本部

WD~毒の花よ開け~

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/01/01 15:23

掲示板

オープニング

● その身巣食う花
 スズランの花には毒がある。 
 月夜の晩に彼女はそう語った。
 ここは花畑、色とりどりの花が咲き誇り、まるで別の世界のように見える。
 そんな世界の中心に。彼女たちは逃げ込んだ。
 銀色に輝く月、風が舞い、綿帽子が飛ぶ。
 彼女は微笑んだ。
「リゼリタ、わたし……」
 赤く引いた紅がまるで、血のように赤く輝いて。
「私、結婚するの」
 そう告げた彼女の表情はまるでこの世のすべてを知っているかのような。穏やかな表情を浮かべていた。


● だから、彼女はスズランを飲んだ。
「スズランの毒は水溶性なんだって」
「ららら? 水溶性?」
 バスに揺られながら、春香の膝に頭を乗せて白い少女erisuは小さく声を上げた。
「水に溶けだして、その水が毒になるのよ。決して花粉を吸っただけじゃ、死んだりしないの。でも今回の話はそれに無関係か」
 erisuはさらにハテナマークを浮かべながらも遥かに手を引かれバスから降りる、そしてerisuが視線を上がると、そこには広大な自然が広がっていた。
 冷たい外気、しかし雪は積もっていなく、山脈は青々と緑を残し。そして目の前の丘には花が咲き乱れている。
 赤、青、黄色、様々な花が咲き乱れるその花畑の向こうに、いまだに水車、風車が動力となっている小さな村があった。
「こちらです」
 村の乙女がリンカーたちを手招きする、その案内に従って皆は村への道を歩く。花畑の真ん中に、土を叩いて固めただけの小道、その小道からerisuが外れようとすると。村の乙女が叫んだ。
「だめです!!」
 erisuは反射的に振り返り、うっすらと涙を浮かべた。
「ららら?」
「スズランです、死にたいんですか?」
 触ったり、花粉を吸った程度では死んだりしない。なのに村の乙女たちは激しく声を荒げた。
 スズランについて十分な知識がないだけかと春香は思ったが、それを抜きにしてもあんなことがあったばかりだ。
(口を挟まない方がいいよね)
 そう春香はerisuを抱き上げた。
「怖かったね、大丈夫だよ、erisuのこと嫌いなわけじゃないから」
「ららら? わかった春香。ありがとう」
 そう、あんなこと。
 春香はこの乙女や村人たちが殺気立っている理由を知っている。
 道行く村の広場には祝いの酒樽、教会の門は開かれ、項垂れ涙を流す正装の男。その場を支配する奇妙な沈黙に口元を押さえつけられ、リンカーたちは一言も言葉を発することができない。
「私たちはここで戻ってもいいですか?」
 そんな、小さな村を見渡す春香に村の乙女が告げた。そして彼女が指さす先に小さな、小さな小屋があった。
 それはどう見ても物置というか、普段しまわないものをしまっておくスペース。そこに。
「そこに、彼女がいるの?」
 その言葉に乙女は頷くと、乙女は足早に去っていってしまう。
 質問を投げかける暇もなく、一瞬途方に暮れるリンカーたち、しかし。
「このままじゃ、だめだね」
 そう春香は小屋に歩み寄り、扉を引く、そこには。
「貴女がクリスティアさん?」
 そこには蔦で両手足を拘束された、花嫁衣装の少女がいた。
 花嫁衣装と言ってもウエディングドレスではなく、長そでと長いボトム。肌を見せない質素な物だったが、その服の隙間からびっしりと蔦が生え、その蔦で少女は身動きできないほどに拘束されている。
 そして最後に、少女の胸元が光っている、緑色に。淡く光を放っている。
「君が従魔を食べた少女?」
 クリスティアは頷いた。
「なんで花を食べたの?」
「死にたいと……思ったから」
「え?」
「全てを捨てて、一緒に行きたいと思ったから」
 そう告げてクリスティアは微笑んだ。
「私はあのお花畑で彼女の手を引いた」
 そう淡々と語るクリスティア、彼女が滑らかに言葉を紡ぐほど、その胸の光は輝きを増すのだった。
「私は、彼女意外と結ばれるくらいなら、あの子と死んでしまいたかった」
 そういったん目を伏せた少女、しかし再び開かれた瞳には、ありありと憎悪の炎が宿っていた。
「けれど彼女はそれを拒否した、だから私は飲んだの。彼女の抱いていた、スズランを」




● この事件の裏側
 従魔でできた花を食べてしまったクリスティア。それが彼女の不幸の原因である。
「ペインキャンセラーについて、調べていたらまさかこんな事件に遭遇するなんて」
 春香はそう額を押さえる。 
 スズランに擬態していた従魔は彼女の体の中に根を張って、彼女の霊力を急激に吸い上げている。そして彼女の体内を強力な毒素が循環していることから、この少女の余命がいくばくかであることは間違いなかった。
 さらに。
「その花はスズランと違って花粉に毒を持つから」
 彼女の中で成長しつつある花、それが彼女の命を吸い切り芽吹けば。花粉を舞わせる。
 それを吸った人間は死ぬという。
「だから、早急に彼女を殺してしまうべきという意見が沢山出たけど、それはできなかった。それができなかったのには理由があるんだ……」
「ららら?」
 重たい表情の春香へと、erisuは大丈夫かという意味で問いかけた。そのふわふわな髪を抑えるように春香はerisuの頭を撫でる。
「彼女を今殺したとしても有毒物質はあふれ出すんだよ、このあたり一帯の自然が汚染されちゃう、だから彼女には山を下りてもらうか。この従魔を作った愚神を倒してさないといけない」
 だが、愚神がどこにいるのかは、わからなかった。
「とりあえず、早くこの村から出ようか」
 その時だった。村の外から悲鳴が届いた。
 春香は弾かれたように駆けだす、そして村の入り口の花畑で見たのは。
 銀色の髪を持つ乙女。
「リゼリタ?」
 春香の背後から聞こえる、本来そこにいてはいけない人物の声。
 振り返るとクリスティアが全身の蔦を解き、うねらせながらこちらに歩み寄っていた。
「クリスティア、ああ、素晴らしいわ……美しい姿よ」
 そう告げるとリゼリタと呼ばれた少女は口角を釣り上げて告げた。
「さぁ。この忌まわしい世界すべてを壊してしまいましょう」
 そう告げるとリゼリタは銀色に輝く髪を振り乱して、それを地面に突き刺した、すると周囲の大地から色が奪われていく。
 やがてリゼリタは虹色に輝く光を放ち、その腕を足を、鋭い骨ばったフォルムに変えていく。

「……愚神だ」

 erisuはつぶやいた。
「ららら、もともとは人。けど、愚神に取り込まれてその意思も記憶も、何もかもを奪われてる」
「わかるの?」
 春香はerisuに問いかけた。
「らら、不協和音が聞こえる」
「どっちにせよ」
 春香は二人を交互に見て告げた。
「戦う必要があるみたいだね」


解説

成功条件 『リゼリタ』の殺害
失敗条件 『クリスティア』がこの場で死亡する  

 今回の戦場ではデクリオ級愚神である『リゼリタ』と従魔に取りつかれた『クリスティア』が互が互いを取り込みあおうとする。
 そんな戦いの中に放り込まれた形になります。
 ちなみに、クリスティアは生命力を0にすると気絶扱いになるので殺す必要はありません。というより殺害してしまうと周囲に毒がばらまかれて非難完了していない一般人が死にます。

● ステータスについて
『リゼリタ』ステータス
 物理攻撃力高めのバランスタイプ。
 攻撃方法は長い爪での近接攻撃と。霊力を打ち出す射程20程度の物理攻撃。
 自分の一部を地面から生やし砲塔として利用することが可能。
 この砲塔は一定ダメージを与えると破壊できる。
 また地面に根を張っている限りターンの終わりに生命が一定数回復するので注意。
 クリスティアを優先的に攻撃する。

『クリスティア』ステータス
 全身に蔦をからませた姿。近接攻撃を挑むと自動で触手が反撃してくる。
 基本攻撃は蔦での近距離攻撃。棘を飛ばすことによる
 すべての攻撃にBS減退を付与する
 また、特殊BS【邪毒】を付与する棘を射出する。飛距離が40と長めで受けると減退の効果を強化する。邪毒は累積し、邪毒攻撃を受ける度に効果が上がっていく。
 クリスティアの攻撃目標は全員、無差別に従魔に操られるように周囲を攻撃する。

●戦場について
 今回は花畑です、広さは一辺50SQ程度の広さで。障害物や厄介なトラップ等何もありません。
 ただリゼリタとクリスティアの間は10SQ程度しか間がなく。
 PCは特に希望しない場合二人に挟まれた位置からスタートです。
 希望すれば別位置からスタートも可能です。

リプレイ



プロローグ

「リゼリタ! 私いま行くわ。あなたと一緒にここではないどこかへ」
「クリスティア、なんて美しいの。あなたと一つに慣れればきっと、怖い物なんて何もないのね」
 半狂乱で言葉をぶつけ合う二人に、リンカーたちは見えていなかった。
 今にも戦闘が始まりそうな、この一触即発の状況で春香は出方をうかがっていた、その裾を引いて『イリス・レイバルド(aa0124)』は春香に告げた。
「医療班に待機してもらって、終わったら、よぶ?」
――体内の毒の件もある。リゼリタの体がサンプルになるかもしれないから回収しておこう。
 それに静かに頷く春香。隙を見て通信を試みる。
 そのわずかな動きを察知したリゼリタ。その蔦を素早く振るって霊力の塊を春香へ飛ばした。
 それを『月鏡 由利菜(aa0873)』がはじく。
「大丈夫ですか?」
「由利菜さんは?」
 由利菜は盾を振るい春香に笑みを向けた。
「ふふふ、今までとは一味ちがいますから」
 直後クリスティアとリゼリタが本格的に動いたそれをみてメンバーは散開。
 由利菜はリゼリタへと真っ直ぐに駆けた。
(ラシル……私達の誓約術に、秘奥義の記憶の封印があったなんて……)
 由利菜の念話に『リーヴスラシル(aa0873hero001)』が答える。
――この世界では『コンビネーション』としての再現か……。今回の依頼で、奴に仕掛ける。
 突如開幕した戦場風景を『煤原 燃衣(aa2271)』は離れた場所で見守っていた。
 なるべく背を低くして、花々に隠れるように。
 由利菜が接触するタイミングを見計らっているのだ。
――接敵まで秒読み、するか?
『赤目 炬鳥迦(aa2271hero002)』が尋ねる。
「大丈夫ですなんとなく」
 燃衣が動いた。
「わかりますから」 
 フラッシュバンの光が戦場を覆い尽くした。
 これが本当の開幕の狼煙。
 燃衣は数歩前に出て『彩咲 姫乃(aa0941)』と連携してのフリーガー攻撃。
 春香はタイミングを合わせてピアノ線を召喚、あたりに展開した。
 音と炎が舞い。爆音の後。花畑は一瞬にして、業火に包まれた。


第一章

「花の香りに混じって……愚神の匂いがするわね。ふぅん……大地から、ライヴスを吸い上げているのかしら……。あの根が邪魔ね」
『レミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)』はゆらりと炎の中から姿を現す。
「緋十郎、いつもの通り、痛みは任せたわよ。あの紅い方から……一気に仕留めるわ」
――ああ、好きに暴れるといい。
 そう答えた『狒村 緋十郎(aa3678)』は満足げに頷くと、レミアが駆ける。まったくの無防備となっているリゼリタへとまず切りかかった。
「どこを見ているの!」
 レミアの渾身の一撃だが、反応は薄い。ダメージは確かに入っている、だが、そうだこれは。
 まったくレミア達を見ていないのだ。
 クリスティアとリゼリタは互いに視線を集中させたまま円を描くように一定の距離を保って移動している。
 その二人への攻撃へは最低限の防御行動だけ。
「こいつら……互いに互いを、捕食しようとしているの……? なら……狙い通りにはさせないわ……ッ」
――もちろんだ、まだ救えるかもしれない人を犠牲にはできない!!
 そうレミアは大剣を振り上げその衝撃波でクリスティアへと駆ける。
 そんなリゼリタは足元の蔦へと大量の霊力を送った。その瞬間、レミアを遮るように出現する砲塔。
 だがその砲塔が全てクリスティアを向いていることを『構築の魔女(aa0281hero001)』はみてとった。
「私たちよりもクリスティアさんを優先してます、これだけの砲撃、生身のクリスティアさんに当たれば、致命傷です」
 愚神から従魔を守っての戦闘、リンカーたち全員の額に冷や汗が流れる。
「砲搭も彼女の一部のようですね、あと地面からライブスを吸収しています……か?」
 構築の魔女は横に移動しながら砲台の根元を狙って引き金を引く。
「クリスティアさんとはまた別の植物が元なのでしょうか?」
 そんな戦場を俯瞰的に見ながら『ナラカ(aa0098hero001)』は相棒にといかけた 。
「覚者よ、この状況、どう評する?」
『八朔 カゲリ(aa0098)』はいつもと変わらぬ表情で告げた。
「決まってる。くだらない顛末だ、だが、これが二人の望んだ形なら。そう処理するだけだ」
「望んだ形?」
『志賀谷 京子(aa0150)』がその言葉に疑問符を飛ばす。
「これって二人が望んだ結末だったのかな」
 京子は弓を引き絞るそのモーションのまま動きを止める、視線はマズルフラッシュで顔を照らされていたカゲリに向けられた。
「望む結末を目指して走っていて、足を踏み外したから文句を言う。それは少し違うんじゃないか?」
 京子は無言で言葉の先を促した、しかしカゲリは答えない。
――想いの強さが人を誤らせる。それは悲しいことですね。
『アリッサ ラウティオラ(aa0150hero001)』が代わりにそう、答えた。 
「クリスティア(以下クリス)にとってはリゼリタが全てで、ほかはどうでも良かったんだね
――人の世には居場所がなかったのでしょうか。
「恋は盲目か。実感はないけどね」
 そして狙い澄まされた一矢が巨大な花弁をうち貫いて、機能を停止させた。
「あー、どっちもお互いお互いが取り込もうと、――ああ三すくみってやつか」
 姫乃は戦場を駆け廻る。二体の敵に捕らわれないように『藤林 栞(aa4548)』と連携して戦場をかき乱していた。
 二体の愚神はリンカーたちをいないものと扱っているのをいいことに射線を妨害したり、リゼリタの根を攻撃したりなど好き放題にやっている。
 そして二人は徐々に距離を詰めつつあった。
 このままではそのうち二人の距離は零になる、そうなった場合、どうなるか、全く想像ができないのだ。
 だからクリスティアが動こうとした瞬間しおりが前に出た。速度なら彼女の方が早い。そしてその顔面を切りつけようと苦無を伸ばす。
 その行動にクリスティアは目を瞑ってしまう、猫騙しである。
 動きが止まり。その隙を逃すまいと、イリス、レミアが迫る。
「近い! 離れなさい!」
 イリスの支援によってストレートブロウが見事に決まった。真後ろにつき返されるクリスティア
 だがその二人をリゼリタの砲弾が襲う。
 それは硬質な花の種のようで、鋼より固く、二人の命を削る。
「次から次へと!」
 そう感情をあらわにし、荒々しく剣を振るう由利菜。
 その一閃にて砲塔の茎を断ち切る。
「邪魔をするな!!」
 リゼリタの叫びに由利菜は視線だけで返答する。
――自らの危機を招いて意図的に底力を発動させるつもりか、ユリナ!
(……ええ。死ぬのは嫌ですけどね)
 さらに増殖する砲台。さらに意識がやっとこちらに向いたのか、足元の蔦を伸ばし由利菜へするりと近寄った。
「それともあなたも一つになる?」
「……月鏡さん!」
 一対一では危険だ、そう判断した燃衣が爆炎まき散らせリゼリタに接近を試みようとする。
 カゲリもナラカの指示でかばいに向かうが同じように足を取られた。
 だが、砲台の生成速度が速く、思うように距離を詰められない。
 その爪を由利菜は剣ではじきつつも、前のめりの姿勢から体に無数の生傷を作っていた。
 対してリゼリタは切り付けられたそばから傷口がふさがっていた。
 これではさしもの由利菜も不利である。
 このままでは最悪の状況もあり得るだろう、だから京子はその霊力の全てを一本の矢として束ねた。
「あなたはそこで止まってなよ!」
 引き絞るは月光の弓。それは打ち出されると同時に爆ぜリゼリタではなく空に向かう。
 その光は昼間でも明るく輝く星のように天井を覆い。そして。
 その全てがリゼリタへと殺到した。
 前後不覚、視界すら奪う飽和射撃は全員に好機をもたらした。追加で放たれる燃衣と姫乃のフリーガー。カゲリの弾丸。
 砲台は自身の破壊を悟ると、最後の瞬間に弾丸を発射する。
「ここだ!」
 京子はその弾丸を首をひねって砲撃を回避。
 額が切れて目に血が入るが、それも構わず両目でリゼリタをロックオン。そして。
「ファイア!」
 足元の蔦を打ち抜いた。
 化物じみた悲鳴を上げるリゼリタ。この時全員が理解した、やはり……と。
 だがその真相にクリスティアは気が付かない、それどころかその攻撃は苛烈さを増していく。
 乱戦はさらに進んだ。戦況は混乱していた、誰がどう立ち回っているのかも把握しにくい。そんな中でクリスティアはもがくようにリゼリタへと歩み寄ろうとする。
「貴女の相手は」
――私達だ!
 そうイリスがクリスティアの前に躍り出ると反撃とばかりに無数の蔦が襲う。
 だがその攻撃は『無明 威月(aa3532)』によって肩代わりされた。
「大丈夫ですか」
――これが我々の仕事なのでな
 イリスの言葉に『青槻 火伏静(aa3532hero001)』はそう答える。
――この戦いは敵に囲まれている。後ろから撃たれるくらいは覚悟したまえよ。
 アイリスの号令ですぐさま体制を立て直した一行。そしてイリスはクリスティアの進行を防ぐように前に立った。
「死角からの攻撃に対処するための三重結界だよ。後は気合と根性でがんばる!」 その盾で蔦を押し込み、剣で切り付ける。
 蔦がイリスを捉えようとするが、栞が間に入って蔦を切り裂き、離脱した。
 背後からさっき、振り返ればレミアが刃を振りかぶっていて。その斬撃を背に受けたクリスティアは体制が崩れた。
 その蔦の這える中心、胸の部分へと構築の魔女の弾丸が飛ぶ。
「視野を広く……どちらも植物を元にしているのなら彼女達から離れた地面にも警戒ですね」
 それにうなづくアイリス。
「それにしても周囲の対象を無差別でしょうか……?」
 構築の魔女は砲台との感覚に気を使いながら素早く移動する。
「ボクの体を守る結界は体自体を硬質化させます。だから棘による流血は大丈夫だとは思うんですが」
「問題は毒だね」
 威月が考え込むしぐさを見せた。
「特殊な毒……特異なライブスを纏った部分がないかですね。地中からの攻撃に注意を」
 そう警告する構築の魔女。
「ただ戦場の要がBSで動けなくなってしまうと目も当てられません、厄介な攻撃は任せてください」
 威月がそう告げると、イリスと威月は別の方向に散開。
 二人がいた場所を蔦が叩いた。
――まぁそれに、絶対を保障するものではないから注意するに越したことはないよ。
 構築の魔女が頷いた。
「そうですね、毒があるなら触れるのも危険かもしれませんし狙いを定めさせないようにこちらから援護します」
 その言葉に同調するように構築の魔女の背に、京子は自分の背をぶつけた。
「それ、のった!」
「これで全方位対応可能ですね。早いうちにすべてを終わらせましょう。早く終わらせればまだ間に合う可能性があります」
「うん!」
 そう京子が告げるのと、二人が弾丸を放つのは同時だった。
「次の砲撃が来ますよ!」
 燃衣の声に姫乃が反応。
「行くぞ、フリーガーファウスト! 目標、リゼリタと砲塔の中心!まとめて焼けちまえ!」」
 吹き飛ぶ土、舞い上がる花びらは鮮やかさを失いすべてが灰色に変わっていく。
 これほどの花が咲き乱れるのにどれくらいの時間がかかるのかはわからない。
 だが、美しい風景を壊してしまったことに姫乃はすこし罪悪感を抱いた。
 そんな姫乃の足元からちょうど砲台が伸び出してきて。姫乃は体制を崩した。その照準の先には京子がいる。
 しかし、その射線を遮るようにカゲリが間に入った。
「カゲリさん!」
「こうも四方八方からだと狙いにくいな」
――おお、間一髪であったな。
 幸いにして攻撃力は高くない。カゲリはその身に突き刺さった種を抜き取ると地面に転がした。
 それと同タイミングで由利菜の剣が、最後の蔦を破壊することに成功する。
 つんざくような悲鳴。これで自動回復は無効となった。
「リゼリタは元々人間とのことですが……彼女も犠牲者なのでしょうか?」
――既に手遅れなら、永遠の眠りにつかせるのが慈悲。手加減は無用。
 そう静かに告げるリーヴスラシルの言葉を受けて、燃衣は新郎の涙を思い出していた。

第二章

 それは町について休憩している時のこと。
「やっぱり、愚神は碌なことしない」
 そうイリスは町中に咲き誇る花を眺めつつ、憤りのこもった声で告げた。
「erisuさんが言うには元人間か」
「ららら」
 アイリスの言葉にerisuはうなずく。
「問題はいつから人間でなくなったのか。そもそもリゼリタとはいつからこの村にいたのかだが……」
「リゼリタとクリスティアはともに幼少を過ごしたそうです」
 そう構築の魔女は告げた。その手にはスズラン。
「これは何の変哲もないスズランでした。花の成長速やあたり一帯の生態系から考えて、スズラン自体を変質させたわけではなく、何かが自生したと考えるのが自然でしょうね」
 そう構築の魔女はあたりを見渡す。そこにあったのはリンカーたちに向けらえた畏怖の視線。
「村の方の反応からすると警戒しすぎということはないでしょう」
「クリスティアさんとリゼリタさんはどういう関係なんでしょう」
 イリスが尋ねる。その声にため息で返したのは姫乃。
「悪い! でも本気で苦手なんだ。だからスズランを飲んだ気持ちとかわからないぞ」
「恋することはすばらしいわ?」
 erisuが首をひねった。
「否定するわけじゃないんだが……。同姓での恋愛感情とか……魅了のバッドステータス食らってたとかのほうがまだ話がわかる」
「……わからないよ、恋愛感情だって決まったわけじゃない。本当に仲がいい友達だったのかもしれないし」
 春香がそんな姫乃の背後から現れ告げる。燃衣も一緒だった。
「新郎さんから話を聞く限り、普通の友達同士に見えた、らしいですけどね」
 燃衣が告げる。
「いや、まー大事な友人に置いて行かれるとかの気持ちならわからなくもないか?」
 姫乃が首をひねった、それをまねてerisuも一緒に首をひねる。
「何も知らなければかける言葉も見つからないからねぇ」
 そうアイリスは周囲の人間達へと視線を向けるが、答えてくれそうな人は一人もいなかった。
「もし愚神がこの村の人だったなら……村の人を説得してお墓くらい作ってもらおう」
 そう花の冠を作ったイリス。その冠をerisuの頭に乗せた。
「ららら?」
「…………先に、行ってて下さい」
 そう告げて全員に背を向ける燃衣、その目の前にはクリスティアと結ばれるはずだった男性が立っていた。
「……兄貴」
 炬鳥迦は不安げに燃衣を呼ぶ。
 それに燃衣は微笑みを返し、そして新郎へと口を開いた。

   *   *

『僕も、大切な人に裏切られました。好きだった人も、奪われました』

 その言葉を皮切りに、新郎は燃衣の瞳を見つめてくれた。
 そして彼の口からきいた真実に燃衣は目を見開くことになる。
「愚神……許せない」
 その言葉を聞いて燃衣の脳裏によみがえったのは、自分を追うように告げた幼馴染、透き通る笑い声。そして自分の全てを奪った愚神への怒りと、憎しみの炎。
 それを静かな闘志に隠しながら。燃衣は目を見開いた。
 その視線の先には、炎であぶられ苦しむクリスティアとリゼリタ。
 そんなクリスティアに炎へ隠れて栞が急接近。クリスティアに対し一撃を加える、その一撃はライブスによる高速攻撃、クリスティアの移動を止め。リゼリタとの接近を防ぐ。
 そのクリスティアへ攻撃するため、リゼリタは取り囲むように砲塔を三つ召喚。
 その砲塔に狙いを定めて京子は叫んだ。
「災いを振り払う力、今こそ―!」
 京子の高らかな宣言が戦場に響くが、その攻撃から助けてくれたのはアルテミスではなくカゲリである。
――いったい、どうしたというのだ京子。
――神頼みとは珍しい。
 ナラカとアリッサはたじたじである。
「神霊に頼る気はないけど、匠の業は信頼してる!」
――なるほど。
 何に納得したのかはよくわからないがナラカはそうつぶやいて京子とカゲリは散開。砲塔の掃討を完了する。
「そっちは?」
 クリスティア側を見るとあちらも苦戦していた。蔦による攻撃はとにかく読みにくい。致命傷は追っていなかったが。威月、イリス、レミアは全身が血まみれだった。
「霊力まで流れ出す……」
 イリスへ威月のクリアレイが飛ぶ。
「あと……一回」
 苦虫をかみつぶすように威月がつぶやいた。
「なら、速攻で決めるわ!」
 レミアは渾身の力で闇夜の血華を振り上げる。
 味方への被害を抑えるために電光石火のごとき攻撃を続ける、蔦を切り飛ばし。足を止め、その命を狩る勢いで鬼神のごとき連撃を見せた。
「ふふふふ、あははははは、この茨はあなたの痛みね」
 レミアは笑う。
「痛ませるだけでは私は止められないわよ、だってもう私は痛みを感じない。緋十郎がいる限り、私は強くあれる」
 だんだんと攻撃に慣れてきたのだろう、レミアはひるむことすらなくなっていった。
 だがその勢いがまずかった、足元から突如沸き立つ蔦。それがレミアの体をからめ捕る。
「レミアさん!!」
 イリスが叫んだ、その剣で助けようと迫るが、蔦の壁が展開され、やすやすと近寄れない。
 レミアは蔦に絡め捕られ四肢からだくだくと流血していた。
――痛みを感じないというのも考え物だ……悲鳴が無ければ気が付けない。
 ナラカがそう評するも、当のレミアは涼しい顔をしていた。
 レミアは脳内でうなる緋十郎の声を無視して、クリスティアに語りりかける。
「クリスティア……あなたの恋焦がれた“リゼリタ”は、もう愚神に憑依されて乗っ取られて……」
 蔦がその体を這う、華奢な体を締め上げるように、ゆっくりと。
 そんな蔦使いからレミアはなじみのある感情を感じ取っていた。
「殺されていたのよ。わたしたちが殺した訳じゃないわ。あれは、リゼリタの姿を奪った偽者よ」
 恐怖、孤独、置いて行かれたことに対する恨み。寂しさ。
 冷たさ。心が冷え切っていくような。
 そんな冷たさをクリスティアから感じる。
「違う! あの子はそこにいる、そして一つになることで私たちはずっと一緒にいられる!!」
「……いいえ、本当です」
 燃衣が叫ぶ。
「貴女が花を飲み、そして、あなたが殺しました」
 それが新郎から聞いたこの物語の隠された、醜い部分。
「そしてそれが、愚神に新たな体を提供することになったんです、だから今のリゼリタさんは、単なる面影」
「違う!!」
「……クリスさん……泣いてましたよ、あの人。同じ様に」
 燃衣の耳にこびりつく声。彼は言っていた。
 あの子をどうか救い出してくれ。
 そう地面に額をこすり付けて泣きじゃくる彼の姿が自分と、重なった。
「知ってます? 貴方の無茶で、皆の命が危機に晒されてるんですよ?」
 燃衣に放たれる蔦。それが燃衣に無数の生傷を作っていく。
「そうね、私をみんな怖がっているのがわかる。全部私のせいだってこともわかる、けど、こうなるなんて思わなかった」
 そう言い放つクリスティア。燃衣はその無責任な物言いに眼光を鋭くした。
「人は、少しの過ちと無力で死ぬんです!!」
 そう叫んだ燃衣の脇腹をリゼリタの砲弾が穿った。口から血をこぼす燃衣。
「そしてあなたはさらに過ちを繰り返そうとしている。あなたの家族を全員殺しても、リゼリタさんと一つになるつもりですか!」
 その言葉にクリスティアは答えられなかった、代わりにこぼしたのはリゼリタへの言葉。
「なぜ、あなたは私がお嫁に行くのを止めてくれなかったの! 私はあなたの物じゃなかったの? 私なんていらないの?」
「フザけんな……綺麗に言った所で、貴方のソレは所詮フラれた事への自分勝手なヒスだろうが……」
「置いて行かないで!!」
「それは裏切だ!!」
 燃衣の張り詰めた怒号にクリスティアはやっと燃衣へと視線を向けた。
「自分だけの想いで……自分だけの不幸でッ! 全てを『裏切った』最低のヒスだろうがッッ!」
「どうして…………どうしてですか…………『それ』は命を絶つ程のものだったのですか……」
 威月は武器をその場に落して泣きそうになりながら言葉を重ねた。
「リゼリタ様は…………無碍に断った訳では無い筈です……何か、仰った筈です……」
――アンタの国と、アンタ自身の事情は分からネェ。けどな…………人間のリゼリタだってアンタの幸せを願った筈だッ! 根性ねぇ事言ってんじゃねェぞ!
 火伏静の言葉に動きを止めるクリスティア。
 その姿を見て、威月が突っ込んだ。それを防ぐために蔦を総動員し。それによって、胸の核が露出した。
 その核めがけ。京子の魔弾が飛ぶ。
「それって拗ねて、リゼリタさんに全部任せて背負わせて、期待通りにいかないってなったから、最低の方法であきらめたんだよね?」
 歪む視界、クリスティアから従魔が完全に排除されたわけでは無かった。だがもう彼女は活動限界を迎えていて。
「随分とあっさり想いを諦めたね。だから世界もあっさり捨てられるんだよ」
 京子の悲しげな顔が最後に脳裏に焼き付いた。
「わたしは絶対にゴメンだけどね! 諦めるのは嫌いだもの、どれだけ時間がかかろうと欲しいものは何をしてでも手に入れるの。毒を呷るなんて、そんな諦観に陥っていられない!」
 その言葉にアリッサもナラカも小さな笑い声を返した。
「お願い、助けて」
 そして最後にクリスティアの目に知性の光が宿った。京子はそれをまっすぐ見据える。
「死んでない、リゼリタはまだ生きている」
「え? でもあなたが殺したって」
「私は種を埋め込んだだけ、まだ人に戻れるはず」
「どういうこと?」
――状況が全く呑み込めませんわ。
「お願いリゼリタを……」
「もうそこで眠ってなよ。目覚めたときには、ぜんぶ終わらせておいてあげるから……」
「ああ、クリスティア。ついに私と一緒に」
「「だまれ!」」
 そうリゼリタに接近していたイリスは渾身の脚力で跳躍。その腹部にライブスリッパーを叩き込んだ
「飲み込んだなら、吐き出さない?」
――まぁ、世の中には絶対などないけどねぇ。
「ほ、本命は気絶効果とボディにダメージ与えての足止めだから」
 それに合わせて由利菜もライブスリッパーを叩き込む。
「深淵にて自らの過ちを悔い改めよ……! ヴァニティ・ファイル!」
 呻き悶えるリゼリタ。それを見てイリスは後退する。
「クリスティアさんは僕達が護ります、だから!」
「アリッサ、愚神だけを滅ぼすよ」
 京子は告げる
――……難しいでしょう。
「諦めないと言っちゃったし、わたしもそうしたいから。知ってるでしょ、わたしがわがままなの」
――ええ、ええ。そうでしたね。終わったあとにリゼリタがいなければ、クリスの喪失は図りしれないですし。
「いつだってハッピーエンドを目指したいもの」
――手伝おう。
「私もお供させてください」
 そうナラカと構築の魔女が肩を持ってくれる。
 そしてまさに草を刈るような掃射が続く。
「また生える前に断ち切る」
――切り札を使おう、大丈夫私達なら。
 リーヴスラシルの声に呼応するように、周囲の霊力が由利菜に集まった。
 そしてその背に霊力の翼が生える。
 その翼で駆け抜けざまに叩いた。
「誓約よ、私達の秘められし力を開放せよ!」
――蘇るは戦場駆ける記憶、汲み上げるは騎士戦技の奥義!
 土を削って由利菜はブレーキをかける、脚力にまかせて由利菜は飛んだ。
 駆け抜けざまに剣で一閃。さらにすくい上げるように斬撃。
「これで!」
 切り抜けると同時に、その霊力が剣に集中。長るような動作でそのエネルギーの塊を叩きつけた。
「「ディバイン・キャリバー!!」」
 その一撃がリゼリタに絡まる蔦を浄化し、光の柱で包む。
 その嵐がやむと、その中心にはやせ細った少女の死体が置かれていた。

エピローグ。

「住民の方にも落ち着いてもらうのが先決でしょうか……後悔のない選択をして欲しいですしね」
 そう告げ構築の魔女は後ろを振り返る。
『辺是 落児(aa0281)』はクリスティアを担ぎ村まで運んだ。
 彼には分かるのだ、大切な物の死。それが人を死へと駆り立てること。そして辛さが。
「……erisuさん、リゼリタが愚神になったのは偶然だったのでしょうか?」
 そうerisuに尋ねる由利菜。
「ららら?」
「わからないよ」
 春香がerisuに替わって答えた。
「でも、ペインキャンセラーが絡んでるとなると、たぶんそれは偶然じゃなかったってことになる、今は調査結果を待とう」
 そんな春香の背に、ぺたりと何かがのしかかってくる。
「オナカスイター」
 『メルト(aa0941hero001)』だ、あわてて姫乃がメルトを引きはがす
「らららら? らららら?」 
 メルトを不思議そうに眺めるerisu。
「なー、三船? 痴情のもつれってわかるか? 俺にはさっぱりわからないんだが」
 そう姫乃が春香に問いかけた。
「実際のところ誰が悪いんだ? どこに原因があったんだ?」

「新郎がクリスティアに結婚を無理に迫ったりしたのか?」

「クリスティアはなんで無理心中しようとして花を食べるなんてわけわからない事したんだ?」
「お、おちついて」
 矢継ぎ早に言葉を並べる姫乃に押される春香。
「本っ当に恋愛ってのはわけがわからない」
「でもこれはきっと誰にも起こり得ることだと思うよ、見てほしくて寂しくて、でも言えなくて、どうしたらいいんだろうって、悩んで」
「で? この結果?」
 姫乃がそう問いかけるのと同時に出発の準備が整った。
「今回の事件、ガデンツァ関連とは別系列のようだが……これも、更なる大きな潮流の一角か」
 そうリーヴスラシルは告げ一行は村を後にする。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271

重体一覧

参加者

  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
    人間|18才|男性|攻撃
  • 神々の王を滅ぼす者
    ナラカaa0098hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
    人間|12才|女性|回避
  • 胃袋は宇宙
    メルトaa0941hero001
    英雄|8才|?|ドレ
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • 責任
    赤目 炬鳥迦aa2271hero002
    英雄|15才|女性|ジャ
  • 暁に染まる墓標へ、誓う
    無明 威月aa3532
    人間|18才|女性|防御
  • 暗黒に挑む"暁"
    青槻 火伏静aa3532hero001
    英雄|22才|女性|バト
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • サバイバルの達人
    藤林 栞aa4548
    人間|16才|女性|回避



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