本部
幽かなるハイド・アンド・シーク
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 5人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/01/21 19:00
- 完成予定
- 2017/01/30 19:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/01/21 18:34:50 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/01/20 09:45:44
オープニング
●危険な遊び
黴臭い室内には、背筋を這いずり回るような冷たさが漂っていた。
蝋燭の炎だけに灯された薄暗い闇の中。小さな影が芋虫のようにうごめている。
「……ふ、ふっ……ふっ……ふっ!」
それは一人の少年だった。
両手両足を拘束され、口元にはぐるぐるとテープが巻かれている。
額から伝う冷汗を拭うことも出来ずに少年はひたすら地面を這う。何処かにあるはずの出口を探して、ただひたすらに。
――助けて、誰か、誰でもいい、助けて。
少年の声にならない心の叫びをかき消すように。
ひたり、ひたり、と。背後から恐ろしい足音が近づいていた。
「みーつけた」
愛らしい声が響く。少女特有のフェミニンな甘い色。
それなのに、少年は全身が粟立つのを抑えきれなかった。
「だめだめ、ちゃんと隠れなきゃ。遊びにならないでしょう?」
必死に逃げようとする少年の動きを制止するように、少女はその身体に腰掛けた。おもわず顔を上げる。
そして少年は見た。美しい少女の透き通った碧眼を。
そこに人らしい感情は見当たらず、代わりに映り込んでいたのは、今にも泣き出しそうな哀れな少年の顔だった。
「……むーっ! むぅ、む―っ!」
「さあ、次は貴方たちの番よ」
そう言うと、少女は胸に抱いていた可愛らしいクマのぬいぐるみを少年に押し付ける。
「パディ。ジョシュと仲良くね?」
パディと呼んだぬいぐるみに口づけを落とし、少女はにっこりと笑いかける。
「今度は私が隠れるから、早く見つけてちょうだいね。きっとよ? でないと――」
どこからか、生暖かい風が吹く。
蝋燭の炎がゆらりと揺れ、すぅっと静かに消えた。
「――貴方、パディに殺されちゃうかも」
わずかな希望すら覆い隠してしまった暗闇の中で、パディのつぶらな瞳が、震える少年の姿をじっと見つめていた。
●幽霊屋敷の秘密
「皆さんには、このお屋敷を調査してもらいます」
H.O.P.E.ロンドン支部。
ブリーフィングルームに集められた貴方たちに、職員が事の経緯を説明する。
「事の起こりは一ヶ月前。今回の依頼者であるハロッズ・オルメイソン氏が自身の所有する郊外の屋敷を取り壊そうとしたところ、屋敷内の家具や業者が用意した工具が宙を飛び交い、作業員が怪我をする等のポルターガイスト現象が発生したそうです」
さほど大きくもない二階建ての古びた屋敷の外観が、ホログラム映像となって浮かびあがっている。
「オルメイソン氏はそれからも何度か工事を進めようとしたらしいのですが、ポルターガイスト現象は日に日に激しさを増していったそうで、今は完全に工事もストップしている状態です」
職員は気怠げに短く息を吐いた。
「……幽霊屋敷自体は、ロンドンでは決して珍しいものではないんですけどね。ただ……今回の場合、少しだけ状況が特殊なんです」
件の屋敷がある区域。その近所に住む少年『ジョシュア・ウィンストン』が二週間前から行方不明になっている。職員はそう説明して、言葉を続ける。
「少年が完全に消息を絶つことになる日の前日に、彼がオルメイソン氏の屋敷に入っていくところを目撃した方がいるそうです。その日は工事も行われておらず、屋敷内は完全に無人だったそうですが、翌日には多くの関係者が屋敷内に立ち入っています。ですが、少年の姿を見た者は――誰もいません」
その言葉に、話を聞いていたエージェントの一人が眉をしかめた。
「状況から判断して、我々はこれを『イマーゴ級』従魔の仕業だと結論付けました。もしそれが正しければ、少年が屋敷内の何処かに捕えられている可能性があります」
貴方のような能力者と英雄たちにとっては、単なる思念体に近い『イマーゴ級』など大した脅威ではないだろう。
しかし、仮に少年が捕獲されライヴスを吸収されているとすれば、少年の命が危ういのはもちろん従魔の成長を見過ごすことにもなる。
「ただちに現場へ急行し、調査を開始してください。目的はポルターガイスト現象を発生させていると思われる従魔の討伐、それから仮に屋敷内で少年を発見した場合は迅速な対応と保護をお願いします」
お互いに顔を見合わせたエージェントたちは一斉に立ち上がる。
同じく、動き出そうとした貴方を呼び止めるように、職員がふと思い出したといった調子で呟いた。
「そういえば……オルメイソン氏にはお孫さんが一人いるらしいんですけど、その子が古いお屋敷をずいぶんと気に入っていたみたいなんです。学校でもろくに友達も作らず、大半の日は一人でお屋敷の中に閉じこもっている……と、愚痴まじりにお訊きしました」
何かを深く思案するように、その瞳がうつむいた。
「その子が特に大好きだった遊びが――かくれんぼ、だそうですよ。……なんだか、気になりませんか?」
解説
●目標
・屋敷内の調査
・イマーゴ級従魔の討伐
・行方不明になっている少年の発見および保護
●場所
・ロンドン郊外にある古い屋敷。
構造は二階建て。庭付き。
一階の内訳は『広間』『居間』『応接間』『食堂』『厨房』『浴室』『書斎』。
二階の内訳は『寝室A』『寝室B』『子ども部屋』『物置』。
食堂の横にある裏口からは『庭』へと出ることが出来る。
・無類の収集家として知られるオルメイソン家の先代当主が秘蔵していたコレクションの集められた『秘密の図書室』が何処かにあるとされるが、その入口が何処に存在しているのか、本当にその図書室はあるのか、真実を知る者はすでに誰も居ないとされている。
●登場
・『ハロッズ・オルメイソン』
依頼人。屋敷の持ち主。
イリーナの父である『ロイド』は実の息子だが、その妻共々、一年前に事故で失っている。
調査には協力的だが、あまり身内のことについては語りたがらない。
厳格な人物として知られているが、不幸な境遇にある孫娘に対しては過剰な愛情を注いでいる。
・『イリーナ・オルメイソン』
屋敷の持ち主であるハロッズの孫。友達のいない孤独な少女。
気性は大人しいが、常に人を寄せ付けない雰囲気を放ち、自分に敵意を向けてくる相手には容赦しない冷徹な一面がある。
『パディ』と名付けたクマのぬいぐるみを溺愛している。パディは亡くなった両親から貰った宝物らしい。
最近まで、屋敷の中でずっと『何か』を探していたようだが、今はその様子はない。
暇さえあれば屋敷に出入りしているので、屋敷に行きさえすればきっと会うことが出来るだろう。
・『ジョシュア・ウィンストン』
屋敷の近所に住む少年。二週間前から行方不明になっている。
マスターより
色々と謎の多いお屋敷です。手当たり次第に調べても成果が出るかは怪しいですね。
探し物を見つけるならば、まずは屋敷に最も詳しい人物に話を訊くべきかもしれません。
『彼女』もどうやら皆さんと同じく……『探し物』をしていたみたいですから。
鬼たちが真相を見つけ出せるかどうか。すべては彼女の機嫌次第です。
リプレイ公開中 納品日時 2017/01/28 18:47
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相談卓
最終発言2017/01/21 18:34:50 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/01/20 09:45:44