本部
雨の子供と大人
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/06/13 12:00
- 完成予定
- 2017/06/22 12:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/06/12 10:44:02 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/06/11 12:01:11
オープニング
「あめあめ、ふれふれ、かあさんが。じゃのめで、おむかえ……うれしいな」
雨のなか小さな女の子がビニール傘を振り回す。
それを危ないと注意する大人はそばにおらず、一緒に歌う友人も彼女にもいない。それでも彼女は、楽しそうに歌う。
「ぴちぴち、ちゃぷちゃぷ、らんらんらん」
雨の中には、彼女だけしかいなかった。
●
「川沿いの住民の避難は終了しました」
H.O.P.Eの職員が、一時的に支部となった市民会館へと報告に赴く。この街では、振り続ける雨の影響に悩まされていた。町の中央を流れる運河は今にも氾濫しそうで、H.O.P.Eの支部にも避難勧告がでていた。
「ますます強くなってくな、雨」
職員は、市民会館の窓から外を覗き込む。
雨の勢いだけではなく、風まで出てきた。普通に傘をさして歩けない雨風の強さである。なにか用事があって外に出るときは、雨カッパが必要であった。
「まさか、子供を自転車で幼稚園に送り届けるときにつかっているカッパを仕事で使う日がこようとはな」
二児の幼稚園生の父親でもある職員は、皮肉げに笑った。
その笑みを見た後輩職員は、合点がいったとばかりに手を叩く。
「ああ、だから先輩のカッパって猫のキャラクターが背中に描いてあったんですね」
「こういうのが描いてあると、雨の日でも子供が喜んで幼稚園に行ってくれるんだぞ。猫ちゃんと一緒にいこうねー、って」
今日もそうやって送ってきた、と職員は言う。携帯をこまめに確認しているのは、きっと幼稚園からの電話待ちであろう。子供が通っている幼稚園はここから遠いが、それでも気になってしまうのが親心というものだ。
「あっ!」
職員の一人が、声を上げる。
「子供が外に出てるぞ。連れ戻してくる!!」
職員は、そういって外へと飛び出していく。
「ちょっと待ってください。この雨では、先輩も危ないですって。戻ってきてください――イシズ先輩!!」
●
外に飛び出した職員は、市民会館の窓から見た少女を追いかける。十歳前後のおさげを作った可愛らしい女の子だった。好奇心旺盛な年頃だから、きっと大雨が珍しくなって出てきてつしまったのだろう。
「君、ちょっと待って!! おかあさんのところに帰ろう。ここは危ないから……」
職員が、女の子に向かって手を伸ばす。
「だぁめ」
女の子が振り返る。
その顔は、右半分が病にでも犯されたかのように黒ずんでいた。
「お迎えが来るのは、おかあさんって決まっているでしょう。おとうさんは、五十点なの!!」
何を言っているのだろうか、と職員は首をかしげる。
「でも、今日は大雨だからサービス。みんなー、ご飯だよ!!」
女の子が空に向かって叫ぶ。
降ってきたのは、蛇の目傘の従魔。
「うっつ、わぁぁぁ!!」
職員は悲鳴を上げて、ずっと握っていた携帯を地面に落とした。
●
「あの……ニュースでH.O.P.Eの支部がこちらに一時的に移動したと聞いたのですが?」
市民会館にかかってきた電話は、幼稚園からであった。どうやらイシズが子供たちを預けている幼稚園らしく、保護者と連絡が取れないから職場に電話をかけたということらしい。
「イシズ先輩は、ちょっと外に出ていて……あれ? 本人の携帯に電話って通じなかったんですか?」
「はい。何度電話しても出てくださらなくて、この雨ですからちょっと心配になって」
すでにイシズが外に飛び出してから三十分が経過している。
子供を保護しているにしては、遅すぎる。
「すみません。ちょっと、こちでも先輩を探してみます」
電話を切ろうとしたその時、職員の耳に園児の声が聞こえてきた。
「せんせー、雨がふってるからサヨちゃんが来ちゃうよ。おとうさんがお迎えにきた子は、サヨちゃんが連れて行っちゃうんだよ」
「失礼ですが、サヨちゃんってなんですか?」
職員の質問に、幼稚園の保育士は言葉に詰まる。
「その……数年前に行方不明になった女の子のことなんですよ。両親が離婚して母親が親権を持ったんですけど、父親がサヨちゃんを誘拐してしまって……その三日後に父親の死体が見つかりました。警察は自殺だろうということでしたが、サヨちゃんは見つかっていません。サヨちゃんはここの園児でしたし、当時はかなり騒がれた事件ですから……いつのまにか雨の日にお父さんが迎えに来た子はサヨちゃんに連れて行かれるなんて噂が経ってしまって」
幼稚園にいつまでも流れる怪談だったようだ。
「嫌なことをきいてすみませんでした。こっちのほうは、念の為にリンカーと協力して先輩を探すんで」
「待ってください」
思い出したように、職員が声を出す。
「当時の話なんですが……サヨちゃんには愚神が付いているんじゃないかって噂もあったんですよ。両親が離婚したばかりだったが不安定だとも思われてはいたんですが……」
●
「おかーさん」
サヨは、傘を振り回しながら自分のなかにいる母に甘える。
「おかーさんが迎えに来たら、百点。おとうさんが迎えに来たら、五十点」
ゲームを楽しむように、サヨは歌う。
「二人ともちゃんと殺せたら、二百点満点!!」
サヨの足元では、H.O.P.Eの職員が転がっている。
辛うじて息はあるが、雨風のせいで体力は奪われ続けている。放っておいても、彼はほどなくして死ぬであろう。
「さよなら、おとうさん。みんなのごはんになってね」
幼いサヨの手が、どんどんと大きくなる。
幼い丸い顔立ちが、大人の女性のものへと変化していく。
『いただきます』
美しい女の姿となった愚神は、職員を抱きかかえて自らの胸にうずめた。職員の肉体は、女性の愚神のなかへと段々と取りこまれていった。
解説
・愚神の討伐。
・職員の保護
避難警報発生中の街(昼)……近くに川があるために、避難指示がでている。雨風が強く、傘を差しながらの歩行は非常に困難。また視界が悪く、雨音のために会話もしづらい。住民の避難は完了されており、住宅街だが人気は皆無。
サヨ……数年前に行方不明になった園児に愚神がとりついている。愚神と彼女を切り離すことは可能だが、サヨは自分に愚神がとりついているとは思っていない。戦闘の最初のみサヨの意識が前に出るが、攻撃を受けると愚神が前に出る。
愚神……サヨが大人になったような姿。取り込んだ職員のライブスを吸収し、攻撃力に回している。
母の愛の手――触れることによって相手のライブスを吸収する。愚神の攻撃力は上がるが、職員の負担は減る
母の歌声――雨のなかでも不思議と響く声で歌い、相手の眠気を誘う。側にいるものを眠らせてしまうが、愛の手でライブスを吸収されることで元に戻る。
子供の敵――両手を鎌状に変化させて素早く攻撃する。心臓などの急所を優先的に狙う傾向がある。
母の牙――両足を鎌状に変化させて、素早く攻撃する。足などを重点的に攻撃し、機動力を削ごうとする傾向がある。
従魔……蛇の目傘に目玉と舌が付いている。サヨの状態では愚神を守ることを優先するが、愚神状態では積極的に攻撃に転じる。なお、途に跳ねるようにして動く。傘を閉じた姿が、スタンダード。多数出現。
子供の遊び相手……傘を開いた防御態勢。サヨを取り囲み、相手の攻撃からサヨを守る。
子供の思い出……傘を開いた状態で回転し、相手に体当たりする。鋭い切れ味を持つ。
子供の守り手……劣勢になると発動。相手に近づいて自爆する。
マスターより
こんにちは、落花生です。
今回は雨のなかでのお話です。
大雨って洗濯物を干せないので、憂鬱です。
リプレイ公開中 納品日時 2017/06/18 15:13
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相談卓
最終発言2017/06/12 10:44:02 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/06/11 12:01:11