本部
魔術師とミイラ
- 形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,300
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/04/22 07:30
- 完成予定
- 2018/05/01 07:30
掲示板
-
相談卓だよ
最終発言2018/04/22 03:12:39 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/04/19 20:34:05
オープニング
●ヴィランたちの師
H.O.P.E.のエージェントによって逮捕されたロシアンマフィアと墓守の一族を名乗る三人のヴィランは、カイロ警察署に移送されていた。
「えっと、墓守の一族だっけ。へえ~、すごいなあ」
面の荒いコンクリートに囲まれた取調室で、キターブは胡乱な様子で声を上げた。
目の前にいるのはヴィランの一人だ。H.O.P.E.のエージェントとしての権限を振りかざし、無理やり事情聴取しているのだ。傍らにいる記録係の諌めるような視線も、キターブは努めて無視している。
「……何が言いたい?」
ヴィランの男が暗い目で見上げてくる。能力者、それも魔術師と対峙しても、キターブは小馬鹿にするように鼻を鳴らす。
「俺もエジプト人なんだけどさ、本物の墓守の一族なんて初めて見たよ。そう名乗ってる奴の大概は、盗掘団か観光客目当てのこっすい露店崩れだった。なのにこの年で墓守の一族様お会いできるとは。ぜひともまだ見ぬファラオに拝顔奉りたいものだ」
男は口の端から気の抜けるような笑いをこぼし、そっぽを向いた。
「墓守など知らんのだろう。貴様ごときに分かるものか」
語っていた男の顔面が机に叩きつけられた。キターブはそのまま男の髪を毟るように掴み上げて睨みつける。
「分かった風なことを宣いやがる……」先ほどまでの胡乱な調子は消え去り、歯を剥いて怒気を露わにする。「調べはついてんだよチンピラ。カイロのスラムで写真見せたら、お前の知り合いばっかだったぜ。どの口で墓守とほざくか」
大方、貧民街の出ならバレないとでも思っていたのだろう。男は今さらになって震えが来たらしく、鼻血を拭くのも忘れて目を泳がせている。
「そうビビるなよ。俺は案外、お前らをどうこうしようとは思ってないんだ。あることを教えてもらえればな」
「……あること、だと?」
「お前らに魔術を教えた人だよ」
男の顔つきが俄かに凍りついた。
「スラムのチンピラのあれだけの魔術を仕込む。まず一流の魔術師だ。あのミイラもそいつが作ったんだろう。古色や乾かし方が上手すぎる。だが、魔術を以てすれば出来ないことでもない」
「御師匠様にあってどうする気だ?」
「まあ、ちょっとビジネスの話をね。よければ取り次いでくれ。そうすれば騒動の罪は問わないでやる」
「取り次ぐ……取り次ぐか。ククッ、H.O.P.E.ってのは、ずいぶんのんびりした性分なんだな」
一転、男は震えを払って大笑しだす。単なるやけっぱちの空元気にしては目が据わり過ぎている。やがて一頻り笑い終えると、キターブを真っ直ぐに睨んで言った。
「分からないのか? お前、知識はあっても魔術師ではないな」
「なにぃ?」
「もういるぞ、我が師は。感じないのか、魔術の気配を」
足先から頭頂まで、怖気が走り抜ける。キターブは椅子を蹴って立ち上がった。
「留置所へ取り次げ!」
キターブの叫びを記録係が解するのに、優に五秒は必要だった。それから慌てて内線を取り出し、警察署地下にある留置所に連絡する。
「つ、繋がりません……」
返事を返さない受話器に、記録係は狼狽えるばかりだった。キターブは彼を退けてドアを飛び出し、直接地下の留置所へ向かった。
●渇きの魔術師
現在、カイロ警察署地下の留置所にはロシアンマフィアたちが拘留されている。ヴィランたちはマフィアを狙っていた。彼らの師とやらが同じ目的を持っていることは容易に想像できる。
階段を飛ぶように降りていく。その都度、倒れ込んだ署員たちが目に入る。外傷は見られないが生死は定かでない。何の気配も感じさせず署内を制圧してみせる手練は、あのヴィラン達など比べものにならない。
いよいよ留置所の入り口に差し掛かり、階段に身を隠して覗き見れば、格子の前にローブを纏った一人の男が立っていた。間違っても警察署員ではない。
裾から拳銃を取り出し、もう片方の手ではスマホを操作してH.O.P.E.支部に事態をメールで伝えていた。恐らく救援が必要だ。自分ひとりで押し留められるものではない。
だが、やれるだけはやらねばならない。スマホを仕舞ったキターブは素早く身を乗り出し、男に向かって銃撃した。
頭と胸に二発ずつ。銃弾は確かに命中し――小さな砂煙となって砕け落ちるのをキターブはしかと見届けた。
確信が当を得た喜びもすぐに霧散する。英雄と契約しているリンカーに通常兵器など効きはしない。
「勧告も無しにとは、随分怖い対応をする」
しゃがれた声が響く。そして振り向いた顔は、およそ人間のものとは思えなかった。
乾ききった茶色の肌。ひび割れのように走り回る皺。それはまるでミイラが動いているとしか思えない姿だった。
やがてキターブは目や口に鋭い痛みを感じる。肌も休息に乾きはじめ、ささくれさえ出始める。明らかな異常。恐らくあの魔術師によるものだ。
「……感応、いや、共感魔術の一種ですな。自らの乾きの相を伝播させる。あのミイラもそのようにして作ったのですか」
強烈な乾きに耐えながら話しかける。ここまで深く入られた時点でこちらの負けだ。ならばこれ以上負けないために時間を稼ぐ。リンカーたちが到着し、警察署員や周辺の安全を確保してからでなければ本格的に動けない。
この際ロシアンマフィアたちの無事は眼中にない。署員や周辺住民の命には代えられない。
「分析は済んだかね。H.O.P.E.の方」
魔術師がのっそりとこちらへ歩み寄る。目の端に格子の奥を窺い見れば、ロシアンマフィアたちは署員たちと同様にぐったりと倒れ込んでいる。
「ええ。彼らもミイラにされてはたまりませんからね」
「こいつらにそれほどの価値があると?」
「あなたを呼び寄せた。十分な価値だ」
くくっと魔術師が笑う。落ち窪んだ眼窩に収まる瞳が、確かに喜色を顕していた。
解説
======OP解説======
・目的
気絶した署員たちや周辺の安全を確保し、魔術師を制圧あるいは撤退させる。
・敵
魔術師
ミイラのような姿をした男。
強烈な乾きを伝播させる魔術を用いる模様。
・場所
カイロ警察署の地下留置場。
・状況
署員は殆ど気絶しており、退避できない。戦闘に巻き込んでしまうと危険なので、安全を確保する必要がある。
マスターより
ミイラを作ったと思われる魔術師がロシアンマフィアを狙って白昼堂々、警察署内に現れました。
既に署員たちは制圧されてしまい、とても危険な状態です。これ以上被害を出さないためにも、彼らの安全を第一に考え、行動してください。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/04/30 19:23
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相談卓だよ
最終発言2018/04/22 03:12:39 -
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