本部
- 形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 7人 / 0~8人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/05/22 19:00
- 完成予定
- 2018/05/31 19:00
掲示板
-
【相談卓】エントランスにて
最終発言2018/05/22 19:02:35 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/05/19 00:16:10
オープニング
●地方都市・文化ホール
並んで歩くことさえ困難な狭い通路を、あなたは仲間と共に、周囲へ必要以上に気を配りながら進む。あなたたちを3人のエージェントが先導していた。そのひとり、四十過ぎの大柄な男――御厨(みくりや)が鼻を鳴らしてから声を潜める。
「だいぶ近づいてきましたなァ」
ふわふわした黒髪を揺らしながら進む20半ばの女性――劉(リュウ)が、大きな丸眼鏡の位置を直しながら、溜息を傍らに捨てて虚空を睨み付けた。
あなたたちの耳にはずっと声が届いている。それは通路を進む以前、ホールのエントランスに踏み込むよりもまだ早く、敷地内に立ち入った瞬間から聞こえていた。その頃から輪郭ははっきりとしていた。野太くて勢いに満ちた、中年男性の声である。
先導していた最後のひとり、かなり小柄な金髪碧眼の少女――成島(なるしま)が大げさに肩を竦めた。
「張り切っちゃってさ。口の端っこ泡だらけだよ、きっと」
「ここですかね」
「開けるわよ」
両開きの、クッションのような素材でできた扉を、劉と御厨がそれぞれゆっくりと押し、開いた。その最中から声量は更に大きくなり、完全に扉が開ききると、最早声は洪水とでも言い表すべき勢力と迫力であなたたちをまるごと呑み込んだ。
「思った以上に、ですなァ」
扉の先、第一講演会場には、びっしり、とまではいかずとも、かなりの頭数が伺えた。あなたは目算し、仲間とハンドサインを駆使して数を推測する。およそ250名であろう、という結論に至った。
最奥、スポットライトを一手に浴びる檀上には、スーツを着た中年男性の姿。ワイヤレスマイクを片手に目を血走らせて、時に拳を振り上げ、主張を強く続けている。
――我々のように理不尽に家族を失う者は以降も絶えないだろう
――この世界はもう人の手には負えないことを誰もが自覚しなくてはならない
――今こそ皆で愚神の御許へ
250名は一言も発さずに静聴し続けている。あなたたちに気を向ける者は壇上の彼を含めてただのひとりもいなかった。
しかし、あなたたちをまじまじと見つめるものもまた、いた。会場内に佇む4体の従魔である。位置については後述するとして、ともかくその、重油がそのまま動き出したような成りの頭部、ガラス玉のような一つ目で覗き込むように見てくる。見てくるだけだった。
不意に肩を叩かれて、あなたはそちらに顔を向ける。御厨が親指で背後を示していた。
●エントランス
一面に張られた窓ガラスから気負った春の陽が差し込んでいる。本来なら不意の深呼吸など吐いて然るべき気候にも関わらず、低い位置を流れる雲はずっしりと重たいねずみ色に見えた。それがこの耳障りな講演の所為なのか、あなたの心持ちの所為なのかは、今はまだわからない。
「何がいい?」
劉に問われ、あなたが答えると、彼女はエントランスの片隅にある自販機のボタンを押した。紙カップで提供されるタイプのそれはどういうわけか無料で提供されており、今はあなたたちだけが使えるドリンクバーと言える。今は有事、空にしたって構うものか、とは御厨の弁。
その御厨は、喫煙所から持ち込んだ円筒型の灰皿と共にホール内の案内板を眺めていた。飲み物を受け取ったあなたが歩み寄ると、御厨は頬の無精ひげを撫でてから口を動かし始める。
「あの連中を無傷で救う、ってのが今回の目標だそうですが」
あなたが挙手で遮り、状況の整理共有を求めた。全員洗脳されているのだろうか?
「その真っ最中って感じに見えましたがね。ああ、檀上のオッサンはどっぷりって感じでしたね。恐らく“中継器”ってな立ち位置なんでしょう。アレをほっとくと洗脳は進んじまうでしょうなァ」
時間が経つほど洗脳が解きにくくなる?
「少なくともこの場ではそう考えていいでしょう。
さて、洗脳を解くには言葉が有効だそうで、言葉を伝えるにはあのクソうるさいオッサンをどうにかせにゃなりやせん。強硬手段には出られないですし、話が通じるかは五分以下でしょうなァ。
そうなってくるとマイクをどうにかしよう、制御室へレッツゴーって話になりますが――」
「制御室の前には従魔が居座っていたわね」
紙コップを傾けながら劉がやってきて、案内板、講演会場の右端、壇上からほど近い個室をノックした。
「窓や抜け道はなし、防音施設だから壁を壊すのも時間がかかるし、何より破壊自体が賭けになる状況なのよね。大元の電源がスムーズに切れればいいんだけど……」
劉が紙巻に火をつけるとほぼ同時、両手をポケットに突っ込みながら、成島が小走りで駆け寄ってきた。劉がコーラを手渡す。好物なのだそうだ。
「お疲れ様。配電室は無事?」
「ダメ。従魔が2ついた」
「何をやるにもひと手間ですなァ」
コーラを一気に飲み干す成島、銜えた紙巻を上下させる劉、紙コップを静かに握り潰す御厨、そしてあなたたちの間にも、俄ながら鮮明な焦りの色が滲み始める。
*
『ある施設に集合した集団が大音量の中で洗脳を深められ、その様子を監視している従魔がいる』
この現象は、今、世界各国で同時に見受けられていた。規模は様々だが、日本国内だけでも数十、世界を見渡せば優に3桁に至る。そして既に同様の救出或いは討伐作戦は行われており、その7件すべてが失敗していた。うち2件は全滅であり、負傷者は早くも4桁に至っている。
事態を重く見たH.O.P.E.はある方針を提唱する。それは『まずひとつ成功例を挙げ、それを模倣することで救助率を上げる』というものであり、その成功例を挙げよ、と白羽の矢を立てられたのがあなたたちだったのだ。
*
事態は進む。
御厨の携帯が鳴った。彼は言葉少なに通話を終えると、新しい煙草に火をつけて劉と成島を呼ぶ。
「同型の従魔が接近してるそうですワ。あっしらで迎撃に出ますぜ」
「マジでー。規模と方角は?」
「360度からランダム且つ断続的だそうで」
「他妈的……」
出立しながら、3人はあなたたちに向き直り、思い思いの言葉を投げる。
「来月久々に店開けるから、これがなんとか終わったら食べにきてよ」
「いえーい、姉御の広東料理ー」
「方針は任せますし、手伝えることなら言ってくださいや。
――大きく張るも、手堅く積むも、一切合切お任せしますぜ。アホみたいな作戦打った連中に、一緒に目にもの見せてやりましょうや」
その場に残されたあなたたちは、紙コップを傾けながら、取り囲むようにして案内板を見上げた。こうしている間にも、世界中で歪んだ思想が手当り次第に擦り付けられていることを十二分に認識しながら。
高い位置にかけられた時計の針がまた、僅かではあるが確かに廻った。
あなたは決めて、動かなければならない。
本ケースが1番目の成功例となるか、8番目の失敗例となるかは、全てあなたたちの手腕にかかっている。
解説
●目標
民間人の安全の確保
●環境
・第一講演会場
かなり広い会場。びっしりと備え付けの椅子が並んでる。床は南端中央の入口から北端の壇上に向かって傾斜している。
制御室ではマイクの音量のほかに会場の照明を操作できる。
250名の傍聴者は演説を傾聴している状態。五感や理性はそのままなので、大きな物音や衝撃などを感じれば逃げ出す者も現れると思われる。年齢性別様々だが小学生以下はいない。
講演者は特に強く洗脳されており、解除はかなり困難であると予想される。
また、OP時点では全員従魔にも参加者にも気付いていない。
従魔は壇上に2体、入口近くに1体、制御室前に1体。
・エントランス
相当に広く天井も高い。飲み物と軽食が購入できる自販機が無料で稼働している。
ホール外へ出るためには必ず通らなくてはならない。
・配電室
やや薄暗いが移動に困ることはない。
ホール内の電気系統を細かくON/OFFにすることができる。
近くに取説があり操作には困らない。
入口を従魔2体が塞いでいる。
●従魔
デクリオ級+。命中↑↑、生命力↑(檀上の2体のみ↑↑)、各攻撃↓
重油がそのまま人の形になったような個体。頭部の大きな一つ目は非常に硬そうな印象。
共鳴したエージェントと会場を出ようとする民間人を攻撃する。
→同一エリアに複数の従魔がいる場合、原則として最寄りの従魔のみが対応、行動する
→エージェントと民間人を同時に認識した場合は民間人が優先
→エージェントを複数認識した場合は臨機応変
一定ターン経過ごとに増援が2体エントランスからホールに侵入する。NPC3名だけでは完全に対応し切れないようだ。
<スキル>
・模倣:1個体につき1度だけ使用する。攻撃方法(射程と物/魔)が認識したPCのメイン武器と同一になり、更にそのPCが装備しているアクティブスキルを無制限に使用するようになる
・再生:パッシブ。ターン終了時に生命力が残っている場合、全回復する
マスターより
●その他
・質問にはお答えできません
・ぜひともいろいろやってみてください
・ドリンクや軽食片手なRPで相談していただくとより臨場感をお楽しみいただけるかと愚考します(強制ではありません)
***
ご検討いただけましたら幸いです。
なにとぞよろしくお願いいたします。
リプレイ公開中 納品日時 2018/05/28 11:39
参加者
掲示板
-
【相談卓】エントランスにて
最終発言2018/05/22 19:02:35 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/05/19 00:16:10