本部

広告塔の少女~脱衣戦線~

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
7人 / 4~15人
英雄
7人 / 0~15人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2018/10/28 15:41

掲示板

オープニング

● 寒くなるとできなくなること

 秋だ。もうすでに地方によっては紅葉の葉も落ち始めるころあい。
 冬の訪れも間近に感じられるこの季節に、遙華は何事かを悩んでいた。
「どうにも忘れていることがあると思うのだけど」
 遙華は同じ場所を行ったり来たりする。
 室内の気温が安定しない季節の変わり目。新調したストールを机の上に投げ捨てると、ブラウスのボタンを一つ外す。
「私は、なにを忘れているというのかしら」
 まだ分からない。かれこれ三十分は悩んでいる。
「AGWの開発に、ガデンツァ関連の武装の補てん。大破した宇宙ステーションの始末書も、ガデンツァ討伐のお祝いもしないとね。あと……」
 その時遙華は思う、この部屋暑すぎる。しかしエアコンの操作をするのもめんどくさいモードの遙華はブラウスのボタンをさらに外して、スーツの上を脱いで体温調節を謀る。
「あとは……そう。メディア系のお仕事。そうだわ! 最近すっかり忘れてたけど、私番組制作を頑張っていたのではなかったかしら」
 思い出した。思い出してしまった。
 そう、遙華は敏腕プロデューサーである。
 最近はシリアスなお話が多かったので部下に任せていたのだが、最近は世の中にコメディーが足りてない。
 パッと、明るくなれる何かが必要なのだ。
「そう! 私が忘れていたのはこれよ、世の中に笑いを。今こそ必要よ。王がなんだと言ってる場合じゃないわ」
 次いで遙華は窓ガラスを眺める。
 そう、窓の向こうの景色ではなく、窓ガラス。 
 そこに写っていたのは衣服をはだけた自分。
 遙華はその姿に、真理めいたものを感じた。
「たしか……英雄を変化させる薬があったはずよね……」
 こうして遙華の安易で安直な企画がスタートすることになる。

●脱衣おちなんてサイテー
 
「レディース&ジェントルメーン。お越しくださってありがとう。西大寺遙華です」
 そう会場のモニター全域にその姿を披露しながら遙華は告げる。
 ここはグロリア社が貸し出しているスタジアム。
 サッカーができる程度の広さが確保されており、ライブにフェスタにいろいろ使う。
 今回はこのスタジアムを貸し切ってイベントが行われる。
 概要はこうである。
「スタジアムは楕円形の形になっているわ。スタジアム中心の芝生エリアにはトラップが仕掛けられているけど見晴らしはいいわね。
 使用可能エリアはそれだけじゃなくて、それを楕円に囲む観客席、スタジアム内外の通路まで、使用可能。スタジアムの外には出ちゃだめよ」
 告げると遙華は画面にスタジアムのマップを広げた。
 観客席より外側、つまり室内エリアも広く、三階建てとなっており。
 一階は物販スペースも存在する広々とした空間。
 二階は休憩所。喫煙席。ミーティングルームなど小部屋が多い空間。
 三階の通路は狭く、ほぼほぼ観客席へ繋ぐための廊下だけだがトイレが複数ある。
 その競技場内で今回は賞金目指して皆さんに頑張ってもらうことになる。
「優勝賞金は、タイムアップ時に生き残っていたリンカーで山分け。これでAGWを買ってちょうだい。次に肝心なルールを説明するわよ」
 そう、今からとんでもないルールを説明することになる。
「まず、今回のイベントでは共鳴しないわ。リンカーは英雄と能力者、二人一組になって勝利を狙ってもらうわ」
 今回英雄側には仕掛けをさせてもらっている。
「英雄にはあらかじめ、自分の衣服が霊力で構築されるようになる薬を飲んでもらっているの。そして今回使ってもらう、AGWに変わる武器はその薬の効果を無効化する能力をもつ」
 つまり、その武器で攻撃されると衣服がはじけて消えていくわけだ。
「能力者は自分の英雄を守りながら、相手の英雄の衣服を脱がしていくことに注力して。もちろん英雄も戦っても大丈夫だけど、かすっただけでも服が消えるから、だいぶシビアな戦いになりそうね」
 次いで遙華は顔を赤らめて咳払いしていった。
「あんしんして、上から消えていくから」
 何を安心すればいいか分からないが遙華は胸をはって言った。
「きわどい部分まで見えそうになったらギブアップして。下着をさらしてもまだいけると思うなら続けてもらっても構わないけど、テレビに写せない姿になった場合は退場ね」
 告げる遙華は背後の布を取り去った。そこにはAGWを模した武装がずらりと並んでいる。
「ただし、スタジアム内にはお助けアイテムが存在しているわ」
 お助けアイテムとは衣服である。
「お助けアイテムは霊力で編まれていないから弾丸を受けても消えることはない。つまりそれを身にまとった時点でギブアップすることがなくなると思うから勝利は確実だと思うけど、その服がなかなかきわどくてね」
 そう、画面に表示されたのはバニーガールの衣装である。
 これが会場内にたった三つ存在するらしい。
「装備するのにためらうかもしれないけど……。男性の英雄にもこれを来てもらうっていうんだからたいへんよね」
 他人事のように言ってのける遙華である。
「細かいルールについては手元のパンフレットを見てね。今回参加したリンカーは30組を超えるから。ライバルを蹴落としつつ、自分の身は守ってね」




解説

目標 タイムアップまで生き残る

●ルール纏め
 今回は共鳴せず、英雄と能力者でタッグで挑む。
 英雄の服は攻撃を受けると消える。
 タイムアップまで30分。生き残るだけで賞金がもらえるが、生き残ったメンバーで山分け。
 使える武装に関しては、皆さんが持つAGWの性能と酷似したものが貸しだされるが生命力に影響を与えることはできなくなっている。
 
●雑多なリンカー達30組

 彼らは賞金目当てに参加した雑多なリンカー30組です。
 中には皆さんの知り合いもいるかもしれません。
 レベルが低く、今回共鳴しないのでスキルは関係ありません。
 ただ、彼らは皆さんの圧倒的な戦闘能力を見ると結託するようです。
 何せ今回は生き残ればいいのですから、チームを作るのはとても効率的なんですね。



 

リプレイ

第一章 ぱんぱかぱーん

 会場内にアナウンスが木霊する。
「参加者の皆さんは海上の好きな位置についてください。参加者で無い方は服をむかれると困ると思うので会場から出てください。リンカーたちの試合については特設会場で確認できます」
 慌ただしく走り抜けていくリンカーたち。
 その中にも知った顔がいたのだが、イマイチ現実味がない。
『マリナ・マトリックス(aa0114hero002)』は茫然と立ち尽くす、聞けば共鳴も許されないと言うではないか。
「え、ええぇ…………これはいったい、どういうことです?」
 そんな困惑するマリナの手を『アニマ(aa2199hero001)』がとって走った。
「肌寒くなってきたのに、皆さんお元気なのですねぇ〜」
 その裏でしめしめと笑いをこらえる『御手洗 光(aa0114)』
(うふふふ、久々に楽しそうな依頼を見つけましたわ。これは存分に励ませていただきますわね)
 その光の感情を代弁するかのように『天之川・希望(aa2199)』が口を開いた。
「マリナさんは…………むしろほどよく剥かれた方が面白くなりそうです」
「え!?」
 驚くマリナの顔にこの大会の概要が書かれたパンフレットを突きつける希望。
「ふむふむなるほどだいたいルールはわかりました! 剥けばいいんですねっ!」
 不穏な空気を感じて自分の体を両手でガードするマリナ、あまりにきつく手を巻きつけてしまったせいで胸がその隙間からぽろっとこぼれた。
「大丈夫、剥いたり剥かれたりするのはむしろ得意分野ですっ!」
「ええ!」
 希望の言葉に驚きの声をあげる光。
「いやいや、安心してください、光さんやアニマが剥かれるのはイヤじゃないか、ですか?
 ふふん、減るもんじゃなし、魅せつけてあげたらイイんですよっ!」
 そう自分のボディーに自信満々の希望。だが光としては気が気ではないのだ。
 だって恋人の裸体が衆目の目にさらされて嬉しいものなどいないはず。
「え、恥ずかしくないのか、ですか?」
 そう問いかけたアニマの言葉に、希望はコクコクと首を振った。
「うぅ〜ん…………?」
「そういうの、わからないんですが、だめなときにはちゃーんと希望さまが止めてくれるので、大丈夫だと思います〜」
「絶対助けてくれなさそうです~」
 涙を目に貯めて震えるマリナ。脱衣の羞恥心がついに恐ろしさに変換されたらしい、プルプル震えると、二の腕とか、胸も一緒に揺れる。
「そ、そうですわ。マリナが脱がされるのは私も。」
「よくわかりませんが、希望さまがやる気まんまんみたいなので、わたしもがんばりますね〜」
 そう恋人たちの葛藤も介さずアニマが拳を突き上げた。
「さぁ、そうこうしているうちに開始五秒前よ」
 遙華の声が響く。すると階段裏に隠れていた『彩咲 姫乃(aa0941)』が小さくぼそりとつぶやいた。
「西大寺が暑さと多忙で脳をやられたと聞いて」
「それでやってくるますたぁも結構あれな発想してますニャ」
『朱璃(aa0941hero002)』がやれやれと首を振る。

第二章  衣服をはぎ取れ!


「世の中に笑いをってのは同意なんだがな……」
「……ん、忘れてたけど……ハルカは、こういう娘だった……ね」
 そう麻生夫妻は溜息をついた。
 忘れてたままの方が良かったのではと思わないでもなく、参加しておいてなんだが、この企画はどうなのだと遊夜も思った。
「たまにはバカやった方が気も紛れるからな、遙華の為でもあるし頑張って盛り上げるとしようか」
『麻生 遊夜(aa0452)』が角から通路を確認。『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』は背後を気にしている。
 スタート位置から走り、遊夜は屋内弐階を探索していた。
 目指すはラッキーアイテムの衣装である。ユフォアリーヤにあまりあられもない恰好をさせるわけにもいかない。
「ま、賞金が出る以上本気でやるとしようかね」
「……ん、頑張って守って……ね?」
 そう遊夜の背中にしなだれかかるユフォアリーヤ。いつもと違う戦闘に興奮しているのか、ふっと遊夜の耳に息をかけた。
「おっふ。まぁ。お嬢様のお望みのままに、ってな」
 そうにやりと笑ってユフォアリーヤの頭を撫でた瞬間。
 後ろから矢が飛び遊夜とユフォアリーヤの間に突き刺さる。
 二人は奇襲に対して迎撃の銃弾を放ちつつ走り出す。
 遊夜が目指すは単独での優勝。
「子供達の為の貯金に加えてくれよう!」
 その時参回で施設を揺るがすような轟音が聞えた。
 近接戦闘でもあったのだろうか。それに遊夜は一人の少女を思い出す。
「そう言えば知り合い……クルシェ辺りはいたりするんだろうか?」
 その言葉にむっとした表情を浮かべるユフォアリーヤ。
「いたら組むのもありかもしれないな」
 その後頭をかじられたのは言うまでもない。
 そんな麻生夫妻であるが、逃げ足は素早く『廿小路 沙織(aa0017)』はあっという間に逃してしまった。
 曲がり角でその姿を見てあわてて走り寄ってきたのだが、こちらもバタバタ動くと他の参加者に見つかる可能性がある。例えば。アニマや光、そして合流した『狼谷・優牙(aa0131)』など。
「ごめんなさい、当てていれば」
 矢を放ったのはアニマであったらしい、希望はその頭を撫でて励まして見せる。
『オルトレーヴェ・メーベルナッハ(aa0017hero002)』はそんな参組のリンカーを注意深く観察しながら沙織に意見を求める。
「な、なんだかまた酷いコトになりそうな企画……ですね。で、でもやるからには頑張ります……」
「頑張る? ヤル気ある。なるほど、手伝う、頑張る」
 不穏なつぶや気をするオルトレーヴェ。
「プレシアが登録しちゃったから来たけど、改めて凄いルール……」
 そうすでに上着が脱げてしまった『プレシア・レイニーフォード(aa0131hero001)』を眺めて告げる優牙である。
 会場に到着する時刻のずれで開始直後に合流できなかった時はさすがに死を覚悟した。
「たすけてくれてありがとう」
 無名のリンカー二組に追い詰められたときは全裸も辞さないで戦う覚悟だったが、そこで希望と光が駆けつけてくれたのである。

『うふふふ。さぁ、楽しませて頂きますわ♪』

 そう、堂々と矢面に立つ光に射撃を加えるリンカー達であったが、やがて光は英雄でないことに気が付く。
 英雄を脱がせなければ意味はないのだ。
 あわてて英雄を探す二人を側面から希望が襲って英雄をあっという間に全裸にした。
 そして屋内に取り付けられていたカメラを発見すると笑顔を届ける。
「精一杯がんばりますから、応援よろしくお願いしまーすっ」
 その言葉に会場は沸いた。歓声が上がった。
『知ってる人がいて安心しましたっ。ここは協力して行きましょう?』
 そして優牙が合流して、今である。
 ただ、そんな激しい開幕戦を経験したものだから、光の衣装はところどころ破けている。
 上着は脇から胸元にかけてざっくり切れているし、袴もざっくりスリットが入っているので、動くと下着が見える。立っている分には見えそうで見えない。
 画面の前で男どもが身をよじっている。
「あら? 光様?」
 見知った顔を発見して警戒を解く沙織。
 その時だ、背後から奇襲。リンカーが挟み込むように沙織の前と後ろをとった。
 たまらず沙織は光に助けを求めようと躍り出る。
「敵が! 敵が来てます」
「ぐる、つまり全員裸にする? 良い、全員剥く」
 その時である、オルトレーヴェがアロンダイト(レプリカ)を振りかざす。
 その刃は何かを傷つけられないように調整はされているが、ひっかけることで沙織の自重とオルトレーヴェの力技で服を裂くことは可能。
「ひゃああああ!」
 束縛から解放された肉が躍る、運動量はそのまま弐つの乳房に伝わって、弐つの塊が異なるタイミングで跳ねた。
「……下着、剥ぎ損ねた。不覚。仕方ないから、他の人、剥く」
 告げるとオルトリーヴェは天井の通気口をぶち破りその中に姿を消した。
 そんな目の前で展開されるとんでもストリップ劇場に追いすがってきたリンカーも。光たちも驚いた。
「その子は私の後輩です。叩くなら後ろの二人」
 マリナが矢をつがえると光と希望が前に出た。
 地面に座り込む沙織を置き去りに戦闘を開始する。
「し、下着姿にされた上で目立つ場所に放り出されてしまいました……」
 そう涙目で胸を抑え上目づかいで優牙を見つめる沙織。
 そんな沙織はブラもパンティーもサイズが合っていないのか肉にめり込んでいる。
 その上にお肉が乗っていて、今にも零れ落ちそうだ。
「み、見ないでくださーい!?」
 乱射されるクロスボウは襲ってきたリンカー組の足を止める。
 落ち着かないのか自分の体を隠そうと手を這わせるその動きも、なんだか自分の体をもんでいるみたいではないか。さらに胸がこぼれそうになるが。優牙はそれ以上みないことを務めた。
「少しずつでも数を減らして……はわわわ!? ふ、服が本当に無くなって……!?」
 優牙は思わずスコープから目を放した。
 気が付けばマリナの上着もアニマのスカートも吹き飛んでいる。
 今がチャンスと畳み掛けようとする敵リンカー、その背後からオルトレーヴェが迫る。
「裸、恥ずかしくない。獣、全部裸。裸、自然」
 一撃のもとに英雄一人が全裸に、画面には急速なモザイク加工が施される。
「そんな! どこから!」
 戸惑う英雄と、その能力者。
 あたりを見渡すと涙目で体を隠す少女がいるではないか。リンカーの動きが止まる。
 その瞬間オルトリーヴェがもう一人の英雄をバシバシ叩いた。
「ぐあああああ!」
 英雄の衣服がはじけ飛ぶ。
 二組脱落、そして初の勝利である。
 その喜びを分かち合おうと希望の背後に歩み寄る光。
「あらあら、手が滑ってしまいましたわぁっ♪」
 その時希望が光の胸元に吸い込まれると共に光の指先が希望の肩口に引っかかった。
 ばりっと衣装が裂かれる希望。
 肌着が露わになり。
「いやんっ、光さんのえっちぃ」
 希望はそう可愛らしい声で叫んだ。
「ちょ、ちょ、これ以上の露出は事務所NGなんですけどぉ!!?」
 会場で歓声が上がる。
「あ、マリナさんはもっと積極的に脱ぎましょう。そう、そうです潤んだ目、ベリギューですねっ!」
 そう現場を盛り上げようとマリナに耳打ちするとマリナは身をすくませていた。
「だいじょうぶですよ〜マリナさん。とっても素敵ですから、胸をはってください〜」
 告げるアニマ。
「まだ下着が残ってますから、ぜんぜんへっちゃらですよ〜」
「ぜんぜん大丈夫じゃないです」
 そう沙織にアニマも同意する。
「んふふふっ、楽しくなってきましたわねぇっ」
 そう上機嫌な光である。

第三章  決戦

 戦闘は中盤戦、早くも半数のリンカーが脱落したらしい。
 遙華がアナウンスで言っていた。
 優牙たちもチームとして活動していたのだが、背後からの奇襲で沙織がはぐれてしまった。
 希望が後ろを振り向いて弓で敵を射抜くパンティーがじりじり消えていく英雄がリタイヤを叫んでガッツポーズをとった、その時である。
「誰かいる」
 楕円状になっている施設の逆サイドの窓ガラス、それを見ると疾走する人影が見えた。
『セレン・シュナイド(aa1012)』である。
 セレンはライオンハートを振りかぶるとリンカー一人を切り裂いた。そのまま速度を落とさず走りだす。
 セレンの背後には『AT(aa1012hero001)』が控え追従している。
「セレン、成長したキミの姿を見せてくれ。……まぁ、私はキミの裸を見ても大して動じないから心配するな。ふふふ」
 その言葉に冷や汗にも似た汗を手の平に浮かべるセレン。
 手をぬぐって再び柄を握りしめた。
「なんで僕はこんな企画に参加したんだ……」
 そう後悔するセレンだったが、これは半分罠である。
 ATにかどわかされたともいう。
「そ、狙撃なら僕だって負けないよ、た、多分……」
 それを見た優牙は光と希望を振り返ると、後ろを頼んだ。
「近づかれるとちょっと困るんだけどっ。と、特に服が……(汗」
 優牙は37mmAGC「メルカバ」を装着すると、セレンに照準を合わせて撃った。
 セレンの少し背後から窓ガラスが割れていく。
「まずい!」
 ATにさらに加速するように指示をだしセレンは走りだす、弾丸に追いつかれないように。
「このままこっちくる。プレシア…………」
 プレシアはその言葉に頷くと 二丁拳銃を構えた。楕円状に繋がったろうかを疾走してセレンがこちらにこようとしている。
 自分の衣服を確認。後方支援をしていたたまもので、上半身は丸裸だが、下半身は布が残っている。
 最悪。靴下さえ残っていれば大丈夫。パンツになっても頑張る予定だった。
「あはは、面白そうじゃないかな? かな? 共鳴せずに戦うなんて初めてだから楽しみなのだ」
 ちなみに今日のためにプレシアは猫柄パンツをはいてきた。
 次の瞬間セレンの姿が見える、同時に敵がグループであることも知った。
「って! 優牙君!」
 あわててバックステップをかけようとするセレンにATが耳打ちをする。
「やぁ、知人がいると盛り上がるね。しかしながら今回は競い合う者同士。
 いくら裸で肌をくっ付けあった仲だとしても心を鬼にしなくてはね?」
「わかってるよ」
 セレンはセレンで引けない用があるのだ。
 知人に居候のみ、であれば少しでもお金は稼いでおきたい。
「私の場合は下着さえ守れればそれで良いさ。勇気をみせて見ろ、男の子だろう?」
 耳元でささやくATに勇気を奮い立たせてセレンは言った。
「……むぐ。でも此処であっさりギブアップするのも男の子らしくない、か。
 うん、良いよ。ATと一緒に戦ってきた証拠を見せてあげるっ」
 ライオンハートを盾に突撃するセレン。
「そこ、狙わせないのだ。数が多くてもただ突っ込んでくるだけなら余裕なのだ」
 それを迎撃する優牙と側面から狙うプレシア。
 だが本当にダメージ覚悟で突っ込んできたセレンにあっという間に距離を詰められ。その大剣で切り裂かれる。
 と言っても体にダメージは無く服だけ器用に破れた。御尻を守る猫さん柄が露わになる。
「あやや、本当に服にダメージがいくんだ? でも、完全に無くならなければ問題ないのだ」
 そうとびずさって距離をとるプレシア。セレンとしては男性の肌かは大丈夫である。しかし女性は…………。
「AT、そっちは任せたよ!」
 ハンズ・オブ・グローリー を装備したATが希望の放った矢を空中で叩き落とす。
 次いで距離をつめてマリナの最後に残った布をひきちぎる。

 プレシアを仕留めればセレンの勝ちだ。
 だがそれは優牙同じで。
 背後で希望と光を相手取っていた、だが一人では無理があったのか、上下の衣装がちょっとずつ削られていく、下着が露わになる。
「AT!」
 焦るセレンにATは穏やかに言い返す。
「目のやり場に困る? ふふ、嬉しいね。それならバニーな服を探してきたまえ、セレン。
 あるとすれば二階……か? 木の葉に紛らせているのかもしれない」
 その言葉に頷くと、優牙のメルカバに大剣を大きく打ちつける。
 衝撃で窓の外にとびだしそうになるが、光がアニマが胸に抱くように優牙をキャッチ。
 その隙にATの手を引いてセレンは窓の外に躍り出た。
 見事セレンは着地、屋内に入る。
「ほとぼりが冷めたころにもう一度弐階を探索しよう」
 告げて振り返ると…………。
 ATの受けたダメージが深刻なのだろうか。ブラのひもが解けるようにキレて押さえつけられていた弐つの塊がバラバラの方向にはねた。
 それを真っ向から見てしまったセレン。
 か細い悲鳴が、施設内に木霊することになる。
 沙織はトイレにこもっていた。 
 なぜかというともう上にも下にも布が無いから。衆目に裸体をさらしたことでしくしく泣いている沙織だが、一番の脅威はオルトレーヴェ。
 なぜか彼女は英雄なのにもかかわらず沙織の服も脱がそうとしてくる。
 なのでトイレの便座の上に体育座りして籠城していた。 
 その時だ人の話し声が聞こえた。
「……んー、アイテムは3つ……それぞれの階に、一つずつ……ありそうな気がする」
「1階は物販スペース、2回は小部屋のどれか、3回はトイレ……かね?」
 その声にそっと扉を開けてみてみるとそこには遊夜とユフォアリーヤがいた。
 二人はトイレの棚を調べている、すると綺麗にラッピングされた何かが姿を現した。包装紙をバリバリとユフォアリーヤがとく。
「下着よりはマシ、か?」
「……んー、きわどいから……あんまり変わらない、かも?……これ以下には、ならないなら」
 さすがの貫録でほとんど傷を負っていなかったがユフォアリーヤの服はところどころ布が消失している。
「あとは積極的に狩りに行こう。もう庇う必要もない、賞金は目の前だ!」
 その時沙織が転がり出た。
 場に流れる気まずい雰囲気と、地面に体を押し付けてなるべく大事なところは見られまいとする沙織。
 まぁお尻は丸出しなのだが。
 そんな沙織は一言か細くつぶやいた。
「どうか、そのバニーガールを譲ってくれませんか?」 
 次の瞬間我に返るユフォアリーヤと遊夜。
 ユフォアリーヤが遊夜の嬉しそうな視線を殺すために目に指を突き入れた。
 結果沙織はバニー衣装に身を包むことになったのだがオルトレーヴェがやってきてその首根っこをつかまえどこかに連れて行ってしまった。
 戦いは佳境である。
 トイレから出る麻生夫妻。
 二人の室内戦闘は完璧ですでに十のリンカーを屠っている。
 遊夜は17式、ユフォアリーヤはハウンドドックを選択、基本戦術は弾丸をばらまいて牽制しつつ敵の潜んでいる個所を特定。
 壁越し、もしくは窓ガラス越しにユフォアリーヤが狙撃して的確に敵をひん剥いてきた。
「かすっただけでも良いってんだからありがたい限りだ」
「……ん、ボク達の得意分野……その分、狙われそうだけど」
 実際その通りでユフォアリーヤを倒すための連合軍が組織されたがこれも壊滅。
 今に至る。
 だがその正攻法が通じていたのは今までが正統派なリンカーだったからだ。
 ピーキーなリンカーには少しひねりが必要かもしれない。
 たとえばそう天井に潜む猫耳少女など。
「伏せろ! リーヤ」
 次の瞬間舞い降りた少女の手によってユフォアリーヤの上着が消し飛ばされる。遊夜はユフォアリーヤを抱き留めながら片手で器用に銃を撃つが、それを交わして少女は窓ガラスをわり、外に出た。
 代わりに背後の窓ガラスを割って突っ込んできたのは姫乃。
「この時を待ってたぜ!」
 二人の激しい室内戦が始まる。
 朱璃が速度で攪乱し、姫乃が奇襲するスタイル。この戦法で多くのリンカーを血祭りに上げてきた。
 さすがに遊夜に対しては狙い打たれる危険が高いのだが、それも奇襲による精神的なアドバンテージで一時的に埋まっている。
 天井を、壁を跳ねまわりながら朱璃は敵を攪乱した。それでも遊夜の射撃は正確で……みるみるうちに朱璃の服を溶かし落していく。
 朱璃の輝きを反射する太ももが丸見えになった。
「これ以上破けたら、競技終了後に共鳴しますデスニャ」
 告げる朱璃に思わず大声を返してしまう姫乃。
「おいこら、人を無駄に巻き込むな」
「ご主人のあられもない姿とか御褒美だと思いません?」
「思わねえよ!」
 その声を頼りにユフォアリーヤは足元に銃口を向けて撃った。
 弾丸が貫通し姫乃の肩口に突き刺さる。
「…………ん、仕留めそこなった」
「うーん、これはちょっとまずいですにゃ」
 告げる朱璃は窓ガラスの向こうを見た。
 人が集まりつつあるのだ。
 乱戦のなかでは自分たちの命も危うい。
 なので。
「にげるにゃ!」
 朱璃の言葉に頷いて階下にいた姫乃も逆サイドに奪取。
 光や希望が走ってくる方向にあえて突っ込んで朱璃は攪乱。その混乱のままに逃走を図った。
 光や希望の目の前に残るは麻生夫妻。
 ラスボスともいえる貫禄に生存本能、というか羞恥心が警鐘を鳴らした。
 姫乃もセレンと遭遇したのだが。天井を蹴っての跳び蹴り、と見せかけた姫乃のムーブにセレンは思わず盾を構えた。
「スカート!」
 セレンは顔を真っ赤にして背後に駆け抜ける姫乃に抗議の声をあげるも。
「へるもんじゃねーし、良いよ」
 そう言い放った。男にみられる分にはまぁ、別にという感じである。
 ただ羞恥心の方は朱璃の方が薄いようで。
 合流した朱璃は普段の見事な衣装が肩口からバッサリ消えており、腰の帯から下がかろうじて残るというマニアックな姿になっていた。
「おい、それ誰にも見られてないだろうな?」 
 姫乃が問い詰めると朱璃は告げる。
「あたしは別に素っ裸でも構いませんけどね、――恥らう振りくらいはできますよ?」
「そう言う問題じゃなくて俺とお前は見た目そっくりなんだぞ!」
 その後時間切れになるまでに、残ったリンカーは七組。
 ユフォアリーヤ以外はズタボロだったが最後の最後で姫乃がバニー衣装を見つけたのでアイドル生命は守られた。
「女が着れば眼福で、男が着れば面白い。そしてあたしが着れば無敵デスニャ」
 そうサービスカットでカメラの前に立つ朱璃。
「とはいえ、兎の耳はいらねえデスね。すでに天然で素晴らしく魅力的なお猫様の耳がありますからニャ」
 どのタイミングで頭をはたくか悩む姫乃である。
「まー着替えた場合は終了後に共鳴してご主人をばにぃにしてやりますが」
「させねぇよ?」
 こうして戦いは決着した。

エピローグ

 光がそう背をのばすと衣服の弱くなっていた部分がはじけた。
「はぁ~、とぉっても楽しませて頂きましたわ」
「ひ、酷い目に遭いました…………」
 マリナがそうため息をつくと表彰が終わり、全員が解放された。
 遙華の賞金授与後姫乃はそっと寄り添ってひそひそと何事かを告げる。
「これってロミジュリの仕事には影響ないよな?」
「まぁ、本当にひどいところはモザイクかかってたし、大丈夫じゃない? むしろ箔がつくってものよ、公表する?」
「自分からはやめとくよ」
 告げると速度を落として会場全体を眺める姫乃。
「逃げの競技なら勝機ありと来たはいいが、――なんという破廉恥企画」

「はたしてお茶の間に流れるのは、笑いか、それとも気まずい沈黙か」

 そう佇む姫乃に追い討ちをかけるように遙華は言った。
「ひかりはこの番組見てるけどね」

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
  • マグロうまうま
    セレン・シュナイドaa1012

重体一覧

参加者

  • 胸囲は凶器
    廿小路 沙織aa0017
    人間|18才|女性|生命
  • エージェント
    オルトレーヴェ・メーベルナッハaa0017hero002
    英雄|12才|女性|ドレ
  • エロ魔神
    御手洗 光aa0114
    機械|20才|女性|防御
  • 天然エルフ
    マリナ・マトリックスaa0114hero002
    英雄|22才|女性|ソフィ
  • ショタっぱい
    狼谷・優牙aa0131
    人間|10才|男性|攻撃
  • 元気なモデル見習い
    プレシア・レイニーフォードaa0131hero001
    英雄|10才|男性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
    人間|12才|女性|回避
  • 疾風迅雷
    朱璃aa0941hero002
    英雄|11才|?|シャド
  • マグロうまうま
    セレン・シュナイドaa1012
    人間|14才|男性|回避
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