本部

震えろ

雪虫

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 5~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/06/11 14:17

掲示板

オープニング

●事件発生
 ブルブルブル。バックのわずかな振動に気付き、よし子は左手をバックに入れた。携帯電話の着信バイブ。今ではガラパゴスケータイ、通称ガラケーと呼ばれているそれを、しかしよし子は流行に関わらず愛用している。スマホやアプリがいくら便利と言われても、使い慣れたものには使い慣れたものの良さがある。
 というのは、まあ今回はあまり関係ないのだけれど。
「はい、もしもし隆? え? 今日発売のマンガを買ってきて欲しいって? アンタねえ、お母さん今家に帰る所……」
 その時、何か妙な黒いもやがよし子のガラケーにするりと入った。ガラケーは急に激しく震えだし、何故かサイズも大きくなり……
「……え?」

●出動
「……まずは、これを見て欲しい」
 何故か目を逸らし気味のオペレーターの言葉と共に、エージェント達の眼前に一つの映像が映り込んだ。……何あれ? 何、あの足の生えた巨大なガラケー。何、あの手を抜いた感じの心霊写真。
「言っておくがこの線だけで表現したような心霊写真は心霊写真じゃない。人間だ。心霊写真になるぐらい振動している人間だ」
 どういうことなの? エージェント達の頭から巨大なハテナがぶっ飛んだ。オペレーターは頭を掻きながら状況を説明する。
「まず、この足の生えた巨大なガラケー……どうやら従魔が取り憑いたらしい。そしてこの、仮にバイブと名付けるが、バイブの放つ弾に当たると体が激しく震え出す。そして震え過ぎると心霊写真になる」
 訳が分からない。エージェント達は表情で心情を説明した。だが状況に困っているのはオペレーターも一緒である。
「とりあえず現場に向かってくれ。さすがにここまで震えていると被害者の体調も心配だ。ちなみにガラケーはHOPEで見舞金を出すから壊してしまっても気にするな! ……多分同じ機種を用意する事は出来んがな」

解説

●目標
 従魔討伐

●場所
 I地区広場
 15×15スクエア。日中。晴れ。バイブ×3体とバイブの攻撃を受け心霊写真化している一般人3名がいる。一般人は主婦、男子学生、おじいちゃん。彼らのガラケーは全てバイブと化してしまった。現場にはバスで移動。広場周辺の一般人は避難しているので心配する必要なし

●敵情報
 バイブ×3
 ガラケーに足が生えたような姿の従魔。赤、白、黒(ご年配向け機種)の三種類。移動・物防・魔防・命中高め
・バイブ弾
 1ターンで1~6発発射。当たると体が震え出し【劣化(命中・移動)】付与。当たる程に振動とBSの効果が増す。自然回復には最後にバイブ弾を受けてから4ターンを要する。(例:1ターン目でバイブ弾を受け、3ターン目でもう一度バイブ弾を受けたら自然回復するのは7ターン目)。共鳴を解除した場合は能力者・英雄に振動が分散される。非共鳴状態でバイブ弾に当たった後共鳴した場合は能力者・英雄の振動が合算される
 以下は振動の目安
1回目:ブルブル震える
2回目:ガタガタ震える
3回目:心霊写真状態 
最終形態:残像
 なお残像状態であってもBS回復スキル1回で回復出来る

●その他
・プレイングには必ず「振動時の反応」を書いて下さい。記入がない場合はMSがアドリブしてしまいます。(「無反応」という『反応』はOKです)
・お知り合いが振動した時の反応は書いて頂けるとありがたいです
・「バイブ弾は絶対当たらない」という確定プレイングはNGです。残像になりたくない場合は頑張って下さい
・震えている人に触っても振動とBSはうつりません。ただし接触範囲に比例した共振は起こり得ます
・コメディーです。キャラ崩壊にご注意下さい

リプレイ

●出発前
「……ん、がらけー?」
 佐藤 咲雪(aa0040)の放った第一声はそれだった。現役女子中学生の咲雪にとって、ガラパゴスケータイというのは殆ど馴染みがないものである。携帯電話を使い始める時点で世の中殆どスマートフォンに切り替わっているので、店頭に絶滅危惧種の如く僅かに並んでいるガラケーに触れる理由がない。ないと言ったらない。
 その横でエミル・ハイドレンジア(aa0425)もこてんと首を斜めに傾げた。人形のように整った容姿、透き通るような美しい青紫銀の髪、その外見的特徴からどことなく神秘的な雰囲気を纏っている少女だが、性格や思考はかなりフリーダム。フリーダム。大事なことなので2(以下省略)。
「ん、ガラケーとは、一体……。なんか、周りの人からの、説明ぷりーず。ワタシは、現代っ子である。スマフォと、通信機なら、分かるけど……」
「そうね、携帯電話の進化を語る上では無くてはならないものだけれど……簡単に言えば電話とメール機能に絞った機種って所かしら。スマホと違ってアプリによる拡張性は低いわ」
 ガラケーを知らぬ現代っ子達にアリス(aa0040hero001)がお姉さん的に説明した。もちろん他にも色々違いはあるのだが、めんどくさいという事でSNS等に代表されるソーシャルアプリは使っていない程にめんどくさい系JC咲雪は
(ガラケーの方がめんどくさくないかな……)
と思いながら
「……ん、わかった」
と頷いた。
「……バイブ……ですか? 何か、また変な従魔が出たみたい……ですね」
 一方、御手洗 光(aa0114)から「相手がバイブ」という説明だけで招集を受けた廿小路 沙織(aa0017)は、(バイブにちなんだ訳ではなかろうが)声を震わせながら呟いた。ちなみに胸も震えている。凶器的胸囲。たゆんたゆん。
「光さんからなんか震える依頼があるって聞いたのですっ飛んできたんですけど! ガラケー! ガラケーのバイブレーションですか!!」
「あら、いったい何を想像していらっしゃいますの?」
 同じく「相手がバイブ」だけを説明された天之川・希望(aa2199)の顔を、今しがた名指しされた光がクスクス笑いながら覗き込んだ。意地の悪い、しかし妖艶な微笑みに希望(男の娘。成人済み)は可愛らしい顔を真っ赤に染めつつ全力で目を逸らす。
「い、いえ、いえ、そんな、何が震えるのかとか、ヘンな想像はしてないです、よ? ですよ? うん。ホントホント」
「あら、わたくしとしたことが。御免なさい、うふふふっ♪ ところで、これはまた奇妙な従魔が現れましたわね。一刻も早く被害に遭われた方を助けませんと……ふふふ、でも、とぉっても素敵な光景が見れそうな気がしますわ♪」
「わぁい! ブルブル震えて楽しそうですぅ♪」
「バイブでぶるぶる……面白いコトができそーじゃん♪ ふふ、愉しむぞー♪」
「ん、とにも、かくにも、一般人を、助ける必要が、あるとか、ないとか……? ……ん、あるのかな……?」
「と、とにかく、被害も出ているのであれば放ってはおけません、早く退治しませんと……」
 楽し気な光にレイア・メサイア(aa0114hero001)、ヘルフトリス・メーベルナッハ(aa0017hero001)、エミル、沙織がそれぞれに声を続けた。何かこの時点である種不穏な空気が漂っているが、その空気にさらに拍車を掛ける剛の者がここにいた。
「嗚呼、衰滅。がらけーなどという独自性を自らへの許しとするその寂莫……面白き哉」
 ティテオロス・ツァッハルラート(aa0105)は謳いながら豊満な胸囲をぷるんとさせた。ちなみに彼女は美術商という仕事柄、スマホに国内海外SIM2枚かつタブレット持ちである。その隣に立つディエドラ・マニュー(aa0105hero001)も豊満……もとい鳩派である。特にがらけーに思い入れはないが、滅びゆく物が面白いのでからかいに来た模様である。
「しかし、手持ちの得物を取り落とす不備もあろう……という事で沙織君に光君、そして諸兄姉、我に腹案有りだ」
 と、ティテオロスはおもむろに程良い太さのロープをその手に取り出した。ティテオロスは縛り術を嗜む副業を持っている事実がここで唐突カットイン。
 今、バイブ(従魔名)に立ち向かおうとするエージェント達の身に、程良い太さのロープが迫る。

●現場
 咲雪はデフォルトのやる気の無い半目で依頼参加者達の姿を眺めた。記録的ナイスバディの持ち主達に程良い太さのロープがコンボしすごい絵面になっている。一応言っておきます。これ日中の話です。
「……なんとなく、結果が……ん、予想……できる」
「……私達含めてね」
 アリスが心なしかすでに疲れた声で呟いた。アリスの言うように「予想出来る」とのたまう咲雪も「結果」の内に含まれるが。咲雪はたすき掛けのためにより強調された大きめの胸に一度視線を落とした後、めんどうそうに呟いた。
「……ん、揺れると痛い……から、スポブラ必須」

 須河 真里亞(aa3167)は絶句した。従魔を倒しに来ただけなのに右を見ても左を見ても胸とロープの繰り返し。真里亞は自分の、決して貧相ではない、しかしたゆんたゆんとは言えない胸に視線を落とした後頭を抱えて途方に暮れる。
「え? 胸? ……なんでこんなにお胸様ばかり……?」
「どうした真里亞? しかしガラケーに手……おぐ?! な、何するんだ真里亞!」
 真里亞は咄嗟に愛宕 敏成(aa3167hero001)の両目を手で覆い隠した。敏成は必死で目隠しを外そうとするが真里亞だって必死である。
「トシナリ、今日一日はあたしがトシナリの眼となるよ。反論は許しません!」
「はあ? 何を言ってるんだ? 何時にも増して訳が分からん! ともかく手を離せ!」
「だめー!」
「……目下一番の問題は、だ」
 真里亞と敏成がぷち修羅場を繰り広げていた同時刻、水落 葵(aa1538)は至極真面目な表情で呟いた。ちなみに葵は胸の大小よりウエスト~腰にかけてのライン派で、ウェルラス(aa1538hero001)は人の好みはその生き様、あとは清潔であれば老若男女問わない派である。
『……? 従魔が出現した以上の問題なんてあったの?』
 共鳴した事により内から響くウェルラスの言葉に葵はメッセンジャーバッグの中を覗き込んだ。あるのはブリーフィングルームに呼ばれる前にコンビニで買ったぷっちんするやつ×2。時折無性に食べたくなるヤツ。
「買ったばっかりのプリンどうしような……」
『支部で預けてくればよかったのに! バスの中に置いとこうよ!!』
「……ん、めんどくさいから、早く終わらす……」
 ウェルラスの真っ当なツッコミごと無視するように、まずは咲雪が最も近くにいるバイブ目掛けて駆け出した。使用感たっぷりの、数年前なら即買い替えレベルの赤い従魔に共鳴済の手をかざす。
「……ん、本物のガラケーぐらい小さかったら問題だけど……大きいから普通に攻撃しても、当た……る……」
『虫取り網を準備する必要がなくて良かったわね』
 アリスの言葉と共に咲雪は女郎蜘蛛を巨大ガラケーへ射出した。普通のガラケーサイズならこのまま捕まえてへし折れただろうが、巨大化しているのでへし折る事は叶わない。
「おー……ぶるぶる、ぶるぶる……ん、面白そう。ぶるぶるとは、余り、体験出来無さそうな、貴重な体験……」
『うむ、体験する必要は全く無いだろうがな……』
 一方、エミルは一般人を指差しフリーダムに発言し、ギール・ガングリフ(aa0425hero001)は至極真面目に突っ込んだ。尊大な口調のナイスミドルも今や立派なツッコミである。
「きっと、誰かが、BS回復とか、するんじゃないかな……? ワタシは、エチケット袋でも、渡しておこう……」
 エミルはエチケット袋をスタンバッた。そして少し離れた所では国塚 深散(aa4139)が攻撃を受ける前から動きを封じられていた。絶滅危惧種であるガラケーの保護団体(自称)である深散は
「今回の事件でガラケーに悪評がついて生産中止になっては大変です! ガラケー派の私には見過ごせない事件です。この従魔のせいでガラケーが無くなってしまったら私、困ります!」
「いつになくやる気に満ち溢れてるねー」 
というやり取りを九郎(aa4139hero001)とした末依頼に参加したのだが、ガラケーの保護団体(自称)、いくら従魔でもガラケーに攻撃なんて出来はしない。
「くっ……ガラケーに憑依するなんて、卑怯です!」
 深散が本気で歯噛みしていた同時刻、ディエドラと共鳴したティテオロスは手にローゼンクイーンを携え嗜虐的な笑みを浮かべていた。官能的なナイスバディをボンテージ調に包み込み鞭を構えるその姿、完全に女王様です。そしてまだ日中です。
「美しいものをより美しく完成させることもまた愉しいが、壊れ往く質もまた好ましく、疵付いていく様や心の欠け衰えていく様もまた酩酔に値する……」
 と宣いながら、ティテオロスは女郎蜘蛛に拘束されたガラケーのパカパカする所目掛けてローゼンクイーンを打ち込んだ。このままデリケートな画面とかを棘鞭の擦り傷だらけにして衰退を身に刻み……と思った所で、バイブ(白)から第1回目のバイブ弾が放たれる。
「な……ゆ、揺れないで、下さい……」
 記念すべき第1回目を受けた牛嶋 奏(aa3495)の豊満な胸がぶるぶると揺れ動いた。ちなみに胸の大きさと頭の大きさは同じぐらい。そして水無月 花梨(aa3495hero001)も
「マッサージみたいで気持ち良い~♪」
と笑顔で揺れた。尚、こちらは美乳である。
 真里亞は決意した。絶対に、かの邪智暴虐の乳を敏成に見せてはならぬと決意した。バイブ弾を喰らっていないがすでにぶるぶる震える腕で敏成の目を全力で覆う真里亞に、共鳴した葵が声を飛ばす。
「とりあえず、あいつら倒さねぇと震えっぱなしだぞ」
 言いながら葵はリンクコントロールでライヴスを活性化させた。その横で希望が美少女(見た目)で呆れたように息を吐く。
「はぁ。もう、人騒がせなんでこの先ずっと無音無振動のサイレントモードになっててください! この先なんて、長くもないですけどね!」
 その時、「No」と言わんばかりに2回目のバイブ弾が希望とアニマ、敵の攻撃から(光に頼まれるままに)一般人を守ろうとした沙織へと直撃した。先程の決め台詞は何処へやらぶるぶると揺れ動く女装男子(成人済)。
「あばばばばば! な、なんかすっごいくすぐったいんですけど!! これ、背もたれとか棒とかあればイイ感じにマッサージになる気がするんですけど……」
「ワ゛レ゛ワ゛レ゛ハー、ウチュウジンダー♪」
「ひあぁぁっ♪ か、身体ぶるぶるってぇぇぇぇ♪ 身体が……って言うか、胸が……ぶるぶる震えてます……! す、凄く人に注目されますよね……あぁ、恥ずかしい……っ♪」
 扇風機に向かって話しかける感じで振動を楽しむアニマの斜め後ろで、Nカップ超の爆乳がぶるんぶるんと暴れまくった。その凶器的胸囲をヘルフトリスが背中から鷲掴んで持ち上げる。
「ほらほら、おっぱい震えちゃってるぅ♪」
「ひぁんっ! ヘルフィ様、や、やめてくださいぃぃっ♪」
 光はレイアと共鳴すると被害者の異常を解除するべくクリアレイを解き放った。日中とも思えぬ惨状の原因の半分ぐらいは光なのだが、とりあえず今は真面目にクリアレイし、エミルが回復した被害者達の手にエチケット袋をぽんと渡す。
「ん、ぶるぶる、楽しかった……?」
「安全圏までわたくしがお護りしますわ」
「私もお手伝いさせて頂きます。ガラケーを攻撃する事は出来ませんので皆様の保護に努めます。ガラケーに罪はありません」
 エミルと光の言葉に、ぶるぶる震えている深散も震え声で参戦した。すでにバイブ弾を受けている。全力でぶるぶる震えている。
「だ、大丈夫ですか?」
「私は大丈夫です。ガラケーに罪はありません。ガラケー悪くない、ガラケー素晴らしい」
『あははー、面白いから今回は何も言わずに見守ってるねー』
 一般女性の言葉に深散は慈母の眼差しで返し、九郎はほぼ通常運行で至極のん気に呟いた。

●ぶるぶるたゆたゆゆっさゆさ
 1回目のバイブ弾を受けた咲雪はぶるぶると震えていた。体のぶるぶる振動につられ、たゆんたゆんもさらにたゆんたゆんと揺れていた。エミルは一部の仲間のすごくぶるぶる(何がとは言わない)を羨ましそうに見つめた後自分のそれと見比べ、再びすごくぶるぶるに視線を戻す。
「おー……、ぶるぶる、ぶるぶる……」
 そして同じくバイブ弾を受けたティテオロスもゆっさゆっさと揺れていた。ちなみに自分自身は縛れないので程良い縄のオプションはない。けれど鞭を持った女王様がぶるぶるにゆっさゆさ。何回も言いますがこれ日中の話です。
「そもそも物体の運動等と言うのが相対の中にあるのだから……世の全てが身悶えていると考えれば、並べて事も無し」
 つまり自分が震えているんじゃない、世の中全てが自分に対して震えているんだという自己中心的解釈です。
 そして2回目のバイブ弾を受けてしまった奏は何とか倒れないように踏ん張りながら「揺れないで、揺れないで……」と呟きつつ凄く震える胸を必死の思いで押さえていた。「ちょっと、揺れすぎな気がする!」な花梨の姿はどことなく溶けているように見える。胸は、うん、揺れている。
 真里亞は決意した。絶対に、かの邪智暴虐の乳を敏成に見せてはならぬと決意した(2回目)。手だけでは力不足と判断し、何処からかモザイク模様の入った大きな旗を出現させ敏成の視界を必死で覆う。何処にあるんだそんなもんなどとツッコミを入れてはならない。
「とりあえず、守るべき誓いで出来るだけ多くの従魔を……須河、どうせなら担当分担……」
「すいませんけどそれどころじゃ!」
「いい加減にしろよ真里亞! これは仕事なんだぞ? 何時までも協力者さんに頼りっきりじゃ不味いって……え? お! おい! それは死ぬ!」
 葵をぷち巻き込んだ真里亞と敏成の修羅場劇場のその裏で、希望は一つ閃いた。この振動っている状態で光の肩に手をかければ、たわわなお胸由来の肩こり解消が出来るのではないのかと。
 思い付いた希望は早かった。従魔などそっちのけでたわわなお胸に走っていった。女装男子(成人済)の脳内はすでお胸でいっぱいである。
「ひーかーりーさぁーん!」

 光はすでに揺れていた。一般人を避難させた後即バイブ弾に当たっていた。一般人の被害者を救う為速やかに沙織や希望に連絡を取った事、真っ先に被害者3人の異常解除を行った事、身を挺する事も厭わず3人を安全圏に離脱させた事は決して偽りなどではない。しかし「3人がいなくなれば後は楽しんでも問題ない」と判断した彼女の称号は燦然と輝く「エロ魔神」!
「あんっ♪ ふふふ、何だか心地良いですわね♪」
「あははははぁっ♪ ブルブル凄いのですぅっ♪」
 確実にR指定が入りそうなあれそれに、微塵の躊躇いも恥じらいもなく頭がお胸いっぱいの希望と、すでに色々ギリギリの沙織とヘルフトリスとティテオロスが参戦した。以下一身上の都合で音声のみでお送りします。なお途中でバイブ弾も参戦し、一部最終形態待ったなしになった事を報告させて頂きます。
「あらあら、沙織さん。わたくしが抑えてさしあげますわ♪」
「え? ひゃああ! 思わず抱き返して振動するお胸が思いっきり……ご、ごめんなさい……!」
「ふふ、希望さん。ほら、もっと近くで……♪」
「これは……! すごく、すごく揺れてます……!」
「え、し、振動を止めるために縛る……? そ、それで本当に止まるのでしたら是非……! ……って、やっぱり止まりませんよぉぉっ♪ むしろ胸が強調されてもっと凄いコトにぃぃ♪」
「へへへ、みんないいチチしてるなぁ♪」
「んんぅ……これは、刺激が……はふっ♪」
「くううぅぅっ、な、なかなか効きますわ……!」
「はぁぁぁっ♪ 凄すぎますわぁぁっ♪」

●大惨事
『わー、見て見て深散。あの女の人、おっぱい揺れてすごいことになってるよー』
 九郎は感心したように仲間の一人を指差した。確かにすごい事になっている。具体的には揺れ過ぎて心霊写真と残像が出来ている。爆乳巨尻の残像になっている者もいれば人部分が残像になり巨大な胸だけがくっきり宙に浮かんでいる者もいる。「見せられないよ!」もいる。あえて言おう、ホラーであると。
 一方、語り掛けられた深散は慈母の眼差しを浮かべていた。でもブレている。表情の変化に乏しいクール―ビューティーが慈母の眼差しで「私は大丈夫」と全力でアピっている。でもブレている。
「ん、思ったよりも、ぶるぶるしない……」
 他方、記念すべき1回目ぶるぶるを体験したエミルはかくりと首を斜めに傾げた。周囲を見ればもはや人としての形を為していない程ぶるぶるしている者がいる。
「当たれば、当たるほど、ぶるぶる、する……全力で、ぶるぶるしに行くよ。あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ~♪」

「おやおや……沙織さんも光さんも、大丈夫ですか」
 エミルがライブスラスターを駆使して残像を目指しに行った頃、ディエドラは一時共鳴を解き、ちょっとやそっとの震動で揺るぎはしない大樹のごとき豊穣(意味深)でどっしりと仲間を押さえていた。
 だが、動かざる事山の如しを体現した胸囲にも、弱点が一つだけあった。密着すれば物理的に安定させる事は出来る。しかしそれでは従魔を倒しに行く事は叶わない。
 仕方なくティテオロスとディエドラは再共鳴し巨大なガラケー従魔を見据えた。共鳴した事により振動が合算される。大樹のごとき豊穣(意味深)の揺れ具合やいかに!

 真里亞は何かをブツブツブツと呟いていた。敏成はマンホールの穴に落とされそうになっていた。何がどうしてそうなったなどとツッコミを入れてはならない。
「これはもう何処かで鉄の処女を手に入れて中に閉じ込めるしかないのかな……いやトシナリの目を潰せば大丈夫かな……そうだ獣人化……日本狼日本狼……」
「やめろ! 死ぬ! 落ち着け! 死ぬ!」
 その時、ヤンデレ化が始まった真里亞にバイブ弾が直撃した。体がぶるぶると震え出し、真里亞は慌てて胸を隠してうずくまる。
「あわわわわわ! 絶対に見せられない!! 見ないでトシナリ!」
「うううんん……これは中々イケるかな? ……ああああああ……やっぱり俺も歳なんだな……ふうう」
 真里亞は胸を隠しながら、マッサージ器効果がツボに入っている敏成へと視線を向けた。そして残像と化しているお胸様達に視線を移した。そして再び震える胸に無反応の敏成を見、頭を過ぎった推測に声を精神的に震わせる。
「え? うそ?? まさかトシナリ……ロリコン? ……どうやら外に出してはイケない物体だったみたい……」
「どうしろって言うんだ!! とにかく共鳴して従魔を倒すぞ」
 どうやら趣味が違ったらしい敏成と、ようやく落ち着いた真里亞は共鳴し直立する青灰色の狼の姿へ変化した。そして合算された振動に地面へとへたり込む。
『ぐららららあら! やりにいいくいいぜ!!』

 葵は震えていた。もう残像レベルに震えていた。仲間達のほぼ全員があれそれな展開になっていた頃、葵はリンクコントロールでライヴスを安定させ守るべき誓いで従魔を自分に引きつけていた。めっちゃ仕事していた。しかし、それは裏を返せばバイブ弾を喰らう率を上げたという事でもあり、かくして葵は見事な一体の残像となっていた。
「プリン……気になる」
『無表情で残像になりながら言う事じゃないよね』
「ウッ……ゆ、揺れすぎてだんだん酔ってきました……! ぎぼぢわるい……」
 ウェルラスがそっとツッコミを入れた頃、ついに希望が震えながら口を押さえた。このままでは美少女のビジュアルイメージを保つための日夜の努力にゲロイン属性(男の娘。成人済)がついてしまう。それはそれで需要がありそうな気もするが問題はそこではない。
「きょ、共鳴を……このままではギャグで済まなくなる……」
『……はーい』
 振動している人を指でツンツンしながら楽しんでいたアニマは遊び足りなそうに返事をしつつ名残惜しそうに共鳴した。同時にヘルフトリスも沙織と共鳴し残像状態となった我が身にクリアレイを放ったが、ヘルフトリスの目的は振動を止める事でもBSを回復する事でもない。すぐさま共鳴を解除し沙織をバイブ弾へと突き飛ばし、再び揺れ動く凶器的胸囲を心ゆくまで堪能する。
「ひあぁぁっ♪ また身体がぶるぶるぅぅぅ♪」

 咲雪は駆け出した。彼女も例外なく残像式ゆさゆさと成り果てていたが従魔目掛けて駆け出した。エミルももうなんかぶるぶるしながら礼装剣・蒼華を握り締めライブスラスターでぶぉ~っとか飛んでみる。
「ん、高周波ブレード……?」
 だが、二人の攻撃は従魔から大きく逸れた。ティテオロスもグロリアス・ザ・バルムンクの刃を向け、花梨と共鳴した奏もトリオを撃ち放ったが大きく外した。言っておきますがこの時点でほとんど心霊写真と残像のオンパレードです。
『と、とりあえず従魔を集めるか……』
 動きにくさを克服した敏成は守るべき誓いを展開した。発散されたライヴスに惹かれた従魔が標的を敏成に定め、敏成はあっという間に残像に成り果てた。結論から言うと敏成と葵の守るべき誓いに集まった巨大なガラケーを心霊写真と残像と揺れる胸がひたすら攻撃していくだけとなりますので、後は音声でお楽しみ下さい。誰が誰か分からないかもしれませんがどっちみち絵面は心霊写真と残像と大きすぎるおっぱいです。
「ライヴスリッパー!」
『あ、外れた』
「クリアレイ必要な人はいませんかー! あああまた振動があああ」
「わたくし、被害者3人の回復にクリアレイを使い切ってしまいましたわ。自分達の解除に関しては度外視でございますわ!」
「どれだけ震えても、目が回ったりは、しない、ね。三半規管が、強固。これも、おうどんの力……」
「ガラケー悪くない、ガラケー素晴らしい」
「嗚呼、こう震えてしまっていては綺麗に刃筋が通らないね……遅々として先端を削ぎ擦り、波打つ擦過傷となってしまうが致し方ないねぇ……」
「いま、どうなってるんでしょうか……」
『あばばば』
『ライブズショット! よし当たった!』
「あ、何か黒いもやが」
「そんな! 私の折りたたみ式、ピンク色、熊のストラップ付きガラケーが!」
「……ん……へし折る……」
「そ……んな……」
『深散……深散ー! 気をしっかり持ってー!』
『ちょっと! 君大丈夫か? 今助け出すぞ!』
「ん、帰りは、あそこのおうどんを、食べよう……」
「ファストショット!」
『ライブズショット!』
「うっ、またぎぼぢわるぐ……」
「プリン……大丈夫かな……」
『あばばばばばばば』

●終了
 戦いは終わった。何か色々酷かった気がするが戦いは終わった。まだほとんど全員残像だが戦いは終わったと言ったら終わったのだ。
「うぅ、わ、私ったらなんて恥ずかしいコトを……」
「って割には楽しそうだったじゃん……んふふ♪」
 唯一残像ではない沙織とヘルフトリスのコンビは深夜劇場を繰り広げていた。ちなみに何故この二人だけ回復しているかについてだが、沙織かヘルフトリスが心霊状態になった時点でヘルフトリスが共鳴して自分達にクリアレイを掛け、即座に共鳴解除してまた沙織を生贄に突き出す、を繰り返していたからである。「頭はそこまで悪くないが大体欲望の充足にしか頭を使わない」ヘルフトリスの設定がここで唐突カットイン。
「皆さんは本当に運が良いです。ガラケーを愛用していたことに助けられました。もし従魔に憑依されていたのがスマホだったとしたら、サイバー犯罪的な何かで架空請求とか個人情報流出とかひどいことになっていたのは想像に難くありません」
『深散、流石にメーカーさんに怒られる発言だと思うよ』
 一方、深散は残像状態のまま保護した一般人達に「ガラケー悪くない、ガラケー素晴らしい」と必死の思いで力説していた。残像状態の訴えが吉と出るか凶と出るかは定かではないが、とりあえず深散のガラケー愛は伝わってくる。色んな意味で。ちなみに彼女の熊のストラップ付きガラケーは消滅寸前の従魔に取り憑かれ、道連れで成仏いたしました(合掌)。
「すいません。これで撮って頂けませんか? 従妹ら相手に見せて話のネタにしたいので……」
 突然話し掛けてきた残像に被害者女性は驚いたが、それがインスタントカメラだと分かり頼まれたままに写真を撮った。残像、もとい残像化した葵はインスタントカメラを受け取ると、従魔の憑依が解けたガラケーを元の持ち主達に手渡す。
「例え残骸と化していても、それに詰まっていた思い出は大事だと思うんで……もしかしたらメモリーは無事でHOPEの技術部にでも持って行けばデータを引き出せるかもしれないし……」
「あ、ありがとうございます……」
 葵はクールに片手を上げた。しかし残像である。葵はクールに背を向けた。しかし残像である。
「とりあえず……プリンは帰ってから食べよう……」
 なおプリンの惨状はお察しの通りである。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

  • 実験と禁忌と 
    水落 葵aa1538
  • 憧れの先輩
    須河 真里亞aa3167

重体一覧

参加者

  • 胸囲は凶器
    廿小路 沙織aa0017
    人間|18才|女性|生命
  • 褐色の色気
    ヘルフトリス・メーベルナッハaa0017hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 魅惑のパイスラ
    佐藤 咲雪aa0040
    機械|15才|女性|回避
  • 貴腐人
    アリスaa0040hero001
    英雄|18才|女性|シャド
  • 己が至高の美
    ティテオロス・ツァッハルラートaa0105
    人間|25才|女性|命中
  • 豊穣の巫女
    ディエドラ・マニューaa0105hero001
    英雄|25才|女性|ドレ
  • エロ魔神
    御手洗 光aa0114
    機械|20才|女性|防御
  • 無邪気なモデル見習い
    レイア・メサイアaa0114hero001
    英雄|12才|女性|バト
  • 死を否定する者
    エミル・ハイドレンジアaa0425
    人間|10才|女性|攻撃
  • 殿軍の雄
    ギール・ガングリフaa0425hero001
    英雄|48才|男性|ドレ
  • 実験と禁忌と 
    水落 葵aa1538
    人間|27才|男性|命中
  • シャドウラン
    ウェルラスaa1538hero001
    英雄|12才|男性|ブレ
  • あざと可愛いタマ取り
    天之川・希望aa2199
    人間|17才|?|命中
  • ましゅまろおっぱい
    アニマaa2199hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 憧れの先輩
    須河 真里亞aa3167
    獣人|16才|女性|攻撃
  • 月の軌跡を探求せし者
    愛宕 敏成aa3167hero001
    英雄|47才|男性|ブレ
  • 私がロリ少女だ!
    牛嶋 奏aa3495
    獣人|18才|女性|命中
  • スライムの姫
    水無月 花梨aa3495hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 喪失を知る『風』
    国塚 深散aa4139
    機械|17才|女性|回避
  • 風を支える『影』
    九郎aa4139hero001
    英雄|16才|?|シャド
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