本部
【白刃】碧のニンフォマニア
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/20 22:00
- 完成予定
- 2015/10/29 22:00
掲示板
-
作戦相談枠
最終発言2015/10/19 23:30:08 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/18 22:05:09
オープニング
●H.O.P.E.
「……老害共が、好き放題に言ってくれる」
H.O.P.E.会長ジャスティン・バートレットが会議室から出た瞬間、幻想蝶より現れた彼の英雄アマデウス・ヴィシャスが忌々しげに言い放った。
「こらこらアマデウス、あまり人を悪く言うものではないよ」
老紳士は苦笑を浮かべて相棒を諌める。「高官のお怒りも尤もだ」と。
愚神『アンゼルム』、通称『白銀の騎士(シルバーナイト)』。
H.O.P.E.指定要注意愚神の一人。
広大なドロップゾーンを支配しており、既に数万人単位の被害を出している。
H.O.P.E.は過去三度に渡る討伐作戦を行ったが、いずれも失敗――
つい先ほど、その件について政府高官達から「ありがたいお言葉」を頂いたところだ。
「過度な出撃はいたずらに不安を煽る故と戦力を小出しにさせられてこそいたものの、我々が成果を出せなかったのは事実だからね」
廊下を歩きながらH.O.P.E.会長は言う。「けれど」と続けた。英雄が見やるその横顔は、眼差しは、凛と前を見据えていて。
「ようやく委任を貰えた。本格的に動ける。――直ちにエージェント召集を」
傍らの部下に指示を出し、それから、ジャスティンは小さく息を吐いた。窓から見やる、空。
「……既に手遅れでなければいいんだけどね」
その呟きは、増してゆく慌しさに掻き消される。
●ドロップゾーン深部
アンゼルムは退屈していた。
この山を制圧して数か月――周辺のライヴス吸収は一通り終わり、次なる土地に動く時期がやって来たのだが、どうも興が乗らない。
かつての世界では、ほんの数ヶ月もあれば全域を支配できたものだが、この世界では――正確には時期を同じくして複数の世界でも――イレギュラーが現れた。能力者だ。
ようやっと本格的な戦いができる。そんな期待も束の間、奴らときたら勝機があるとは思えない戦力を小出しにしてくるのみで。弱者をいたぶるのも飽き飽きだ。
「つまらない」
「ならば一つ、提案して差し上げましょう」
それは、突如としてアンゼルムの前に現れた。異形の男。アンゼルムは眉根を寄せる。
「愚神商人か。そのいけ好かない名前は控えたらどうなんだ?」
アンゼルムは『それ』の存在を知っていた。とは言え、その名前と、それが愚神であることしか知らないのであるが。
「商売とは心のやり取り。尊い行為なのですよ、アンゼルムさん」
「……どうでもいい。それよりも『提案』だ」
わざわざこんな所にまで来て何の用か、美貌の騎士の眼差しは問う。
「手っ取り早い、それでいて素敵な方法ですよ。貴方が望むモノも、あるいは得られるかもしれません」
愚神商人の表情は読めない。立てられた人差し指。その名の通り、まるでセールストークの如く並べられる言葉。
「へぇ」
それを聞き終えたアンゼルムは、その口元を醜く歪める。
流石は商人を名乗るだけある。彼の『提案』は、アンゼルムには実に魅力的に思えた――。
●奈良県某山
「深入りし過ぎた!」
群がり来る緑の触手を槍で払い、和波アキラは後悔の叫びを上げた。その周囲には、今払ったのと同じ触手が地面から無数に生えている。ベトベトの粘液を分泌する触手は、時にそれを水弾の様に射出し、執拗にアキラを絡め取ろうする。
「何とか斬り抜けないと!」
向かってくる触手を払い退けたアキラの頭の中に、イルミア・フローレントの言葉が響く。
「わかってる、でも――」
――生駒山周囲で頻発する従魔発生事件。山にその兆候が見られるという付近住民からの一報を受け、HOPEはそこに調査隊を派遣することに決めた。
だが、絶賛人手不足中のHOPEは、不確かな事案に多くの人員を割くことは出来ず、護衛のアキラを含む少人数の人員を派遣するに留めた。任務は従魔の討伐ではなく、事件が従魔絡みだった場合の報告。
だが不運にも、彼らがただの草群と思い踏み込んだそこに、従魔は居た。元より本格的な戦闘は想定していない編成。アキラは調査員達を逃がそうと、必死に槍を振るったが――。
「数が多すぎる――!」
苛立たしげに叫んだ瞬間、アキラの目にトーガの様な緑の衣を纏う儚げな印象の女が映った。伝説にあるニンフの様に美しいその女に、病的な程透明な笑みを投げかけられたその瞬間、アキラは構えていた槍を取り落とす。
「アキラ!?」
頭の中に響くイルミアの声。アキラはその声が聞こえないかの様に、夢現の面持ちで無防備なまま女の方で歩み出す。不思議なことに、触手達も道を空けるかの様に身を引き、アキラは何の妨害も受けず女の元へと辿り着いた。そして、女はアキラの首に両腕を回し、恋人同士がする様にその体を抱きしめる。
「ミュー」
女の口から甘えた猫の様な声が漏れる。女……いや、そうではない。それは植物型従魔の一部だ。本体は女の足下には広がる粘着質を帯びた大きな葉。女に見えるのは、花の部分が特異に変異した物だ。
「目を覚まして、アキラ!」
花の誘惑に捕らわれたアキラに、再度イルミアの声響く。アキラはその声に漸く呪縛から逃れたが、時既に遅い。手に武器はなく、足は粘液に捕らわれている。そして、周りには無数の触手。
「しまった……!」
周りには、同じように捉えられた調査員や野生動物がいた。不思議なことに、皆外傷はなく、命に別状もなさそうだ。アキラはそのことに気付き、咄嗟に際どい決断を下した。
「アキラ!?」
突然リンクを解除したアキラに、イルミアは狼狽の声を上げる。
「イルミア、幻影蝶に入って!」
切迫した声に、イルミアは訳も分からず言う通りにする。イルミアが幻影蝶に入ったのを確認すると、アキラはそれを触手が林立する輪の外へと放り投げた。
「何を!?」
従魔の輪から抜け出したイルミアは、幻影蝶の中から出て叫ぶ。
「僕たちじゃこの従魔を倒せない……イルミナ、下山して他の能力者を連れて来てくれ」
「馬鹿な、アキラを見捨てて――」
言おうとするイルミアを制し、アキラは自分の考えを言う。
「気付いたんだ、従魔達は僕や捕らえた人達を攻撃して来ない。推測だけど、この従魔は捕らえた獲物から時間を掛けてライヴスを奪うんだろう。だから、完全にライヴスを奪われる前にこいつを倒せば、僕もこの人達も助かる」
「それは――」
尚も躊躇するイルミナを、アキラは再び制した。
「感じるだろう、イルミア。僕たちの契約は途切れていない。『誓約』は破られていないんだ」
アキラとイルミアの間に交わされた誓約。それは「絶対に諦めない」こと。
「犠牲になるつもりじゃない――君を信じてるんだ」
その言葉に、イルミアは決意を固めた。アキラ言う通り、再びリンクしても敗北は目に見えている。不安は胸の内に満ちていたが、イルミアはそれを負いその場を走り去る。
「頼んだよ、イルミア……」
アキラはそう呟くと、孤独な戦いに身を投じた――。
解説
●目標
従魔の撃破及び捕らわれた人々の救出。
●登場
デクリオ級従魔「ニンフェット」
粘着質の大きな葉の上に、少女の姿をした花を持つ従魔。
花に見つめられた者は魅了の対象とされ、特殊抵抗に失敗すると武器を捨て無防備に花の方へ向かい、最終的に葉の粘液に絡み取られます。
この能力は性別に関係なく効果を発揮します。同時に魅了できる対象は一人で、魅了された後も毎ターン抵抗判定が可能。成功すれば魅了は解けます。
移動力を基準とした判定に成功すれば葉からも抜け出せますが、抜け出しを試みたり、攻撃をしてくる相手には、少女の背から生える蔦が攻撃を仕掛けて来ます。蔦は複数対象に攻撃可能。じっとしている相手には攻撃しません(魅了はします)。
今のところ移動能力は無く、近づいてきた獲物を誘因、捕獲し、ライヴスを吸収しています。
ミーレス級従魔「モウセンゴケ」
粘ついた触手の従魔。ニンフェット同様動くことは出来ませんが、伸びる触手で『拘束』を行ってくるほか、高圧の粘液を飛ばして射程の長い攻撃を行います。粘液は並みの木を打ち倒す程の威力がある上、回避を下げる効果も付随。
生命力は低く、イルミアによればアキラの一撃で活動を停止しました。無数に生えており根絶は困難ですが、実はニンフェットと地下で繋がっており、ニンフェットが倒れた場合全て枯れます。獲物を捕らえるほか、遠距離武器による狙撃からニンフェットを守るという役目も負っています。
両者とも熱源探知の様な器官を持ち、物陰に隠れた動物、人間なども正確に補足してきます。
●状況
従魔の居場所は山中ですが、GPSで正確な場所が分かっており迷うことはありません。また、この任務に同行するイルミア・フローレントも、現地への道筋を憶えています。
ニンフェットがライヴスを吸い尽くすのに、どれだけの時間が掛かるかは不明ですが、救出は早い方が良いでしょう。
マスターより
今日は、白田熊手です。
何やら不穏な事態が起こっている様で、この事件もその影響でしょうか?
何にしても、目の前の危機を放ってはおけません。和波アキラや他の捕まった人を助け出してあげて下さい。
リプレイ公開中 納品日時 2015/10/26 19:44
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最終発言2015/10/19 23:30:08 -
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最終発言2015/10/18 22:05:09