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【相談卓】
最終発言2018/05/17 21:37:19 -
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最終発言2018/05/17 20:57:19
オープニング
●人工運河
スエズ運河、地中海と紅海を繋ぎ電信ケーブルが通ってる人工運河である。
広く、長い、自然では作れない整った運河には、行き違いのために地中海や紅海、バッラ・バイパス、グレートビター湖で他の国の巡洋艦、輸入用の船が停泊していた。
スエズ運河を通るのに複数のタンカーが、輸送するためにスエズ運河を行き来していた。
「アレか? 間違いは無いか?」
「あぁ、アレだ」
エル・フェルダン鉄道橋の陰からタンカーを見据える複数の影は、ハンドサインで仲間に問うと直ぐに返答が帰ってきた。
「他のタンカーもある様だけど良いの?」
「良いさ。欲しい物さえ手に入れば、他のはどうでも」
と、仲間の問いに答えた人物は肩を竦めた。
「それでは手はず通りに……」
「OK」
コツンと、拳と拳を軽くぶつけ合うと橋下を通るタンカーへと向かった。
目覚めは最悪だ、とプリセンサーは思った。
「不確か過ぎる……」
察知した内容が夢の様に不確かだからだ。
「でも……“確実にテロは起きる”のは確かだけども……どのタンカーが狙われるかは分からないなら、避難させるしかないでしょうね」
と、呟いてプリセンサーはキーボードを打ち始めた。
●緊急
「プリセンサーがスエズ運河にて『タンカー』が襲われる、という事を察知しました」
ティリア・マーティス(az0053)が集まったアナタ達に向かって言う。
「つまり、テロリストの事が分からない状態ですので、乗組員の命優先に避難をしていただきたいのです。もちろん、余裕があればタンカーや積み荷等もお願いします」
と、言って一呼吸置く。
「実は、襲われるタンカーもどれなのかも分かっておりません。善性とか悪性とか愚神の関係で大変ですが、人命救助の為にお願いします!」
そう言ってティリアは、アナタ達に頭を下げた。
解説
【目標】
最優先『乗組員の救助』
次点『タンカーと積み荷』
『テロリストの撃退もしくは確保』
【場所】
スエズ運河(昼)
15万トン以下のタンカーが5隻
【一般人】
タンカーに乗ってる乗組員のみです。
一隻に20人乗っております。
エル・フェルダン鉄道周囲には居ません。
【テロリスト】
10人
詳細は不明
統率がとれております。
【NPC】
指示が無ければ同行しておりません。
【PL情報】
『●人工運河』のやりとりはPL情報のみとなります。
リプレイ
●静かなるスエズ運河
「貴方達を死なせる訳に行かない、協力してください」
と、積み荷を見せる事を拒否するタンカーの船員に、荒木 拓海(aa1049)は声を上げた。
「……黙認を出来るように見えないですが? 乗せる事は拒否致しません」
船長は首を横に振るだけだ。
「しかし、被害が出てからは……」
「その為の護衛だと聞きましたが?」
拓海の言葉に船長は首を傾げた。
『拓海、乗るなとは言わないだけだし……それ以前に、積み荷がダメな物なら通れないよ』
メリッサ インガルズ(aa1049hero001)が拓海を見上げた。
「失礼しました。拓海様、積み荷は鋼鉄と缶詰でしたのでご安心くださいませ」
タンカーから出てきたティリア・マーティスが答える。
「そうでしたか」
と、言って拓海は胸を撫で下ろす。
広く、人の手で作られたスエズ運河にタンカーは静かに進む。
「何々、きな臭いことばっかりだねぇ」
木霊・C・リュカ(aa0068)が1隻のタンカーに乗り込み、頬を撫でる風を感じながら呟いた。
『狙いがわからない、な』
金色の瞳で運河を見渡しながらオリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)は小さく首を振った。
運が良かった、5隻のタンカーの1隻にH.O.P.E.のも含まれていたので、それを含めての護衛という話をしたら快く承諾を得れた。
様々な積み荷のタンカーを見て、金属系、国外からの加工食品、石油、そして……。
『1隻だけは拒否されたな』
「うん、どうしてだろうねぇ」
オリヴィエの言葉にリュカは静かに答えた。
「わからないことだらけ、ですね……」
少し不安そうに紫 征四郎(aa0076)は呟いた。
何故、タンカーを襲うのか? と。
スパイの可能性も視野に入れたが、どのタンカーの乗組員も『それは無い』と断言していた。
「狙われるタンカーが、ある程度予測できるのがベストなのですが……」
端末の資料を見つつ、征四郎はタンカー内を歩き回る。
『どうやら、積み荷等を調べた情報が送られてようだ』
ユエリャン・李(aa0076hero002)が、銀の瞳を端末に向けると全てのタンカーに関する情報が並んでいた。
「どうでしたか?」
『怪しい所は無いようだ。H.O.P.E.の積み荷もライヴスストーンのみと、一般人には特に不用の物だ』
征四郎が横から端末を覗くと、ユエリャンが素早く目を通して説目をする。
「何が、目的なのでしょうか?」
『テロリストの目的……思い付くのは、兵器の素材である鉄、燃料である石油、兵を養う為の食糧、それ位しか思い付かないな』
征四郎の問いに、ユエリャンは首を小さく振った。
『逃亡経路や荷物の回収に潜水艇を用意している可能性はありそうですが』
甲板に出た構築の魔女(aa0281hero001)は、スエズ運河の水面に視線を向けた。
「……」
くいっと辺是 落児(aa0281)が視線を乗組員に向けると、H.O.P.E.関係のタンカーという事で笑顔で手を振られた。
『積み荷を開示してないタンカーは、少し不安ですね』
手を振りかえしながら、構築の魔女は風で靡く髪を押さえた。
『どのタンカーが襲われるか分からないのですから、心配しても無駄かもしれませんね』
と、構築の魔女が呟くと落児は、同意するかのように頷いた。
(何らかの思惑や矜持があってもテロは困るね)
共鳴姿の餅 望月(aa0843)が嘆息すると、タンカーの近くをALブーツ「レイジャル」で滑るように走る。
『お船と船員さんがぴんちなのです!』
「なんとか助けたいわね……」
意気込むに都呂々 鴇(aa4954hero001)対し、新城 霰(aa4954)は落ち着いた声色で言った。
ティリアに、事前に5隻それぞれの積荷や船籍の確認をお願いしていた。
「霰様、こちらにいらしたのですね。出航前に調べましたが、積み荷は全て特に怪しい物は無く、船籍に関しても不明な人物や最近入った人は居ませんでしたわ」
と、他のエージェント達に情報を端末に送りながら、ティリアは霰に伝えた。
「分かりました。後は一緒に護衛をやりとげましょうね」
共鳴し、鴇に任せた霰は意識のみとなった。
鴇の手から鷹が羽ばたくと、雲が1つもない空へと羽ばたいた。
眼下に広がるスエズ運河には、数名の仲間が水上を走っていた。
「橋までが遠く離れているように感じるな」
アサルトユニットで水上を走る地堂光(aa4284)は、太陽の光で眩しそうにしながらタンカーを見上げた。
「大丈夫?」
「……多分」
震える手を握り締めた小宮 雅春(aa4756)は、圓 冥人の問いにこくりと頷いた。
「そういうのは大丈夫とは言わないよ」
と、言って冥人は首を振る。
「僕は、船内の警備に戻ります」
深呼吸をして落ち着いた雅春は、やるべき事を脳内でシュミレーションしながら船内へと向かった。
「硬いなぁ……」
その後ろ姿を見て、冥人は苦笑した。
●静かなる敵
サイレンサーを付けたスナイパーライフルを手に、テロリストの一人はため息を吐いた。
「上手くはいかないものだ」
擬態しているとはいえ、1発撃てば空を飛んでる鷹の目には自分を補足されるだろう。
「やってしまえ。混乱に乗じて、襲えば後は簡単だ」
「了解。ワザとエージェントに当てれば良いんだね」
互いにハンドサインで会話を終えると、スナイパーライフルのトリガーを引いて、銃口から音も無く弾丸が射出された。
『中々動かねぇと思ったが、ライヴスの動きだけは丸見えだな』
オリヴィエがレーダーユニット「モスケール」で、ゴーグルには複数のライヴスが鱗粉を捉えていた。
水中からウェットスーツのテロリスト達が次々と飛び出し、ひらりとタンカーの甲板に足を着けた。
『このタンカー狙いか!』
オリヴィエは素早くLSR-M110を手にし、テロリストを威嚇射撃で怯ませるとスマホで直ぐに船長室へ繋ぐと、避難するように指示を出す。
「大丈夫ですか!」
望月がタンカーに乗り込むと、セーフティガスを発生させる、がーー
倒れる様子は見せず、逆にガスを利用して姿勢を低くし、素早い動作で望月のに足払いを仕掛けた。
「オリヴィエ君! あたしは大丈夫だから、避難を早く!」
望月の言葉にオリヴィエは頷くと、テロリストと距離を取って仲間に連絡をする。
『全部のタンカーに、テロリストが乗り込んでしまってる。これじゃ、狙いが分からない』
鷹の目で周囲を見回した鴇は、5隻ともにテロリストが二人ずつ乗り込むのを見て、通信機でオリヴィエに伝えた。
「っ! 普通の人だと思ったけど……戦い慣れてるます!」
テロリストの連携が取れた立ち回り、言葉にせずに素早い動作で望月を追い込む。
『此処から先は行かせないっ!』
と、吠えるとオリヴィエは、威嚇射撃で望月の援護をする。
「お一人で、大丈夫でしょうか?」
ティリアは心配そうに鴇の後ろ姿を見つめる。
『大丈夫だ。それよりも、避難を急いでくれ』
鴇が攻撃を回避しながら声を上げた。
乗組員の避難が優先の依頼だ、タンカーの荷やテロリストの事なんて二の次と言われていた。
だが、8組のエージェントの中には捕まえようと、試みる者も少なからず居た。
『っ! 一般人じゃないのか!』
鴇は唇を噛み締めた。
「連携が取れてる……戦い方じゃ向こうが上のようね」
第六感としてテロリストの動きを感じる霰は、会話無しどころか合図らしき行動を見られない事に1つの言葉が脳裏に浮かぶ。
軍人、と。
「一人では部が悪いね。避難に関しては予め指示を出してるし、救助隊の要請も出されているのよ」
霰は肩で息をしている鴇に言った。
『深追いはしない、分かってる』
パニッシュメントで攻撃したものの、テロリストにダメージが通ってないのを確認すると鴇は、頬を伝う汗を拭った。
愚神の類いではないのなら、足止めをして可能であれば捕縛すればいい。
『子供達に怪我をさせるのは、母として失格なのよ』
アラル・ファタ・モルガナが、鴇とテロリストの間に入って盾で攻撃を弾いた。
『最善は尽くしますがご協力お願いいたします』
構築の魔女は言い終えると、通信機を切り換えて仲間からの連絡を取ろうとする。
『他のタンカーで戦闘中となれば、コチラにも来るのは』
と、呟くと構築の魔女は、37mmAGC「メルカバ」を取り出す。
『予想済みですね』
ロングショットでタンカーの上って来たテロリストを正確に撃ち抜く。
攻撃に怯んだ様子を見せずに、テロリスト達は甲板を蹴って駆け出す。
「全く、何を狙っているんだ?」
光がタンカーへと跳躍するテロリストの前で、守るべき誓いを発動させてるとパトリオットシールドで攻撃を弾いた。
この状態での戦いは不利だと感じたテロリストは、自分の真下に手榴弾を落とす。
運河の中で破裂した手榴弾の衝撃が、一番近くのタンカーを揺らして水飛沫に紛れてテロリストは、光に飛び掛かるとスエズ運河に沈める。
『くっ!』
揺れるタンカー内で膝をついて構築の魔女は、収まるのを待っていると目の前にテロリストが素早く迫り、足をナイフで切りつけた。
『此処から先は、行かせない……』
構築の魔女は、愚か者という名を冠した2丁銃Pride of foolsのトリガーを引き、目の前のテロリストに弾丸を撃ち込む。
既に乗組員は避難し終えたタンカーだ。
そして、その水面下では光はテロリストと対面していた。
(早く水上に……っ!)
光が水面に向かって泳ごうとすると、テロリストはアザラシの様に泳ぎ足首を掴む。
体脂肪が少ないからなのか、ただ単に自分の体が重たいだけなのだろうか、光はどんどん沈められて行った。
「なんとしてでも、なんとしてでもみなさんを守らねばなりません……!」
征四郎が声を上げる。
『分かってる。ただ、相手が能力者で戦闘のプロという事が問題だ』
ユエリャンがターゲットドロウで、テロリストの意識を向けるようにしながら静かに言った。
『予知夢を聞くだけじゃ不明過ぎるわね』
と、メリッサが不満そうに言う。
「各船が何を載せてるか素直に教えてくれると目安に成りそうだが……」
拓海は各船に乗せられた積み荷を思い出す。
『積荷ではないかもよ? 船長に秘密で持ち込んだ品や政治的に重要な人や能力者なら人質に取る振りで連れ出すとか出来そう……』
メリッサを“物”ではなく“人物”だと予想する。
「当たり、か。幸いにもこのタンカーごと移動してくれるのは、幸運だな」
マスクの下からくぐもった声でテロリストが呟くと、大剣を激しく鬼神の如く振る。
『同じドレッドノートっ!』
共鳴姿のメリッサが、Wアクス・ハンドガンを振り一気呵成で反撃する。
『やはり、能力者か。ライヴスストーンが狙いだったか』
「では、そういうのが必要な程の組織の一員……もしくは雇われでしょうか?」
ユエリャンがスカーレットレインで攻撃を受け流すと、征四郎は唸りながら“テロリストがライヴスストーンを狙う”理由を考える。
『はぁ……ふっ! 連携が取れ過ぎて、る……よ』
現状は一対一なのに、まるで二人同時に相手をしているかと錯覚してしまうメリッサは、傷だらけの腕でWアクス・ハンドガンを振り下ろした。
『それもそうだろうな。多分、ドレッドノートのがリーダーでもう一人は、バトルメディックだ』
ユエリャンは戦闘中、ずっとテロリストの様子を見てクラスの推測は確信に至った。
『ボートで逃がすしかありませんね』
『先に逃がしておいた』
メリッサがそう言うと、後方から駆けつけたオリヴィエが言った。
駄目なのだろうか? と、諦めの言葉が光の脳裏に過る。
自分の手首を誰かが掴み、一気に水上へと上げられると光は水面に立つ。
「ターゲットはH.O.P.E.のタンカーだよ。早く援護に」
冥人は光の背を押すと、1隻のタンカーを指した。
「あ、あぁ!」
光は頷くと、タンカーに向かって駆け出した。
『頑張るのよ』
アラルがケアレイで光を回復しながら、駆け出したその背を見つめた。
「あたし達はまだ撤退してないテロリストを相手にしてるから、他のところに」
望月が笑顔で言うと、アラルと一緒にスエズ運河を駆け出した。
頑張った、と自分に言う。
そして、こんな状況でも逃げなかった自身はグリムリーパーを手に、テロリストにまだ立ち向かう。
ぼろぼろの体を酷使してでも、一般人を守る為に雅春は立ちはだかる。
「はぁ……はぁ……」
肩で息をしつつも、雅春はテロリスト達の前に立つ。
「頑張ったね」
冥人が庇うように前に出ると、雅春の頭を撫でると笑顔で言った。
「深追いはしないですが……逃げるまで粘るよ」
最後のケアレイで傷を癒すと、雅春は再びグリムリーパーを握り締めた。
●消えた敵
『逃げられたな』
鴇が武器を幻想蝶に仕舞いながら言った。
「流石に、ね」
女郎蜘蛛で体力が減った様子を第六感で感じた霰は、逃げるテロリストをただ眺めるしかなかった。
そして、スエズ運河から爆撃音が響きタンカーが激しく揺れた。
『待ちやがれ!』
オリヴィエが撤退するテロリストに向けてロケットアンカー砲を放とうとするが、あらかじめ設置したのか、それとも後から設置したのか分からないが、何かが爆発する音と共にタンカーが激しく揺れた。
外に居た望月がテロリストに駆け寄ろうとするも、爆発の衝撃で運河の水が宙に弾けとんで視界を奪う。
『オリヴィエ、何が起きているか分からない。追うのは止めておいた方が良い』
ユエリャンが、オリヴィエの肩を掴んで制止する。
「それに、近くに救助隊も来ているから彼らに任せよう」
と、拓海が頷きながら言った。
「そうですね。この運河から出てきたら目立ちますし、今は他にテロリストが潜伏してないかを確認した方が良いです」
征四郎は同意するかのように頷き、今するべき事を提案した。
『私もそれに異論はありません。それに、戦いで傷付いたエージェントとも居ますので、動ける方のみでやりましょう』
と、構築の魔女は傷だらけの仲間に視線を向けた。
余力のあるエージェント達は、テロリストが紛れ込んでたり、潜伏していないかと船員の確認、エル・フェルダン鉄道周辺を調査した。
しかし、テロリストは煙の様に消えてしまったのだろうか?
目撃の情報も無いまま、エージェント達は本部へと帰還した。
乗組員に怪我人は無し、タンカーが1部破損したが目的地まで運航するには問題無い範囲だ。
能力者であったテロリスト達は、ユエリャンが交戦した時の事を思い出しながら『元軍人ではないか?』と、本部へ提出した報告書に書いた。
「逃げ場の少ない運河で事件を起こしたということは本拠地が近くにある可能性が考えられますが」
構築の魔女が、H.O.P.E.にアフリカや地中海にヴィラン組織の調査と、スエズ運河の検問を提案した。
提案を受け、H.O.P.E.本部は各支部へ連絡をして調査と検問を直ぐに開始した事を、参加したエージェント達に伝えられた。
結果はまだ先になる事を聞いたエージェント達は、連絡を待ちながら何時もの生活に戻るのであった。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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