本部
【ドミネーター】枯れた昔話
- 形態
- シリーズ(新規)
- 難易度
- 難しい
- 参加費
- 1,300
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/04/14 09:00
- 完成予定
- 2017/04/23 09:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/04/10 01:49:39 -
相談卓
最終発言2017/04/14 00:40:36
オープニング
●
H.O.P.Eに守られながら過ごしていた斎藤綾は、久しぶりに花屋に寄った。久しぶり、というのは数ヶ月振りである。
閉店中と書かれた立て看板を通り抜けて、鍵を開けて斎藤は屋内に入った。花屋だというのに花は一つもない。残っていた面影は香りだった。それだけでも十分、綾は心が満ちた。
「わざわざお付き合い頂いてすみません。もう少しだけ待っててください」
「勿論。探し物が見つかるまで待ってるよ」
綾は護衛のエージェントに軽く頭を下げると、二階の兄の部屋に入った。
――もしかしたら、ドミネーターを倒すための手掛かりが見つかるかもしれない。兄は沈黙しているが、力になれるような何かが見つかるかもしれない。可能性だけを頼りに机の引き出しや本棚を一つ一つ調査した。
兄はドミネーターの協力者として監視されている。綾は納得できなかった。彼がドミネーターの仲間だと知るまで、綾は正義の味方にしか思っていなかった。正義の味方がどうして監視されなくちゃならないのだろう。不条理だし、兄が可哀想だった。
だから一日でも早くドミネーターを倒してやりたかった。兄も、何らかの理由があって手を貸していたのだろうから。
そう思うと居てもたってもいられない。綾はすぐに行動に移して、今ここにいるのだ。
「あれ?」
部屋の中央には炬燵があった。炬燵の上にはバスケットが置かれていて、中には兄の私物が入っている。ガムや革手袋、小さい水筒等だ。中には渇いた蜜柑も入っていた。水気を失いすぎてしなびている。
正方形の薄っぺらい紙が挟まっていた。しかしよくみると紙ではなく写真だった。
「なんだろう、これ。集合写真……?」
やけに古い写真だった。日付は十年前になっている。
そこに移っていた人物は綾の知らない人々ばかりだった。三列に並んでいて、それぞれが思い思いのポーズを取っている。年齢も様々だ。子供もいれば大人もいる。笑顔もあれば無表情もある。真ん中の一列目で座っている大柄な男は満面の笑みを浮かべていた。
何か思った訳ではない。綾は写真の裏側を見た。
君は非常に幸運だ。
なぜならドミネーター、我々について知る権利を得た。
隠し事などは私の趣向に合わない。
そろそろ知ってもいい頃合いだ。
ところで君はリンカーかな。人間かな。
リンカーなら歓迎しよう。同志よ、君は選ばれている。無知な人間共よりも強い存在で、勇者だ。私の愛すべき存在だ。
人間なら死ね。それだけだ。
写真の場所へ来い。
案内なら犬に聞け。
視線を感じて、綾は写真を落とした。
暫く動けなかったが、視線が幻覚だと気付いた綾は写真を拾って大急ぎで階段を駆け下りた。
「慌て過ぎだよ、落ち着いて。何があったんだ?」
「エージェントさん、大変です。この家に、ドミネーターが侵入していました!」
エージェントは銃を構えた。
「何処にいる?」
「もう家にはいないと思いますが、この写真があったんです。急いで坂山さんの所に戻らないと!」
「了解。じゃあ車に乗って。急いで出よう」
車に乗っている間、綾はなるべく写真を見ないようにした。怖かった。とても恐ろしいものだった。
車窓から見える過ぎゆく景色に顔を向けるが落ち着きはしない。瞬間的に過ぎゆく景色のどこかにドミネーターがいるのではないかと想像してしまうのだ。
●
エージェントに協力を要請したとはいえ、綾が坂山には秘密で行動した事は褒められなかった。坂山はまずその点を叱った。エージェントにも「無責任ね、次からは気をつけなさい」と同じように叱ったのだが、その時間は五分だけですぐに写真に目を移した。
「犬に聞け……スチャース、まさかとは思うけれどあなたの事を言っているんじゃないわよね」
「坂山の想像通りだ。私はこの写真の場所を知っている。ロシアの、今では廃墟になった場所だ。私が生まれた時から廃墟だったが、以前はこうなっていたのか」
写真にはフランメスが写っている。彼は中央にいて、人相よく笑っていた。
「坂山、これは罠だ。行く必要はない」
「向こうからの招待状を素直に応じる必要はないわ。だけれど――綾ちゃんの勇気ある手柄を台無しにするのも」
「勇気ある手柄、それには私も共感しよう。しかしエージェントにリスクを負わせるのか。もし命が失うことがあれば悲しむのは坂山だけではない」
ドミネーターからの招待状。今までは一度も無かったことだ。挑発はあったが、ここまで露骨な罠は初めてだった。用意周到なのは確実だ。
しかし、しかし本当に彼らを知る事ができたら。写真にはフランメスが写っている。その後ろには大きな建物がある。
「あの、坂山さん。もしよければ僕も何か、お手伝いできないかな」
先程から言葉に詰まっていたエージェントが言った。彼は、綾の護衛としての保護者だ。坂山は信頼を置いている男だから裏切りがないと断言は可能だ。
「僕は家族もいなければこれといって親友もいない。綾の保護者だって代えが聞くだろうし」
彼の肩には小さな英雄が乗っかっていた。四六時中寝たままで、起きることはない。
「いざとなれば誰かの身代わりにもなれる。人数も多い方がいいだろうし」
「……同行は認めるわ。だけど、あなたが居なくなって悲しむ人はちゃんといる。死なせないわ」
最悪な結果に終わらせたくはない。坂山は不安を堪えてエージェントを呼んだ。
誰一人として死なせてしまう訳にはいかない。今回の作戦ばかりは、本気を出す必要がありそうだ。いつもはエージェントを見送るだけの仕事の通信士だが、今回は一緒に作戦を遂行する必要があるだろう。通信士なりにできることはたくさんあるのだ。
解説
●目的
生存する。
●建物
場所は空き地だらけの土地の中心部。建物の周りだけ家や施設がない。
玄関を開けて中に入ると洋館のような光景が広がる。前には二階へ続く階段。
施設にある全ての部屋をここに記載する。
○一階
・食堂
・荷物入れ場
・車庫
・大風呂
・骨董品置き場
・男女別トイレ
・シアタールーム(映画を大人数で見れるようにした部屋)
○二階
・客室(二十部屋)
・小風呂
・オーナー室
・書斎
・図書室
・大きなベランダ
○地下
・真実
●同行者
クォーターという名前の二十代男性。衛生を担当するリンカーで、三回分のケアレイが使用可能。敵を倒す能力には欠けるが、皆を守る決意は強い。仲間を見捨てて逃げる男ではない。
先導は他のリンカーに任せて指示を待つ。指示されたことでも状況が変われば人名を最優先に行動に移す。
クォーターはドミネーターの仲間ではなく、裏切ることはない。
●敵
内部にはケントゥリオ級の愚神(ドロップゾーンは無し)と以前シナリオに出てきた二人のヴィランがいる。
「反逆」に登場したリユーゼと「ブラック・ディラー」である。二人とも愚神に力を与えられていて、大幅な体力増加が施されている。
リユーゼは力任せの体当たり攻撃、ディラーは火炎放射器等の重火器を使った武器攻撃を行う。
愚神、クノウは大きな斧を使ってリンカーを襲う。地響きや火炎、氷等の属性攻撃を繰り出す。最初は二人のリンカーに力を与えているために能力は下がっているが、リユーゼとディラーが倒されれば強力な敵として立ち塞がるだろう。
基本的に三人で纏まって動いているが、調子に乗ったディラーが単独で行動する場面もある。
●真実とは
このシナリオでドミネーターが終わる訳ではない。むしろ、始まるのだ。このシナリオの中で真実は終わりではなく、始まりである。
●最後に
シリーズ物ですが、続きのメイン舞台はこの施設ではありません。
マスターより
※当MSはアドリヴ成分が多めです。
時は満ち足りた――というのはこういう時に使う言葉なのだと思います。
今まで散々ぼかしてきたドミネーターについて、明かす時がきました。フランメスより上の隊長がいる? どうして斎藤はドミネーターを裏切ったのか? 探し人とは誰か?
一つのシナリオで幾つかの答えが用意されています。答えだけでなく、ドミネーターという組織について大きく知ることのできるシナリオです。
彼らはなぜ悪になったのでしょうか。
エージェントの皆さん、任務の方よろしくお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2017/04/20 19:08
参加者
掲示板
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/04/10 01:49:39 -
相談卓
最終発言2017/04/14 00:40:36