本部
暴走フェンリル・ガール!
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/17 09:00
- 完成予定
- 2016/06/26 09:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/06/13 00:01:32 -
相談用
最終発言2016/06/16 14:08:28
オープニング
●都会の猛獣
男は声すら出せずに、目を見開いた状態で固まった。背筋が冷たくなったのも、体が震えるのも、冷凍庫の寒さのせいではない。隠居した父から受け継いだ精肉店。大きくするという野望もなければ、経営が傾くという危機もなかった。
解体前の肉を吊るした冷凍庫は、先日よりもがらんとしていた。当然だ。肉が減っていたのだから。
(泥棒? いや、それにしてはおかしい)
天井からいくつも吊られた肉の塊たちは、ところどころ引きちぎられ、あるいは食いちぎられ、見るも無残な姿になっていた。
(食いちぎるって……誰がそんなことをする?)
下町とはいえ、都会の真ん中でこれはないだろう。山登りをしたければ、小旅行を覚悟しなければならない土地だ。
(おかしいじゃないか。まるで肉食獣にでも襲われたような……)
男はもう一度ぶるりと震えた。氷点下の世界で、背中を汗が伝った。
肉屋の主人は、冷静さを取り戻したあと、警察に通報した。そのころには、動物園からの脱走動物の仕業だとか、現実的な説明も思いつくようになっていた。ところがそのような事実はなかった。そして、同業者を中心に似たような被害が連続した。マスコミは「切り裂きジャック」ならぬ「肉裂きジャック」などとふざけた名前を付け、センセーショナルに報道したが、被害者たちは揃ってこう思っていた。
――あれは『食った』んだ。食うために裂いたに過ぎないのだ。
●灰色狼の少女
「私、ホラーって結構好きですけどね」
若い女性職員はその言葉を最後に雑談を終え、依頼の説明に入った。
「全員そろったみたいなので、始めさせていただきます。最近、巷を騒がせてる『肉裂きジャック』。警察の捜査が実を結んで、犯人が判明しました。こうして私が説明してることからお察しでしょうが、犯人は能力者でした。捜査に当たった方々は、自分の手で逮捕できず無念でしょうね」
刑事ドラマ好きを公言する彼女は、少し眉尻を下げた。ここからはHOPEの調査結果を報告するらしい。
「ヴィラン組織に入っている事実はなし。単独犯。それどころか能力者は女子高生です」
スクリーンにあどけない少女の写真が写る。「赤須 まこと(あかず まこと)」と名前が表示された。黒髪のボブカット。童顔で、中学生にも見える。
「こっちが英雄の呉 亮次(くれ りょうじ)。そして、これが共鳴時の姿ですね」
英雄という男は、鋭い目をした無精ひげの男だ。殺伐とした世界の気配をまとっている。
最後の写真は「ちょっと画質悪いです」の言葉と共に表示された。監視カメラの映像を切り取ったものだ。頭には灰色の耳がある。犬? 狼だろうか?
「耳が生えるくらいは、そんなに珍しいことじゃないですよね。ただちょっと変なのは……」
彼女は動画を再生した。先ほどの監視カメラの映像だろう。
「生肉をがつがつ食べちゃってます。しかも床にお肉を転がして、犬みたいに」
見た目のベースは、まことに近いだろう。少し身長が伸び、大人びてはいるが。動物のそのもののような行動との乖離が際立つ。
「みなさんには彼女の捕獲を行っていただきます」
例え罪を犯した者相手でも、過度の暴力は推奨されない。そこは警察もHOPEも同じだ。リンカーになって日が浅いようだから、混乱しているのかもしれない。あるいは――メカニズムはわからないが――ライブスが暴走した結果なのかもしれない。更生は十分期待できるだろう。ここまでは想定内。
「上は、彼女をHOPEへ勧誘しようと考えています」
そしてここからは想定外だった。
「もちろん、捕獲後、彼女が危険ではないとの判断が下されればです。どこかの施設で教育を施してから、実務に入ることになりますね」
職員はてきぱきと説明を進める。
「皆さんには、リンク状態の『彼女』に『自分は人間である』と自覚させてほしい、とのことです。戦闘中か、あるいはその後に」
たしかに、今後エージェントとしてやっていくためには、自分を『狼』と認識したままでは不便だろう。しかし、自分たちに務まるだろうか?
「大丈夫です。同じ能力者なんですから、いきなり力を得て戸惑う気持ちはわかるでしょう?」
自分を狼だと思い込む気持ちはわからないが。
「みなさんに感謝や親しみの感情を持ってくれれば、勧誘も成功しやすそうですしね」
……とにかく、それが指令ならできる限りやってみるしかない。
「区別のために、共鳴状態の姿を『フェンリラ』と呼ぶことにしました。みなさんはオーディンになるわけですね」
縁起でもない。どこで勘違いしたのか知らないが、北欧神話の最高神オーディンはフェンリルに飲み込まれる役どころだ。
自分たちが担うのは灰色の狼を『縛り付ける』役目。例えるなら、魔法の紐『グレイプニル』だ。
解説
【目的】
暴走状態にある能力者の捕獲、および説得
【場所】
自宅住所は調査済み。夜な夜な、生肉の匂いに惹かれて精肉店などに忍び込むために外出。
【対象】
仮称:『フェンリラ』
下記の二人がリンクした状態。便宜上HOPEがつけた仮称のため、本人はそう呼ばれていることを知らない。なぜか自分を狼だと強く思い込んでいる(能力に目覚めたショックによる混乱状態と思われる)。『狼』として行動すればするほど、なりきり度は上がるため、放置は厳禁。
見た目は、少々大人っぽくなったまことをベースに、灰色の耳が生え、歯や爪は狼のように鋭くなる(プレイヤー情報:AGWに太刀打ちできるほどの強度は持たない。噛まれたり、引っかかれたりしたら痛い)。二足歩行だが、床を這ったりすることに抵抗はない。
現状、人間の言葉は通じないが、段階的に相手の言葉を理解するようになる可能性は十分ある。
能力者:赤須 まこと(あかず まこと)
ごく普通の女子高生。帰宅部。『特別』になることに憧れており、怖がりながらも共鳴を受け入れる。両親には能力者になったことは秘密。
共鳴中は半覚醒のような状態。自分の意思で体を動かすのは難しいが、周囲の声はぼんやり聴こえる。方法によっては、まことの意識を揺り起こすことも可能。現在は怯えていて、起きないよう努めている節がある。
「肉裂きジャック事件」については、自分の関与にうすうす勘付いている。幻想蝶は赤いスカーフで、まことが身に着けている。
英雄:呉 亮次(くれ りょうじ)
どことなく猟師を思わせる無精ひげの男。サバイバル知識が豊富。格闘や銃の扱いに慣れている。共鳴中も意識があるが、なぜか自分を狼と思ってしまうのは止められず、本能のままに動いてしまう。けれど、あまり気にしていない。面白いことや刺激を求める性格。
非共鳴時は、まことが登校中は家に潜伏、夜には両親が帰ってくるため外で時間を潰している。
マスターより
高庭ぺん銀です。狼少年ならぬ狼少女。嘘つきどころか、自分の欲望に正直に振舞ってます。野生的な美少女はお好きですか?
人間である証拠をつきつけてみたり、楽しく遊んでみたり(あくまで人間らしく)……? あとは何があるでしょう? 未来の後輩のために、お知恵を絞っていただけると嬉しいです。うまくいかなかったら? HOPE職員の仕事が増えるだけです。気楽に、いろいろ試してみてください。
リプレイ公開中 納品日時 2016/06/22 19:40
参加者
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最終発言2016/06/13 00:01:32 -
相談用
最終発言2016/06/16 14:08:28