本部
枯れない薄紅の花
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 7人 / 4~7人
- 英雄
- 7人 / 0~7人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/12/17 07:30
- 完成予定
- 2015/12/26 07:30
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/12/16 09:05:17 -
深夜のがっこう?
最終発言2015/12/17 04:57:42
オープニング
●
「どうかしたの?」
荻原(おぎはら)先生を嫌う人は多い。色んな生徒が彼女の事を嫌い、罵りの言葉を口にしている。
卒業式の日、僕は先生に手紙を書いた。僕は知っている。生徒達は先生を嫌っているけど、先生は生徒の事を宝箱だと思っている。宝物じゃなく宝箱。開けたら大切な物が溢れ出す物。
「これ、読んでください」
人一倍影が薄く、勉強ができず荻原先生に叱られてばかりいた僕が書いたたった一通の手紙。
何も言わず僕は走って職員室を出た。
●
屈託のない学生生活を送ってからもう、どれほどの過去を生み出してきたのか彼らはいちいち数えていない。卒業式を終えて二十年、充分過ぎる程大人になった三人の男たちはミニチュア同窓会を開くために夜中、当時通っていた中学校へと足を踏み入れていた。
「母校に不法侵入して同窓会なんて、なんて悪い大人だよ俺たちは」
「ヘヘ、本当だよな。でもこれでここに入れるのは最後なんだぜ。お天道様も誰も許しちゃくれないだろうから、せめて俺たちお互いに許し合おうぜ。な?」
「都合が良いよ君は。本当」
廃校になったこの校舎を崩す予定が明日に立っていた。急遽それを聞きつけた三人は遠くから一泊二日でやってきたのである。
廃れた母校の姿だったが、三人はそれでも、面影がそのまま残っているという事実を感動に変えた。
そうそう、あまり土地が広くないから体育館とプールは同じ施設の中に入れられており、その分体育館が他の中学校と違って狭かったのだ。だから部活で合同練習をする際他の中学の体育館に足を踏み入れた時、羨ましいと思ったものであった。
そうそう、確か校門の少し奥にある初代校長の銅像に落書きをしたっけ。その跡は残っていなかった。
そうそう、同じ学年で力の強い奴が鬼ごっこをしてる最中、ここの門扉を壊して少し問題になったっけ。
校舎を進んでいく毎に蘇る思い出の連鎖を、三人は感傷に浸る思いで見つめていた。
「ありきたりな事いうけどさ。またここで学びたいよな」
「なら俺もありきたり返し。あん時は早く卒業しねぇかなって思ってたけどな」
給食を配給する場所に来た時、ふと一人の男が笑いながら声を出した。
「お前だったっけ? カレーライスにバジルソース入れて先生に怒られてた奴」
「あ、あれはだなあ……」
「あーそれなら俺も覚えてるぜ。いっひっひ、確かお前オススメの献立で美味しいから美味しいから! って熱論語ってたら先生にバレて叱られてたんだよな」
「でも美味しかっただろ」
「ばかいえ、あれを美味しいって言うのはお前だけだぜ」
バジルソース風味カレーライスは数日かけて完食された。その間、ソースを入れた犯人の給食は全てカレーライス一色であった。
「バジルインド人ってあだ名がついたんだっけか」
「もういいだろこの話は」
それから三階へと登り三人は二年二組へ入った。彼らが親友として、将来永い付き合いとなった場所がここ。まだ覚えている当時の席に三人は座った。
「やっぱこの位置だよな」
現実の三人は揃って別々の会社のサラリーマン。しかし今だけは、現実を離れ制服を着た中学生。授業中三人の席は意図的に離れさせられていたが、昼休みになるとこうして、近くの席に座って三人で駄弁っていたのである。今日は何時間にも及ぶ長い昼休み。教室の明かりがつける事ができないので、買ってきた電動式懐中電灯を上に吊るしてスポットライトに似た明かりを頼りに三人は様々な話と喜怒哀楽を共にした。
「そういえば荻原が亡くなったのって知ってるか?」
「知らなかった。そうだったのか……」
「何悲しそうな顔してんだよ。お前一番叱られてたから、恨み辛みは募ってたんじゃないのか」
「そんな事ないよ。――花丸、結局一度も貰ってないなあ……」
どんな教科をやらせても全く出来栄えがよくなかった彼は、一度も花丸を貰った事がない。花丸とは満点という意味だ。彼は正直、花丸に憧れていた。
「ここで十五年も働いてたんだってよ。っていうか、この学校が無くなるまでここで働いてたんじゃなかったっけか」
思い出話や近況報告等を三人分だから、語り明かすために一夜は短すぎるだろうか。
次々と話題が移っていく中、突然校舎内に三人が起こした音とは別の音が鳴り走った。三年も通えば、二十年経ってもその音が何の音だか簡単に分かる。校舎の表玄関が開く音だ。
「おいもしかして見回りかよ?」
「明日のための偵察とか、じゃないよな」
「ばかいえ、それなら昼間のうちに終わらせてるはずだぜ。ってかどうするよ、見つかったらまずいぞ」
「とりあえず明かりを消して、それから見つからないように隠れるんだ。ただの偵察ならわざわざロッカーを開けて中を確認したりしない」
「なるほどな。分かったぜ、脅威が去ったらまたここに集合、オーケーだな。じゃあ散開!」
●
あなた達はオペレーターからこう伝えられている。
「廃校となったH中学校の内部に愚神発見報告がありました。情報源は取り壊しに携わる作業員で、翌日に備えての内部環境の確認をしていたら遭遇。奇跡的に難を逃れたという事でした。
あなた達には愚神の討伐を行ってもらいます。また、極稀に廃校となった校舎に住み着く方がいるかもしれません。そういった方を見かけた場合校舎の外に強引にでも引き連れてから私に連絡をくださるようお願いします」
問題となる廃校についたはいいものの、早速あなた達の声に響いてきたのは野太い男の悲鳴だった。
解説
●目的
H中学校で目撃された愚神の調査、討伐。
●愚神について
等級は不明だが、廃校に住み着いているという事実から高次元の愚神ではないと最初に推測される。
作業員からの情報では、ポルターガイスト系の能力を使用してくるらしい。この情報は既にあなた達に伝えられている。
愚神との戦闘場所は職員室の跡で、実大が襲われている。
職員室には職員ロッカー、机、テレビ等たくさんの家具があり、愚神は有利に戦える。
この愚神は打たれ弱く、不利な状況に追いつめられると逃亡を図る。
●校舎について
五階建ての中学校。土地が狭い。
校舎一階、二階は理科室や職員室、給食室、多目的室、音楽室等の教室があり、三階に三年生、四回に二年生、五階に一年生の教室がある。それぞれ三クラスずつで、廃校にはなっているものの当時のままきちんと机が並べられている。
生徒数が少ないのか、教室はあまり広くない。
●侵入している三人の男について
それぞれ 大高(おおたか)、高林(たかばやし)、実大(みひろ)という名前。
悲鳴を発したのは大高で、その声を聞いた高林と実大はその場に駆けつける。大高が見つけたのは人間の死体。逃げなければならないと悟る大高と高林だったが、実大はどうしても確認したい事があると一人でどこかへ向かってしまう。
あなた達が駆けつけた時大高と高林の唖然とした姿が二組に残っている。
ちなみに、誰にも言わないでくれとあなた達に必死に許しを乞う。
●実大の目的
学校で同窓会を行おうと提案したのは実大で、本来の目的は同窓会だったがもう一つ彼自身の目的があった。
それは職員室にある萩原の机を確認する事。
●以下、調査中に得られる情報
・愚神はポルターガイストを使用する愚神で、物ならなんでも扱える。厄介なのは、ロッカー等人が一人入れる物に閉じ込められる攻撃。
・年代物で、壁や床が壊れやすい。
その他、入念な調査で得られる情報多数。
マスターより
深夜に突然呼び出してしまい申し訳ないです、エージェントの皆様方。
ポルターガイストを使う愚神ですが、見た目は和服を着たおかっぱ頭の少女のような姿をしています。色白でまるで幽霊のような見た目。何かを喋るといった事は一切なくただひたすらにあなた達と戯れるように戦闘を行います。
さて本シナリオですが、今まで出してきたシナリオとは大分気色の違う物となりました。自分が書きたかったなと思うシナリオをそのまま形に出来た物だと思っています。
それではどうぞ、これからもよろしくお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2015/12/22 21:07
参加者
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/12/16 09:05:17 -
深夜のがっこう?
最終発言2015/12/17 04:57:42