本部

忘年会を盛り上げろ

saki

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 5~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/12/21 21:02

掲示板

オープニング

●とある居酒屋の一室にて
 忘年会とは、常日頃の苦労を労り、苦悩を忘れ、色々と羽目を外す日である。こんな日だからこそ可能な無礼講であり、大抵のことは許される会である。
 ここに集まったリンカー達も例に漏れず、大分出来上がっていた。
 そんな中、メンバーの一人が言ったのだ。
 この中なら、誰のパートナーが一番凄いのか――と。
 普通の状態だったら流していただろう。だが、既に出来上がっているのだ。無礼講の雰囲気に酔っていたと言っても良い。
 だからこそ、歯止めが利かなかった。
 自分のパートナーの方が凄いと褒め言葉のオンパレードである。普段なら見せないデレを振りまき、パートナーを自慢しまくっている。
 これで被害を被ったのは、英雄の方だ。もう止めてくれとばかりに耳を覆ったり、縋り付いたりしているが、その怒涛の勢いは止まることがない。
 そして、別の一人がこう言いだしたのだ。
 なら、勝負しよう――と。
 その言葉に場は大いに賑わった。次々と賛同の声が上がる。
 しかし、何で勝負すれば良いのかということになった。そして、箍が外れているメンバーの一人がこう言ったのだ。
 他の忘年会に突入し、如何に自分のパートナーが優れているのかアピールし、順位を付けてもらうのだ――と。
 その一言で決まった。
 自分の英雄を自慢していたのだ。そこで自分が負けるなんて思う訳がない。
 こうして、傍迷惑な一行は隣の部屋で行われている忘年会へと乗り込んだ。

解説

●目的
→自分のパートナー(英雄)が如何に素晴らしいかをアピールすること

●補足
→自分の英雄の自慢をしましょう。
 アピール内容は何でも良いですし、何をしても構いません。勿論、スキルを使っても構いません。
 如何に自分のパートナーが凄いのか、それが伝わればOKです。
→羞恥心は捨てましょう。
 ……というよりも、無礼講なので思い切って見せつけましょう。
 普段は伝えられない想いを、これを機に伝えるのでも全く構いません。

リプレイ

●忘年会中の隣室にて
 話がヒートアップした一行は、隣で行われていた忘年会へと乗り込んだ。
 普段なら絶対にしない行動である。だが、お酒と宴会独特の雰囲気がそれをうやむやにさせ、気を大きくさせていた。正常な思考回路が麻痺した典型的な酔っ払いの行動である。中には酔ってなどいない者もいたが、面白がってノリに乗ったり、素面でも酔っ払いとテンションが変わらなかったり……と、そんな感じである。
 そして、それのとばっちりを受けたのは英雄陣だ。中には酔っぱらっている者もいるが、このメンバーが開いていた忘年会会場でも既に愛は聞いているのだ。もう止めてくれと止めに入っている者だっていた。
 それでも勢いは止まらない。
 「失礼します」と言いながら、勢いよく隣室の襖を開けた。
 急に現れた若い男女に中にいた人達は目を白黒させたが、この部屋の人達は既に酔っ払いと化している。
 自分達の相棒への愛を語りたいのだという事を伝えると、「良いぞ、兄ちゃん達。やれやれ」「いやー、若者はやっぱりこうじゃなきゃね」「ほらほら、こっち来て一緒に飲みな」といった、完全に余興の一つとして見做しているテンションである。あっさりとこちら側の要求は受け入れられた。
 それを受けると、一行はこちらの部屋へ混ぜてもらうこととなった。


 すっかり気分の良い人達は、一行にもわざわざ飲み物や食べ物を振る舞ってくれた。
 勿論、大人組はお酒で、子供組はジュースである。そして、何人かは気遣いから酒を注いで回っていた。これには、部屋にいた人達も大喜びである。

「はい、それでは場所と時間をお借りしまして! 改めて! 乾杯と行きましょう!」
 木霊・C・リュカ(aa0068)の音頭で、部屋の彼方此方から「乾杯!」という声と、グラスの合わさる音が響き渡る。そして、それを一息に呷り、「くぅ~!」という声も聞こえてくる。
 勝手に混ぜてもらいながら、互いに酌をし合いながら杯を重ねていく。リュカの料理をとった後は、そのタイミングを見ながら、せめてものお詫びとばかりにオリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)は一言謝罪しながら酒を注いで回る。その度に酒を勧められるが、軽く流すと冷静なまでに淡々と次の人の場所へ移動した。

「大人は酔っ払うとダメですね」と、紫 征四郎(aa0076)は呆れながら言い、最初の一杯だけ付き合っていたガルー・A・A(aa0076hero001)は『確かに皆ちいと出来上がりすぎだな、そろそろ止めておくか……』と腰を上げようとするが、「お、たいしょー! 征四郎にオレンジのやつもういっぱい、なのです!」と横で声を上げられ、『なんでお前さん、ジュースで酔ってるの!?』と驚愕した。

「何とも酷い状況だな……」
 カオスとも言える光景に、赤城 龍哉(aa0090)は呟き、『付き合わされる方も迷惑ですわね』とヴァルトラウテ(aa0090hero001)は同意した。
 それは尤もなので「そりゃそうだ」と頷くが、『でも、パートナーが褒めてくれたり、大切に想ったりしてくれる。そういう事をきちんと表す事自体は悪い事ではありませんわ』と普段は言わなさそうなことを口にした辺りで「……あれ?(風向きおかしくねぇか)」ということに、龍哉は気が付いた。

 ノリの良い虎噛 千颯(aa0123)は、既に周囲の人達と打ち解けていた。これが初対面とは思えない程の馴染み具合である。これは最早、親戚のおじさんと盆や正月に会ったかのようなレベルでの親しさである。
 それに対し、周囲のノリに辟易しているのは白虎丸(aa0123hero001)だ。硬派であるが故に、酔っ払いに絡まれて困惑しているような状態である。だが、それを機敏に察知すると千颯は若干面白がりつつも「ほらほら、飲もう、飲もう」と、酔っ払いたちに酒を注ぎ、助け舟を出した。

 御神 恭也(aa0127)は見た目こそ変化はないが、場の雰囲気に酔って酩酊状態である。
 先程の場でも相手の言い分に否定こそしないが、「まず、戦いに置いて頼りになるのは全員の前提だから言うまでも無い」と、伊邪那美(aa0127hero001)への愛を語っている。
「力が強い弱いなんて、俺達契約者がどう運用するかだから語るに及ばない。つまり、此処で語り合うのは……日常生活でどれだけ素晴らしいかを競い合うべきだ」と、いう提案もしているほどだ。

『我を褒め称えるのじゃ!』と、もう既に酒が回っている王 紅花(aa0218hero001)は上機嫌だ。カトレヤ シェーン(aa0218)も同様で、二人で次々に杯を開けている。
「とにかく目立つところだな。何処にいてもすぐにわかるぜ。探すにしても、体に赤く虎縞化粧をした背の高い派手な女を見かけなかったか……って訪ねたらすぐにみつかるしな」『目立つ事こそ、我の信条。我の存在を強くアピールし、皆に我の存在を刻み込むのじゃ。それが我の生き方じゃ』「こういう信念をもってやってることがすげぇと思ってるぜ。努力も惜しまないしな」

「・・・…まったく、騒々しいわね」
 酒を飲めない言峰 estrela(aa0526)はウーロン茶をちびちびと飲んでいたが、こうゆう場だし騒々しいのは当然といえば当然かしらと思い直し、正座をしていた三枚重ねの座布団から立ち上がった。
 そしてキュベレー(aa0526hero001)を呼ぶと、「キュベレー! あちらの方のグラスが空いているわっ」と適宜指示を出し、『了解だマスター』とキュベレーは淡々と仕事をこなし、estrela自身も笑顔でお酌に回った。

 店の前では、「わーい\(*´∀`*)/ はじめてのぼーねんかいである! おお! いざかや! いざかやであるぞ! ベルベット!」『はいはい、他のお客さんにめいわくでしょ? 騒ぐんじゃないわよ』という、ハイテンションだった泉興京 桜子(aa0936)をベルベット・ボア・ジィ(aa0936hero001)は窘めていたが、今はどうであろう。
 桜子がオレンジジュースを飲み、唐揚げに舌鼓を打っている横で、ベルベットは大量の酒をキープして冷やかしもし、完全に居酒屋を満喫しているようである。
 忘年会とは無礼講で楽しむものである。とても楽し気にしている二人であった。

 茶店【なみかぜ】の営業や依頼が終わり、たまには二人で飲みに繰り出した浪風悠姫(aa1121)と須佐之男(aa1121hero001)であったが、同業者が楽しそうに忘年会をしているところに混ぜてもらうことにした。しかし、何故だかおかしな風に転がり始め、今ではこんな惨状である。
 酒は二人ともカクテル系を頼み、須佐之男はちびちび飲むのに対し、悠姫はジュース感覚で次々と飲むので酔っ払い、最初は自慢話とか言うキャラじゃないのと照れ臭さから聞いているだけだが、出来上がってからは須佐之男を無視して自分も話に参加を始めた。

「ふ、ふふふ……飛鳥さんとの愛のメモリーを存分に語れということですね!!」
 力強く宣言するように言う雪峰 楓(aa2427)に、桜宮 飛鳥(aa2427hero001)は「……楓? 相当酒が回っているようだな。大丈夫か? ……大丈夫じゃないのだろうなぁ」と心配するが、実は彼女の内心ではこれが通常運転なのである。これが外に出ているのか、出ていないのかという違いしかないのだ。
 酒の力もあり、饒舌になった楓はある意味周囲の酔いが醒め、ドン引きするようなことも次第に話し始めた。

・リュカとオリヴィエ
「はい、じゃあ、まずはお兄さんからね」
 酒には酔っていないから素面であるというのに、にこにこと上機嫌だ。
「俺の相棒はね、月並みな表現だけどとっても優しくて、賢くて、強いんだよ。お兄さんこんな体質だからできないこといっぱいあるけど、独りじゃないからできるって出会った時からずっと隣にいてくれてるんだ」
 そこまで言うと「ふふ、いつもありがとう」と、オリヴィエの居る方を向くが、返事はない。
「あ、あれ? オリヴィエどこ? おーい?」
 呼ぶ声は聞こえるが、オリヴィエは『……? ?』と、この現状が理解できないようで首を傾げながら、熱い頬を冷やそうとタオルを当てた。

 それを見ながら、「オリヴィエは食が細いのです。たいしょー、こっちのちびにもこれと同じのやってくれ! なのです!」『きゃーリュカちゃんかっこいい。おい征四郎、あんな風にデレれば良いんだよ』と征四郎とガルーは話し、「リュカちゃんベタ褒め?」と千颯は戸惑いを、白虎丸は『オリヴィエ殿、互いにあれな相方を持つと大変でござるな』と同情的な声をかけた。わくわくとして聞いていた桜子は、「すごいのである」と興奮状態だ。

・征四郎とガルー
『…征四郎が(食が)太いんじゃないか?』と、無言でオリヴィエが征四郎の頬を抓ってじゃれ合っていたが、自分の番が回ってきて、征四郎は「ガルーのいいとこ……あ! 高い所にあるものもすぐ取ってくれて便利なのです!」と言った。
 それを聞いて、ガルーは『なに、その通販で買った便利グッズみたいな扱い!?』と項垂れるが、そこに追撃とばかりに「家でも煙草プカプカ吸うし、おやつにおかしあんまり出してくれない!」という言葉に『ガキかよ!』と突っ込んだ。
 そんなガルーに征四郎は、「どうせガルーは、褒めたって照れて素直に受け取らないじゃないですか」とむくれた。そして、「途中で誤魔化したりしないならちゃんと言います」と伺えば、『おー来いよ! ここまで来て誤魔化しゃしねぇ』とガルーも腹を括ったようだ。
「優しくて強くて、それを嵩に掛けないいい奴。側はとても居心地がよくて。……征四郎は一緒にいる今がすごく楽しくて、実家に帰る目標が揺らいでしまうのです」
 そこで言葉を区切ると、射貫くような真っすぐな視線で彼を見据えた。
「征四郎は、早くあなたの隣に立ちたい」
 その切実なまでに真摯な本音に、ガルーは言葉を失った。
「何も言わないのですか」
 照れて視線をそらしながら、『……あー。有難う、な』と答えた。

 初めの方は「せ、せーちゃん、そんな通信販売みたいな褒め方しなくても……ほら、ガルーちゃん料理上手だし何やかんや優しいよ?」と言っていたリュカだったが、彼女の本音を聞いて最後の方は微笑みを浮かべた。千颯は「ガルーちゃん顔赤い~」と茶々を入れ、ガルーはすぐさま『べ、別に照れてねぇよ!』と突っ込みを入れる。そんなやり取りをしている横で、桜子は目を輝かせながら「おりびえ殿、がるー殿はそのような! ほぉ! すごいのである!!」と手を叩いた。

・龍哉とヴァルトラウテ
 順番が回ってきたが、完全に絡み酒のヴァルトラウテが龍哉に絡んでいる。
『大体、龍哉は普段からそういう部分を軽視し過ぎですわ。強さを求め、己を高める志はエインヘリアルとして……』
 管を巻くヴァルトラウテの背後に空になったカクテルグラスを多数認め、「こいつは酷い、酔っ払ってやがる」と額に手を当てた。
 飲み易いが酔い易い系のカクテルをグイグイ行ってしまったヴァルトラウテは、自身が居た世界には無かったからかその加減が解っていないようである。
『酔ってなどおりませんわ。ほら、この通り』と言いながらも、何故か「100t」を名入れされた火之迦具鎚を取り出した。『他の皆さんもパートナーの素晴らしさを表しているのですから、龍哉もそうするべきなのですわ』
「その前に火之迦具鎚を仕舞え。殺す気か!」
『大丈夫、「100t」と張ってあるハンマーで殴っても死ぬ事はありませんわ』
「現実とコミックを混同してんじゃねぇ!」
 二人の漫才じみたやり取りを見ながら、周囲から「良いぞ、やれ! やれ!」と囃し立てる声が上がるが、「止めて! 俺が死んじゃうから!」と突っ込んだ。
 ヴァルトラウテのジト目に溜息を吐くと、「言えば良いんだろ、言えば」と立ち上がった。
「おまえは間違いなく美人だ。それも、万人が認める程の美人だ。その上強く、一人の戦士としてとても優れている。そして、凛々しい。この凛々しいというのは、どんな強敵であったとしても凛と前を見て立ち向かっていく、闘志を纏った存在感のことだ。……だから、ほら、……あれだ。おまえが俺の相棒で良かったってことだ」
 最後の方は殆ど叫ぶような、やけっぱちのような感じであったが、ヴァルトラウテは『……龍哉』と目を細めた。それを見て周囲から「良いぞ、御両人!」といったヤジが飛ぶが、照れ隠しだと言わんばかりに耳を赤くして「うるせぇ!」と龍哉は叫んだ。

・千颯と白虎丸
『千颯ちゃん俺様の分も飲んどいてぇ』とガルーに酒を注がれていたが、「よしっ! やっと俺ちゃんの番だ!」と、待っていましたとばかりに千颯は立ち上がった。
「白虎ちゃんへの愛なら任せておけ! 白虎ちゃんは見ての通り大男で筋肉隆々だが皆に愛されるフェイス持ち!」
 喜々として話し始めた千颯のベタ褒めに、白虎丸は『千颯…持ち上げすぎだ! 俺はそんな事は無い』と、尻尾を震わせて恥ずかしがる。それを見てオリヴィエが『白虎丸もいつも大変そうだな…』と肩を叩いた。
「虎顔モフモフの力で非公認とはいえゆるキャラにまで登り詰めた男ぞ!」『俺はゆるキャラでは無い!』
「口調も『ござる口調』なのに偶に、(頻繁に)付け忘れるというドジっ子属性付与! 子供にも大人にも愛される魅惑のモフモフはまさに魔性! 格好良いでありながら可愛いすらも併せ持つ白虎ちゃんこそが最強! しかも尻尾は天然だぜ! つまり半獣半人! 半獣半人の英雄だ! 更に異世界では武士みたく、人への配慮すら忘れない徹底ぶりだ! あと服がエロい! 更に更に一見完璧超人に見える白虎ちゃんだがマタタビに酔うというまさかのギャップ萌えだ!」『ドジっ子…? ぎゃ…ぎゃっぷもえ? 何を言ってる? 千颯? 千颯? 戻ってこい!』
「最後ここで畳み掛けるぜ! 普段は虎の被り物で隠しているが…その素顔は…ぐべら」『それ以上語るな!馬鹿者!』
 羞恥の白虎丸から鉄拳制裁が入り、ここで強制終了となった。

 見ていたリュカは「ちーちゃん容赦ないww白さんへの愛が重いww」と爆笑し、身を乗り出しながら話を聞いていた桜子は、「へ~白虎丸ちゃん照れてる? 可愛い~。よし! わしも負けずに、べるべっとのすごいところをかたるのであるぞ!!」とベルベットの方を見て、ニヤニヤと話を聞いていたベルベットは桜子の頭を撫でた。

・恭也と伊邪那美
「伊邪那美は、年の離れた妹の様で可愛い物だ」
 開口一番に恭也はそう断言した。見た目こそ素面そのものだが、大分酔いが回っているようで、自身が普段なら口にしないようなことを声に出していることに気が付いていない。
「自分が嫌いな食材をこっそりと俺の皿に移し替えて気付かれていないと安堵した隙に、量を増やして戻した時の表情は良い物だ。排除した物がいつの間にか戻って来た驚きと、明らかに増えた事に対する気落ちした表情を目まぐるしく変化させる様には笑みを抑えるのに一苦労だ」
 初めこそニヤニヤして聞いていたが、伊邪那美は次第に羞恥に震え『ボクの契約者はドSです……』と呻いた。
「止めるのを聞かずにホラー映画を見た晩は、色々な言い訳をして床を一緒にする事もある。寝たふりをして気付かれない様に指弾で、離れた所で音を出すとびくっと体を震わせて周囲を探る姿は小動物の様で愛らしいぞ」『ぎにゃ~、恭也余計な事は話さないでよ~』
「恐らく俺は伊邪那美が居る事で戦場から日常に戻れるんだと思う」
 堂々と言う恭也に、伊邪那美は悶えながら『やめて、もうボクのHPは0だよ……』と話を止めに入った。

「イザナミは飲んでますか!」と伊邪那美に征四郎は絡むが、先程の言葉通り既にライフゼロの彼女は震えながら首を振った。それもそうだろう。恭也の話を聞きながら、「うわー恭也ちゃんがデレた!? レアだ! でも、俺ちゃんも負けてない!」『御神殿がこういう事を言うのは珍しいでござるな、伊邪那美殿良かったでござるな』と盛り上がる程であった。これは伊邪那美にとって、非常に強烈な一撃だったのだ。

・カトレヤと紅花
『もっともっと我を褒め称えるのじゃ!』と片手を腰に、もう片手の人差し指を頭上に高くに上げポーズをした紅花に、カトレヤもノリが良く「フッ、なんといっても、紅花の信念が現れたような、この容姿だぜ」と共に胸を張って、ポーズをとった。
『そんじょ、そこいらの奴らには負けんのじゃ!』「見よ、このプロポーション」と共にポーズを変え、『我はスーパーナイスボディじゃ!』と言えば周囲から口笛や囃し立てる声が聞こえる。
「この脚線美」と共に机に片足をのせ、見せつけながら「そして、この肌」と机にのせた片足に指をなぞらせる。『お肌のお手入れはかかさんのじゃ。磨き上げてるのじゃ。ツルツルスベスベなのじゃ!』
「この腰のくびれ」と、共に腰に手を当てて腰を振る。『運動して鍛え上げてるのじゃ。ギュギュッと締まっておるのじゃ!』
「この美髪」と、共に髪を両手でかき上げる。『この髪にも、手がかかっておるのじゃ。毎日、一生懸命トリートメントしてブラッシングしておるのじゃ。サッラサラじゃ!』
「この胸」と、共に両手で持ち上げる。『我のは大きいぞ。ポヨヨン、ポヨヨンじゃ!』
「極めつけは、この美貌」と、共に投げキッス。
「パーフェクトだぜ!」とカトレヤは片親指を立て、『ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!』と紅花の高笑いが続く。
 まるでグラビアアイドルのようにスタイルの良い二人の、グラビアポーズに周囲は大歓喜だ。
 そんな周囲の反応に気を良くし、『ほれほれ、もっと、もっと飲むのじゃ』と酒を注ぎ、二人で更に杯を重ねる。
『ハッハッハッハ!』という笑い声が高らかに響いた。

・estrelaとキュベレー
 二人は盛り上がり続ける周囲に呆れながらも、「さあ、どうぞ?」と常に良い笑顔を浮かべてグラスが空かないように注いで回った。
 その時の笑顔はあくまでも良い笑顔である。笑顔が良いとはまた違う。
 何故なら、有無を言わせず呑めという、素敵な笑顔で注ぎまくっているのである。この無言の迫力に押され、誰もがすかさずグラスを差し出しているような現状だ。
「空いているお皿を下げるのよっ」『了解だマスター』
「次のお料理を持ってきなさいっ」『了解だマスター』
「おしぼりが冷たいわ。新しいのを持ってきなさいっ」『了解だマスター』
 常に息の合ったコンビプレーを披露し、店員よりも余程優秀に仕事をこなしている。それどころか、この動きを見ているだけで他の者のように雄弁に語らずとも、互いのことを大事だと思っているのが伝わってくるかのようであった。
 estrela花びらと蝶を舞わせながら優雅に、丁寧に、愛嬌ある笑顔を浮かべ、キュベレーはとにかく早く、雷鳴の如く疾走し、だけど暗殺者のように静かに音も影もなく動く。今や、この忘年会はある意味、この二人の活躍で成り立っていると言っても過言ではない状態になっていた。

・桜子とベルベット
「わしのべるべっとは、すごいのであるぞ!」
 宝物を自慢するかのような、もしくは母親を自慢するかのような口調で、桜子は口火を切った。
「大きくてかっこよくて、もふもふなのである! みみもさんかくでぴんとしておるのである! しっぽなぞさんぼんもあるのであるぞ! すごいのである!!」
 目を輝かせ、全身で凄いのだということをアピールしている様に、見ている者はほっこりとした気持ちで桜子の言葉に耳を傾けた。最早、親戚の子供を見守るような心境にさえなっている。
「いつもきものに香をたきしめてくれるし、髪の毛をゆってくれるのである! いますんでおる家もまいにちそうじをかかさず、きれいずきなのである! それにりょうりもうまいし、3時のおやつのおかしもうまいのである! このいざかやとやらの唐揚げもうまいが、べるべっとの作る唐揚げのほうが10倍…いや100まんばいうまいのである! ほおがおちるのであるぞ!(`・ω・´) つまりわしのえいゆうはさいきょうで、さいこうでおいしいのである!」
 胸を張って全身全霊で大好きだと伝えてくる姿に、『ふん! 当たり前でしょ! あたしは最強で最高なのよ!』とベルベットは言うが、今までの泰然自若とした姿とは違い、余裕ぶってるが酒の量が増えて耳がそわそわ、しっぽもパタパタと動いている所から動揺しているのは見て取れた。

 話を終え、「サクラコ、かんぱーいなのです!」と征四郎と健闘を称える乾杯を桜子はした。友人である千颯と白虎丸は「桜子ちゃんのベルちゃんへの愛が俺ちゃんに勝てるかな?」
『ベルベット殿は、こういうの恥ずかしくは無いでござるか?』と、二人の様子を眺めていた。

・悠姫と須佐之男
 いつもよりもだいぶ饒舌になっている悠姫は、自分の相棒のここが凄いのだということをここぞとばかりに話し始めた。そして、その言葉には感謝の念が強く込められていた。
「そうだな、まずは喧嘩や勝負事が得意ではない自分にどうしたら勝てるか、生き残れるかを常にアドバイスしてくれること、かな。そのおかげで、これまでの経験では分からなかった世界を見せてくれたし、俺は戦うことができるようになった。須佐之男は本当によく頭が回るし、参謀やブレインと言っても過言ではないよ」
 その口調には誇らしさが見え隠れしていて、信頼しているというのが誰にも感じ取れるものであった。
「次に手先が器用な上、体力も集中力も高いところ。それによって、茶店経営の方針や、その裏手にある菜園の切り盛り、農作業から作物の調理・保存まで熟し、手の届いてない範囲をカバーやアドバイスしてくれているよ。それから最後に、自分は幼少期に父親を失い、強く生きようと思う反面で無茶をしたり自己犠牲を払おうとしたりしていたが、そんな破滅的な方法ではなく、本当の強さや真に戦わなくてはいけないもの。そして、戦うものの覚悟を説いてくれたり、まるで父親のように時には厳しく、時には温かく接してくれたりしたおかげで今は戦うことも怖くはないし、自分のやらなくてはいけない事を見失わずに済んだんだ。俺にとってはそうだな、須佐之男はただの英雄というだけではなくて家族であり、英雄としてはとても強くて賢くて誰よりも頼りになる存在だ」
 自慢気に悠姫は締めくくった。それを、目を細めながら聞き、須佐之男自身も何処か誇らし気に見ていた。その様はまるで兄であり父のようだ。
 須佐之男は『俺も、悠姫のことを大事な家族のように思っている』と、悠姫の頭を撫でた。

・楓と飛鳥
「こちらが私のあs……げふんげふん。私の英雄の飛鳥さんです。なんと、女性ですよ。女侍です。凛々しいでしょう? 背も高くてすらっとしてますし、私の出た大学の学園祭に連れて行ったら、女の子たちに追いかけ回されちゃいましたねぇ。そういえば、私たちもよく夫婦かカップルと間違えられちゃいます♪」
 惚気る口調で初っ端から楓はエンジン全開である。楓の話を聞きながら、飛鳥は『学園祭……あったな、そんなことも。あれは悪夢だった。なぜ私が……』と遠い目をした。
「ふふふ、でも、やっぱり女性ですし綺麗な顔でもありますよね。近くで見るとほら、まつ毛も長くて肌も綺麗で。あらやだ、飛鳥さんてば、顔がこんなに近い。もう、いけません、みんなが見ているところでそんな……。そういうことは家に帰って…………はっ、飛鳥さん。なんでしょう、子供はふたり以上ですよね!! えっ!?お嫁に行けなくしてやる!? な、なんて積極的なんでしょう!?」
 最早、妄想が暴走している状態である。『いや、お前から近づいてきたはずだが……。大丈夫か? そんなに正体を失うほど飲むものじゃあない。嫁に行けなくなるぞ。 ……おーい』と声をかけるが、聞いちゃいない。意味深な言葉を発しまくり、完全に自分の世界に入っている。
「……ふぅ。そうそう、飛鳥さんてば結構な風流人でして、花鳥風月何でもござれなんですが、お酒が特にお好きらしくて。月見酒とか、花見酒とか。私もいつもご一緒しているのですが、お酒に強くて強くて。ほら、今日だって日本酒の瓶をたくさん空けてるのに顔色ひとつ変えてないじゃないですか。何度潰してお布団に引きずり込もうとして失敗したこt……いえいえ、何でもありませんよ?」
 所々言い間違えとは到底片付けられない言葉を発しかけているのを見て、飛鳥はため息交じりに『酒は飲んでも飲まれてはいかん。楓はそろそろにしておいたほうが良さそうだな』と言った。
『それにしても何だ。なぜそんなに持ち上げる。体がむず痒くてしょうがない。というか、周りの者たち全てだ』

●自慢話を終えて
 それぞれ自分の相棒のアピールを終えたが、まだ足りないとばかりに口を開いている。あまりにも凄すぎて、火照りを冷ます為に口にしたデザートに入っていた酒によってオリヴィエは離脱するし、酒の飲みすぎで悠姫も眠り、ちびっこ組もそろそろおねむの時間が差し迫ってきたなどと、次々と離脱者が現れていた。
 いよいよそろそろ収集がつかなくなって来た頃、定員が「お時間です」と告げに入ってきた。
 まだ話したりない面々は二次会に繰り出そうとするが、『良いみんな、此処で契約者達を止めないとボク達に明日は無いんだ! 全員、突撃~! これ以上の被害は出させるな~!』という伊邪那美の掛け声とともに、英雄達が夫々の相棒を抑える形でどうにかここで切り上げさせることに成功した。

 まだ常識的な思考ができる面々はそれぞれ忘年会に混ぜてもらった事の礼を言うが、そうでない面々は誰が一番素晴らしい英雄なのかということをまだ言い合っている。
 それを見ながら、「いやー、若い。若い」「羨ましいね」と声をかけられたが、結局は「自分にとって自分の相棒が一番に決まっているだろう? だから、誰が一番とかじゃなくって、自分にとって一番の人がいる。この人はこんなに素晴らしいんだ、って誇れることが良いことなんじゃないのかい?」という一人の言葉で納まった。流石は年の功というやつだろう。
 そして、今度こそ解散になった。
 眠ってしまったオリヴィエはガルーに背負われ、『で、寝ちまうあたり可愛げあるというか……』と送られることになった。それに、「ありがとう。すごく助かるよ」とリュカはお言葉に甘えることにした。その間に『紫殿はガルー殿が好きでござるか?』と白虎丸に尋ねられ、「好きじゃないならついていかないのです。白虎丸もそうでしょう?」と首を傾げた。それには何もいう事ができない。『え…あ…う…うむ…そうでござるな…』「ん?白虎ちゃん何か言った?」『よ…酔っ払いは煩いと言ったのだ!』
「全く、何て忘年会だ」
 忘年会だというのに無礼講故の大変さに、龍哉はため息を吐くしかし、ヴァルトラウテは幻想蝶の中で気持ち良く睡眠中で、「ま、堅苦しくなくて良いか」という結論に落ち着いた。
 後日談にはなるが、恭也と伊邪那美は帰った後、恭也自身がこれに関する記憶はないと嘯いた。どうやら、恭也はそう通すことに決めたようで、掘り下げられるのは自身のダメージに繋がると判断した伊邪那美はそれ以上触らないことに決めた。
 カトレヤと紅花はまだまだ飲み足りないようで、楽しそうに笑いながら二軒目に向かった。全くもって、素晴らしい肝臓の持ち主だとしか言いようがない。常人なら二日酔い確定コースである。
 忘年会がお開きになった後、estrelaとキュベレーは片付けまで始めていた。店側が申し訳ないが有り難いと思う程の働きぶりであり、「ふー、綺麗になったわね」と自分の仕事ぶりに納得したところでキュベレーが奥から戻ってきた。
 桜子は今日が如何に楽しかったか、興奮気味に語り、それを見てキュベレーは『それは良かったわね』と相槌を打った。「また、みんなでご飯をたべたいのである」『えぇ、そうね。またやりたいわね』
 酔いつぶれた悠姫を連れ帰る為、須佐之男は悠姫の拳を握らせると自身のものと合わせ、共鳴した。二人が思っていた飲みではなかったが、普段は聞けない悠姫の言葉を聞き、満足そうに須佐之男は帰路についた。
『ほら、帰るぞ』と飛鳥に促され、楓はふふふと笑いながら飛鳥の腕に腕を絡めた。
「飛鳥さん、わたくしちょっと足元が覚束ないんです」上目遣いで言われ、飛鳥は『そんなに飲むからだ』と、仕方がないとばかりにそれを受け入れ、そのまま寄り添って歩き始めた。

 忘年会――それが年に一度の無礼講の日。酒が齎す力は侮れないのと、その場の雰囲気の真の怖さを知るのは素面に戻ってからである。
 果たして、この忘年会に参加した彼らの本音が相棒にどう伝わっているのかは、それぞれの胸の内に……ということに他ならない。ただ、相棒に普段思っている胸の内を伝えられた、ということだけは事実だろう。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
  • エンプレス・ルージュ
    カトレヤ シェーンaa0218

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • エンプレス・ルージュ
    カトレヤ シェーンaa0218
    機械|27才|女性|生命
  • 暁光の鷹
    王 紅花aa0218hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • エージェント
    言峰 estrelaaa0526
    人間|14才|女性|回避
  • 契約者
    キュベレーaa0526hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • もふもふは正義
    泉興京 桜子aa0936
    人間|7才|女性|攻撃
  • 美の匠
    ベルベット・ボア・ジィaa0936hero001
    英雄|26才|?|ブレ
  • ヒーロー見参
    浪風悠姫aa1121
    人間|20才|男性|攻撃
  • エージェント
    須佐之男aa1121hero001
    英雄|25才|男性|ジャ
  • プロの変態
    雪峰 楓aa2427
    人間|24才|女性|攻撃
  • イロコイ朴念仁※
    桜宮 飛鳥aa2427hero001
    英雄|26才|女性|シャド
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