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【宇宙開拓】暗夜埋め尽くす軍勢
掲示板
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遥華さんに質問
最終発言2018/04/26 20:35:15 -
○ペースインベー○ー
最終発言2018/04/28 20:49:05 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/04/28 18:04:10
オープニング
● 迫る軍勢
その愚神は暗闇の向こうでほくそ笑んだ。
背後には黒くうねるカーテン、しかし、信じられるだろうか。
それらすべて従魔。宇宙を覆い隠すくらいに繁殖した従魔たちなのだ。
それはわずかな霊力を最大効率で利用し生み出された宇宙王の手ごまたち。
そのうねりにのばれるようにその愚神は黒い波の中に消えていく。
ぎらつく長刀を自分好みに作り替え、次なる強者を迎え撃つために。
宇宙で戦局は新たに動こうとしていた。
その軍勢の前にはリンカーたちが作り上げた拠点など宇宙の漂着物。その一つに過ぎない。
その拠点で君たちはグロリア社からの無茶な指令を受け取ることになるだろう。
あの従魔、愚神たちを撃ちとって、そしてこの拠点を守れと。
無茶だと笑うものもいるだろう。何せ今まで戦ってきた従魔の十倍……百倍はいそうなのだ。
その軍勢はソラというウミを泳ぐようにゆったりと、地球へ向けて進軍した。
●軍勢について。
今回OPでたいへん誇張されている従魔ですが、一体一体はとてもか弱いです。
十体でやっとミーレス級。百体の従魔が連携してやっとデクリオ級従魔程度です。
それが千体ほど存在しています。
個別に撃破できるのであればまったく脅威ではないのですが。
今回は百体規模の部隊として連携してことに当るようです。
従魔インベーダーはまとわりついての締め付け、および消化液で攻撃するしかないので、包囲されなければ脅威ではありません。
ただ今回は従魔は完全に制御されており、リーダーを倒さない限り強力な連携をみせるでしょう。
そのリーダーが、前回、前々回と登場した。ケントゥリオ級愚神です。
この愚神、名前が決まっていないので、ぜひ誰かつけてみてください。
前回、グロリア社が研究しようとしていた、長ーい刀身を持つAGWを持ちます。
さらに今回はインベーダーたちと合体して巨大愚神と化しています。
下半身が巨大な球体のうねうねした何かに包まれており、その球体は全長25メートルと巨大です。
インベーダーたちから集めたエネルギーをレーザーとして放つスキルを使ってきます。
そのスキルであれば一撃で戦艦、宇宙拠点を鎮めることができるでしょう。
● 作成できる施設(連結可能施設一覧)
施設にはそれぞれ必要理解度と物資重量が設定されています。
物資重量は一回のシャトルで運びきれるかどうかを見る値です。
場合によってはパーツを分割して運ぶ必要があるでしょう。
作成した施設や、運ばれているパーツ数はノベルの最後と、次回のOPに表示されます。
・ 生活管理室【必要理解度1 物質重量8】
最初に連結した場合、皆の理解度が3上がり。これ以降連結に成功すると1ずつ効果が上がっていきます。
生活管理室の連結されている数によって新しい施設が追加されるかもしれません。
・迎撃砲台【必要理解度3 物質重量11】
インベーダーを迎撃する施設。
設置した数によって連結時に襲われる危険性を減らせる。
・戦闘準備室 【必要理解度18 物質重量76】
最終的にはこの施設を作ることが目的。
リンカーの戦闘指揮や、回収、再出撃などさせるための施設。
戦闘準備室を稼働させるためには『生活管理室』『ソーラーパネル』『???』の連結が必要。
・備蓄室【必要理解度5 物質重量1】
戦闘や施設拡張に使うための資材を保管しておく場所です、資材や素材によっては保管方法が特殊なのでそれなりに扱いが大変です。
資材を運び込むと、他の施設の物質重量が1~3ずつ減っていきます。
効果は累積します。
・採掘室【必要理解度4 物質重量24】
隕石から希少な鉱石を取り出す。
参加したリンカーの報酬(G)を一定数増やす。
この効果は重複する。
・ソーラーパネル【必要理解度7 物質重量29】
リンカーをサポートするためには多大な電力を消費する、それをサポートするために必要。
・医務室【必要理解度3 物質重量18】
リンカーが重体程度の傷を負った場合。重体を回復し生命力0点で地球に送り返す施設。
・寝室【必要理解度2 物質重量5】
リンカーが寝泊まりできる部屋。リラックス効果がある。
全員の理解度が1高まる。
この効果は重複する。
・無重力下研究施設【必要理解度14 物質重量42】
宇宙でしかできない研究を行う施設。これを作ると全員の理解度が2上昇し、新たな施設が連結可能施設一覧に登場する。
・ブースター【必要理解度11 物質重量15】
これは複数連結する場合。連結する個数分必要理解度が上がります。
ブースターは拠点を移動するためのものです。
一つのブースターで物質重量50までの施設を動かせることになります。
・修繕ロボット【必要理解度15 物質重量18】
破壊されてしまった施設を修復するためのロボットを設置します。
・エネルギーウイング充電施設【必要理解度7 物質重量12】
ソーラーパネルが二枚必要ですが。
この施設を設置すると、次回の戦闘から量産型天翔機が使用可能になり、宇宙空間での戦闘が楽になります。
●発射できるシャトル。
シャトルは基本的に攻撃を受けた回数で撃破かどうか判定されます。
5回までの攻撃なら耐え。
8回でエンジン停止。
10回で大破です。
*注意*
今回は中型シャトルと戦略シャトルについては、二種類の戦艦合わせて三機までの貸し出しが可能です。
戦略シャトル二機、中型シャトル一機と言った組み合わせや、中型シャトル三機と言った組み合わせにしてください。
・小型シャトル 積載可能物質重量8 物質重量22
今回は参加するリンカーの人数分レンタル可能です。
全長20メートル程度。
リンカーが操縦すればAGWとして機能し、リンカーの回避能力がそのまま回避力になるという性質を持つので、うまくすればインベーダーの襲撃をかいくぐることができるかも。
・中型シャトル 積載可能物質重量30
人員5~6人乗れる一般的なシャトル。自衛力が無い代わりに沢山物を詰める。
全長80メートル程度(切り離し前の燃料タンク含め)のため、護衛のリンカーは必須でしょう。
遠距離攻撃系リンカーは運転しながら攻撃できます。
ただ、自由にとはいかないので、本格的に戦いたい場合はエンジンを止めた方がいいでしょう。
・戦略シャトル 積載可能物資重量15
戦闘を前提として作られた、シャトルというより戦艦。宇宙戦艦。
大きさはや搭乗人数は中型シャトルと同じ。
最大の特徴は操縦するリンカーの装備しているAGWの拡大版武装を装備していること。
具体的には、リンカーはこのシャトルを操縦している限り、自身のAGWへ。
・最大射程+25
・両攻撃力五割増し
・範囲攻撃化(攻撃範囲が縦3SQ×横3SQ増える)
の効果を受けられます。これでうまく戦ってください。
解説
目標 インベーダーの進軍を防ぐ。
今回は以前の依頼のように宇宙拠点へ物資を運ぶフェイズがありません。
しかも敵が攻めてくるまで時間があるので、今回はこのようにお話が進みます。
《連結フェイズ》
持ってきた物資で宇宙拠点に施設を連結し強化する。
《戦闘フェイズ》
攻めてくる軍勢を撃退する。
インベーダーの軍勢は倒せるものなら倒していただいて構いませんが数があまりに多すぎるので、今回は三つの勝利条件を提案します。
1 ケントゥリオ級愚神の撃破
リーダーがいなくなればインベーダーが統率を失い撤退しますし、ほぼほぼ無力化できます、脅威とはもう呼べません。
2 インベーダーの数を五割まで減らす。
1000体のインベーダーを500体まで減らしてください。
するとふりを悟った愚神は撤退命令を出します。
つまり五個の部隊を倒せばいいことになりますが、インベーダー100体がまとまった戦闘力はデクリオ級従魔並です。
3 シャトルを囮にする
インベーダーたちは霊力を求めてさまよっている節があります。
なので、乗ってきたシャトルにありったけの霊石を乗せて無人で宇宙に放つことによって、愚神以外のインベーダーを戦場から離脱させることができます。
これについては中型シャトル二機の損失が必要となります。
ただしこれはシャトルを減らすことになるので次回の任務へ影響が出ます。
また、愚神に恐怖心を与えることができれば撤退を選ばせることができるようです。
● 拠点について。
今回はシールドタワーが有るので、施設への攻撃は、インベーダーであればほぼ無効。
ただし愚神のレーザー攻撃は三回までしか耐えることができません。
〈設置完了施設〉
生活管理室×2
寝室×4
ソーラーパネル
シールドタワー
迎撃砲台×2
備蓄室×2
〈修繕待ち施設〉
備蓄室×2(破壊)
全員の理解度が10上昇
物質重量低下、シナリオ内反映済み
リプレイ
プロローグ
宇宙、温度も空気もないその空間を数台のシャトルが並走する。
そのシャトル内で『ミュート ステイラン(aa5374)』と『ランページ クラッチマン(aa5374hero001)』ははしゃいでいた。
――前回はインドアじゃったからの、今回はアウトドアじゃあ!
少し前に監獄からの脱出依頼を受けた二人はシャバの空気が嬉しすぎて感情を抑えきれないのだ。
「お、お外すぎるよぉ!?」
そうミュートの声がシャトル内に木霊する。窓から見た景色に感嘆の声をあげると同時に、蜘蛛の子が寄り集まったような敵の巣を眺める。
その光景は圧巻の一言ではあるが、これから目の前にする軍勢に対しては少し心もとない気がしていた。
「そりゃまぁ、目の前に敵の前線拠点が建設中なら、完成する前に叩こうとするだろうさ」
『ベルフ(aa0919hero001)』は一つため息をつくと『九字原 昂(aa0919)』に言葉をかける。
「とはいえ、僕らにしてもこの場所に拠点がある方が便利だからね」
「だとしたら、一番面倒な敵を迎撃しながらの建設しか無いな」
その軍勢は敵と遥か離れた地点にいる『水瀬 雨月(aa0801)』にも雲の様な形で見えていた。
「相手も本格的に攻勢かしら。雲霞の如きという表現でもいい気がするわ。まるで虫の群れみたいね」
そう形容して顔をしかめると宇宙の寒さをこらえるように体を抱き寄せた。
シャトルが停止する。その加速度を殺すためにシャトルの壁面に足をつき、ぐっと耐える。
シャトルのハッチが開かれた。敵軍が衝突するまでには時間がある。ここで連結作業を終えてしまう必要がある。
「いい加減仮住まいの体を抜けたいとこだな」
『赤城 龍哉(aa0090)』は宇宙に出るなりそう告げた。
――いつまでも吹けば飛ぶような拠点では話が進みませんわね。
『ヴァルトラウテ(aa0090hero001)』の言葉に頷いてさっそく龍哉はソーラーパネルのパーツを次々運び出していく。
積載物はソーラーパネルと備蓄室だ。
「襲撃が来る前に片しちまうぞ」
その言葉にヴァルトラウテが頷いて、そして蠢く闇を見た。その訪れがどんなひどい戦場を演出するか想像しながら。
第一章 静けさ
「さて、何度目の宇宙でしょうか?」
『構築の魔女(aa0281hero001)』は宇宙を漂いながらその作業を眺めていた。
当然『辺是 落児(aa0281)』と共鳴済み。なぜなら宇宙空間で人間は生きられないからだ。そんな構築の魔女は自身の乗っていた小型シャトルから素材を引っ張り出して運搬し、龍哉が考案した設計図に従って組み立てていく。生活管理室は中央にまとめるようだ。一度組み立てた施設をばらしてから自身のパーツを組み込んでいく。
「なかなか予断を許さない状況みたいですね」
戦略シャトルの荷卸しはすでにすんでいる。組み立て作業だが、事前の準備とマニュアルによって理解度は十分。
「接続箇所は多いですが焦らず確実にやっていきましょう」
今回で物資もかなり持ち込むことができた。
「なるべく早く防衛の準備を整えたいものですが…」
そう構築の魔女は雨月を眺める。雨月が接続しようとしているのは充電施設、そしてソーラーパネル。
エネルギーウイングを使うために必要な電力の確保は可能。そして修繕ロボっトで前回襲撃を受けた備蓄室を補修。使用可能にしていく。
「充電施設は他のシャトルで一緒に持ち込んだパネルで動くだろうけど……翼は次の機会かしらね。肝心の現物が無いだろうし」
告げると地上にいる遙華を思った。
「ふんふふ~ん、アームでがしゃーん」
そんなリンカーたちの作業の要は『シエロ レミプリク(aa0575)』である。
『ナト アマタ(aa0575hero001)』と一緒に謎な歌を謳いながら、その足で施設に取りついてがっしゃんがっしゃんと施設を繋いでいく。
以前参加したときの様な重機扱いである。それでいいのかシエロよ。
「リンカー界のフォークリストの名を欲しいがままに~」
……それでいいのか。
「シエロさん次そっちお願いします」
そうシエロに指示を飛ばすミュート。
出発前に連結部分がわかりやすいように目印を振ったのはミュートである。
それをタブレットに表示してシエロに的確な指示を出していく。
「あ、えっと…作ってくれたのはランページです」
――なかなかのもんじゃろう!
元はなんとランページの手書きらしい、まるで企業に提出するかのような図面とパターンリストである。
――カカカ!
そう笑うランページの声を聴きながらミュートは思った。
(本当に何でも出来るなあ…ランページ)
「毎度毎度数が増えていくな」
『リィェン・ユー(aa0208)』がそう龍哉に声をかけた。
敵軍をじっと眺めてその動きを観察している、こちらを包囲するように広がってきた。
それを全員に伝える。
「これだけの数を揃えれるってことは宇宙は地上とは違って数を増やすのに向いてるのかとおもえてくるな」
告げるリィェンは低く重たくつぶやいた。
「とはいえ奴らの好きにやらせるわけにもいかねぇしさっさと数を減らしていくのが得策だな」
生活管理室のドッキングが完了した。
「しかし、必要なこととはいえ費用が馬鹿になりませんね」
どう構築の魔女は完成していく宇宙施設を見つめる。軽く公共施設並の大きさの拠点に育った宇宙ステーションは見てくれだけは立派で、これまで積み上げた者の尊さを感じさせてくれる。
構築の魔女はシールドタワー内側にまとめられていた資材を使いきったことを確認する。
「ソーラーパネル等…今回一つしか持ってこれていないものは狙われないようにですね」
前回破壊された点を踏まえて備蓄室などをシールドタワー寄りにし破壊される危険をなるべく下げたのだ。
そして完成した施設を構築の魔女は見あげた。
宇宙ステーションは上部にソーラーパネルを備え、その下方施設に備蓄室生活管理室。そしてそこから伸びるように砲塔が宇宙を睨んでいた。
今回運び込まれた大量の備蓄室は拡張資材、骨子を大量に備え。施設拡張後は弾薬など運び込まれる手はずになっている。
コマの様な形に形成された我らの活動拠点がついに愚神たちを迎撃できるレベルに育った。
宇宙大戦まであと少し。
第二章
まず、敵の陣営がまず広く展開した。リンカーたちを覆いこむように展開した。
「橋頭保ができれば格段に楽になりますからもうひと踏ん張りですね」
告げると構築の魔女は冷静にスコープを覗く、小型シャトルのハッチを開いて銃を構え、操縦かんを足で操作。
そして最初の引き金を引くと空中に数体のインベーダー、その死体が散らばった。
戦いの幕が上がる。
構築の魔女はそのまま高速で空を飛行。
加速度に耐えながら愚神たちに弾丸の雨をお見舞いする。
その暗黒の空がうねりミュートに迫る。
ミュートは戦艦の群を守るように前に出る。味方の援護と戦略シャトルの護衛を担う。
その背後で戦艦が……戦艦の足がばたついて従魔を蹴り飛ばした。
戦艦、そう、戦艦に足がついているのだ。
その足つき戦艦は水をかくようにあでやかにしなやかに蠢くと敵陣中央で回転して装甲版を開いた。そこに収められていたのは通常の何倍ものフリーガー。
「ふぁいやあああああああ」
シエロが叫ぶとそれは遠心力を伴いながら発射されて敵の群を紅蓮の炎で包んでいく。
その熱を感じながら雨月は敵陣中央に迫る。指揮系統からして中央に愚神がいる可能性が高い。
先ずはそこまでの道を作らなければいけない。
「肝心なのは愚神がどう動くかかしらね。後ろに隠れて手勢の数で押すか、自身も突っ込んでくるかで対応が変わりそう」
雨月は背後を振り返る。すると施設に迫るインベーダーも何体かいたが全ては機銃で阻まれた。あるていどなら前回苦労して設置したシールドが守ってくれるだろう。
「援護するよ!」
シエロが告げると、戦艦が変形した。戦艦の先端部分が開いて咢のように開くとそこから鉄をも溶かす炎が発せられる。
「…ね、ねえ遙華ちゃん」
そうシエロはサポーターとして控えるモニター越しの遙華に声をかける。
「なんかウチのシャトルだけおかしくない…?」
「そうかしら? 私は素敵だと思うけど」
「コックピットも他の戦艦はこんな風になってなかったよ」
シエロはコードにまみれていた、どこに接続しているのだろうかうねる束のそれはシエロの足も腕も隠してしまっている。
そんなシエロの戦艦へ横っ面に従魔の軍団が突撃した。
それは紙ふぶきのように戦艦に張り付くと同時に戦艦を押し込んでいく。
それをミュートが一体一体処理した。
「……!」
ミュートは外壁に四足生物のように取りついているが、無重力で髪は振り乱され鬼のような形相である。さらには触手もいつもどおりヒュンヒュンと威嚇めいている。
「クァ……クァァア!!」
削ぎ落とすように大剣を振るミュート。
(やーすっごい迫力、ミューちゃん宇宙似合うのお)
そう思うランページだが、どちらが宇宙人だかわかったものではない。
「作戦内容について確認します」
昂は宇宙を駆ける。その機動力は宇宙でも健在。
「こういう時は、敵が七分で黒が三分、って味方に報告したらいいんだっけ?」
――いちいち頭数を数えちゃいないが、まぁ敵が多い事だけは確かだ。
敵を攪乱しながら中枢を目指して進む。
「基本方針としては、インベーダーの半数撃破による撤退を狙います」
無数の敵も壁となっているわけではないフェイントかけ、抜き去り背後から切りつける。よけられない敵はジェミニストライクで真っ向から切り裂いた。
宇宙に残像が溶けて消える。
「味方と分断されて敵中に孤立しない様に注意してください」
密集して昂を阻もうとする敵を繚乱で纏めて除去、開けた視界の向こうに、超刀を携え佇む愚神がいた。
「オマエラ……ツヨイ?」
「ことばを……」
昂へ切りかかる愚神。今この愚神に突っ込まれてしまえばあっという間に戦艦は落ちるだろう、だから、宇宙空間での鬼ごっこが始まる。
「そこです」
突如反転した昂はハングドマンで愚神の刀をからめ動きを止める。背後に素早く回り込んで女郎蜘蛛。
「グギギ」
にらみ合いが続く。
そう昂が愚神を抑えている間に雨月は従魔を撃滅している。
終焉之書絶零断章から発せられる凍気はまるで巨大なアメーバ―のように襲いくる従魔たちを寸前のところで凍結させ氷のオブジェに変えていく。
従魔たちはそのオブジェの影から回り込もうとして雨月に凍らされるため、そのうち雨月は氷の繭のようになってしまう。
その繭ごと雨月はサンダーランスでうち貫いた。
その子わきを巨大なレーザーが通過する。
タワーシールドに激突したがそれはシールドが無効化したようだ。
だが長くは持たないだろう。
「やったわね」
告げると雨月はネクロノミコンを装備。そこから呼び出した極めて生物的フォルムをみせる砲台から同じようにレーザー、二発目のサンダーランスを放つ。
それが愚神のレーザーと接触して大爆発を引き起こした。
その爆炎をものともせずに従魔の塊は突っ込んでくる。
――すっごくいっぱい。
ナトがつぶやいた。
「蹴散らす喜びがそれだけ増えたわけだね……いーじゃんいーじゃん?」
シエロが楽しそうにつげる。フリーガーを再度装填。
装甲が張り付いた従魔に焼かれているがそれを気に留めるそぶりはない。
「だ……め……!!」
――こっちで援護する! たたみかけい!
そう告げたミュートにシャトルの護衛は任せた。
一体一体を引きはがしてはほふり、空から来襲するインベーダーは迎撃していく。
攻撃はなるべく庇う。護るのに必死だった。
「……」
ただそんな中でもミュートの胸の内は軽やかだった。
(どうしてだろう、空気もないこんな場所(宇宙)が……なんとなく)
しっくりくる?
そう首をかしげたミュート。顔を振ってその考えを否定する。
――どうしたんじゃミューちゃん?
「へぁ!? にゃなんでもないよ!」
我に返ったミュートにシエロの声が届いた。
「ちょっと派手にやる、捕まって」
開かれる装甲版。
「HA! 爆撃っていうのはこうするのさぁ!」
分厚い黒い柱のように群がる従魔に真っ向からミサイルをぶつけるシエロ。
「大穴開けるよ、そこから突っ込んで!」
それに合わせて周囲を旋回する龍哉とリィェン。
それを援護するように構築の魔女はシャトルで先行した。
穴を埋めようと中央による従魔たち、その従魔めがけてカチューシャMRLを発射。
そのままラダーを操作してバックブラスト。加速度を殺してその場で漂いLpCを構える。
弾道思考・ヴェルグスナイピングを併用した超長距離砲撃。
その視界にとらえたのは愚神、そして振るわれる刀。
放たれた弾丸は愚神の刃に激突、その攻撃を大きくそらした。
その隙をついて構築の魔女に群がろうと近づく従魔たち。
「全力を傾けても戦域全域をカバーできないのは少しばかり楽しくもありますね」
「急げ!」
叫ぶリィェンはフリーガーファウストG3をで道を開く。
「ま……数が多いから狙いやすいし殺りやしっちゃやりやすいのか」
それでもぱらぱらと接近してくる敵は円を描くように切っては進みきっては進むを繰り返す。
「おいおい……貴様らの相手はこの俺だぜ。俺を無視していこうなんていい度胸じゃねぇか」
そうメーレブロウにて従魔数体を吹き飛ばすリィェン。
数が少なくなってきた。突破口はある。
「さて……じゃ。大物の首抑えに行きますか」
放たれた斬撃で真っ二つになった従魔を蹴り飛ばし、その分厚い従魔の壁を抜ける。
そこには愚神が刀を携え二人を待っていた。
二人の頬に赤い雫がぶつかった。それは血液。
昂が血まみれで荒い息をついているのが見えた。
「前回おもちゃを手に入れて、やる気満々らしいな」
告げて龍哉は愚神に刃を向ける。
――油断ならない敵ではありますが、あの剣を頼りに力押しで来るなら相応に迎えるだけですわ。
コレクター。そう龍哉が愚神の名を呼んだ時、コレクターはにやりと微笑んだ気がした。
一瞬で距離を詰める愚神。
その斬撃を二人は本当的に刃を重ねて防いだ。
霊力による加護で武器ごと切断されることはなかったのだが、それでもかなりの衝撃が体を襲う。
リィェンはその刃を弾くと側面に回る、斬撃を飛ばして距離を取りながら適切な距離を保った。
愚神はリィェンを牽制するように一撃放ち、振り返って龍哉に長刀を叩きつける。
龍哉はそれを後方にスライドして回避。フリーガーファウストで攻撃すると、爆炎を裂いてコレクターが飛んだ。
従魔の群の中に合流し、その中に腕を突っ込むと。もう片方の手を二人に向ける。
「まず……」
二人は左右に咄嗟に避けた。その肌を膨大な熱量が焼く。
「やろう!」
龍哉が駆けた。ザンバーで斬撃、それは愚神は弾くと瞬時に懐に入って胸倉をつかみあげる。
「リィェン! そっちだ!」
龍哉の指示に従ってリィェンは愚神と接している従魔を切断。
そのまま従魔を攻撃しつつ。龍哉はその混乱の乗じて愚神へタックルをくわえた。
忌々しげに表情を歪める愚神。
その刃に霊力を充填する。
本気を出すようだ。
だが少し遅い。
背後から近づいた昂が愚神の動きを縛る。そして。
二人は大剣に霊力を宿す、揺らめく力、闘志、二人の刃は大きく肥大する。そして。
交差するように切り付けた。
愚神の装甲が砕け初めて緑色の鮮血をみせる。それに驚きの表情を見せた愚神。
その体を従魔の群の中に溶け込ませる。
「何をするつもりでしょうか」
直後、味方の従魔も焼いて発射されたレーザー。
その特大のレーザまん前に出たのが構築の魔女である。
「はああああ!」
クリスタルフィールドを展開。分子運動凍結効果により光線の振動を減衰。
「屈折・回帰…光へも干渉は可能ですとも」
その隙にシエロの戦艦が従魔の群に突撃した。
その両足を猛禽の爪のように開いて、そして。
「奥の手ってやつさ! んにゃ、脚かな?」
愚神を掴みあげた。
「イグニション!」
――からの
「バーニングゥ…ドロップァ!!!」
そう龍哉へ突き出された愚神、拘束されるそれを戦艦の爪ごと龍哉は切りつけた。
「これで半数くらいかしら」
告げたのは雨月。雨月は周囲の従魔を凍らせながら愚神に歩み寄る。
まだ暗夜は残っている、しかし半数は確かに駆除されている。
自身の傷も深い。
そう愚神は判断したのだろう。
従魔たちを霧のように差し向けて自身は撤退した。
「おい! まて!」
「マタクルゾ」
告げる愚神の背中を追いかけることは叶わず、リンカーたちは殲滅戦を行う必要があった。
エピローグ
地球から帰りの船がこちらにやってくる。徐々に大きくなるシルエットを眺めながらシエロはつぶやいた。
「あー楽しかった! こういうのもっと増えないかなあ!」
まさか戦艦に直結されるとは思わなかったが、それでも貴重な体験になった。
「戦艦サイズは無理でも…そう! リンカーが乗って戦える変形可能な戦闘機とか素敵じゃない?」
「ああ、それは、ロマンね」
遙華がインカムの向こうでそう告げた。
「………」
そんなシエロにナトは何か物言いたげな視線を向ける。
「…どしたのナトくん?『旧時代の異物に触れてはならぬ』みたいな顔して」
そう告げつつシエロはナトに心を奪われながら告げた。
今回設置完了施設。
生活管理室×2
ソーラーパネル×1
エネルギーウイング充電施設×1
修繕ロボット×1
備蓄室×16
〈設置完了施設〉
生活管理室×2
寝室×4
ソーラーパネル
シールドタワー
迎撃砲台×2
備蓄室×2
〈修繕完了施設〉
備蓄室×2
【龍哉の設計図:階層構造】
●1層:ソシソ
●2層:備エ備
●3層:
備
備生備
砲備生生生備砲
備生備
備
●4層:
寝
寝生寝
寝
●5層
備備備
備備備
備備備
●6層
備
【正面図(中心線)】
ソシソ
備エ備
砲備生生生備砲
寝生寝
備備備
備