本部
- 形態
- イベント
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
- 500
- 参加人数
-
- 能力者
- 37人 / 無制限
- 英雄
- 34人 / 無制限
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 20日
- 締切
- 2015/11/26 09:00
- 完成予定
- 2015/12/17 09:00
掲示板
-
バンドやろうぜ!(相談卓)
最終発言2015/11/25 19:55:28 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/11/16 21:19:26
オープニング
●1
石村貴子[いしむら・たかこ]は待っていた。
短めの黒髪は乾燥した空気のせいかやや痛んでボサボサ、日本人としては平均的な体格は大柄なオージーの中では埋もれてしまいそうだ。
なにものかから身を守るかのように身体の前にギターを抱えた彼女は、そのありふれた四つ角で待っていた。
だが果たして何を待っているのかと問われると実はよく分からない。そもそもビザの期限も考えればいつまでもは待っていられない。
それなのになぜ待っているのか。
まさか、この埃っぽい四つ角に悪魔がやってくるのを待っているのか。
そして、もう一度弾けるようにと、請うのか。
ギターのネックを押さえる。位置は見なくても分かっているのだろう、迷いのない動きだった。しかしその顔が歪む。弦を指で弾くが思う通りには動かない。簡単なポップスでさえこの始末だった。
「弾けないの?」
いきなり声をかけられたが、姿は見えない。
「そう。指が勝手に動くの。まだ症状の軽い指で、ド根性で弾いてみても、人に聞かせられる演奏にはならないわ」
さっきみたいに、と石村は言った。
「弾きたい?」
姿は見えず、声だけが聞こえる。だが迷うことは何もなかった。
「弾きたいわ」
「んじゃ、治したげる。そのかわり……」
●2
現代のクロスロード伝説という噂がまことしやかに囁かれはじめたのは何時頃だったかダニエル・ロメロ[‐・‐]には思い出せないが、ネタに飢えたネット上のバイラルメディアが取り上げたのがブームの始まりだったように思う。
今ではスピリチュアル系女子から、女にモテたくてギター始めたようなガキまでが物見遊山でやってくる、そんなちょっとした観光地となってしまったこのありふれた四つ角だが、それもこれもみなここで能力者になった女がいるためだ。
彼女の出現で、他愛もない噂がただの与太話以上の説得力を持ってしまったがゆえの狂騒だった。
彼女の記事がのったページを開く。もう何度も読んだので殆ど内容は覚えているが、怒りに燃料を与えてやるため再度目を通す。
国籍は日本。石村貴子という名前だ。
元はクラシックギター奏者を目指していたが病気のため断念。知人の誘いで渡豪するが、そこで英雄と共鳴、能力者となる。
能力者! あんなものを持て囃す人々の気が知れないとロメロは不機嫌そうに鼻を鳴らす。あんなのは人外の危険因子だ。だいたいそいつが契約しているのは本当に英雄なのか愚神なのか、他者からは分からないではないか。
必ず化けの皮を引き剥がす。そしてそれが……あの方への援護射撃になるとなおいいが。ひとつ首を振ってロメロは再度四つ角に意識を戻す。
今はたまたま誰もいないようだった。誰か居たら何かくだらないことを喋らせようと思っていたが、無人なのだし適当なインタビューをでっちあげてここは済ませることにしようと決めて引き返そうとした。
瞬間、すさまじい悪寒に振り返る。しかしそこには何も無い。
「まさか、ただの迷信さ。四つ角に悪魔が出るなんて。現に俺の目には何も映っていないじゃないか」
声に出して呟かないと落ちつかない程の恐怖だった。何だったのだと疑問に思いながらもロメロは車に戻った。
●3
取材を申し込んできた記者の名前に石村は少し躊躇いを覚えた。ダニエル・ロメロ。能力者と英雄に反感を持っていることで有名な炎上系ゴシップライターだ。その過激な発言ゆえに一部で人気があり需要はあった。
なお名誉棄損で訴えられた件数は既に片手に余るのだが、そんな彼が仕事を続けられる理由のひとつは有力者にコネがあるからだという。
「ミス石村、ではよろしくお願いします」
インタビューは石村が現在働いているこのライブハウスで行われた。オーナーの知人が描いたというサイケデリックな絵が壁一面に広がり、ヒッピー文化を偲ばせた。
入って右手の区切られたスペースが厨房のようで、ビール瓶のケースが隅の方に片付けられている。左手はステージだ。袖にスピーカーが見える。
太い柱が2本、フロアで存在感をアピールしている。この周辺はステージに対して死角になりそうだった。使いこまれた床は年月を反映して黒くなっている。今は椅子とテーブルが出ているが、それを片付けて客を詰め込んだなら200人程度のハコかなとロメロは目算した。
駐車場も存在していた辺りライブハウスとしての使い勝手は良いかもしれない。機材にこだわって持ち込むような場合に小型トラック2台横付けしてまだ余裕があるのは便利だろう。
「よろしくお願いします。ミスター・ロメロ」
悪名高い炎上系ライター、その実物は意外と面白い男だった。前知識はきちんと押さえているようで、話を遮らないし踏み込みたいところは深く尋ねてくる。
「ライブスリンカーばかりでライブを開催されているとか、最近話題ですね」
「ライブスリンカーに限定はしていません。現代のクロスロード伝説に興味を持った演者なら誰でも参加していただけます」
「例えば、ドラム対ドラムでも構わないんですかね?」
「ドラムバトルとは斬新ですね! お客様がノッているなら間は持つと思いますよ」
能力者ばかりを優遇しているという印象を持たせたい質問だなと感じたので石村は丁寧に否定した。
「では、ミス石村ご本人についてですが、まずなぜオーストラリアに?」
「この店のオーナーが昔からの知人なんですが、オーストラリア出身だったんですよ。誘われたのでこちらにやって来ました」
「日本に帰るということは考えられなかったのですか?」
「率直に言うなら迷いましたが、もう少し海外で頑張りたいなと、そういう思いでオーナーの誘いにのって、ここで働いています」
「オーナーの誘いがあってということでしたが、具体的には何を見込まれたとお考えでしょうか?」
「具体的には、そうですね。厨房を任せたかったのだと思います。ここ、食事は今まで出せなかったそうなので。今は食事もできますから腹ペコで来ても大丈夫、すぐ何かお出ししますよ、ってこれは宣伝ですけど」
「なら次は腹を減らして来ますよ」
ちょっとしたジョークを挟んで、ロメロの最後の質問だ。
「今でもギターの腕は一流だと伺っていますが、今ここで弾いてもらってもいいでしょうか?」
「それはお客様としてミスター・ロメロがいらっしゃったときの、とっておきということで」
営業用スマイルで対応する石村にロメロも同じようなスマイルで返した。
「また取材させて頂きますので、その時は楽しみにしていますよ。料理もね」
再訪を約束して、表面上はにこやかにインタビューは終了した。
結果的に記事はウケた。ロメロの書いたインタビューは真っ当なもので、おかげで最近の客入りは上々だ。
一度上げたのだから次また記事を書くときロメロは落としてくる筈だ。付け入る隙を窺って今も近所を張っているだろうと石村は考えているが、そのときはそのときだと覚悟は決めている。
●4
H.O.P.E.にはいつでも依頼が舞い込んでくる。君が今見ている依頼もそのような依頼のうちのひとつだ。
依頼主は石村貴子というらしい。住所で軽く検索するとライブハウスのホームページがひっかかった。出演者、スタッフ募集中の一行が目に留まる。なるほど、音楽活動をしたいのなら恩を売るのがよさそうだ。
君は外を見る。今は朝だ。昼には現地に到着できるだろう。
解説
■注意事項
・このシナリオは全3回で予定されており、他のオーストラリアシナリオとリンクしております。他のシナリオも読むとより理解が進むようになっております。
・シナリオには謎解き要素が含まれていますが、どの謎が1回目で解かれるかはプレイング次第、2回目以降もストーリーが進めば、新しい謎が出てくる可能性がございます。
・プレイングは基本、何をしても構いません。ロールプレイに走るもよし、求められていることを着実にクリアするのもよし、です。
・ただし採用されるかはプレイングとその場の状況次第なので、想像力を働かせて良いプレイングを模索してくださるよう、お願い申し上げます。
■解説
・ライブハウス内部およびその周辺で徘徊する従魔退治です。
・敵従魔の攻撃方法は体当たりのみ。共鳴した能力者、英雄ならばさしたるダメージは負いませんが、数が多いです。手分けして当たるとよいでしょう。
・派手なスキルで建築物や高価な機材を破壊した場合、評価が下がります。
・ここはどうなっているんだろう?と不安に思う箇所があればアクションでその点をNPCに問いただすなどして、つついてみましょう。
■選択肢
1・従魔退治
従魔を退治します。これに失敗するといつまでもライブハウスは開けませんし、ライブスリンカーの評価はガタ落ちとなります。
また、やり過ぎて建造物や備品を破壊してしまうと評価がやや下がります。破壊しない程度に加減しましょう。
もしプレイングに迷う場合はこちらを選ぶとよいでしょう。
2・それでも俺はライブをやるんだ!
現状、ライブハウス周辺は従魔がワラワラいる状態で、一般人はほぼ居ません。観客となりうるのは現状ここに来ているライブスリンカー、つまりこのシナリオの参加者のみです。
ではどうすれば客を呼べるかという訳で、まず危険を取り除く、次に宣伝する、そしてそれらが功を奏するのを待つという手順を踏む必要があります。
今回は準備期間と割り切って次回のシナリオでのライブに備えることをお薦めします。
3・なんだかモヤっとする……
石村貴子にしろ、ダニエル・ロメロにしろ、なんだかモヤっとするところがあろうかと思います。本人に直接聞くと答えられることなら答えてくれるでしょう。
ですが質問の内容によっては、彼らも嘘をつくことはあります。次回以降に他の情報を探せば、それが嘘かどうかを判別できるかもしれません。
■NPC情報
石村貴子[いしむら・たかこ]
オーストラリアでライブハウスを切り盛りする日本人女性。かつてはクラシックギター奏者を目指していたが、病により夢を諦めていた。
能力者に目覚めたことで演奏能力を取り戻したようだが、今の仕事を続けている。
ダニエル・ロメロ[‐・‐]
スペイン系移民の子孫。能力者への敵意を煽る記事を得意にする芸風は炎上系ゴシップライターとして一部に人気がある。
名誉棄損で訴えられること数度だが、それでも原稿依頼が途切れないのは後援者がいるからではと噂されている
マスターより
河瀬圭と申します。はじめまして、よろしくお願いします。
さて、現在従魔によってライブハウスは休業中です。ライブがやりたい、裏方でバックアップしたい、その他もろもろ……いずれにせよ従魔を排除しなければ始まりません。
もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら従魔退治にご協力くださいませ。
リプレイ公開中 納品日時 2015/12/17 18:01
参加者
掲示板
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バンドやろうぜ!(相談卓)
最終発言2015/11/25 19:55:28 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/11/16 21:19:26