本部
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/12/18 07:30
- 完成予定
- 2016/12/27 07:30
掲示板
-
質問用スレッド
最終発言2016/12/17 16:14:39 -
氷に鎖された町よりのSOS
最終発言2016/12/18 03:38:14 -
まとめ卓
最終発言2016/12/16 15:46:48 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/12/15 20:20:45
オープニング
●全ては氷の中に
ロシア西部。
かのナポレオンをも退けたといわれる極寒の大地の片隅にあるほんの小さな田舎町。
人の数より牛の方が多い、と揶揄されるほど畜産に頼り切った街であり、田舎故大した娯楽もなく若い者は皆刺激を求め街へ旅立ち、残された老人たちが緩やかな衰えと共に生きる、そんなのどかな街。
しかし、その街はいまや『死の街』と化していた。
――全てが氷の中に。
●父親の氷像
「一体何だって言うんだ! くそっ!」
一人の男が全力で閉ざされた扉に体当たりを仕掛けて何とか破壊を試みる。ここは住宅街のこじんまりとした一軒家。彼が体当たりをしているのはその玄関の扉である。
「くそっ! 開け! 開けよ!」
悪態と共に何度も扉にぶち当たる。
――名誉のために述べると、彼は決して悪意を持って扉を壊そうとしているわけではない。その証拠に彼は外側からではなく内側から扉を開こうとしている。
彼は自身の家族の為に、この扉を破壊しようとしていた。
「パパ……」
「大丈夫だ! もうすぐ開く!」
不安そうな顔を見せる子供を励まし、父親はもう一度渾身の力で扉を押し込んだ。
「おっ! よし、開いたぞ!」
衝撃でようやく扉が開く。
「――っ」
そして、目の前に広がる風景に一瞬絶句する。
それは白銀の世界だった。
全てが凍り付いた死の世界。
道も、家も、木々も何もかもが凍り付き、動きを止めている。
「何が起こったんだ……」
事態を飲み込めずただただ圧倒される男。
「パパ……」
「安心しろ。今、安全なところに連れて行ってやるからな」
子供の声にふと我に返り、その頭を撫でる。彼には呆けている暇などなかった。
一先ず、ガレージへ車の確認に向かう。
「クソッタレ……!」
しかし、期待は裏切られる。
彼の自慢の車は完全に凍り付き、数cmの氷に覆われていた。
「くそ、どうする?」
まず扉が空けられないし、仮に開けられたところで、タイヤまで完全に氷に覆われている物が動くわけがない。
「パパ……」
「大丈夫だ、今方法を考える!」
子供の呼びかけに声だけで答えて、必死に考える。
こんな異常事態、長年この町で暮らしているが聞いた事がない。
いや、普通に考えて自然現象でここまでの事になるとは考えにくい、つまり、これは――
「愚神……」
「パァパ?」
そこまで考えてから背筋に怖気が走る。
――息子の声じゃない。
「あはっ、やっとこっちを向いてくれたのね、パパ」
振り向くとそこには10歳ほどの幼い女の子と大きな犬が立っていた。
「あ、あぁ……」
犬の口からわずかにはみ出しているのは指。
見間違えるわけがない。昨日だって俺が爪を切ってやったんだ。あれは……息子の――
「駄目なのよ、餌箱から出てきちゃ。お皿から勝手に逃げ出すお肉って聞いた事ある? もしそんなものがあったらお行儀が悪いと思わない?」
首をかしげて玉虫色の瞳をこちらへ向ける少女。
「ひっ――やめっ――」
「質問に答えろよ。どう思うかって聞いてんのよ」
「うわぁぁぁ!」
態度を急変させた少女に男は恥も外聞もなく、逃げ出した。
――否、逃げ出そうとした。
「ぐ――」
逃げ出そうとして何かに躓き地面に倒れ込む。
「もー、パパったら慌てちゃって大変ね」
「あ、あ?」
急いで立ち上がろうとするがうまく行かない。
「靴、履いた方がいいんじゃない?」
無邪気な声音に自分の足元を見る。
そこには白く凍てついた自分の長靴が一足立っていた。
――いや、違う。俺の靴は長靴じゃない。
ならばそこに立っている一対の長靴はなんだ。あれは――あれは俺の――
「うわぁぁぁぁ――」
「うるさいな、黙れ」
少女がそう告げると瞬く間に男の全身は白い霜に覆われ、精密な人間の氷像と化した。
「あーあ、死んじゃった。ルドルフ食べていいわよ」
興味を無くした少女の命令に従って、傍らの犬――ルドルフが体を巨大化させ、その大きな口で男の氷像を丸のみにした。
「うふふ、いっぱい食べていっぱいいっぱい大きくなろうね、ルドルフ」
見た目相応の笑顔を浮かべ少女が歩く。
しんと静まった街に、扉を叩く音が聞こえる。いくつも、いくつも――
●その名はヴァルヴァラ
「かなり緊急性の高い作戦となります」
ジェイソンが資料に目を通し説明を開始する。
「場所はロシア西部の小さな街。現在この街は道路やライフラインなどすべてが氷が覆われており完全に陸の孤島と化しております。今や電気も回線も通っておりません」
プロジェクターに投射された地図の街に続く道路にことごとく赤い×印が付けられる。
「そこへ冷気を伴った愚神と従魔が現れました。連絡が途切れる前に送られてきた特徴から以前から確認されている『ヴァルヴァラ』と『ルドルフ』と呼ばれている個体だと思われます。この個体については……鬼丸さん、お願いします」
「はい」
ジェイソンに促され、凛とした雰囲気の女性が立ち上がる。
「以前接触したエージェントの方々のご報告によりますと彼女の目的は『女王になる事』。つまり、今回の行動も力を蓄えるためのものと思われます」
端末を操作し、プロジェクターに一人の少年の姿が映し出される。
「かの愚神はミロンという少年の体を触媒にして活動しております。そして、彼は今だ死んでおりません。いわば人質、に近い状況と言えるでしょうか……」
「今回の任務はヴァルヴァラの撃破が目的ではありません」
鬼丸の言葉を拾ってジェイソンが続ける。
「現在、家そのものを凍り付かされ、閉じ込められている方々が大量に残っております。その方々の避難が何よりも最優先。ヴァルヴァラに関しては時間稼ぎを主として考えてください」
ジェイソンの鉄面皮が少しだけ歪む。彼としても苦渋の判断だろう。
「状況は一分一秒を争います。どうか、命を一つでも多く救ってください……」
解説
・目的
ヴァルヴァラとルドルフから人々を救い出せ
・状況 ※PL情報
ヴァルヴァラによって凍り付かされた家屋は現在30軒ほど。
中から一般人が脱出するのは非常に困難で扉を固めている氷を砕くか、窓を割る必要がある。
しかし、ヴァルヴァラの冷気により、既に室内の基本は屋外と同等まで下がっており、住民たちの凍死が危ぶまれている。
街の外の可能な所まで住民全てを乗せれる大型バスが数台用意されており、そこまで人々を避難させるのが最優先目的。
※PC情報
ヴァルヴァラは一つ一つ訪問し、住民たちの命を奪っているようで、直接の被害の拡大はそれほど早くはない。
エージェント達の接近を察知するとヴァルヴァラとルドルフは姿を隠し、街を動き回るようになる。
その後の動きに関しては不明である。
・敵
デクリオ級愚神「ヴァルヴァラ」
冷気を操る少女型愚神。ミロンという少年の肉体を触媒にして活動中。
分類上デクリオ級上位だが、ほとんどケントゥリオ級に近しい力を有していて、その成長は著しい。
性格は一見無邪気だが、時折冷酷な一面を覗かせる。
デクリオ級従魔「ルドルフ」
巨大な体を誇る狼型従魔。犬の姿に擬態も出来るが、その真の姿は象並みに巨大な狼である。
ヴァルヴァラの命令に忠実で、彼女の身の危機には敏感に反応する。
マスターより
お世話になっております、弐号です。
この度藤たくみMSよりNPC愚神「ヴァルヴァラ」を引き継ぐことになりました。
藤たくみMSの高い文章力に劣らぬよう、そして「ヴァルヴァラ」に期待して頂いている方々の期待を裏切らないよう頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
依頼の状況についてはかなり危険な状態だと考えてください。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/01/19 13:49
参加者
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質問用スレッド
最終発言2016/12/17 16:14:39 -
氷に鎖された町よりのSOS
最終発言2016/12/18 03:38:14 -
まとめ卓
最終発言2016/12/16 15:46:48 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/12/15 20:20:45