本部
漆黒の神の陰謀! 殺戮の戦争の始まり
掲示板
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【相談】夜闇の死闘、及び救出劇
最終発言2016/10/27 06:01:48 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/10/26 22:27:02
オープニング
夜の街の中を瑠璃(az0059)達は歩いていた。
先程彼女達は無事に任務を終え、本部に帰還しょうとしていたのだった。そんな中、隣を歩くマーガレット(az0059hero001)へと碧霧(あおぎり)は話しかけた。
「マーガレット、本部に報告が済んだら皆で飯食いにいかねぇ?」
「良いですね! あ、でもわたしデザートも食べたい!!」
そう二人は楽しそうに言葉を交わしていた。
碧霧とマーガレットは任務を通して友人になり、また歳も近い為か話も合っていた。店は何処にするかとか、そんな話でエージェント達は盛り上がっていた。
そんな中。突如異変は起きた。
突然地面がズドドド!! とした激しい音を伴い、幾つもの銀色に輝く刃がまるで地面を這うかのようにエージェント達へと勢いよく向かっていった。
エージェント達は咄嗟に自分の英雄と共鳴をし、それを回避した。そしてエージェント達は表情を変え、視線をある方向へと向けた。
そこには二人の男が立っていた。
一人はガタイの良い大柄なマッチョの男で、もう一人はシルクハットを被った老人だった。
マッチョの男……イグザードはにんまりとした嫌らしい笑みを浮かべながらエージェント達に言った。
「オイオイ、油断大敵だぜ!エージェント様よぉ」
「……お前は……“漆黒の神”の……」
鋭い瞳で睨む碧霧へとイグザードは右腕を覆った装甲で拳を握った。と、同時にそれを地面に目掛けて勢いよく振り下ろし、そして叫ぶかのように告げた。
「そう“漆黒の神”の幹部イグザード様だぜ! 覚えておきな!! クソエージェント共!?」
二度目の攻撃がエージェント達へと再び襲い掛かる。
エージェント達はそれを回避しょうとするがスキルが足らず、それと同時に疲労の色が色濃く出ており、その為回避に失敗した。そして銀色の刃でそれぞれのエージェント達は次々と体を貫かれていった。
エージェント達の血が地面を濡らしていき、地面には血溜りがその場に広がっていく。それを見、イグザードは唇の端を吊り上げながら楽しそうに嗤った。
「ハッ! やっぱり任務を終えた後のエージェント達を始末するのは楽だな!簡単に死にそうになりながる」
エージェント達へと強襲が成功した事に若干の悦びを滲ませ、豪快に嗤うイグザード。
そんな敵に対して瑠璃は駆け出し、剣を閃かせた。それをイグザードは表情を変え素早く回避する。瑠璃は研ぎ澄ました刃のような鋭い瞳で老人達を見据えた。
瑠璃を見、老人は唇の端を吊り上げ、言葉を発した。
「これはこれは瑠璃お嬢さん。確か……今はH.O.P.E.の犬になられたとかで、噂はお聞き致しております。随分落ちぶれたものですなぁ」
飄々と言う老人の台詞に瑠璃は顔を歪め、そして強い口調で言い放った。
「あなた達の為で姉さん達は……それにこんな事を重ねて何になるの!? また無関係な人達を巻き込み、苦しめるつもりなの!!」
その言葉は叫びに近かった。老人達から全てを仕組まれ、駒のように瑠璃の父親と姉は操られていたのだ。
それは瑠璃の幼い頃の幸せを粉々に打ち砕き、悪夢へと変えた元凶とも言えた。
それはけして赦されるものではなかった。
だが老人はそれを嘲笑うかのように彼女へと告げる。
「それは能力者を“憎悪”にまみれさせ、愚神と協力関係を持つ人間を作る為ですよ」
瑠璃はその言葉に息をのみ、そして大きく瞳を見開く。
それは自分の父親龍磨の姿を瑠璃は脳裏に思い浮かべた。
「そう……あなたの父親のような駒を増やし続け、そして増やし続けた先にエージェント達へと攻撃を仕掛け、そしてH.O.P.E.襲撃の足掛かりとする為ですぞ。何故ならば軍勢は大いに越したことはないからのぉ」
その言葉に瑠璃はギリッと奥歯を強く噛み、そして剣の束を強く握ると老人を目掛けて疾走した。
「そんな事は絶対にさせない! 誰一人私のような思いはさせたりなんかさせない!?」
そう吠えるかのように叫ぶと瑠璃は老人へと剣を閃かせた。
が、老人はそれをあっさりと回避し、手にしていた剣を瑠璃の方へと向けた。すると剣の刃に刻まれていた紋様が淡く光を放ち、そしてそれは瑠璃の視界を真っ白に染め上げた。瑠璃は思わず目を瞑る。
そして目を開くとそこには龍磨の姿があった。
それは酷く冷たく、まるで氷のような瞳で瑠璃を見ており、そして蔑むような表情をして彼女に言った。
『お前は生きる価値のない人間だ。お前の力は人を殺す為にある。さぁ殺せ、殺せ、殺せ、一人残らず殺し続けろ』
「いや、いやです……私の力は人を救うためにあるの……もうあの頃には戻りたくない……戻りたくない……っ」
瑠璃は両手で頭を押さえ、顔を歪めながら瞳の端に涙を浮かべ何度も何度も頭を振った。それは瑠璃を駒のように使い続け、苦しめ続けたあの頃の龍磨の姿だった。
『瑠璃! しっかりして! これは幻だよ!』
そうマーガレットは強い口調で告げるが瑠璃は酷く混乱していた。
現に龍磨は捕まっている。この龍磨は本物である筈は無く幻……幻影の他にならないのだ。
だがそこに龍磨の姿をした幻影は瑠璃に攻撃を仕掛けようとした。それに対してマーガレットは瑠璃の意識を瞬時に瑠璃自分の中に押しやると、迫る攻撃を回避し、同時に龍磨の額に付いていた赤い宝玉に気づいた。
そしてそれを剣で攻撃する。すると龍磨の姿をした幻影は虚空に消え去った。が、そこに老人の攻撃がマーガレットへと襲い掛かろうとした。
だがそれをその場に駆けつけたシルフ・ハムレット(az0009)が杖で受け止めた。
シルフとあなた達は本部の要請でその場に駆けつけていたのだった。老人は後ろへと跳び退るとシルフとの間に距離を取った。
「あれが幻影とよく見破ったのぅ。さすがは英雄と言う事かのぅ」
老人はまるで感心したかのように言った。
そして老人の近くにいたイグザードは前に一歩足を踏み出し、あなた達の方を見ながら獰猛に、そして楽しそうに嗤いながら告げた。
「よく来たなクソエージェント共! さぁ、始めようぜ。“戦争”と言う名の殺し合いってヤツをな!? 俺をガッカリさせるなよ?」
そしていま戦いが始まった――――
解説
ヴィランズの組織“漆黒の神”の幹部イグザード達の捕獲、並びに味方を誰一人も死なせず助け出す依頼になります。
登場人物
碧霧
エージェント クラスブレイブナイト
瑠璃、マーガレットの友人。イグザードとの戦闘中に重症を負う
イグザード 組織“漆黒の神”の幹部。大柄のマッチョの男
強敵を前にすると強い悦びを感じ、戦闘を楽しむと同時に残忍な性格をしている
攻撃1 右手に覆っている装甲で拳を握り地面に振り下ろすと地面から銀色の刃が出現し、敵を攻撃する。(2、3回程度)(ケントゥリオ級と共鳴をしている)
攻撃2 両手両足にライヴスを宿らせ、主に拳などで攻撃して来る
老人 イグザードと同じく“漆黒の神”の幹部。人の弱さにつけ込み楽しむ性格をしている(ケントゥリオ級と共鳴)
攻撃1 剣の刃に刻まれている紋様の光をPCに放ち、幻影を生み出し攻撃する(PCのトラウマ的な要素、または思い出など。幻影での攻撃になりますので心理描写をお書き下さい)
攻撃2 剣での凄まじい斬撃での攻撃を繰り出して来る
Pl情報 幻影に赤い宝玉のようなものが付いており、それを破壊すると幻影は消える
ピンチになるとイグザードは足場での攻撃を仕掛け、それに続き老人は幻影での攻撃または剣での攻撃などを仕掛けて来る
敵は戦闘不能のエージェント達を積極的にトドメを刺そうと攻撃をして来る
エージェント
碧霧も入れて全員で4人いる
任務の帰りにイグザード達の強襲に合い、戦闘不可能となっている。エージェント達はイグザード、瑠璃の近くに動けず、倒れている
夜の街の中での戦闘な為近くには一般人はいない
状況 本部からの要請でシルフと共に現場に駆けつけた設定。リプレイはイグザード達と対峙しているところから始まる
NPC
瑠璃&マーガレット
ケアレイなどを使い皆さんの援護になります
シルフ・ハムレット&ラプンツェル・ゴーデル
お気軽にお申し付けください。無い場合は皆さんのサポートになります
リプレイ
自分達と対峙しているイグザードの台詞に対して蒲牢(aa0290hero001)は呆れたようにポツリと言葉を溢した。
『いきなり出てきて戦争だなんて、陳腐な台詞をよく言えるわねぇ』
「……」
それに対して自分の能力者の鯨間 睦(aa0290)の表情が僅かながらに動いたのに気づく。
それは彼の英雄である蒲牢が分かる程度の変化にしか過ぎなかった。蒲牢はそれに対しクスリと小さく笑い、そして前を見据えたまま彼に言う。
『いつになく怖いお顔ねぇ……でも、やる気があるのはいいことだわぁ』
『まったく、疲れた人間を襲うとは卑怯この上ないのじゃ!!』
イン・シェン(aa0208hero001)は強い憤りを感じながら自分の傍らに立つリィェン・ユー(aa0208)に言った。
「まったくだ。だが、強いことには強い。特にあのマッチョの方」
また彼もその言葉に深く同意し、真剣な面持ちで彼女の方へと答えた。インはイグザードへとチラリと視線をやる。そして僅かに唇の端を緩めた。
『たしかにのぅ。何も気にせず戦えたら楽しめそうなやつじゃが』
「まず彼らを助けてからだな」
「そうですね。それに何よりの最重要は、皆で生きて帰ることです。だから、シルフさんと瑠璃さんには私達より倒れた4人の救護をお願いします」
努々 キミカ(aa0002)の言葉にシルフ達は力強く頷く。
そんなエージェント達へとイグザードはニヤリとした笑みを浮かべ、言葉を発した。
「オイオイ俺達を倒す相談か? エージェント様よぉ。さっさと来ねぇならこっちから行くぞ! 早くしねぇとお前らの仲間が死ぬぞ!!」
挑発混じりの言葉を吐き、イグザードは動いた。
まず狙うのは自分の近くにいる戦闘不能のエージェントのうちの一人だ。
だが、同時にネイク・ベイオウーフ(aa0002hero001)と即座に共鳴を果たしたキミカも動く。
キミカは九陽神弓にライヴスブローでライヴスを纏わりつかせると、その矢をイグザードへと放つが、イグザードはそれに気づき瞬時にそれを回避した。が、そこに睦のファストショットがイグザードへと叩き込まれた。攻撃を受け、そしてイグザードの意識が一瞬キミカへと向けられる。
「私が相手だ、イグザード! 無用な殺生よりは余程楽しい時間を呉れてやる!」
「あぁ? 本当かよ? じゃぁ、まずはテメェらの仲間の命を俺達から護ってみな!!」
そう強く言い放ったのちイグザードは自分の拳にライヴスを纏うと負傷したエージェント達へと攻撃を再開させようとした。だが、そこにリィェンのシャープエッジがイグザードの肩に深々と貫いた。
「わりぃが、こいつらを殺らせはしないぜ」
リィェンの言葉にイグザードは忌々しそうに舌打ちをし、素早く右手に覆っている装甲で拳を握った。
そして振り上げる。
それを見、睦は仲間達へと弾けた声で叫んだ。
「……散れっ!!」
エージェント達は睦の声に即座に反応をし、負傷者を庇い、または抱き抱えるようにして地面から迫り来るイグザードの攻撃を回避した。
それに対してイグザードはふっとした笑みを浮かべる。
どうやらこの目の前の敵達を倒さなければ、負傷者を殺せないみたいだ……。ならば全員纏めて殺せばいい。それになかなか愉しめそうだ。
イグザードはエージェント達へと向き直り、そして告げた。
「気が変わったぜ。まずはテメェらから殺すとする」
●速さを所持する者
老人は剣を携え、自分の近くにいた負傷者へと閃光のような速さで斬りつけた。
だが自分が切り裂いたと思っていた負傷者は素早い動きで攻撃を回避し、そして老人へと手にしたクナイを投げてきた。老人はそれをなんなく回避する。回避するさいにクナイが老人の頬を掠め、頬にうっすらと血が流れた。
疑問を感じ視線を凝らして見ると、それは負傷者に紛れ込んでいた藤林 栞(aa4548)だった。彼女は自分の英雄藤林みほ(aa4548hero001)と共鳴をし、負傷者達の中に紛れ込んでいたのだった。
そしてそこにディオ=カマル(aa0437hero001)と共鳴をした火乃元 篝(aa0437)が老人へと距離を一気に詰め、大剣を閃かせた。それに対し老人は剣の腹でそれを受け止める。
「ふむ! このタイミングで来るか!!」
『おやおやぁ、まさしくこそ泥ぉの様でございまぁすねぇ』
そう言う二人の言葉に老人は穏やかな口調で篝達へと話しかけた。
「また貴方方達でしたか。余程我々の邪魔をしたいのだとお見受けができますなぁ」
「ふむ! うむ! 実につまらぬ!お前たちはな!」
篝はそう吐き捨てると同時に鍔迫り合いをしていた大剣を僅かに引いた。
それを老人は見逃す筈もなく、篝へと真横に剣を凪ぐように斬り裂くが、それを篝はギリギリのところで回避する。そしてストレートブロウを発動させた。攻撃を受け老人は大きく吹き飛ばされ、そして近くの壁へと激突した。
篝の攻撃で老人との距離が開いた。
その隙にリリア フォーゲル(aa0314hero001)と共鳴をしていた天城 稜(aa0314)はすでに敵の近くから負傷者をグレイプニールで引き寄せていた。そして負傷者を担ぎ、シールス ブリザード(aa0199)、瑠璃、シルフ達と共にその場から走り出す。
だが老人は痛む体を無視し、その場から立ち上がりシールス達目掛けて疾走してきた。それを見、シールスは苦虫を噛み潰したような顔をした。
(弱った者を狙う奴が“戦争”か……滑稽で笑えるね)
そう内心で呟き、そしてシールスは瞬時に老人に向けて銃弾を放った。それに対して老人は自分に迫る銃弾をあっさりと回避し、そして負傷者へと凄まじい斬撃を繰り出そうとした。
が、シールスは負傷者を庇い、その攻撃を受けてしまう。体を斬りつけられたシールスは苦痛に思わず顔をしかめる。
それに対して老人は次の攻撃をシールスへと繰り出そうとした。その瞬間。
老人の背後から灰堂 焦一郎(aa0212)の援護射撃が途切れなくが老人を襲った。
灰堂の攻撃により体制を崩す老人。
そこにシールスと老人の間に八朔 カゲリ(aa0098)が黒のトレンチコートを靡かせながら、滑り込むように割って入った。そして瞬時に剣を老人へと振るった。
老人は回避する間もなくカゲリの攻撃を受け、腕から血を流す。
カゲリは老人を見据えたまま振り返りはせず、綾達へと強く言い放った。
「今のうちに!」
そう告げられ、綾達はその場から駆け出した。老人は攻撃を受け、なお表情を変える事はなく、平然とした口調で言った。
「仲間を逃がしたのですか。まぁ、いいじゃろう……。エージェント殿達貴方方達にとっておきのプレゼントがあるのじゃが、受け取っては頂けぬじゃろうか?」
その台詞にカゲリは警戒し、そして老人は剣をカゲリ達へと垂直に向けた。
剣の刃の紋様が淡い光を放ち、カゲリ達は回避に間に合わず、その光を浴びてしまった――――。
●一筋の光の中で
綾達は薄暗い室内の中で救命救急バッグを使い傷の処置をし、それと一緒にケアレインを負傷者達へとかけていた。
あの後、綾達は近くの店などに負傷者達を一旦避難させていたのだった。
店の外ではシルフが周囲の警戒をしており、瑠璃とシールスは綾の手助けをしていた。淡い光が負傷者達の傷を癒していく。それを見ながら綾は思わずポツリと呟いた。
「敵に漆黒の神の幹部が二人で要救助者が四名か……これは、骨が折れそうになるね」
彼の脳裏に先程自分が目にした光景が甦る。
それは圧倒的な力を振るう幹部の二人に、倒れていた負傷者達の姿。それはあまりにも悲惨な光景だった。
明らかに任務の難易度が高い事を嫌でも表している。そんな光景だったのだ。
そんな思考を絶ちきるようにリリアの声が綾の脳裏に聞こえた。
『敵は、仲間を信じて任せますよ! 私達は、全員を無事に帰す事に集中しましょう!』
「そうだね」
リリアの言葉に綾は力強く頷いた。
暫くして綾のケアレインを受けていた碧霧は薄く瞳を開いた。
「ここは……?」
「碧霧! 気づいたのね! 良かった……今近くの店に避難してて、そこであなた達は治療を受けているの。幹部の二人は努々さん達が戦っている」
瑠璃はほっと安堵した笑みを浮かべながら碧霧へと言った。
今瑠璃の中にマーガレットはいた。落ち着きを取り戻した瑠璃の意識をマーガレットは表に出していたのだった。
碧霧は綾へと視線を向け、そして口を動かした。
「そうか……。来てくれて有り難う。おかげで命を救われた。そして聞いてくれ……イグザードはあの老人のように回避能力は高くはない。あのスキルさえ回避し続け、こちらの攻撃を与え続けていけば何とかなるはずだ」
「あと……あの右手の装甲で攻撃を受け止めようとする行動をする。それ以外を狙えば……ダメージは与えられると思う」
碧霧の言葉に続けてシールスのケアレイを受けていた負傷者のうちの一人のエージェントが言葉を発した。それを聞き、綾とシールスは互いに頷き合い、碧霧達から得た情報をシールスは仲間達へと通信機で伝えた。
●殺戮の戦争の始まり
夜の闇の中に佇むイグザードへと紅焔寺 静希(aa0757hero001)と共鳴をしたダグラス=R=ハワード(aa0757)は口を開いた。
「二匹居るんだ片方ぐらい殺しても問題あるまい。根暗な爺と脳筋が相手か、馬鹿で間抜けが相手なら組み易い」
ダグラスの言葉にイグザードはピクリと小さく眉をひそめた。
敵は自分の挑発に乗ってきている。
ダグラスそれを自覚しながらも、さらに言葉を続けた。
「戦争という殺し合いだと? 馬鹿さ加減が伺えるな、お前の頭蓋には心太でもつまっているのか?」
そう言いながらダグラスは人差し指で二度リズム良く自分の頭を叩きながらイグザードに侮蔑と嘲笑を含んだ視線を向けた。
「更にはこそこそと消耗した相手に奇襲をかけて悦にはいる、態度とガタイのわりにやる事がさもしいな、幹部を名乗るわりにやる事は三下、小物だな」
「テメェ……言わせておけばよくぬけぬけと……余程早く死にてぇらいしな! お望み通り殺してやるぜ!! 肉片も残らずにな!?」
ビキビキと青筋を立てながらイグザードはダグラスへと殴りかかる。
ダグラスは素早く体を横へとずらし、その攻撃を回避する。そして間近に迫ったイグザードの顔に彼はショットガンM3でイグザードの顔面に向けて攻撃をする。だがイグザードは迫りくる銃弾を顔を即座に逸らしながら回避し、残りの一発の銃弾を歯で受けとめ、銃弾をペッと吐き出した。
「豆鉄砲を食らった気分はどうだ、三下」
「あぁ、確かに豆鉄砲だな」
ダグラスは挑発を続けながらも敵の胴体を中心に攻撃をしていく。その攻撃を浴び、イグザードは煩わしそうに右手の拳を地面へと叩きつけようとした。
その寸前。
イグザードの右腕の装甲にネビロスの操糸が絡みつき、それをリィェンが縛り上げ阻害した。
「そんなかわりやすい大技……見逃すわけねぇだろ」
イグザードは顔を歪め毒づき、右手を振り上げようとするが操糸が絡みついている為失敗に終わる。そこにキミカのライヴスリッパーがイグザードを襲い、続けてダグラスの換装した鎌の鋭い刃がイグザードの足を抉った。
「っ……」
イグザードの血が飛び散り、地面を赤黒く濡らした。そして彼は唇の端を醜く歪めると獰猛に嗤った。
――コイツら強いじゃねぇかよ! これは存分に存分に殺しがいってもんがある!!
それは自らダメージを受けたにも関わらず、心の奥底から感じる“歓喜”に近かった。
こんなに愉しいと感じたのはここ数年ぶりの事だった。そう、初めて“漆黒の神”である今のボスと戦って以来の事だ。
「愉しい、愉しい、愉しいなぁ! クソエージェント!」
そう歓びに似た絶叫を放ち、イグザードは右手に覆っている装甲の拳を振り、勢いよく地面に振り下ろした。
ズドドド!! とした音と共に地面を這う刃がエージェント達を襲う。
だが同時にダグラスは助走をつけて上へと跳ぶと瞬時に換装した槍をイグザードへと投擲した。ダグラスはイグザードの攻撃を回避する事に成功し、一方イグザードは回避するのが間に合わずダメージを受けていた。
明らかにダメージが蓄積し続けている。
それをリィェンは感じ、そして駆け出しながら敵へとシャープエッジを放っていく。先程イグザードの攻撃を受け、脚に鈍い痛みがあるが、彼はそれを気にもしない。
「はははは……強い貴様……こんなに殺りがいがあるやつは久しぶりだぜ」
リィェンは戦いが長引く程に力が入っていた。
そんなリィェンの攻撃をイグザードは回避し、そしてイグザードも彼へとニタリとした笑みをしながら答える。
「そうかよ!! でもな、先に言うがここで死ぬのはテメェらなんだから、な!!」
そう言い、イグザードはリィェンへと殴りかかる。
もうリィェンのシャープエッジは打ち尽くされている。
勝機はすでに見えている。
そう思った瞬間リィェンはイグザードの攻撃を回避した。が、そこにリィェンの背後から老人が迫り、そしてリィェンの背中へと斬撃を繰り出した。
ダメージを受けるリィェン。
老人は次の攻撃を繰り出しそうとするが老人の背後にいた栞がジェミニストライクで自分の分身を生み出し、老人へとクナイを投擲する。老人は一瞬の判断に遅れ、クナイが老人の体へと突き刺さった。老人はそこで初めて表情を僅かに動かし、そして栞達へと剣を向け、光を放った。
目映い光が栞達の視界を覆った―――
●まやかしの幻想
真っ白な視界が開けた先には二人の男女がそこに立っていた。顔は見えないが、カゲリはその人物達を知っていた。
それは自分の両親の姿だった。それが幻影として彼の目の前に現れたのだ。
両親の姿をした幻影達はカゲリへと駆け出しながら襲い掛かってきた。それに対してカゲリもまた動き出した。
彼の両親は愚神に殺され、肉片にまで変えられた事実。
そしてその場に己がいなかった事、その場にいた双子の妹が心を壊してしまった事。
その妹を守れなかった事……それが彼の負う心傷である。
―――然し、彼には心傷が怯む理由に成り得ない。
何も感じない訳ではない、どれだけ傷付こうと進まねばならない理由がある。
故に目的に対して迷うは不実であると、その足を止める事は決してない。
……大切な物は、総て胸の内にあるのだから。
それでも尚と、総てを焼き尽くしてでも突き進まんとするその意思は、ナラカ(aa0098hero001)をして“燼滅の王”と称えられるほどである。
ただ、それで思うところがない訳ではなく。
任務が捕獲である以上は殺さないが、それでも老人に対する殺意は増すだろう。
拷問並みに責め立ててやろうかと思う程度には。傷に触れてこの程度なら、寧ろ安い物である。
父親の姿をした幻影がカゲリを殴るがカゲリは同時にそれに対して身を屈め回避し、父親の姿をした幻影の胸へと剣を閃かせる。カゲリから斬り裂かれた幻影は胸に付いていた赤い宝玉ごと消え去った。
そしてその真横から襲い掛かる母親の姿をした幻影に対して彼は瞬時に攻撃を回避し、それと同時に手の甲にある宝玉を剣で攻撃した。攻撃を受けた母親の幻影は虚空の中へと溶けるように消え去る。
幻影が消え去った後微風がその場に立つカゲリの長い銀髪とコートの裾を僅かに揺らした。
一方、篝の目の前に篝の父先代の組長が出現していた。
それは紛れもなく幻影だった。
それを彼女は気にもせずにぶん殴った。殴った拍子に額に付いていた宝玉ごと破壊しており、あっさりと幻影はその場から消え去った。そして篝は幻影を殴ってから、ふっと気づいた。
「……ん? 何故糞親父がいたのだ? ムショの中であろう?」
『……ああうん、幻影ですが気づく前に殴りましたね貴方……』
篝の行動に思わずディオは突っ込む。そして篝は灰堂の方に気づくと彼に向かって声を大にして叫んだ。
灰堂の正面には灰堂がヴィラン時代に手に掛けてきた人間がその場に現れていた。
その人間は静かに口を開く。
それは、罪は永遠に消えることはない。
己の本質はイグザード達と変わらぬと。
それはかつてヴィランの組織に属していた頃に殺めてきた事実を突きつける言葉だった。
それは責めるように。
それは囁くように。
彼へと言葉を吐き出し続ける。
今の彼はかつての罪を重ね続けた事を重く受けとめていた。
それは目の前の人間が言うように自分の犯した罪は消えはしない。
「御尤もです。が……相違点が一つ。自分はあのお方と出会うことができました」
灰堂はそう静かな声で告げた。
罪も悔恨もすべて引きずり、それでも生きる。救われた心と命を無にしない。
その時彼の耳に声が届いた。
「灰堂、何を呆けている! 私は此処だぞ!」
それは今の自分がもっとも信頼を寄せていた者の声であり、その声は叱咤に近かった。
「―――はい、篝様。直ちに」
《システム・クリア。戦闘続行》
脳裏にストレイド(aa0212hero001)の機械音声の声がした。
人間は手にしていたナイフを持ち、灰堂へと斬り掛かるが、灰堂はそれよりも早く人間の腕に付いている宝玉へと 狙撃銃のトリガーを引き絞った。パァンと乾いた音と共に赤い宝玉が粉々に砕け散る。砕け散った宝玉の破片と共に目の前にいた人間は風に乗り、そしてその場からかき消えた。
●殺戮と強さを求める先に
リィェン、栞、の二人が老人の幻影に捉えられていた。
その幻影は自身の心の傷……トラウマなどに触れるもの。誰にも触れて欲しくない部分に近いものでもあった。
そんな二人へと老人とイグザード達は攻撃を仕掛ける。
その直前。
栞達を庇うかのようにキミカ達と駆けつけたシールス達がイグザード達の前へと躍り出た。
キミカはイグザードへと再びライヴスリッパーで攻撃する。イグザードはその攻撃を受け、体を思わずよろめかせた。だがイグザードは地面に足を強く踏み、体勢を即座に戻すと同時に、キミカの体に蹴りを入れようとするが彼女はそれを回避した。そして彼女は後ろの気配を瞬時に感じ取り、ある事に気づくと声を張り、叫んだ。
「今だ! 合わせろッ!」
キミカの叫びと共にイグザードへと奇襲を掛けるように、イグザードの背後へとシルフが駆け出し、正面からキミカは火之迦具槌の柄を押し付けて動きを封じた。そしてそれに合わせるかのようにシルフの攻撃がイグザードを襲った。攻撃を受け、イグザードは思わず顔をしかめた。
一方、シールスの方も目の前の老人へと剣を閃かせた。
が、老人はそれを斬撃で回避する。そして老人はシールスへと凄まじい程の斬撃での攻撃を試みたが、睦の銃弾が老人の脚を穿ち、さらに続けて背後から綾の狙撃した弾丸が脚の方へと撃ち込まれた。
あの後、綾達は負傷者達を護衛し、離脱に成功したのち、老人達が見える建物の上まで移動をして敵を狙撃していたのだった。
老人は肩から腕に、それと同時に脚からも真っ赤な鮮血が流れていた。
全身に鈍く、そして酷い痛みが身体中を蝕む。
その程度だ。
それにまだ自分の体は動く。だが、問題はダメージが徐々に蓄積しつつある事だ。
老人はシルクハットの鍔を軽く持ち下げ、そして低い声音でイグザードへと告げた。
「イグザード……そろそろ始末するぞ。さすがに、ちぃっと目障りになってきたのでのぉ」
「そうだな、もう殺すか」
二人はそう言ったのち、即座に行動に移した。
イグザードは右の拳を地面へと叩きつけ、キミカ達の足場を狙って躊躇なく攻撃をしてきた。だがそれをキミカ達は上へと跳び回避する。
が、そこに続けて老人の斬撃がキミカ達を襲った。
ダメージを受けながらもシールスは老人へと正面から剣を振るうが、老人はその刃を真後ろへと跳ぶようにして回避する。
そして老人は剣の刃の光を強く放ちながら、睦達へと幻影を生み出した。睦達のそれぞれの幻影が自分達の目の前に出現したのだった。
●トラウマとの対峙の中で
リィェンの今目の前に広がる幻影は以前あの時仲間を全て失った【獄】の最後の光景でありその仲間の怨嗟だった。
それはある意味、リィェンの最初のターニングポイントであり、仲間を守れなかった過去に刺さった茨。
「すまない……あの時今の力があれば君らを助けられたんだがな……許してくれとは言わない。だが、今の俺には叶えたい願いができたんだ。そのためにも……今の俺を邪魔しないでくれ」
リィェンはそう静かに告げると共に地を蹴り、その場から駆け出すと仲間の胸にある宝玉を屠剣で貫いた。
栞の目に映ったのは初代藤林と先代の自分の母親に忍者の訓練や教育ばかり受けた事を強調、ねつ造した姿だった。
「熱湯につけられ、刃物で刺され、泣いてもやめない……おのれ、復讐したくともあいつは兵に囲まれていて手が届かない! にくらしい藤林みほ……」
『待って!? お湯は52℃程度だったし刃物は訓練用のプラスチック、泣いてたのは寝起きであなたが子供の時でしょう!? 私ここにいるから!?』
怒りを露にしながら言う栞にみほは慌てて突っ込む。
本人が彼女の横にいる為栞自身にはさほど深刻なダメージではなかった。辺りを見渡しながら赤い宝玉を探すが見当たらず、暫くして幻影はスッと消え去った。
キミカの前に立ち塞がったのは一人の襲撃者の幻覚だった。
キミカの意識にはネイクの姿。
ネイクの意識にはキミカの姿。
互いの拒絶が、互いにとって何よりの恐怖。
だが同じ類いの攻撃は前にも受けた事がある、故に心では挫けない。
後は幻覚を押し通り進めるか、それだけ。
(リンカーに……! 『英雄に……!』)
「二度も同じ手が通じるものかぁぁぁ!」
そう絶叫のように叫び、キミカは襲撃者を宝玉ごと武器で攻撃した。
シールスの前に突如現れたのは自分の子供の頃に大怪我をさせた従魔だった。
その従魔はシールスへと勢いよく襲い掛かる。シールスは幼い頃の記憶が頭の中を過るが、それを振り払うかのように、心の中で強く言い聞かせる。
(今の実力なら大したこと無い相手だ!)
強い瞳で迫り来る従魔を見、そして。
「鬱陶しいんだよ! こんなもので僕をまやかすな!」
従魔の頭に付いている宝玉を剣で叩き斬った。
シールスの前から幻影の従魔が消え、それと入れ替わるように老人がシールスへと剣を閃かせた。
避けきれない!
そう思った瞬間シールスの前にリィェンが現れ、老人へと剣を振るった。
「嫌なもん見せやがって……捕縛命令でてなかったら殺していたぞクソジジィ」
その声は地の底から響くような低い声音だった。
リィェンの攻撃を受け、老人は怯む。そこにイグザードが二人の間へと割って入りリィェンを殴りかかる。が、リィェンは回避し、キミカの矢がイグザードの装甲を撃ち抜く。
だが、装甲の為さほどダメージにはならなかった。
「どうした? 私はここだ、お前の敵はここにいるぞ!」
その台詞にイグザードは応じ、ニタリとした笑いを浮かべながらキミカ達の方へと狙いを定めた。
一方。老人の方へとシールスは体を狙いブラッドオペレートで攻撃をした。
「よくもあんなものを見せてくれたな! 楽に気を失えると思うな!」
『シールス、落ち着け。怒りにのまれるな』
老人に対して憤りを露にするシールスに脳裏で99(aa0199hero001)の声がシールスを制する。そんなシールス達に一瞥もくれず鋭い刃物で体を切り裂かれた老人は閃光のような速さでシールスに斬撃で攻撃するが、それと同時に灰堂の銃弾が老人の剣の持ち手を狙撃した。
老人は灰堂へと目を向ける。と、同時に老人の前へと篝が飛び出してきた。
老人は慌てて篝へと攻撃するが、それは失敗し、篝は腕、脚、頭を狙い、攻め続け一気呵成の重さで砕いた。ダメージを受け、それでもなお、老人はボロボロになりながらも篝目掛けて突進しながら剣を篝の体へと突き刺そうとしてきた。だが、そこにカゲリの剣が老人の攻撃を防いだ。
カゲリの中でナカラは老人を見、何とも有り触れた悪党だと認識する。
なればこそ、試練としては丁度良い。
寧ろ目を向けるのは仲間の方である。
その悪党を倒すべく動く者達に、味方の救出に動く者達。
その意志の輝き、奮起の姿愛する故に。
そして再び老人の背後から灰堂はブルーアイで敵を捉え、オプティカルサイトによる頭狙いでの陽動をする。
《戦場に陰謀屋は不要だ。標準補正・予測完了》
「……貴方がたの行動は無用の混乱を生むだけです。外しません。御覚悟を」
灰堂達の援護の元に篝はトップギアを使い、老人へと一気に叩き潰す。
「漆黒の神か、知らぬな!!」
地面へと強く叩きつけられた老人はそのまま倒れ伏した。
●決意と、希望と
幻影の攻撃を受けた綾の前に現れたのは自分が能力者になる切っ掛けであり、愚神に体を乗っ取られ自ら殺した友人の姿だった。
「君は……! 僕が……手を掛けた筈……どうして!?」
それを見、思わず綾は驚愕し、掠れた声で呟くように言った。
そんな綾へと友人は口を開き、彼を酷く罵る。その言葉は綾の心を抉り、精神的なダメージを与えていく。
綾はその言葉に狼狽え、攻撃の手が僅に、そして徐々に緩んでいく。
だが彼はハッとし、脳裏に自分が手に掛けて殺した事を思い出した。そしてその事を振りきるように彼は決意を込めた瞳で幻影へと狙撃銃で連続攻撃した。
「君に、恨まれているだろうけど……もう、そんな事はどうでもいい。恨まれて復讐されるなら、僕がそっちに行ってからだ! 今は、僕の邪魔をするなぁ!」
乾いた銃声がその場に轟く。
体を連続で宝玉ごと撃ち抜かれた幻影は闇の中へと溶けるように消え去った。
正面に立つ一人の女性が睦へと拳銃を突きつけていた。
それはかつて愚神に殺された睦の恋人だった。睦はその女性が誰であるか分からなかった。女性の顔が見えない為ではなく、女性に関する記憶をなくしている。その為であった。
睦は女性の姿を見、突如とてつもない無力感と触れたくなる衝動に襲われ、前へと一歩足を踏み出した。
「……お前は……はっ……」
女性は桜色の唇を吊り上げ、拳銃を睦へと発砲した。
『ちぃっ、あんたが出てくるには、まだ早すぎんのよ!!』
蒲牢は短く舌打ちをし、そして睦から主導権を握ると、即座にそれを回避した。
そして女性のブレスレットの宝玉に気づくと蒲牢はそれを攻撃し、幻影を打ち破った。
●強さの先の果てに
キミカ達の方へとイグザードは拳、蹴りなどを繰り出すがキミカ達はそれを回避する。
そしてそこに栞の鎖がイグザードの足へと巻き付いた。それに対してイグザードは思わず顔を歪めた。
このままでは動けない。
足に巻き付いた鎖を何とかしょうとするが、何とも出来ない!
「クソっ!!」
イグザードは苛立ち、悪態をついた。そして視線を前の方へと向けると同時に思わず目を見張った。
そこには接近したリィェンの姿があり、彼は疾風怒濤でイグザードへと攻撃した。
連続での攻撃。
リィェンは血しぶきを浴び、イグザードは背から倒れるような格好で両手を広げながらそのまま地面へと倒れたのだった。
そして彼は倒れたまま太い笑みを浮かべながら言った。
「テメェらの勝ちだ……クソエージェント共」
●
こうしてエージェント達はイグザード、老人の捕縛に成功をした。
いま、現在二人はシールスのローゼンクイーンで縛られ、ダメージを負ったエージェント達は綾のケアレイン、瑠璃のケアレイで回復をしていた。
そんな中、キミカは共鳴を解除直後思わずその場に膝をつく。
それをそっとネイクは支え、彼は珍しく本気で漆黒の神に対して憤る。そして老人達へと鋭い刃物のような瞳を向けて、彼は低い声音で告げた。
「H.O.P.E.を甘く見るなよ、神気取りの愚者ども。我ら英雄は貴様らごとき捻り潰して見せるぞ」
その言葉に老人は小さく肩を震わせ、そして嗤った。
「我々を潰す? じつに笑わせてくれますなぁ。確かにワシらは負けた。じゃが……ワシらが“漆黒の神”がただ単にエージェント達を襲っていると思ったのかね?」
「どういう事だ……」
老人の言葉に訝しげにネイクは眉をひそめる。
その時、エージェント達の通信機に女性のオペレーターの声が彼らの耳へと届いた。
『こちら本部から各エージェント達に告げます!! “漆黒の神”のボス“ラグルド・ヴァンス“とその数名のヴィラン達が街を襲っています! 至急現場に向かって下さい!! 繰り返します……』
老人はいつものように飄々とした態度で静かに言った。
「“脅威”はすぐそこまで迫っているのじゃよ。エージェント殿」
エージェント達はその言葉を聞き、緊迫した空気と共に全身に緊張が駆け巡る感覚がしたのだった―――。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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