本部

刀憑き

binky

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 6~8人
英雄
0人 / 0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/09/30 14:08

掲示板

オープニング

●憑かれた男
 しゃり、しゃり。

 ここは何時代だ。そう、つぶやきたくなるような、平屋造りの日本家屋。ただ、ドラマや映画で見られるような手入れの行き届いた美しさはない。障子に無数に貼られた半紙は光をかなり遮っているし、ぎしぎしと鳴る床板は不安しか感じさせない。救いを求めて屋根をのぞけば、ぺんぺん草の影が見える茅葺屋根が、ただでさえ重々しい印象を余計に増幅させてくる。
 ほとんどお化け屋敷だ。
 はやく帰りたい。
 きっと全員が、そう思っていることだろう。
 それでも、なんとか飛び出さずに奥を見れば、痩せた男がひとり座っている。こちらに背を向けて、なにか作業をしているようだ。

 しゃり、しゃり。

 おそらく、この家の主である。
 引き戸のところに立てかけられていた板に書かれていた『骨董あります』の文字は、たしかにブリーフィングで聞いた情報と合致している。
 某県山間部。限界集落と言っても大げさすぎない程度の、さびれた町。
 その一番はずれの、時代に取り残されたような一軒家が、依頼の目的地であった。
 事の発端は、ある好事家が先日ここを訪れたことだ。
 ここは、一応知る人ぞ知る骨董屋であるのだそうで、その好事家は、刀を求めていたらしい。そして、主に、こう聞いた。
 刀はあるか。
 主はこう、答えたという。
 この刀を盗みに来たのか。
 そのとき、それまで気難しそうではあってもそれなりの顔をつくっていた店主が、形相を変えた。命からがら逃げだしたらしい好事家の弁によると、まさに鬼そのものであったとか。
 刀を振りかざして、おれを斬るつもりだったんだ。ためらいもなく。あの野郎、本気でおれを殺そうとしやがった。
 相当におそろしい思いをしたようだが、それでも、以前から懇意にしていたのだという好事家は、主の身を案じた。もともとそんなおかしなことをする人間ではなかったのだそうで、好事家曰く、先日蔵の掃除をして刀を見つけた、と言ってから、主は様子がおかしくなったのだという。
 その、蔵にあったとかいう刀のせいだと思うんだ。聞けば、本当に妖刀ってものはあるらしいじゃないか。警察に行こうかとも思ったんだが、馬鹿にされるにきまっている。もう、あんたがたしか頼む相手がいないんだ。
 受付係によれば、好事家は、そう話していたという。
 妖刀。
 むかしからそう表現されてきたものは、たしかに、存在する。
 もっとも、その言葉が生まれたころの事情は不明だが、すくなくとも、いま、H.O.P.E.においてそう呼称されているものは、従魔が取りついた刀のことだ。
 ただし、好事家が気づいていなかっただけで、主がもともとそういう人間であったという可能性も捨てきれない。
 従魔の憑りついた刀……妖刀のせいで主はおかしなことになったのか。
 それとも、主自身の凶暴性が発揮されただけなのか。
 見極める必要はある。そういうことで、依頼は正式に動き出したのだ。

 古くなった畳がきしむ音に、主が振り返る。

「冷やかしなら帰ってくれ」

 ごとり。
 濡れた砥石が、その無骨な手から滑り落ちた。
 横たえられた刀身が、異様に輝いているように見えるのは、気のせいだろうか。

 店主は民間人です。危害を加えることは避けてください。
 また、店内および蔵の内部には多数の貴重な骨董品が収蔵されています。骨董って、高いものは高いのだそうですね……。
 興味津々で資料を読み上げていた説明係の若い女の声が、各々の耳に今更ながらよみがえった。

 軒先の萱の先から落ちたらしい雨粒が、やけに大きく声を挙げた。

解説

●目標
 店主から刀を奪い、正気に戻す。

●登場
・骨董店店主
 小柄で痩せており、とても弱そう。剣道経験など、刀での戦いに長けているということはない。だが、従魔が依代としている刀を持っており、様子がおかしい。

・妖刀
 従魔に依代とされている日本刀。かなりの一品。

・骨董店店舗と骨董品
 平屋造りの日本家屋の店舗の奥に、蔵がひとつ建っています。どちらにも多数の骨董品が収蔵されており、また、建物自体も古く価値があります。

●状況
 骨董店の周辺に人家はなく、人通りもない。
 日中だが、雨が降っており、また、屋内であるためかなり暗い。
 店内はごちゃごちゃと骨董品が散乱しているため足場が悪く、間取りも広くない。

リプレイ

●放っておいたらおそらく怪談
「どうだった。様子は」
「うん、ばっちりホラースポット一歩手前だよ」
 店から歩いて一分ほどのところにある、ほそいトンネル。様子を見に行った四人が戻ってくると、天原 一真(aa0188)が、三白眼をそちらへ向けた。一見不機嫌そうなほどの表情の乏しさだが、そうでないことはもう全員が把握している。
「そうやないやろ」
 それでも、ウインクしながらの穂村 御園(aa1362)の報告に光の速さでツッコミを入れたゼロ=フォンブラッド(aa0084)の言葉は、総意であったのに違いない。
「ご主人は顔こそ落ち着いてはいましたが、予告状をかなり気にしているようでした。晴海 嘉久也(aa0780)さんの事前工作も効果が出ているのでしょうね。雰囲気については、穂村さんの言う通りです」
「脇に紙切れが何枚か落ちていたな。破いたのに捨てないでいるのは気にしているってことだろう」
 静かに補足するエステル バルヴィノヴァ(aa1165)に、雁間 恭一(aa1168)がさらに付け加える。
「幸い、ある博物館に所蔵されている刀に似た拵えのものがありましたので、その話をすこし振っておきました。素人が、ただの古物と名品の区別がつかないのはよくある話ですし。それに、ご主人も目は肥えているのでしょうが、プロの鑑定士ではありません。狙った効果があったならありがたいですね。もちろん、評価していただけるのも。
 それで、問題の妖刀は」
「それっぽいもの、っていうのは見つからなかったかなあ」
 今度は、穂村も茶化さない。
 店内は整理されていたものの、とにかくものの数が多くて、とてもあの短いあいだに目星を付けることはできなかった。
「それじゃ、作戦通り状況開始、ですね」
 芹沢 葵(aa0094)が、ぐっと拳を握りしめる。それを合図に、手櫛で長い髪をいじっていた橘 雪之丞(aa0809)は舞うようなしぐさで傘をひろげた。
「さあて、準備は万端、役者は揃った。雨だれ三味線の調子も良いし、ひとつ唄ってくるかねえ」
「俺も民間人が来ないように見張っておくか……」
 首を伸ばして見上げれば、出立前からむずかっていた雨雲はさらに機嫌を悪くして、怪談を仕立てるにはぴったりの空模様になっている。
「よろしくお願いします。それにしても、雨の中の任務って本当に気が滅入りますね」
「うん。雨やだなあ……」
「なあ、だれかツッコんでくれてもいいんやで……」
 トンネルを出て行く橘と天原を見送り、思い思いに準備をはじめた五人に向けてゼロがつぶやく。黒の仮面と黒マント、どこからどう見ても完璧ないでたちで現れたにもかかわらず、集合してからいまに至るまで、まだ話題には上っていない。
「えっと、そのマント、撥水機能あったりするのかな」
「おまえ、わかっとってやっとるんよな」

●いざ刀狩り
 がらがらと戸を引いて中に入ると、湿気と冷たい土間のにおいが鼻腔を通り抜ける。ハンカチで髪を拭いながら、だれかいやしませんかねえ、と橘が声を挙げると、土間の奥から店主が出てきた。筋の浮いた手がぬれている。先ほどまで刀を研いでいたらしいから、使っていた水を捨てに行ったか、手を洗っていたのだろう。刀を売るにしろ集めるにしろ、自分で研げる人間はすくない。その点では、大変熱心な仕事人だ。
「やけに客が多い日だな。なんの用だ」
「これでも剣をちっとばかり嗜んでいてね。一振りほしくなったのさ。ま、どうせ求めるなら一級品をってことでここを探し当てたのよ」
「ほう」
 本当ならもうすこし話を長引かせて、と思ったが、店主はすでに充分に機嫌が悪そうだ。橘は予定を変更して、早めに要件を切り出した。
「こちらになんでも『蔵で見つかったばかり』の刀があるそうで。人に知られていない刀なんてちょっとロマンじゃありませんか。それを見せてもらえませんか」
 ぎょろり、と落ちくぼんだ目が橘を見据える。一見すると、ただの眼光鋭い男、ではあるが。
「値がはるよ」
「え、」
「稽古なら木刀で充分だ。真剣が要るにしても、年代物はお嬢ちゃんの財布じゃ荷が重い」
 激昂するかと思いきや、至極真っ当な断り文句が帰ってきて橘は面食らう。それでも、事前に決めた配置についた仲間たちが、橘の合図をいまかいまかと待っているのだ、気を取り直して食い下がってみる。とりあえず、女と見間違えられたことについては放っておく。
「目の保養って言葉もあるじゃあございやせんか。ご明察の通りあたしの財布は素寒貧、立派な刀なんて買えやしない。けど、見てみたいのよね」
「ふん」
 橘のさばさばとした態度がお気に召したか、はたまた見せるだけなら、とでも思ったか、店主はごそごそと奥の方から一振りの刀を持ち出してきた。なんの装飾もない、ぱっと見た限りでは、古いにしろ、ただの刀だ。だが、事前に調べておいた情報とぴたりと一致するその細かな特徴に、橘は、ハンカチをしまいながら自然なしぐさでポケットのスマホを操作した。
 一秒、二秒。
 三秒。
 ぱあん。
「さ、約束通りお宝頂きに参りました。我が名は怪盗∞(インフィニティ)!! 小物には興味がない! あなたの1番私に捧げていただこう!」
 やけに空気を読む雷とともにゼロが現れたのは、なんと店主のすぐ後ろだ。音を立てて開いた襖と、怪しすぎる見てくれのゼロとに、店主のみならず橘までもが反射的に構えてしまう。ただでさえ薄暗い店内で、ばさっと広がるそのマントはまるで巨大なコウモリのようだ。
「おおっと、その抱え込んだ一振りが、あなたの1番なのかな」
 畳をきしませて悠々と近づいてくるゼロに、店主はわずかに迷いを見せた。だが。
「渡さんぞ……」
 しゃら、と、妙に輝く刀身が姿を現す。店主自身も、様子がちがう。機嫌が悪かったにしろ落ち着いてはいたのだが、いまや肩が上下し始めている。
 店内にあるものにどれほどの価値があるのかは未知数だ。なるべくなら、損壊は避けたい。橘は目配せをして、すこしだけ開けたままにしてあった戸を引き開けて外に飛び出した。一歩遅れて、ゼロが店主の脇を滑らかに身をかわして走り出る。裸足のままの店主が一歩、二歩、出てくる。作務衣の色が見る間に濃くなり、痩せた脹脛に点々と泥がはねた。
 そこで轟いた二度目の雷光は、雨が勢いを増していることよりも、妖刀と店主の異様な雰囲気を演出していた。だが、役に立っている面もあった。その音と光によって一瞬散漫になった店主の注意力が戻るよりはやく、新たな音が小気味よく響く。
「どやさ! 菜種油ボム! オリーブオイルもあるでよ?」
 待っていました、とばかりに野球選手のようなフォームで振りかぶった穂村の手から、ビニール袋が飛んだのだ。べちゃあっと破裂音がして、油が飛び散る。が、受け止めたのは刀ではなく店主の枯れ枝のような左腕だ。
「この状況下で刀をかばうとはっ……これはなかなかのコレクター魂!」
「パラノイアってうらやましいです。こんなに一つの物に執着できるなんて……」
 まるで武器ではないかのように、扇子でエステルが口元を覆う。
「感心している場合かよ」
 菜種油ボムを受け止めた店主が、切っ先を雁間に向ける。聞いている通り、たしかにその動きはなにもかもが素人のそれだ。踏み込み、重心の移動、心技体の面影もない。
「あまり長く暴れさせていると怪我をしかねませんね」
 真剣は重い。下手に振り回せば、自分自身を斬ってしまうこともある。晴海の懸念を杞憂にするためには、すみやかに刀を手から放させるしかない。
 まず、雁間と橘が武器を構えてじりじりと間合いを詰めた。戦い慣れている人間の迫力に気圧されて、店主が一歩、後ろへさがる。だが、ちらりと振り返ったその視界に映り込んできたのは。
「これはこれは、驚かれましたか」
 二人のゼロだ。
 むろん、片方はライヴスでつくられた分身なのだが、店主にそんなことはわからない。獣染みた声を挙げて、刀が振り回された。それをひょいひょいと躱しながら、ゼロが腰を落として機を窺う。あえて武器を用いるつもりではないと宣言していたから、徒手で刀を奪うつもりなのだ。半身の体勢然り、一見だらんと垂らされているように見えてきれいな弧を描いている両腕然り。店主がゼロの左肩を狙って振り上げかけた。踏み込むならいまだ。だが、ゼロはあえて踏み込んでいた足をむしろ引いた。いつの間にか髪と双眸を真紅に染めた晴海が背後から近づいていたのだ。晴海はそのまま、店主が刀を袈裟懸けに振り下ろしたタイミングで、掴んだ右肘を支点にして店主を螺旋状に引きずりながら引き倒した。もちろんしっかり右手首をひねって刀を落とさせることも忘れない。
「これで終いだな」
 晴海が刀を蹴り飛ばすと同時に、雁間が空いている店主の左膝を固めた。二人の抑え込み方は完璧だったし、仮にそうでなかったとしても、剪定のあとに散らばった枝のような店主にこの二人を押しのけて立ち上がることなどできはしないだろう。
 第一、従魔が憑りついているのは刀の方で、店主ではないのだ。
「よし、回収っと」
 そそくさと妖刀を脱いだコート越しに掴んで、穂村がほっとした顔を見せる。
「お嬢さんお嬢さん」
「ん?」
 ぬっと仮面、ゼロが寄ってきて、穂村のコートを指でとんとんとたたいた。雨水だけならまだしも、しみ出した泥も、ついでに先ほど彼女自身がぶちまけた油もすでにたっぷり吸い込んでしまっている。
「ひい……コート、一昨日買ったばかりなのに」
 あっと声を挙げて、穂村が青ざめる。すると、ゼロがマントの下からぱっと手を伸ばした。
「柳のごとく……この刀頂戴いたす。
 目的のものは頂きました。それではまたお宝と共にお会いしましょう」
「おおっ」
「えっ、ちょっと、ゼロさん!」
 脱兎のごとく駆け去っていくゼロに、芹沢が追いすがる。
「大丈夫。放っておきましょう」
「で、でも」
「あちらでは、天原さんが一般の方が立ち入ってしまわないように見張ってくれています。でも、それだけではありません。もちろん、怪しい方が通りかかっても対処してくれるでしょう。そう、要らぬトラブルを生まないために」
 黒マントの消えた方角を指さして、青い瞳は静かに微笑んだ。

●雨が止んで
 店内に運び込まれてから、しばらくはぼうっとしていた店主だったが、すぐにまた違う意味で混乱することになった。これは何本に見えますか、と穂村が真顔で猫のしっぽを模したストラップを一握りも突き出したり、異常に細かい刀剣の知識を雁間が立て続けに聞いたりしたからだ。言葉に加えて私かわいいでしょ、と言いたげな瞳と、絵に描いたような仏頂面とに挟まれて目を白黒させながら、それでも両方の質問に答えたため、見守っていたエステルからもう大丈夫だろうと判断された。彼女は店主が怪我を負っていないかについても気にかけていたが、幸いなことに足の裏を擦りむいた程度のことで済んだようだ。
 落ち着いたところで、店主はようやく、目の前にいる若者たちがどうしてここへ来たのか、だれから聞いたのか、ということを気にし始めた。
 ある男が依頼をしてきたからだ。あんたのことを随分心配していたらしい。
 雁間が端的に、しかし穏やかに告げると、店主には心当たりがあったのか、土間の奥の部屋へ飛び込んで行った。そこに電話があったのだろう。もれてくる声は始めこそ、あんたが助けてくれたのか、とかぜひお礼が言いたいから今度来てくれとか、そういう内容だったものの、次第になにかの骨董についての商談になった。しかも、交渉に応じるようでいてほとんど値引こうとせず、強かな商魂を感じさせる様相だ。顔を見合わせてから、だれともなしに店を出て行ったのは言うまでもない。店主はもう、大丈夫だ。
 外に出ると、すっかり雨は上がっていた。完全に散り切らない雲からまばらに降りる陽光に、雨の名残の霧が山間にとどまっているさまはまるで山水画だ。
「ふうん、そのまま襖絵にしたいような景色じゃないか。写し取ってお座敷に持って帰りたいくらいだよ。ここに雪舟はいないのかねえ」
「やれやれ、江西の田舎にもこんな所があったな……」
「日本はとてもしっとりしていますね。わたしの国はとても乾燥していたからこういう雰囲気は珍しいです」
「しっとり……なんちゅうええ言い方なんや……。湿気がなんやめっちゃ風流なもんみたいな気がしてくるやないか」
 任務も片付き、どこかほっとした心持ちなのはきっと皆同じだ。
「刀も無事ですし、店舗物品に損害もない。言うことなしですね」
「それにしても、その刀中々の業物だな。俺のコレクションに加えたくなった」
「なんや、ここにも狙っとったもんがおるやないか」
 指を動かすゼロを、刀を抱えた天原が目で制す。
 穂村から刀を取り上げて遁走したゼロは、そのあとすぐに店の周囲を警戒していた天原に発見されたらしい。ゼロにしても、もちろん本気で持ち逃げしようと考えていたはずもなく、言うほどの未練はないようだ。
「しかし、H.O.P.E.に寄せられた依頼では、ご主人を正気に戻す、というのが目的でしたよね。職業柄、依頼となると細かいことが気になってしまって」
「従魔さえ憑いていなければ、あの店主の商品であることに変わりはないんじゃないか……」
「直に触らないと影響が出ないみたいだし、H.O.P.E.に持ち帰って判断待ち、ってことだよね? 直に、って、あ……御園のコート……」
 天原に抱えられている刀を包んでいるのが自分のコートだったという事実を思い出し、穂村の声がトーンダウンしていく。
「そうやなあ、ここで俺らが従魔を落としたっても、ちゃあんときれいになりました!ってお墨付きは欲しいわな。曰く付きのお宝なんぞ、だれも買っちゃくれへんねんって。
 トレジャーハンターかて、トレジャーをハントしとるだけで飯が食えるわけやない。販路開拓、営業だってせなあかんし、信頼と実績が大事なお仕事なんやで」
「その通り、まったくその通りなんだろうねえ。H.O.P.E.だっていきなりこれだけの組織だったわけじゃなし。
 ただ、その格好じゃなかったらもっと説得力があったんじゃないかねえ、って思っちまうよ」
 ゼロはまだ、仮面と黒マントという格好のままだ。
「人を見た目で判断したらあかんって、がきのころに習わへんかったんか!」
「日本の学校ではそのような教育をするのですか」
 エステルの表情を見れば、ツッコミではなく興味を持って聞いているのはたしかだ。さて、ここからゼロはさらにボケ続けるのか、本場のツッコミで返すのか。奇妙な期待感が高まっていくのと反比例するように、雲の色が抜けていく。もくもくと盛り上がっていた暗色から、細かく並ぶ白い鱗に変わりゆくそれは、秋の訪れを感じさせるのには充分だった。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • エージェント
    ゼロ=フォンブラッドaa0084
    機械|31才|男性|攻撃
  • エージェント
    芹沢 葵aa0094
    人間|18才|女性|攻撃
  • うーまーいーぞー!!
    天原 一真aa0188
    人間|17才|男性|生命
  • リベレーター
    晴海 嘉久也aa0780
    機械|25才|男性|命中
  • 愛犬家
    橘 雪之丞aa0809
    人間|18才|?|攻撃
  • 悠久を探究する会相談役
    エステル バルヴィノヴァaa1165
    機械|17才|女性|防御
  • ヴィランズ・チェイサー
    雁間 恭一aa1168
    機械|32才|男性|生命
  • 真実を見抜く者
    穂村 御園aa1362
    機械|23才|女性|命中
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