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ノイマン潜入作戦
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先手どった潜入捜査
最終発言2018/12/10 09:25:25 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/12/10 01:28:20
オープニング
● よくわからないなら聞けばいい
人に聴けるのも才能とはよく言ったもので、最近では自分から人に知りたい情報をききに行ける傾聴力なる物が流行っている様子。
「そうだ、わからないなら聞きに行けばいいんだよ」
ある日エリザは手を叩いてそう言った。
「なにを?」
遙華がそう尋ねるとエリザはふふんとわらう。
「それはね。ノイマンってどんな組織なんですか! ってことを聴きに行くんだよ」
唖然としたのは遙華だけではないことだろう。
ノイマン……それは以前より人工知能エリザにちょっかいをかけてくる組織らしく、ある程度の人員、ある程度の物資、ある程度の資金があるんだろうなぁ、くらいしか現状のところ分からない組織である。
その組織は最近エリザのガードが堅いためなりを潜めていたが、ほっといていいわけではない。
どうしたものか、そう遙華が対策を考えているとエリザがトコトコ遙華の前にあらわれてそう言ったのだ。
「潜入任務? こっちの面は割れてるわよ」
「大丈夫じゃないかな」
そう告げてエリザが画面に出したのは奇抜な色のHP。
そこには電脳教という怪しい文字がでかでかと踊っていた。
「でね、ここをこうしてこうすると」
そのHPの一見何もないところにマウスのカーソルを向け、ドラッグし一部の色を 反転させるととあるページへのリンクが見つけられた。
「古典的ねぇ」
それをクリックすると、なんとノイマンの支援者募集のページに飛んだではないか。
「ここから申し込むと入団試験が受けられるみたいだね」
「入団試験?」
「うん、ノイマンに入ると階級があるみたいで、そもそもノイマンに参加するのも試練が必要だとか、必要じゃないとか」
「あ~、でそれに?」
「リンカーのみんなに協力してもらって、潜入調査ってどう?」
「あなたもふてぶてしくなったわね」
おくびも無く危険地帯にリンカーを送り込もうとするのは信頼の表れか、それとも無鉄砲か。どちらにせよこの作戦は有効だろうと遙華も判断した。
「潜入調査に向いた人員を手配するわ。顔がばれているようだったら、特殊メイクで顔を変える準備もする」
そう告げると遙華はH.O.P.E.に連絡を入れた。
● 施設
ノイマンは山奥に別荘の様な施設を持っています、二階建てで広く一階の広間しか通されませんが。どうやら地下室がある様子。幹部の人が話していました。
そこで皆さんはこの施設を探索、情報収集のために動いていただきます。
皆さんは大型バスで揺られてこの施設に来ますが、同じく入団試験にのぞむメンバーが二十人ほどいます。
入団テストは皆さんが居間に通されてから一時間後に始まるそうです、それまで待機ですが、大人しくしている意味もないでしょう。さっそく調査を開始してください。
● 警備員
皆さんがここに通された時点で30人を超える人間がこの施設にいることになります。
皆さんと、皆さん以外の信者が20人程度。幹部が五名。
その五名のうち何人かはリンカーです。
接近戦が得意なのでしょうか、腰に長剣をぶら下げているメンバーがいます。
誰がどのクラスか分かりませんが、ただ立ち居振る舞いからレベルは低く感じられます。
解説
目標 ノイマンという組織に関して調査を行う。
下記全てPL情報
今回はノイマンの隠れ家の一つを探索していただきます。
さすがにメインの施設ではないらしく最重要な情報は無いかと思われますが下記の資料はあってもおかしくありません。
・本拠地の情報
・組織図
・資金源
これらに関するデータは複数存在しているはずです。
ただ、一階にあるのか、地下にあるのかはわかりません。
二階は全部で二部屋。主にこの施設の管理者や幹部の私室になっているようです。
一階は解放されており居間、キッチン、娯楽室、倉庫。PC室、
地下室は どうやらPC室から行けるようです。
地下はそこそこ広い部屋が二つあり。一つが祈りをささげたり集会を行う聖堂。
そしてその隣の部屋が科学機材が沢山あるようです。
フラスコ、ビーカー、薬品だけでなく、機械のパーツ、人形のようななにか。ここで奴らは何をするつもりなのでしょう。
この施設を探索するために重要なのは、リンカーが紛れ込んでいるとばれることなく各階に潜入する必要があります。
幹部全員の目をかいくぐるのは難しいので、一定数は眠らせ、一定数は意識をひきつける必要があり、調査にも人間を割く必要があります。
一人一人の動きが大事です。
● 警報装置。
どうやらこの施設が襲撃された場合に備えて警報装置が仕掛けられているようです。
警報装置がなってしまうと、救援が送られてくるだけでなく全ての電気が落ち、電気製品が使えなくなります、つまりPCなどからデータが取れなくなります。
ただ警報装置は手動で鳴らす必要があるようです。
スイッチは一階と地下、そして幹部の誰かが二つ持っているようです。
リプレイ
プロローグ
一同は暗い部屋で怪しげなHPを覗き込んでいた。
そこには入団試験のための日程がかかれており、ようはここへ来いと言うお達しなのだ。
「エリザが発案であるなら尚更成功させねばなるまい」
その画面を眺めながら『麻生 遊夜(aa0452)』が告げた。
「……ん、エリザの安全の為にも……ここで情報を、集めないと」
そう、コクリと頷く『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』
その部屋のすみっこでは偽の身分証を指で弄びながら『彩咲 姫乃(aa0941)』は精神統一していた。
自分別人、自分はこれから【姫宮 彩香】になる。
「ん、ん~。…はじめまして姫宮彩香といいます。本日はよろしくお願いします。――喋り方はこんなもんか?」
そう、姫乃は自分に別の人格を下ろしていた。これは気合を入れたTRPGセッションで経験者が皆やる行為……らしい?
「うわ~、ご主人それ好きだにゃー」
『朱璃(aa0941hero002)』が漫画から目を離してそう告げた。
「手慣れてますニャ」
「TRPGスキル、アドリブと脊髄会話の力だ」
長年の修行の成果であるらしい。
「芸は身を助くってやつデスね」
「出発の車が来ましたよ」
そう扉をゆっくり開いたのは仁菜。
『藤咲 仁菜(aa3237)』は普段ぴょこぴょこと頭の上で揺れている耳もお尻の尻尾も無い。
変装、というか人間形態である。
「ニーナの人間形態、久しぶりに見たから違和感あるなー」
『リオン クロフォード(aa3237hero001)』が頭の上で手をすかすかとふると仁菜は得意げに言葉をかける。
「疲れるし、人の耳だと聞こえづらいからあんまりやらないけど。今でもワイルドブラッドは珍しいから、私の印象ってうさ耳が強いでしょ?」
準備は整ったこれから敵勢力に対する潜入作戦を開始する。
第一章
「それが難関な受験ばかりで、逃げ場がなくて」
そう姫乃、改め彩香はバスの中でそう言葉をこぼした。相手はバスガイドの様なポジションのおとこ。
ずっと立っていてマイクを握り、何だかせわしない。
「どれだけ頑張っても、成績は伸びないし、それで親に怒られるし。親に怒られればやる気が……」
そう暗い口調で悪循環を語る彩香。
「そんな中この教団を見つけたんです。神頼みよりも効果がありそうで、救われる思いでした」
朱璃はよくそんな言葉をぬけぬけと。そう朱璃は姫乃の中で呆れ果てていた。
(思ってもにゃいことを)
ただし、朱璃がパッとみ見ても姫乃だと分からない程度にその変装は堂に入っていた。
ロングエアーのかつらはたびたびかぶっているところを見たことはあるが。ワンピースを中心に暗い色の服でコーディネイトした真相の令嬢風の衣裳はどこから持ってきたのだろうか。
(仕上げに特殊めいくもバッチリデスニャ)
極めつけのカラーコンタクトで瞳の色を黒へと変えている。
おかげでノイマンの幹部たちや他の挑戦者たちにも身元はわれていない様子。
それは遊夜も同じことだった。
「……20人ほどか、思ったより多いんだな」
息をひそめて周りを確認する遊夜。
「……ん、平均が気になる……志望者と、合格者……あとは現団員数、とか?」
そう、ユフォアリーヤが不思議そうにつぶやいた。
目立つ役は姫乃にまかせ遊夜は潜伏することとする。
「皆さんはどうしてここに?」
そう姫乃が屈託のない笑顔を周囲の人間に向けた。
だが、そのどれもがすでに一度壊れてしまったような人間の独特の雰囲気を醸し出している。
会話がかみ合わない。人と接するさいに極端な警戒心を抱く。そもそも話をしたがらないなど様々だが。
そんな人間こそ、単純で解りやすい宗教が必要なのかもしれない。
姫乃は以前からノイマンの異常性を目にしているので常識の範囲内かの確認していく。
(ここで狂ってなけりゃ)
(宗教組織に何かされてあーなるって可能性が大デスね)
そう思う朱璃だが。
元から壊れている人間をどこからか調達しているという可能勢の方が高そうだった。
ただ、その情報収集が終われば集団に潜伏する予定だ。
車が停車すると降りる一団に紛れてふっと存在感を消した。
(一瞬の隙さえ手に入ればあたし達ならどうとでもやってやれるでしょうニャ)
姫乃は演技を続けながらおろおろと周囲を見回すふりをして、監視カメラの類がないか、死角となり隠れ潜むに適した場所がないか確認、脳内マップにリストアップしていく。
潜伏後はバスで主導権を握っていた幹部をマークした。
「まずは情報集めという感じかしら?」
そう『水瀬 雨月(aa0801)』は耳の中に装着したインカム越しにエリザへと連絡を試みる。
「うん、お願いします」
エリザが告げると雨月は頷いた。
「ところで、潜入との事だけど、退路の確保は万全なのよね? 情報を入手しても持ち帰れなければ意味ないし、その辺りは抜かりないと思うけど」
「そこは安心して」
最悪別のリンカーを出動させる用意もある。これで安全確認はとれた。
そう雨月はマナチェイサーで幹部を調べる。
それぞれがリンカーとしての能力を持っているらしい、識別はたやすい。その識別を持って遊夜が人を集めるために動き出した。
「皆さんとのお近づきのしるしに今日はケーキを焼いてきたんだ」
言い始めたのは遊夜キッチンを使わせてもらい、グリードに入れてきたお菓子を出して並べていく。
「試験に合格するしないに関わらず同志なんだ、試験まで時間もあるし交流と行こうぜ?」
「……ん、色々と……気になることもあるし、試験内容とか……ね?」
告げるユフォアリーヤの言葉がぎらついた気がした。
その遊夜へ雨月が合図を送る、いったん幹部たちは準備を行うためにこの部屋を離れるようである。
ちょろいな、そう遊夜はが微笑むと遊夜は入り口に視線をやる。
仁菜は一番最後に広間に通された。その広間へ先にPCを抱えた野暮ったい男を通す。
まぁ『阪須賀 槇(aa4862)』と『阪須賀 誄(aa4862hero001)』の別バージョン共鳴姿なのでは有るが。
「幹部の方から聞いたことがあるので、皆さん聞いて貰えますか?」
告げると仁菜を振りかえる一般人たち、その手から気化したドライアイスの様ななにかがふわりとまって空気中に散った。
するとバタリ、バタリ人が倒れていく。
「急がないと」
告げる仁菜はリオンとも共鳴をとき、遊夜と雨月、ユフォアリーヤと協力して信者たちを縛り上げ、口をふさぐ。
これでまず第一段階クリアである。
「よーい、俺たちの出番だお」
今までがまんしていた反動なのか槇は拳を突き上げてPCとコードを振りかざす。
家が一気に静かになった、それに気が付かない幹部たちではない。
二名が居間へと取って返す。
「あら、もう用事はいいの?」
そう居間の手前で雨月が立ちはだかった。
「君こそ、何で居間から出ているんだ? 中で待っているように言っただろう?」
「お手洗いを探していたのだけど、どこかしら」
「少しまて、中がおかしい。嫌御前、まさか」
その背後の闇から姫乃が浮上する、長い髪を振り乱して高速で移動する。
一撃で首を手刀で穿ち、意識を失った幹部を雨月が抱きかかえる。
「ちょっと、重いんだけど」
「もう一人来てる。そいつは俺にまかせろ」
雨月が昏倒させた幹部を今に放りこむと槇がその服を物色した。
首から下げていたIDカード。あとはパスがわかればセキュリティに侵入し放題である。
「よし、PC室へいくお!」
告げると槇は廊下の火災報知器、そのボタンを押した。
鳴り響く警報音。あわてて開かれる扉、にやりと槇は笑った。
第二章 秘密を暴く
信者達の無力化が終わると起動したモスケールに遊夜は視線を移した。
そのモスケールには一階に三つの反応を示している。
「PC室か?」
モスケールの反応を仁菜に伝えると行動を開始した槇にそのことを告げる。
「と言ってもリンカーではないんだおね?」
扉を割りそうな勢いで廊下に出てきた三人の人物を槇は構えをとって待ち構える。
「隊長の見よう見まねだお」
霊力の類は感じられない。であれば簡単だ。そう槇は掌底で一人を吹き飛ばした。
「助けに来たよ、お兄ちゃん」
窓の外から仁菜が合流した。廊下を跳ねるようにもう一人の幹部に接近すると獲物をとりだす前にその右あごを打ち抜く。
傾いだ体、その背後に回ってばしチョークスリーパー。
――いつ人の締めあげ方なんて覚えたの……?
そう問いかけるリオン。たじたじである。
「依が教えてくれたよ! 殴るより締め上げる方が声も出せないし潜入調査には最適だって」
――ニーナに物騒な体術ばっかり教えないで欲しいな! 女の子なんだから!
保護者の心境は複雑である。
「結構便利だよ?」
せめて万全な状態であれば通報までの隙は稼げたろうが、この奇襲ではそんな時間も取れない。
槇は気絶した幹部の手から通報装置を奪う。
「助かったお、仁菜たん」
――あと一人幹部がいたと思うけどそっちはいいの?
誄が問いかけると仁菜はほっぺに手を添えて思い出しながら告げた。
「全部水瀬さんがやってくれたよ」
雨月は背後から奇襲、ネクロノミコンからあふれ出す邪気によって敵を昏倒させた。
床を踏み鳴らすだけで邪気が幹部に降りて口も開けないほど叩きのめしてしまったのだ。
その後手錠と足枷猿轡で物置に突っ込んで遊夜の加勢に行ったらしい。
「私はやることが無いから戻るね」
そうPC室を前に槇に手を振った。槇はPC室に人気がないことを確認すると電気をつける。PCは自分のものを直で回線に繋ぐと危険なのであたりのPCを利用することにする。
――時に兄者。相手は対ELIZAに心血を注いできた連中だけど、どすんの?
「たぶん、不明な型番のマザボの接続とかはすぐに読んじゃうと思うお。だから……」
槇は敵がPC知識も豊富だと予想。
「DDOS行くお?」
そうにやりと笑う槇。
「OK兄者。おぬしも悪いやつよのーっと」
槇は手早く配線を終える。備え付けのPCをすこしさわり自前のPCを起動、接続。
ハッキング後USBネット装置を裏側に突き刺し、その場を離れる。
「便利な時代に鳴ったもんだお」
その後の操作はスマートフォンで行える。
そのまま敵PCを介してルーターを通じホームゲートウェイをごまかした。これでトラップに引っかかることなくアクセスできるだろう。
――時に兄者よ。多分相手は何かしら外敵に対する準備してると思うんだよなっと。
告げたのは誄。その言葉に呼応するように情報が吸い上げられていく。
たとえば敵の本拠地の場所だとか。
敵の経典めいたものだとか。
「おk弟者。警報装置とか緊急シャットダウンとかありそうだお」
告げると槇はこの家の監視カメラ、赤外線センサー、警報装置。等々チェックしていく。
この施設内の物理的な配線などのチェックもわすれない。
わざと破壊して、この家自体に愚神がやどっていないかもチェックした。
部屋の天井や四隅、放送装置の元締めの位置を把握、ネット経由で回線を見る。問題はない。確かに外部からの侵入に関しては強いが。内部からの侵入には弱い。
「すこし簡単すぎるくらいだお」
そのままデータの吸出しはPCにまかせ、スマホで監視するとして槇はもうすでに人のいない二階に上がって行った。
「ん? 弟者。各部屋の監視カメラあったおね?」
――あったよ、映像消しといた。バックアップがとられてる外部サーバーのデータ事消しといた。
「そうじゃねーお。この部屋の監視カメラのデータ、あったかお?」
そう槇は部屋の前に立つ。
その扉の向こうにものものしい雰囲気を感じる。
それだけじゃない、匂いがする。
すえた臭い。糞尿と、血の匂いがわずかにする。これは……。
――兄者、その部屋に入るのは最後にしよう。
「そんなこと言ってられねぇお」
告げると槇は扉を押し開く。頬をなでるのはかなり温かい空気と腐敗臭。
そこは寝室だった。スタンドアローンのPCやアダルトグッズ。
なるほど、確かに成人を過ぎた男性の部屋だとひと目でわかる。
しかし、その部屋の中央で寝ているそれだけが異質で異常だ。
槇は目を見開いた。
そこに横たわっていたのは、脳や骨をむき出しにされた人間の死体。
表情は恐怖で凍り付き。生きたままに処置されたのか苦痛で歪んだ指は爪が剥がれている。
「なんだお、これ」
何のために。
そう槇は近づくととあるアイテムを発見する。それだけで槇はこの教団『ノイマン』がなにをしようとしていたか分かった。
「これ、こんなでっけーもんをぶちこもーとしてたのかお?」
四角いキューブからはコードが伸びている。それが演算装置であるとすぐにわかった。
――頭が悪い発想だな。
誄が悪態をつく。よく見ればその体の一部にも機械が埋め込まれようとした形跡がある。
より完璧な生命体へ。
霊力でもない、愚神でもない。
より完璧な生命体へ。
そう経典に何度も書かれていた文言を槇は思い出す。
――兄者。見たからには。
「そうだお、ね」
槇は吐き気と涙をこらえて電子パーツを回収する。
遺体は必ず身元を特定して綺麗にして家族に返す。
そう誓いシーツをかけた。
エピローグ
遊夜が地下への扉を見つけたのは仁菜が戻ってくる前だった。
――ん、異常ない。
ユフォアリーヤの耳と鼻。そして遊夜の目……モスケールで地下に反応がないかみたが、誰か潜んでいる様子はなかった。仁菜をインカム越しに呼び戻す遊夜。
「すごい、こんな空間が」
仁菜は遊夜に自分の後ろにつくように告げるとライトアイを発動。
ゆっくり埃っぽい地下施設に降りていく。
電気のスイッチを発見すると灯りをともした。するとそこは。
――聖堂に秘密があるとかベタ過ぎない?
リオンが言うような聖堂だった。
物々しい装飾と部屋の奥にあるのは御神体だろうか?
さらに別の部屋も隣接しているようだ。
「信者を集める方法がベタだもん。きっとここにも定番の仕掛けがあるよ」
告げると仁菜は調査を開始する。
祈りを捧げるこの場所は彼らにとって重要な場所だろう。徹底的に調査する。具体的には隠し金庫や通路がないか念入りに。
そして隣の研究室に入った遊夜は息をのんだ。
「カルトってやつか」
禁忌に手を染めたノイマンという教団は、生命を冒涜することを何とも思わないらしい。
大量のフラスコに浮かんでいるのは手。足。臓器。
そして同じ顔がいくつも並んでいた。
資料をぱらりとめくると遊夜はその内容に少し目を通した。
ここではどうやら、頭を挿げかえる研究がおこなわれていたらしい。
頭を別の体へと、もしくは機械の体へと。
「……試行錯誤の後が見えるな」
――……ん、完全な存在……だっけ?
この研究を見ていると最終到達点は機械との融合ながら迷走しているように見える。
臓器を機械化、肉体を機械化するのと、そもそも人間の意識、性格、知識、魂を機械の体に収めるための研究。
これは別のベクトルな気がする。
遊夜は額を押さえた。
「こういうのは専門外だからな」
告げると遊夜は機械パーツや人形をバッグに詰めて持ちかえる準備をする。
仁菜は薬品をコールドボックスに詰めていった。なんなら細胞サンプルも持ち去る。
「PCがあるな」
あらかた探索が終わった後遊夜はこの研究室に備え付けられたPCに手をかける。
「上のPCとはべつものかな?」
そう仁菜が首をひねった。遊夜はそれに頷くとPC内部の資料を覗きながらもUSBに落し込んでいく。
「さて、ノイマンとやらはどんなもんか」
「……ん、本拠地……組織図、資金源……次に繋げないと」
ノイマンという組織のバックグラウンドが明らかになっていく。
それと同時に次の犯行計画も明らかになった。
「電磁結界の構築?」
脳に機械パーツを埋め込んだ人間を多数配置して、無線通信の電波や精密機器の正常な動作を妨害してグロリア社の警備システムをダウンさせる。
その後突入してエリザの奪還を謀る計画が明らかになった。
「これは、知れてよかったな」
告げると遊夜はUSBを抜いて懐に滑り込ませた。
「だが、これが囮の可能性はある」
その判断はメンバーと相談してからになるだろう。
任務完了だ。帰投の準備を行う。
結果
シナリオ成功度 | 大成功 |
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