本部

徘徊する愚神

鷲塚

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 6~6人
英雄
5人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/09/30 13:49

掲示板

オープニング

●導入
 真夏の蒸し暑くよどんだ空気が深夜の町を照らすLEDの街灯をちらつかせた。
 飲み会の後、二次会のカラオケが終わって家路に急ぐ女子大生は、ふと自分と同じ歩調の足音に気がついた。思い切って振り返ってみるが、街灯の明かりで見渡せる範囲には誰も居ない。女子大生は、痴漢かストーカーかと思い足を速めるが、後方の気配が去る様子も無い。
 思い切って女子大生は、もう一度勢いよく振り向いた。そして、次の瞬間、恐怖に身を引きつらせる。目の前に痩せこけて土気色をした皮膚を持ち、落ちくぼんだ眼下の男があったのだ。
 緩慢な動きで痩せた男は、女子大生につかみかかった。女子大生はその手を振り払おうとしたときに男の爪を引っかけてしまう。
「あ、何・・・・・・」
 女子大生は、まるで麻酔でも撃たれたかのように体の自由が効かなくなってくるのを感じていた。
 男が近寄ってくる。
 眼前に伸ばされた掌を見たところで女子大生の意識は失われてしまった。

●日本茶喫茶「快楽庵(けらくあん)」
 爽やかな煎茶の香りが喫茶店「快楽庵」に広がっていた。スーツを着た40代程の男が、主人である小尉源三郎(こじょう げんざぶろう)と机を挟んで向かい合っている。
「被害者の状況から、このK都市に久しぶりに愚神が出現したようです」
 そう言って、男は、懐から数枚の写真を取り出した。
「ずいぶん前に引退した身だが拝見しよう」
 小尉は渡された写真を手に取り、次々と捲っていくと眉をひそめて顔を曇らせる。写真には、ライヴスを吸われ無残な姿になり果てた女性の姿が写っていた。
「ここまで大っぴらに仕掛けてくる愚神も久しぶりだね、獅子口君」
「ええ。放っておけば、点は面に、面は立体となりこの地を侵食し続けるでしょう」
「そうなる前に対処したい・・・・・・か」
 小尉は小さく息を吐いて写真を獅子口に返した。
「失礼します」
 スッと二人の前に透き通った煎茶の椀が置かれる。獅子口が顔を上げると、十代半ばほどの少女がセーラー服の上からエプロンを着けて両手でお盆を抱えていた。
「ああ、小姫ちゃん。ありがとう」
 獅子口は、遠慮無く椀に手を伸ばし茶をすする。天野小姫(あまの こひめ)は、小尉と契約した英雄である。最初期に契約を果たし、小尉が警官を定年退職するまでの十数年間、K都市の愚神と二人で戦っていたのだ。だから、天野は若く見えてもかなりの年齢ということになる。
「夜にのみ活動して若い人間の女を狙う愚神の噂は聞いたことがあります。ずいぶん被害者が出ているので異界化も何処かで始まっているかもしれませんね」
 小姫は、心配そうに小尉を見つめる。
「今のところ、被害者が東山署の管轄内でのみ確認されているので、本体を倒すなら周辺の繁華街で張っておくのも手ですね。愚神が相手ですと一般の警官は無力ですが」
 獅子口は、両手をきつく組んで苦虫を噛みつぶすように言う。そして、すこし間を置いて求めるような視線を小尉に向けた。
「この老体が直接出向くことは出来ないが、HOPEに声を掛けておこう。手が空いていれば手伝ってくれるはずだからね」
「先輩、ありがとうございます!」
 獅子口は、深々と頭を下げた。

●HOPEからのメール

HOPEより加盟能力者各位

京都の小尉より愚神発生の信を受け、京都へ能力者を派遣する事を決定した。
明朝より京都へ向かえる者は直ちに現地へ向かいたし。

目標は、グールと呼称されるデクリオ級愚神である。
目撃地域と被害地域が限られている。また、被害者に女性が多いということに留意し愚神を討伐して欲しい。

依頼者の小尉は、能力者であるが既に高齢で自身が動くことは出来ない。しかし、HOPEのメンバーが警察と連携を取るのであれば、小尉より警察へ連絡し連携することが出来るため必要に応じて連絡されたし、とのこと。


各位の健闘を祈る。

解説

●目標
 夜に出現するデクリオ級愚神『グール』の討伐。

●登場
 デクリオ級愚神『グール』
  痩せこけ、土気色の肌を持つ若い男。指に鋭利な爪を持つ。
  知性を有し会話が可能だが、愚神としてより優位に立つという本能から話にならない。
  物理高め。魔法にやや弱い。体力は低い。
 ・スタンネイル
  近接(物理)
  命中した対象をバッドステータス気絶(1)を付与する可能性。
  一般人が喰らった場合、気絶(20)

 小尉源三郎:元警察官の能力者。72歳。20年前、最も初期に能力者になったものの一人。警察を定年後は、日本茶喫茶店「快楽庵(けらくあん)」を営み、前線から身を引いている。能力者との交流が深く信頼されている。

 天野小姫:小尉のパートナーである英雄の少女。外見年齢は14歳。刀を主たる武器としている。現在は、小尉の経営する喫茶店を手伝っており、前線から身を引いている。

 獅子口 劾:k都市東山署の刑事で元小尉の部下だった男。42歳。厳つい顔に見合わず心根のよい真面目な男。
 
●場所
 K都市東山区。被害者は、この東山区に集中している。東山区には、入り組んだ繁華街と山手に住宅地が存在する。また、周囲に多数の寺社を擁する。AGW兵器による戦闘での物損が無いことが望ましい。

リプレイ

●京都にやってきました!
 京都の玄関口とも言える京都駅の中央改札を出た所にHOPEのエージェントが集合した。そこかしこから何らかの外国語が聞こえるのは、流石に観光都市京都といったところだ。
「時間も限られているし、全員の連絡先をまずは交換しておこう」
 やる気のなさそうな抑揚の無い口調で緋山 集(aa0089)は自分の携帯を差し出した。その後ろでは、両手を握りしめたラクウェル ハーシェル(aa0089hero001)が金色の瞳を輝かせ無言のエールを送っている。
 それに合わせて、その場に居た全員が自分の番号を交換していく。
「俺が小尉さんに話を着けておいたから、警察署へ向かう人は直行していいよ。獅子口さんという人が対応してくれるそうだ」
 守矢 智生(aa0249)がニッコリと笑い言った。何処か幼さの残る笑顔の横には、フウ(aa0249hero001)が当然とばかりに寄り添っている。
「それじゃあ、当初の予定通り分かれて行動しますかね」
 このメンバーで一番の年長者である小湊 健吾(aa0211)の言葉に全員が頷く。その傍らで、派手な服に羽帽子をかぶったラロ マスキアラン(aa0211hero001)がウンウンと頷いていた。
「じゃあ、警察はまかせて、私たちは現地の確認に行ってきまーす」
 アイフェ・クレセント(aa0038)とプリシラ・ランザナイト(aa0038hero001)が小さく手を振って人混みの中に消えていく。
「警察組、出発するよ」
 門倉 純麗(aa0126)が住宅地図を片手に先頭を歩き出した。警察に向かう残りのメンバーも後ろに続く。
「あたし達はどーする、秋愛梨」
「シアはお姉ちゃんに任せます……」
「ならこっちだね」
 二人残された杵本 千愛梨(aa0388)と杵本 秋愛梨(aa0388hero001)はパタパタと小走りでアイフェの後を追った。

●まずは下準備から
 警察との連携は、事前に話を通しておいたおかげですんなりと進んだ。獅子口を含めた全員で地図を広げ広域避難所にも指定されている円山公園を戦場に選ぶ。隣に八坂神社があるが、公園の中央に誘導できれば問題ない広さだった。
「お寺なんかに気を遣わなきゃいけないなんて面倒ね」
 そう言う門倉だったが、その真剣な眼差しから本気で言っているわけではない事が明かだ。
 グールへの囮行動地域と避難誘導とを検討していると、会議室に携帯の呼び出し音が鳴り響いた。全員の視線が小湊の携帯に集中する。
「お、俺?」
 呼び出し画面を見ると電話の相手はアイフェだった。小湊は、全員に聞こえる様にスピーカーの音声を選択し携帯を机に置く。
「あ、小湊さん、アイフェです。祇園からぐるっと回って円山公園に来てます。観光客でいっぱいですね。それにしても、祇園って日本料理店が多いから仕込みで使っている酒やみりんの香りが、って」
 プツリと音声が切れる。マイクが遠いところで、観光に来てるんじゃ無いんだよ、というプリシラの声が聞こえた。
「あ、小湊さん、千愛梨です。私たちは木屋町通りと先斗町通りを見た後花見小路を経由して円山公園で合流しました。こっちも観光客が多くて大変です」
「こっちでも円山公園を戦場にしようと話してた所なんだよ。ねえ門倉さん」
 守矢が門倉の方をチラリと門倉をみた。
「ああ、警察には公園周辺の人払いと、住宅街での外出を控えるよう手配して貰ったよ」
 門倉の言葉に、獅子口が頷く。
「それじゃあ、一旦合流してから夜を待ち、グールを釣りますかね」
 小湊が携帯の通話を終了し、再び一同はグールの出現地点を獅子口と共に確認していた。

●遭遇と戦闘
 陽が落ちて作戦を開始する直前だった。
「まずはみんなにコレを配っておくよ」
 そう言って緋山が会議室に集まった全員に渡したのは警察の小型無線だ。
「これなら警察の動きを全員が同時に把握でき、こちらの連絡も同時に行うことが出来るからね」
 それぞれが渡された警察無線のイヤホンを耳に装着して電源を入れる。既に警察は動き始めている様で、警官の配置状況や市民の誘導状況が逐一伝わってきた。
「それじゃあ作戦通りペアに分かれてグールの探索だな」
 この作戦は、グール出現地点を囮を使い交戦地まで誘導。誘導後に殲滅という作戦だ。
「千愛梨と緋山君は出現地点の外周を探索ね」
「ああ、それじゃ行こうか」
 杵本と緋山が先ず会議室を出て行った。秋愛梨とラクウェルも二人の後から続く。
「俺たちも行こうぜ、アイフェ。ギリギリまで隠れてるけど、本当に気をつけて」
「(……智生は心配しすぎ)」
「はわわわ、頑張ります。プリシラは蝶に入っといてね」
 蝶とは、幻想蝶のことである。小道具類は勿論のこと、英雄をもその中に格納できるのだ。しかも、中はおしなべて快適とされている。
「はいはいっと」
 プリシラが幻想蝶に入ると、アイフェはそれを胸元にグイッと押し込む。フウも守矢に目配せしてからコクリと頷き幻想蝶に入った。
「行ってきます!」
 アイフェが元気よく出て行くと、心配そうに守矢が後に続いた。
「さてと、最後はあたし達か」
「全力で守るから、大船に乗ったつもりで囮になってくれ」
「いやいやいや、守るといいから! 自分で何とかするから」
 小湊の、守る、という言葉につい反応してしまい、門倉は手を振って焦ってしまっている。
「いやはや、門倉君のいじらしいこと。健吾君、ちゃんと守ってあげたまへよ」
 ラロは、こっそりと小湊の耳元でつぶやき幻想蝶の中へと入っていった。
「い、行きますよ。小湊さん」
 その事が聞こえたのか聞こえなかったのか、門倉は小湊の手を引くように会議室を後にしたのだった。

 被害のあった住宅街付近は、警察による外出規制と誘導により静まりかえっていた。
「今日はやけに静かだな、静かすぎる……」
 半開きの口から生ぬるい息を吐いて男が呟いた。街灯に照らされた姿は清潔とは言えない服装に土気色の肌が覗いている。落ちくぼんだ眼下にギラギラとした目つきで周囲を伺っていた。
 男は、暫く街をうろつくことにした。愚神としてまだ非力な自分がリスクを負うこと無くライヴスを集めるのに都合が良いと思えた。
 それから30分ほど住宅街をうろついて、男はやっと目標となりそうな人間を見つけることが出来た。年の頃は十代半ばほどの女だ。音楽でも聞いているのかイヤホンを着けているのが判る。
「今日の狩りはチョロいもんだな」
 目標を定めた男は、足早に女へと近づいていく。しかし、男は自分の姿が何者かに監視されている事に全く気づいていなかった。
「こちら小湊。奴さんが門倉に食いついた」
 電柱の影から小湊がボソリと無線で連絡を入れた。一瞬、門倉の肩が小さく震える。そして、直ぐ後に全員から了解との連絡が入る。
 グールは、門倉の直ぐ後ろまで接近していた。気配を察して門倉が振り返ると、まさにグールが手を伸ばそうとしていたところだった。触れられる寸前に身をかわし、わざとらしく悲鳴を上げて小走りする。その様子をにやけた顔で見ている男は、鼻歌交じりで門倉の後を追っていった。
「もうじき交戦予定地の円山公園だ。みんな、スタンバイ出来てる?」
 小湊がグールを監視しながら連絡を入れた。
「アイフェ、守山組スタンばってまーす」
「緋山、杵本組公演に到着。周囲の人払いも概ね完了」
 アイフェと緋山との交信が即座に届いた。
「門倉君、あとは慎重にこっちに来て貰えればいいからね」
「任せて下さい」
 心配そうな千愛梨に小さいが自信の籠もった声で門倉は答えた。

 街灯の少ない坂を少し昇り門倉は足早に公園内へと入った。そして、グールもピタリと門倉の歩調に合わせ後ろに張り付いてきている。この公園はとても広いが、場所場所で区切られており、植えられた多くの桜で仲間が隠れる場所も十分確保できる。門倉が最初に入ってきた広場もそんな場所だった。街灯に照らされたベンチに猫たちが座っていて、じっと門倉とグールを見据えている。
「こちら守矢、門倉とグールを目視で確認。いつでもいけます」
「千愛梨と緋山君もバッチリいけます」
「後ろは押さえてあるぜ」
 小湊の状況を聞いて、門倉はピタリと足を止めた。そのままクルリとグールに向き直る。
「鬼ごっこは終わりかい、お嬢ちゃん」
「生憎とあたし……、か弱い乙女じゃ無くてかっこいい乙女なのよね!」
 共鳴し、迸るライヴスを放出させ、中性的な姿となった門倉はネイリングソードを抜き放った。そして、グールを挑発するように侮蔑的な視線を送る。
「こいつは能力者か。たっぷりとライヴスを頂けそうだなぁ、おい」
 門倉とグールとの間に皮膚が裂けるのではないかという程の緊張感が走る。
「これは速攻でやらねぇとな……。仕方ない力を借りるぜ」
「はいよ」
 小湊が蝶を中に放り投げると、幻想蝶から出ていたラロと蝶を挟んでハイタッチをする。それが互いを共鳴させる儀式なのだ。一瞬光の奔流が周囲を照らし、トレンチコートに黒いハットを被ったハードボイルド映画の主人公もかくやという姿に変化する。
「俺たちも行くよ、ウェル」
 頷いたラクウェルがスッと目を閉じ緋山と共鳴した。ラクウェルと同様に目を閉じた緋山の髪が赤みを帯びながら腰程まで伸びる。そして、ゆっくりと開かれたその右目は、金色に輝いていた。
 その直ぐ側で、既に共鳴を終えた千愛梨がボルックスグローブを着けた拳を握り臨戦態勢を整えている。
「プリシラちゃん、私たちもやってやりましょ」
「オーケー、アイフェ!」
 アイフェの掌に載せた幻想蝶を包み込むようにプリシラが手を添える。瞬間的に光があふれ、そこには、ハーフプレートを着たアイフェが戦乙女の如くネイリングソードを構えていた。
 共鳴を終えた能力者達はグールを取り囲んでいた。グールにしても1対1ならば充分勝利する算段があったのだろう。しかし、6人ともなれば話は別だ。その表情はとても厳しいものになり汗が頬を伝った。それでも、やるだけやって能力者どものライヴスを吸収してやるという本能がグールを突き動かす。
「おまえら纏めてぶっころ……」
 そう言いかけて一歩踏み出そうとした瞬間、グールの右腿に焼け付く痛みが走った。見ると後方から射かけられた矢が太ももに深々と突き刺さっている。
「ウェルとの契約は面倒だけど、それを破るのはもっと面倒だから」
 ウェルとの契約を胸に、緋山は次の矢をグレートボウにつがえた。グールは緋山を恐ろしく歪んだ目で睨み付ける。
「狩られる気持ちは……、どんなものかな?」
 後ろを向いたグールの隙をアイフェは見逃さない。持ち前のスピードを活かして一気にグールとの距離を詰めると腕を狙ってネイリングソードを振るった。鋭い剣戟が咄嗟に防御しようと組まれたグールの両腕をズタズタに引き裂いていく。グールは、腕を上げることも出来なくなり両手をだらりとぶら下げる。
「アイフェ、飛び退いて!」
 その声にアイフェが咄嗟に飛び退くと、凄い勢いで千愛梨がグールの懐に飛び込んだ。短く強く息を吐き、力の全てをかけて拳を鳩尾に叩き込む。重低音を響かせる打撃音と共に、衝撃波がグールの体を突き抜けた。
「まだ終わりじゃあない!」
 千愛梨と交代するように門倉がグールの前に立ちグランツサーベルを突き立てる。
「か弱い女性しか狙えないなんて、雑魚中の雑魚ね」
 門倉は、吐き捨てるようにグールに言うとグランツサーベルを引き抜いた。その時、グールが力を振り絞り爪を振り下ろそうとする。
「おらああああっ」
 赤いマフラーをなびかせて守矢がグールの前に躍り込み、肘にグランツサーベルを突き立てる。鈍い音と共にグールの右腕がはじけ飛んだ。
「(戦いの基本は手札の奪い合い。どんな敵も関節は脆くて小さな怪我でも影響がでやすい……)」
 頭の中でフウが守矢に囁いた。
 余りの激痛にグールは腕を押さえ膝から崩れ落ちるようにへたり込んだ。この愚神がそろそろ限界なのは誰の目にも明かだった。怒りとも恐怖とも取れる表情を守矢に向ける。
「あんたはもう終わりだよ」
「(ラロの魔法でこの世から消えたまへ!)」
 小湊が翳した右手に小さな球状のエネルギーが収束されていく。さほどかからずに直径5センチ程に圧縮されたエネルギーの球が小湊の手元で震える様に浮かんでいた。
「銀の弾丸!」
 高速射出されたエネルギーの弾丸は、まるでビームの様に銀色の尾を引いてグールの眉間を打ち抜いた。色々なモノをぶちまけて、ゆっくりとグールは地面に崩れ落ちる。その体は2、3度痙攣した後ピクリとも動かなくなった。

●任務完了!
 グールが動かなくなった事を確認して、警察無線を使い緋山が獅子口に目標を撃破したことを告げた。
 そうしてから、全員が共鳴状態を解除する。
「みんな怪我とかなかった?」
 全員を見回して門倉が言った。速攻で片付けたことが功を奏したのか、負傷した者は見られない。そこでやっと緊張が解けたのか、門倉は、ほっと一息吐いて無愛想な顔作りをする。
「何とかなって良かったよ」
 息を吐いて守矢がフウに笑顔を向ける。その笑顔にフウは顔を崩すことが無かったが、頬をちょっぴり染めて頷いた。
「いやはや、思ってたより大変だったじゃねえか……。今回は上手くいったけどよ」
「京都には大きい本屋があるって聞いていたんだよね、健吾」
 ちらっ、ちらっとラロが小湊の方を見たり見なかったりする。これは本を買ってくれという意思表示だ。
「分かった、分かってるよ。明日買ってやるって」
 ラロの勢いに押されて思わず明日と言ってしまう。
「私は妹に京都のお土産を買ってあげようかな。どう思う、プリシラ」
「あの二人、なにが気に入るかな。観光がてら見て回るのもいいよね」
 アイフェとプリシラがお土産談義を咲かせていると、獅子口が現場に駆けつけてきた。
「や、おつかれさま」
「お疲れ様です!」
 千愛梨と秋愛梨が同調するように返事を返した。
「後の処理は警察に任せて、君たちは料亭で食事でもしてきたらいい。小尉さんの計らいで小さな料亭を押さえてくれたみたいだ」
 厳つい顔をしている獅子口がぱちりとウィンクをするものだから、可笑しくて皆笑いがもれてしまう。
「折角の計らいだ、お言葉に甘えて日本料理を堪能しに行きますか」
 獅子口から料亭への地図を受け取った小湊が、全員の背中を押すように祇園へ向かい歩き出す。それにつられて全員が動き出した。
「笑顔の彼らを見送れて本当に良かった。本当にありがとう」
 獅子口は、雑談をしながら去って行く能力者達を姿が見えなくなるまで見送っていた。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • エージェント
    アイフェ・クレセントaa0038
    人間|15才|女性|攻撃
  • エージェント
    プリシラ・ランザナイトaa0038hero001
    英雄|16才|女性|ブレ
  • エージェント
    緋山 集aa0089
    人間|17才|男性|命中
  • エージェント
    ラクウェル ハーシェルaa0089hero001
    英雄|16才|女性|ジャ
  • エージェント
    門倉 純麗aa0126
    人間|17才|女性|防御



  • 影踏み
    小湊 健吾aa0211
    人間|32才|男性|回避

  • ラロ マスキアランaa0211hero001
    英雄|23才|男性|ソフィ
  • 信じる者の剣
    守矢 智生aa0249
    人間|20才|男性|攻撃
  • エージェント
    フウaa0249hero001
    英雄|18才|女性|シャド
  • 囮姫
    杵本 千愛梨aa0388
    人間|23才|女性|攻撃
  • ハッピー☆サマービーチ
    杵本 秋愛梨aa0388hero001
    英雄|16才|女性|ブレ
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