本部

スパイクウォーズ?

アトリエL

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
5人 / 4~15人
英雄
5人 / 0~15人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/11/23 21:13

掲示板

オープニング

●探し求めているのは?
「……どうやらここなら見つかりそうですね」
 高速道路を見つめながら彼は言った。
「あの男の言っていた究極への一歩……そのために相応しいスパイスは……」
 白いコック帽の中をごそごそとかき回し、取り出したのはスパイスのビン。
「さあ来なさい。私の可愛い香辛料達よ!」
 そして、スパイスのビンはスパイス愚神の手によって従魔へと変貌していった。

●従魔スパイク?
「高速道路の環状線に従魔が現れました」
 そう告げるHOPEの通信士から送られてきた画像にはスパイクタイヤが映っていた。
「この従魔は高速で移動しながら車を破壊し、ドライバーにちくちくとその棘で攻撃して……ぇ? 被害者に大きな怪我はない?? ……あ、新しい情報です。その棘は香辛料オールスパイスと似た香りを放っているようです」
 従魔が攻撃を仕掛けて殆ど怪我をしていないと言うことは何らかの事情があるのかもしれない。しかし、香辛料の香りをつけることに一体なんの意味があるのだろうか。
「従魔の目的はわかりませんが、車を破壊する攻撃力が人に向けられればどのくらいの被害になるかわかりません」
 車を破壊するほどの攻撃力であれば被害者の命がなくなっているほうが当然だろう。被害が物損に留まっているうちに対応しなければならない。
「現在高速道路は封鎖されていますが、長時間の封鎖は経済への影響が深刻です。迅速に対処に向かってください」

解説

 従魔オールスパイス。全身が棘に覆われた……スパイクタイヤそのもののような外見をした従魔です。
 標的は主にドライバー。運転手です。
 攻撃方法は棘による体当たりが基本ですが、棘を飛ばして攻撃することも可能なようです。
 また、その棘にはマキビシのような効果もあるようなので足元に注意して行動してください。
 HOPEからの支援車両を借りることが出来ます。運転したい方はどうぞ。 車種などはご自由にどうぞ。レンタカーなので壊しても大丈夫。尤も、HOPEと保険会社から書類の山が届きますが。

リプレイ

●香辛料に想いを込めて
「棘の生えたタイヤか。しかし、この匂い……」
「オールスパイスですわね」
「何故判った? おまえ、料理とかやってたっけか?」
 赤城 龍哉(aa0090)の問いにヴァルトラウテ(aa0090hero001)は即座に答えた。
「コミック4巻の料理対決で使用されております。ここのカレー対決で……というのは冗談で。嗜みですわ」
「俺の今し方の感心を返せ」
 答えるヴァルトラウテの手にはコミックスが握られている。一瞬布教しそうになったが、龍哉の反応を見て取り繕った。
「しかしドライバーは襲うが、大きな怪我はさせてないってのが気になるな。次に取り憑く引っ越し先でも探してるのか?」
「それでもドライバーである理由はさっぱりですわね。似たような状況はあったかどうか……」
「いや。だからなんでもかんでもマンガから探すの辞めろよ。とにかく現場視察だ」
「えっと、でも確かこの作品が近かったような……あ、待ってくださいませー!!」
 襲撃の目的など幾ら考えてもわかりそうにないと判断し、龍哉は手元のコミックスから似たような場面を探そうとするヴァルトラウテを置いて、現場視察を開始した。
「これは……襲い受け? いえ……判断は慎重に行わねば。後でお叱りを受ける原因にもなるし」
「月世、車の用意が出来たぞ。……どうした随分深刻そうに資料映像を見て?」
「ええ、この従魔結構危険なタイプだと思って」
「確かに、高速で移動し、路面に障碍を撒き散らす……対処が難しい敵だな」
「撒き散らす! ……アイザック本当に気を付けてね……」
「後方からの接近は危険だ。事前に待ち伏せて前方から接近するようにしよう」
 資料として渡された映像を閲覧しながら思い悩む蝶埜 月世(aa1384)の顔をアイザック メイフィールド(aa1384hero001)は真面目な顔で覗き込み、警戒を促す。二人の見ている世界は近くて遠い。
「またスパイス従魔か……でも、ただのタイヤ? はっ!? 閃いた!」
「……一応、聞くのが妾の務めじゃ。して、今回のアイデアは?」
「目には目を! スパイクにはスパイクを! です。奴の今までばら撒いたスパイクを掻き集めて奴の前にばら撒くのです! そうすればタイヤにプスっと穴が開いて……」
「……自分のスパイクでヤられる馬鹿がどこにおるのじゃ。もう良い」
 一応と聞くだけ聞いた都呂々 俊介(aa1364)の意見をタイタニア(aa1364hero001)は溜息と共に吐き捨てる。
「善は急げです!! ではさっそく清掃者の手配を……」
 だが、俊介はスルースキルを無効化した。
「って、本当にやるのか? 誰もこんな馬鹿げたこと協力してくれんと思うが」
「え? 従魔に同じスパイクが通用するんですか? それはどうかと……」
「タイヤを攻撃して足止めをするのが1番だとは思うが……」
 戸惑うタイタニアの言うように月世やアイザックも提案された作戦には懐疑的だ。自分の攻撃で自滅するようなら、リンカー達が呼び出される必要もないだろう。
「僕たちだけでもやります!! ……もちろん手伝ってくれますよね!? ね!?」
「うっ!? ……どうもその目で見られると弱いのじゃ……し、仕方あるまい……」
 だが、俊介に退くような半端な覚悟は存在しない。その勢いに……雨の中ではこの中で震える子犬を見つけたときに向けられるような視線を前に……タイタニアはいつものように手伝い始めるのだった。
「またスパイス従魔だよ……部長、従魔に取材って、分かってるのかな?」
「それは従魔のインタビューを取れという意味なのか?」
「うん、そう。辞めようかな?」
「……ST-00342は転職雑誌の収集を開始する事を提案する」
「それもいいかなー。でも今回は引き受けちゃったしなー。一応準備はしておかないと……」
 そんな現場付近で陰鬱な気配を放つ影……穂村 御園(aa1362)にST-00342(aa1362hero001)は理想的と思えるプランを提示する。あちらこちらで見かける誘惑の紙片……描かれた文字は理想的な環境を歌い、御園を誘惑してやまない。だが、御園は知っている。あそこに書かれている文字の全てが正しいわけではないと……何故なら形や種類は違えど、御園もそうした文字を書く立場にあるからだ。故にことは慎重に進めなければならない。辞めなければよかったと思ったときにはもう遅いのだから。
「如何やらかの存在はまた新しい答えに到達した様です。急がねば!」
 そんな思考に到達したとき、石井 菊次郎(aa0866)が脇を駆け抜けていく。
「……なあ、主よ、そろそろ倒さねば不味いのでは無いか? エージェントとして、などとは言わぬが奴があの女の元に辿り着く確率は万に一つも無いと思うぞ?」
「な、何を言います! もちろん奴が見つけ出せるかは分かりません。しかし、奴が動く事によって何らかの動きが愚神側に起こればそれが手掛かりに成るのではと考えるのです! そ、そもそも……」
 テミス(aa0866hero001)は狼狽する菊次郎の話を半ば聞き流しながら溜息を吐き出した。ついでに不平不満も吐き出したい気分だったが、今はそういう時ではない。
「……で、主よ。今回の事件に対してはどう動くのじゃ?」
「従魔を倒すのが目的……と言いたいところですが。愚神を抑えてしまえば従魔も弱体化します。先に愚神を探しましょう」
「了解した」
 テミスの真面目な問いかけに菊次郎も真面目に返す。
「……して主よ。何故メモ用紙とペンを大量に用意する?」
「い、いえいえ!! これはそういうことではありませんよ!! 愚神はおそらくこの見晴らしのいい……ここにいます!!」
「また随分と当てずっぽうな推理じゃが……信じてみようかの。こういう時の主の勘は冴えておるしの」
 テミスはメモを手に慌てる菊次郎に部下のサボりを見つけた上司のような視線を向けつつ、提示された場所へと向かった。

●駆け抜けるモノ
「マイクの取り付けは完了したが。そもそも従魔は話をしない。どうするのだ?」
「後で収録したのを確認してなんとかしてみるしか……うん、きっとなんとかなる」
「……まぁ、御園がそういうのであれば。できる限り協力はしよう」
 車両にマイクを取り付け、テストを終えたエスティは不安ながらも御園の決定に従う。一度決めたことはなんとしてもやり遂げるのが御園の美点だ。欠点も兼ねていることが多いが。
「本当にやるのか……もう出発しそうじゃぞ?」
「もちろんです!! 他の方々にも作戦は伝えています!!」
「まぁ……そこまでいうのであればとことんまで付き合おうぞ」
 拾い集めたスパイクを車両に詰め込み、タイタニアは不安ながらも俊介の決定に従う。一度決めたことはなんとしてもやり遂げるのが俊介の欠点だ。美点であることも稀にあるが。
「……さっそくお出ましか。ヴァル、弓は任せる。急所が読めない分、油断するなよ」
「委細承知ですわ」
 トラックの荷台に乗り込み龍哉はヴァルトラウテとリンクする。近接攻撃はともかく、遠距離戦ではヴァルトラウテに身体の優先権を預けたほうが安定すると判断しての行動だ。
「なんとか近づけたぞ。後は頼む!!」
 アイザックは環状線を利用し、従魔の前方から速度を落とす形で接近する。
「目標に接近。収録を開始する」
「始めましてー!! えっと、私、こういうものですけど……取材、よろしいですか?」
 エスティが機材のスイッチを入れると御園は名刺を差し出しながら取材許可を請うが……当然反応はない。だが、それを攻撃の意思と感じたのか従魔オールスパイスは距離を取るように速度を落とした。
「さっそく前方に出ましたね!! では作戦を……うわ! 意外と匂いがキツい! ……シナモンケーキの匂い?」
 俊介は確保しておいたスパイクなスパイスをばら撒いた。その際に漂う香りはオールスパイスのもの。
「……まるで効果がないの。まぁ予想通りじゃ。この後はどうするのじゃ?」
「あれ? でも従魔の動きがおかしいですよ!?」
 振り返ったタイタニアに俊介は後ろを指し示す。従魔の動きが先ほどまでと明らかに違っていた。
「攻撃……は今は控えて欲しいのですが。さすがにそうもいかない? ううむ……」
「えーと……従魔になったきっかけは? タイヤにスパイクなんてちょっと季節ハズレですね? ……いえ! そんな訳では! とっても素敵です!」
 エスティと御園の言葉に反応したというわけではないだろうが、回転速度を上げている。その発している音の周波数が変わったのをマイクはしっかりと拾っていた。しかし相対速度はそれほど変わっているようには見えない。
「よくわからないが怒っているようにも見える。御園、無理は禁物だ」
「オールスパイスの香りがお洒落なあなたですけど、お部屋でも香りを楽しんでらっしゃるのかな? ……香りのある生活って良いですよね。……お取込みの所すみません! この従魔、オールスパイスの精みたい何ですけど、一言!」
「……取材? いや、今それどころじゃねぇよ!!」
「……それどころでない? 失礼しました!」
 エスティの忠告を受けつつも御園は食い下がる。回転数が上がるばかりで反応が変わらない従魔オールスパイスからマイクを龍哉に向けるが常識的な反応が返ってくるばかり。
 マイクが逸れた直後、従魔オールスパイスは跳んだ。そして、回転しながらスパイクを広範囲にばら撒く。
「壊すなって、この時点で無理ゲーなのよ! 断固待遇改善を要求するわ!」
「わがまま言うなよ!! こっちは避けるのに手一杯だ!!」
「やはりこれはポプリにも最適オールスパイスね。こんな香りを漂わすってやっぱり受けかしら?」
 月世とアイザックはそう言いながらスパイクを避けていく。回転方向に対し、真っ直ぐにしか飛ばせないスパイクを回避するのはそれほど難しくはない。
「く……予想外のしつこさだな。月世、車輪への影響に気を付けるんだ」
「チクチクと! ……一見Sだけど、如何かしら? リバじゃないし……」
 難しいのは車線上にばら撒かれたスパイクへの対処だ。車のタイヤは従魔の攻撃に耐えられるほど頑丈なわけではない。車両が出来るだけ傷付かないようにうまく滑らせ、障害物との接触を避けた。横向きになった車両は道路を塞ぐのにちょうどいい。、
「ここは降りて攻撃を……足場が結構悪いな……いって!」
「相変わらずそそっかしいの。ほれ、肩を貸すぞ」
 荷台から降りて早速スパイクを踏んだ俊介にタイタニアは肩を貸す。そこに迫る従魔オールスパイス。
「わざわざこっちの間合いに来てくれるとは有り難いな。歓迎するぜ、おらぁっ! つか、タイヤだけに衝撃吸収とかしてんのか、こいつ」
「あまり手応えはなさそうですわね……傷一つついていません」
 その進路を阻むように立ち、龍哉が一閃。しかし、ヴァルトラウテの言うように効果があったようには感じられなかった。当たらなかったというよりは攻撃に反応して避けたような手応えだ。
「ブラッドオペレートを試してみます。我が鮮烈なる鮮血のメス! 受けてみるか?」
 俊介の攻撃に対しても従魔オールスパイスは回避行動を取った。
「む? また攻撃パターンが変わったな。下車して戦闘しよう」
「ここで深夜に介入させれば? あー! どうしよう!」
 アイザックはそう提案しつつ、妄想の海に飛び込んだ月世を引っ張って下車する。
「……こいつの動きを見る限り、自分の意志でなく、プログラムで動かされてる感じか」
「指示を出してる愚神がいる、と?」
 龍哉の直感を受け、ヴァルトラウテは周囲の索敵を開始した。

●邂逅
「……まさか本当にこんなところにおるとはの」
「おや、よくお会いしますね」
 テミスの呟きをしっかりと聞いて、ふざけた外見のコック……スパイス愚神は友人を迎えるような挨拶を返す。
「探しましたよ!! いや素晴らしい! オールスパイスは食えぬものを食える様にする強烈な使命を帯びたスパイス……中世のレシピでは栄華を誇りましたが、その内に秘めた荒々しさの為、近年では裏方となって来ました。そうです! 正に究極……を目指すには是非とも必要な存在!」
(……また始まってしまったようじゃ。こうなると何を言っても無駄……おとなしく傍観していよう)
 語り始める菊次郎の話をテミスは諦めて、スパイス愚神は興味深そうに聞いていた。
「しかし、今回は御身の目指す所とは少しずれて居るのでは無いでしょうか?」
「ずれ……ですか?」
「運転手を狙われている様ですが、そもそも人間は食えます。ちょっとターゲットとして弱い」
「確かに世界には食人文化というものもあると聞き及んではいますが……」
「食えぬものを食える様に……此処は折角ですしタイヤ……にターゲットを変更すべきだと愚考する次第なのですが」
「それは盲点でした」
 菊次郎の言葉に反応し、スパイス愚神は指をぱちんと鳴らす。その瞬間、遠くで事故を起こした車両が奏でるようなタイヤがすべる音が聞こえてきた。
「つまりはこういうことですね」
「流石に御理解が早い」
 そんなスパイス愚神と菊次郎のやり取りをテミスは複雑な心境で眺めていた。
「可能性はありそうだ。どの程度間合いを取ってるかは知らねぇがな……」
「御園。どうやら崖の上にも誰か潜んでいるようだが……」
 龍哉に言われたからというわけではないが、エスティはその存在を探知する。
「……って、あからさまなのがあそこにいるじゃねぇか!!」
「え? 今のスパイスシェフ?? しまった! そっちにすれば良かった!!」
 龍哉が普通に目視出来る距離にいた。御園はその特徴的過ぎる外見からそれが誰かを理解する。
「……む!? どうやら仲間がこちらに気がついたようじゃ」
「ま、待ってください!!」
 テミスは菊次郎の手を引き、スパイス愚神から離れる。
「まだ間に合うかな……」
「狙い撃ちますわ!!」
 御園はそちらに向かって駆け出し、ヴァルトラウテは弓を撃ち放った。
「……こちらにも攻撃が飛んでくるぞ!!」
「まだ話が……くそっ!! あと少しだったのに……」
 テミスは菊次郎と共にその攻撃から逃れ、スパイス愚神も軽やかに身を翻すと反対側の崖へとその身を躍らせる。
「……あ、逃げられました」
 ヴァルトラウテが呟いた瞬間背後で膨れ上がる攻撃的な気配。振り返れば従魔オールスパイスが戦闘モードに移行していた。

●終結
「主よ。そもそもの目的を忘れておるのではないか? 毎度のことだが」
「忘れてなどいません!!急いで従魔退治に合流して……スパイスの回収です!!」
 テミスを後ろに乗せ、菊次郎は崖を大型バイクで駆け下りる。
「ふ、一つでも多く手に入れたいものです。取りこぼしのないように、慎重に」
「慎重にって、急がなくてもよいのか? 撒菱状……形状までも進化するのか?」
 菊次郎が速度を落としたことに一瞬疑念を抱いたが、周囲に撒菱が散乱しているのを見て納得した。
 降りたそこはすでに戦場になっている。
 龍哉は大剣を盾代わりに使用し、攻撃が収まるのを待っていた。
 愚神が姿を消したことで攻撃に耐えてさえいれば、あちらから接近してくれる。俊介や合流した菊次郎の遊撃的な攻撃もあり、従魔オールスパイスの向かってくる方向は限定され、速度も押さえ込まれていた。
 タイミングを合わせた龍哉と月世のヘヴィアタックを左右から受けた従魔オールスパイスは小瓶となって道路に落ちる。
「おお……三つ目ですか……これをジビエに使えば……いや、まだダメだ!」
「……何に苦悩しておるのかさっぱり分からぬ」
 それを拾い上げ、喜んだり落ち込んだりと急がしそうな菊次郎にテミスは呆れてそれ以上の言葉が出てこなかった。
「従魔だけになると大したことなかったな。……こいつは、さすがにスパイス臭い」
「香辛料も適量でなければ意味がありませんわ」
 龍哉は改めて眩暈のするほどの香りを覚え、ヴァルトラウテはコミックスを手にそう告げる。それが原因で勝敗が決するシーンでも見つけたのかもしれない。
「いやまぁ、そりゃそうなんだが……結局こいつがなんで香辛料をばらまいていたのは謎のままか」
「そうですわね。焼けばなんでも食べれるとおもうタイプの方だったんでしょうか?」
 龍哉の疑問にヴァルトラウテはそんな答えを返した。
「……ふう、いい汗かいたわ。久しぶりにいい運動ができたって感じ」
「良かった……」
 汗を拭う月世にアイザックは胸を撫で下ろす。
「大分調子が戻って来たようだな。あの香りにはリラックス効果も有るようだからな」
「深夜はやっぱり強力だったわ」
「まだ夕方だが? ……まぁ。今日は早目に帰って休むとしようか」
 アイザックは首を傾げながらもそれとなく月世を労わった。
「作戦の方はまるでダメだったようじゃが。結果はオーライじゃ。よしとしようかの」
「いえ。従魔の動きがおかしくなったのは確かです。もう少し量を集められれば……」
「そう言う問題では無いと思うぞ。それにあの時。上の方で何かあったようじゃが……」
「今回の件はレポートにまとめておきます。次回同じことがあった時にすぐに対応できるように……」
 タイタニアはその動きの変化の原因が別にあったことを知るよしもない俊介に溜息を返す。
 スパイスの香りに眩惑されたのか、俊介の中で任務の目的がブレていた。
「結局間に合わなかったかぁ……これどうやってまとめよう……」
「STー00342は乱数発生関数を使用する事を強く推奨する。恐らくそちらの方が意味のある文章になる可能性が高い」
 戦いが終わった頃、崖の上に漸く到達した御園にエスティはそんな答えを返す。
「うん、お願い。でもテキトーでいいよ。どうせまともに読んでる人なんていないんだし」
「真面目なんだか不真面目なんだか……期限には間に合わせるようにする」
 変わらぬ御園の言葉にエスティは処理を始めた。
 くぁwせdrftgyふじこ。そんなタイトルで始まった記事は従魔にのみ通じる暗号としてHOPEの研究対象になったとかならなかったとか。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090

重体一覧

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 愚神を追う者
    石井 菊次郎aa0866
    人間|25才|男性|命中
  • パスファインダー
    テミスaa0866hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 真実を見抜く者
    穂村 御園aa1362
    機械|23才|女性|命中
  • スナイパー
    ST-00342aa1362hero001
    英雄|18才|?|ジャ
  • 真仮のリンカー
    都呂々 俊介aa1364
    人間|16才|男性|攻撃
  • 蜘蛛ハンター
    タイタニアaa1364hero001
    英雄|25才|女性|バト
  • 正体不明の仮面ダンサー
    蝶埜 月世aa1384
    人間|28才|女性|攻撃
  • 王の導を追いし者
    アイザック メイフィールドaa1384hero001
    英雄|34才|男性|ドレ
前に戻る
ページトップへ戻る