ゼリーのクラッシュに抹茶寒天、アクセントに桜葉の塩漬け、食感を楽しむべくわらび餅も少々……」
 千香は目をぱちくりさせた。
「さっぱりとしたフルーツを添えて、桜あんとこしあんを並べ、黒蜜をさらりとかける。最後に桜アイスと桜白玉、桜花の塩漬けを……よし」
「……プ、プロだ!」
 アンベールは持ち前の凝り性をいかんなく発揮し、美しいパフェを作っていた。
「すごいですね、アンベールさん! いつでもお店出せますよ! あ、写真とってもいいですか?」
「そんなことしてたら溶けるだろ。さ、行くぞ」
「ま、待ってください!」
 写真は、席に着いた際に店員が寄って来て撮ってくれた。
「満足したか? では」
「いただきます!」
 千香の作品も思い通りの具材を詰め込めただけあって美味しくできたのだが、やはり隣が気になる。アンベールが満足げな表情を浮かべて、耳をぴくぴく、しっぽをぱたぱたさせているとあっては無理もない。
「……ちょっと、くれませんか?」
「断る」
 撃沈。しかし相棒の新たな才能と、嬉しそうな表情を発見できただけでも収穫だったかもしれない。パフェと向き合うアンベールの横顔を見て、千香は知らず微笑む。
「飲み物、頂いてきますね」
 アンベールが返事をする前に、なぜか上機嫌な千香は去って行く。
「あんなに褒められるとは思わなかったな」
 次の機会があったら、千香の分も作ると申し出てみようか。喜んでくれたら幸いなことだ。
『ありがとうございます、アンベールさん! 嬉しいです!』
 千香の笑顔が頭に浮かぶ。素直で優しい彼女はきっと喜びをいっぱいに表してくれるだろう。
 由香里が作ったのは、はちみつとレモンを主役に据えた甘酸っぱいパフェ。蛍丸は掲示してあったレシピを頼りに『春色・桜パフェ』を作成する。
「えーと、席は……」
 煌々と存在を主張するカップルシートが目に入る。
「あ、あれはちょっと……恥ずかし過ぎるし……?」
「あはは……ですよね。」
 カップルシートの魔力のせいか、その周辺の席にもいくつか空きがある。そのうちのひとつに座ることにした。
「蛍丸くんは器用よね。とっても美味しそう」
「ありがとうございます。由香里さんのも綺麗ですね」
 クリームの白とレモンの黄色、そしてはちみつの金色が光を反射して輝いている。
「味見してみる?」
 一瞬「あ~ん」なんて妄想が頭をよぎったが、由香里は嬉しそうにパフェグラスをこちらに近づけてくれる。
「甘すぎなくておいしいですね」
「最初から甘いものばかりだと、他のメニューを楽しめないもの」
 その言葉の陰には「あなたとのデートを少しでも長く楽しみたい」という思いがちらりと頭をのぞかせていた。
「どこで食べましょうね?」
 アールグレイは二人分のパフェを持って先導してくれる。背が高い分、蜜柑よりも早く席を発見できたようだ。
「おや、あそこが空いてますね」
 空いているのも当然。ショッキングピンクのカップルシートは、相当ラブラブなカップルでないと敷居が高い。
「……ぶっ!? こ、ここ座るの!?」
「どうしたのですか?」
 アールグレイは曇りのない瞳で蜜柑を見つめていて心臓に悪いし、桜色のアイスも早く食べてと蜜柑に囁きかけている。
「あ、あの子座ったわよ! 歳の差カップルかしら?」
 ついでにまわりの客もざわざわ囁き合う。
「あ……あ……、カップル、かっぷる、カップル……く、くっついてるっ!?」
 真っ赤になる蜜柑に気づかず、アールグレイは言う。
「……座ってみたら、なぜか周りの視線が集まってるんですけど、どうしてでしょうね? ずいぶん狭い席ですし。だから誰も座っていなかったとか?」
「え、あ……う、うん。そうかもねっ!」
 彼が納得してくれたのは幸か不幸か。騎士様は天然なのである。

●可能性は無限大
「クレープはスイーツです。アイス等で攻めるべきです」
「おかず系もあるんだ。何でもかんでも甘味と決めつけるな」
 刀護はレタス、きゅうり、ハム、鳥の照り焼き、ゆで卵を巻いたおかず系。辰美はバニラアイス、イチゴソースでシンプルに。薄い皮を破かないように慎重な作業を心がける。なんとか綺麗に完成できたときには、ふぅっと息が漏れてしまった。
「自分で巻くのもなかなか楽しいものですね。今度、家で作ってもいいですか?」
「構わないぞ。オシャレすぎて俺には似合わん気がするが」
 刀護は家でクレープを食す自分の姿を想像して、苦笑する。
「こんなに薄く焼くのは難しそうだな」
「練習します。刀護さんには成功したものをお出ししますよ」
「そんなこと、気にしなくてもいいのに」
「私がそうしたいんですよ」
 辰美は乗り気のようだ。東江家にクレープが初登場した暁には、照れ笑いをこらえつつ食べるとしよう。
「BBQチキンひとつ!」
 まことの高音とハモる低音の声。ゆっくりと右を見ると亮次がいた。
「……やっぱり、デミハンバーグでお願いします」
 頬を膨らませるまこと。なんとも言えない空気だが、気を使わない相手だからこそのものだろう。レミがくすくす笑う。
「わたくしはハムサラダにしてみますわ」
 いつもは杏奈ともども甘い具材を選ぶので、今日はちょっぴり冒険だ。杏奈はいちごのクレープにチーズ味のクリームを合わせ、スイーツ命の彼女らしい冒険を楽しんでいる。
 光太郎はバナナと生クリーム、そしてバニラアイスのクレープを食べる。
「ちょっと寒い日に食べるアイスもまた格別だにゃ!」
 ディスターも光と同じ物を選んだ、のだが。
「うむ、まぁまぁだったな……なんだその目は」
 やはり食べた瞬間は誰も見ていない。しかしヘルムにクリームが付いているのが何よりの証拠であった。

●色とりどりの思い
「何に誘ったかと思えば……」
 甘味にあふれた幸せの国。炉威(aa0996)はその地には似合わないしかめっ面を浮かべる。
「女は皆、甘いモノが好きですわ」
 エレナ(aa0996hero002)は可愛らしく微笑む。
「意外に混んでるモノだね。賑わってると言うか」
 余り動き回るのも面倒だ。その思いを基準に考える。一番ゆっくり出来そうなのは、ケーキエリアだろうか。
「此処で一日過ごす事にするかね」
「あら、折角ですのに」
 もっと色々なエリアを回りたいのが本音だが、エレナは首を縦に振った。
(だって炉威様と一緒でなければ意味が在りませんから)
 それに、色とりどりのケーキは充分に魅惑的だ。
「炉威さまは何をお召し上がりになります?」
「そうだね……まあ、基本という事で」
 彼が選んだのはショートケーキ。それを足掛かりに春らしいケーキも選んでいく。
「これは紅茶に合いそうだね」
 きらびやかなフルーツタルトを皿にとって炉威。
「此方は珈琲に合いそうですわ」
 フォンダンショコラは完成時間を掲示し、焼きたてのものを提供しているらしい。タイミングが良かった。
「あちらのお席が空いたようですわ、炉威様」
 素早く席を確保し、フォークを一刺しすれば濃厚なチョコレートがとけだしてくる。料理を得意とし、依頼で菓子作りの腕を振るったこともある炉威。その舌を満足させるには相応のクオリティが必要なのだが――生クリーム、スポンジ、バランス具合。
「悪くはないね」
「満足気ですわね。お誘いした甲斐がありましたわ」
 何がそんなに楽しいのだか。エレナは炉威の浮かべた薄味すぎるくらいの笑みに歓喜していた。
「ここは良いところですね」
 きらきらとした表情でつぶやいた辰美の初動は早かった。苺のショートケーキ、抹茶ムース、紅茶シフォン……次々と皿にのせていく。確かにサイズは小さめではあるが。次はさつまいものケーキにかぼちゃタルト、モンブランを取った。
(和のスイーツが好みのようだ。覚えておこう)
 などと密かに思いつつ、乙女の集団への突入は遠慮させてもらう。長い旅路には小休止も必要なのだ。
 緊張気味のリリィに、カノンはある遊びを持ちかけた。「お互いがお互いのイメージに合ったケーキを選ぶ」。それが唯一のルール。
「決まった、リリィ?」
「ま、まだです! お待たせしてしまってごめんなさい……!」
「良いのよ。そんなに一生懸命に考えてもらえるなんて光栄ね」
 熟考の末選んだのは、ザッハトルテ、ティラミス、そしてカシスチーズケーキ。
「カノンねーさまの……ミステリアスでオトナな雰囲気の……」
 言葉選びもそろりそろりと慎重に。
「でも、華やかさも持ち合わせたモノを選びましたの」
 上手く伝わっただろうか――上目遣いに様子を伺うリリィと目が合ったカノンは優しく微笑む。
「ふふ……っ、本当にそうだと良いのだけれど……」
 カノンが選んだのは苺のタルト、ラズベリームース、メープルシフォンケーキ。
「あたしは……リリィの可愛らしくて華やかでふわっとした優しい所……そんなイメージを抱かせてくれるケーキを選んでみたの」
 カノンの声は、リリィを自分で思っていたよりもはるかに美しいものとして語ってくれる。
「そんな……カノンねーさまからそんなこと仰られたら……リリィ……」
 カノンは深く俯くリリィの顔を覗き込む。
「どうにかなってしまいそうですわっ!!!」
 リリィの白い肌は、薔薇のように真っ赤に染まってしまっていた。
 スイーツを愛する戦士たちが、再び立ち上がる。
「ケーキがこんなにいっぱい……だが食べ尽くす。それだけのこと」
「ついに杏奈が獰猛な目に!?」
 光太郎も肉食獣の瞳でそれに対抗する。食べるのはスイーツだが。
「こういうのはね効率が大事なんだ、と言うわけでディーは向こうの集めてネ」
「私をパシるな、全く」
 めざすはコンプリートだ。
「レミもケーキ運んできて。お願い」
「もちろんですわ! 全身全霊でケーキを収集してきます……!!」
「レ、レミちゃんからもオーラ的なものを感じる……!」
 杏奈の喜ぶ顔が見られるなら、たとえ火の中水の中。彼女もまた可憐にして勇猛たる戦士である。
「なぁディスターよぉ、スイーツって何だっけ?」
「女子供がきゃっきゃと食べる嗜好品。そのような認識は捨てるべきかもしれん」
 完全に雰囲気に飲まれている大人たち。ディスターは光太郎の命に従いながらも、ちゃっかり自分の分を確保していた。
「私もまた、スイーツ道の入口に立っているのやも知れぬ」
「うん。気に入ったんだな、スイーツ」
 ディスターが騎士道ならぬスイーツ道を極める日がいつか来るかもしれない。
「マコトはさくらんぼが好きだといっていたな。タルトなど如何だろうか?」
「わぁ、美味しそう! ありがとう、ディスターさん!」
 まことはレミが入れてくれた紅茶で一息つきつつ、ぼんやりとやり取りを聞いていたらしい。冷静な杏奈とおしとやかなレミが燃えている姿は新鮮だし、少し子供っぽくも見えて可愛らしい。
「こーちゃん、それは……!?」
「ふふ、紅茶風味のアップルパイが焼きたてだったのにゃ。お先にいっただいちゃうにゃ~」
「くっ! 私も取りに……」
「お待ちなさいませ、アンナ! こんなこともあろうかと、最後の一つを確保してまいりましたわ!」
「レミ!」
 ロールプレイのような何かは絶好調に継続中。光太郎は人懐っこく親しみやすい少年だが、意外と負けず嫌いなところもあるようだ。礼儀正しく堂々としたディスターには、真面目さゆえに時々生まれるお茶目な部分を発見した。
「あん時、見つけてもらえてラッキーだったな」
 またしても亮次と思考がかぶってしまったことだけが、ほんの少しだけ不服だった。

●カカオ薫るマウンテン
 見慣れぬ装置を見上げる刀護と辰美。
「とりあえずやってみるか」
 試しに苺をくぐらせてみると、薄い鎧でも纏ったような硬い質感でコーティングされる。
「チョコ、すぐに固まるんだな」
「そうみたいですね」
「屋台のチョコバナナみたいだな。……そんなに目を輝かせるな。いつか祭りにも行こう」
 辰美は思いを読まれたことに対しては照れくさそうだったが、いつか叶えてもらえるであろう約束には嬉しそうに頷いた。
「おぉ……こんなに凄いチョコ山初めて見たにゃ……」
「これが……チョコフォンデュ!」
「杏奈の目がこれ以上ないくらいキラキラしてますわ……!!」
 ふらりと一歩踏み出す杏奈。
「もうチョコに包まれたい……」
「いくら何でもそれはダメですわよ!?」
 あと2歩前に出たら、チョココーティングの美少女が現実のものとなってしまう。レミとまことは杏奈をずるずる後方に引きずっていった。
「桃からいってみるにゃ!」
「私はマンゴーにしよう」
 亮次は食べる気がないらしく、具材を見て回っている。
「なぁ、何でモチが置いてあるんだ?」
 正気に戻った杏奈は、餅をディップしてみる。
「これは……美味しいですよ!」
 レミも杏奈から「あーん」で餅を受け取る。なかなか美味しい。
「見て! ミルク味のアイスにつけてみた!」
「おお! まことさんも調子が出て来たみたいにゃ!」
 ディスターはいつの間にか、近くの壁際に仁王立ちして休んでいた。西洋風の内装にすっかりマッチしてしまい、端から見たら置物である。同じくドロップアウトした亮次が話しかけた瞬間、周りの目が一斉に集まったのは言うまでもなかった。

●隣に君がいるから
 蜜柑とアールグレイは食事を終え、お茶とおしゃべりを楽しんでいた。
「花びらって、食べられるものなんですね。野菜とか果物以外で緑色のものもありましたし。珍しいものばかりだった気分です」
「……そ、そうかな?」
 瞳を輝かせるアールグレイ。彼の端正な顔を見上げる蜜柑は、ちょっぴり虚ろな表情である。
(微妙に味が感じられなかった……)
 アールグレイの反応を見るに、出来はよかったはずなのだが。
「……おや、蜜柑。口の周りに何かついてますよ」
 ハンカチであんこを拭ってくれる彼。もちろんどこまでも善意である。
「み、蜜柑! 顔が真っ赤ですよ!」
 額に手を当てて熱を測り、顔を近づけて観察しながらの問診。つまり、逆効果。
 この天然騎士様にどこから説明すべきなのだろう。すっかり沸騰してしまった蜜柑には、考える術もないのだった。
 仲睦まじくパフェを分け合う蛍丸と由香里。一足先にあんみつパフェを食べ終えた飯綱と詩乃がその様子を見守っていた。
「いつもの事ながら健全過ぎて何にも進まぬの」
 口にスプーンを咥えた飯綱が、不明瞭な発音で呟いた。寒天やフルーツで彩られたパフェは美味だったが、甘味だけでは刺激が足りないらしい。
「よし、この飯綱様が一肌脱いでやろうぞ♪」
「い、いよいよですね、飯綱さま」
「少し待っておれ。ちと厨に行って参るぞ」
 詩乃に持ち掛けられたのは、蛍丸と由香里をカップルシートに座らせる作戦だった。彼らが自らショッピングピンクのハートに背を預けたならば、彼女が腰を上げる必要はなかったのだが――むしろ彼女は出番が来るのを待ちわびていたらしい。
「お二人さん、美味しいパフェはいらんかの?」
 白雪姫の魔女役、にしては美しすぎる女が初々しいカップルの元を訪ねた。
「急にどうしたの、飯綱?」
 由香里は怪訝そうに問う。
「実をいうと、はりきって作りすぎてしまったのじゃ。協力してくれんかの?」
 そう言われてしまえば、ふたりが断るはずもない。顔を見合わせてしょうがないなと笑い、由香里は差し出されたチョコパフェを口にした。
飯綱お手製のパフェにはもちろん毒など入っていない。少しばかり『手元が狂って』香りづけ用のブランデーが入りすぎてしまったかもしれないが。
「あら……? なんだか、ふらふら、する……?」
「ゆ、由香里さん!?」
 由香里の身体が傾ぎ、ちょうど蛍丸に寄りかかる格好となる。
「大丈夫だから」
 とろんとした目で由香里が言う。顔が赤くなっている。いつもは色々と気がつく由香里には珍しい事態だ。
(もしかしたら……)
 蛍丸の脳裏に浮かぶのは、飯綱の笑顔。
「ね、私たち、お付き合いしているのよね?」
「え!? はい、もちろんです」
「じゃあ、あっちよね」
 減少気味の語彙で由香里が主張したのは、カップルシートへの移動だった。
「由香里さん、立てます?」
「だいじょうぶよ」
 主張に異議を唱えなかったのは、彼もひそかにそれを願っていたから。
「え?」
 いきなりふわりと抱き寄せられる。体が浮き上がったのは酔いの錯覚ではなく。
「はい、着きました」
 たった10秒の空中散歩。いわゆるお姫様だっこをしてもらったのだと気づいたのは、着陸したずっと後。
「ふふ、力持ちね」
「僕だってリンカーですよ? ……いいえ、由香里さんの彼氏なんですから、これくらい簡単です」
 それを言うなら――今、キスして欲しい。想いを伝え合ったクリスマスの夜みたいに。リンカーであってもテレパスではない彼女の願いに、蛍丸は気づかない。それなのに、この幸福感は何だろう。
「お水、取ってきますね」
「いや」
「じゃあ、紅茶注ぎますから一緒に飲みましょう? そろそろ飲み頃だと思いますから」
 魔女を演じた女神がティーポットを置いていったのは、せめてもの良心だろうか。あるいは彼女のたくらみを知った詩乃からの心遣いかもしれない。
「桜のかおり?」
「春らしくて良いですね」
 蛍丸は由香里を体に寄りかからせて、支離滅裂気味な彼女の話を根気よく聞いてくれる。きっと彼の優しさが、由香里を包みこむ『幸せ』の正体なのだろう。
「すみません、予約していた禮です」
 記念のケーキですと付け足す禮に、店員は「只今お持ちしますね」と返す。
「記念? 何の?」
「それは見てのお楽しみです」
 自分がエスコート役とばかりに、はりきる禮。彼女に身を委ねて藍は着席する。
「……わたしたちも、たくさんの戦いを潜り抜けてきましたね、兄さん」
 64+36=100。そんな数式が頭をよぎったような、よぎらなかったような。
「特注のケーキですよ!」
 いつも一緒に居てくれる藍へささやかな恩返しがしたくて。そんな禮の頭に浮かんだ絵は、黒いチョコレートに、青紫色の飴細工が飾られたガトーショコラ。
「これからも、よろしくお願いしますね、兄さん!」
 彼等の象徴、黒い鱗に青紫の瞳の様なケーキ。
「うん、よろしくね、禮」
 藍は禮の頭をなでる。その手から春の訪れのような温もりが伝わる。黒い人魚は、冷たく澄み切った水の中の世界を思い出す。降りかかる生温かい血を洗い流してくれる世界。今は2本の足で立ち、この陽だまりの中にいる。どちらも彼女の愛する世界だ。地面を歩くための足も、『兄』と共に暮らす地上の家も、彼が自由自在に操る優しいケーキの魔法も、すべて愛している。
(私の、さいごの家族、君は、私が)
(わたしの、親愛なる兄さん。あなたは、わたしが)
 ――絶対に、護るから。彼らの心は今まさに『共鳴』していた。

●ちょいと騒がし屋台エリア?
 刀護と辰美は屋台エリアにやってきた。
「刀護さんは甘いものはお好きではないのですか?」
「菓子系はあまり……自然の甘味が出ている焼いもは好きだ」
 雑談に興じつつ、まずはぐるっと一周してみることにしよう。
 ケーキ全制覇、とは行かないものの、一つのエリアに腰を落ち着けたおかげで炉威とエレナは多くのケーキを楽しむことができた。
「少し外の空気も吸いにまいりましょう」
 折角の機会だ。もう少しこの催しを楽しみたい。
「このコーナーには甘味以外もあるんだね」
 あまりガッツリしたものは要らないが、生ハムを主役とした彩りの良いサラダや、真っ赤なトマトと柔らかなモッツァレラチーズが高相性のカプレーゼなどは興味を惹かれる。刺激が欲しいなら、エスニックコーナーで変わり種を探しても良い。おそらく初めて口にするスパイスに、エレナはどういった反応を示すだろうか。甘い甘い砂糖菓子のような見てくれの中に、ぴりりと痺れるような何かを隠しているこの英雄は。
「炉威様、こちらのお菓子はとても美しいですわね」
 彼女は練り切りで作った花に興味を示す。
「何かもらうか?」
「じゃあ、これを」
 彼女が選んだのは真っ赤な眼のうさぎ。
「あえて動物か……」
「とっても可愛らしいんですもの。一目で気に入ってしまいましたわ」
 うさぎは暗い穴に堕ち、彼女のお腹の中。旅路の果てに彼女の本心に辿り付いたなら、ぜひとも耳打ちして欲しいものである。
「炉威様、どうかいたしました?」
「本当にここはメルヘンの国だな。ま、お前には似合ってる気がするが」
「ふふ、炉威様だってよくお似合いですわよ」
 彼女が炉威に求めるのは一体どんな配役なのだろう。少なくとも王子様なんてものは願い下げだと彼は思った。
 杏奈たちは有名シュークリーム店の新作、中にチョコクリームが入った『生チョコシュー』に挑戦中。
「チョコなのにとろっとしてる……おいしい」
「あら、杏奈。お口に付いてましてよ」
「ん、ありがとねレミ」
 ハンカチでそっと拭くレミと自然に受け入れる杏奈は、とても甘い雰囲気だ。
(ちょっとだけ二人っきりにしてあげよ)
 まことは悪戯を思いついたような顔で、そっと二人の側を離れる。
「焼き鳥うめぇ。炭火焼すげぇ」
 感動する亮次。
「やっぱ団子は落ち着くねぇ……」
 なぜか団子のみをずっと食べている光太郎。おすすめを聞いてみると、きなこ味の揚げ団子を分けてくれた。
「ふむ……これも中々美味いな」
 ディスターは屋台の定番、たこ焼きを食べているらしい。そこに通りかかったのは刀護と辰美だ。見覚えのある顔を見つけてやって来たらしい。辰美の手にはマカロン、シュークリーム、ワッフルの載ったトレーがある。
「お前達も楽しんでいるか?」
「まぁな。俺はあいつに引っ張られてきたんだがな」
 スイーツ行脚のお供を務めた男たちの見解は一致する。女の別腹ってすげぇ、と。
「あ、双樹さんの持ってるシュークリームも美味しそう! どこのですか?」
「『CoLorS』です。アメリカから進出してきたお店で、ナッツ入りが人気みたいですよ」
 光太郎も加わってオススメの店を教え合い、この場は別れることにした。どこからか漂うソースの香り。焼きそば、お好み焼き、肉好きの亮次をうならせたらしい唐揚げ。めくるめく屋台飯タイムが刀護を待っている。
「ぐぬぬ……双樹さん、きりっとしてて格好いいのにスイーツ大好きって! ずるい! かわゆい!」
「お前とは正反対のタイプだな。スタイルいいし」
 騒ぐ声が刀護には聞こえていたのだが、本人に言うと恥ずかしがりそうなので黙っておくことにした。辰美はパインのミックスジュースを発見したようだ。振り返って刀護を手招いている。容器には生のパインが刺さっていて、その店の周りだけ南国ムードが漂っていた。刀護は沖縄で修行していたころを思い出し、懐かしい気持ちに浸るのだった。

●優しい午後
「私、なんて醜態を……」
 その一言をようやく吐き出し、由香里は貝になった。酔いとは別の意味で真っ赤になり、カチカチに固まる。結果、ハート形シートからの脱出は未だ成らず。
「もう少しこのままで居てもいいですか?」
 酔いが覚めたら、由香里本人が一番慌てることは予想がついた。蛍丸は深呼吸して心を落ち着け、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「もしかしたら、由香里さんは誰かに甘えたりするのは苦手かもしれないけれど……僕は恋人に甘えられたら嬉しいんですよ」
 乙女の呪いを解くのは、いつだって愛する人。由香里は貝の呪いから解き放たれる。
「あ、甘えられて嬉しいなら、その……もっと、いえ、今日は飯綱や詩乃ちゃんいるし、次は二人っきりで……」
 言葉からも表情からも彼の思いが伝わって来た。だから由香里も、精いっぱい想いを伝える。
「そうですね。きっと、次はそうしましょう。場所も決めないとですね」
 悪戯には悪戯を。たとえばある日曜日、予告なしに出かけた蛍丸と由香里がお土産片手に帰って来る。そんな計画はどうだろう。きっと詩乃も飯綱も目を丸くするに違いない。
「何か食べましょうか」
「そうね。クレープにしましょうか? 今日は前の時よりうまく作るわよ」
「この前のも美味しかったですから期待大ですね」
 2人で違う味を作って、クレープエリアのカップルシートへ。こっそり後をつけていた飯綱と詩乃はにっこりと頷き合った。
「由香里さん?」
「ううん、なんでもないわ」
 由香里はクレープを頬張る蛍丸を微笑んで眺めていた。最近の蛍丸は思い詰めている事が多かった。何も考えずに笑っていられるこの時間が貴重なものに思えたのだ。
「はいアンベールさん!」
「……桜餅」
 アンベールが目を見開く。千香は会心の笑みを浮かべた。
(作戦成功、かな)
 実は出店する店舗を事前に調査していた千香。アンベール所望の桜餅は和スイーツコーナーですぐに発見できた。
「美味い」
「よかった~」
 ここに来るなり、「ちょっと待っててください」とだけ言い残して、千香が人波に消えた時にはさすがに気を揉んだが。それを伝えると千香は照れくさそうにする。
「すみません……」
「いや。俺のために探してくれたのだろう? 感謝しよう」
 そこで会話は途切れた。気まずさではなく、満足で包まれた沈黙は心地よい。モチモチとした歯ごたえと、上品な甘さのあんこ、桜の葉の塩気の3重奏。ふたりでうっとりと目を細める。顔は似ていなくとも、どこか兄妹っぽく見えるのが不思議だ。一口に能力者と英雄と言ってもいろいろな関係があるものだ。
「来春も、桜餅たべましょうね!」
「今春が、先だろ」
「あっ!」
 そう、春はこれから。桜が咲き、各地で花見が催され、日差しは温かさを増していく。また別の場所で桜餅を食べるのもいいかもしれない。
 屋台エリアで色々なスイーツを買い込むリリィとカノン。エリアに備え付けのベンチを素通りし、向かうは屋外の芝生だ。リリィはクッキーやスコーン、マドレーヌなどの焼き菓子を少しずつ抱えている。カノンが持つのはプチシュークリームや桜色のプリンと、滅多に外に持って行かない菓子。日差しは温かいが、少し風があるのでブランケットを膝の上に広げる。
「少し窮屈なのは我慢してね」
 膝を寄せ合うリリィを気遣うが、彼女はむしろ感激と甘さを含んだ羞恥に打ち震えている。
「素敵な庭園ね……」
 温かい紅茶を分け合い、厳選された甘味に舌鼓を打つ。こじんまりとしながらも丁寧に再現された西洋庭園を眺めながら、アフタヌーンティのようなひとときを過ごす。
「こうして食べるスイーツは特別な味に思えるわ」
「特別……」
 その言葉にリリィが反応を示す。しばしの沈黙のあと、勇気を振り絞ったような声。
「……あの、カノンねーさま?」
「なぁに?」
 小さな手に握られたのはスマホだった。
「これで……今日の想い出を残しても……?」
「あら、リリィったら可愛いことを言うのね」
 思わず笑みがこぼれた。
「勿論大歓迎よ」
「お撮りしましょうか?」
 黒髪の少女を連れた紳士が申し出てくれた。少女――禮はリリィへと優しいまなざしを向ける。自分と似通った何かを感じ取ったのかもしれない。庭園を背景に、寄り添うふたり。まるで本物の姉妹のように、お互いを大切に思い合う者たちの姿に。
「……リリィ……このお写真、大切にしますのっ!」
 小さなお茶会は電子のアルバムの中で永遠のものとなった。余韻に浸っているうちに、先ほどのふたりの姿がいつの間にか消えていた。きっとカノンがリリィの分まで礼を言ってくれただろうが、あの少女とは少し話をして見たかったような気もする。
「リリィ、紅茶のお代わりはいかが?」
 頷くと、手ずからカップに注いで渡してくれる。少しだけ触れた指は白く長く柔らかで、神聖なものにさえ思えた。
 もし、もうひとつだけわがままが許されるなら――。
「――」
 リリィの目が見開かれる。彼女の望みに応えるように、カノンが歌う。どこか遠い国の言葉は、軽やかに跳ね回る。リリィの肩に、髪に飛び移り、カノンのまつげに、爪の先に、あるいは緑鮮やかな芝生の上を転がる。喜びを歌っているのだと、リリィにもわかる気がした。
(本当にリリィは幸せ者ですわ)
 囁くように小さく、けれどリリィの全員を魂ごとを揺さぶるような歌声は、今リリィだけのものなのだから。
 
●ごちそうさまでした!
「そろそろ帰るとするかの。わらわが『つーしょっと』を撮影してやろう」
「あ、その前に」
 詩乃は自然な様子でカップルシートに収まり、寄り添う二人を写真に収める。
「いざ撮影、となると固くなってしまわれるかもと。余計な心配だったでしょうか?」
 飯綱はくく、とおかしそうに笑った。
「いいや、良く撮れておる。のちのち良い記念になろうぞ」
 笑いが収まった飯綱と詩乃は、相棒たちの元へ向かう。由香里はさきほどの小事件の犯人に目星がついていたのだろう、飯綱に向かって口を開こうとする。
「ごめんなさい!」
 それを遮ったのは詩乃の謝罪だった。
「詩乃ちゃん? なぜ謝るの?」
「私が飯綱さまにお願いしたことなのです。少しでも蛍丸と距離を縮めてもらいたくて……」
 由香里は詩乃の前に立つ。頭を下げる詩乃の背と肩を優しく包んで身を起させた由香里は、彼女の頭を撫でた。
「ありがとうね、詩乃ちゃん」
 そして、そっと耳元で。
「お陰で今日は素直に甘えられたみたい」
 秘密を共有したふたりは微笑み合う。残された二人は不思議そうに、しかし良い予感を感じながらそれを見つめていた。
「さ、写真を撮るぞ。由香里と共にかっぷるしーとに掛けるのじゃ」
「ありがとうございます。その後は4人で撮りましょうね」
 帰り道。スイートパークに誘発されてか、持ち帰りができるような洋菓子店が並ぶ。
「折角ですから、お土産も買いましょう」
 エレナは言う。今日はお留守番の英雄のためのものだ。
(今日も炉威様を独り占めですもの。偶には)
「何が良いかね」
「ワッフル位が適当で良いですわ」
 もちろん自分も食べる気満々なのだろう。エレナは嬉々として選んでいる。
「なかなか悪くはなかったね」
「どれも美味しかったですけれども、やっぱり炉威様の作るモノ以上のモノは存在すらしませんわ」
「そりゃどーも」
 エレナはそこでふと思いつく。
「ああ、でも存在はするかもしれませんわ」
 昏い光を宿す瞳が妖艶に光る。
「わたくしが炉威様にお作りするモノですわ」
「エレナが?」
「ええ。きっと何よりも美味しいですわ。だってそれは……」
 劇薬。
 口をつぐんだ彼女の思いを量りかねて、炉威はエレナの瞳を見つめ返す。しかし彼女は、くるりと背を向けてしまった。――その背にある黒い翼は、何故だかいつもよりも存在感を増している気がした。
「なぜじゃ。もう和解は済んだはずであろう?」
 由香里の自宅。帰宅するなり飯綱は正座を命じられた。
「詩乃ちゃんとは、ね! あなたには教育的指導が必要だわ。覚悟なさい、飯綱!」
 彼女にはやはり、由香里からの雷が落ちてしまったという。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • きゃわいい系花嫁
    夢洲 蜜柑aa0921
    人間|14才|女性|回避
  • 天然騎士様
    アールグレイaa0921hero002
    英雄|22才|男性|シャド
  • 解れた絆を断ち切る者
    炉威aa0996
    人間|18才|男性|攻撃
  • 白く染まる世界の中に
    エレナaa0996hero002
    英雄|11才|女性|ジャ
  • おとぎの国の冒険者
    七森 千香aa1037
    人間|18才|女性|防御
  • きみと一緒に
    アンベールaa1037hero001
    英雄|19才|男性|ブレ
  • 終極に挑む
    橘 由香里aa1855
    人間|18才|女性|攻撃
  • 狐は見守る、その行く先を
    飯綱比売命aa1855hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • アステレオンレスキュー
    大宮 光太郎aa2154
    人間|17才|男性|回避
  • エージェント
    ディスターaa2154hero002
    英雄|21才|?|シャド
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 白い渚のローレライ
    aa2518hero001
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951
    人間|17才|男性|命中
  • 愛されながら
    詩乃aa2951hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • その背に【暁】を刻みて
    東江 刀護aa3503
    機械|29才|男性|攻撃
  • 優しい剣士
    双樹 辰美aa3503hero001
    英雄|17才|女性|ブレ
  • 暗闇引き裂く閃光
    大門寺 杏奈aa4314
    機械|18才|女性|防御
  • 闇を裂く光輝
    レミ=ウィンズaa4314hero002
    英雄|16才|女性|ブレ
  • Lily
    リリィaa4924
    獣人|11才|女性|攻撃
  • Rose
    カノンaa4924hero001
    英雄|21才|女性|カオ
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