本部
やさしいルンペルシュテルツヒェン
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/11/21 09:00
- 完成予定
- 2017/11/30 09:00
掲示板
-
【相談卓】
最終発言2017/11/20 23:23:09 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/11/20 13:12:25
オープニング
●やさしいこびと
ドイツ、ハルツの山地をうろつく。もう街には戻れない。借金取りに追われて登った山で迷い、どうにもならない。
ともかく休む場所を探さねばならず、雨風を凌ぐために入った洞窟の入り口に座り込む。
それから、どれだけ経っただろう。夕闇に星が浮かぶころ、そいつは現れた。
「こんばんわ。人間のかた」
疲れ切った体が仰け反らせる。好々爺とした顔を乗せた小人に癒されるような心の余裕はない。
俺が驚いていることなどお構いなしに、小人はにこにこと話しかけてくる。
「どうしてそんな恐ろしげな顔をなさる」
「……借金取りに追われてるんだ」
「借金? 金のことかい。それが欲しいのかい」
すると小人はポケットからずんぐりとした拳を取り出し、ぱっと開いて見せた。
そこには一握りほどの黄金の塊が転がっていた。
ずぐんと心臓が跳ねる。小人に驚いていたことなどもう忘れて、その黄金を見入ってしまっていた。
「……くれるのか。それを、俺に?」
「ああ、いいとも。持っていくといい」
ごろりとしたその塊を、小人は投げてよこした。ともかくそれを受け取る。
「これで俺に何をさせようってんだ」
「なんのことはない。名前を教えてくれんかね。人間のかた」
「俺の、か? それだけで、いいのか?」
「お前さんのも、お前さんの家族でも、知り合いでも、誰でも。そうしたらまた、黄金をやろう」
それだけ? それだけでこんな黄金がもらえるのか。
頭の奥では警鐘が鳴り響いている。絶対に良くない。罠か何かに決まっている。
分かっているのに、黄金の魔力は抗い難かった。
結局、自分の名前も、家族の名前も、知り合いどころか町の人間の名前全て、小人に伝えた。何度も何度も黄金を片っ端から金に換え、ギャンブルにつぎ込んだ。借金などどうでもいい。どうせ小人が幾らでも黄金をくれるのだから。
粗方遊んでさあこれから一財為すかと思って小人に会いに行くと、奴はいつものように笑いながら言った。
「もう名前はいらぬ。黄金はやらぬ」
「頼む。最後に一つだけでいいんだ!」
髭面をしかめた小人は、大仰に頷いた。
「ならば三日の後、我の名を言い当てたならば黄金をやろう。出来なければお前から教えてもらった名、全てわしのものにしてやる」
それを聞いた俺は立ち上がり、小人を見下ろす。奴はひどく驚いた様子でいる。いい気味だ。慌てふためいて縋り付くとでも思っていたのか。
こいつが何を言い出すか、大方の検討はついていた。
おとぎ話にだって、無償で小人が助けてくれる話など少ない。殆どの場合は代償なり試練のようなものを要求するのだ。
そして俺はもう、こいつの要求するものを知っていた。
「名前、名前か。お前の名前だろう」
小人に向かって不敵に笑ってみせる。俺はこいつを知っている。昔々のお話そのままだ。
「知っているぞ。俺はお前の名前を知ってるんだよ、ガタゴト柱の小人。お前の名前はルンペ――」
「貴様アアアアアアッ!」
名前を言おうとした瞬間、小人はそれを掻き消すような大声で叫び出した。それに合わせてか、他の小人がわらわらと現れて体に纏わりつき、俺はあっという間に組み敷かれてしまった。
「悪魔に聞いたのだ。お前は悪魔に聞いたのだ。そうだろう!」
「お、おま、お前の名前は――」
喋ろうとした口に、小人のブーツがぶち当たる。砕けた歯が洞窟中に飛び散った。
「さあ、俺の名を言ってみろ。その砕けた口で語れるのならば。語れぬのならば仕方ない。お前の名前でお前を縛ってやろう」
わっはっはと豪快に笑う小人。そうして奴は俺の名前を唱えると、勝手に右腕が千切れて落ちた。冗談のような仕儀でも、体は正直だった。
あとは一も二もなく逃げ出した。群がる小人共を押しのけ、とにかく洞窟から出た。
耳にはまだ、あいつの声が残っている。
「三日の間に俺の名前が分からなければ、町のもの全ての名前を奪ってやるぞ。皆、おれのしもべとなるのだ。煮るのも焼くのも、思いのままだぞ」
あの小人は本当にやる。あれは異世界の怪物だ。最初から分かっていたが、小さくて危害を加えてこないから油断していた。こちらが利用している。化け物をいいように使ってやる――今その思い込みを、全身全霊で悔いている。
●洞窟へ進め
「それにしても今回はまたややこしいな。時間もないのですぐ頭に叩き込んでくれ」
てきぱきとホログラムを動かしながら、オペレーターが説明を始める。
「今回の相手は小人の姿をしている。そしてまた小人の従魔をひきつれて洞窟にこもっているそうだ」
ホログラムに洞窟の大まかな3Dモデルが現れる。緩やかに下る一本道が長く続いている。
「主要ターゲットは愚神、つまり最低でもデクリオ級と思われるが、人一人殺せないところをみると実際の力はそれほどではないだろう。しかし真名を奪うことで文字通り相手を思い通りにしてしまう。それが奴の能力だな」
ここでH.O.P.E.が保護した被害者の顔写真が現れる。彼が金に困り、愚神と契約をして町の者たちの名前を教えてしまったことを伝えた。
「被害者によれば愚神の真名はルンペルシュテルツヒェン。彼との契約で、名前を当てれば真名で縛っている町の住民を開放するらしい。恐らく奴自身もその能力で縛られているのだろう。契約を結ぶことで強制力を強めるのは君たちと似てるかもな。そのため奴の名前を聞かせて、能力を解除する必要がある。くれぐれも先走ってくれるなよ」
今回の愚神討伐、その困難は恐らくそこにある。ただ切り刻んで焼き払えば済む話ではない。愚神の力が死後に発動しないと言い切れないためだ。
「昔話の通りなら名前を伝えて終わりだが、契約した相手を殺そうとした奴だ。いざとなれば何をするか分からん。最後は力づくになるだろうことも想定しておいてくれ。とはいえ道中で配下の小人に襲われるだろうから、その備えは元から必要だな」
被害者の話から似たような小人の従魔を連れていることが判明した。姿かたちも似ているらしく、それに紛れて逃げるなどの策略も考えられる。
「自分や英雄の名前を知られれば隷属させられる。くれぐれも口にしないよう気を付けてくれ」
愚神に操られる英雄など想像したくもない脅威だ。真名を知ることで相手を支配するまじないは西洋の古い民間伝承などに見られるものだが、それを地で行く愚神が現れて人を害するなど気に利いた皮肉でしかない。
このまま街の近くを根城にされてドロップゾーンを形成されるわけにはいかない。現場に到着したリンカーたちの前には裂け目のような洞窟の入り口が待ち構えている。
誰一人臆することなく、彼らは悠然とその洞口へと歩み入った。
解説
・目的
洞窟の奥へ行って小人『ルンペルシュテルツヒェン』を見つけ、本名を教える。
・敵
ルンペルシュテルツヒェン
小人型の愚神。力はそれほど強くないようだが、名前を奪われると彼の思うがままに操られてしまう。配下の小人を従えて洞窟の奥にこもっている。
取り巻きの小人
ルンペルシュテルツヒェンの取り巻き。力は強くないが数が多い。姿はルンペルシュテルツヒェンに酷似している。
・場所
ドイツ、ハルツ山地にある洞窟。狭く明かりも乏しいため戦闘や探索に注意が必要。
・状況
期限は一日以内。
マスターより
ようやく二本目を出せたケーフェイです。
相手はルンペルシュテルツヒェン。日本風に訳すと『ガタゴト柱さん』と言ったところ。
ただ倒すだけではダメなようですので、頑張って奴に真名を教えてあげてください。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/11/25 20:08
参加者
掲示板
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【相談卓】
最終発言2017/11/20 23:23:09 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/11/20 13:12:25