本部

エルスウェア連動

四つ角の英雄

河瀬圭

形態
イベント
難易度
やや易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
37人 / 無制限
英雄
34人 / 無制限
報酬
普通
相談期間
20日
完成日
2015/12/17 18:01

掲示板

オープニング

●1
 石村貴子[いしむら・たかこ]は待っていた。
 短めの黒髪は乾燥した空気のせいかやや痛んでボサボサ、日本人としては平均的な体格は大柄なオージーの中では埋もれてしまいそうだ。
 なにものかから身を守るかのように身体の前にギターを抱えた彼女は、そのありふれた四つ角で待っていた。
 だが果たして何を待っているのかと問われると実はよく分からない。そもそもビザの期限も考えればいつまでもは待っていられない。
 それなのになぜ待っているのか。
 まさか、この埃っぽい四つ角に悪魔がやってくるのを待っているのか。
 そして、もう一度弾けるようにと、請うのか。
 ギターのネックを押さえる。位置は見なくても分かっているのだろう、迷いのない動きだった。しかしその顔が歪む。弦を指で弾くが思う通りには動かない。簡単なポップスでさえこの始末だった。
「弾けないの?」
 いきなり声をかけられたが、姿は見えない。
「そう。指が勝手に動くの。まだ症状の軽い指で、ド根性で弾いてみても、人に聞かせられる演奏にはならないわ」
 さっきみたいに、と石村は言った。
「弾きたい?」
 姿は見えず、声だけが聞こえる。だが迷うことは何もなかった。
「弾きたいわ」
「んじゃ、治したげる。そのかわり……」

●2
 現代のクロスロード伝説という噂がまことしやかに囁かれはじめたのは何時頃だったかダニエル・ロメロ[‐・‐]には思い出せないが、ネタに飢えたネット上のバイラルメディアが取り上げたのがブームの始まりだったように思う。
 今ではスピリチュアル系女子から、女にモテたくてギター始めたようなガキまでが物見遊山でやってくる、そんなちょっとした観光地となってしまったこのありふれた四つ角だが、それもこれもみなここで能力者になった女がいるためだ。
 彼女の出現で、他愛もない噂がただの与太話以上の説得力を持ってしまったがゆえの狂騒だった。
 彼女の記事がのったページを開く。もう何度も読んだので殆ど内容は覚えているが、怒りに燃料を与えてやるため再度目を通す。
 国籍は日本。石村貴子という名前だ。
 元はクラシックギター奏者を目指していたが病気のため断念。知人の誘いで渡豪するが、そこで英雄と共鳴、能力者となる。
 能力者! あんなものを持て囃す人々の気が知れないとロメロは不機嫌そうに鼻を鳴らす。あんなのは人外の危険因子だ。だいたいそいつが契約しているのは本当に英雄なのか愚神なのか、他者からは分からないではないか。
 必ず化けの皮を引き剥がす。そしてそれが……あの方への援護射撃になるとなおいいが。ひとつ首を振ってロメロは再度四つ角に意識を戻す。
 今はたまたま誰もいないようだった。誰か居たら何かくだらないことを喋らせようと思っていたが、無人なのだし適当なインタビューをでっちあげてここは済ませることにしようと決めて引き返そうとした。
 瞬間、すさまじい悪寒に振り返る。しかしそこには何も無い。
「まさか、ただの迷信さ。四つ角に悪魔が出るなんて。現に俺の目には何も映っていないじゃないか」
 声に出して呟かないと落ちつかない程の恐怖だった。何だったのだと疑問に思いながらもロメロは車に戻った。

●3
 取材を申し込んできた記者の名前に石村は少し躊躇いを覚えた。ダニエル・ロメロ。能力者と英雄に反感を持っていることで有名な炎上系ゴシップライターだ。その過激な発言ゆえに一部で人気があり需要はあった。
 なお名誉棄損で訴えられた件数は既に片手に余るのだが、そんな彼が仕事を続けられる理由のひとつは有力者にコネがあるからだという。
「ミス石村、ではよろしくお願いします」
 インタビューは石村が現在働いているこのライブハウスで行われた。オーナーの知人が描いたというサイケデリックな絵が壁一面に広がり、ヒッピー文化を偲ばせた。
 入って右手の区切られたスペースが厨房のようで、ビール瓶のケースが隅の方に片付けられている。左手はステージだ。袖にスピーカーが見える。
 太い柱が2本、フロアで存在感をアピールしている。この周辺はステージに対して死角になりそうだった。使いこまれた床は年月を反映して黒くなっている。今は椅子とテーブルが出ているが、それを片付けて客を詰め込んだなら200人程度のハコかなとロメロは目算した。
 駐車場も存在していた辺りライブハウスとしての使い勝手は良いかもしれない。機材にこだわって持ち込むような場合に小型トラック2台横付けしてまだ余裕があるのは便利だろう。
「よろしくお願いします。ミスター・ロメロ」
 悪名高い炎上系ライター、その実物は意外と面白い男だった。前知識はきちんと押さえているようで、話を遮らないし踏み込みたいところは深く尋ねてくる。
「ライブスリンカーばかりでライブを開催されているとか、最近話題ですね」
「ライブスリンカーに限定はしていません。現代のクロスロード伝説に興味を持った演者なら誰でも参加していただけます」
「例えば、ドラム対ドラムでも構わないんですかね?」
「ドラムバトルとは斬新ですね! お客様がノッているなら間は持つと思いますよ」
 能力者ばかりを優遇しているという印象を持たせたい質問だなと感じたので石村は丁寧に否定した。
「では、ミス石村ご本人についてですが、まずなぜオーストラリアに?」
「この店のオーナーが昔からの知人なんですが、オーストラリア出身だったんですよ。誘われたのでこちらにやって来ました」
「日本に帰るということは考えられなかったのですか?」
「率直に言うなら迷いましたが、もう少し海外で頑張りたいなと、そういう思いでオーナーの誘いにのって、ここで働いています」
「オーナーの誘いがあってということでしたが、具体的には何を見込まれたとお考えでしょうか?」
「具体的には、そうですね。厨房を任せたかったのだと思います。ここ、食事は今まで出せなかったそうなので。今は食事もできますから腹ペコで来ても大丈夫、すぐ何かお出ししますよ、ってこれは宣伝ですけど」
「なら次は腹を減らして来ますよ」
 ちょっとしたジョークを挟んで、ロメロの最後の質問だ。
「今でもギターの腕は一流だと伺っていますが、今ここで弾いてもらってもいいでしょうか?」
「それはお客様としてミスター・ロメロがいらっしゃったときの、とっておきということで」
 営業用スマイルで対応する石村にロメロも同じようなスマイルで返した。
「また取材させて頂きますので、その時は楽しみにしていますよ。料理もね」
 再訪を約束して、表面上はにこやかにインタビューは終了した。
 結果的に記事はウケた。ロメロの書いたインタビューは真っ当なもので、おかげで最近の客入りは上々だ。
 一度上げたのだから次また記事を書くときロメロは落としてくる筈だ。付け入る隙を窺って今も近所を張っているだろうと石村は考えているが、そのときはそのときだと覚悟は決めている。

●4
 H.O.P.E.にはいつでも依頼が舞い込んでくる。君が今見ている依頼もそのような依頼のうちのひとつだ。
 依頼主は石村貴子というらしい。住所で軽く検索するとライブハウスのホームページがひっかかった。出演者、スタッフ募集中の一行が目に留まる。なるほど、音楽活動をしたいのなら恩を売るのがよさそうだ。
 君は外を見る。今は朝だ。昼には現地に到着できるだろう。

解説

■注意事項
 ・このシナリオは全3回で予定されており、他のオーストラリアシナリオとリンクしております。他のシナリオも読むとより理解が進むようになっております。
 ・シナリオには謎解き要素が含まれていますが、どの謎が1回目で解かれるかはプレイング次第、2回目以降もストーリーが進めば、新しい謎が出てくる可能性がございます。
 ・プレイングは基本、何をしても構いません。ロールプレイに走るもよし、求められていることを着実にクリアするのもよし、です。
 ・ただし採用されるかはプレイングとその場の状況次第なので、想像力を働かせて良いプレイングを模索してくださるよう、お願い申し上げます。

■解説
 ・ライブハウス内部およびその周辺で徘徊する従魔退治です。
 ・敵従魔の攻撃方法は体当たりのみ。共鳴した能力者、英雄ならばさしたるダメージは負いませんが、数が多いです。手分けして当たるとよいでしょう。
 ・派手なスキルで建築物や高価な機材を破壊した場合、評価が下がります。
 ・ここはどうなっているんだろう?と不安に思う箇所があればアクションでその点をNPCに問いただすなどして、つついてみましょう。

■選択肢
1・従魔退治
 従魔を退治します。これに失敗するといつまでもライブハウスは開けませんし、ライブスリンカーの評価はガタ落ちとなります。
 また、やり過ぎて建造物や備品を破壊してしまうと評価がやや下がります。破壊しない程度に加減しましょう。
 もしプレイングに迷う場合はこちらを選ぶとよいでしょう。

2・それでも俺はライブをやるんだ!
 現状、ライブハウス周辺は従魔がワラワラいる状態で、一般人はほぼ居ません。観客となりうるのは現状ここに来ているライブスリンカー、つまりこのシナリオの参加者のみです。
 ではどうすれば客を呼べるかという訳で、まず危険を取り除く、次に宣伝する、そしてそれらが功を奏するのを待つという手順を踏む必要があります。
 今回は準備期間と割り切って次回のシナリオでのライブに備えることをお薦めします。

3・なんだかモヤっとする……
 石村貴子にしろ、ダニエル・ロメロにしろ、なんだかモヤっとするところがあろうかと思います。本人に直接聞くと答えられることなら答えてくれるでしょう。
 ですが質問の内容によっては、彼らも嘘をつくことはあります。次回以降に他の情報を探せば、それが嘘かどうかを判別できるかもしれません。

■NPC情報
石村貴子[いしむら・たかこ]
 オーストラリアでライブハウスを切り盛りする日本人女性。かつてはクラシックギター奏者を目指していたが、病により夢を諦めていた。
 能力者に目覚めたことで演奏能力を取り戻したようだが、今の仕事を続けている。

ダニエル・ロメロ[‐・‐]
 スペイン系移民の子孫。能力者への敵意を煽る記事を得意にする芸風は炎上系ゴシップライターとして一部に人気がある。
 名誉棄損で訴えられること数度だが、それでも原稿依頼が途切れないのは後援者がいるからではと噂されている

リプレイ

●1
 地図によると、ビーチにほど近い場所にそのライブハウスはあるらしい。いかにもオーストラリアの夏らしい太陽と強い潮風の元、従魔退治の為に集まった能力者と英雄を前に、弥刀 一二三(aa1048)(みと・ひふみ)とキリル ブラックモア(aa1048hero001)(‐)、ヴァイオレット ケンドリック(aa0584)(‐)とノエル メイフィールド(aa0584hero001)(‐)が作戦について話を切り出した。
「弥刀一二三どす。よろしゅうに」
 外観とは裏腹な、柔らかい京都弁で一二三がまず作戦概要を伝達する。
「内と外に分かれて、建物内は機材を中心に守る役と従魔を叩く役、外は全体を見て討ち漏らしあらへんよう注意する役ときばってなおしはる役と、そんな感じどすなあ」
 そして機材の配置についても説明を加えていく。前もって依頼人である石村貴子[いしむら・たかこ]に尋ねた成果だ。
「機材はこのステージ袖のあたり、向かって左側やね、そこにあるドアの向こうに置いてはるそうやさけ、まだ従魔に憑かれてへんのはきっちり守ったっておくれやす」
 明快な説明に一同肯く。
「ヴァイオレット・ケンドリックだ。偵察用にとドローンを借りてきた。これで内部を偵察できないか?」
 ヴァイオレットの提案はH.O.P.E.から借り受けたドローンでの偵察だった。かたい表情のヴァイオレットをからかってノエルが茶々を入れる。
「こんな怖い顔をしとるがの、これでも張り切っておるのじゃ。朝からH.O.P.E.の係員が渋るのを脅して、いやいや口が滑ったわい、説得してじゃな……」
「いいからやめろ!」
 ノエルの口上を遮って、とにかくとヴァイオレットは続ける。
「とにかく、これで内部を偵察できれば効率よく作業が進められないだろうか?」
 ふむ、と一二三がうなる。確かにいいアイデアだった。
「そうどすなあ。ほな頼みます」
 ドローンを操作するヴァイオレットの手元を見ながら一二三が質問する。
「どれくらい飛べるんどす?」
「20分程度かな」
「よう落ちるイメージあるんやけどどないですやろ」
「落ちる。理由としてはバッテリー切れ、部品の故障、あとは無線の混線だな。だからこいつも無事かどうかは分からん」
 ドローンが送ってくる映像をチェックしながらヴァイオレットは答えた。墜落したら仕方ない、運が悪かったと思おう、そう考えている。
 ライブハウスの外にも従魔が溢れてきており、2人ほど人物が見える。出入り口が開いていることも合わせて考えると、おそらくライブハウス内に居た従魔が鍵を破壊して外にあふれ出たのだろう。
 広いとはいえない出入り口を無事にパスし、ヴァイオレットはニヤリと笑った。
 ライブハウス内は聞いていた通り長物を振り回すには向かなさそうだ。ドンと立っている柱が意外と邪魔かもしれない。
 そしてここも従魔がガタガタと踊っていた。アップライトピアノにとり憑いた奴が一番の大物のようだ。
「左のほう、見えはります?」
「扉、開いてるぞ。多分アップライトピアノのせいだな」
「アカン。高いのやられたわ」
 一二三が額を押さえて天を仰いだ。
「他は、ぱっと見た感じ大丈夫そうだが、楽器は高いからな……従魔の癖に物の価値の分かる奴というか」
「ちょっと大きいどすなあ。ミーレス級かもしれへん」
「となるとこいつが一番厄介な奴か」
 そういいながらヴァイオレットはドローンを操作する。戻すつもりなのだろう。
「墜落したら厄介だからな。早めに帰そう」
「ありがとう。ほなまず外をざっと片付けつつ内部へと侵入、まだ無事な高い機材守りつつ、アップライトピアノを最後に叩いておくれやす。皆さんよろしゅうたのみます」
 そう言って、一二三はキリルと共鳴を行う。だが今のキリルには作戦後の甘味にしか興味がない……
「あたしがいれば大丈夫よ!!魔法少女フミリル、愛と勇気を携えて、あなたを折檻しちゃうわよ☆」
 決めポーズに決め台詞、ピンクのツインテールの魔法少女が降臨した。
 ともあれ、彼らの作戦を聞いた後、剛田 永寿(aa0322)(ゴウダ・エイジュ)と夜刀神 シン(aa0322hero001)(ヤトガミ・シン)、杵本 千愛梨(aa0388)(キネモト・チアリ)と杵本 秋愛梨(aa0388hero001)(キネモト・シアリ)、Arianrhod=A(aa0583)(アリアンロッド・アガートラム)とJehanne=E(aa0583hero001)(ジャンヌ・エレイン)、鈴原 絵音(aa0874)(スズハラ・エノン)と信長(aa0874hero001)(ノブナガ)、片桐・良咲(aa1000)(カタギリ・イサキ)と尾形・花道(aa1000hero001)(オガタ・ハナミ)らがそれぞれH.O.P.E.職員が張った規制線を潜り抜けていく。その際、職員が耳打ちした。一般人は目につく限り避難させましたが、カメラ提げた男が一人、仕事だからと言って出て行かなかったので、もし会ったら巻き込まないよう注意して下さい。今、N・P・Sとかいう連中が能力者の評判を下げようと必死なんで、何かあると厄介です。

●2
 ただ突っ立っているだけで金になる簡単なお仕事です。ツラナミ(aa1426)(‐)はそう考えて『ライブハウスでの護衛』という依頼を受けたつもりだった。もし何かあったとしても、モッシュピットにダイブして怪我した馬鹿を救護する程度のことだろうとたかをくくっていたのは否めない。
 ふかしていた煙草を捨て、靴の裏で踏みつけた。
「おいおい、ただ突っ立っているだけの仕事じゃなかったか……」
「ツラ。共鳴」
 38(aa1426hero001)(サヤ)の無慈悲な宣告だ。確かにどんなに愚痴ろうが目の前の無数の従魔は消えない。
「はいはい、わかってるよ」
 能力者は英雄と共鳴して真の力を発揮する。言い終えたか終えなかったかのタイミングで共鳴したツラナミの姿形には表向き右目が紅くなっていることくらいしか変化がないが、意識の内には38のツラナミを観察する眼が備わっている。
 あとは機械的に従魔を処理していく。一体。また一体。余裕を感じる一連の動作が狂ったのは、子供の甲高い声の為だ。
「ままー! れいえん! れいえん! ママいるよ! ママ!」
「ハァ?いるわけ……っているじゃねえかよ!」
「げ……」
「いくぞまいだ!」
「うん! ママー!」
 養子であるまいだ(aa0122)(‐)と獅子道 黎焔(aa0122hero001)(シシドウ・レイエン)の姿にまず絶句、そして共鳴してツラナミへと走ってくるまいだを見て、慌てて通り道の従魔を掃除する。
「ママひさしぶりー! まいだだよー!」
「建物壊さないようあいつら片付けるぞ、いいな?」
「わかったよ! 壊しちゃダメなんだね!」
 建物へと飛んできた、消防斧に憑依した従魔を盾で止め、まいだは嬉しそうにはしゃぐ。まいだの足元に転がった斧から剥がれた従魔をツラナミは無表情で潰した。
 38にはこのように見えている。今日のツラナミは少し機嫌が良いようだ。黎焔にはいつも通り適当すぎる養親にしか見えなかったのだが。

●3
 一同が現地に到着したときには、そんな経緯もあってすでに戦闘が始まっていたのだった。苦戦している様子ではないが、さっさと加勢すべきだろう。
 オッドアイに銀色の髪の少女、染井 義乃(aa0053)(ソメイ・ヨシノ)がシルバーシールドを掲げ、従魔を建物に近づけさせまいと奮戦していた。共鳴済みの英雄シュヴェルト(aa0053hero001)(‐)が指示を出す。
 シュヴェルトは戦いを好む。
 盾を掲げ、従魔を押し込む。そのまま殴りつけろとシュヴェルトが言う。
「言われなくても!」
 殴りつけられ、倒れた従魔にニア・ハルベルト(aa0163)(‐)が止めを刺していく。
「やるではないか義乃。もっと強くなれ」
 強くならなくては、シュヴェルトを護れない。義乃は肯いて次の相手を探した。
 ルーシャ・ウォースパイト(aa0163hero001)(‐)はこの依頼に張り切っていた。多くの人が音楽を楽しむ場所を従魔が荒らしている。この美しい世界で何たること、手早く始末してしまわなくては!
 パートナーのニアも仕事には熱心な性質なので、よって二人とも目の前の従魔殲滅に全力であたっていた。
 それにしてもやはり数が多い。
「もう、まとめてブチっとやりたいなあ!」
 コンユンクシオを一閃すると、それに触れた従魔らが煙のように消える。後には従魔らがとり憑いていたビールの空き瓶が転がっているのみだ。
「まとめてブチっと潰したいんですか?」
 頭上から声がした。振り返ると屋根の上に紫紺の袖が見える。次に赤毛に狐の耳の少女が現れた。
「そう、効率悪いなあってちょっとイラっとしてきたところなんだ」
 今宮 真琴(aa0573)(イマミヤ・マコト)と奈良 ハル(aa0573hero001)(ナラ ハル)がどこから登ったのか屋根の上からひょっこり顔を出している。
「はやく終わらせておやつタイムにしたいもんね!」
 なお紫紺の和装はスナイパーモードである。ざっと戦場を一望すると、従魔はバラけて活動しているように見える。誰かひと纏めにしてくれないかなあと思ったところで、単独で行動している英雄が目に入った。
 危険を察して反射的に弾倉ごと交換する。きっとこれは撃ち切ることになるだろう。
「ハァイ、ラビィちゃんと遊びたいのなら、こっちにおいでくださいませね~♪」
 添月 織也(aa0141)(ソエヅキ・オリヤ)の英雄、ラブラドライト(aa0141hero001)(‐)が飛び出した。
 英雄のみ、という格好の餌に従魔らが飛び付く。
「ちょ、ちょっと! 熱烈歓迎すぎ!」
 敵を広い場所へ誘導する腹積もりだったが、それ以上に身の危険を感じたラブラドライトが慌てて駈け出す。
 真琴の援護射撃の中、必死に逃げる彼女に包丁に憑依した従魔が迫る。振り向く余裕すらなく全力疾走する彼女の背後で、低い音を立てて風が唸る。
「ゴーストウィンド。……織也、ほら早く共鳴して」
 自身の英雄デュナミス(aa0986hero001)(‐)と共鳴した添月 真言(aa0986)(ソエヅキ・マコト)の放った魔法が、丁度集まった従魔を薙ぎ払った。
「私も続くよ! 怒涛乱舞!」
 続けてニアも多くの従魔を巻き込んでの連続攻撃を見舞った。
 たじろぐ従魔の群れに、今が好機と織也も腹を括って捨て身の攻撃に転じる。
「オーガドライブ……確実に、仕留める」
 髪をなびかせ燐光を煌めかせながら武器を振るうと従魔はあえなく消滅する。
 確実に、と捨て身の攻撃をした織也をフォローすべく真言が前に出る。
「あんまり無茶するとラビィに言いつけるよ、いいね」
「ごめん、叔父さん」
 可愛い甥っ子の為の小言だった。
 さて激しい攻撃を受けて、ばらけて逃げようと崩れ始める従魔の群れを足止めするように鉛弾が降る。
 三傘 光司(aa0154)(ミカサ・コウジ)の早撃ちに、我先にと逃げ出した3体の従魔が消滅する。
「これだけ的が多いと狙いが適当でも当たるな」
『適当はだめだよ、適当は』
 松葉 いそみ(aa0154hero001)(マツバ・イソミ)が苦言を呈する。
「分かってるって」
 再度、今度は狙っての威嚇射撃を行う。壁に向かってヘッドバンキングをかましたマイクスタンドを発見したためだ。地面に転がったそれは多分誰かが止めを刺してくれるだろう。
『写真撮らないの?』
「今カメラ構えたら、何かアクシデントが起こってくれないかなって期待したくなるからダメ」
 光司のもうひとつの職業はカメラマンだ。能力者になった以上、対従魔・愚神の最前線を世間に伝える。その為の決定的な一枚をいつか撮ってやる。光司の野望だった。
『そっか、能力者としてお仕事に励むと逆にインパクトのある写真にならないんだ』
「他人の不幸は蜜の味って言うからな。でも、そういうことはしたくないんだよ」
 サングラス越しに覗いたファインダーの中にとらえた従魔をまた一匹撃ち抜きながら、そういうことも悪びれずにやってしまう炎上系ライターの名前を思い出していた。
 ダニエル・ロメロ[‐]。スクープを撮ろうとどうやらこの近辺へ来ているらしい。

●4
 A級のスターがいない銀幕。黒塚 柴(aa0903)(クロツカ・シバ)の見た今回の依頼はそんな退屈なものだった。現に共鳴すらしていない。必要ならすぐにフェルトシア リトゥス(aa0903hero001)(‐)を幻想蝶から呼び出すが、今のところ危険を見つけられない。
「こんだけ居ればオレの出番なんてないじゃん」
 なので柴の望みとしては、こうだ。この従魔騒ぎ、実は愚神が仕組んだもので、その愚神は石村貴子、あるいはダニエル・ロメロが飼っている。
「もっと面白くなんねーかな」
『助太刀しますか?』
「あれくらい倒せるだろ。甘やかしてもいいことないぜ」
『失礼致しました』
 柴の視線の先では新米らしいエージェントが従魔の攻撃を避けまくっている。フェルトシアが手を貸すかと言ってきたがそんな必要もないだろう。
 その新米エージェントとは棚橋 一二三(aa1886)(タナハシ・ヒフミ)と柳生 桜(aa1886hero001)(ヤギュウ・サクラ)のことだ。今は従魔がとり憑いた荷台に追われている。灼けつくような日差しに熱されたアスファルトの上を、車輪の音を響かせて荷台が走る。
「いーやー来ないでー!」
 叫びながらも、従魔の体当たりは避け続けている。しかし、無情にも行く手は行き止まりだ。
『かくなるうえは倒すのみですよ、一二三さん』
 桜に促されて手にした弓を引く。
「当たってください!」
 祈りを込めてはなった一矢は見事に命中し、荷台の動きが止まる。そして煙のように実体のないものがするりとそこから這い出す。
『あちらが従魔の本体です、一二三さん』
 桜に再度促されて矢を放つ。それで従魔は完全に消滅した。
『消えてしまうのでしたら食材にはなりませんわね』
 心底残念そうな桜に、従魔が消えてくれて助かったと一二三は思った。
 同じ頃、その行き止まりの向こう側で迫間 央(aa1445)(ハザマ・ヒサシ)とマイヤ サーア(aa1445hero001)(‐)がその悲鳴を聞いていた。正確には悲鳴を聞いて一般人が巻き込まれたのではと心配になり探しに来たのだった。
「大丈夫か?」
「大丈夫ですーご心配おかけしました」
 元気そうな声が返ってきたので問題ないだろう。
 索敵しつつ巡回という方針で出会った従魔を斬り捨ててきた央だったが、掃討が進んだのかそろそろ従魔も見掛けなくなってきた。もういいだろうかと一旦共鳴を解除する。
 すると流れる水のゆらめきのような像が四肢から消え、高圧的な態度がなりをひそめた。これが普段の央だった。
「数ばかり多かったけど流石にこれだけやると減ってきたね」
「そうね、本当煩わしいこと」
 従魔への嫌悪を隠さずマイヤは吐き捨てる。そして目を閉じて溜息をついた。己の、従魔や愚神への憎悪に消耗する、まるで自家中毒だ。
「疲れたのなら一旦幻想蝶に戻るかい?」
「そうするわ。また従魔が現れたらすぐに呼んで頂戴。央まで失いたくないから」
 マイヤの白い肌と白いウェディングドレスが幻想蝶へ消える。彼女の哀しみを癒せないことを央はいつだって歯痒く思う。が、今はダニエル・ロメロの件が優先だ。リンカーと英雄をおとしめようと必死なゴシップライター。放ってはおけない問題だった。
 その問題のダニエル・ロメロはここに居る。リィェン・ユー(aa0208)(‐)とイン・シェン(aa0208hero001)(‐)が従魔退治に参加した他のリンカーとは別行動で討ち漏らしを始末しようとしていた為、たまたま遭遇したのだった。
「雑魚ばかりだと聞いちゃあいたが……本当に雑魚ばかりだな」
『愚痴っとらんで、一振り一振り、しっかり意識してやるのじゃ』
「わかってるよ」
『じゃが、今の一撃は悪くなかったぞ。素早く力強い一振りじゃった』
 懐に飛び込んでくる従魔を一刀のもとに斬り捨てた一撃をイン・シェンはそう評価した。
「それにしてももう少し骨のある相手が出て来てくれると助かるんだがな……おい、そこの、お前も掃除に来たのか? いや、一般人か?」
 悪びれず姿を現した男の風貌に見覚えはある。名前を思い出す前に、その当人が名乗った。
「ただの人ですよ。これでもジャーナリストのはしくれ、ダニエル・ロメロと申します。以後よろしくお願いします」
 オージーは基本的に服装に気をつかわない。目の前のロメロも、やや伸びたTシャツにジーンズ、あとは日除けにサングラスを掛けている程度だった。
「あぶねえぞ、さっさと帰った方がいい」
「ご心配ありがとう、君はいい人だ。でも朝からずっと張りつきの仕事でね、なかなかそう簡単に帰れないんですよ。では失礼」
 その『いい人』という評価のなかには皮肉が混ざっているのだろう。気に入らない奴だなと思った。
「おい、そっちはまだ掃除が済んでねえ。……行っちまった。ミイラ取りがミイラになっても知らねえぞ」
 ライブハウス方面に消えたロメロの背中を見送って、大丈夫かねえと思う。だが、いい大人なんだから自分のことは自分でなんとかするだろう。鍛錬の相手である従魔は減りはしたものの未だ残っている。

●5
 今回の依頼の厄介な点、それは『数ばかり多い癖に障害物の為に範囲で焼き払える場面が限られる』こと。
 辺是 落児(aa0281)(ヘンゼ・オチジ)と構築の魔女(aa0281hero001)(コウチクノマジョ)、桜木 黒絵(aa0722)(サクラギ・クロエ)とシウ ベルアート(aa0722hero001)(‐)、皆月 若葉(aa0778)(ミナツキ・ワカバ)とラドシアス(aa0778hero001)(‐)らが作戦を打ち合わせたときに出た問題点だ。よって、黒絵の魔法で焼き払える場所に敵を誘導する、という方針が決定する。後は、方針を実行する為の手段を詰めるのみだ。
「皆がお膳立てしてくれるんだから、頑張らなきゃね!」
 気合十分の黒絵が装備をチェックしている。
「黒絵さんなら大丈夫。ですから不安定要素はただひとつです」
「ダニエル・ロメロだね」
 ご名答と構築の魔女は微笑んだ。
 ライブハウスの入り口前にたむろっていた従魔が威嚇射撃で黒絵のいる駐車場へとおびきだされていく。全体を確認できる距離から従魔に対応している若葉からの攻撃だった。予定の位置へと引きずり出し、ライブハウス前が手薄になる。
「準備完了、後はクロエ任せるよ……」
 若葉の呟きは黒絵には無論聞こえないが、これが若葉のお膳立てなのはよく分かっている。
 手薄になったライブハウス前へと進む構築の魔女、そしてレイ(aa0632)(‐)とカール シェーンハイド(aa0632hero001)(‐)を見送りながら黒絵はありったけの魔力を込めての一撃を繰り出す。
「まとめて焼くよ、ブルームフレア!」
 若葉が集めた従魔を一掃する。目の前がガラ空きになったところで、内部掃討班の能力者らが突撃していく。
 そして黒絵は振り返ってマビノギオンで攻撃を繰り出す。
 一発目はダニエル・ロメロを襲おうとしていた従魔に、もう一発はそのロメロのカメラに。
 自分の至近を撃ち抜いた二度の攻撃にしばし呆けていたロメロだったが、手の中の黒焦げになったカメラを操作した後あきらめてこう言った。
「助けて頂いたのは感謝します。ところでこのカメラの修理代はH.O.P.E.に回しても良いですかね?」
「ごめんね、確実にやろうとしてちょっと焦っちゃった! 請求書はうん、H.O.P.E.に回しておいてね。それより! ここは危ないから早く逃げて。私達だって困るんだから」
「言う通りにいたしますよ。これじゃあね……では助けて頂いたことには本当に感謝しますよ。また戦闘後にでも」
 そう言って、カメラを壊されたロメロは肩を落として戦場を離脱していく。面倒だからもう戻ってこないでねとその後ろ姿を見送った後、ライブハウスの出入り口を確保する構築の魔女を援護するべく走る。
 そんな黒絵へのお膳立てが終わった若葉もすぐに構築の魔女への援護射撃にとりかかっている。
「フラッシュバンの使いどころが肝心だね」
『そうだな。ここぞというところで使いたい。だが構築の魔女もフラッシュバンを使えるわけだ。となると、あまり出し惜しみして手間取るのも良くない』
 スキルの使いどころに悩む若葉にラドシアスはむしろ出し惜しみしないほうが良いと助言する。
「ラド、つまり?」
『今やれ。丁度集まってきている』
「わかった、そうする!」
 見ると、ライブハウスの入り口前が空いたことで、あちこちにバラけていた従魔らが戻り始めているところだった。
 一番従魔が多い場所を狙ってフラッシュバンを放つ。
 鋭い光に眩んだ従魔らが動きを止め、その混乱が群れに伝わる。浮足立つ従魔らを能力者が掃除していく。
「うまくいったね、ラド」
『外はこれで総崩れだろう。内外で挟み撃ちされることもなさそうだ』
 若葉は出入り口付近へと目を移す。構築の魔女ともうひとり、レイが位置についている。
 フラッシュバンの使いどころに頭を悩ませているのは構築の魔女も同じだった。出来る限り最大の効果を得られる場所で使いたい。
「例えばわたしが攻撃する隙をつくったら、レイ殿は何が出来るでしょうか?」
「そうだな、トリオで3体、吹っ飛ばす」
「いいわ、その隙、わたしが作ります」
 構築の魔女は決断する。時間は最重要リソース、迷う暇はない。若葉と黒絵も合わせてくれるだろう。
 扉付近に身を寄せてレイが準備OKと合図する。意識を集中させて魔力を組み上げればそれは強い閃光となってライブハウスの中で炸裂した。
 遮蔽から飛び出したレイは、閃光に動きを止めた従魔にまずトリオで3発喰らわせる。次に接敵してアッパーカットを見舞う。
 さらに踏み込んで、内部班が入れるように通路を開けてから動きの止まっている従魔に連続で拳をたたきこむ。
 さて、状況はと構築の魔女が考えた時に、男が逆に状況を尋ねに来た。
「こちらは順調です、そちらは?」
 確か添月真言という名前だった。外部班で従魔を狩っていたはずだ。戦況を確認しにきたのだろう。
「このまま、屋内と屋外を分断したまま維持します。わたしたちは引き続き出入り口付近を防ぎますので、外部班は外に散った従魔をきっちり狩ってください」

●6
 屋内へと足を踏み入れた面々に聞こえた神経に障るピアノの音。微妙に音程にズレがあるなと耳のいい能力者が気付いた。従魔がとり憑いたことで悪影響を及ぼしたのか、これは調律師を呼ばねばならない事態だ。
「新しい芸術をお披露目しているみたいだぜ。早く止めてくれ」
 入口付近の従魔を片付けていたレイが耳打ちする。
「俺は無調はサッパリ分からん!」
 調性という、人間の耳に心地よく聞こえる音の法則を逸脱したその音には、従魔なりの法則が存在するのかもしれないが、従魔の考えが分かろう筈もない人間にはただの神経に障る雑音だった。
 アヤネ・カミナギ(aa0100)(‐)とクリッサ・フィルスフィア(aa0100hero001)(‐)、ヴィント・ロストハート(aa0473)(‐)とナハト・ロストハート(aa0473hero001)(‐)、壽染司 恋詠(aa1470)(シュウゼンジ・コヨミ)と巳謌月(aa1470hero001)(ミカヅキ)が、ひとまずピアノを押さえようとステージの上へと走り接敵する。
 彼らが大物の注意を引きつけてくれている間に機材の安全確保にかからねばならない。
 機材保護班の北条 ゆら(aa0651)(ホウジョウ・ユラ)とシド (aa0651hero001)(‐)、小詩 いのり(aa1420)(コウタ・イノリ)とセバス=チャン(aa1420hero001)(‐)、流 雲(aa1555)(ナガレ・クモ)とフローラ メイフィールド(aa1555hero001)(‐)、草薙 義人(aa1588)(クサナギ・ヨシト)と鈴音(aa1588hero001)(スズネ)、御蔵 亮(aa1589)(ミクラ・リョウ)と絵里歌(aa1589hero001)(エリカ)らは、役割分担に従って舞台左手へとゆく。事前の偵察通りスタッフオンリーの札がかかった扉が半開きになって内部がチラっと見えている。
 ここにも従魔だ。雑多な物がフワフワ浮いて漂っている。
 これ全部! 黒いボロと、まるで模様のような解読不能の文字を纏った共鳴状態の義人の前を、解けて舞う黒髪がひときわ目立つ娘が通り過ぎる。豪奢な衣装の裾をひらめかせて、共鳴後のゆらが手近な従魔を機材から引き離していく。
「とにかく、機材から離そう。手遅れのやつもあるみたいだが」
 ゆらはそう言って、すこし奥に浮いている物体を指差した。
「そいつは俺に任せろ!」
 飛び出した亮が物体の回りをウロウロし、注意を十分引いたと見たところでゆっくりと部屋の外へとおびきだす。つかず離れずの動きにつられてその従魔は部屋の外へと誘導されていった。
 再び一体一体掃除する作業に戻るゆらと義人だったが、面倒だなという感情はごまかせない。
「ゴーストウィンド使うには少し狭いか」
 ゆらがこぼした。
「そうだね、面倒だけどひとつひとつ潰すしかなさそうだ」
 取り憑いていた物品から従魔を剥がしてつぶしていく。
「なんだか取りこぼしそうな作業……」
「確かに。……! 一匹、間に合わないか!」
 とどめを刺し損ねた一体がいたらしい。その存在に気付いたときには既に機材の山へと取り憑く寸前だ。
「させない!」
 従魔と機材の間に強引に雲が割りこんだ。従魔からの攻撃をうけて雲が膝をつく。
「ごめん! 従魔め、くらえ!」
 とどめを狙った義人の攻撃を受けて、従魔は今度こそ消滅する。
 膝をついた雲の傍に駆けよりたいが従魔退治の手を休めるわけにはいかない。それはゆらも同じで、誰か手空きの能力者はいないかと首を巡らすと、いのりの姿が目に入った。
「ケアレイいくよ! ボクだってこれくらいは出来るんだから」
 白い翼と身体を覆い隠す白い衣装に身を包んだいのりの詠唱が、雲の傷を癒していく。
 戦いは嫌い。だけど回復くらいは出来る。そう思っての参戦だった。
「回復はボクに任せて! 皆は従魔退治を、お願い!」
「機材は絶対に守ります。心配しないで」
 雲の決意に負けられない。義人とゆらは気合を入れ直した。
 一方、物体をおびきだした亮だったが、これがギターアンプらしいということは分かるが価値がどれほどかまでは不案内だった。
 亮の楽器はドラム、他の楽器に関してはまだそこまで明るくない。
『しんちょーにやるですよ! こわしたら大変らしいです!!』
 絵里歌が騒ぐのをうるさげに遮る。
「わかってるから黙ってろ」
 誰かにこいつの価値を尋ねないと、と思っていたところで、入口あたりで戦う能力者を見つける。
 いかにもロックスターという出で立ちに、尋ねてみたら知っているかもしれないと期待した。
「すみません、これ……」
「危ねえどいてろ」
「うひゃあ!」
 亮が連れてきている従魔を見て、レイは迷わずストライクを撃つ。頭の横ギリギリをかすめていった銃弾に亮は悲鳴を上げた。
 レイの銃撃を受けた従魔がギターアンプからスルっとぬけ出し屋外へと逃げ出すが亮には逃がすつもりなどさらさらない。射線上に壊してはまずいものがないことを確認してから拳を打ち合わせる。
「おし、やるぜ!」
『神具解放! 行くです亮! 天真爛漫!』
「俺の拳で! てめえを砕く!」
 左右の手甲の文字が輝く。天真。爛漫。炸裂するライブススローの光の中で直撃を受けた従魔が消滅した。
 喜ぶ亮を背中に、レイは置き去りのギターアンプを確かめる。頑丈な機種だが、後で使ってみないと本当に無事かどうかは分からないなとボヤき、ひとまず壁際の邪魔にならない場所へ寄せておいた。
 戦闘はまだ続いている。

●7
 フロア中央ではステージ上の戦いを邪魔させないようにと、雪ノ下・正太郎(aa0297)(ユキノシタ・ショウタロウ)と悪食丸(aa0297hero001)(アクジキマル)が戦っている。
「人の住みかで狼藉を働くとは太え奴らよ。この、拙者の両目が黒いうちは、まかりならん!」
 歌舞伎役者を模した強化外骨格で強化した特撮ヒーローという変わった姿にボクシンググローブで従魔を殴っている。前に出て打ちあうスタイルで、脇をしめての打撃はなかなか破壊力がありそうだ。
「見てないで助けましょうか」
 自身の英雄と共鳴済みの荒木 拓海(aa1049)(アラキ・タクミ)はそう言って正太郎の背後をカバーする。
「助太刀まことにかたじけのうござる」
「お礼はいらないよ。それより早く片付けよう」
 小回りの効く短剣を抜いて周囲を飛び交う従魔を斬り捨てていく。あるときは踏み込み、あるときは下がりながらと、その間合いの取り方は正太郎とは違った上手さがある。
 彼らの戦いに浪風悠姫(aa1121)(ナミカゼ・ユウジ)も加勢する。自身の英雄、須佐之男(aa1121hero001)(スサノオ)と拳を打ちつけるいつものルーチンからの共鳴は突入前に済ませてある。
「さて、僕は遠い敵を狙うべきですよね」
 弓を構えて拓海と正太郎の武器ではなかなか攻撃が届かない遠い間合いの敵を狙う悠姫を、柱の陰に潜んで好機を待つ従魔が一匹。
 矢をつがえる瞬間を待つその従魔を背後からのハンマーが押しつぶした。龍李 鈴亜(aa0551)(リュウリ・リンア)の援護攻撃だった。
「そう簡単にはやらせません」
「ありがとう鈴亜さん」
 鈴亜に礼を言いつつも、従魔を射る手は止めない。だが随分数も減ってきた。
「礼には及びませんよ、悠姫殿。それより従魔も、かなり減ってきましたね」
 鈴亜もやはり従魔が減ってきたと感じたらしい。
「そりゃ、これだけの人数でやっていれば! 当然ですよ」
 逃げようとした従魔を、拓海は踏みこんで短剣で貫く。
「これはフラッシュバンを使うまでもなさそうですね」
 眼鏡越しに戦場を見渡していた悠姫が冷静に判断する。敵が多いときには使うつもりだったスキルだが、それほど有効に使えそうな状況ではもう無くなってきた。こちらの攻撃が向かないようにと考えての事か、従魔らは散り散りになっている。一部隠れているのも居そうな気配だ。
「ならば二度とここで不埒な悪行三昧を繰り広げる気になれないよう、きっちり止めを刺すでござる」
「こちらから止めを刺しに行きますか」
 正太郎と拓海は隠れている従魔を掃除しに向かうようだ。悠姫もそれに付き合うそぶりを見せている。
 鈴亜は振り返った。いつの間にか耳障りだった音も止んでいる。憑依していた従魔が剥がれたのだろう。ステージ上の戦いもそろそろ決着がつきそうだ。
 ところで、従魔に人間のような感情はないとされている。
 だがもし従魔に感情があれば、アヤネとヴィントが敵だったことを心底後悔したに違いない。それぐらい二人の攻撃には容赦がなかった。
「もう終わりか?面白くない」
 赤い瞳に隠しきれない狂気を宿して、ヴィントは掴んでいた従魔をまるでお手玉でもするようにアヤネに投げ渡す。微妙に動かなければ取れない位置に投げたのはヴィントのちょっとした悪戯のようなものだろう。
「まあ所詮従魔だ。この程度だろう」
 数歩動いてアヤネが従魔を掴む。おそらく、いつでも止めは刺せるのだろう。
「それに、強い敵がいると聞いていた訳ではない。敵が弱いからといって怒るのはよしたほうがいい、ヴィント」
 アヤネの姿は共鳴に従って女性的な意匠が加わった為に一見女性と見紛うばかりなのだが、背筋が寒くなる冷たさがある。
 興味を失ったのか、アヤネがヴィントへと従魔を投げつけた。
「好きなように遊べばよいが、片付けはきちんとな」
「飽きたのか。まあいい。俺も飽きてきた。従魔は泣きも喚きもしないからな。面白くない。やはり愚神でないと……」
 拳を連続で叩きこむ。消えうせるまで、2発、3発、4発めでとうとう実体をうしなって消えうせた。
「くだらん。感情もない奴を痛めつけても馬鹿馬鹿しいだけだ」
 吐き捨ててヴィントは踵を返す。ステージから飛び降りたところで恋詠に声を掛けられる。
「まあ待ってたもれ。おんし、怪我をしとるじゃろう」
 わずかに左足を庇う動きをしていたのを恋詠は見逃さなかった。従魔の体当たりを喰らったときに左足を痛めたな、と恋詠は診てとった。
「……怪我のうちにも入らん」
 ヴィントは顔をしかめてその申し出を断ろうとした。
「アヤネもそう言ったがの、我の目はごまかせんぞ」
 アヤネはアヤネで、体当たりで指を痛めていたらしい。
「我を助けると思うてじゃのう、ちいと治療を受けて行け」
「……まったく、お節介な狐だよ」
 そこまで言われて拒む理由はなかった。ケアレイの暖かい光が患部を包む。
「なあに、我が面白いと思うことをやっておるだけじゃ」
「知っているさ」
 痛みは引いた。
 外部で従魔を退治していた連中も屋内の討伐に加わっている。戦いもこれでおひらきだろう。
「これで幕じゃの」
 恋詠もそう思ったようだ。いささか残念そうに聞こえたのは、多分ヴィントの気のせいだろう。

●8
 ファミレスに連れて行ってくれるんだって。まいだははしゃぎながら、ツラナミに腕を引かれて帰って行った。
 残った打ち上げ参加希望者による準備は着々と進んでいく。甘味大好きな今宮真琴や、鈴音、キリル・ブラックモアらはテーブルの上に甘味を山盛りにしている。
 ステージ上では、さっきの戦いに巻き込まれたギターアンプにレイがギターをつないでいた。
 壊れていないかチェックした弥刀一二三曰く、特に問題あらへんのやない?ということだった。なお、魔法少女になってしまったことで軽く落ち込んでいる。
 他にも楽器を持った者が我も我もとソワソワし始めたところで、草薙義人が意を決して立ち上がった。
「あの、今回はライブは中止にしませんか?変な記事にされたら困りますし」
 ステージ周辺から視線が義人に向かい、そして出入り口からノックの音とともに男性の声がかかる。
「そりゃ、私のことですかね?もしそうならすぐ退散しますんでお気になさらずお楽しみくださいよ」
 ダニエル・ロメロは不鮮明な写真の掲載許可を貰おうとここに来たのだと言う。誰が誰だかよくわかりませんが、これ使ってもいいでしょうかね?という言葉に、石村貴子が場の全員の意見を代弁した。断っても使うでしょう?
 まあ確かに、その通り。そう言ってロメロは笑っている。
「丁度良かった。今度ここでライブをするので記事のネタにしてくれない?お客さんは多いほうがいいから」
 桜木黒絵はむしろロメロの記事の拡散力に期待して、記事にしてくれないかと依頼する。次回のライブ予約は既に石村の了承済みだった。
「いいですよ。なんなら私の知人で参加したい奴がいないか尋ねてみましょう」
 それを請け負ってロメロは帰って行く。迫間央はロメロが本当に帰ったかどうか見回ったが、ほんとうに帰ったらしく姿はもう見えなかった。
「人当たりよく振る舞っていますけれど、三流ゴシップ記者なんて信用なりませんからね」
 央は警戒を隠さない。日々能力者の地位向上に努めている央にとって、ロメロのようにいい加減な記事で能力者を貶めす輩は許せないのだろう。
 ステージでレイがギターをかきむしるような早弾きを披露し、ハイトーンヴォイスでシャウトを聞かせる。カメラ映えする存在感だなと三傘光司は構えたカメラでそのステージを何枚も撮った。
 そして今はヴァイオレット ケンドリックが落ちついた感じのEDMを流している。皆、リラックスして談笑ムードなのをみてとったのだろう。楽しそうな雰囲気のなかで、テレビが取材に来ないと小詩いのりはふくれっ面だ。そんないのりをセバス=チャンがなだめる。お嬢様、おそらく自然公園と競技場でのドロップゾーン騒ぎの取材でテレビ局もお忙しいのでしょう。
 皆月若葉の淹れたコーヒーを啜る、辺是落児の虚ろな表情。唇が微かに動く。
「……ロ……――」
 声にならない声に、同じくコーヒーを啜っていた構築の魔女は顔をあげて貴子を目で探す。

「石村貴子さんっすよね!」
 九重 陸(aa0422)(ココノエ・リク)が彼の英雄オペラ(aa0422hero001)(‐)を伴って貴子を訪ねたのは、真琴が全力で甘味を並べているテーブルの前で、だった。
 戦闘も終わり、各々リラックスした空気のなかで宴会に興じたり、あるいは音楽を演奏したりと自由気ままに楽しんでいるなか、陸は今回の依頼主をようやく捕まえた。
「そうです、今日は本当に有難うございました」
 笑顔で礼を言う貴子に陸も笑顔で応える。
「九重陸っす。こちらこそお会いできて嬉しいっす!」
「もう、エリックったら。わたくしは彼の英雄です。オペラと呼んで下さいね」
 場の空気にふさわしく華を添えるようにオペラも挨拶を交わす。
 俺も似たような経験があって、ええ、ヴァイオリンなんすけどね、などとしばらく雑談に興じた後に、陸は気になる点について切りこんでいく。
「石村さんの英雄さんってどんな人っすか?会ってみたいっす!」
 彼女の英雄。彼女と契約したのは果たして英雄なのか愚神なのかが気になった。会えば解るというものでもないかもしれないが、会ってみる価値はある。
「いいわよ。でもうるさい子だから覚悟してね」
 そんなことを言って、貴子は幻想蝶から英雄を呼びだした。
 小さい。外見はまるきり子供だ。
「何かまた御用なのかな、どう思いますかダーちゃん」
「そうですねー、音楽があるから呼んでくれたのかもですよアーちゃん」
 今は、別のバンドがリハーサルを行っていた。そして英雄は貴子を無視して喋り続ける。英雄の両耳を捕まえて貴子は叱った。
「ご・あ・い・さ・つ・な・さ・い!」
「ひゃあ!」
 彼女の英雄は外見通りの子供だった。10代前半くらいの生意気盛りだろう。腹話術の人形らしいものを左手に持っていて、アーちゃんダ―ちゃんと一人遊びに興じている。
「私がアーちゃんで、彼女がダーちゃんです。はじめましてーはじめましてー」
 貴子が溜息をついた。
「うるさいから、普段は仕舞ってるのよ。契約は色々な音楽を聞かせて。退屈することが何よりも怖いんだって。だからライブの時でもなければ、従魔が出てきたときくらいにしか呼ばないわ」
「ひどいですねー。ダーちゃんどう思います?」
「ニンゲンのジョセイはヒスばばあとも言いましてね、アーちゃん」
「誰がヒスばばあだ!そんなこと言うのはこの口か!」
「あいたいたいいたい、ほっぺたひっぱらないでー!」
 二倍、うるさい。確かにこれは幻想蝶にしまっておきたくなるかもしれない。
 けれど、と央は思う。
「私は、英雄に出会えて良かったと思います。あなたはそうではないんでしょうか?」
 うるさいにしても、あまり邪険にするのはどうだろうと央は思った。そもそも普段あまり外に出してもらえないから余計騒ぐのではということもある。
「いや、感謝はすごくしているわ。一応ギターが弾けるようになったのはこの子らのおかげだものね」
 陸は少し痛みをこらえるような表情をした。首を一振りして話を変える。今日の従魔騒ぎだ。
「従魔、すごく多かったっすね。普段からこんな数が出るんすか?」
「まあ、多少はね。ただこんなに大発生したのは初めてだから、ちょっと不気味には思うわね」
 皆月若葉がそこで口を挟んだ。
「従魔発生の時期や原因に心当たりは?」
「昨日から今朝にかけて、ということになるかしら。昨日はライブハウス開けてなかったからちょっと状況が分からないの。原因はサッパリ」

 漏れ聞こえた会話に構築の魔女は考えこむ。これが意図的な事態であれば、従魔がここを占拠したのは何故だったのだろう。
 
●9
 写真ははっきりしたものは撮れなかった。撮らせてくれなかった、がおそらく正しいのだろう。まあいい。ロメロはそう思う。
 この記事の読者が欲しがっている内容を与えておけばよい。それは陰謀論と自己正当化で出来ている。無力な私達は正しく、無力でない奴らが私達を虐げているのだという類のあれだ。そして、そんな記事はいくらでも捏造できる。
 そう、こんな感じでいい。白昼の捕物、能力者集って従魔を退治する。だが、ドロップゾーンが2つも出来ているこの時期に、これほどの数の能力者を従魔退治に手配する必要はあったのか?H.O.P.E.のマネジメント能力には残念ながら疑問符がつく。このまま彼らを独立機関としておいてよいのだろうか?いずれにせよ、彼らがオーストラリアの法と秩序の元にあることを願う。
 いい写真を付けられなかった分、点数は下がるがそればかりは仕方ない。
 そしてロメロはメモを手繰り、カウンセラーの予約を確認した。最近時折記憶が飛んでいる。まるで夢遊病にでもかかったかのように……

●10
 噂の四つ角の場所はネットで調査済み。街外れ、ブッシュばかりの荒野の只中だ。長い間待っていられるようにお弁当もお菓子も、枕も用意済み。青井場 なな(aa2141)(アオイバ・ナナ)の準備は万端だ。
 目的はただひとつ。四つ角の悪魔に会いたい! そしてお友達になりたい!
 こうしてただひとりキャンプを張って、ななは悪魔を待っていた。
 けれどななに声をかけたのは悪魔ではなかった。
「お嬢ちゃん、ずっとここにいるけど、危ないから家に帰りなさい」
 パトロールカーから降りてきた警官がななに帰宅を促す。なながここにずっといるのを気味悪がった通行人が通報したらしい。
「危なくないよ。これでも能力者だもん。それにお嬢ちゃんじゃないよ。ななだよ、ばななじゃないよ、ななだよっ!」
「ああ、ハイハイ。ななちゃんね。能力者だろうがなんだろうが、家に帰りなさい。私の仕事を増やさないでくれないか」
 話が通じないのに警察官は若干イライラしているようだった。
「えーと、お菓子あるよ」
「能力者だからって一般人を馬鹿にするな!」
 とうとう怒りが限界に達した警察官がH.O.P.E.の係官を呼びだし、ななを引き渡した。
「怒られた……」
「そりゃ当たり前です。私が彼の立場でも怒ってH.O.P.E.に通報しますよ」
 H.O.P.E.の係官の車に乗せられて、ななはしょんぼりと肩を落とす。H.O.P.E.の係官の態度もそっけない。
「それにあそこは危ないですよ」
「どうして」
「あの辺りで数日前に死体が見つかったんです。ブッシュに隠れていたから発見が遅れてしまって、死亡推定時刻はかなり幅がありますが死後1カ月前後という話でした。死因もはっきりしませんが目立った外傷はなし、だそうです。ライブスを吸い取られたがゆえの死でしたら、最低でも人ひとり分のライブスを吸い取った従魔か愚神が野放し、ということになります。今、あの辺りを捜索中ですけど、死亡推定時刻すらはっきり分からないので見つけられるかどうか……」
 その死体になってしまった人は四つ角の悪魔さんに出会えたんだろうか。ななはそれだけが気になった。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • エージェント
    染井 義乃aa0053
    人間|15才|女性|防御
  • エージェント
    シュヴェルトaa0053hero001
    英雄|20才|男性|ブレ
  • エージェント
    アヤネ・カミナギaa0100
    人間|21才|?|攻撃
  • エージェント
    クリッサ・フィルスフィアaa0100hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 止水の申し子
    まいだaa0122
    機械|6才|女性|防御
  • まいださんの保護者の方
    獅子道 黎焔aa0122hero001
    英雄|14才|女性|バト
  • エージェント
    添月 織也aa0141
    人間|18才|男性|回避
  • エージェント
    ラブラドライトaa0141hero001
    英雄|22才|女性|ドレ
  • シャークハンター
    三傘 光司aa0154
    人間|21才|男性|命中
  • トーチャー
    松葉 いそみaa0154hero001
    英雄|12才|女性|ジャ
  • 守護者の誉
    ニア・ハルベルトaa0163
    機械|20才|女性|生命
  • 愛を説く者
    ルーシャ・ウォースパイトaa0163hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 義の拳客
    リィェン・ユーaa0208
    人間|22才|男性|攻撃
  • 義の拳姫
    イン・シェンaa0208hero001
    英雄|26才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 敏腕スカウトマン
    雪ノ下・正太郎aa0297
    人間|16才|男性|攻撃
  • チーム『従魔イーター』
    悪食丸aa0297hero001
    英雄|15才|男性|ブレ
  • エージェント
    剛田 永寿aa0322
    人間|47才|男性|攻撃
  • エージェント
    夜刀神 シンaa0322hero001
    英雄|27才|男性|ブレ
  • 囮姫
    杵本 千愛梨aa0388
    人間|23才|女性|攻撃
  • ハッピー☆サマービーチ
    杵本 秋愛梨aa0388hero001
    英雄|16才|女性|ブレ
  • 無名の脚本家
    九重 陸aa0422
    機械|15才|男性|回避
  • 穏やかな日の小夜曲
    オペラaa0422hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 恐怖を刻む者
    ヴィント・ロストハートaa0473
    人間|18才|男性|命中
  • 願い叶えし者
    ナハト・ロストハートaa0473hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • エージェント
    龍李 鈴亜aa0551
    人間|16才|女性|回避



  • 撃ち貫くは二槍
    今宮 真琴aa0573
    人間|15才|女性|回避
  • あなたを守る一矢に
    奈良 ハルaa0573hero001
    英雄|23才|女性|ジャ
  • フレイム・マスター
    Arianrhod=Aaa0583
    機械|22才|女性|防御
  • ブラッドアルティメイタム
    Jehanne=Eaa0583hero001
    英雄|19才|女性|ソフィ
  • LinkBrave
    ヴァイオレット メタボリックaa0584
    機械|65才|女性|命中
  • 鏡の司祭
    ノエル メタボリックaa0584hero001
    英雄|52才|女性|バト
  • Sound Holic
    レイaa0632
    人間|20才|男性|回避
  • 本領発揮
    カール シェーンハイドaa0632hero001
    英雄|23才|男性|ジャ
  • 乱狼
    加賀谷 ゆらaa0651
    人間|24才|女性|命中
  • 切れ者
    シド aa0651hero001
    英雄|25才|男性|ソフィ
  • 病院送りにしてやるぜ
    桜木 黒絵aa0722
    人間|18才|女性|攻撃
  • 魂のボケ
    シウ ベルアートaa0722hero001
    英雄|28才|男性|ソフィ
  • 共に歩みだす
    皆月 若葉aa0778
    人間|20才|男性|命中
  • 温もりはそばに
    ラドシアス・ル・アヴィシニアaa0778hero001
    英雄|24才|男性|ジャ
  • 豆芝の主人
    鈴原 絵音aa0874
    人間|24才|男性|生命
  • エージェント
    信長aa0874hero001
    英雄|28才|男性|ドレ
  • エージェント
    黒塚 柴aa0903
    人間|18才|男性|命中
  • 守護の決意
    フェルトシア リトゥスaa0903hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • エージェント
    添月 真言aa0986
    人間|24才|男性|攻撃
  • エージェント
    デュナミスaa0986hero001
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • 楽天家
    片桐・良咲aa1000
    人間|21才|女性|回避
  • ゴーストバスター
    尾形・花道aa1000hero001
    英雄|34才|男性|ジャ
  • この称号は旅に出ました
    弥刀 一二三aa1048
    機械|23才|男性|攻撃
  • この称号は旅に出ました
    キリル ブラックモアaa1048hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御



  • ヒーロー見参
    浪風悠姫aa1121
    人間|20才|男性|攻撃
  • エージェント
    須佐之男aa1121hero001
    英雄|25才|男性|ジャ
  • トップアイドル!
    小詩 いのりaa1420
    機械|20才|女性|攻撃
  • モノプロ代表取締役
    セバス=チャンaa1420hero001
    英雄|55才|男性|バト
  • エージェント
    ツラナミaa1426
    機械|47才|男性|攻撃
  • そこに在るのは当たり前
    38aa1426hero001
    英雄|19才|女性|シャド
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • エージェント
    壽染司 恋詠aa1470
    機械|16才|女性|生命
  • 白雪の勝者
    巳謌月aa1470hero001
    英雄|21才|男性|バト
  • 温かい手
    流 雲aa1555
    人間|19才|男性|回避
  • 雲といっしょ
    フローラ メイフィールドaa1555hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • エージェント
    草薙 義人aa1588
    人間|18才|男性|防御
  • 甘いのがお好き
    鈴音aa1588hero001
    英雄|15才|女性|シャド
  • エージェント
    御蔵 亮aa1589
    人間|18才|男性|生命
  • エージェント
    絵里歌aa1589hero001
    英雄|16才|女性|ブレ
  • エージェント
    棚橋 一二三aa1886
    機械|18才|女性|回避
  • エージェント
    柳生 桜aa1886hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • エージェント
    青井場 ななaa2141
    人間|18才|女性|生命



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