本部
零に咲いた陽炎
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/02/12 07:30
- 完成予定
- 2016/02/21 07:30
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/02/10 15:51:23 -
相談卓
最終発言2016/02/11 16:25:41 -
追加情報
最終発言2016/02/11 21:09:49
オープニング
●
英雄という概念が、世の中に浸透する以前の話である。場所はロシア、某市。
「ちょっと待ってくれ! 話を聞いてくれ!」
一人の男は町民の前に塞がって立っていた。その背後には、髪を長くした成人女性が磔にされていた。足元にはたくさんの焚き木が寄せられている。
「こいつは魔女だ。早くやっちまわねーと、俺たちが危ない!」
「そうだそうだ。そいつは魔女なんだ!」
ひしめく町民に怯えず、男は彼らを睨み付ける。すると、磔にされている女が男に語り掛けた。
「私の事は心配なさらずに、そこを離れなさい」
「何を言っているんだ。今、君は命の危機にさらされている。人間の勝手な都合で!」
しかし、男は一人の女性を守るには幼すぎた。町民の中から大柄な男が彼を取り押さえ、すぐに処刑場から彼を引き離したのだ。
「離してくれッ! くそったれ!」
男の怒声は誰の耳にも届いていなかった。
「これより、魔女の処断を開始する。執行人、火の準備を」
長の合図で、二人の男が木の先端にオイルを塗りつけ、火をつける。
「おい、嘘だろ。やめろ! なんで誰も彼女を助けないんだ?!」
火のついた木がゆっくりと女の足元へ運ばれる。
「誰か! 誰かそいつらを止めろ! よせ、処刑を中止しろ! よせ――よせええぇぇッ!!」
その時に燃え上がった炎は、何年経っても消える事はなかった。
●
その寂れた町には病院と呼ばれる施設が一つしかなかった。最先端の医療機器も十分に備わっておらず、頼れるのは有能な外科医の腕だけだ。この病院にはいわゆるブラックジャックと呼ばれる名高い医師がいた。
「先生、本日朝十時から予定されている手術なんですけれども、患者様が先ほど私に、一時間ほどずらせられないかと仰ってましたが」
「患者の意向、という事ですか」
看護師が代弁した患者の言葉に対して医師は深く考えず、すぐに了承を示した。
「他の医師にはすぐに伝えます。――そういえば、あなたはこの町にきて今日がちょうど一年目ですね」
「あ、もうそんなになるんですか」
「パーティを企画しているのですが、お夕方頃ご予定はありますか」
「いえ、ありません! ぜひ参加させてください!」
「分かりました。ただ、今日の手術が上手にいかなかったらパーティは取りやめにします。貴女は成功を祈っていてください」
「それはもう、神に祈ります!」
すると、ナースステーションの電話機が音をたてて騒ぎ始めた。少し音量設定を間違えている電話機でうるさいのだ。看護師はすぐに受話器を取って耳に当てた。
「はい、こちらXX病院一階ナースステーションですが」
電話先から応答はなかった。看護師はもう一度呼びかけた。
「こちらXX病院一階ナースステーションです。聞こえますか?」
返事は一切ない。
「あの――」
「今から」
突然、鬼のように低い男の声が聞こえた。看護師は思わず口を閉じた。
「仲間を連れてお前たちの町を殺しにいく。覚悟するんだな。XX病院は記念すべき最初のターゲットだ。十年前の屈辱を、俺は忘れちゃいない」
電話は一方的に切られた。看護師は医師と顔を見合わせたが、二人ともついに口を開く事はできなかった。
再び電話が鳴り、看護師は顔を引きつらせるも受信ボタンを押した。
「こ、こちらXX病院……ナースステーション、一階……」
「市長のヴィタリーだ。つい先ほど、テロ組織集団の一人と思われる男から、XX病院を狙うといった脅迫電話がかかってきた」
「こちらにも、かかってきました」
「そうか。一刻も早く患者を外に連れ出してくれ。一人でも多くの人を救うんだ。いいね」
「は、はい」
「落ち着いて、しっかりとやる事をするんだ。私は国の警察本部に連絡を入れる」
看護師は泣きそうな顔をして電話を切った。
「これから手術をする患者もいるのに、先生、どうすればいいんですか」
「まず院内アナウンスで全職員と患者さんに事情を説明してから、避難行動を開始しましょう。テロ組織がいつ攻めてくるかもわかりません。迅速にいきましょう。私はアナウンスで呼びかけます。あなたは手術の迫った患者さんの所にいって、詳しい事情を説明してください」
「は、はい」
例の患者がいる病室は二階にあった。看護師は階段を駆け上がって、急いで患者の所まで向かった。
ところが、その患者がいるはずのベッドは空になっていた。
「あれ? ロランさん、ロランさん――」
病院内の電気が一斉に消えた。
ああ、そんな不憫な。病院で一番あってはならない事故が停電だ。それがまさか、こんな非常事態の時に限って発生するなんて。
●
いつもより早口になったオペレーターが、あなた達に任務内容を説明し始める。
「ロシアの東部に位置するA市にて二十二人のテロ組織集団と国営防衛組織による激しい銃撃戦が行われた影響で、呼び寄せられた付近の従魔が町を襲っています。あなた達にはテロ組織鎮圧の協力要請と、従魔の一掃依頼が来ています」
早口による言葉はまだまだ続いた。
「テロ組織はXX病院に立てこもっており、病院内の患者と職員の避難は完了しておらず、人質となっているようです。組織側の要求は国に対して莫大な金額の要求と、市長の処刑。また、現場は従魔による被害も出ており、まだ深刻ではありませんが一刻も早く食い止めなければなりません」
そして言葉を切り、彼女は視線を一人のリンカーに向けた。
「彼女、ユーリは本ミッションが初任務となります。戦闘自体も初めてという事ですので、皆さんの支えが必要不可欠であると思います。それでは、宜しくお願いいたします」
解説
●目的
従魔の殲滅。テロ組織の鎮圧。
●現場の状態
メインの討伐対象となる従魔は病院付近を襲っていますが、病院の中までは侵入していません。防衛隊と従魔、そして病院内のベランダから外に向かって銃を乱射するテロ組織の三つ巴となっています。
●従魔
すばしっこさが特徴的なカエルの従魔。カエルのように跳ねて移動し、高いジャンプも難なくこなす。口からは麻痺効果のついた泡を吐く。その泡は対象を追尾する機能を持つ。
斬撃攻撃はあまり受け付けないが、炎攻撃に非常に弱い。
数が多く、テロ組織の人数以上が町にいる。
大きさは人間と同程度。
●テロ組織
アサルトライフル、手榴弾、コンバットナイフが武装。
この組織の目的は金でも市長の殺害でもなく、町の破壊。従魔がきたのは偶然だったが、彼らにとっては幸運な事であった。
●組織リーダー
ゲルマンという名前の三十台男性。
正体を現すのは後半で、彼はヴィランであった。
かつてこの地で一人の英雄を救えなかった。これは復讐だと彼は語る。
「この町が憎い。貴様らには、分からんだろうな」
●行方不明の英雄について
十年前、A市では魔女狩りと称してゲルマンと契約を結んでいた英雄が火炙りの刑を受けた。当時英雄の情報が少なかったゲルマンは、英雄が死んでしまったのだと確信する。ゲルマンは怒りに任せて一人の町民を殺害する。
ゲルマンと英雄の結んでいた契約は「人間を殺めないこと」。その後、町の住民に捕らえられたせいでゲルマンと英雄は再会する事無く、契約を再度結ぶことなく時は流れる事となる。
現在は別の人間と契約を結んでいる。
●病院側からの依頼
本目的以外で、病院側から停電修復の依頼を願われます。出入り口付近の従魔を倒して中に侵入し、内部のテロ組織達を退けながら本電源の場所まで向かってください。場所は医師に案内を任せるか、地図を探せば辿りつけます。(制限時間:A市到着以降、一時間以内)
マスターより
※本MSはアドリヴを多く含みます。ご了承くださいませ。
リンカーの皆様方、日々お疲れさまです。
本シナリオに入る前に、リンカーの皆様がやらなければならない事を再確認してください。
テロ組織の鎮圧、従魔の殲滅、病院の電気復旧、ユーリの援護……他にもやる事が見つかるかと思います。
ユーリに関してですが、彼女一人だけではまだ従魔一匹を頑張って戦って倒すのが精一杯といったところだと思います。更に、最初従魔と戦闘になった時、恐れからまともに動く事ができません。(共鳴時リディアとユーリの意識はどちらも残ります)
それではどうか、A市の事をよろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/02/15 20:01
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最終発言2016/02/10 15:51:23 -
相談卓
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