本部
笑って笑って遊んで遊んで
- 形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 9人 / 0~10人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/08/05 22:00
- 完成予定
- 2017/08/14 22:00
掲示板
-
念の為の相談卓
最終発言2017/08/05 13:27:53 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/08/05 05:18:39
オープニング
●時に変な趣味も役に立つ
「これはオーパーツと呼ぶべきでしょうな」
研究者は手のひらでその石を転がしながら言った。
「しかし、あまり価値はないでしょう。”触れるとすごく冷たいだけの綺麗な石”では」
「なるほどね」
石を持ち込んだ着物姿の女性は研究者の手から石を取り上げた。
「オーパーツか。まさかアフリカの露天でオーパーツにお目にかかるとは思わなかったよ。社員たちは『出処不明なものを買う趣味、何とかしてください』ってよく怒るんだけど、時にはこういうこともあるんだねえ。いや、ありがとう」
そう言うと女性はさっさと外へ出た。
●沈む
あ、と思ったときには体が急速に傾くのを感じた。
「燃留(もゆる)さん!」
取引先のデザイナーの焦った顔と声を最後に意識が沈んでいく。
(ああ、やっぱり兄さんみたいにはいかない)
●氷の着物
「これは」
吉徳呉服、英国支店。刈穂副社長は絶句した。目の前には新作着物の数々が並んでいる。
「すごい発色だろう」
社長は着物を眺めながら言った。
「まさか、これほど鮮やかな染め具合になるとは思わなかったわ」
「私もだ」
使われているのはオーパーツからとった顔料である。話題づくりのために着物を染めるのに使ったのだが、まさかこんな結果になるとは思わなかった。目にも鮮やかとはこのことだ。
「顔料はまだ大量にあるのよね」
社長はうなずいた。しかも少しの量でよく染まる。
「なら商品化を視野にいれてもいいんじゃないかしら」
「でも、これには問題があるんだ」
「問題?」
「さわってごらん」
社長に言われるまま、着物に手を伸ばし「あっ」と言って手を引っ込めた。
「冷たいだろう。水に入れても凍らないし布自体も凍てつかないのに、ふれると冷たい。流石オーパーツ由来の品。謎だらけだ。面白い現象だけど、これじゃあ、常人なら3分と着ていられない。よくて全身しもやけ。悪くすれば凍傷だ」
「中和剤は?」
副社長は諦めきれずに言った。着物を商売にしている人間としてこの着物が日の目を見ないのはいかにも惜しい。
「ない。今のところはね」
「そう」
落胆する副社長を見て社長は笑い出した。
「ないっていうだけでできないとは言ってないよ。君はもう少し人間の英知を信じるべきだ。私はこれを商品化したい。それには中和剤がいる。中和剤がなければ研究してもらえればいい。研究してもらうには?」
「利益の保証」
「それにはスポンサーがいる。そのためには各方面に営業をかける。それにはー」
●チョコレートの箱
「というわけでね。燃留」
チョコレートの箱のような可愛らしい家々が並ぶイギリスの小さな村。吉徳呉服の社長はにこにこ笑って言った。彼女は友人兼商売相手である。会うのは燃留が過労で倒れて以来。突然訪ねて来たかと思えば企画があるから協力して欲しいと言う。
「内容は単純だ。この村でリンカーや英雄たちに着物を着て過ごしてもらう。それを撮影して営業をかける。
君の腕が必要なんだ。さっきも言ったようにこの着物はリンク中の能力者か英雄しか着られない。着付ける方ものろのろ着付けてたんじゃ凍傷になる。3分以下で浴衣の着付けができる人間が必要なんだ。君ならできるだろ?」
「はい。でも、そのくらいのスタッフ、あなたならすぐに集められるんじゃないですか?」
「時間があればね。でも時間がないんだ。この日じゃないと私が空いてないんだよ。衣露だけじゃ私は心配で。スタッフなんていないも同然だから。君と衣露、私のところのデザイナーひとりだけなんだ」
衣露は副社長の名前である。社長は衣露のことになるとやけに過保護なのだ。ひとりでヨーロッパ中をかけまわる立派な呉服商なのだが。
「わかりました」
「後、写真も頼む」
「え?」
「君、元カメラマンだろう。安心してくれ。ちゃんと見合った賃金を払う」
「・・・・・・」
「カメラがないとか?」
「いや、あります。でも、兄がーいや、伊吹が捕まって以来さわってなかったもので」
数ヶ月前、兄の戸田伊吹はヴィランとして捕まり戸田家から絶縁された。当主は弟の戸田燃留になった。カメラの道は捨てた。兄の件で地に落ちた戸田家の評判を戻すために東奔西走している内に倒れてここにいる。兄との差を思い知らされながら。
「すぐ思い出すさ」
社長は燃留の肩を叩いた。
「頼んだよ」
その声があまりに力強くて燃留はうなずいた。
●思惑
社長が村のカフェでお茶を飲んでいいると副社長の刈穂衣露がやってきた。
「お待たせ」
「話は付いた?」
「もちろん。村の人たちは快く引き受けてくれたわ。撮影やパーティーもOK」
「よかった。じゃあ、後はリンカー募集だ。HOPEに行こう」
「ねえ」
衣露は微笑んだ。
「今回の企画。本当の目的はなあに?」
社長はにっこり笑って副社長の手を握った。
「商売人はね、恩義を忘れちゃいけないんだよ」
解説
●依頼内容
貸し出された新作着物を着て英国の村で過ごす。貸衣装・着付け無料。着崩れた場合は連絡すれば着付け要員(後述)が駆けつける。
夕方には村のレストランでパーティ。食材を持ち込めば即興で何か作ってもらえる。レストランにはピアノがあり、誰でも自由に弾いていい。出てくるのは家庭料理なので気軽な雰囲気。
*目的は新作着物のプロモーションなので、村で過ごしている様子を写真で撮られる。各営業先で使われるのみで一般に出回ることはない。
●村について
英国の小さな村。主な産業は農業と酪農。名産はジャムや、蜂蜜、チーズ。見事な公園やイングリッシュガーデンがいくつもあり、ラベンダーが見頃。手伝えば何か分けてくれるかも?
市場はいつも品物とひとでいっぱい。観光地が近いこともあって村のひとは気さくで陽気。
●着物について
オーパーツから作られた顔料を使用。触ると強い冷気を覚え、常人の場合3分以上接触すると霜焼けになる。草木や無機物に触れても特に問題は生じないが、動物や他人と接するときは注意すること。
*リンクを解いて活動する場合、普通の着物も貸し出す。
●登場人物
戸田 燃留(とだ もゆる)
・男性用着付け要員兼カメラマン。戸田家当主。
兄の伊吹が当主だったがヴィランとして逮捕されたため、当主となる。現在は過労で療養中。回復に向かっている。穏和でやや引っ込み思案。性格を除いて兄の方が出来がよかったため、戸田家を継ぐことに自信がない。元カメラマン。
吉徳呉服の社長
・女性用着付け要員。企画立案者。ダンスが得意でパーティーの中盤で多分、歌って踊る。
刈穂 衣露(かりほ いつゆ)
・女性用着付け要員兼カメラマン。吉徳呉服の副社長。昔の日本映画に出てくるお姫様のような顔立ちでおっとりしゃべるしっかり者。カメラは必要に迫られて習った。
デザイナー
・男性用着付け要員。十代後半の吉徳呉服専属デザイナー。
マスターより
こんにちは。落合陽子です。
さて、色々書きましたが、要は着物を着て遊ぶだけ。こんな着物が来たい! こんなことをしたい! という希望を書いていただけると助かります。特殊な着物ではあるので人や動物と接するときは注意してくださいね。
ちなみに社長とデザイナーは”【甘想】バカと性悪”(http://www.wtrpg0.com/scenario/replay/1302)等に、戸田伊吹は”秘剣の森を下れ”(http://www.wtrpg0.com/scenario/replay/2189)等に出てきましたが例によって知らなくても問題ないです。では楽しい1日を!
リプレイ公開中 納品日時 2017/08/13 20:32
参加者
掲示板
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念の為の相談卓
最終発言2017/08/05 13:27:53 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/08/05 05:18:39