本部
Even if...
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/08/09 07:30
- 完成予定
- 2017/08/18 07:30
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/08/09 03:30:58 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/08/07 21:25:22
オープニング
●
脅かされている人々の、命を護る。
●
平日昼間の駅前は、異様とも思える悲鳴と怒号の嵐に包まれていた。
「愚神が、愚神が出たぞォオオおおっ!!」
「早く逃げろ、殺されるぞ!」
「どうしてこんな、ところに愚神が!?」
決して大きくはない駅前のロータリーに現れたのは、長い黒のローブをまとったやせぎすの男だった。ふらりふらりと酒に酔っているかのような足取りで怯える群衆のもとに向かう男の右手は、廃材を継ぎ合わせたかのように歪で細長い形状をしていた。
逃げる方向を間違え、行き止まりに追いやられた人々は十数人程度。スーツ姿の男性も、子供連れの女性も学生も、皆一様に恐怖と脅えが入り混じった表情を浮かべていた。
男はゆっくりと、まるでその表情を見渡して楽しんでいるかのように右手を揺らしながら彼らに近付いていく。ニヤリ、と不健康そうな男の口が割れる。
「いやあ、お前さん方も不運なこった。まさかこの俺に目を付けられちまうとは、なあ!」
ゴガン! と、群衆のすぐ真横の壁を右腕で打ち壊す。発泡スチロールで出来ているかのようにあっさりと崩れていくそれに、群衆の何人かが息をのむ。小学生程度だろうか、子供に至っては完全に泣き出していた。
男は意地汚く唇を舐め、一歩彼らに足を進めた。
「でもまあ、仕方ねえだろう? 俺は愚神で、お前さん方は人間だ。俺たちは決して相容れるものじゃあねえ。俺は今からお前さん方を殺して、ライヴスを奪う。でもそれはなにも怯えるようなものなんかじゃねえぜ? これはそう、ありふれた食物連鎖なんだからよ」
だからまあ、と男は悪魔から譲渡されたかのような腕を天高く持ち上げた。
「仕方ねえことだと思って、諦めな」
ぐちゃぐちゃの腕が、殺意をもって振り下ろされる。それは普通の人間にはどうしようもないほどの威力をはらんでいて、かすりでもすれば確実に命はないはずだった。
だから、群衆の一人が震えた声で何もない空間に叫んだのだ。
「誰か。誰か、助けてえっ!!」
『――任せろ』
その、つむじ風のような声とともに。
振り下ろされた悪魔の腕が、群衆に届くあと一歩というところで押しとどめられた。
「何!?」
男の右腕の真下に姿を現したのは、身の丈ほどもある両手剣を立てに悪魔の右腕を押しとどめた、色黒で背の高い青年だった。どことなく目に光が失われている以外は、その服装――ブレザーの上に白衣――を含め、おかしな点は見当たらなかった。
「リンカー……?」
「リンカーだ!」
「助けが来たんだ!」
群衆が歓喜の声をあげる。だがそれ自体を不快なものとするかのように男が吐き捨てた。
「リンカー、だと? 馬鹿を言うな。こいつがリンカー、ましてや人間のはずがない。お前、一体何の真似だ? こいつらはこの俺の得物だ、邪魔するんじゃねえよ。おなじ愚神のよしみだ、仲良くしようぜえ?」
愚神。
確かにこの男はそういった。群衆の中で混乱とざわめきが波及する。
自分たちを護っているのが、自分たちをさっきまで脅かしていた愚神だって?
『……図に乗るな、愚神。俺は貴様を殺す。その為に彼らの声を聞いてやってきた』
「ハッ! 図に乗ってんのはそっちだろ。愚神が人間を護るとか、滑稽以外の何物でもねえっての!」
男がその右腕に力を込める。金属の塊を押し付け潰すような音が辺りに響き渡るも、青年はそれでも無表情に、言葉に力を込めた。
『……ふっ!!』
ガオン!! という轟音とともに、駅前ロータリーの隅がすり鉢状に抉り取られた。一度として剣を振らずに目の前の男に致命的な一撃を与えた青年は、無表情に男の目の前に剣先を突き付けた。
『形勢逆転だ。お前が殺される番だぞ』
「がふっ……へっ、そうかよ。だがさっきの一撃のせいで、あいつらはもう動けなくなったみてえだぞ。それでよかったのかよ、ああ?」
『当然だ』
青年は迷わず言い切り、両手剣を振り上げた。その表情は一点たりとも変わることなく、まるで機械か人形のようだった。
『俺の使命は、人々の命を貴様らのような愚神から護ることだ。命さえ守れれば、俺は何でもしてやろう。目の前で失うよりは、ずっと楽なことだからな』
そして、ためらうことなく大きすぎる刃が振り下ろされた。
●
「数週間前に姿をくらました東京海上支部所属のリンカーが、ここにきて姿を現した。そいつの名前は……今はいいだろう。それよりも状況のほうだ。
現在奴は、とある駅前のロータリーで別の愚神と交戦している。だが見る限り圧倒的に奴のほうが有利だな。別の愚神は君たちが向かう頃には消滅しているだろう。あまりそちらは気にしなくていい。
格下であるだろうが、愚神を圧倒しているのは違いない。十分な作戦と準備をして戦闘に望んでほしい。忘れるなよ、姿かたちはリンカーでも、あれはもはや愚神そのものだ。――どこで乗っ取られたのかはわからんが、厄介なこと限りない。何としても倒してくれ。
敵性呼称名は『ボーダー』。頼んだぞ」
解説
目的:デクリオ級愚神『ボーダー』の撃破
登場人物
『ボーダー』
・とある駅前のバスロータリーに現れた愚神。高校生程度の色黒の男性の姿。
・命中敵性持ちの元能力者。英雄はカオティックブレイドのクラスであったが、現在反応が確認されていない。
・数週間前に行方不明になっていた。この間に何らかの理由で愚神となったと思われるが、詳しい経緯は不明。現在、恐らくは一般人を防衛して愚神と交戦しているようだが、一般人は全員重傷を負って動けない状態にある。
・以下、戦闘データを記す。
偽・レプリケイショット
・自身の得物である両手剣を対象一体の周囲に展開し攻撃する。大ダメージと減退(1)付与。
偽・ストームエッジ
・両手剣を上空に複製し、剣の雨を降らせる。対象三体に中ダメージ。
偽・デストロイクラッシュ
・両手剣が自壊するほどの一撃を対象一体に加える。極大ダメージに加え確率で気絶(2)付与。この技を使った後は素手での戦闘を行う。
・なぜ一般人を庇うような行動をとったのか、また愚神に戦闘を挑んだ動機は不明。『ボーダー』独自のルールがあると推測される。
長い腕のデクリオ級愚神
・瀕死。無視して構わない。
一般人
・十二人おり、そのすべてが愚神同士の戦闘の余波で重傷を負っている。『ボーダー』の背後にいるため、救急隊員も手出しができない。
バスロータリー
・とある駅の前にあるが、『ボーダー』による攻撃の影響でところどころ陥没している。周囲一帯の民間人は避難した後であり、近づく様子もない。
・周囲は四階建て程度のビルに囲まれ、大きな道に続く小道が一本ロータリーから延びている。ビルは主に居住用ではないうえ、ところどころ空き部屋もある。
・天候は曇り、時刻は朝八時を過ぎたころ。
マスターより
山川山名です。
今回のテーマは『復帰』。姿をくらましていたリンカーがなぜ、こんな最悪の形で戻ってきたのか。それも民間人に被害を出すこともいとわず愚神を殺すために。なにもかもが歪み崩れ果てて残った何かがそうさせているのでしょうか、それとも……。
デクリオ級と油断しないでください。相手はかつてリンカーだった存在です。皆さまリンカーのやり方をよく知っているので、下手に強いよりもずっと難しい対応を迫られるでしょう。
リプレイ公開中 納品日時 2017/08/16 13:17
参加者
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相談卓
最終発言2017/08/09 03:30:58 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/08/07 21:25:22