本部
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 9人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/08/30 22:00
- 完成予定
- 2016/09/08 22:00
掲示板
-
二重の誓約(相談卓)
最終発言2016/08/29 22:35:02 -
質問卓
最終発言2016/08/27 17:57:45 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/08/25 23:06:34
オープニング
●空に思う
深夜12時を回るころだった。
こんな時間の連絡となると、あまり良い用件とも思えない。
携帯の着信で目を覚ました白瀬博士。
案の定、届いたのは良い知らせではなかった。
メールの文面が、無機質に伝えて曰く。
『保護英雄、新たな一名の生命反応が停止、消失』。
悪い予感ばかり的中する。
【神月】において保護されたカオティックブレイドたち。
エージェントたちの活躍により、一時は保護されたとはいえども、現在、幻影蝶の中に封じられたまま維持するのが精いっぱいといった状況である。
中でも――戦いの最中、特に傷ついた者たちの中には、この世界に留まることができず、消えていく者もいた。
エージェントらは多くの命を救い、新たな英雄の力を迎えた。
強大な敵を打ち破り、愚神の野望を打ち砕いた。
けれど。
記憶を失い、傷ついた彼ら来訪者。
この世界を訪れた英雄は、『誓約』なしには存在できないのだ。
(もしも自分に素質があれば)
――白瀬博士は考える。
誓約を結んで、一つの命を救えるかもしれないのに。
(どうして自分に素質がないのか)
――白瀬博士は考える。
だからこそ、研究者になったのだ。
もしも。
眠れない。
白瀬博士は起き上がると、睡眠を諦めて書類をめくった。
H.O.P.E.で進められている誓約の研究。
その中で、再び浮かび上がってきた一つの仮説があった。
英雄との『二重誓約』。
(もし、そんなことができるとするならば……)
英雄と契約できる素質を持った能力者の数は、限られている。
もしも。多くを救う方策があるというのなら。もしも、能力者が、二つ目の契約を結べたならば……。
零れ落ちそうになる多くの命に、また手が届くかもしれない。
大規模作戦から何日経っただろうか。
満月はゆっくりと欠け始め、星々の輝きがはっきりと見えるようになった。
流れ星が、一つ、涙のように尾を引いてこぼれた。
(そろそろ、実証に移るべきか……)
●H.O.P.E.本部、VBS第三研究室
「能力者と英雄、英雄と能力者――二者の関係について、これまで、様々な研究がすすめられてきました」
H.O.P.E.本部に集まったエージェントたち。
白瀬博士は、資料を提示しながらゆっくりとした調子で話し始めた。
「能力者と英雄をつなぐものは、『誓約』です。ご承知おきのとおり、誓約というものがなくては、英雄はこの世界に存在することはできません。今もなお不明点は多く、議論は盛んではありますが、はっきりしている事実がいくつかあります。
ひとつは、能力者と英雄の間には相性があるということ。素質があったとしても、誰とでも誓約を結べるわけではないことです。
もうひとつには、誓約が両者にとって、どんな形であれ、強い意味や覚悟を現していると考えられていること――個人差がありますが……おおむね、そう考えられています。
前回までの調査で、アレクサンドロス大王は、2人以上の英雄と契約していた可能性があることがわかりました。また、大王の玄室の調査にあたっていたエージェントたちが……意識を失い、ここではない別のどこかで、新たな契約を果たした……という報告も上がっています(【神月】異界にて、二重の『誓い』参照)。
もっとも、こちらの体験については、いまのところはっきりした証拠はありませんが。
理論上、『二重誓約』は充分に成立する可能性があります。理論上は……」
「二人以上の英雄と契約するためには、何が重要で、そうでないのか。一体どんな条件があるのか。あるいは、人類には不可能なのか……。
我々H.O.P.E.は、新たな実証段階に入ることにしました」
用意されていたのは、VBSによく似た装置だ。バーチャルバトルシュミレーター……対象の戦闘能力を計測し、バーチャル空間で模擬戦闘が行えるシミュレーションシステムである。
「どういった危険があるかわかりません。我々はまず、仮想空間上での検証から入ることにしました。この空間であれば、傷ついた英雄でも、もとの能力を換算してリンクレートを確かめることができますし、各種の条件の再現も可能であるからです」
起動された装置が、仮想の研究室を作り出す。
「今回は、新たな英雄と、実際に長きにわたる誓約を結ぶというわけではありません。もっとも、将来的にそうなる可能性もなくはないわけですが……。
まず、能力者と、候補の第二英雄を仮想空間に再現します。そして、そこで誓約を結んでもらいます。あなたたちには、二人目の誓約には何が必要で、そうでないかを見極めてほしいのです。第一の英雄には、VBSの装置の外で待機していてもらいます」
装置が起動して、エージェントたちが仮想空間へと活動を移す。
それから、白瀬は独り言をつぶやいた。
「『試す』か……。悔しいな。私は能力者ではないが、自分の存在をかけて交わす誓約が軽いものではない、ということはわかる。……けれど、……どうしても試さずにはいられない」
●VBS装置
H.O.P.E.の訓練場と変わらないような、再現された現実世界。少しだけ遅れて、候補の英雄たちがやってきた。プロフィールや軽い面談を経て、これと決めた英雄たちである。
同じようにしてそこへ再現された英雄たちと、手順に沿って試行を重ねていく――そのはずだった。
英雄たちが、苦しみ始めた。
何かがおかしい。
不意に。光景が、切り替わった。
「博士、設定していない光景です!」
「いったい、何が……」
テクスチャが歪み、再現された風景が書き換わる。そこに在ったのは荒野と赤い月。
空間にノイズが走り、再び、そこはH.O.P.E.の研究室となる。二つの世界がせめぎあうように揺らいでいる。
通信の声が近くなった。
「強制シャットダウンだ!!!」
「シャットダウン開始、10秒、20秒、」
残された英雄たちが少しずつ、少しずつ現実世界に戻っていく。黒い手が英雄に手を指し伸ばす。
再び、世界がゆがむ。
「だめです、全員は帰還できません!」
とぎれとぎれに移ろう光景。明滅する視界に、つぎはぎだらけの黒い霧が姿を現す。霧は腕の形をとると……ゆっくりと異界の英雄に向けて手を差し伸べた。
この破滅の世界に、帰って来いとでもいうように。
「なんとかならないのか!」
「敵の反応はさして強いわけではありません。でも、仮想空間上でも、共鳴状態でないと効果が出ません……」
「――、――」
とぎれとぎれの空間の中、エージェントたちの第一の英雄が、仮想空間へと声を投げかける。
異世界から手が伸びてくる。英雄たちを攫わんとするその手は、力ずくで彼らの故郷に引き戻そうとする。あの世界が、英雄を呼んでいる。――引き裂かれるような感覚。
「再起動だ! 10分! 10分……こらえてくれ!」
英雄たちを救うには。
この世界に――引き留めなければ、ならない。
解説
●目標
二人目の英雄と、仮想空間上で共鳴する。
共鳴の条件を探り当てる。
関連過去シナリオ(『【神月】カオティックブレイド』『【神月】異界にて、二重の『誓い』)
●プレイングに関するお願い
第二の英雄候補は、大規模作戦で保護された英雄です。
英雄の設定や名称など、プレイングでご記入ください。
この世界にやってきた英雄たち同様、彼らに異世界での記憶はありません。
特に誓約の内容については必ず設定をお願いします。
●登場
黒い腕の影
世界の裂け目から英雄を狙って無数の手が伸びてくる。共鳴しなくては振り切れない。
●状況
能力者はVBSで再現された空間にいる。第一の英雄はVBSの外から通信のみ可能。
新たな英雄候補は、VBSの中にいる。
候補の英雄たち以外は戻れたようであるので、他の英雄の避難については考えなくていい。
VBSの応用で作られた仮想空間が異界に侵食されかかっているように思える。
(PL情報)
・浸食されているほど二人目との共鳴がし辛い。
・世界の浸食度は各種の行動で変化する可能性あり。
●誓約の成否に関わる事項
・信条や性格、能力者と英雄との相性。
・状況、行動。
・一人目との誓約内容。
・二人目との誓約内容。
・その他
●今までの仮説
※同じことをしても同じ結果になるとは限らないが、参考に。
A。
温和な能力者。英雄とは「この世界を守る」という誓約。
明るい第二英雄と「生きるのを楽しむ」と誓約を試みる。
即座に失敗。
B.
好戦的な能力者。「多くの敵を倒す」という誓約。
同じく好戦的な第二英雄と「もっと強くなる」と誓約を試みる。
試行の中では一番共鳴の兆候が見られたが、失敗。
誓いを二つ立ててしまうと意識が分散されてしまうのではないか、という推測が立っているが、解決策が分かっていない。
●その他
質問があればコリー・ケンジ・ボールドウィン(az0006)がお答えします。
メタな部分に返答する際は、MSとしての視点からの回答になります。
マスターより
(注意)
このシナリオで主に登場、描写されるのは「誓約を試みる二人目の英雄」です。
英雄描写がONになっていますが、以上の点についてご了解ください。
また、前回はパラレルな要素がありましたが、今回は現実の能力者の設定です。
今回の目標は、第二の英雄との共鳴との条件をつかむ、謎解きのようなシナリオとなっています。
世界の謎についての究明、奮ってご参加くださいませ。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/09/06 13:36
参加者
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二重の誓約(相談卓)
最終発言2016/08/29 22:35:02 -
質問卓
最終発言2016/08/27 17:57:45 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/08/25 23:06:34