本部
WD~毒の花よ開け~
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 9人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/12/24 19:00
- 完成予定
- 2017/01/02 19:00
掲示板
-
NPC質問卓
最終発言2016/12/23 14:48:16 -
谷間の姫百合(相談卓)
最終発言2016/12/24 18:22:41 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/12/23 15:13:37
オープニング
● その身巣食う花
スズランの花には毒がある。
月夜の晩に彼女はそう語った。
ここは花畑、色とりどりの花が咲き誇り、まるで別の世界のように見える。
そんな世界の中心に。彼女たちは逃げ込んだ。
銀色に輝く月、風が舞い、綿帽子が飛ぶ。
彼女は微笑んだ。
「リゼリタ、わたし……」
赤く引いた紅がまるで、血のように赤く輝いて。
「私、結婚するの」
そう告げた彼女の表情はまるでこの世のすべてを知っているかのような。穏やかな表情を浮かべていた。
● だから、彼女はスズランを飲んだ。
「スズランの毒は水溶性なんだって」
「ららら? 水溶性?」
バスに揺られながら、春香の膝に頭を乗せて白い少女erisuは小さく声を上げた。
「水に溶けだして、その水が毒になるのよ。決して花粉を吸っただけじゃ、死んだりしないの。でも今回の話はそれに無関係か」
erisuはさらにハテナマークを浮かべながらも遥かに手を引かれバスから降りる、そしてerisuが視線を上がると、そこには広大な自然が広がっていた。
冷たい外気、しかし雪は積もっていなく、山脈は青々と緑を残し。そして目の前の丘には花が咲き乱れている。
赤、青、黄色、様々な花が咲き乱れるその花畑の向こうに、いまだに水車、風車が動力となっている小さな村があった。
「こちらです」
村の乙女がリンカーたちを手招きする、その案内に従って皆は村への道を歩く。花畑の真ん中に、土を叩いて固めただけの小道、その小道からerisuが外れようとすると。村の乙女が叫んだ。
「だめです!!」
erisuは反射的に振り返り、うっすらと涙を浮かべた。
「ららら?」
「スズランです、死にたいんですか?」
触ったり、花粉を吸った程度では死んだりしない。なのに村の乙女たちは激しく声を荒げた。
スズランについて十分な知識がないだけかと春香は思ったが、それを抜きにしてもあんなことがあったばかりだ。
(口を挟まない方がいいよね)
そう春香はerisuを抱き上げた。
「怖かったね、大丈夫だよ、erisuのこと嫌いなわけじゃないから」
「ららら? わかった春香。ありがとう」
そう、あんなこと。
春香はこの乙女や村人たちが殺気立っている理由を知っている。
道行く村の広場には祝いの酒樽、教会の門は開かれ、項垂れ涙を流す正装の男。その場を支配する奇妙な沈黙に口元を押さえつけられ、リンカーたちは一言も言葉を発することができない。
「私たちはここで戻ってもいいですか?」
そんな、小さな村を見渡す春香に村の乙女が告げた。そして彼女が指さす先に小さな、小さな小屋があった。
それはどう見ても物置というか、普段しまわないものをしまっておくスペース。そこに。
「そこに、彼女がいるの?」
その言葉に乙女は頷くと、乙女は足早に去っていってしまう。
質問を投げかける暇もなく、一瞬途方に暮れるリンカーたち、しかし。
「このままじゃ、だめだね」
そう春香は小屋に歩み寄り、扉を引く、そこには。
「貴女がクリスティアさん?」
そこには蔦で両手足を拘束された、花嫁衣装の少女がいた。
花嫁衣装と言ってもウエディングドレスではなく、長そでと長いボトム。肌を見せない質素な物だったが、その服の隙間からびっしりと蔦が生え、その蔦で少女は身動きできないほどに拘束されている。
そして最後に、少女の胸元が光っている、緑色に。淡く光を放っている。
「君が従魔を食べた少女?」
クリスティアは頷いた。
「なんで花を食べたの?」
「死にたいと……思ったから」
「え?」
「全てを捨てて、一緒に行きたいと思ったから」
そう告げてクリスティアは微笑んだ。
「私はあのお花畑で彼女の手を引いた」
そう淡々と語るクリスティア、彼女が滑らかに言葉を紡ぐほど、その胸の光は輝きを増すのだった。
「私は、彼女意外と結ばれるくらいなら、あの子と死んでしまいたかった」
そういったん目を伏せた少女、しかし再び開かれた瞳には、ありありと憎悪の炎が宿っていた。
「けれど彼女はそれを拒否した、だから私は飲んだの。彼女の抱いていた、スズランを」
● この事件の裏側
従魔でできた花を食べてしまったクリスティア。それが彼女の不幸の原因である。
「ペインキャンセラーについて、調べていたらまさかこんな事件に遭遇するなんて」
春香はそう額を押さえる。
スズランに擬態していた従魔は彼女の体の中に根を張って、彼女の霊力を急激に吸い上げている。そして彼女の体内を強力な毒素が循環していることから、この少女の余命がいくばくかであることは間違いなかった。
さらに。
「その花はスズランと違って花粉に毒を持つから」
彼女の中で成長しつつある花、それが彼女の命を吸い切り芽吹けば。花粉を舞わせる。
それを吸った人間は死ぬという。
「だから、早急に彼女を殺してしまうべきという意見が沢山出たけど、それはできなかった。それができなかったのには理由があるんだ……」
「ららら?」
重たい表情の春香へと、erisuは大丈夫かという意味で問いかけた。そのふわふわな髪を抑えるように春香はerisuの頭を撫でる。
「彼女を今殺したとしても有毒物質はあふれ出すんだよ、このあたり一帯の自然が汚染されちゃう、だから彼女には山を下りてもらうか。この従魔を作った愚神を倒してさないといけない」
だが、愚神がどこにいるのかは、わからなかった。
「とりあえず、早くこの村から出ようか」
その時だった。村の外から悲鳴が届いた。
春香は弾かれたように駆けだす、そして村の入り口の花畑で見たのは。
銀色の髪を持つ乙女。
「リゼリタ?」
春香の背後から聞こえる、本来そこにいてはいけない人物の声。
振り返るとクリスティアが全身の蔦を解き、うねらせながらこちらに歩み寄っていた。
「クリスティア、ああ、素晴らしいわ……美しい姿よ」
そう告げるとリゼリタと呼ばれた少女は口角を釣り上げて告げた。
「さぁ。この忌まわしい世界すべてを壊してしまいましょう」
そう告げるとリゼリタは銀色に輝く髪を振り乱して、それを地面に突き刺した、すると周囲の大地から色が奪われていく。
やがてリゼリタは虹色に輝く光を放ち、その腕を足を、鋭い骨ばったフォルムに変えていく。
「……愚神だ」
erisuはつぶやいた。
「ららら、もともとは人。けど、愚神に取り込まれてその意思も記憶も、何もかもを奪われてる」
「わかるの?」
春香はerisuに問いかけた。
「らら、不協和音が聞こえる」
「どっちにせよ」
春香は二人を交互に見て告げた。
「戦う必要があるみたいだね」
解説
成功条件 『リゼリタ』の殺害
失敗条件 『クリスティア』がこの場で死亡する
今回の戦場ではデクリオ級愚神である『リゼリタ』と従魔に取りつかれた『クリスティア』が互が互いを取り込みあおうとする。
そんな戦いの中に放り込まれた形になります。
ちなみに、クリスティアは生命力を0にすると気絶扱いになるので殺す必要はありません。というより殺害してしまうと周囲に毒がばらまかれて非難完了していない一般人が死にます。
● ステータスについて
『リゼリタ』ステータス
物理攻撃力高めのバランスタイプ。
攻撃方法は長い爪での近接攻撃と。霊力を打ち出す射程20程度の物理攻撃。
自分の一部を地面から生やし砲塔として利用することが可能。
この砲塔は一定ダメージを与えると破壊できる。
また地面に根を張っている限りターンの終わりに生命が一定数回復するので注意。
クリスティアを優先的に攻撃する。
『クリスティア』ステータス
全身に蔦をからませた姿。近接攻撃を挑むと自動で触手が反撃してくる。
基本攻撃は蔦での近距離攻撃。棘を飛ばすことによる
すべての攻撃にBS減退を付与する
また、特殊BS【邪毒】を付与する棘を射出する。飛距離が40と長めで受けると減退の効果を強化する。邪毒は累積し、邪毒攻撃を受ける度に効果が上がっていく。
クリスティアの攻撃目標は全員、無差別に従魔に操られるように周囲を攻撃する。
●戦場について
今回は花畑です、広さは一辺50SQ程度の広さで。障害物や厄介なトラップ等何もありません。
ただリゼリタとクリスティアの間は10SQ程度しか間がなく。
PCは特に希望しない場合二人に挟まれた位置からスタートです。
希望すれば別位置からスタートも可能です。
マスターより
こんばんは、鳴海です!
今回はWDの番外編です、ペインキャンセラーのお話を楽しみにされている方はごめんなさい、この次は正式にそのお話をリリースするつもりです。
今回は三つ巴の戦い、しかも片方は守らないといけないので、戦略性と同時に様々な葛藤があるかと思います。
それを生き生きと描けたらなぁというのが今回の目標です、よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/01/01 15:23
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NPC質問卓
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谷間の姫百合(相談卓)
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