本部

冬・大・大・大・大・大将軍

渡橋 邸

形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
9人 / 8~14人
英雄
9人 / 0~14人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/01/21 19:01

掲示板

オープニング

●冬大将軍
 冬真っ盛りともなると、当然その寒さは厳しい。北に行けば行くほどそれは顕著だ。
 普段から氷点下なんてよくあることであるし、日によっては戸が凍ることもある。暖房器具がないと生活できないというわけではないが、暖房がなければかなり苦痛な生活を強いられるだろう。あまりの寒さに布団から出られなくなる人もいるかもしれない。
 その日は、そんな寒い日であった。否、寒いという言葉ですらぬるいかもしれない。
 降雪はなかった。降雨もなかった。だがしかし、体を蝕み動きを止めんとするほどの寒気があった。
 その日、外を歩く影があった。その者は寒さを濃縮したような存在だった。
 白銀の鎧を纏い、同色の兜を被り、身の程もある大きな盾と剣を持つその者の周りには白い冷気が纏わりついていた。一歩踏み出すごとに大気を冷やし、ただでさえ低い気温をさらに下げていく。その者の傍には誰一人として人はなし。彼は一人で歩き続けていく。
 残されたのは彼が踏んだ場所のみが凍った道だけであった。

●寒さを乗り越えよ
「いやー、やっぱり暖房の効いた場所って素晴らしいと思いませんか。皆さん」
 男は笑みを浮かべて、朗らかに話した。彼の目の前には何人かのエージェントがいた。
 エージェントたちは呼びだされて早々によくわからないことを言われたためか、反応に困っているようだ。
「んん。いや、すまないね。先ほどまで外にいたものだから、つい感動が口から出てきたんだ」
 男はそんな彼らの様子を見ると、一つ咳払いをした。
「ごく一部で異常なほどに気温が下がっているらしいんだ。どうも、愚神の仕業である可能性が高い」
 先ほどまでその件で外に出ていたんだ、と彼は口にした。そして懐からメモを取り出してめくる。
 それにはびっしりと文字が書かれていた。
「元から冬場は非常に冷え込む場所なんだけれどもね。いやしかし、この冷え方はおかしいと思って調べてもらったら案の定ごく微小ではあるけど反応があったんだ。あまりにも小さい反応だったから、向こうの職員もすぐには気が付かなかったくらいさ」
 そんなに小さな反応ならば、こうして呼びだす必要はなかったのではないだろうかとエージェントの内の一人が口にした。
「そうだね。最初は僕もそう思っていて、一度適当な人材を派遣したんだけれどもね。――送ったチームが未だに帰還していないんだ。彼らは十分な実力もあったし、問題はなかったはずなんだけれど。それでも帰ってこれなかったということはよっぽど向こうが気に入ったか、想定以上のことがあったんだろうね。……個人的にはどっちであっても微妙だけど、前者の方が望ましいねえ」
 エージェントたちは表情を引き締めた。どうやら事態は想定していたものよりもやや厳しいようだ。
 それで、本題は? と彼らは目で問うた。
「君たちには現場に急行し、原因を撤去してもらいたい。できれば僕の送ったチームを救出して欲しいけれど、それは難しいだろう。先ほども言った通り、愚神の仕業である可能性が高いからね。決して無理はせずに、確実にこなして欲しい――頼んだよ」
 了解、とエージェントらは口を揃えて頷いた。

解説

原因不明の(ということになっている)気温低下の原因を取り除くシナリオです。
可能であるならば、依頼者が先に送っていたチームの救済を行うことになります。

<以降はPL情報になります。ストーリーのメタ要素を含みます>
▼舞台
寒さの厳しい北の地にある町。入り組んだ道が多く、坂道が少ない。現在は現地の職員による住民の避難が済んでおり人は誰もいないようだ。

▼チーム
依頼者が送っていたチーム。能力者ではないが、それぞれが情報収集を生業としていた者たちであり、また生存能力も高い。メンバーは3人。依頼された日の1週間前から連絡が途絶えているようだ。

▼登場敵
▽冬将軍
デクリオ級の愚神。自身の配下を求めて町の中を歩いている。ただし彼の体は非常に温度が低いため歩いているだけで周囲に影響を与えている。愚神の割に人の話は聞く方で、性格はやや天然気味。ただし彼がぼっちであることを指摘すると物凄い勢いで怒り狂う。

召喚:雪を媒体にして、雪だるま従魔を召喚します。召喚後、従魔は各自自由に行動します。

薙ぎ払い:本人の前方3スクエアに対して、剣による物理攻撃を行います。

氷の息:目の前の相手に対して確率で割合ダメージと【氷結】のバットステータスを付与します。

氷結嵐:本人の半径3スクエアの範囲に吹雪を発生させる。吹雪の中では視覚不良と吹き付ける風、寒さによって移動力の低下、命中力の低下が発生。低確率で固定ダメージが発生します。

防御態勢:守りを固めます。冬将軍の防御値が上昇し、抵抗判定に補正がかかります。

▽雪だるま
冬将軍の呼びだした従魔。見た目はまんま雪だるま。
喋ることはできないが、腕を振ったりなど妙にコミカルな行動がとれる。
冬将軍のことをあまり敬っていないようだ。

体当たり:本人の目の前の敵に物理攻撃を行います。

自爆:自身が砕け散る代わりに本人の半径1スクエアに【氷結】のバットステータスを与えます。

リプレイ

●極寒の街
 人ひとり見えない街の中を、街の住人ではない複数の影が闊歩していた。
『もうそろそろ、町役場ですね』
 セラフィナ(aa0032hero001)が確認を取るように傍らを歩く真壁 久朗(aa0032)に声をかけた。
 手に持った地図を確認していた彼はその言葉で顔を上げる。
「彼らは異常気象について調べていたらしいからな……」
『前回の報告の時はここに居たんですよね』
「ああ。だがここに居なければ後は聞き込みをしていた可能性が高い」
 久朗はセラフィナと確認を兼ねた情報共有を行っていく。
 近くでそれを聞いていた三ッ也 槻右(aa1163)が口を開いた。
「そういえば、ここからそう遠くない位置に猟師小屋があるみたいですよ」
『うむ。ちょうど30メートル先の曲がり角を曲がった所にあるらしいな』
「他にもそこから2キロ離れた場所に気象観測所の建物もあるみたい」
 槻右に続けて酉島 野乃(aa1163hero001)が補足すると、思い出したように地図を取り出す。
 メモと比べて、槻右は線を描いていく。
「こんな感じかな」
「ふむ……観測所、町役場、猟師小屋の順か。六万はどう思う?」
 久朗はその地図を見て少し考えると、もう1組の班員に意見を仰いだ。
 尋ねられた六万 唐津(aa2368)は豪快に笑い、意見を述べる。
「捜索とかに関しちゃ、お二人さんと他に任せる」
『我も唐と同じだ』
 相方のキオーン ジャーマ(aa2368hero001)も同様だと、静かに言った。
 そんな様子に槻右は少し困ったように苦笑を零し、久朗は無言で頷くと口を開いた。
「ではこのままの足で猟師小屋の方へと行くことにしよう……ッ!?」
 そうして歩き出そうとしたところで視界の隅に転がっている物を見つけた。それはステンレス製の水筒のようだ。コロコロと転がって久朗の足元で止まる。セラフィナがそれを拾い上げた。
『この水筒、少し温かいですね』
「何?」
「温かい……ということは、もしかしたらさっきまで誰かが持ってた可能性があるってこと?」
『ずっとそこにあったならば冷え切ってしまうからの……』
 拾い上げた水筒の温かさに、セラフィナが声を漏らす。それを聞いた久朗は思わず聞き返した。
 槻右はその条件からつい最近まで誰かが所持し、使用していた可能性があるかもしれないという事実を口に出した。
「水筒があったのは向こうか……生存者がいる可能性がある以上、確認するしかあるまい」
 久朗の言葉に全員が頷きを返す。そして最初に水筒が見えた方向に向かって歩いていく。すると徐々に人の息遣いが聞こえてきた。
『この息遣いは……そこの建物からか?』
 キオーンはそれがどこから聞こえてきたものなのかを瞬時に判断する。戦場において磨かれた人の位置を判断する技能がここに来て役に立った。
 エージェントらは駆け始める。そして建物の中に入ると、そこにはロングコートを羽織った男が壁際に縮こまっていた。事前に写真で見たものとまったく同じ姿の男は、間違いなく救助対象であった。
「大丈夫か?」
 久朗が防寒具を取り出し、手渡しながら聞いた。男はそれを受け取りながら頷く。寒さによって衰弱しているが幸いにして話すことができるようだった。
「ありがとう……助かった」
「礼はいい。それよりも聞きたいことがあるんだが……話はできるか?」
 久朗の問いに男は再び頷き返す。
 それを確認すると、彼はメモを取り出して一つ、また一つと質問をしていく。
 室内には質問をする声と答える声が暫くの間響いていた。

「うわー寒い……凍える~」
 虎噛 千颯(aa0123)が防寒具越しに体を摩りながらちょっとした感想を口にした。
『こうも寒くなるとは……防寒していて良かったでござるな』
「白虎丸さんもふもふあったかそうですー」
 頷く白虎丸(aa0123hero001)を見ながら、セレティア・ピグマリオン(aa1695)がぼやーっとした顔をする。視線は白虎丸の被り物に固定されている。
『央、寒い……共鳴して……』
「上着貸したくらいじゃもたなかったか……共鳴は戦闘時まで我慢してくれ」
 ガタガタとわかりやすいくらいに体を震わせながら共鳴するように頼むマイヤ サーア(aa1445hero001)の姿を見て、迫間 央(aa1445)は頭を抱えて嘆息した。
『気温が低かったのは街の西側か』
 バルトロメイ(aa1695hero001)は手元にある情報と照らし合わせながら確認する。
 依頼者のメモには気温の乱れの激しかった場所が書かれている。それと地図とを合わせるとおおよそが西側に集中していることが分かった。央はその情報をメッセンジャーなどを用いて他の班と共有する。その後でもう一度、地図を見た。
「西側のあたりで怪しいのはビル群か、それとも山の方でしょうか」
「ううん……山はどうでしょうねー。直接踏み込んでいる可能性はあまり高くないと思います」
『山のことなら専門家に……ということでござるか』
『猟師小屋があるのは南側だな。ここからだと少々遠いかもしれん』
 央、セレティア、千颯、白虎丸の順に意見を述べていく。それを聞いたバルトロメイがもう一度地図を確認して情報を提示した。
「となるとどこを目指せば――」
 央の言葉が途中で途切れる。彼の服の中でしまったばかりの携帯電話が振動していた。
 確認するとそれは先ほどメッセージを送った久朗からの返信の通知であった。
『……着信?』
「ああ、うん。真壁さんから。たった今救助者を1名保護したそうです。そこで聞いた話ですが、どうやら要救助者の方々は異常気象の多い西側以外から情報を集めていたそうです」
 覗き込んでくるマイヤの問いに答えを返すと、届いた情報を確認しながらさらさらとメモ帳に書き足す。発見場所は南側なので残りは東と北である。ただし北側は現在その殆どを見て回り誰もいないことを確認したばかりであった。
 そうなると残りはただ一つのみである。
『現在地は中央より北側であるからここから東へと回っていくのはどうだろうか』
「そうですね。そうしましょうか」
 同じことを考えていたのかバルトロメイの提案に央が応じた。
 他の班員の同意も得ると、彼らは東へと向かい足を動かし始めた。


 残った一班は西側の探索を行っていた。先ほど送られてきた情報から、西側が一番怪しいためだ。
 凍結した地面を見つめながら弥刀 一二三(aa1048)は小さく呟いた。
「ドロップゾーンは形成されてないみたいってのが幸いやね」
 足元はカチコチで気温が低く、それなりに風が強いため外出なんかには適していない。だがドロップゾーン特有の空気と反応はない。今のところは"ただ寒いだけ"だ。
「とはいえど、油断はできないよ。この異常気象で困ってる人もいるから」
「そうだね」
 たしなめるように榛名 縁(aa1575)が言うと、荒木 拓海(aa1049)が頷いた。
 その後で視線を前に向けると拓海は口を開く。
「困ってる人がいるからなんとかしなくちゃいけないんだけど、でももしこの現象の原因が愚神の仕業なのだとしたらオレはその愚神と話がしてみたい。これが我が侭だってわかってるんだけど……」
『それが拓海の意思なら私は尊重します。相棒ですからね……ただ、もしものことがあれば』
「うん。その時は頼む」
 拓海の思いを汲んだメリッサ インガルズ(aa1049hero001)が意思を示す。
「僕も愚神のことは気になってるから、遭遇した時は皆で、お話してみるのもいいかもね」
『ユカリ。相手は愚神です。それは危険です』
「でも話をしなければわからないこともあるよ。それにいざって時は護るって、ウィンもよく言ってたじゃない。だから大丈夫だよ」
『……ユカリがそう言うのでしたら』
 縁の発言にウィンクルム(aa1575hero001)が危惧を口にする。しかし縁の意思は固く、結局いい負かされて頷かざるを得なくなってしまう。
「ははは、それじゃあうちらの班は愚神と遭遇したらお散歩しながら談笑するってことで決定みたいやね」
『愚神は全て倒すつもりなんだが……まあいい。話がまとまったところで一つ、いいか?』
 ある程度話がまとまったところで、今までだんまりを決め込んでいたキリル ブラックモア(aa1048hero001)が口を開いた。
「なんや?」
『辿ってきた足跡の終わりが見えてきたようだ』
 キリルが足元を見てから視線を徐々に前へと進めていく。するとそれは真っ直ぐに進んでいき、あるところで止まった。そこにあったのは一件のオフィスビルである。
「あそこで途切れてるってことは……」
『あのビルが拠点である可能性が高いということですか』
 縁とウィンクルムがビルを睥睨する。そこが愚神の住処であるかもしれないと思うと、ほんの少しだけ体が緊張した。
「あそこに愚神が……よし、行ってみよう」
「せやな。当たりやったらそれでええし、ハズレやったらまた別な手掛かりを探せばええ」
『いずれにしても、行くまではわからないってことね……』
 拓海が音頭を取って進んでいく。ビルの扉は施錠がされていなかったのか、あっさりと開くことができた。中へ入り、ゆっくりと周囲を見る。特におかしなところはない。電気をつけていないのかほんの少しだけ暗いが、それだけだ。
 中は外以上に冷えているように感じる。
「誰もいないのかな……」
『ふむ……だが中にはまた足跡があるな』
「奥に続いてるんやけど……どないしよか」
 首をかしげながら言った縁の言葉にキリルが続ける。
 一二三はそれがビルの中までずっと続いていることを確認するとどうするべきか確認する。
「今いないんだったら、待ってれば来るかもしれないよね」
 拓海は自らの意見を伝える。
 来るのであれば待ち伏せようという意見に彼らは賛成し、愚神が現れるまで休息を取ることにした

●冬将軍―孤独の歩み―
 近付く足音がしばしの休息を取っていたエージェントらの耳朶を打った。
 それは重々しさを感じさせないが不思議と遠くまで響くような力強さがあった。
『どうやら本命の登場のようだな』
「結構待ったし、ホンマに来るとは思ってなかったんやけどな……」
 キリルと一二三の視線の先には1人の偉丈夫がいた。
 顔は酷く青白く、その恰好は極寒の街中だというのに腕を露出させた鎧姿とあからさまに場に適していない。だというのに本人の表情は毅然としており、寒さを感じていない様であった。その姿は確認した情報の中には存在せず、またどう見ても彼らの仲間ではない。
 偉丈夫は一歩、また一歩とビルの方へと近づいてくる。エントランスにいる彼らからはその姿がよく見え、また同様に向こうからもエージェントらの姿が見えている。
 その場で立ち尽くしている間に、偉丈夫――愚神がビルの中に立ち入ってきた。瞬間、部屋が凍りそうなほどの寒さに見舞われる。壁にかかっていた電子温度計はマイナス方向に振り切ってエラーを吐き故障。エントランスのガラスは外との温度差によって結露が発生していた。
 エージェントらは思わず表情を引きつらせる。まさかこれほどまでの変化を生むとは思ってもみなかった故に、目の前のあからさまな異常現象は思考能力を一瞬麻痺させるには十分であった。
「寒い……これが気温低下の原因?」
 真っ先に復活した縁が思ったことをそのまま口に出す。そしてはっとすると通信機器を手に取って現在この場にいないメンバーに連絡を取る。その間にも愚神はエージェントらの方へと歩いてくる。
 エントランスの中央まで歩いてきた愚神は、そこに立つ6組のエージェントの顔を流し見ると、彼らに向かって口を開いた。
『我が城に潜み居る者、汝ら何奴か』
 問いに対してどうこたえるべきか悩み、動きを止めた。
 連絡をしたため残りのメンバーは遅くないうちに合流するだろう。今のうちに、戦闘をする際に邪魔にならないような広いところまで連れていくのがベストだが、そのためにはどうすればよいのか。各自が考えを巡らせる中、拓海が1歩前に出た。
「それに答えるために……とりあえず、外に出ないか?」


「それで、オレたちだけど……オレたちはここの異常気象の原因を調べに来たんだ」
『異常現象の調査員……しかしそのためだけに汝ら英雄と心を通わせるものを遣わすか。我にはその理由が判らぬ』
「えーっと……これはオレたちが望んで受けてる話だからね。遣わされたというよりは望んできた感じかな」
『フム……』
 道すがら、拓海は愚神との対話を行っていた。しかし、決定的な会話は避けている。
 というのも現地点では戦えない上に、未だ残りのメンバーと合流していないため戦闘に発展した場合どれほどの被害が出るかわからないためだ。
「いや、話そうとはおもっとったけど、拓海はようあんなに話せるなあ……うちには無理やわ」
 それを傍から眺めていた一二三は開いた口が塞がらない思いをしていた。
 ちょっと話すくらいならほぼ確実にできるだろうが、おそらく道中ずっと話を続けるのは厳しいと思われる。その隣では一二三の発言を聞いていたキリルが無言でうなずいていた。
『フム……汝ら望むべくして来たれり。さすれば如何様にしてそれを為す?』
「うーん、一応案はあるんだけど。やるのはオレたちだけだと厳しいって言うか、なんていうか」
『汝らでは厳しいとな』
 会話は続くが、彼らの目の前には開けた場所・公園が近づいている。
 そこには雪は積もっているが、幸い動くには支障がないレベルであった。
 ちょうどよく、会話に参加していなかった縁の携帯が僅かに振動した。愚神の姿を横目に見てこちらを見ていないことを確認すると、ウィンクルムに壁になってもらう。そうして携帯を取り出すと、他の班員が目的地に到着し、戦闘に入る準備を完了させたという連絡が来ていた。
 視線を拓海にやると、彼は頷く。そしていよいよ本題へと踏み込んだ。
「君は、ここで何をしていたの?」
 まず、といったように緑が声をかけた。愚神は問いに対しまっすぐに答える。
『我は、我と共に在る者を探しておった。我が剣となり得る者を、我が盾をなり得る者を。されど此処に姿はなし』
「……どうして、配下を求めるの?」
『臣無くして将はなし。民無くして。我が我である故に、我は我が臣下を求む』
「そっか」
 緑は満足したのか、それだけを言って下がった。続けて一二三が声をかける。
「えーっとな、山奥に、雪女や雪童子やビッグフットとかおるしそいつら配下にしたらどや?」
『フム、雪女にビックフットとな』
「そやそや」
『それがどのような者であるか我には判らぬが、強いのか?』
「え、えー……さあ?」
 一二三は言ってみただけであり、強いかと言われても困る。
「冷気が強すぎて誰も近づけないんじゃない? もう少しでいいから弱めてみたらどうかな」
『弱めると申されても我にはこれが平常である故な。そのようなつもりは我にはない。我は我にとって当然のように動いているだけ故、汝らがそう思うのみである。……ああだが、我がここに居ることで、英雄と心を通わせる者が来た。次なる目的地を定めるまでの間の滞在であったが、これは好機。汝ら、我が臣下とならぬか?』
 今度は愚神から問いかけた。
 臣下として仕えないかという誘いを受けたエージェントたちは顔を見合わせる。
 拓海が前に出て首を横に振った。
 それを見た愚神は非常に残念なことだ、と前置きをしてから腰に差した剣に手を伸ばす。
『さすれば我は、愚神として汝らのライヴスを頂くとしよう。何、臣下ではないならば我が敵であろう。故に遠慮はいらず、我は我のために汝らより搾取すると致そう。であるから、隠れている汝らの仲間を呼ぶとよい。我は汝らの全力に対し全力で臨み、見事打ち倒して見せよう』
 一息に抜き放ち、地に突き立て愚神は言う。エージェントらは各々戦闘態勢を取る。
 離れたところから息を殺して伺っていた残りのメンバーも愚神をとり囲むように現れ出る。
「ごめん、リサ。失敗したみたいだ……あとは頼む」
『ええ』
 交渉に失敗したことを悟った拓海は事前に決めていた通りに、メリッサと共鳴し意識を譲る。
 遅れてやって来ていた久朗、唐津、千颯、セレティアも共鳴して立っている。その場に槻右がいないが、彼は少し離れた場所から愚神を狙っていた。
「交渉決裂であれば、あくまで愚神として振る舞うか……。それががお前の意思なら……尊重しよう。俺がリンカーとして……お前を送ってやる」
 央がその服装を変え、鋭い視線を愚神へと向ける。
『我が名は愚神・ネージュ。故あって冬将軍を名乗っている。あえて聞こう、汝ら、何者か!』
「通りすがりの能力者だ。よく覚えておけ!」
 名乗りを上げた冬将軍とエージェント。交わることのない2者の戦いが始まった。
 先手を打って攻撃に転ずるは能力者たちである。彼らは各々が持った武器を振りかぶって愚神へと攻撃を加えていく。冬将軍はそれらを丁寧に手にした剣でさばいていく。相手が同じ剣であれば横から打ち据えて軌道を反らし、相手が長柄の武器であれば剣の側面を使い攻撃を流す。
 その場を動くことなく攻撃のことごとくを受け流していく愚神に、はるか遠くから槻右が放った銃弾が襲う。冬将軍はそれを確認したうえで弾くと後方へと飛んだ。明確な隙を生んだ愚神を久朗が手に持ったクロスボウで狙撃する。矢は真っ直ぐに飛んでいき愚神へと直撃する寸前で何かに阻止されて止まった。
『ふむ、さすがに人数差は如何ともしがたいか。さすれば出でよ、我が僕!』
「……雪だるま?」
 愚神が呼びだしたのは雪だるまのような従魔。見た目からしてあまり強くないであろうが数が多かった。一度に呼びだされた数が30。広い場所といえどそれだけ出されると一気に手狭に感じる。
『汝らの勇姿を見せるが良い』
 冬将軍が言葉を発した直後、雪だるまの大群がエージェントに殺到した。1体が弱くとも数が多ければそれだけ倒すのに苦労する。1体に集中できない故に1体あたりの攻撃量が減少しより倒しづらくなる。範囲攻撃ができればいいがエージェントである彼らは街を壊さないように配慮するためにその選択が取れない。従って武器を振るって蹴散らすしかない。
 千颯が大鎌を振るい数体まとめて吹き飛ばす。そうしてできた間で下がった久朗、一二三、メリッサが距離を取って射撃を行う。愚神らが攻撃してくれば央と唐津、縁がそのカバーリングを行い、バルトロメイが前に出る。槻右は狙撃による支援を行いながら戦場に指示を出す。
 始まって間もないが、エージェントらはその巧みなコンビネーションで圧倒していた。

●将軍激昂
 戦いが始まってから幾度目かの激突が起こった。
 唐津は興奮で叫びを上げながら、援護攻撃を行う。キオーンは相方に対し是と答える。
「血が騒ぐなぁキオよぉ!!」
『あぁやはり戦場は良いな』
「正直気に入られたら困るからな、全力で叩かせてもらおう!」
 バルトロメイが声を上げ、手にした大剣で目の前まで迫った雪だるまを切り払う。
『行け、我が僕よ!』
 冬将軍は消耗する度、周囲の雪を媒介に従魔を召喚する。
 けしかけようとすると、いい加減嫌になってきたのか雪だるまは冬将軍を見上げて止まった。
『む、如何した我が僕。……痛ッ! 何、なぜ我を殴る!? 敵は向こうぞ!』
 従魔はその場でくるくると回った後でうな垂れ、エージェントらを指さす。その後で腕となっている木の枝を目いっぱいに広げてアピールをした。
『突撃しても粉砕するばかりで、しかも粉砕するたびに召喚されて鼬ごっこ故、疲れたと? 情けない、それでも我が僕か! ……痛い、痛いぞ! だから何故我を殴るのだ!?』
「えっと、仲間割れ……? 従魔に無視される愚神って……」
 従魔と冬将軍のやり取りを見た緑は思わずその手を止めた。共鳴しているウィンクルムも何を言えばいいのかわからず、沈黙を貫いている。そんな中、それを見ていた千颯が笑い始めた。
「ぼっちの愚神とかマジうけるんだけど!」
『ぼっち……とは何でござるか?」
 白虎丸が、言葉の意味がわからなかったのか千颯に問うた。
「ひとり"ぼっち"の"ぼっち"だぜー。仲間を引き連れないで、挙句の果てに従えてる従魔に無視されて、どう見たってぼっちじゃん?」
『フム、貴様か。今、我を"ぼっち"などとのたまった愚か者は』
「いやだって、その通りでしょ」
『なるほど、できる限りいらぬ殺生はせぬようにと思っていたが、その必要はないようであるな』
「何を言って……え?」
『フム、貴様だけは真に全力で相対いたそう。何、心配する必要はない。しばし冷たい思いをした後はもう何も感じぬだろう故な』
「虎噛さん!」
 白虎丸と話していると思っていた千颯の目の前に、いつの間にか冬将軍の姿があった。
 その瞬間をその場にいた誰もが認知できなかった。ただ渦巻く暴風雪が起こっていることだけが分かった。槻右が咄嗟に声を上げ注意を促す。目の前に立っていた千颯は自分が極大の地雷を踏み抜いたことに気が付いた。だがしかし、既に遅い。
「虎噛!」
 まずいと思った久朗は手に持った長槍を投擲した。それは冬将軍へと到達する前に風で進路を変えられ彼のはるか後方へ突き刺さる。
『悠久の時を刻むが良い。素晴らしい氷像としてな!』
 千颯の体が凍り付く。大なり小なり氷結させられていた先ほどまでとは違う完全な凍結である。
 冬将軍はその状態の彼を一瞥し、納めていた腰の剣に再び手を伸ばし一刀の元に切り伏せんとする。
「そうはさせんよ!」
「ふっ!」
 明確な隙を見せた冬将軍の背後に駆け寄り、一二三が槍にライヴスを纏わせて一閃する。
 メリッサもまた剣を振るい攻撃を行った。
 攻撃に気が付いた冬将軍は剣を引き、その場から飛ぶようにして動いた。咄嗟に引いたため、2人の攻撃はかすり傷程度を追わせて終わる。そのまま冬将軍はその場を離れ街の中へと消えていく。
 その間に久朗と緑、セレティアが千颯の元へと駆け寄った。氷像と化した体を治療する。
 幸いにして、一瞬で凍結したため仮死状態となっており、全身凍傷と打ち身以外は目だった怪我はなかった。しかし凍結させられる時に大きくライヴスも吸収されておりひどく衰弱している。
「この貸しは高くつくぞ……デレデレしてんじゃねぇぞ!」
 意識を失っている千颯に対し、聞こえていないのにもかかわらず、バルトロメイは声をかけ続ける。
 何故だかそうしないと消えてなくなってしまいそうな気がしたのだ。
「なんとか死んでいないけど、長引くとまずいね……」
 緑は必死に千颯を治療しながら現状を冷静に確認している。
 その間も、央と一二三、槻右とメリッサ、唐津が冬将軍を追いかけて相手をしている事が通信機越しにわかった。
 だがその結果は芳しくないようだ。攻撃のことごとくが回避されるか完全に防がれている。そればかりかカウンターとばかりに放たれた氷の息によって体の一部が氷結し、そこから体温を奪われていく。結果として体力が奪われ行動するための力を奪われていく。このままではじり貧であると槻右が告げる。
 この場に放置していくわけにもいかず、かといって仲間と合流しないのは拙いためバルトロメイが千颯を抱えてその場から安全と思われる位置まで下がり、久朗と縁は仲間の元へと向かう。その道中も彼らは考え続けた。
「……このまま戦闘を続けていては最悪の場合全滅すら考えられる。戦域を離脱して得られた情報を持ち替えることが最善のはずだ」
「それしかないか……」
 苦々しげに告げた久朗の言葉に、緑も頷く。さしあたっての問題は、愚神である。激しく怒り狂っているでもなく、静かな怒りを抱き、しかしそれを爆発させることなく自らの制御下に置いている。怒りによって能力が強化されているのか先ほどまでより明確に動きが早いようだ。心なしかブリザードの範囲も広がっているように思われる。
『愚か者を殺めること叶わぬ。我が前に立つ者は傷つき動きも衰えてきたか。なんだ、汝らはその程度であるのか? 一目見た時、我はもっとできると感じたのだがな!』
「……くっ」
『なあ、汝。最初の威勢はいったいどうしたのだ? 随分と逃げ腰になっているではないか』
 従魔が減ったことに、カバーから攻撃に転じた央は、大量の従魔との戦いでの疲労と寒さによって体力が奪われていったことにより戦闘能力が大きく低下していた。それは央ばかりの話ではない。その場にいるエージェントの多くは大なり小なり消耗している。
「ワシの番だ……いくぞ!!」
『いい気迫であるな。だがしかし力量が足りぬ。勢いだけで勝てる戦いなど物量戦くらいなものである』
「つまり、数が多ければ勢いで勝てるんやな?」
『なるほどその意気やよし。汝もよい気迫である。……がしかし、必ずしも勝てるとは言っておらぬ故な。奇襲とはこう行うのである』
「ぬおっ!」
 突撃した唐津をいとも簡単に吹き飛ばした冬将軍に対して一二三が長槍で鋭い突きを放った。
 それを剣で受け止めると、冬将軍の周囲に雪が渦巻いた。真横から叩き付ける猛吹雪を受けた一二三は衝撃によってその場を離れざるを得なくなる。
「強すぎる……! デクリオ級相当だと思っていたけど、これはケントゥリオ級に迫っている……」
「弥刀、荒木、セレティア、三ッ也、迫間、榛名、六万。以降は撤退戦だ。無理をする必要はない……確実に撤退するぞ」
 久朗が通信を使って全員に告げる。全員の表情が悔しげに歪んだ。
「いいか。撤退戦だ。これは決定だ。虎噛がこの状態であり、敵が強大すぎる以上、これ以上の戦闘の続行は困難だ」
 皆がいる場所まで追いついた彼は冷静に繰り返す。場所は気が付けば愚神の拠点の近くになっていた。
「……しゃーないか。全滅なんてそれこそシャレにならんもんな」
 繰り返し告げる久朗に真っ先に応えたのは一二三である。彼は何度かの攻防で敵が自身をはるかに上回り、それどころか自信を含めたメンバー全員を上回る可能性があるほどの難敵だとことを薄々感じ取っていた。
「チッ、ここが引き際って訳だな。依頼を投げだすことになるのだけが残念でならねえが」
 同様に、即座に撤退を受け入れたのは唐津だ。戦場で生まれ戦場で育った彼は、その人生において引くことの重要性と言うものを深く理解している。それ故に撤退命令に対する反論はなく、素直に受け入れた。
 緑とセレティアも先ほど話をしたので理解をしており、頷き返した。
「死ぬわけにはいかない、か」
 央は自らの英雄との誓約を思い出し、渋々ながら同意を示した。これから先確実に害になるであろう敵を仕留めることができなかったことに対する悔しさから、眼光が鋭くなる。
 逆に難色を示しているのが槻右と拓海だ。どちらも守るために戦っているため、今ここで逃げることで街に多大な被害が出て、住民の帰る場所が失われてしまう事。そしてこの愚神が移動することで他に被害が出ることが頭をよぎり、どうしても頷き返すことができなかった。
「三ッ也、荒木。今ここを確実に生き延びることで情報が回る。それによって倒すことができる可能性が大きく上がるんだ。今ここで全滅すればそれすらかなわんぞ? それに異常気象の原因が判明し、救助者の救助も完了している。最悪の事態は避けたはずだ」
「……わかりました。戦闘から離脱します……!」
「くそ……!」
 説得により、槻右と拓海も折れる形で同意する。
 ここに意識不明者を除く全員の同意により、依頼の放棄と戦線離脱が決定した。それは事実上の敗北宣言であり、彼らを深く傷つけることとなる。だがしかし、ここで全滅するわけにはいかないのである。全滅とは完全敗北であり、次への希望も残らない負けになってしまう故に。
 ――彼らはこの場からの撤退を決める。

●撤退―凍結の嵐を抜けて―
『如何した? 終いであるか?』
 急に動きを止めたエージェントらの姿を見て冬将軍は思わずといったように口を開いた。
「残念ながら我々はこれ以上の戦闘の続行が困難であると判断したのでな」
「なんとかしてあんたを出し抜いて、退かせてもらいますわ」
 久朗は投擲した槍を回収し、切っ先を冬将軍へと向ける。一二三も同様に槍の先を愚神に向けた。
 ここからが正念場――ここにいる冬将軍以外の誰もがそう思っていた。だが、それはいともたやすく翻ることとなった。
『フム、撤退か。……よいぞ、逃げるならば逃げるが良い。我はここを動かず、汝らを追撃しないと約束しよう』
 冬将軍は剣をまた鞘に納めると、覚悟を決めたエージェントらに向けて述べた。
 そのうえでその場に仁王立ちをする。
 央は険しくなっていた目つきが更に険しくなっていくのを感じた。
『別に汝らを軽んじているわけではない。むしろ逆なのだ。汝らに感謝さえしているのだ。ああ、我は"ぼっち"と言われて憤ったが、事実1人であることが多い故な。汝らのように相手をするものさえおらなんだ。久しぶりに相手をされ、それが十分にできる者であった! その喜びを思い出させてくれた汝らを、私は尊重しよう。いずれ強敵として我を倒すであろう汝らをな』
「その選択、いずれ後悔するかもね」
『後悔などはせぬ。我は我の選択を、我がその場で下した我の最善であると確信する故な』
 緑の言葉にも堂々と返すその様は将そのもの。これこそが彼が冬将軍たる由縁であるのかもしれないとエージェントたちは思った。そんな彼らの顔を一通り見終えると、冬将軍は踵を返し、ビルの中へと帰っていく。ゆっくりと扉は閉まっていき、鎖によって扉が封印される。
 エージェントらの働きによって冬将軍は一時的に自身を拠点に封じ、これによって異常気象は終息する。
「空が晴れてきましたね……」
 セレティアが仰ぎ見た空は、来た時とは違ってその青さを取り戻していた。日差しが大気を暖めて足元の氷が徐々に融けていく。異常気象の解決ができたというのに、気持ちは全く晴れなかった。
 冬将軍は未だ倒れず、いずれまた出てくるだろう。
 その時こそこの愚神を打ち倒すのだと強く決心し、彼らは悔しさを抱えながらその場を離脱した。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

  • 此処から"物語"を紡ぐ
    真壁 久朗aa0032
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
  • 水鏡
    榛名 縁aa1575

重体一覧

  • 雄っぱいハンター・
    虎噛 千颯aa0123

参加者

  • 此処から"物語"を紡ぐ
    真壁 久朗aa0032
    機械|24才|男性|防御
  • 告解の聴罪者
    セラフィナaa0032hero001
    英雄|14才|?|バト
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • この称号は旅に出ました
    弥刀 一二三aa1048
    機械|23才|男性|攻撃
  • この称号は旅に出ました
    キリル ブラックモアaa1048hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 拓海の嫁///
    三ッ也 槻右aa1163
    機械|22才|男性|回避
  • 大切な人を見守るために
    酉島 野乃aa1163hero001
    英雄|10才|男性|ドレ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • 水鏡
    榛名 縁aa1575
    人間|20才|男性|生命
  • エージェント
    ウィンクルムaa1575hero001
    英雄|28才|男性|バト
  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
    人間|11才|女性|攻撃
  • 過保護な英雄
    バルトロメイaa1695hero001
    英雄|32才|男性|ドレ
  • エージェント
    六万 唐津aa2368
    機械|40才|男性|防御
  • エージェント
    キオーン ジャーマaa2368hero001
    英雄|28才|男性|ブレ
前に戻る
ページトップへ戻る