本部
奪い合うカレワラ ~熊手の担い手~
- 形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,300
- 参加人数
-
- 能力者
- 5人 / 4~8人
- 英雄
- 5人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/11/29 19:00
- 完成予定
- 2018/12/08 19:00
掲示板
-
相談卓だよ
最終発言2018/11/29 11:15:38 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/11/28 22:36:20
オープニング
●セラエノのアジト
ボスニア湾の北端に浮かぶハパランダ諸島の一つ。それが発信器の示した場所だった。
GPSと詳細な地図、そして実際の島の様子を双眼鏡で見比べながら、キターブはほくそ笑んだ。細かな諸島の中で、地図に記載されていないもの。身を隠すにはもってこいだ。
好事家が所有していたオーパーツ『サムポの破片』。H.O.P.E.がさんざん移譲を要求していたそれがセラエノに強奪された。先んじて発信器をつけていたキターブは、彼らの目的を確かめるためにアジトを探り当てたが、ここ数日観察していても目ぼしい動きはなかった。日に何度かボートでの行き来が確認できたが、それだけだった。
やはり乗り込まねば分からないか。すっかり冷えたコーヒーを胃に流し込み、投げつけるようにしてカップをカバンの中へと片付けた。
「これまで何か動きはあったか。アレグ」
後ろの林から現れた男は長い金髪を鬱陶し気に掻き上げ、つまらなそうに答えた。
「ボートで何度か行き来しているだけだな。中で何をしているのやら」
キターブからコーヒーを受け取ったアレグが、傍らの木に寄り掛かる。
とある好事家が所有していたオーパーツ『サムポの破片』。それをセラエノが強奪した。先んじて発信器をつけていたキターブは、彼らの目的を探るためにまず居場所を探り当てた。
その際に関わったヴィランであるアレグは、再びキターブと会っていた。
「あそこにセラエノのアジトがあるのか」
「国立公園の真っ只中とは恐れ入った。身を隠すにはちょうどいい」
「で、俺たちにまだ仕事をさせたいのか」
アレグの苛つきを助長するように、キターブは随分と間を置く。
「……威力偵察でも頼もうかな」
『アジトの中に飛び込めと? あんな小芝居では飽き足らず……』
アレグの傍らに女の姿が浮かび上がる。アレグに憑依している英雄、ヴァニタス・ヴァニタトゥム。サムポの破片がセラエノによって強奪された際、彼もまたオーパーツを盗むために好事家の屋敷に忍び込んでいた――キターブからの依頼を受けて。
「冗談だよ。さすがにそこまで望んでない。報酬は振り込んだから、確認してくれ」
アレグの懐にあるスマホが震える。確かめたメールの内容は、キターブによる口座への振り込みだった。その額を確かめたアレグは思わず目を見張る。
「身代金みたいな金をポンと出すんだな」
「相応の働きをした。だから払う。それだけだ」
無論、それだけであるはずがない。また働かせるための繋ぎにしたいのだろう。実際、もうアレグは普段受ける依頼とキターブの払った金額とを比べ始めていた。
「サムポか。ワイナモイネンの作った魔法の臼なんて、せいぜい小麦粉と塩を生み出すくらいだろ」
「そんな話もあったな。他の伝承では作物の実りを助けるとも言われていたっけ。実のところ分からん。そんなものを集めて何をする気なんだか」
『サムポの破片』はフィンランド叙事詩であるカレワラに登場している。老英雄ワイナモイネンが作った魔法の臼。それが争奪戦の上に砕かれ、細かな破片となった。その破片は小麦と塩を生み出すとも、作物に豊かな実りをもたらすとも言われている。
セラエノがオーパーツを収集していることは以前から分かっていたことだが、『サムポの破片』に関して欲する目的をキターブは推測できずにいた。小麦や水を生み出し、豊穣をもたらすオーパーツ。そんなものを手に入れたところで何の意味があるのか。まさか農場を経営したいわけでもあるまい。それに制御できる保証もなく、効果があるかも分からない代物だ。
「オーパーツを復元して使う気なんだろう」
「今どき豊穣のオーパーツなんて流行らん。制御できるかも分からないのだから、現代農業ほど使いでがあるとも思えない」
「だったら何故……」
「それを確かめるのもH.O.P.E.の仕事だ」
キターブがスマホを取り出すのを待ってから、アレグは立ち上がった。元々報酬を受け取るために待ち合わせただけだ。
「じゃあ、俺は次の仕事に備えるとするよ」
素っ気なく言ってアレグが踵を返す。H.O.P.E.のエージェントとヴィラン。本来ならこうして会うことさえ憚られるのだから、用が済んだらもはやこの会合に意味はない。
「そうしてくれ。またH.O.P.E.とかち合いたくなければ、せいぜい離れておくことだ」
「……ああ。そうしよう」
アレグがいなくなるのを見計らってから、キターブはH.O.P.E.へ依頼を作成し、メールで送信した。
●巨人の熊手
地下室というよりは、洞窟を繰り抜いただけの空間を、これまた石を切り出しただけの階段を使って降りていく老人の手には三個ほどの木端が握られていた。
広大な地下室の殆どは仄かに明るく光る液体で満たされており、他の光源は見当たらない。液が入っている槽の縁では数人の男が液を掬ったり何らかの機材を入れたりして、状態を確認しているようだった。
老人に気が付いた若い男が駆け寄り、その手から木端を受け取ると、すぐに槽の中へと差し入れた。
「これでサムポの量としては予定の分に到達しています」
うむと老人が深く頷き、老人が槽を覗き込む。沈んでいく木端はやがて生き返ったようにふやけて広がり、底に蠢いている植物に溶け込んでいく。
「サムポも大分育ってきたな」
「はい。動かすだけならもう十分かと」
若い男の言葉を受けて、老人は半ば白くなった顎鬚を満足げに撫ぜた。
「知っているかね。古代のフィンランド人、カレワは巨人だったと言われている」
「カレワの土地。それがカレワラの語源、でしたね」
「ああ。これで神話が蘇える。これを持つに足る担い手が」
老人が背に回した手には、穂先が妙な形した杖が握られていた。まるで手のように広がって湾曲したそれは、熊手と言うべきものだった。
「イルマリネンの熊手。巨人の持ち物は、巨人にこそ相応しい」
解説
======OP解説======
・目的
セラエノのアジト内の調査。
・場所
ボスニア湾内、ハパランダ諸島の一つ。
・敵
老人
このアジトにおける頭領と思われる。『イルマリネンの熊手』なる武器を所有している。
・状況
アジトの内部を調査し、オーパーツについての調査を任務とする。
マスターより
オーパーツを強奪したセラエノのアジトが判明しました。彼らがオーパーツを集めた理由や、一体何に使うつもりなのかについて調査をお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/12/06 21:21
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相談卓だよ
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最終発言2018/11/28 22:36:20