本部
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 5人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/03/12 19:00
- 完成予定
- 2016/03/21 19:00
掲示板
-
質問卓
最終発言2016/03/09 14:59:43 -
相談卓
最終発言2016/03/12 23:25:43 -
深読み卓
最終発言2016/03/11 23:07:24 -
プレイング卓
最終発言2016/03/12 18:54:51 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/03/08 19:54:20
オープニング
●変わってしまった男
香港九龍支部、最上階の支部長室にて。
「もはや、時は来たれり……」
――H.O.P.E.に潜んだ“蟲”を燻りだす。
そのための人員の選抜も済ませた。霍凛雪(az0049)は一冊の報告書から視線を上げる。
「ナレイン・ミスラの件ですね」
湖残(az0049hero001)はティーポットを取り、支部長のカップに紅茶を注いだ。赤く揺れる水鏡に、悲しげな少女の表情が映る。
「彼は優秀な指揮官だった。職務に忠実でありながら、手柄を急くことはせず、事前調査や人命の扱いには実に慎重な男だった。強硬手段を行使する作戦一課の長は彼を置いて他にないと思っていたわ。しかしご覧なさいな、この報告書を……麻薬精製所と強引に決め付け、強制捜査した倉庫は実際には密造酒の工場。挙句ほぼ一般人だけの相手に対し、無制限の攻撃を許可するなど言語道断」
現場の良識的な判断によって皆殺しという最悪の結果は免れたものの、古龍幇や親派地元団体からの非難声明は高まるばかりだ。
「人の心は移ろうもの。そう言ったのは、彼自身でしたね」
「……課長のご処分を?」
「ナレイン・ミスラは、おそらく“蟲”の息のかかった者。
彼が己に課してきた素晴らしい理念――これで、彼を追い詰めます」
支部長は座面を回し、眼下の夜景の暗がりをじっと睨みつけた。
――さあ、姿を現すがいい。
古龍幇と我々を争わせ、その血を啜る輩。
その正体を暴いて差し上げましょう。
●粋な計らい、その実
「私に助手など不要と申し上げたはずですが」
今朝、依頼を受けたエージェントたちはH.O.P.E.香港九龍支部作戦部第一課長ナレイン・ミスラの期間限定助手として出勤していた。課長本人は神経質で有名であり、余計なことをとでも言いたげな様子だ。固めた前髪はやや乱れ、過労故か表情は険しい。急増する古龍幇関連事件の対応で、作戦部各課は猫の手も借りたい状況……職員たちはこのエージェント派遣を支部長の慮りとしてありがたく感じていた。
エージェントたちはそれぞれに課長の様子を伺う。実際には、これは極秘裏内偵調査の依頼だった。
●前夜、香港国際空港
「香港か……久しぶりだな」
降り立ったのはH.O.P.E.ジャカルタ支部に勤めるオペレーター・ハシム。彼にはH.O.P.E.五大支部に名を連ねる香港支部で作戦一課の課長をしている自慢の友人がいた。しかし数か月前から音信不通の状態が続いている。仕事で香港を訪れたハシムは、ついでに友人の様子を見に香港支部に立ち寄るつもりだった。彼はその友人と最後に電話をしたときのことを思い返してみる。
『俺だ。元気かナレイン?』
『申し訳ないが……お喋りする気分ではないのです。用件だけにして頂けますか』
『どうした? 大丈夫か?』
『いえ……その、この間の賭博場の摘発なんですが、どうも私の勘違いだったみたいで。
家宅捜索の結果を見ても、一般警察が対応すべきような普通の闇賭博場でした』
『ああ、古龍幇の構成員がその騒ぎで階段から落ちて死んだっていう事件か。
お前らしくないミスをしたな……でも、間違いは誰にでもあるさ』
しっかりしろ、と励ましてその場を終わった。思えば友人はそういう私情を他人に打ち明けるタイプではないから、きっと一人で色んなことを考えただろう。次に電話したのはその一週間後で、その時の様子はこうだった。
『ようナレイン、調子はどうだ?』
『……簡潔に用件のみでお願いします』
『な……お前なあ。俺は心配してたんだぞ?』
『……何故ジャカルタ支部のあなたが、私を心配するのですか?』
『言うね。俺以外に、ろくに友達なんていないくせに』
友人は信念を強く持っている男だった。だから、元に戻ったといえばそれだけのことだ。しかし、ハシムはその態度にどこか違和感があった。それ以来彼の電話は室長止まりで友人に繋がった試しがなく、違和感の正体は確かめられずにいた。ハシムはプライベートの携帯電話を取り出し、以前教えてもらった友人の自宅の番号をコールする。
「やはり出ないか……引っ越したのかもしれないな。アポなしで訪問するのは気が引けるが、仕方ない」
……ナレイン・ミスラの自宅、誰もいない部屋で、電話のベルが鳴っていた。この家の主はもうずっと家に帰っていない。郵便受けはメールでいっぱいで、ドアノブや水道の蛇口ですら薄く埃を被っていた。ナレイン・ミスラはもうこの部屋を必要としていなかった。何故なら――
「……」
繁華街の表通りを一歩離れると、喧騒は遠く、人気のない路地は別世界のように暗い。飲食店の裏口に置かれたゴミ箱の上で、猫が彼を訝しげに見ていた。薄明りに長く伸びた影は、周囲に誰もいないことを確かめ、頭の部分を怪物のそれに変化させ……猫を食べてしまった。からん、とゴミ箱の蓋が落ちたが、音はそれだけ。
(……やはり、動物では効率が悪すぎますね。明日の夜にでも、一人殺りましょう……)
街灯の下へやってくると、その者の姿が露わとなる。エリート然としたオールバック姿、スーツの男。顔面には走った幾筋もの亀裂はゆっくりと閉じ、眼球がぐるぐる回って通常の位置に落ち着き……首を鳴らす頃には、入れ物の顔に戻っている。何食わぬ顔で、彼は香港の雑踏に紛れた。
ナレイン・ミスラという人間は、もういない。
解説
概要
霍凛雪支部長直々に、ナレイン・ミスラ課長の内偵調査を依頼されました。職務不適合を証明するのが目的ですが、その過程で新しい事実が判明するかもしれません。
調査
実施可能な調査は以下の4つです。
・秘書
・お茶子
・張込
・尾行
秘書は書類整理などを手伝いながら、過去の事件に課長の過失がなかったか調べることができます。お茶子は職員たちに飲み物を振る舞ったりお喋りをして、オフィスに潤いを与える仕事です。課長の家は分かっており、その周辺も探れます。調査終了後は支部長に報告し、指示を待ちましょう。1PCにつき一つの調査しかできず、英雄と別行動の場合は描写が減ります。
PL情報
・訪問者
OPに登場したハシムという男が課長に面会を求めてきます。課長はそんな者は知らないと取り合わず、やがて男は諦め、去っていきます。
・会員制賭博場強制捜査
OPに登場したこの事件を機に、課長は家族や友人に反応しなくなりました。課長は被害急増に焦りを感じ、古龍幇過激派の根城と時期尚早に断定してしまったのです。
・正体
OPで登場した課長の正体は、実際に彼が人を襲う場面を目撃すれば確実に知ることができるでしょう。課長は終業後に繁華街の人気の無い裏路地へ向かいます。課長は人目を気にしているので、サイレンや話し声などに気付いた場合、逃亡します。
危険な判定になる場合
・なぜその行動に至ったか分からないとき
PL情報を前提としたと判定されやすいです。
・内偵が発覚したとき
課長はその時点で逃亡し、取得情報量が減ります。
・戦闘が発生するとき
調査依頼のため、武器を所持していないものとされます。
・職務中の支部長への情報確認
怪しまれるのでできません。
状況
・第一課オフィスは香港支部の一角です
・課長の家はオートロックマンションです(家宅侵入は内偵の範疇外です)
・繁華街は混雑していて、見失わないよう工夫が必要です
※●前夜、香港国際空港章はPL情報です。
マスターより
こんばんは。心の隙は誰にでもあります。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2016/03/19 21:08
参加者
掲示板
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質問卓
最終発言2016/03/09 14:59:43 -
相談卓
最終発言2016/03/12 23:25:43 -
深読み卓
最終発言2016/03/11 23:07:24 -
プレイング卓
最終発言2016/03/12 18:54:51 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/03/08 19:54:20